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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1345585 |
審判番号 | 不服2017-18841 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-12-19 |
確定日 | 2018-11-01 |
事件の表示 | 特願2013-153999号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年2月5日出願公開、特開2015-23921号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年7月24日の出願であって、平成29年4月19日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年6月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年11月9日付け(発送日:平成29年11月14日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年12月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の概要 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 (補正前:平成29年6月14日付け手続補正) 「【請求項1】 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 光源からの光により演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 前記演出表示手段の前方に設けられる前方演出物と、 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 を備える ことを特徴とする遊技機。」 から、 (補正後:本件補正である平成29年12月19日付け手続補正) 「【請求項1】 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 光源からの光により演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物と、 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 を備える ことを特徴とする遊技機。」 に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。 2 本件補正の適否 (1)補正事項 本件補正は、補正前の請求項1について、以下に挙げる補正事項を含むものである。 ア 「前記演出表示手段の前方に設けられる前方演出物」という記載を「前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物」とする補正 イ 「前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」という記載を「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」とする補正 (2)補正の目的要件違反についての検討 ア 補正事項アは、「前方演出物」について「動作可能に」と限定することにより減縮する補正であり、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、当該限定した事項は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の明細書【0213】、【0226】-【0229】、【0256】-【0257】及び図面図17(A)、(B)、図21(F)、(G)に記載された事項であるから、当該補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。 イ 補正事項イは、「前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」について、補正前に「前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに」とあったのを、補正後に「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで」と限定することにより減縮する補正であり、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、当該限定した事項は、当初明細書等の明細書【0244】、【0251】、【0256】-【0257】及び図面図21(F)、(F’)、(G)、(G’)に記載された事項であるから、当該補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 3 本願補正発明の独立特許要件についての検討 (1)本願補正発明について 本願補正発明は、上記1の本件補正の概要に示した次のとおりのものである(A?Gは、本願補正発明を分説するため当審にて付与した。) 「【請求項1】 A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 光源からの光により演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 C 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 D 前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物と、 E 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 F 前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 G を備えることを特徴とする遊技機。」 (2)引用文献1に記載された発明 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-90812号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様)。 ア 「【0010】 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 〔遊技機の基本構成〕 図1は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100の概略正面図である。 同図に示す遊技機の一例としてのパチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである。このパチンコ遊技機100は、遊技球が打ち出される遊技盤110と、遊技盤110を囲む枠部材150とを備えている。遊技盤110は、枠部材150に着脱自在に取り付けられている。 