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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G
管理番号 1345230
審判番号 不服2018-897  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-23 
確定日 2018-10-30 
事件の表示 特願2015-513269「電子表示装置及びその駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月28日国際公開、WO2013/175214、平成27年 8月13日国内公表、特表2015-523593、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月22日(パリ条約による優先権主張 2012年5月23日 英国、2012年5月23日 英国)を国際出願日とする出願であって、平成29年2月24日付けで拒絶理由が通知され、平成29年5月29日付けで誤訳訂正がなされたが、平成29年9月15日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ(謄本送達日 平成29年9月26日)、これに対し、平成30年1月23日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次の通りである。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項1-11
・引用文献1

・請求項12,13-27
・引用文献1,3-4

・請求項28-30
・引用文献1,3-4

・請求項31-34
・引用文献1

<引用文献等一覧>

1.国際公開第2011/078088号
3.特開2008-009508号公報
4.特開2008-090449号公報

第3 本願発明
本願の請求項1-12に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、平成30年1月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、11は以下のとおりのものである。

「【請求項1】
限られた色彩の表示装置を駆動するための方法であって、
前記表示装置は、ピクセルのアレイと、前記アレイにおける前記ピクセルのそれぞれを駆動するためのドライバと、前記表示装置に整列され、それによって前記ピクセルのそれぞれが異なる色彩の複数のサブピクセルに細分割されるカラーフィルタとを備え、
前記方法は、
ターゲット画像を受信することと、
前記表示装置内の各サブピクセルのための輝度値を決定することによって前記ターゲット画像用の輝度画像を生成することと、
前記輝度画像内の異なる色彩の前記複数のサブピクセルのそれぞれのために出力値を決定することによって前記輝度画像から出力信号を生成することと、
前記表示装置を駆動するために前記ドライバに前記出力信号を出力することとを含み、
前記輝度値は、前記サブピクセルが前記ターゲット画像の閾量よりも少なくカバーする場合には黒を示す値に設定され、前記輝度値は、前記サブピクセルが前記ターゲット画像の閾量よりも多くカバーする場合には白又はグレーを示す値に設定され、グレーはより淡い色合いを生成するために使用され、
前記出力値を決定することは、白又はグレーを示す輝度値を有する各サブピクセルについて、各サブピクセルのための輝度値を決定することと、前記ターゲット画像内の色彩を再現するために必要とされる各ピクセルに必要な全体の色彩を決定することとを含み、
前記輝度画像は、前記ターゲット画像を表すべく必要な色彩を考慮することなく生成され、
いったん前記輝度画像が生成されると、前記出力信号を生成することは、前記必要な色彩を生成するべく特定のサブピクセルが必要とされるか否かを決定することを含む、方法。」

「【請求項11】
電子装置であって、
ピクセルのアレイを有する限られた色彩の表示装置と、
前記アレイにおける前記ピクセルのそれぞれを駆動するためのドライバと、
前記表示装置に整列され、それによって前記ピクセルのそれぞれが異なる色彩の複数のサブピクセルに細分割されるカラーフィルタと、
ターゲット画像を受信し、
前記表示装置内の各サブピクセルのための輝度値を決定することによって前記ターゲット画像のための輝度画像を生成し、
前記輝度画像内の異なる色彩の前記複数のサブピクセルのそれぞれのための出力値を決定することによって前記輝度画像から出力信号を生成し、
前記表示装置を駆動するために前記ドライバに前記出力信号を出力するように構成されたコントローラと
を備え、
前記輝度値は、前記サブピクセル又は対応するセルが前記ターゲット画像の閾量よりも少なくカバーする場合には黒を示す値に設定され、前記輝度値は、前記サブピクセル又は対応するセルが前記ターゲット画像の閾量よりも多くカバーする場合には白又はグレーを示す値に設定され、グレーはより淡い色合いを生成するために使用され、
前記出力値を決定することは、白又はグレーを示す輝度値を有する各サブピクセルについて、各サブピクセルのための輝度値を決定することと、前記ターゲット画像内の色彩を再現するために必要とされる各ピクセルに必要な全体の色彩を決定することとを含み、
前記輝度画像は、前記ターゲット画像を表すべく必要な色彩を考慮することなく生成され、
いったん前記輝度画像が生成されると、前記出力信号を生成することは、前記必要な色彩を生成するべく特定のサブピクセルが必要とされるか否かを決定することを含む、電子装置。」

