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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1345454 |
審判番号 | 不服2017-13074 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-05 |
確定日 | 2018-10-25 |
事件の表示 | 特願2016- 99178号「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 2日出願公開、特開2017- 23702号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年7月24日に出願した特願2015-146775号の一部を平成28年5月18日に新たな特許出願(特願2016-99178号)としたものであって、平成29年3月24日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年5月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年6月8日付け(発送日:平成29年6月13日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年9月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、平成29年5月26日付けの手続補正と本件補正の、特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ以下の通りである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Sは、分説するために当審にて付した。)。 (補正前:平成29年5月26日付け手続補正) 「【請求項1】 複数の構造体と、 複数の発光手段と、 駆動可能な第一の駆動手段と、 可動体と、 表示手段と、 を備えた遊技台であって、 前記可動体は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第一の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第二の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動することがない手段であり、 前記複数の構造体のうちの1つ(以下、「第一の構造体」という。)は、前記第一の発光手段からの光を通す構造体であり、 前記第一の構造体は、前記第二の発光手段からの光を通す構造体であり、 第一の状態において、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通し、 前記第一の発光手段は、前記可動体に設けられた発光手段であり、 前記可動体は、第一の位置に位置することが可能な可動体であり、 前記可動体は、前記第一の位置と前後方向に重ならない位置(以下、「第二の位置」という。)に位置することが可能な可動体であり、 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、前記第一の状態になる場合があり、 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能であり、 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記表示手段にオーバーラップして前記装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能である、 ことを特徴とする遊技台。」 (補正後:本件補正である平成29年9月5日付け手続補正) 「【請求項1】 A 複数の構造体と、 B 複数の発光手段と、 C 駆動可能な第一の駆動手段と、 D 可動体と、 E 表示手段と、 を備えた遊技台であって、 F 前記可動体は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 G 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第一の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 H 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第二の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動することがない手段であり、 I 前記複数の構造体のうちの1つ(以下、「第一の構造体」という。)は、前記第一の発光手段からの光を通す構造体であり、 J 前記第一の構造体は、前記第二の発光手段からの光を通す構造体であり、 K 第一の状態において、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通し、 L 前記第一の発光手段は、前記可動体に設けられた発光手段であり、 M 前記可動体は、第一の位置に位置することが可能な可動体であり、 N 前記可動体は、前記第一の位置と前後方向に重ならない位置(以下、「第二の位置」という。)に位置することが可能な可動体であり、 O 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、前記第一の状態になる場合があり、 P 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の一部が前記第一の構造体の一部にオーバーラップされ、 Q 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記第一の構造体と離間し、 R 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記第一の構造体と前後方向に重ならず、 S 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記表示手段にオーバーラップして該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能である、 ことを特徴とする遊技台。」 2 補正の適否 本件補正の、「前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能であり、」を「前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の一部が前記第一の構造体の一部にオーバーラップされ、」とする補正は、例えば、「光を通す構造体」である「第一の構造体」が完全に透明なものであることにより、「前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の一部が前記第一の構造体の一部にオーバーラップされ」ても「可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが」「可能」である場合を含むように拡張されることとなった。そして、この補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りようでない記載の釈明の、いずれを目的とするものでもない。 したがって、この補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3 独立特許要件について しかしながら、事案に鑑み、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記1の本件補正の内容において示したとおりのものである。 (2)引用文献に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-47465号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア 「【0007】 すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、可動体の動作により興趣を向上し得る遊技機を提供することを目的とする。 ・・・ 【0020】 (遊技盤Mについて) 本実施例では、所定板厚の略矩形状に形成された木材板の表面に各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート(図示せず)等を貼付けて装飾した板状部材20と、該板状部材20の裏側に着脱自在に取り付けられる設置部材21とから遊技盤Mが構成されている。板状部材20の表面には、図2?図4,図6に示す如く、略円形状に湾曲形成された案内レール22が配設され、該案内レール22によってパチンコ球が流下可能な遊技領域23が画成されている。なお、前記図柄表示装置18は、設置部材21の裏側に取り付けられて、後述するように該設置部材21に設けた開口部21aおよび後述する枠状装飾部材31に設けた開口部31aを介して板状部材20の前側に臨むよう構成される。 ・・・ 【0033】 (第1構成部材42について) 実施例の枠状装飾部材31では、該枠状装飾部材31における開口部31aの上部中央から左側で前記球導入部36までの領域において、複数の構成部材42,43,44,45,46,47が前記枠状基部32に対して着脱自在に配設されており、これら複数の構成部材42,43,44,45,46,47によって、当該領域において庇状部33や台板部34を形成すると共に、前記枠側遊技領域41を画成するようになっている。枠状基部32には、図7に示す如く、該枠状基部32の前端縁から内側(装着口27の前側)に延出する光透過性(透明)の取着盤部48が設けられ、該取着盤部48に、第1?第6構成部材42,43,44,45,46,47が着脱自在に配設されている。具体的に、取着盤部48に配設される第1構成部材42には、図7,図8に示す如く、庇状部33における前記転動面33aの略中央から左側の所定領域までの部分を構成する第1庇状部分42aが形成されると共に、該第1構成部材42には前記段部33bが形成されている。また第1構成部材42には、第1庇状部分42aにおける右端部から段部33bまでの間の領域において台板部34を構成する第1台板部分42bが第1庇状部分42aの後縁から外方に延出するよう形成されている。すなわち、第1構成部材42を取着盤部48に配設することで、第1庇状部分42aが板状部材20の前面より前方に突出すると共に、該第1庇状部分42aの後縁から外方に延出する第1台板部分42bの取着盤部48の外縁から外方に延出する部分が板状部材20における装着口27の開口縁前面(左上部開口部27bの開口縁前面)に当接するよう構成される。そして、第1台板部分42bの前側に、遊技領域23(第2球流下経路23b)が形成されるようになっている。なお、第1構成部材42には、第1庇状部分42aの前縁から内方に延出する第1装飾部42cが設けられており、該第1装飾部42cと前記上部装飾部品38とによって画成される開口部31aの上部領域には、図2,図3,図4に示す如く、左右方向の中央部から左側および右側に向かうにつれて下側に変位する略山形の凹部が画成されるようになっている。また、第1構成部材42は、全体が光透過性に構成されて、後述するLED51a,122aからの光によって明輝して光演出可能に構成されている。 【0034】 (第2構成部材43について) 前記取着盤部48に配設される第2構成部材43は、該取着盤部48に配設された第1構成部材42の第1庇状部分42aにおける段部33bから下端までの間の領域において該第1庇状部分42aの後縁に接続して外方に延出する第1遊技領域形成部分43aを備えている。この第2構成部材43は、第1遊技領域形成部分43aが前記装着口27(左上部開口部27b)の前側に位置して、該第1遊技領域形成部分43aの前側に枠側遊技領域41が形成される。そして、第1遊技領域形成部分43aにおける取着盤部48の外縁から外方に延出して板状部材20における装着口27の開口縁前面(左上部開口部27bの開口縁前面)に当接する部分が、前記台板部34を構成するようになっている。また、第1遊技領域形成部分43aの前面に、複数(実施例では2つ)の第1変更部(変更部)43bが突設されており、該第1遊技領域形成部分43aの前面(枠側遊技領域41)を流下するパチンコ球が該第1変更部43bに接触することで、該パチンコ球の流下方向(移動方向)が変更されるよう構成される。実施例では、2つの第1変更部43b,43bは、前記第1構成部材42の第1庇状部分42aとの間、および両第1変更部43b,43bの間の夫々に、パチンコ球の通過を許容する隙間をあけた状態で第1遊技領域形成部分43aに突設されている。第2構成部材43は、全体が光透過性に構成されて、後述するLED51a,122aからの光によって明輝して光演出可能に構成されている。 【0035】 (第3構成部材44について) 前記取着盤部48に配設される第3構成部材44は、該取着盤部48に配設された第1構成部材42における第1庇状部分42aの下端縁に接続して庇状部33の一部を構成する第2庇状部分44aが形成されている。また第3構成部材44は、第2庇状部分44aの後縁から外方に延出する第2遊技領域形成部分44bが形成されており、該第2遊技領域形成部分44bが前記第2構成部材43の第1遊技領域形成部分43aの下端縁に接続されている。この第3構成部材44は、第2遊技領域形成部分44bが前記装着口27(左上部開口部27b)の前側に位置して、該第2遊技領域形成部分44bの前側に枠側遊技領域41が形成される。そして、第2遊技領域形成部分44bにおける取着盤部48の外縁から外方に延出して板状部材20における装着口27の開口縁前面(左上部開口部27bの開口縁前面)に当接する部分が、前記台板部34を構成するようになっている。第3構成部材44には、第2庇状部分44aの前縁から内方に延出する第2装飾部44cが設けられている。なお、第3構成部材44は、全体が非光透過性に構成されている。 ・・・ 【0043】 (発光装置49について) 前記取着盤部48の裏側に、前記第2構成部材43、第4構成部材45および第6構成部材47を裏側から照明可能な発光装置49が配設されている。この発光装置49は、図7,図8に示す如く、基板ケース50と、該基板ケース50に収容され、前面に光を照射するLED51a(発光手段)が複数実装された発光基板51とを備え、基板ケース50が取着盤部48の裏側に着脱自在に配設されている。前記第2構成部材43の裏側に、乱反射処理が施された第1光拡散部材52が配設されると共に、該第1光拡散部材52と第2構成部材43との間に第1光拡散シート53が前後に重なった状態で配設されている。そして、前記発光基板51に実装されて第2構成部材43の後側に位置する複数のLED51aの光が、第1光拡散部材52に向けて照射されるよう構成してある。また、前記取着盤部48における第4構成部材45?第6構成部材47の配設領域に対応する裏側に、乱反射処理が施された第2光拡散部材54が配設されると共に、該第2光拡散部材54と取着盤部48との間に第2光拡散シート55が前後に重なった状態で配設されている。そして、前記発光基板51に実装されて第4構成部材45および第6構成部材47の後側に位置する複数のLED51aの光が、第2光拡散部材54に向けて照射されるよう構成してある。」 イ 「【0050】 (可動演出装置66について) 前記設置部材21の背面板64における開口部21aの上側に臨む上面部64aに、所定の演出動作を行う複数の可動体67,68,69,70を備えた可動演出装置66が配設されている。実施例の可動演出装置66は、後述する索条体96によって上下方向に高低差がある上方の第1位置と下方の第2位置との間を上下に往復移動する主可動体67と、該主可動体67に対して従動的に移動する複数(実施例では2つ)の従動可動体68,69と、主可動体67に配設されて該主可動体67に対して独立して動作可能な副可動体70とを備え、主可動体67と従動可動体68,69および主可動体67を動作させる第1駆動モータ88が配設された固定部としての装置本体72が、前記上面部64aに着脱自在に配設されている。 【0051】 (可動体67,68,69,70の全体構成について) 前記主可動体67および2つの従動可動体68,69は、主可動体67が第1位置に位置する状態で、これら複数の可動体67,68,69が前後方向に相互に重なって前側に露出する面積が最小となる待機形態(図9(a),図11参照)と、主可動体67が第2位置に位置する状態で、これら複数の可動体67,68,69が上下方向に変位して前側に露出する面積が最大となる作動形態(図9(b),図12参照)とに変化し得るよう構成される。また、副可動体70は、後述するが、主可動体67から外側方に延出する待機姿勢と、主可動体67の後述する意匠部73を側方から下方にかけて囲むように位置する作動姿勢とに変位するよう構成されている。そして、主可動体67が第1位置に位置すると共に副可動体70が待機姿勢となっている状態で、これら可動体群が前記枠状装飾部材31の後側に一部重なり、該枠状装飾部材31の開口部31a(具体的には中央上部の凹部分)に、可動体群の一部が臨んで板状部材20の前側から一部が視認可能に構成されている(図2参照)。これに対し、主可動体67が第2位置に位置すると共に副可動体70が作動姿勢となっている状態で、複数の可動体67,68,69,70が上下方向に略連なって全ての可動体67,68,69,70が開口部31aに臨んで、可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となるようにしてある(図3参照)。なお、実施例では、主可動体67が第1位置に位置する状態で副可動体70が待機姿勢となり、主可動体67が第2位置に位置する状態で副可動体70が作動姿勢となるように該副可動体70が動作するよう構成されており、以後の説明において可動体群の待機形態とは副可動体70が待機姿勢となっている状態を含み、可動体群の作動形態とは副可動体70が作動姿勢となっている状態を含む意味で用いる場合がある。 【0052】 また、前記主可動体67が第1位置に位置する可動体群の待機形態で最前部に位置する第1従動可動体68は、図11に示す如く、前記枠状装飾部材31の装着口27に収容されている。具体的には、第1従動可動体68は、装着口27における上部開口部27b,27cに収容されて、後述するように枠状装飾部材31に配設された前記上部装飾部品38、第1構成部材42、第2構成部材43および第3構成部材44の後側に重なるように位置するよう構成される。