【0011】 遊技盤110は、前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。 本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像を表示したりする。 また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。この可動役物115は、通常は遊技盤110の後方に隠れていて(図1の破線参照)、演出時には画像表示部114の前に登場する。」 イ 「【0144】 次に、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100が備える画像表示部114について可動役物115を含めて図27および図28を用いて説明する。 〔画像表示部114の構成〕 図27および図28は、画像表示部114および可動役物115を説明する概略分解斜視図である。図27は可動役物115が待機状態の場合であり、図28は可動役物115が演出状態の場合である。画像表示部114は、遊技者に演出を見せるための演出表示手段の一例である。 図27に示すように、画像表示部114は、演出表示手段の一部を構成する表示器の一例としての液晶セル10と、液晶セル10の後方に配置されるシャッタ20と、シャッタ20のさらに後方に配置される光源部30と、を備えている。液晶セル10と光源部30との間にシャッタ20が配置されている。液晶セル10は、遊技を行う遊技者側に近い位置に配置され、また、光源部30は、遊技者から遠い位置に配置されている。本実施の形態では、液晶セル10、シャッタ20および光源部30が互いに略同じ大きさであり、互いに重なり合って位置している。 画像表示部114を構成する液晶セル10、シャッタ20および光源部30は、演出制御部300により制御される。」 ウ 「【0145】 液晶セル10は、所定の隙間を隔てて対向する透明電極を設けた2枚の透明なガラス基板の間に液晶物質を充填し、この透明電極に電圧を掛けて液晶の配向状態を変化させて通過する光の状態を変えるものであり、通過する光の量の差により現れるパターンを表示する。液晶セル10は、取得した画像データに従って演出制御部300により駆動制御され、演出として所定の画像を表示する。すなわち、液晶セル10は、取得した画像データに従って駆動制御されて画像を表示すると共に背後からの照明を受けることで表示される画像の遊技者による視認が容易になるものである。 さらに説明すると、液晶セル10は、前方から液晶セル10を見ると後方に位置する物を見ることができるいわゆる透明液晶(透過液晶ディスプレイ)である。また、液晶セル10は、背面から液晶を照らすためのバックライトを含んで構成されておらず、後述するように、液晶セル10の背後に設置されている光源部30がバックライトとして機能し得る。付言すると、液晶セル10は、光源部30による光が通り抜ける(透過する)ように構成されている。」 エ 「【0146】 シャッタ20は、曇りガラス(磨りガラス)状になる閉状態と透明ガラス状になる開状態とを相互に切り換え可能に構成されている。このシャッタ20として、例えば液晶シャッタと言われるものを用いることができる。すなわち、シャッタ20は、液晶物質への電界印加あるいは電界除去により液晶分子の配列変化を起こさせて光の透過(開状態)と遮断(閉状態)を行う素子を二次元に配列して構成する。なお、シャッタ20の閉状態は第2状態の一例であり、光源部30の点光源による点光りを減少させるためのものであり、光源部30を液晶セル10のバックライトとして機能させるためのものである。シャッタ20の閉状態(当審注:前後の文章の記載から、この「閉状態」は「開状態」とすべきものの誤記であると認める。)は第1状態の一例であり、光源部30の点光源を点光りで見せるためのものであり、光源部30を演出表示手段ないし演出表示用として機能させるためのものである。 シャッタ20は、後述のシャッタドライバ327(図29参照)により駆動制御される。シャッタ20が閉状態では全面にわたって曇りガラス状になり、また、開状態では全面にわたって透明ガラス状になる。すなわち、シャッタ20は、例えばシャッタ20の一部分が閉状態になって残りの部分が開状態になる領域制御に対応したものではない。しかしながら、そのような領域制御に対応するものをシャッタ20として用いることも考えられる。」 オ 「【0147】 光源部30は、基板30aの片面にLED(Light Emitting Diode)40を複数配列して構成されている。このLED40は、液晶セル10に向けて発光する。LED40は、液晶セル10が画像を表示する領域に対応して配列されている。なお、光源部30のLED40は、基板30aに例えばマス目状に規則的に配列する構成例のほかに、不規則的に配列する構成例も考えられる。 LED40は、基板30aに点在しているため、光源部30は複数の点光源を有するということができる。さらに説明すると、LED40が点灯しても、光源部30が全面にわたって均一に光るのではなく、LED40の位置では明るいものの、隣り合うLED40同士の間では暗い。したがって、光源部30は、均一に光らせることが困難であり、不均一に発光して、いわゆる点光りする(ドットLED)。 このような光源部30の点光りは、シャッタ20を閉状態にすることにより減少される。すなわち、光源部30の光を閉状態のシャッタ20に通すことで、点光りが抑制され、液晶セル10のバックライトとして機能する。その一方で、シャッタ20を開状態にすることで、画像表示部114の前方では、光源部30が点光りに見える。」 カ 「【0149】 このように構成された画像表示部114において、光源部30は、シャッタ20が閉状態の場合には液晶セル10のバックライトになり、液晶セル10に表示される画像を遊技者が容易に見えるように作用する。また、シャッタ20が開状態の場合には、画像表示部114の正面から光源部30のLED40が液晶セル10およびシャッタ20を通して見える。 なお、本実施の形態では、光源部30を液晶セル10のバックライトとして機能させ得ることから、一般的な液晶パネルにおけるいわゆる直下型方式ということができる。付言すると、液晶セル10として、液晶セル10の縁部に別の光源を配置するいわゆるエッジライト方式のものを用いることを除外する意図ではない。 【0150】 ここで、光源部30の点光りに対するシャッタ20の作用を説明する。シャッタ20は、閉状態では光源部30のLED40の光を拡散して点光りを減少させ、遊技者が点光りを認識することが困難であるように作用する(点光り防止機能。光の拡散機能)。付言すると、シャッタ20は、開状態では光源部30のLED40の点光りをほとんど減少させることなく、点光源として遊技者に見せるように作用する。 また、光源部30のLED40の輝度制御を行うことにより、消灯/点灯(点滅)の制御に加えて、低輝度点灯と高輝度点灯との相互切り換え制御を行うことが可能になる。この場合には、光源部30のLED40全てを一律に消灯/低輝度点灯/高輝度点灯を行う制御例のほかに、一部分と残りの部分とに分けて消灯/低輝度点灯/高輝度点灯を行う制御例も考えられる。なお、以下、光源部30のLED40について、点灯ないし高輝度点灯の場合にLED40a、低輝度点灯の場合にLED40b、消灯の場合にLED40cとそれぞれ称することがある。」 