本願発明2-8、12は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明9、10は、本願発明1-8に対応する構成を含む装置の発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(国際公開第2011/078088号)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様。)。
「[0001]
本発明は、電気的に駆動可能な粒子などを表示媒体として用いた表示媒体移動型の情報ディスプレイなど、所定カラーと対応付けられた複数のサブピクセルを一つのピクセルを用いて情報ディスプレイにカラー画像を表示させる表示制御装置、情報ディスプレイシステム及び表示制御方法に関する。」

「[0026]
(1.1)ピクセルとサブピクセルの関係
図1は、情報ディスプレイ200の概略正面図である。情報ディスプレイ200は、電子粉流体(登録商標、登録第4636931号)など、電気的に駆動可能な粒子を表示媒体として用いた表示媒体移動型の情報ディスプレイ、具体的には、Quick Response-Liquid Powder Display(QR-LPD、登録商標、登録第4641917号)である。図1に示すように、情報ディスプレイ200は、複数のピクセル10(例えば、縦1,600×横1,200ドット)によって構成される。ピクセル10は、情報ディスプレイ200の情報表示面の縦方向及び横方向に複数並んで設けられる。
[0027]
本実施形態では、情報ディスプレイ200は、光の三原色を構成する赤、緑及び青(R・G・B)、或いは光の三原色と無色透明(R・G・B・W)、または光の四原色を構成する赤、緑、青及び黄(R・G・B・Y)によってカラー画像(例えば、4,096色)を表示する実施形態とすることもできる。」

「[0033]
(1.2)情報ディスプレイの内部構成
図3は、情報ディスプレイ200の内部構成を示す。具体的には、図3は、ピクセル10の内部構成を示す。上述したように、ピクセル10は、サブピクセルR1、サブピクセルG1及びサブピクセルB1によって構成される。
[0034]
ピクセル10は、R・G・B(所定カラー)に対応するカラーフィルタを備える。具体的には、サブピクセルR1には、赤色に着色され、一定の透明性を有する赤フィルタ18Rが設けられる。同様に、サブピクセルG1には、緑色に着色され、一定の透明性を有する緑フィルタ18Gが設けられ、サブピクセルB1には、青色に着色され、一定の透明性を有する青フィルタ18Bが設けられる。赤フィルタ18R、緑フィルタ18G及び青フィルタ18Bは、情報ディスプレイ200の情報表示面側に配置される。」

「[0042]
(2.1)全体機能ブロック構成
図5は、情報ディスプレイシステム50の全体機能ブロック構成図である。図5に示すように、情報ディスプレイシステム50は、表示制御装置100と情報ディスプレイ200とによって構成される。
[0043]
表示制御装置100は、情報ディスプレイ200を制御し、情報ディスプレイ200にカラー画像を表示させる。表示制御装置100は、画像データ入力部110、コントローラ120及びドライバ130を備える。
[0044]
画像データ入力部110には、情報ディスプレイ200によるカラー画像の表示に必要な画像データが入力される。
[0045]
コントローラ120は、画像データ入力部110に入力された画像データに基づいて、情報ディスプレイ200のピクセル及びサブピクセルを制御する制御情報を生成する。なお、コントローラ120の詳細については、後述する。
[0046]
ドライバ130は、コントローラ120から出力された制御情報を情報ディスプレイ200に出力し、該当するサブピクセルを駆動する。」

「[0052]
(3.1)表示制御フロー
表示制御装置100は、カラー画像を情報ディスプレイ200に表示させる際、複数(例えば、R・G・Bの三つ)のサブピクセルを一つのピクセル(画像表示単位)として扱うのではなく、各サブピクセルを一つの画像表示単位として扱う。これにより、表示制御装置100は、カラー画像を擬似的に高精細にして情報ディスプレイ200に表示させる。以下、このような擬似的に高精細なカラー画像を情報ディスプレイ200に表示させる表示制御フロー(高精細処理)について説明する。」

