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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1345256
審判番号 不服2017-7446  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-24 
確定日 2018-10-10 
事件の表示 特願2011-128249「半導体装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月27日出願公開、特開2012-256679〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年6月8日に特許出願したものであって、平成27年9月4日付け拒絶理由通知に対して平成28年3月7日付けで手続補正がなされ、同年4月25日付け最後の拒絶理由通知に対して同年11月8日付けで意見書が提出されたが、平成29年1月16日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年5月24日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


2.本願発明
本願の請求項1ないし19に係る発明は、平成28年3月7日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
互いに積層された第1及び第2の半導体チップを含むチップ積層体を有する半導体装置であって、
前記第1及び第2の半導体チップのそれぞれが、
半導体基板と、
前記半導体基板の第1の面に設けられた回路素子層と、
前記回路素子層の表面に設けられた第1の表面絶縁層と、
前記半導体基板の前記第1の面の反対側に位置する前記半導体基板の第2の面に設けられた第1の裏面絶縁層と、
前記第1の裏面絶縁層の面のうち、前記半導体基板と接触する面とは反対側に位置する面に設けられ、前記第1の裏面絶縁層と異なる絶縁物質を含む第2の裏面絶縁層と、
前記半導体基板を貫通する貫通電極と、
前記貫通電極に接続された表面電極と、を有し、
前記第1の表面絶縁層は、前記表面電極を露出する開口部を備え、
前記表面電極は、前記第1の表面絶縁層から離れていることを特徴とする半導体装置。」


3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-342690号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ方向に貫通する貫通電極を有する半導体チップおよびその製造方法、ならびに厚さ方向に貫通する貫通電極を有する複数の半導体チップが積層された半導体装置およびその製造方法に関する。」

イ.「【0041】
【発明の実施の形態】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。
この半導体チップ1は、シリコンからなる半導体基板2を含んでいる。半導体基板2(半導体チップ1)の厚さは、100μm程度である。半導体基板2の一方表面(以下、「表面」という。)には、複数の電極を有する機能素子(デバイス)3が形成されている。機能素子3の側方には、半導体基板2を厚さ方向に貫通する貫通孔4が形成されている。貫通孔4の内周面には酸化珪素(SiO_(2))からなる絶縁膜5が形成されている。
【0042】
半導体基板2の表面には、開口6aを有するハードマスク6が形成されている。ハードマスク6は酸化珪素からなる。半導体基板2の表面を垂直に見下ろす平面視において、開口6a内には、機能素子3の一部および貫通孔4が存在する。
半導体基板2の表面において、開口6a内には、機能素子3の一部を露出させるようなパターンを有する絶縁膜8が形成されている。開口6aおよび貫通孔4の内面には、銅(Cu)からなる表面側シード層9が形成されている。表面側シード層9は、貫通孔4内では半導体基板2の表面から70μmより浅い部分に形成されている。表面側シード層9は、さらに、半導体基板2の厚さ方向に関して表面から70μm程度の位置に、貫通孔4にほぼ垂直に貫通孔4を塞ぐように形成されている。表面側シード層9は、貫通孔4の内周面(絶縁膜5上)にも形成されている。」

ウ.「【0044】
配線部材11やハードマスク6の表面には、酸化珪素や窒化珪素(Si_(3)N_(4))からなる表面側絶縁膜13が形成されている。表面側絶縁膜13は、必要に応じて設けるものとすることができ、設けられていなくてもよい。表面側貫通電極10Aは、表面側絶縁膜13から露出されている。表面側貫通電極10Aには、表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12が接合されている。
半導体基板2の表面とは反対側の面(以下「裏面」という。)には、開口7aを有するハードマスク7が形成されている。半導体基板2の表面を垂直に見下ろす平面視において、開口7aは貫通孔4とほぼ重なる。
【0045】
貫通孔4内で、半導体基板2の裏面から30μmより浅い部分には、銅からなる裏面側シード層14が設けられている。裏面側シード層14は、表面側シード層9のうち貫通孔4を塞いでいる部分に隣接して、貫通孔4を塞ぐように形成されており、さらに、貫通孔4内の内周面やハードマスク7の開口7aの内壁面にも形成されている。
貫通孔4内で裏面側シード層14に囲まれた領域および開口7a内は、裏面側貫通電極10Bで満たされている。裏面側貫通電極10Bは銅からなる。裏面側貫通電極10Bの表面は、ハードマスク7の表面と面一になっている。ハードマスク7の表面には、酸化珪素や窒化珪素からなる裏面側絶縁膜16が形成されている。裏面側絶縁膜16は、必要に応じて設けるものとすることができ、設けられていなくてもよい。裏面側絶縁膜16は、裏面側貫通電極10Bを露出させるようなパターンを有しており、裏面側貫通電極10Bには、裏面側絶縁膜16の裏面から突出したバンプ15が接合されている。
【0046】
表面側貫通電極10A、表面側シード層9、裏面側シード層14、および裏面側貫通電極10Bは、半導体基板2の表面側と裏面側との導通経路をなす貫通電極10を形成している。貫通電極10は、絶縁膜5やハードマスク6,7により半導体基板2と絶縁されている。
これにより、機能素子3の配線部材11が接続された電極に対して、バンプ12を介して半導体チップ1の表面側から電気接続できるとともに、バンプ15を介して半導体チップ1の裏面側からも電気接続できる。半導体基板2を貫通する貫通電極10により、半導体基板2の表面側と裏面側との間の配線長が短くされている。」