キ 「【0151】 〔可動役物115について〕 次に、可動役物115について説明する。 図27および図28に示すように、画像表示部114の前側に可動役物115が位置している。この可動役物115は、分離可能な一対の部材51,52からなり、また、一対の部材51,52を駆動するための不図示の駆動機構を備えている。可動役物115の部材51,52は、不図示の駆動機構により、固定の画像表示部114に対して連動して相対移動(スライド)可能に構成されている。 可動役物115の部材51,52は、通常時には目立たないように遊技者が見え難い位置で待機し(図27参照)、演出時には画像表示部114を覆うように画像表示部114の前に登場する(図28参照)。 【0152】 可動役物115の部材51には透過部53が形成され、また、部材52には透過部53(当審注:前後の文章の記載及び図面第31図の記載から、この「透過部53」は「透過部54」とすべきものの誤記であると認める。)が形成されている。この透過部53,54は、背後からの光が透過して前側からその光が容易に見えるように形成されたものである。透過部53,54は、本実施の形態では部分的に切り欠いて形成されているが、透明部材を設けることで形成することも考えられる。 さらに説明すると、可動役物115の部材51,52は、いずれも電飾部品を搭載しておらず、電源等の配線を備えていない。可動役物115による演出時には、光源部30のLED40の光を流用することで光を用いた演出が行われる。」 ク 「【0154】 〔演出制御部の回路構成〕 演出/画像/音響制御基板330は、演出制御部300の演算装置としてシステム制御CPU301を備える。システム制御CPU301には、システム制御CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶された制御用ROM303と、システム制御CPU301の作業用メモリ等として用いられる記憶手段であるRAM305と、日時を計測するリアルタイムクロック(RTC)307と、が接続されている。RTC307は、電池(BATT)309によりバックアップされ、内部に記憶手段であるRAM308を備えている。」 ケ 「【0156】 システム制御CPU301は、コネクタ332を介して遊技制御部200から特別図柄処理(図8参照)の結果(抽選結果)に応じたコマンドを取得する。そして、遊技制御部200から受信したコマンドに対して上記図16に示したコマンド受信処理やコマンド送信処理等を含む各種処理を行う。それにより、遊技制御部200からのコマンドに応じた演出内容を実行するように、画像/音響制御部310およびランプ制御部320を統合的に制御する。 【0157】 ・・・(略)・・・ 【0158】 〔画像/音響制御部の回路構成〕 演出/画像/音響制御基板330に配置された画像/音響制御部310は、各種演出を実行する機能部を制御する制御信号を生成する演出制御CPU302と、演出制御CPU302から取得した制御信号に基づき演出内容を表現する画像を生成するVDP311と、演出制御CPU302から取得した制御信号に基づき演出内容を表現する音響を生成する音響DSP312と、を備える。また、画像/音響制御部310は、演出制御CPU302にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶された制御用ROM304と、演出制御CPU302の作業用メモリ等として用いられるRAM306を備える。 【0159】 演出制御CPU302は、演出制御部300(システム制御CPU301)から取得したコマンドに対応させて、各種演出を実行する機能部における各種動作を制御するための制御信号を生成する。そして、演出制御CPU302は、生成した制御信号をVDP311および音響DSP312に出力する。 【0160】 VDP311は、演出制御CPU302との協働により演出内容を表現する画像の生成を制御し、画像/音響制御部310として機能する。VDP311には、画像表示部114に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、期待値の大きさに応じた演出を表示するためのキャラクタやアイテム等に関する画像データを記憶する画像用ROM313が接続されている。 【0161】 VDP311は、画像用ROM313に記憶された画像データの中から、演出制御CPU302から送られた制御信号に対応したものを選択して読み出す。そして、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等を行うための画像データを生成する。さらに、VDP311は、生成した画像データを、コネクタ334を介して画像表示部114の液晶セル10に出力する。コネクタ334は、画像表示部114の液晶セル10への出力用の第1の出力端子を含むコネクタである。」 コ 「【0165】 〔ランプ制御部の回路構成〕 ランプ制御基板340は、発光制御装置および可動役物動作制御装置を構成すると共にランプ制御部320の演算装置を構成するランプ(LMP)制御CPU321を備える。また、演出を実行する機能部である盤ランプ116や枠ランプ157を駆動するLEDドライバ325と、同じく演出を実行する機能部である可動役物115を動作させるモータを駆動するモータドライバ326と、シャッタ20を駆動するシャッタドライバ327と、を備える。LMP制御CPU321には、LMP制御CPU321にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶された制御用ROM322と、LMP制御CPU321の作業用メモリ等として用いられるRAM323と、が接続されている。さらに、LMP制御CPU321からの制御信号に応じてロジックレベル「0」または「1」を選択してLEDドライバ325に出力するI/O回路部324が接続されている。 【0166】 LMP制御CPU321は、システム制御CPU301にて遊技制御部200からのコマンドを処理することで生成されたコマンド(図柄演出コマンド、変動終了コマンド、当たり演出コマンド、エンディングコマンド、客待ち演出コマンド等)、および期待値に対応する図柄演出コマンドをコネクタ331およびコネクタ341を介して取得する。そして、システム制御CPU301にて生成されたコマンドに対応させて、LEDドライバ325およびモータドライバ326を制御する制御信号を生成する。さらに、生成した制御信号をI/O回路部324を介してLEDドライバ325と、モータドライバ326に出力する。 【0167】 LMP制御CPU321に接続された制御用ROM322には、システム制御CPU301にて生成されたコマンドに応じた盤ランプ116や枠ランプ157の発光パターンデータが記憶されている。LMP制御CPU321は、制御用ROM322に記憶された発光パターンデータの中から、システム制御CPU301からのコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、LMP制御CPU321は、読み出した発光パターンデータを、I/O回路部324を介してLEDドライバ325に出力する。