「[0057]
図8は、特定ピクセルのカラーデータ及び明度の取得フローを示す。図8に示すように、ステップS110において、表示制御装置100は、特定ピクセルの画像データPicturePix(X, Y)に基づいて、赤のカラーデータRed(C)、緑のカラーデータGreen(C)、及び青のカラーデータBlue(C)を取得する。さらに、表示制御装置100は、取得したカラーデータと(式1)とを用いて、各カラー(R・G・B)の明度(LV)を演算する。なお、「*」は、乗算を示す演算記号である。
[0058]
W = (R*MR + G*MG + B*MB)/MW
R = R*2 - W
G = G*2 - W
B = B*2 - W …(式1)
また、表示制御装置100は、(式2)によってNの値を演算する。
[0059]
N = (Y and 1) + (X and 1)*2 …(式2)
Nの値は、特定ピクセルそれぞれのカラーデータ及びその明度を取得するための条件分岐に用いられる。なお、この例は、図2(b)に示したピクセル構成の場合を示しており、(式2)は、図2(b)のピクセル構成の場合に用いられる。他のピクセル構成の場合、その構成に従った式が用いられる。
[0060]
ステップS120において、表示制御装置100は、演算したNの値が0か否かを判定する。N=0の場合(ステップS120のYES)、ステップS130において、表示制御装置100は、取得した白色の明度(LV)を出力する。
[0061]
以下、ステップS140?ステップS180において、表示制御装置100は、取得した他の色の明度(LV)を出力する。
[0062]
この結果、図7のステップS30に示すように、表示制御装置100は、特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し、取得した色の明度(LV)に基づいて、情報ディスプレイ200上の対応するピクセル(X, Y)に含まれる対応色のサブピクセルを駆動する(Screen(X, Y)=Level)。」


図8


図9

また、上記図8より、N=0の場合、取得した白色の明度(LV)を出力し、N=1の場合、取得した赤色の明度(LV)を出力し、N=2の場合、取得した緑色の明度(LV)を出力し、N=3の場合、取得した青色の明度(LV)を出力することが見て取れる。そうすると、上記記載より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献1の記載箇所を示す。)。
「4,096色を表示する情報ディスプレイにカラー画像を表示させる表示制御方法であって([0001]、[0027])、
情報ディスプレイシステム50は、表示制御装置100と情報ディスプレイ200とによって構成され([0042])、
表示制御装置100は、画像データ入力部110、コントローラ120及びドライバ130を備え([0043])、
画像データ入力部110には、画像データが入力され([0044])、
ドライバ130は、制御情報を情報ディスプレイ200に出力し、該当するサブピクセルを駆動し([0046])、
情報ディスプレイ200は、縦方向及び横方向に複数並んで設けられる、複数のピクセル10によって構成され([0026])、
ピクセル10は、サブピクセルR1、サブピクセルG1及びサブピクセルB1によって構成され、サブピクセルR1には赤フィルタ18R、サブピクセルG1には緑フィルタ18G、サブピクセルB1には青フィルタ18BのR・G・B(所定カラー)に対応するカラーフィルタを備え([0033]、[0034])、
表示制御装置100は、
各サブピクセルを一つの画像表示単位として扱い([0052])、
表示制御装置100は、特定ピクセルの画像データPicturePix(X,Y)に基づいて、赤のカラーデータRed(C)、緑のカラーデータGreen(C)、及び青のカラーデータBlue(C)を取得し、
取得したカラーデータと(式1)とを用いて、各カラー(R・G・B)の明度(LV)を演算し([0057])、
W=(R*MR+G*MG+B*MB)/MW
R=R*2-W
G=G*2-W
B=B*2-W …(式1)
また、(式2)によってNの値を演算し([0058])、
N=(Yand1)+(Xand1)*2 …(式2)([0059])
(式2)において、(X,Y)の下一桁が、(0,0)でN=0、(1,0)でN=1、(0,1)でN=2、(1,1)でN=3となり、
N=0の場合、取得した白色の明度(LV)を出力し、
N=1の場合、取得した赤色の明度(LV)を出力し、
N=2の場合、取得した緑色の明度(LV)を出力し、
N=3の場合、取得した青色の明度(LV)を出力し([0060]、図8)、
表示制御装置100は、特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し、取得した色の明度(LV)に基づいて、情報ディスプレイ200上の対応するピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセルを駆動する([0062])、
表示制御方法。」