より具体的には、第1構成部材42の第1装飾部42c、第2構成部材43の第1遊技領域形成部分43a、第3構成部材44の第2装飾部44cの後側に第1従動可動体68が重なるようになっている(図2参照)。また、主可動体67が第2位置に位置する作動姿勢では、実施例では主可動体67、第2従動可動体69は全体が開口部31aに臨んで前側から視認可能になるのに対し、第1従動可動体68は、一部が前記第1構成部材42の第1装飾部42cおよび第3構成部材44の第2装飾部42cの後側に重なって、後述LED122aの光によって各装飾部42c,44cを裏側から照明し得るよう構成されている(図3参照)。なお、可動体群の待機形態における副可動体70は、上部装飾部品38の後側に重なって隠れるようになっている。」 ウ 「【0062】 (主可動体67について) 前記主可動体(可動体)67は、可動体本体をなす基体81に、前記スライド部82および意匠部73が設けられている。具体的には、基体81は、図15,図16に示す如く、平面視においてクランク状に形成されており、前記スライダ75の前側に位置する第1基部81aの裏面に、前記スライド部82が配設されて、該スライド部82がスライダ75に対して上下方向にスライド自在に支持されている。また、スライド部82には、スライダ75に配設した第2案内ギヤ79に噛合する第2ラック部(ラック部)82bが上下方向に延在するよう設けられており、主可動体67は、第2ラック部82bが第2案内ギヤ79に噛合した状態でスライダ75に対して上下方向にスライドするよう構成される。更に、スライド部82には、左側面の下端部に、外側方に延出する連結片82cが設けられ、該連結片82cに後述する索条体96の取着体96bが連結されるようになっている。なお、連結片82cに対する索条体96における取着体96bの連結部は、該連結片82cにおける前記スライダ75のスリット75fから外方に延出する端部に設定されており、該連結片82cに連結されている索条体96は、主可動体67の上下動に際してスライダ75の左外側方を上下方向に移動するよう構成される。 ・・・ 【0091】 前記第1従動可動体68の第1意匠本体117における裏側には、前面に複数のLED(発光手段,可動体側発光手段)122aを実装した第1従動用発光基板122が配設されており、該LED122aを発光することによって第1意匠本体117を裏側から照明して前記光透過部117aを明輝させ得るよう構成されている。前記主可動体67が第1位置に位置する待機形態において、可動体群の最前部に位置する第1従動可動体68の第1意匠本体117における光透過部117aの一部は、前記上部装飾部品38、第1構成部材42、第2構成部材43および第3構成部材44の後側に重なるように位置しており(図2参照)、該光透過部117aをLED122aの光によって明輝することで、該上部装飾部品38、第1構成部材42、第2構成部材43および第3構成部材44を裏側から間接的に照明し得るよう構成されている。なお、待機形態(待機位置)における第1従動可動体68の光透過部117aと第2構成部材43とのより具体的な関係は、第1従動可動体68の光透過部117aが、第2構成部材43において前記遊技領域形成部40の一部を構成する第1遊技領域形成部分43aの後側に重なるように位置しており、第1従動可動体68に設けたLED122aによって、第1遊技領域形成部分43aの前側(枠側遊技領域41)を流下するパチンコ球を照明し得るようになっている。 【0092】 (第2従動可動体69について) 前記可動体支持部材116に、前記第2従動可動体(別の可動体)69が回転自在に枢支されている。この第2従動可動体69は、図15に示す如く、前述したようにドクロの顔部を模した第2意匠本体123と、該第2意匠本体123の長手方向の一端から外方に延出する延出支持片124とを備え、該延出支持片124の延出端が前記軸ピン120を介して可動体支持部材116に回転自在に枢支されている。すなわち、可動体支持部材116に対して第1従動可動体68と第2従動可動体69とは同軸上に回転自在に支持されている。なお、第2意匠本体123は光透過性の部材であって、非光透過性のメッキを施すことで、該メッキが施されていない光透過部123aを所要のデザインで形成してある。」 エ 「【0119】 前記パチンコ機10では、前記図柄表示装置18で行われる図柄変動演出や大当り演出に応じて、前記枠状装飾部材31に設けられた発光基板39,51のLED51aや前記可動演出装置66に設けられたLED122aが発光されたり点滅されて、枠状装飾部材31や可動演出装置66で実行される発光演出により遊技の興趣が向上される。特に、図11に示す如く、可動体群を待機形態(主可動体67の第1位置)に保持している可動演出装置66では、最前部に位置する前記第1従動可動体68に配設した第1従動用発光基板122のLED122aを発光することで、第1従動可動体68の光透過部117aを通して光が枠状装飾部材31に照射されるので、発光演出効果を向上することができる。また、可動演出装置66の可動体群が動作することで、図柄表示装置18の表示部18aで実行されている図柄変動演出や大当り演出との関係でより遊技の興趣が向上される。」 オ 上記イには、「高低差がある上方の第1位置と下方の第2位置との間を上下に往復移動する主可動体67と、該主可動体67に対して従動的に移動する複数(実施例では2つ)の従動可動体68,69と、・・・を備え、・・・主可動体67を動作させる第1駆動モータ88が配設され」(【0050】)と記載されている。ここで、従動可動体68、69は、主可動体67に対して「従動的に移動」することから、第1駆動モータ88の駆動によって移動するものである。よって、引用文献1には、「主可動体67と従動可動体68、69は、第1駆動モータ88の駆動によって、移動可能」であることが記載されている。 カ 上記ウには、「第1従動可動体68の第1意匠本体117における裏側には、前面に複数のLED(発光手段,可動体側発光手段)122aを実装した第1従動用発光基板122が配設されて」(【0091】)いることが記載されており、また、上記オから、「主可動体67と従動可動体68、69は、第1駆動モータ88の駆動によって、移動可能」であることから、引用文献1には、「LED122aは第1従動可動体68に設けられたものであり」、「LED122aは、第1駆動モータ88の駆動によって、移動する主可動体67と従動可動体68、69の移動に伴い移動可能であ」ることが記載されている。 キ 上記アには、「枠状基部32には、・・・光透過性(透明)の取着盤部48が設けられ」(【0033】)ていることが記載され、また、「取着盤部48の裏側に、前記第2構成部材43・・・を裏側から照明可能な発光装置49が配設されている。この発光装置49は、図7,図8に示す如く、・・・前面に光を照射するLED51a(発光手段)が複数実装された発光基板51とを備え・・・ている」(【0043】)と記載されていることから、引用文献1には、「LED51aが、枠状基部32に設けられた光透過性(透明)の取着盤部48の裏側に取り付けられている」ことが記載されている。 ク 上記オに加え、「主可動体67が第1位置に位置する状態・・・と、主可動体67が第2位置に位置する状態・・・とに変化し得るよう構成される。」(【0051】)と記載されている。よって、引用文献1には、「主可動体67は第1位置に位置することがあり」、また「主可動体67は第1位置とは異なる第2位置に位置することがあ」ることが記載されている。 ケ 上記アには、「第3構成部材44は、全体が非光透過性に構成されている。」(【0035】)と記載されている。上記イには、「主可動体67が第1位置に位置する可動体群の待機形態で最前部に位置する第1従動可動体68は、・・・第1構成部材42、第2構成部材43および第3構成部材44の後側に重なるように位置するよう構成される。・・・(図2参照)。・・・主可動体67が第2位置に位置する作動姿勢では、・・・第1従動可動体68は、一部が前記第1構成部材42の第1装飾部42cおよび第3構成部材44の第2装飾部42cの後側に重なって、後述LED122aの光によって各装飾部42c,44cを裏側から照明し得るよう構成されている(図3参照)。」(【0052】)と記載され、主可動体67が第1位置に位置する場合に、従動可動体68が第2構成部材43及び第3構成部材44と重なると記載されており、主可動体67が第2位置に位置する場合に、主可動体67、従動可動体68、69が第2構成部材43と重なるとの記載がない。そして、【図2】では、従動可動体68の一部が第2構成部材43の一部および第3構成部材44の一部と重なっており、【図3】では、主可動体67、従動可動体68、69が第2構成部材43と前後方向で重なっておらず、離間していることが見て取れる。さらに上記ウには、「主可動体67が第1位置に位置する待機形態において、可動体群の最前部に位置する第1従動可動体68の第1意匠本体117における光透過部117aの一部は、・・・第2構成部材43および第3構成部材44の後側に重なるように位置しており(図2参照)、該光透過部117aをLED122aの光によって明輝することで、・・・第2構成部材43および第3構成部材44を裏側から間接的に照明し得るよう構成されている。」(【0091】)と記載されている。よって、引用文献1には、「主可動体67が第1位置に位置する場合に、従動可動体68の第1意匠本体117の一部が第2構成部材43の一部および非光透過性の第3構成部材44の一部と重なり」、「主可動体67が第1位置に位置する場合に、主可動体67と従動可動体68、69が第2構成部材43と前後方向で重ならず、離間して」いることが記載されているといえる。 