それにより、LEDドライバ325は、コネクタ342、343を介して接続された盤ランプ116や枠ランプ157を発光パターンデータに対応させて発光させる。また、LEDドライバ325は、コネクタ344を介して接続された光源部30のLED40を発光させる。 【0168】 また、制御用ROM322には、システム制御CPU301にて生成されたコマンドに応じた可動役物115の動作パターンデータが記憶されている。LMP制御CPU321は、制御用ROM322に記憶された動作パターンデータの中から、システム制御CPU301からのコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、LMP制御CPU321は、読み出した動作パターンデータをモータドライバ326に出力する。それにより、モータドライバ326は、コネクタ345を介して接続された可動役物115を動作パターンデータに対応させて動作させる。」 サ 「【0170】 また、LMP制御CPU321は、所定のタイミングでシャッタ20の制御信号をシャッタドライバ327に出力する。それにより、シャッタドライバ327は、コネクタ347を介して接続されたシャッタ20を動作させる。 なお、上述したように、本実施の形態のシャッタ20は、シャッタ20の全面を一律に閉状態または開状態にする領域制御に対応するものではない。もし、そのような領域制御に対応するものをシャッタ20として採用する場合には、制御用ROM322に、システム制御CPU301にて生成されたコマンドに応じたシャッタ20の動作パターンデータを記憶しておく構成が考えられる。その場合には、LMP制御CPU321は、制御用ROM322に記憶されたシャッタ20の動作パターンデータの中から、システム制御CPU301からのコマンドに対応したものを選択して読み出し、その動作パターンデータをシャッタドライバ327に出力する。」 シ 「【0171】 〔画像表示部114および可動役物115による演出の態様〕 次に、画像表示部114および可動役物115による演出の態様を説明する。より具体的には、液晶セル10による演出表示である第1の演出態様の例を図30に図示し、また、可動役物115および光源部30のLED40による演出表示である第2の演出態様の例を図31に図示し、また、光源部30のLED40による演出表示である第3の演出態様の例を図32に図示している。言い換えると、第1の演出態様および第3の演出態様は、可動役物115を用いることなく画像表示部114のみで行われるものである。第2の演出態様は、可動役物115および画像表示部114で行われるものであり、より具体的には、主に可動役物115による演出であり、その演出を画像表示部114が補助するように行われるものである。 以下、演出態様の各々について説明する。」 ス 「【0174】 〔第2の演出態様〕 図31は、画像表示部114および可動役物115による第2の演出態様の一例を説明する図であり、(a)は画像表示部114の正面側から見た分解斜視図で、(b)は画像表示部114の正面図である。 図31の(a)に示す場合には、可動役物115の部材51,52が画像表示部114の前に登場している。また、画像表示部114では、液晶セル10に画像が全く表示されておらず、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯している。したがって、光源部30のLED40aの光は、シャッタ20により点光りで見え、かつ、可動役物115の透過部53,54を通り抜けることで、可動役物115の光による演出を担う。 【0175】 さらに説明すると、光源部30は、LED40aが点灯し、LED40cが消灯している。光源部30は全面点灯ではなく、部分点灯(部分消灯)している。より具体的に説明すると、光源部30のLED40のうち可動役物115における透過部53,54に対応する位置のLED40aは点灯し、透過部53,54に対応しない位置のLED40cは点灯せず消灯している。このため、光源部30は、可動役物115の光演出に用いられるLED40aのみを点灯している。 図31では、可動役物115が停止した状態で光による演出を行う場合を図示しているが、可動役物115が停止する前には、シャッタ20が閉状態で光源部30が全消灯し、停止したらシャッタ20を開状態にすると共に光源部30のLED40aを点灯する制御を行うことで、光による演出がより効果的になる。 また、可動役物115が停止する前から光による演出を行う場合には、可動役物115の透過部53,54に対応する光源部30のLED40aを点灯し、対応しない光源部30のLED40cを消灯するという駆動制御を行うことで、実現可能である。 【0176】 なお、図31に示す例では、可動役物115の光による演出に用いるLED40aが液晶セル10およびシャッタ20に重なる場所に位置しており、その光はシャッタ20および液晶セル10を通って遊技者の目に届くものであるが、他の変形例も考えられる。例えば、光源部30の外形を液晶セル10およびシャッタ20よりも大きくして液晶セル10およびシャッタ20からはみ出る部分(液晶セル10およびシャッタ20に重ならない部分)を形成する構成である。この場合には、はみ出た部分に配置したLEDの光により、可動役物115の光による演出を行う態様が考えられる。液晶セル10およびシャッタ20の透過の際に光の強さが弱まってしまうが、このように構成することで、より明るい光で可動役物115の演出を行うことができる。 【0177】 また、図31に示す例では、画像表示部114の液晶セル10には何ら画像を表示していないが、何らかの画像を液晶セル10に表示する例も考えられる。例えば、図31の(b)に示す可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に図示しない黒色の画像を表示すること(液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示)が考えられる。 また、本実施の形態における光源部30のLED40は、単色の例えば白色を発光することが可能なものを用いているが、複数の異なる色の光を発光することが可能なものを用いることで、点灯するLED40aの光の色を部分的に変えて複数の色の光による演出を行う例も考えられる。また、特別図柄抽選の結果による信頼度に応じて、発光する光の色を変える例も考えられる。 また、本実施の形態では、光源部30のLED40aを直接見せること(直接照明的な使い方)で可動役物115の光による演出を実行しているが、光源部30のLED40aを直接見せずにLED40aを例えば不図示のカバーの後方から照らして不図示のカバーを光らせること(間接照明的な使い方)で光源部30のLED40aを用いる構成例も考えられる。」 以上の記載事項ア?スから、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。(a?gは、本願補正発明の分説A?Gに対応させている。) (a、g)【0010】には「パチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである」と記載されていることから、引用文献1には、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機100が記載されている。 (b)【0011】には「演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている」と記載され、【0144】には「画像表示部114は、・・・液晶セル10・・・を備えている」と記載されていることから、引用文献1には、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114は、液晶セル10を備えていることが記載されている。また、【0145】には「液晶セル10は、・・・演出として所定の画像を表示する。すなわち、液晶セル10は、・・・画像を表示すると共に背後からの照明を受けることで表示される画像の遊技者による視認が容易になるものである。・・・液晶セル10は、前方から液晶セル10を見ると後方に位置する物を見ることができるいわゆる透明液晶(透過液晶ディスプレイ)である」と記載されていることから、引用文献1には、演出として所定の画像を表示し、前方から見ると後方に位置する物を見ることができるいわゆる透明液晶(透過液晶ディスプレイ)である、液晶セル10が記載されている。さらに、【0149】には「液晶セル10として、液晶セル10の縁部に別の光源を配置するいわゆるエッジライト方式のものを用いることを除外する意図ではない」と記載されていることから、引用文献1に記載された液晶セル10は、縁部に別の光源を配置するいわゆるエッジライト方式である。以上のことからすると、引用文献1には、縁部に別の光源を配置するいわゆるエッジライト方式であり、演出のための各種の画像を表示し、前方から見ると後方に位置する物を見ることができるいわゆる透明液晶(透過液晶ディスプレイ)である、液晶セル10が記載されている。 (c)【0144】には「画像表示部114は、・・・液晶セル10の後方に配置されるシャッタ20と・・・を備えている」と記載され、【0146】には「シャッタ20は、曇りガラス(磨りガラス)状になる閉状態と透明ガラス状になる開状態とを相互に切り換え可能に構成されている」と記載され、【0150】には「シャッタ20は、閉状態では光源部30のLED40の光を拡散して点光りを減少させ、遊技者が点光りを認識することが困難であるように作用する(点光り防止機能。光の拡散機能)。付言すると、シャッタ20は、開状態では光源部30のLED40の点光りをほとんど減少させることなく、点光源として遊技者に見せるように作用する」と記載されていることから、引用文献1には、液晶セル10の後方に配置され、曇りガラス状になり、光源部30のLED40の光を拡散して点光りを減少させ、遊技者が点光りを認識することが困難であるように作用する閉状態と、透明ガラス状になり、光源部30のLED40の点光りをほとんど減少させることなく、点光源として遊技者に見せるように作用する開状態とを相互に切り換え可能に構成されているシャッタ20が記載されている。 (d)【0011】には「可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い・・・この可動役物115は、通常は遊技盤110の後方に隠れていて・・・、演出時には画像表示部114の前に登場する。」と記載され、【0151】には「画像表示部114の前側に可動役物115が位置している。この可動役物115は、分離可能な一対の部材51,52からなり・・・。可動役物115の部材51,52は、・・・固定の画像表示部114に対して連動して相対移動(スライド)可能に構成されている。可動役物115の部材51,52は、通常時には目立たないように遊技者が見え難い位置で待機し・・・、演出時には画像表示部114を覆うように画像表示部114の前に登場する」と記載され、【0152】には「可動役物115の部材51には透過部53が形成され、また、部材52には透過部54が形成されている」と記載されていること、また、上記(b)で示したように、画像表示部114は液晶セル10を備えていることから、引用文献1には、動作することにより各種の演出を行うものであり、液晶セル10の前側に位置し、分離可能な一対の部材からなり相対移動可能に構成され、可動役物115の部材51,52は演出時には液晶セル10の前に登場する、可動役物115が記載されている。 (e)【0144】には「画像表示部114は、・・・シャッタ20のさらに後方に配置される光源部30と、を備えている」と記載され、【0147】には「光源部30は、基板30aの片面にLED(Light Emitting Diode)40を複数配列して構成されている。」、「光源部30は、均一に光らせることが困難であり、不均一に発光して、いわゆる点光りする」と記載されていることから、引用文献1には、シャッタ20の後方に配置され、点光りする光源部30が記載されている。また、【0174】には「光源部30のLED40aの光は、シャッタ20により点光りで見え、かつ、可動役物115の透過部53,54を通り抜けることで、可動役物115の光による演出を担う」と記載され、【0175】には「光源部30のLED40のうち可動役物115における透過部53,54に対応する位置のLED40aは点灯し、透過部53,54に対応しない位置のLED40cは点灯せず消灯している。このため、光源部30は、可動役物115の光演出に用いられるLED40aのみを点灯している」と記載されていることから、引用文献1には、光源部30のLED40は、可動役物115の透過部53,54に対応する位置のLED40aは点灯し、対応しない位置のLED40cは点灯せず消灯することで、可動役物115の光による演出を担うことが記載されている。そうすると、引用文献1には、シャッタ20の後方に配置され、LED40が、可動役物115の透過部53,54に対応する位置のLED40aは点灯し、対応しない位置のLED40cは点灯せず消灯することで、可動役物115の光による演出を担うものである、光源部30が記載されている。 (f1)【0154】には「演出/画像/音響制御基板330は、演出制御部300の演算装置としてシステム制御CPU301を備える」と記載され、【0156】には「システム制御CPU301は、・・・遊技制御部200から特別図柄処理(図8参照)の結果(抽選結果)に応じたコマンドを取得する。・・・遊技制御部200からのコマンドに応じた演出内容を実行するように、画像/音響制御部310およびランプ制御部320を統合的に制御する」と記載されていることから、引用文献1には、演出制御部300の演算装置としてシステム制御CPU301が備えられ、システム制御CPU301は、遊技制御部200から特別図柄処理の結果(抽選結果)に応じたコマンドを取得し、遊技制御部200からのコマンドに応じた演出内容を実行するように、画像/音響制御部310およびランプ制御部320を統合的に制御することが記載されている。