2 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(特開2008-009508号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0020】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による擬似階調画像の生成方法及び擬似階調画像生成装置について説明する。図1は実施の形態1に係る擬似階調画像生成装置のブロック図、図2はそのフロー図である。図1及び図2に於いて、画像生成部1は、例えば、現在の気温やニュースの表示等、入力されたデータに基づき逐次、動的に原画像を生成処理するもので、図2に示すように、文字生成部11、図形生成部12、及び自然画生成部13を備える。
【0021】
文字生成部11は、第1の文字情報211と第2の文字情報212を含む第1の画像構成要素21を生成する。図形生成部12は、第1の図形情報221と第2の図形情報222を含む第2の画像構成要素22を生成する。自然画生成部13は、自然画情報231からなる第3の画像構成要素23を生成する。画像生成部1は、生成する第1の画像構成要素21、第2の画像構成要素22、第3の画像構成要素23に対して、減色処理方法、夫々の画素データ、各画素の透過・非透過を表す2値のマスク値、画像構成要素間の重ねあわせ順序等の画像構成に関する情報を記録し、夫々の画像構成要素に適した減色処理方法を設定する。
【0022】
減色処理部3は、第1の減色処理部31と第2の減色処理部32と第3の減色処理部33とを備える。第1の減色処理部31は、第1の文字情報211と第2の文字情報212を含む第1の画像構成要素21を、その記録された減色処理方法に関する情報に基づいて、その画像構成要素に最も適する単純近似法により減色処理を行う。文字情報の場合、サイズの小さい文字等は色よりも可読性が大切であり画素単位の表現が重要であるので、文字情報に対する減色処理法としては、画素単位で単純に最も近い色に変更するのみである単純近似法が適している。従って、第1の文字情報221と第2の文字情報222とを含む第1の画像構成要素21には、予め、画像生成部1により、減色処理方法に関する情報として単純近似法により減色処理を行うための情報が記録されている。
【0023】
第2の減色処理部32は、第1の図形情報221と第2の図形情報222を含む第2の画像構成要素22を、その設定された減色処理方法である周知のディザパターン法により減色処理を行う。図形の場合、あるエリアが均一に塗りつぶされることが多く、ベタ塗りの表現が重要であり、又、描画要素に直線や単純な曲線等、幾何学的な図形が多い図形情報に対する減色処理法としては、ベタ塗りを規則的なパターンで表現するディザパターン法が適している。従って、第1の図形情報221と第2の図形情報222とを含む第2の画像構成要素22には、予め、画像生成部1により、減色処理方法に関する情報としてディザパターン法により減色処理を行うための情報が記録されている。
【0024】
第3の減色処理部33は、自然画情報231を含む第3の画像構成要素23を、その設定された減色処理方法である周知の誤差拡散法により減色処理を行う。自然画情報の場合、ベタ塗りが非常に少なく、表現色が多く且つ色が滑らかに変化し、描画要素に直線や単純な曲線が殆どない。従って、写真等の自然画情報に対する減色処理法としては、ある程度の面積を用いて色の再現誤差を少なくし、色階調再現性の高い周知の誤差拡散法が適している。そのため、自然画情報231を含む第3の画像構成要素23には、予め、画像生成部1により、減色処理方法に関する情報として誤差拡散法により減色処理を行うための情報が記録されている。
【0025】
第1の画像構成要素21の第1の文字情報211と第2の文字情報212は、第1の減色処理部31により単純近似法により減色処理されて、夫々、第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612となる。第2の画像構成要素22の第1の図形情報221と第2の図形情報222は、第2の減色処理部32によりディザパターン法により減色処理されて、夫々、第1の減色済図形情報621と第2の減色済図形情報622となる。第3の画像構成要素33の自然画情報231は、第3の減色処理部33により誤差拡散法により減色処理されて、減色済自然画情報631となる。
第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612、第1の減色済図形情報621、第2の減色済図形情報622、及び減色済自然画情報631を総称して、減色済画像構成要素6と称する。
【0026】
画像合成部4は、減色処理部3から、第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612、第1の減色済図形情報621、第2の減色済図形情報622、及び減色済自然画情報631が入力される。前記したように、夫々の画像構成要素には、予め画像生成部1により、各画素の透過・非透過を表すマスク値、画像構成要素間の重ねあわせ順序等の情報が記録されており、画像合成部4は、その記録により設定された重ね合わせ順序及び各画素のマスク値に応じて、第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612、第1の減色済図形情報621、第2の減色済図形情報622、及び減色済自然画情報631の重ね合せ処理を行い、1枚の擬似階調画像5を出力する。」