コ 上記ウには、「第1従動可動体68の第1意匠本体117における裏側には、前面に複数のLED(発光手段,可動体側発光手段)122aを実装した第1従動用発光基板122が配設されており、・・・主可動体67が第1位置に位置する待機形態において、可動体群の最前部に位置する第1従動可動体68の第1意匠本体117における光透過部117aの一部は、・・・第2構成部材43および第3構成部材44の後側に重なるように位置しており(図2参照)、該光透過部117aをLED122aの光によって明輝することで、・・・第2構成部材43および第3構成部材44を裏側から間接的に照明し得るよう構成されている。」(【0091】)と記載さている。一方、上記アには、「第2構成部材43の裏側に、乱反射処理が施された第1光拡散部材52が配設されると共に、該第1光拡散部材52と第2構成部材43との間に第1光拡散シート53が前後に重なった状態で配設されている。そして、前記発光基板51に実装されて第2構成部材43の後側に位置する複数のLED51aの光が、第1光拡散部材52に向けて照射されるよう構成してある。」(【0043】)、「第2構成部材43は、全体が光透過性に構成されて、後述するLED51a,122aからの光によって明輝して光演出可能に構成されている。」(【0034】)と記載されている。加えて、上記エには、「図柄表示装置18で行われる・・・演出に応じて、・・・LED51aや・・・LED122aが発光されたり点滅され」(【0119】)と記載されているから、引用文献1には、「主可動体67が第1位置に位置する状態で、従動可動体68の一部が第2構成部材43の一部に重なり、その際LED122aは、第2構成部材43を、裏側から照明し得るように構成されるとともに、第2構成部材43の後側に位置する複数のLED51aの光が、第2構成部材43の裏側に配設された第1光拡散部材52に向けて照射されるよう構成され、図柄表示装置18で行われる演出に応じて、LED51aやLED122aが発光されたり点滅され、LED51a,122aからの光によって第2構成部材43を明輝させて光演出可能とされ」ることが記載されている。 サ 上記イには、「主可動体67が第2位置に位置する・・・状態で、複数の可動体67,68,69,70が上下方向に略連なって全ての可動体67,68,69,70が開口部31aに臨んで、可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となる」(【0051】)と記載されている。また、上記ウの「主可動体(可動体)67は、・・・意匠部73が設けられている。」(【0062】)、「第1従動可動体68の第1意匠本体117」(【0091】)、「第2従動可動体69は、・・・第2意匠本体123・・・を備え」(【0092】)との記載から、「意匠部73」、「第1意匠本体117」、「第2意匠本体123」は、それぞれ「主可動体67」、「従動可動体68」、「従動可動体69」が備える部材であると認められるが、【図9】から、「主可動体67」が第2位置に位置する場合に、これらの意匠部、意匠本体が前側から視認可能な状態となっていることが見て取れる。さらに、上記アに、「図柄表示装置18は、設置部材21の裏側に取り付けられて、・・・枠状装飾部材31に設けた開口部31aを介して板状部材20の前側に臨む」(【0020】)と記載されている。よって、引用文献1には、「主可動体67が第2位置に位置する場合に、主可動体67と従動可動体68、69が、図柄表示装置18を視認させるための開口部31aに臨み、可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となり、主可動体67の意匠部73、従動可動体68の第1意匠本体117、従動可動体69の第2意匠本体123が前側から視認可能な状態となる」ことが記載されている。 シ 【図9】、【図15】から、「主可動体67の意匠部73」、「従動可動体68の第1意匠本体117」、及び「従動可動体69の第2意匠本体123」のそれぞれついて、ほとんど全てが視認可能となっていることが見て取れる。 上記ア?エの記載事項及び上記オ?サの認定事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?sは、本件補正発明のA?Sに対応させて付与した。)。 「a 複数の構成部材42、43、44と、(【0033】) b LED51a,122aと、(【0033】) c 第1駆動モータ88と、(【0050】) d 主可動体67と、主可動体67に対して従動的に移動する従動可動体68、69と、(【0050】) e 図柄表示装置18、(【0020】) を備えた遊技機であって、 f 主可動体67と従動可動体68、69は、第1駆動モータ88の駆動によって、移動可能であり、(上記オ) g LED122aは、第1駆動モータ88の駆動によって、移動する主可動体67と従動可動体68、69の移動に伴い移動可能であり、(上記カ) h LED51aが、枠状基部32に設けられた光透過性(透明)の取着盤部48の裏側に取り付けられており、(上記キ) i、j 第2構成部材43は、全体が光透過性に構成されて、LED51a,LED122aからの光によって明輝して光演出可能であり、(【0034】) k、o 主可動体67が第1位置に位置する状態で、従動可動体68の一部が第2構成部材43の一部に重なり、その際LED122aは、第2構成部材43を、裏側から照明し得るように構成されるとともに、第2構成部材43の後側に位置する複数のLED51aの光が、第2構成部材43の裏側に配設された第1光拡散部材52に向けて照射されるよう構成され、図柄表示装置18で行われる演出に応じて、LED51aやLED122aが発光されたり点滅され、LED51a,122aからの光によって第2構成部材43を明輝させて光演出可能とされ、(上記コ) l LED122aは従動可動体68に設けられたものであり、(上記カ) m 主可動体67は第1位置に位置することがあり、(上記ク) n 主可動体67は第1位置とは異なる第2位置に位置することがあり、(上記ク) p 主可動体67が第1位置に位置する場合に、従動可動体68の第1意匠本体117の一部が第2構成部材43の一部および非光透過性の第3構成部材44の一部と重なり、(上記ケ、【図2】) q、r 主可動体67が第2位置に位置する場合に、主可動体67と従動可動体68、69が第2構成部材43と前後方向で重ならず、離間しており、(上記ケ、【図3】) s 主可動体67が第2位置に位置する場合に、主可動体67と従動可動体68、69が、図柄表示装置18を視認させるための開口部31aに臨み、可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となり、主可動体67の意匠部73、従動可動体68の第1意匠本体117、従動可動体69の第2意匠本体123が前側から視認可能な状態となる、(上記サ、【図9】) 遊技機。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(s)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。 (a)?(g) 引用発明の構成a?gの「複数の構成部材42、43、44」、「LED51a,122a」、「第1駆動モータ88」、「主可動体67と従動可動体68、69」、「図柄表示装置18」、「LED122a」は、それぞれ、本願補正発明の構成A?Gの「複数の構造体」、「複数の発光手段」、「第一の駆動手段」、「可動体」、「表示手段」、「第一の発光手段」に相当する。そうすると、引用発明の構成a?gは、本願補正発明の構成A?Gに相当する。 (h) 引用発明の構成hにおいて、「枠状基部32に設けられた光透過性(透明)の取着盤部48」が移動しないものであることは明らかであるから、該「取着盤部48の裏側に取り付けられ」た「LED51a」が、本願補正発明の「第一の駆動手段」に相当する「第1駆動モータ88」によって移動することがないことも明らかである。そうすると、引用発明の構成hの「LED51a」は本願補正発明の構成Hの「第二の発光手段」に相当し、よって、引用発明の構成hは、本願補正発明の構成Hに相当する。 (i)、(j) 引用発明の構成i、jの「第2構成部材43」は、全体が光透過性であって、本願補正発明の「第一の発光手段」、「第二の発光手段」に相当する「LED122a」、「LED51a」からの光によって明輝する、すなわち、両方の光を通すものであるから、本願補正発明の構成I、構成Jの「第一の構造体」に相当する。よって、引用発明の構成i、jは、本願補正発明の構成I、構成Jに相当する。 (k) 主可動体67が第1位置に位置する状態では、従動可動体68は第2構成部材43の一部に重なっており、重なっている部分では第2構成部材43はLED122aの光を透過し、重なっていない部分では第2構成部材43は第1光拡散部材52を介してLED51aの光を透過することとなる。