また、【0158】には、「画像/音響制御部310は、各種演出を実行する機能部を制御する制御信号を生成する演出制御CPU302と、演出制御CPU302から取得した制御信号に基づき演出内容を表現する画像を生成するVDP311・・・を備える」と記載され、【0160】には「VDP311は、演出制御CPU302との協働により演出内容を表現する画像の生成を制御し、画像/音響制御部310として機能する」と記載され、【0161】には「VDP311は、生成した画像データを、・・・画像表示部114の液晶セル10に出力する」と記載されていることから、引用文献1には、画像/音響制御部310は、各種演出を実行する機能部を制御する制御信号を生成する演出制御CPU302と、演出制御CPU302から取得した制御信号に基づき演出内容を表現する画像を生成するVDP311を備え、VDP311は、演出制御CPU302との協働により演出内容を表現する画像の生成を制御し、生成した画像データを、画像表示部114の液晶セル10に出力することが記載されている。さらに、【0165】には「ランプ制御基板340は、発光制御装置および可動役物動作制御装置を構成すると共にランプ制御部320の演算装置を構成するランプ(LMP)制御CPU321を備える。また、・・・演出を実行する機能部である可動役物115を動作させるモータを駆動するモータドライバ326と、シャッタ20を駆動するシャッタドライバ327と、を備える」と記載され、【0166】には「LMP制御CPU321は、システム制御CPU301にて遊技制御部200からのコマンドを処理することで生成されたコマンド・・・を・・・取得する。そして、システム制御CPU301にて生成されたコマンドに対応させて、LEDドライバ325およびモータドライバ326を制御する制御信号を生成する。さらに、生成した制御信号を・・・LEDドライバ325と、モータドライバ326に出力する」と記載され、【0167】には「LEDドライバ325は、・・・光源部30のLED40を発光させる」と記載され、【0168】には「LMP制御CPU321は、読み出した動作パターンデータをモータドライバ326に出力する。それにより、モータドライバ326は、・・・可動役物115を動作パターンデータに対応させて動作させる」と記載され、【0170】には「LMP制御CPU321は、所定のタイミングでシャッタ20の制御信号をシャッタドライバ327に出力する。それにより、シャッタドライバ327は、・・・シャッタ20を動作させる」と記載されていることから、引用文献1には、ランプ制御基板340は、発光制御装置および可動役物動作制御装置を構成すると共にランプ制御部320の演算装置を構成するランプ(LMP)制御CPU321と、演出を実行する機能部である可動役物115を動作させるモータを駆動するモータドライバ326と、シャッタ20を駆動するシャッタドライバ327とを備え、LMP制御CPU321は、システム制御CPU301にて生成されたコマンドに対応させて、LEDドライバ325およびモータドライバ326を制御する制御信号を生成し、出力し、LEDドライバ325は、光源部30のLED40を発光させ、モータドライバ326は、可動役物115を動作パターンデータに対応させて動作させ、また、LMP制御CPU321は、所定のタイミングでシャッタ20の制御信号をシャッタドライバ327に出力し、シャッタ20を動作させることが記載されている。これらのことから、引用文献1には、演出制御部300のシステム制御CPU301が、遊技制御部200からのコマンドに応じた演出内容を実行するように、画像/音響制御部310およびランプ制御部320を統合的に制御することで、演出内容を表現する画像の画像データを液晶セル10に出力し、光源部30のLED40を発光させ、可動役物115を動作パターンデータに対応させて動作させ、シャッタ20を動作させることが記載されている。 (f2)【0171】には、「画像表示部114および可動役物115による演出の態様を説明する。・・・可動役物115および光源部30のLED40による演出表示である第2の演出態様」と記載され、【0174】には「〔第2の演出態様〕・・・可動役物115の部材51,52が画像表示部114の前に登場している。また、画像表示部114では、液晶セル10に画像が全く表示されておらず、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯している。したがって、光源部30のLED40aの光は、シャッタ20により点光りで見え、かつ、可動役物115の透過部53,54を通り抜けることで、可動役物115の光による演出を担う。」と記載され、【0177】には「図31に示す例では、画像表示部114の液晶セル10には何ら画像を表示していないが、何らかの画像を液晶セル10に表示する例も考えられる。例えば、図31の(b)に示す可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に図示しない黒色の画像を表示すること(液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示)が考えられる」と記載されていることから、引用文献1には、可動役物115および光源部30のLED40による演出表示である第2の演出態様として、可動役物115の部材51,52が画像表示部114の前に登場しており、液晶セル10に画像が全く表示されておらず、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯しているとすることで、光源部30のLED40aの光は可動役物115の光による演出を担うこと、また、何らかの画像を液晶セル10に表示する例として、可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示すること(液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示)が、記載されている。また、【0171】には「第1の演出態様および第3の演出態様は、可動役物115を用いることなく画像表示部114のみで行われるものである。第2の演出態様は、可動役物115および画像表示部114で行われるものであり」と記載されていることからすると、引用文献1には、第2の演出態様は、可動役物115および画像表示部114で行われるものであり、画像表示部114のみで行われる第1及び第3の演出態様とは異なるものであることが記載されている。また、上記(d)で示したように、可動役物115の部材51,52は演出時には液晶セル10の前に登場している。これらのことから、引用文献1には、可動役物115が液晶セル10の前に登場しており、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯しているとする時に、可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示することで、可動役物115と共に、液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示を行うことが記載されている。 以上の記載事項ア?ス及び認定事項(a)?(g)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a?gは、本願補正発明の分説A?Gに対応させて付与した)。 