3 引用文献4について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4(特開2008-090449号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0019】
本実施の形態は、図1に示すように、画像入力モジュール110、領域分離モジュール120、文字認識モジュール130、文字整形モジュール140、表示モジュール150、キーワードDB160を有している。さらに、表示モジュール150内には、絵柄領域選択モジュール151、文字変形モジュール152、スクロール表示モジュール153を有している。
画像入力モジュール110は、図1に示すように、領域分離モジュール120と接続されており、対象とする画像を入力する。そして、入力した画像を領域分離モジュール120へ渡す。より具体的には、画像を電子的イメージとして入力するものにスキャナ、ファックス等が該当する。また、アプリケーション作成文書を入力するものとして、文書データベース等の記憶装置からの読み出しモジュール、通信回線を介して、他のシステムから受信する受信モジュール等が該当する。ここで、入力する画像は1枚の画像であってもよいし、複数ページからなる画像であってもよい。
【0020】
領域分離モジュール120は、図1に示すように、画像入力モジュール110、文字認識モジュール130、表示モジュール150と接続されており、画像入力モジュール110によって入力された画像から領域を分離する。そして、分離した領域を文字認識モジュール130、表示モジュール150へ渡す。領域の分離は、画像から空白等で区切られた領域を抽出することによって行われる。もちろん他の既存の方法で領域を分離してもよい。
また、その領域の属性として、文字が含まれている文字領域、絵柄が含まれている絵柄領域を少なくとも識別する。また、この他に、表が含まれている表領域等も識別してもよい。なお、絵柄領域には、文字領域以外であって、写真等の自然画が含まれている写真領域、CG(Computer Graphics)により描かれる図形等が含まれる図形領域などが含まれる。領域の属性の識別は、領域ごとに特徴抽出を行い、その特徴空間において、その属性の特徴を典型的に表すモデルとの距離に応じて、属性を定めることによって行う。特徴抽出以外に、他の既存の方法を用いてもよい。」

「【0026】
ステップS202では、領域分離モジュール120がステップS200で入力した画像から文字領域、絵柄領域、その他の領域に分離する。例えば、図5の画像500を、文字領域501と絵柄領域502とに分離する。なお、領域分離モジュール120による領域分離の結果は、図4に示すようなテーブルに格納する。領域テーブル400は、ID欄401、左上座標欄402、右下座標欄403、属性欄404、文字認識結果欄405を有しており、ID欄401は領域をそのページ内で一意に識別できる識別子を、左上座標欄402、右下座標欄403は領域のそのページ内における位置を、属性欄404はその領域が文字領域であるか、絵柄領域であるか、その他の領域であるかの別を、文字認識結果欄405はその領域が文字領域であるならば、文字認識モジュール130による認識結果を、それぞれ記憶する。なお、ここでは、領域を矩形領域としているが、任意の形状であってもよい。任意の形状である場合、その形状を切り取るためのマスクとしての画像(ファイル)を左上座標欄402または右下座標欄403が記憶する。また、データ構造は、テーブル構造ではなく、リンク構造等であってもよい。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「表示制御装置100と情報ディスプレイ200とによって構成され」る「情報ディスプレイシステム50」は、本願発明1の「表示装置」に相当し、引用発明は「ドライバ130は、制御情報を情報ディスプレイ200に出力し、該当するサブピクセルを駆動し」ているので、引用発明の「4,096色を表示する情報ディスプレイにカラー画像を表示させる表示制御方法」は、本願発明1の「限られた色彩の表示装置を駆動するための方法」に相当する。