エ.「【0103】
ウエハWの裏面には、研削痕や研削時に受けたダメージを有する研削ダメージ層が存在している。この研削ダメージ層を除去するため、ウエハWの裏面が5μm程度ドライエッチングされる(図13(c)参照)。これにより、ウエハWの厚さは100μm程度となる。
次に、CVD法により、ウエハWの裏面全面に、酸化珪素からなるハードマスク7が形成される。続いて、フォトレジストを用いたウェットエッチングまたはドライエッチングにより、ハードマスク7に開口7a,7bが形成される。開口7aは表面側凹所85に対応する位置に形成される。この状態が、図13(d)に示されている。この工程は、たとえば、ウエハWが裏面研削用の支持体に貼り付けられたまま実施することができる。その場合、ハードマスク7の所定の位置に開口7a,7bを形成するためのアライメントマークが、支持体に形成されていてもよい。」

上記アないしエ及び図1から、引用例1には以下の事項が記載されている。

・上記アによれば、複数の半導体チップが積層された半導体装置に関するものである。

・上記イによれば、半導体チップ1は、半導体基板2を有するものである。

・上記イによれば、半導体基板2の表面には、複数の電極を有する機能素子(デバイス)3が形成されているものである。

・上記イによれば、半導体基板2の表面には、ハードマスク6が形成されているものである。

・上記ウによれば、ハードマスク6の表面には、表面側絶縁膜13が形成されているものである。

・上記ウ、エによれば、半導体基板2の表面とは反対側の裏面には、酸化珪素からなるハードマスク7が形成されているものである。

・上記ウによれば、ハードマスク7の表面には、酸化珪素や窒化珪素からなる裏面側絶縁膜16が形成されているものであり、図1によれば、裏面側絶縁膜16は、ハードマスク7の半導体基板2と接触する面とは反対側に位置する面に形成されるものである。
つまり、ハードマスク7の半導体基板2と接触する面とは反対側に位置する面には、酸化珪素や窒化珪素からなる裏面側絶縁膜16が形成されているものである。

・上記ウによれば、表面側貫通電極10A、表面側シード層9、裏面側シード層14、および裏面側貫通電極10Bは、半導体基板2を貫通する貫通電極10を形成するものである。

・上記ウによれば、表面側貫通電極10Aには、表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12が接合されているものである。

・上記ウによれば、表面側貫通電極10Aは、表面側絶縁膜13から露出されているものである。また、図1によれば、バンプ(突起電極)12は、表面側絶縁膜13を貫通するものである。

・上記イによれば、図1は、半導体チップの構造を示すものであり、図1によれば、符号「1」で示される半導体チップは、半導体基板2と機能素子(デバイス)3とハードマスク6と表面側絶縁膜13とハードマスク7と裏面側絶縁膜16と貫通電極10とバンプ(突起電極)12とを有するものである。
つまり、半導体チップ1は、半導体基板2と機能素子(デバイス)3とハードマスク6と表面側絶縁膜13とハードマスク7と裏面側絶縁膜16と貫通電極10とバンプ(突起電極)12とを有するものである。