「a 遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機100であって、 b 縁部に別の光源を配置するいわゆるエッジライト方式であり、演出のための各種の画像を表示し、前方から見ると後方に位置する物を見ることができるいわゆる透明液晶(透過液晶ディスプレイ)である、液晶セル10と、 c 液晶セル10の後方に配置され、曇りガラス状になり、光源部30のLED40の光を拡散して点光りを減少させ、遊技者が点光りを認識することが困難であるように作用する閉状態と、透明ガラス状になり、光源部30のLED40の点光りをほとんど減少させることなく、点光源として遊技者に見せるように作用する開状態とを相互に切り換え可能に構成されているシャッタ20と、 d 動作することにより各種の演出を行うものであり、液晶セル10の前側に位置し、分離可能な一対の部材からなり相対移動可能に構成され、可動役物115の部材51,52は演出時には液晶セル10の前に登場する、可動役物115と、 e シャッタ20の後方に配置され、LED40が、可動役物115の透過部53,54に対応する位置のLED40aは点灯し、対応しない位置のLED40cは点灯せず消灯することで、可動役物115の光による演出を担うものである、光源部30と、 f 遊技制御部200からのコマンドに応じた演出内容を実行するように、画像/音響制御部310およびランプ制御部320を統合的に制御することで、演出内容を表現する画像の画像データを液晶セル10に出力し、光源部30のLED40を発光させ、可動役物115を動作パターンデータに対応させて動作させ、シャッタ20を動作させるシステム制御CPU301であって、可動役物115が液晶セル10の前に登場しており、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯しているとする時に、可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示することで、可動役物115と共に、液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示を行うシステム制御CPU301と、 g を備えるパチンコ遊技機100。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する(見出しa?gは、本願補正発明の分説A?Gに対応させて付与した)。 a 引用発明の「パチンコ遊技機100」は、「遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように」構成されることで、遊技者に遊技を行わせるものであるから、引用発明の「遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機100」は、本願補正発明の「遊技を行うことが可能な遊技機」に相当する。 b 引用発明の「液晶セル10」が「縁部に別の光源を配置するいわゆるエッジライト方式」であることは、この別の光源からの光により表示を行えるようにしているものである。また、引用発明の「液晶セル10」が「演出のための各種の画像を表示」することで、演出表示を行えることは明らかである。さらに、引用発明の「液晶セル10」が「前方から見ると後方に位置する物を見ることができるいわゆる透明液晶(透過液晶ディスプレイ)である」ことは、液晶セル10に対して、その後方の領域を前方から見ることができるものであり、透過性を有している。そうすると、引用発明の「縁部に別の光源を配置するいわゆるエッジライト方式であり、演出のための各種の画像を表示し、前方から見ると後方に位置する物を見ることができるいわゆる透明液晶(透過液晶ディスプレイ)である、液晶セル10」は、本願補正発明の「光源からの光により演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段」に相当する。 c 引用発明の「シャッタ20」に関して、シャッタ20の後方に配置され、点光りする光源部30について、「曇りガラス状になり、光源部30のLED40の光を拡散して点光りを減少させ、遊技者が点光りを認識することが困難であるように作用する閉状態」では、光源部30が視認困難となり、「透明ガラス状になり、光源部30のLED40の点光りをほとんど減少させることなく、点光源として遊技者に見せるように作用する開状態」では光源部が視認可能となるものである。そうすると、引用発明の「液晶セル10の後方に配置され、曇りガラス状になり、光源部30のLED40の光を拡散して点光りを減少させ、遊技者が点光りを認識することが困難であるように作用する閉状態と、透明ガラス状になり、光源部30のLED40の点光りをほとんど減少させることなく、点光源として遊技者に見せるように作用する開状態とを相互に切り換え可能に構成されているシャッタ20」は、本願補正発明の「前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段」に相当する。 d 引用発明の「可動役物115」は、「動作することにより各種の演出を行うもの」であり、「演出時には」、「可動役物115の部材51,52は」「液晶セル10の前に登場する」ような動作を行うものであるから、演出を行うものであると共に、動作可能である。また、この動作からすれば、演出時には、液晶セル10の前側で動作を行っているものである。そうすると、引用発明の「動作することにより各種の演出を行うものであり、液晶セル10の前側に位置し、分離可能な一対の部材からなり相対移動可能に構成され、可動役物115の部材51,52は演出時には液晶セル10の前に登場する、可動役物115」は、本願補正発明の「前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物」に相当する。 e 引用発明の「光源部30」に関して、LED40が、可動役物115の透過部53,54の位置に応じて点灯または消灯することで、可動役物115の光による演出を担っていることからすると、この光源部30自体も演出を行っているものである。そうすると、引用発明の「シャッタ20の後方に配置され、LED40が、可動役物115の透過部53,54に対応する位置のLED40aは点灯し、対応しない位置のLED40cは点灯せず消灯することで、可動役物115の光による演出を担うものである、光源部30」は、本願補正発明の「前記切替手段の後方に設けられる後方演出物」に相当する。 f 引用発明の「システム制御CPU301」に関して、まずそれが制御することにより行われる演出の内容である「可動役物115が液晶セル10の前に登場しており、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯しているとする時に、可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示することで、可動役物115と共に、液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示」が行われることについて検討する。可動役物に関して、上記(3)対比dで示したこととあわせ、引用発明の「可動役物115が液晶セル10の前に登場して」いる時とは、演出を行なうために可動役物が動作している時である。