イ 引用発明の「縦方向及び横方向に複数並んで設けられる、複数のピクセル10によって構成され」る「情報ディスプレイ200」は、本願発明1の「ピクセルのアレイ」に相当する。
引用発明の「制御情報を情報ディスプレイ200に出力し、該当するサブピクセルを駆動」する「ドライバ130」は、本願発明1の「前記アレイにおける前記ピクセルのそれぞれを駆動するためのドライバ」に相当する。
引用発明の「サブピクセルR1、サブピクセルG1及びサブピクセルB1によって構成され」た「ピクセル10」が「備え」る「R・G・B(所定カラー)に対応するカラーフィルタ」は、本願発明1の「前記表示装置に整列され、それによって前記ピクセルのそれぞれが異なる色彩の複数のサブピクセルに細分割されるカラーフィルタ」に相当する。
したがって、引用発明の「情報ディスプレイシステム50は、表示制御装置100と情報ディスプレイ200とによって構成され、表示制御装置100は、」「ドライバ130を備え、」「情報ディスプレイ200は、」「複数のピクセル10によって構成され、」「ピクセル10は、」「カラーフィルタを備え」ることは、本願発明1の「前記表示装置は、ピクセルのアレイと、前記アレイにおける前記ピクセルのそれぞれを駆動するためのドライバと、前記表示装置に整列され、それによって前記ピクセルのそれぞれが異なる色彩の複数のサブピクセルに細分割されるカラーフィルタとを備え」ることに相当する。

ウ 引用発明の「画像データ入力部110には、画像データが入力され」ることは、本願発明1の「ターゲット画像を受信する」ことに相当する。

エ 引用発明は「各サブピクセルを一つの画像表示単位として扱」うもので、「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し、取得した色の明度(LV)に基づいて、情報ディスプレイ200上の対応するピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセルを駆動する」ので、引用発明における「サブピクセル」と、「特定ピクセル」は対応している。
そして、引用発明の「明度(LV)」は、本願発明1の「輝度値」に相当し、引用発明の「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)」を全て集めたものが、本願発明1の「輝度画像」に相当する。
したがって、引用発明の「特定ピクセルの画像データPicturePix(X,Y)に基づいて、赤のカラーデータRed(C)、緑のカラーデータGreen(C)、及び青のカラーデータBlue(C)を取得し、取得したカラーデータと(式1)とを用いて、各カラー(R・G・B)の明度(LV)を演算し、」「(式2)によってNの値を演算し、」「N=0の場合、取得した白色の明度(LV)を出力し、N=1の場合、取得した赤色の明度(LV)を出力し、N=2の場合、取得した緑色の明度(LV)を出力し、N=3の場合、取得した青色の明度(LV)を出力し、」「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得」することは、本願発明1の「前記表示装置内の各サブピクセルのための輝度値を決定することによって前記ターゲット画像用の輝度画像を生成する」ことに相当する。

オ 引用発明は「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し、取得した色の明度(LV)に基づいて」「ピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセルを駆動する」のであるから、「特定ピクセル位置(X, Y)における」「ピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセル」のために出力値を決定することによって、「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)」から出力信号を生成しているといえる。
また、上記エを踏まえると、引用発明の「特定ピクセル位置(X, Y)における」「ピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセル」は、本願発明1の「前記輝度画像内の異なる色彩の前記複数のサブピクセル」に相当するといえる。
したがって、引用発明の「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し、取得した色の明度(LV)に基づいて」「ピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセルを駆動する」ことは、本願発明1の「前記輝度画像内の異なる色彩の前記複数のサブピクセルのそれぞれのために出力値を決定することによって前記輝度画像から出力信号を生成すること」に相当する。

カ 引用発明の「ドライバ130」は、「制御情報を情報ディスプレイ200に出力し、該当するサブピクセルを駆動し」ているので、引用発明は、「サブピクセルを駆動する」ための「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)」からの出力信号を、「ドライバ130」に出力しているといえる。
したがって、引用発明の「ドライバ130」を備える「表示制御装置100」が、「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)」「に基づいて」「情報ディスプレイ200上の対応するピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセルを駆動する」ことは、本願発明1の「前記表示装置を駆動するために前記ドライバに前記出力信号を出力すること」に相当する。

すると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「限られた色彩の表示装置を駆動するための方法であって、
前記表示装置は、ピクセルのアレイと、前記アレイにおける前記ピクセルのそれぞれを駆動するためのドライバと、前記表示装置に整列され、それによって前記ピクセルのそれぞれが異なる色彩の複数のサブピクセルに細分割されるカラーフィルタとを備え、
前記方法は、
ターゲット画像を受信することと、
前記表示装置内の各サブピクセルのための輝度値を決定することによって前記ターゲット画像用の輝度画像を生成することと、
前記輝度画像内の異なる色彩の前記複数のサブピクセルのそれぞれのために出力値を決定することによって前記輝度画像から出力信号を生成することと、
前記表示装置を駆動するために前記ドライバに前記出力信号を出力することとを含む、方法。」