したがって、本願補正発明の構成Kの「第一の状態において、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通」すことと、引用発明の構成k、oの「主可動体67が第1位置に位置する状態で、従動可動体68の一部が第2構成部材43の一部に重なり、その際LED122aは、第2構成部材43を、裏側から照明し得るように構成されるとともに、第2構成部材43の後側に位置する複数のLED51aの光が、第2構成部材43の裏側に配設された第1光拡散部材52に向けて照射される」こととは、「前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通すことが可能な状態があ」る点で共通する。 (l) 引用発明の構成lにおいて、本願補正発明の「第一の発光手段」に相当する「LED122a」は、本願補正発明の「可動体」に相当する「主可動体67と従動可動体68、69」の一部である「第1従動可動体68」に設けられているから、引用発明の構成lは本願補正発明の構成Lに相当する。 (m)(p) 本願補正発明の「可動体」に相当する引用発明の「主可動体67と従動可動体68、69」の一部である「従動可動体68の第1意匠本体117」は、「主可動体67が第1位置に位置する場合に」、本願補正発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43」に一部重なる、即ちオーバーラップされることから、引用発明の構成m、pにおける「主可動体67が第1位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置は、本願補正発明の構成M、Pの「第一の位置」に相当する。よって引用発明の構成mは、本願補正発明の構成Mに相当し、引用発明の構成pは、本願補正発明の構成Pに相当する。 (n) 引用発明の構成nにおける「主可動体67が第2位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置は、本願補正発明の「第二の位置」に相当し、これらの位置は、「前記第一の位置とは異なる位置」である点で共通する。よって、引用発明の構成nは本願補正発明の構成Nと、「可動体は、前記第一の位置とは異なる第二の位置に位置することが可能な可動体である」点で共通する。 (o) 引用発明の構成k、oの、「主可動体67が第1位置に位置する状態」は、本願補正発明の構成Kの「可動体が前記第一の位置に位置する場合」に相当する。そして、本願補正発明の「第一の状態」では、「前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通」すから、上記(k)も踏まえると、本願補正発明の構成Oの「前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、前記第一の状態になる場合があ」ることと、引用発明の構成k、oの「主可動体67が第1位置に位置する状態で、従動可動体68の一部が第2構成部材43の一部に重なり、その際LED122aは、第2構成部材43を、裏側から照明し得るように構成されるとともに、第2構成部材43の後側に位置する複数のLED51aの光が、第2構成部材43の裏側に配設された第1光拡散部材52に向けて照射される」こととは、「前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通すことが可能な状態になる場合があ」る点で共通する。 (q)、(r) 引用発明の「主可動体67が第2位置に位置する場合」は、本願補正発明の「可動体が前記第二の位置に位置する場合」に相当する。そして、「主可動体67が第2位置に位置する場合」に、本願補正発明の「可動体」に相当する「主可動体67と従動可動体68、69」は、本願補正発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43と前後方向に重ならず離間して」いるから、引用発明の構成q、rの「主可動体67が第2位置に位置する場合に、主可動体67と従動可動体68、69が第2構成部材43と前後方向で重ならず、離間して」いることは、本願補正発明の構成Qの「前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記第一の構造体と離間」することに相当する。また、引用発明の構成q、rの「主可動体67が第2位置に位置する場合に、主可動体67と従動可動体68、69が第2構成部材43と前後方向で重ならず、離間して」いることは、本願補正発明の構成Rの「前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記第一の構造体と前後方向に重なら」ないことに相当する。 (s) 引用発明の「主可動体67が第2位置に位置する場合」は、本願補正発明の「可動体が前記第二の位置に位置する場合」に相当する。そして、引用発明の「主可動体67が第2位置に位置する場合」に、本願補正発明の「可動体」に相当する「主可動体67と従動可動体68、69」は、「図柄表示装置18を視認させるための開口部31aに臨み、可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となる」が、その場合「開口部31a」を通して視認させる「図柄表示装置18」に、「主可動体67と従動可動体68、69」がオーバラップされることは、明らかである。よって、本願補正発明の構成Sの「前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記表示手段にオーバーラップして該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能である」ことと、引用発明の構成sとは、「前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記表示手段にオーバーラップして該可動体の装飾部の外形を前方から目視で確認することが可能である」点で共通する。 そうすると、本願補正発明と引用発明とは、 「A 複数の構造体と、 B 複数の発光手段と、 C 駆動可能な第一の駆動手段と、 D 可動体と、 E 表示手段と、 を備えた遊技台であって、 F 前記可動体は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 G 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第一の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 H 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第二の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動することがない手段であり、 I 前記複数の構造体のうちの1つ(以下、「第一の構造体」という。)は、前記第一の発光手段からの光を通す構造体であり、 J 前記第一の構造体は、前記第二の発光手段からの光を通す構造体であり、 K’ 前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通すことが可能な状態があり、 L 前記第一の発光手段は、前記可動体に設けられた発光手段であり、 M 前記可動体は、第一の位置に位置することが可能な可動体であり、 N’ 前記可動体は、前記第一の位置とは異なる第二の位置に位置することが可能な可動体であり、 O’ 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通すことが可能な状態になる場合があり、 P 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の一部が前記第一の構造体の一部にオーバーラップされ、 Q’ 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記第一の構造体と離間し、 R’ 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記第一の構造体と前後方向に重ならず、 S’ 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記表示手段にオーバーラップして、該可動体の装飾部の外形を前方から目視で確認することが可能である、 ことを特徴とする遊技台。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](構成K) 本願補正発明では「第一の状態において、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通」すのに対し、引用発明では、「主可動体67が第1位置に位置する」ときに、本願補正発明の「第一の発光手段」に相当する「LED122a」と本願補正発明の「第二の発光手段」に相当する「LED51a」からの光の両方を、本願補正発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43」が透過することが可能であるものの、これらの光の両方を通しているか不明である点。 [相違点2](構成O) 本願補正発明では「可動体が前記第一の位置に位置する場合」に「第一の状態になる場合があ」るのに対し、引用発明では「主可動体67が第1位置に位置する」ときに、本願補正発明の「第一の発光手段」に相当する「LED122a」からの光と、本願補正発明の「第二の発光手段」に相当する「LED51a」からの光の両方を、本願補正発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43」が透過することが可能であるものの、本願補正発明の「第一の状態」、すなわち、「第一の発光手段からの光」と「第二の発光手段からの光」の両方を前記第一の構造体が通す状態になるか、不明である点。 [相違点3](構成N、Q、R、S) 本願補正発明の「第二の位置」は、「第一の位置」とは「前後方向に重ならない位置」であるのに対し、引用発明の「主可動体67が第2位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置は、「主可動体67が第1位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置と、一部重なる部分がある点。 [相違点4](構成S) 本願補正発明では「可動体が前記第二の位置に位置する場合に」、「該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能」であるのに対し、引用発明では、「主可動体67が第2位置に位置する場合に」、「可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となり、主可動体67の意匠部73、従動可動体68の第1意匠本体117、従動可動体69の第2意匠本体123が前側から視認可能な状態となる」点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 相違点1、2について: 上記相違点1および2は、ともに「第一の発光手段からの光」と「第二の発光手段からの光」と光を透過する「構造体」による演出に関するものである点で共通していることから、あわせて検討する。 引用発明は「図柄表示装置18で行われる演出に応じて、LED51aやLED122aが発光されたり点滅され、LED51a,122aからの光によって第2構成部材43を明輝させて光演出可能」なものである。そして、複数の光源を発光させて光演出を行う際に、光を同時に発光させる程度のことは、演出上の効果を向上させるため、「演出に応じて」適宜設定しうる単なる設計事項にすぎない。よって、「演出に応じて」「LED51a,122aからの光によって第2構成部材43を明輝させて光演出」を行う際、LED51a,122aからの両方の光によって第2構成部材43を明輝させる状態とし、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易に想到しうることと認められる。 そして、引用発明では「主可動体67が第1位置に位置する状態で」、「LED51a,122aからの光によって第2構成部材43を明輝させて光演出可能」なのであるから、引用発明において「主可動体67が第1位置に位置する状態で」、LED51a,122aからの両方の光によって第2構成部材43が明輝する場合があるようにし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことも、当業者ならば容易に想到しうることと認められる。 さらに、相違点1に関し、上記、複数の光源を発光させて光演出を行う際に、光を同時に発光させることは、単なる設計事項であることに加え、遊技機の分野において、発光態様のバリエーションとして、本願の遡及日前に周知(例えば特開2013-169406号には、「中央グループ106の各系統106a?106cを同時に発光させることで中央レンズ282全体が発光する発光演出」(【0323】)を行うことが記載されている(特開2013-135714号も同様)。また、特開2015-13169号には、「本発明は、バリエーションに富む発光パターンが実現可能である簡易な構成の発光装置を備えた遊技機を提供することにある。」(【0005】)と記載され、「第一光源41と第二光源42の両方を発光させた場合」に「第一発光領域A1は、第一光源41の光と第一発光領域A1に進入した第二光源42の光が混合した光で照らされる」(【0031】)ようにすることが記載されている(特開2014-230922号も同様)。)(以下、「周知技術1」という。)である。そして、このような発光演出が遊技の興趣を向上させるものであることは明らかである。 したがって、引用発明と周知技術1とは、遊技の興趣を向上させるという、共通の課題を解決するものである。 よって、引用発明に上記周知技術1を適用し、「LED51a,122aからの光によって第2構成部材43を明輝させて光演出」を行う際に、LED51a,122aからの両方の光によって第2構成部材43を明輝させる状態とし、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易に想到しうることと認められる。 相違点3について: 遊技機の分野において、可動体による演出を行う際に、本願補正発明の「第一の位置」に相当する「待機位置」と「前後方向に重ならない位置」との間で可動体を移動させることは、本願の遡及日前に周知(例えば特開2015-97771号には、「図柄表示装置でのインパクトのある表示演出を行」(【0006】)うために、可動体の装飾部といえる「第3可動体(可動体)35」が「状装飾体27における窓口27aの上縁部側(開口部縁部側)の待機位置(図2,図5)と、該待機位置より窓口中央側(開口部中央側)の作動位置(図6,図7,図8)との間を往復移動するよう構成」され(【0029】)、「待機位置」と「作動位置」で前後方向に重なっていない(【図2】、【図6】)ようにすることが記載されている。また、特開2010-110415号には、可動体の装飾部といえる「可動演出体24」が演出時に「退避位置Xから演出位置Yへと下降」し(【0064】)、「退避位置X」と「演出位置Y」で前後方向に重なっていない(【図11】(A)、(B))ことが記載されている。)(以下、「周知技術2」という。)である。 そして、上記周知技術2と引用発明とは、可動体を用いた演出により遊技の興趣を向上させるという点で共通するものである。 よって、引用発明の演出を行う可動体である「主可動体67と従動可動体68、69」に上記周知技術2を適用し、「主可動体67が第2位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置を、「主可動体67が第1位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置とは「前後方向に重ならない位置」とし、上記相違点3に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易に想到しうることと認められる。 相違点4について: 引用発明は、「主可動体67が第2位置に位置する場合に」、「可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となり、主可動体67の意匠部73、従動可動体68の第1意匠本体117、従動可動体69の第2意匠本体123が前側から視認可能な状態となる」ようにするものであるが、上記シで認定したように、これら意匠部のほとんど全てが視認可能となっていることが見て取れることを踏まえると、引用発明の構成sの「主可動体67が第2位置に位置する場合に」、「可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となり、主可動体67の意匠部73、従動可動体68の第1意匠本体117、従動可動体69の第2意匠本体123が前側から視認可能な状態となる」ことは、本願補正発明の構成Sの「可動体が前記第二の位置に位置する場合に」、「該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能である」ことに相当し、上記相違点4は実質的な相違点ではない。 ところで、遊技機の分野において、可動体による演出を行う際に、可動体を、「表示手段にオーバーラップ」して、「可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能」な位置に作動させることは、本願の遡及日前に周知(上記特開2015-97771号には、上記事項に加え、「作動位置」で「第3可動体35」が、「図柄表示装置17の表示部17aの前側で集合」(オーバーラップ)「するよう構成され」(【0027】、【図8】)、「作動位置」で「第3可動体35」が「外形の全てを前方から目視で確認することが可能」な位置にある(【図8】)ことが記載され、また、上記特開2010-110415号には、上記事項に加え、「演出位置Y」で「可動演出体24」が「画像表示部20」の前側で(オーバーラップし)、「可動演出体24」が外形の全てを前方から目視で確認することが可能な位置にある(【図11】(B)、(C)、(D))ことが記載されている。)(以下、「周知技術3」という。)である。 そして、上記周知技術3における可動体と引用発明の可動体とは、その動作による演出により遊技の興趣を向上させるという点で共通する機能を有するものである。 よって、仮に、上記相違点4が実質的な相違点になるとしても、引用発明の可動体による演出に当該周知技術3を適用することにより当該相違点4に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たことである。 (5)請求人の主張について ア 請求人は、平成29年9月5日付けの審判請求書の<本願発明と引用発明の対比>において、 「当該ご認定に対し、本願の出願人は、旧請求項1の「前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能であり」との記載を、「前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の一部が前記第一の構造体の一部にオーバーラップされ」との記載に変更する補正を行いました。 また、本願の出願人は、引用文献1との相違点をより明確にするために、旧請求項1の内容に、引用文献1には記載や示唆の無い発明特定事項(Q),(R)を追加する補正を行いました。これらの発明特定事項等によって特定される技術思想は、「可動体が第二の位置に位置する場合に、第一の構造体と離間し且つ該第一の構造体と前後方向に重ならない位置に移動する」といった技術思想であり、本願発明特有のものです。」 と主張している。 しかしながら、「オーバーラップ」とは、本願明細書の【0125】に、「・・・重なる(オーバーラップする)位置である」と記載されているように、「重なる」ことである。そして、引用発明は、上記第2の3(3)の(m)(p)に記載のように、「本願補正発明の「可動体」に相当する引用発明の「主可動体67と従動可動体68、69」の一部である「従動可動体68の第1意匠本体117」は、「主可動体67が第1位置に位置する場合に」、本願補正発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43」に一部重なる、即ちオーバーラップされる」ものである。 また、上記第2の3(3)のq、rに記載のように、引用発明においては、「主可動体67が第2位置に位置する場合に」、本願補正発明の「可動体」に相当する「主可動体67と従動可動体68、69」は、本願補正発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43」と離間し、前後方向で重なっていない。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 イ 請求人は、平成29年9月5日付けの審判請求書の<本願発明と引用発明の対比>において、 「引用文献1には、主可動体67及び2つの従動可動体68,69については記載があると認められますが、「可動体が第二の位置に位置する場合に、可動体が第一の位置で確認できなかった可動体の装飾部の外形の全てを確認することができるように構成する」といった技術思想については記載や示唆がありませんので、引用文献1に記載の発明のみから当業者が本願発明に容易に想到することは困難です。」 とも主張する。 しかしながら、上記第2の3(4)の「相違点4について」で検討したとおり、「可動体が第二の位置に位置する場合に、可動体が第一の位置で確認できなかった可動体の装飾部の外形の全てを確認することができるように構成する」点は、本願補正発明と引用発明における実質的な相違点ではなく、引用文献1に実質的に記載されているものと認められる。また、仮に、請求人が主張するように、その点が記載や示唆されていないとしても、上記「相違点4について」で検討したとおり、周知技術3に基づき当業者が容易に想到し得た程度のことである。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 (6)本願補正発明が奏する効果について 上記相違点1ないし4によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が引用発明及び周知技術1?3から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 (7)まとめ 以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術1?3に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 4 補正却下の決定についてのむすび よって、本件補正は、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものであるか(上記第2の2参照。)、仮にそうでないとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである(上記第2の3参照)。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年5月26日付け手続補正書により補正された、上記第2の1で補正前として示した特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである(A?O、P’、S’は、分説するために当審にて付した。)。 「A 複数の構造体と、 B 複数の発光手段と、 C 駆動可能な第一の駆動手段と、 D 可動体と、 E 表示手段と、 を備えた遊技台であって、 F 前記可動体は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 G 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第一の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 H 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第二の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動することがない手段であり、 I 前記複数の構造体のうちの1つ(以下、「第一の構造体」という。)は、前記第一の発光手段からの光を通す構造体であり、 J 前記第一の構造体は、前記第二の発光手段からの光を通す構造体であり、 K 第一の状態において、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通し、 L 前記第一の発光手段は、前記可動体に設けられた発光手段であり、 M 前記可動体は、第一の位置に位置することが可能な可動体であり、 N 前記可動体は、前記第一の位置と前後方向に重ならない位置(以下、「第二の位置」という。)に位置することが可能な可動体であり、 O 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、前記第一の状態になる場合があり、 P’ 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能であり、 S’’ 前記可動体が前記第二の位置に位置する場合に、該可動体が前記表示手段にオーバーラップして前記装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能である、 ことを特徴とする遊技台。」 2 原査定の理由の概要 拒絶査定の理由の概要は、この出願の請求項1?10に係る発明は、本願遡及日前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2015-47465号公報 3 引用文献記載の事項 引用文献の記載事項および引用文献記載の発明は、上記第2の3(2)に記載したとおりである。 4 対比 本願発明の構成A?Oは、本願補正発明の構成A?Oと同じであるから、引用発明の構成a?oと本願発明の構成A?Oの対比については、上記第2の3(3)の(a)?(o)に記載したとおりである。 本願発明の構成S’’と本願補正発明の構成Sを比較すると、本願発明は構成P’において「該可動体の装飾部」との記載があるため、構成S’’ではそれを受けて、可動体の装飾部を「前記装飾部」と記載されているものを本願補正発明では構成Sの前の構成Pでは、「該可動体の装飾部」との記載が無くなったため、構成Sで「該可動体の装飾部」と記載したもので有り、実質的に本願発明の構成S’’と本願補正発明の構成Sは、同じものである。よって、引用発明の構成sと本願発明の構成S’’との対比は、上記第2の3(3)の(s)に記載したとおりである。 引用発明の構成pの「従動可動体68の第1意匠本体117」、構成sの「主可動体67の意匠部73」、及び「従動可動体69の第2意匠本体123」を併せたものは、本願発明の構成Pの「可動体の装飾部」に相当する。そして、本願発明の構成P’の「可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能」とは、可動体の装飾部が全て隠れるなどして、どの部分も確認することが不可能と解せる場合と、可動体の装飾部の一部が隠れるなどして、全てを確認することが不可能と解せる場合とがあるが、いずれにしても、少なくとも一部が確認不可能であるから、引用発明の構成pは、本願発明の構成Pと「可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の装飾部の少なくとも一部を前方から目視で確認することが不可能」な点で共通する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、 「A 複数の構造体と、 B 複数の発光手段と、 C 駆動可能な第一の駆動手段と、 D 可動体と、 E 表示手段と、 を備えた遊技台であって、 F 前記可動体は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 G 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第一の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動可能な手段であり、 H 前記複数の発光手段のうちの1つ(以下、「第二の発光手段」という。)