そうすると、上記摘示事項及び図1を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「複数の半導体チップが積層された半導体装置であって、
半導体チップ1は、
半導体基板2と、
半導体基板2の表面に形成され、複数の電極を有する機能素子(デバイス)3と、
半導体基板2の表面に形成されるハードマスク6と、
ハードマスク6の表面に形成される表面側絶縁膜13と、
半導体基板2の表面とは反対側の裏面に形成され、酸化珪素からなるハードマスク7と、
ハードマスク7の半導体基板2と接触する面とは反対側に位置する面に形成され、酸化珪素や窒化珪素からなる裏面側絶縁膜16と、
表面側貫通電極10A、表面側シード層9、裏面側シード層14、および裏面側貫通電極10Bにより形成され、半導体基板2を貫通する貫通電極10と、
表面側貫通電極10Aに接合され、表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12と、を有し、
表面側貫通電極10Aは、表面側絶縁膜13から露出されており、バンプ(突起電極)12は、表面側絶縁膜13を貫通する半導体装置。」


4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「複数の半導体チップが積層」された構造は、互いに積層された一の半導体チップ及び他の半導体チップを有するものといえるから、本願発明の「互いに積層された第1及び第2の半導体チップを含むチップ積層体」に相当するものを当然に備えているものである。
したがって、引用発明の「複数の半導体チップが積層された半導体装置」は、本願発明の「互いに積層された第1及び第2の半導体チップを含むチップ積層体を有する半導体装置」に相当する。

(2)引用発明の「半導体チップ1」は、「複数の半導体チップが積層」された構造における各半導体チップを構成するものであると解するのが自然であり、本願発明の「前記第1及び第2の半導体チップのそれぞれ」に相当する。

(3)引用発明の「半導体基板2」は、本願発明の「半導体基板」に相当する。

(4)引用発明の「半導体基板2の表面」は、本願発明の「前記半導体基板の第1の面」に相当する。そして、引用発明の「複数の電極を有する機能素子(デバイス)3」及び「ハードマスク6」は、機能素子(デバイス)3により回路素子を構成するとともに、ハードマスク6により層を形成するものであるから、本願発明の「回路素子層」であるといえる。
したがって、引用発明の「半導体基板2の表面に形成され、複数の電極を有する機能素子(デバイス)3」及び「半導体基板2の表面に形成されるハードマスク6」は、本願発明の「前記半導体基板の第1の面に設けられた回路素子層」に相当する。

(5)引用発明の「ハードマスク6の表面」は、ハードマスク6が本願発明の「回路素子層」を構成するものであるから、本願発明の「回路素子層の表面」に相当する。したがって、引用発明の「ハードマスク6の表面に形成される表面側絶縁膜13」は、本願発明の「前記回路素子層の表面に設けられた第1の表面絶縁層」に相当する。

(6)引用発明の「半導体基板2の表面とは反対側の裏面」は、本願発明の「前記半導体基板の前記第1の面の反対側に位置する前記半導体基板の第2の面」に相当する。また、引用発明の「半導体基板2の表面とは反対側の裏面に形成され、酸化珪素からなるハードマスク7」は、酸化珪素からなるものであるから絶縁体であり、半導体基板2の裏面に形成されるものであるから、裏面絶縁層であるといえる。
したがって、引用発明の「半導体基板2の表面とは反対側の裏面に形成され、酸化珪素からなるハードマスク7」は、本願発明の「前記半導体基板の前記第1の面の反対側に位置する前記半導体基板の第2の面に設けられた第1の裏面絶縁層」に相当する。

(7)引用発明の「ハードマスク7の半導体基板2と接触する面とは反対側に位置する面」は、本願発明の「前記第1の裏面絶縁層の面のうち、前記半導体基板と接触する面とは反対側に位置する面」に相当する。また、引用発明の「酸化珪素や窒化珪素からなる裏面側絶縁膜16」は、窒化珪素が含まれ得るものだから、引用発明の「酸化珪素からなるハードマスク7」とは、異なる絶縁物質を含むものであるといえる。
したがって、引用発明の「ハードマスク7の半導体基板2と接触する面とは反対側に位置する面に形成され、酸化珪素や窒化珪素からなる裏面側絶縁膜16」は、本願発明の「前記第1の裏面絶縁層の面のうち、前記半導体基板と接触する面とは反対側に位置する面に設けられ、前記第1の裏面絶縁層と異なる絶縁物質を含む第2の裏面絶縁層」に相当する。