(相違点1)
輝度値が、本願発明1は、「前記サブピクセルが前記ターゲット画像の閾量よりも少なくカバーする場合には黒を示す値に設定され、前記輝度値は、前記サブピクセルが前記ターゲット画像の閾量よりも多くカバーする場合には白又はグレーを示す値に設定され、グレーはより淡い色合いを生成するために使用され」るのに対して、引用発明は、「特定ピクセルの画像データPicturePix(X,Y)に基づいて、赤のカラーデータRed(C)、緑のカラーデータGreen(C)、及び青のカラーデータBlue(C)を取得し、取得したカラーデータと(式1)とを用いて、各カラー(R・G・B)の明度(LV)を演算」する点。
(相違点2)
輝度画像が、本願発明1は、「前記ターゲット画像を表すべく必要な色彩を考慮することなく生成され」るの対して、引用発明は「特定ピクセルの画像データPicturePix(X,Y)に基づいて、赤のカラーデータRed(C)、緑のカラーデータGreen(C)、及び青のカラーデータBlue(C)を取得し、取得したカラーデータと(式1)とを用いて、各カラー(R・G・B)の明度(LV)を演算し、」「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し」ている点。
(相違点3)
出力値を決定することが、本願発明1は、「白又はグレーを示す輝度値を有する各サブピクセルについて、各サブピクセルのための輝度値を決定することと、前記ターゲット画像内の色彩を再現するために必要とされる各ピクセルに必要な全体の色彩を決定することとを含」むのに対して、引用発明は、「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し、取得した色の明度(LV)に基づいて、」「ピクセル(X,Y)に含まれる対応色のサブピクセルを駆動」しているが、そのような特定がない点。
(相違点4)
出力信号を生成することが、本願発明1は、「前記必要な色彩を生成するべく特定のサブピクセルが必要とされるか否かを決定することを含む」のに対して、引用発明は、「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)」から出力信号を生成しているといえるが、そのような特定がない点。

(2)判断
事案に鑑み、先ず上記相違点2について検討する。
引用発明は、「特定ピクセルの画像データPicturePix(X,Y)に基づいて、赤のカラーデータRed(C)、緑のカラーデータGreen(C)、及び青のカラーデータBlue(C)を取得し、」「各カラー(R・G・B)の明度(LV)を演算」して輝度値を決定し、当該輝度値から、「特定ピクセル位置(X, Y)における各色の明度(LV)を取得し」て輝度画像を生成しているので、「特定ピクセル位置(X, Y)」の「明度(LV)」は、色彩の情報を有することを前提とするものといえる。
また、引用文献3、4には、各サブピクセルのための輝度値を決定し、当該輝度値から輝度画像を、ターゲット画像を表すべく必要な色彩を考慮することなく生成することは記載されていない。また、そのことは周知技術でもない。
そうすると、引用発明において、輝度画像を必要な色彩を考慮することなく生成し、上記相違点2に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

したがって、引用発明、引用文献3、4に記載された技術に基づいて、上記相違点2に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

よって、本願発明1は、上記相違点1、3、4について検討するまでもなく、引用発明、引用文献3、4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2-12について
本願発明2-12も、上記相違点2に係る本願発明1の「前記輝度画像は、前記ターゲット画像を表すべく必要な色彩を考慮することなく生成され」と同一もしくはそれに対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献3、4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-12は「前記輝度画像は、前記ターゲット画像を表すべく必要な色彩を考慮することなく生成され」の構成又は対応する構成を有するものとなっており、拒絶査定において引用された引用文献1、3、4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-10-15 
出願番号 特願2015-513269(P2015-513269)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G09G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森口 忠紀山崎 仁之  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 須原 宏光
▲うし▼田 真悟
発明の名称 電子表示装置及びその駆動方法  
代理人 三好 秀和  
代理人 大渕 一志  
代理人 原 裕子  
代理人 伊藤 正和  
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