は、前記第一の駆動手段の駆動によって移動することがない手段であり、 I 前記複数の構造体のうちの1つ(以下、「第一の構造体」という。)は、前記第一の発光手段からの光を通す構造体であり、 J 前記第一の構造体は、前記第二の発光手段からの光を通す構造体であり、 K’ 前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通すことが可能な状態があり、 L 前記第一の発光手段は、前記可動体に設けられた発光手段であり、 M 前記可動体は、第一の位置に位置することが可能な可動体であり、 N’ 前記可動体は、前記第一の位置とは異なる位置とすることが可能な可動体であり、 O’ 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通すことが可能な状態になる場合があり、 P’’ 前記可動体が前記第一の位置に位置する場合に、該可動体の装飾部の少なくとも一部を前方から目視で確認することが不可能であり、 S’’ 前記可動体が前記第一の位置とは異なる位置の場合に、該可動体が前記表示手段にオーバーラップして、該可動体の装飾部の外形を前方から目視で確認することが可能である、 ことを特徴とする遊技台。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](構成K) 本願発明では「第一の状態において、前記第一の発光手段からの光と前記第二の発光手段からの光の両方を前記第一の構造体が通」すのに対し、引用発明では、「主可動体67が第1位置に位置する」ときに、本願発明の「第一の発光手段」に相当する「LED122a」と本願発明の「第二の発光手段」に相当する「LED51a」からの光の両方を、本願発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43」が透過することが可能であるものの、これらの光の両方を通しているか不明である点。 [相違点2](構成O) 本願発明では「可動体が前記第一の位置に位置する場合」に「第一の状態になる場合があ」るのに対し、引用発明では「主可動体67が第1位置に位置する」ときに、本願発明の「第一の発光手段」に相当する「LED122a」からの光と、本願発明の「第二の発光手段」に相当する「LED51a」からの光の両方を、本願発明の「第一の構造体」に相当する「第2構成部材43」が透過することが可能であるものの、本願発明の「第一の状態」、すなわち、「第一の発光手段からの光」と「第二の発光手段からの光」の両方を前記第一の構造体が通す状態になるか、不明である点。 [相違点3](構成P’) 本願発明では「可動体が前記第一の位置に位置する場合」に、「該可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能」であるが、引用発明では「該可動体の装飾部の少なくとも一部を前方から目視で確認することが不可能」であるものの、「外形の全てを前方から目視で確認することが不可能」であるか不明な点。 [相違点4](構成N、S’’) 本願補正発明の「第二の位置」は、「第一の位置」とは「前後方向に重ならない位置」であるのに対し、引用発明の「主可動体67が第2位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置は、「主可動体67が第1位置に位置する場合」の「主可動体67と従動可動体68、69」の位置と、一部重なる部分がある点。 [相違点5](構成S’’) 本願補正発明では「可動体」が「第二の位置」の場合に、「前記装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが可能」であるのに対し、引用発明では、「主可動体67が第2位置に位置する場合に」、「可動体群の略全体が前側から視認可能な状態となり、主可動体67の意匠部73、従動可動体68の第1意匠本体117、従動可動体69の第2意匠本体123が前側から視認可能な状態となる」点。 5 判断 相違点1、2、4、5について: 本願発明の構成A?Oおよび構成S’’は、本願補正発明の構成A?Oおよび構成Sと同じ、または実質的に同じであるから、本願発明の構成Kに係る上記相違点1、構成Oに係る上記相違点2、構成N、S’’に係る相違点4および構成S’’に係る相違点5も、本願補正発明の構成Kに係る上記相違点1、構成Oに係る上記相違点2、構成N、Sに係る相違点3および構成Sに係る相違点4と同じであり、よって、上記相違点1、2、4および5に係る判断は、上記「第2の3(4)」の相違点1?4に係る判断と同じである。 相違点3について: 上記第3の3に記載のように、本願発明の構成P’の「可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能」とは、可動体の装飾部が全て隠れるなどして、どの部分も確認することが不可能と解せる場合と、可動体の装飾部の一部が隠れるなどして、全てを確認することが不可能と解せる場合とがあるが、本願明細書の、「可動体」に相当する「落下展開役物712」について、「初期位置では、落下展開役物712のカバー手段718の正面に施された一部の装飾(本例では、キャラクタの顔)が、センター役物900のセンター役物開口部900aを通して正面から視認可能」との記載から、外形の一部が視認可能であることがわかるから、上記構成Pの「可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能」との記載から、可動体の装飾部の一部が隠れるなどして、全てを確認することが不可能であることと解せられ、したがって「該可動体の装飾部の少なくとも一部を前方から目視で確認することが不可能」であると解せられる。そして、引用発明の構成pの「従動可動体68の第1意匠本体117の一部が第2構成部材43の一部および非光透過性の第3構成部材44の一部と重な」ることは、「従動可動体68の第1意匠本体117」の少なくとも一部を前方から目視で確認することが不可能であることを意味することが明らかであるから、本願発明の構成Pの「可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能」に相当する。よって、相違点3は、実質的な相違点ではない。 ところで、可動体が本願発明の「第一の位置」に相当する待機位置において、可動体の装飾部が前方から全く確認出来ない状態とすることは、遊技機の分野において、本願の遡及日前に周知(例えば特開2008-246014号には、「遊技演出部材を備えた可動装置を配設し、遊技演出部材を図柄表示装置で行われる遊技演出に合わせて動作させることにより、視覚的な演出効果を向上させ、遊技の興趣を一層増大するように」(【0002】)すること、また、可動体である「電飾看板100」が、「遊技の進行状況に応じて、」「遊技者に視認されない」「待機位置」である「位置へ上昇移動する」(【0021】、【0053】)ことが記載されている。また、特開2014-236804号には、「可動体」が「退避位置にある場合、」、「非可動体と可動体とは、正面視で前後に重なる位置に配置され」、「非可動体によって可動体が隠れる」(【0040】)ことや、「可動体が近接位置に移動した場合には、隠れていた可動体が急に出没したかのような感覚を遊技者に与えることができる」(【0041】)ことが記載されている。)(以下、「周知技術4」という。)である。 そして、上記周知技術4における可動体と引用発明の可動体とは、その動作による演出により遊技の興趣を向上させるという点で共通する機能を有するものである。 よって、仮に上記本願発明の構成P’の「可動体の装飾部の外形の全てを前方から目視で確認することが不可能」との記載が、可動体の装飾部が全て隠れるなどして、どの部分も確認することが不可能と解せるとしても、引用発明に上記周知技術4を適用し、「主可動体67が第1位置に位置する場合」に、本願発明の「可動体」に相当する「主可動体67と従動可動体68、69」のどの部分も確認することが不可能とし、上記相違点3に係る本願発明の構成P’とすることは当業者が容易に想到することができたものである。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1?4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-08-21 |
結審通知日 | 2018-08-28 |
審決日 | 2018-09-10 |
出願番号 | 特願2016-99178(P2016-99178) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 572- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 秋山 斉昭 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
奥 直也 荒井 誠 |
発明の名称 | 遊技台 |
代理人 | 横田 一樹 |
代理人 | 佐原 雅史 |