(8)引用発明の「半導体基板2を貫通する貫通電極10」は、本願発明の「前記半導体基板を貫通する貫通電極」に相当する。

(9)引用発明の「表面側貫通電極10Aに接合され、表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12」は、貫通電極10を構成する表面側貫通電極10Aに接合されるものであるから、貫通電極に接続されたものであるといえる。また、引用発明の「表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12」は、半導体基板2の表面側に設けられる表面側絶縁膜13の表面から突出するものであり、半導体基板の2の表面側に設けられた電極であるから、表面電極であるといえる。
したがって、引用発明の「表面側貫通電極10Aに接合され、表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12」は、本願発明の「前記貫通電極に接続された表面電極」に相当する。

(10)引用発明の「表面側貫通電極10Aは、表面側絶縁膜13から露出されて」いることは、表面側絶縁膜13(上記(5)のとおり、本願発明の「第1の表面絶縁層」に相当。)に、表面側貫通電極10Aを露出するための開口部が設けられていると解するのが自然である。そして、引用発明の「表面側貫通電極10Aに接合され、表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12」及び「表面側貫通電極10Aは、表面側絶縁膜13から露出されており、バンプ(突起電極)12は、表面側絶縁膜13を貫通する」ことは、表面側貫通電極10Aを露出するための上記開口部の内部に、表面側絶縁膜13を貫通して表面側絶縁膜13の表面から突出するように、バンプ(突起電極)12が設けられていると解するのが自然であり、当該開口部は、バンプ(突起電極)12を露出するものであるといえる。
したがって、引用発明の「表面側貫通電極10Aに接合され、表面側絶縁膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12」及び「表面側貫通電極10Aは、表面側絶縁膜13から露出されており、バンプ(突起電極)12は、表面側絶縁膜13を貫通する」ことは、本願発明の「前記第1の表面絶縁層は、前記表面電極を露出する開口部」に相当する構成を備えているものである。

(11)本願発明は「前記表面電極は、前記第1の表面絶縁層から離れている」のに対し、引用発明にはその旨の特定がされていない。

上記(1)ないし(11)から、本願発明と引用発明とは、次の点で一致ないし相違する。

<一致点>
互いに積層された第1及び第2の半導体チップを含むチップ積層体を有する半導体装置であって、
前記第1及び第2の半導体チップのそれぞれが、
半導体基板と、
前記半導体基板の第1の面に設けられた回路素子層と、
前記回路素子層の表面に設けられた第1の表面絶縁層と、
前記半導体基板の前記第1の面の反対側に位置する前記半導体基板の第2の面に設けられた第1の裏面絶縁層と、
前記第1の裏面絶縁層の面のうち、前記半導体基板と接触する面とは反対側に位置する面に設けられ、前記第1の裏面絶縁層と異なる絶縁物質を含む第2の裏面絶縁層と、
前記半導体基板を貫通する貫通電極と、
前記貫通電極に接続された表面電極と、を有し、
前記第1の表面絶縁層は、前記表面電極を露出する開口部を備えたことを特徴とする半導体装置。

<相違点>
本願発明では、「前記表面電極は、前記第1の表面絶縁層から離れている」のに対し、引用発明には、その旨の特定がされていない。


5.判断
そこで、上記相違点について検討する。

半導体チップが貫通電極を有するか否かに関わらず、半導体チップの表面に設けられ、バンプを露出する開口部を備える絶縁層と、当該開口部の内部に設けられ、絶縁層を貫通して絶縁層の表面から突出するように設けられるバンプとの関係について、バンプを絶縁層から離れたものとすることは、原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-64812号公報(第2絶縁膜4と金属バンプ6の関係。段落【0037】、【0041】、図1を参照。)、特開平10-233399号公報(上層の表面保護膜4bとバンプ電極7の関係。段落【0026】ないし【0027】、【0078】ないし【0087】、図1、図23ないし図30を参照。)、特開平11-87404号公報(応力低減層18と半田接合部30の関係。段落【0014】ないし【0015】、図2を参照。)、特開2011-82450号公報(カバー層87と表面バンプ85の関係。段落【0066】、図4、図16参照。)及び特開2009-129953号公報(絶縁膜8と接続用バンプ10,11の関係。段落【0022】、【0026】、図11ないし図13を参照。)に記載されているように周知の技術事項である。
よって、引用発明のバンプ(突起電極)12および表面側絶縁膜13に、周知技術を適用して相違点の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

念のため、本願発明の「前記表面電極は、前記第1の表面絶縁層から離れている」事項について、製造方法の点からも検討する。
本願の発明の詳細な説明の段落【0123】ないし【0125】には、めっき用レジスト膜155の開口部156に表面電極本体153を形成し、めっき用レジスト膜155を除去することで、第2の表面電極69を形成し、開口部156が、第1の表面絶縁層65の開口部131よりも小さいこと(図5参照)により、(本願発明の表面電極に対応する)第2の表面電極69が(本願発明の第1の表面絶縁層に対応する)第1の表面絶縁層65から離れているように、製造するものであることが示されている。
ここで、上記特開平10-233399号公報(段落【0078】ないし【0087】、図23ないし図30を参照。)には、フォトレジストパターン9b1を用いてはんだバンプ7aを形成し、フォトレジストパターン9b1を除去することで、バンプ電極7を形成し、フォトレジストパターン9b1の開口が、ポリイミド樹脂等からなる上層の表面保護膜4bの開口部8よりも小さいこと(図26参照)により、バンプ電極7が上層の表面保護膜4bから離れたものとされることが示されており、絶縁層が有する開口部よりも小さな開口部を有するレジスト膜を用いてバンプを形成することにより、バンプを絶縁膜から離れたものとすることは、一般的に用いられる手法に過ぎない。
そうすると、引用発明のバンプ(突起電極)12を形成する手法として、当該一般的な手法を用いることにより、バンプ(突起電極)12を表面側絶縁膜13から離れたものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

なお、審判請求人は、審判請求書において、「引用文献1及び2と引用文献5?7を組み合わせるべき動機付けはなく、そのような示唆もない。そもそも、引用文献5?7は貫通電極とは無関係な発明である。」及び「引用文献8及び9には、互いに異なる絶縁材料からなる「第1の裏面絶縁層」と「第2の裏面絶縁層」によってチップの裏面を覆う点については記載されていない。つまり、各引用文献には、本発明が規定する各要素がバラバラに開示されているだけであり、これらをいとも簡単に組み合わせ可能であるとする認定は、当たらないものと思料する。」という旨を主張している。
しかし、引用発明におけるバンプ(突起電極)12は、表面側絶縁膜13の開口部の内部に設けられ、表面側絶縁膜13を貫通して表面側絶縁膜13の表面から突出するように設けられているものであり、当該バンプ(突起電極)12が設けられた半導体チップと他の半導体チップとの間の電気的な接続を行う機能を有するものである。
また、上述したとおり、半導体チップが貫通電極を有するか否かに関わらず、半導体チップの表面に設けられ、バンプを露出する開口部を備える絶縁層と、当該開口部の内部に設けられ、絶縁層を貫通して絶縁層の表面から突出するように設けられるバンプとの関係について、バンプを絶縁層から離れたものとすることは、周知技術であり、当該周知技術においても、バンプは、バンプが設けられた半導体チップと他の装置との間の電気的な接続を行う機能を有するものである。そして、当該機能は、バンプが、開口部の内部に設けられ、絶縁層を貫通して絶縁層の表面から突出するように設けられることにより達成されるものであって、半導体チップにおける貫通電極の有無や半導体チップの裏面の第1の裏面絶縁層及び第2の裏面絶縁層の有無に依存するものではない。
してみると、引用発明のバンプ(突起電極)12も、上記周知技術のバンプも、バンプが設けられた半導体チップと他の装置との間の電気的な接続を行うという共通の機能を有するものであり、引用発明のバンプ(突起電極)12および表面側絶縁膜13に、上記周知技術を適用する動機付けが存在するといえる。また、引用発明のバンプ(突起電極)12および表面側絶縁膜13に、上記周知技術を適用することに、特段の阻害要因は存在しない。
よって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。

そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は、引用発明と周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明および周知の技術事項により当業者が容易になし得たものである。


6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-05-09 
結審通知日 2018-05-15 
審決日 2018-05-29 
出願番号 特願2011-128249(P2011-128249)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 東 昌秋
森川 幸俊
発明の名称 半導体装置及びその製造方法  
代理人 鷲頭 光宏  
代理人 黒瀬 泰之  
代理人 緒方 和文  

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