また、この時には、シャッタは開状態であり、上記認定事項(f2)で示したように、液晶セルに、可動役物からはみ出している部分のLEDが遊技者から見えないように表示される黒色の画像以外の部分では画像は表示されていないことから、シャッタは、液晶セルを通して光源が視認可能な状態となっている。さらに、引用発明において、「可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示すること」により、光源の可動役物からはみ出ている部分のLEDが遊技者から見えなくなるのであるから、光源に対して視認可能な領域を変化させていることは、明らかである。そして、このような演出が、可動役物が動作している時にあわせて行われていることからすれば、可動役物の動作に応じてこのような演出が行われているものである。そして、上記認定事項(f2)で示したように、第2の演出態様は、可動役物115および画像表示部114で行われるものであり、画像表示部114のみで行われる第1及び第3の演出態様とは異なるものであり、このような演出は、画像表示部のみで行われる演出に比べて特別な演出が行われているものである。そうすると、引用発明の「可動役物115が液晶セル10の前に登場しており、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯しているとする時に、可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示することで、可動役物115と共に、液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示」を行うことは、本願補正発明の「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出」を行うことに相当する。 そして、引用発明の「システム制御CPU301」は、上記認定事項(f1)に示したように、遊技制御部200からのコマンドに応じた演出内容を実行するように、画像/音響制御部310およびランプ制御部320を統合的に制御することで、演出内容を表現する画像の画像データを液晶セル10に出力し、光源部30のLED40を発光させ、可動役物115を動作パターンデータに対応させて動作させ、シャッタ20を動作させるものであるから、引用発明の「システム制御CPU301」が「可動役物115と共に、液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示を行う」ことは、本願補正発明の「特別演出実行手段」が「前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する」ことに相当する。 以上をまとめると、引用発明の「遊技制御部200からのコマンドに応じた演出内容を実行するように、画像/音響制御部310およびランプ制御部320を統合的に制御することで、演出内容を表現する画像の画像データを液晶セル10に出力し、光源部30のLED40を発光させ、可動役物115を動作パターンデータに対応させて動作させ、シャッタ20を動作させるシステム制御CPU301であって、可動役物115が液晶セル10の前に登場しており、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯しているとする時に、可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示することで、可動役物115と共に、液晶セル10および光源部30のLED40による演出表示を行うシステム制御CPU301」は、本願補正発明の「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」に相当する。 g 引用発明の「パチンコ遊技機100」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。 上記a?gによれば、本願補正発明と引用発明とは、 「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 光源からの光により演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 C 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 D 前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物と、 E 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 F 前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 G を備える遊技機。」 である点で一致し、相違する点はない。 (4)判断 したがって、本願補正発明は、引用発明であり、引用文献1に記載された発明である。 (5)請求人の主張について ア 審判請求書における主張について 請求人は審判請求書【本願発明が特許されるべき理由】(4)において、 「本願の請求項1に記載された発明(以下、「本発明1」という。)は上記したとおりのものであって、特に「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、」なる構成に特徴を有するものです。 本発明1は上記構成を有することにより、前方演出物、後方演出物及び演出表示手段の3者による特別演出、すなわち、演出表示手段の前方で動作する前方演出物、該前方演出物の周囲に表示される演出表示手段の演出表示及び後方演出物の全てが一緒に視認可能となるとともに、前方演出物の動作に応じて、演出表示により後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前方演出物、後方演出物及び演出表示手段の視認態様が変化する特別演出を実行可能であるため、一体感や奥行き感をより向上させることができるとともに、後方演出物の出現に対する期待感を高めることができる、という効果を奏します。 審査官のご指摘の引用文献1には可動役物115の部材51,52が画像表示部114の前に登場し、画像表示部114では、液晶セル10に画像が全く表示されておらず、シャッタ20は開状態であり、光源部30のLED40aは点灯していることで、光源部30のLED40aの光は、シャッタ20により点光りで見え、かつ、可動役物115の透過部53,54を通り抜けることで、可動役物115の光による演出を担う構成が開示されており、加えて、可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示する(液晶セル10および光源部30のLED40により演出表示)構成も開示されています。 しかしながら、引用文献1では単に、光源部30のLED40aの光が可動役物115の透過部53,54を通り抜けることで、可動役物115の光による演出を担う構成、加えて可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示する構成が開示されているに止まり、引用文献1は液晶セル10(演出表示手段)を通して光源部のLED40a(後方演出物)を視認可能な領域を変化させるものではなく、本発明1のように、前方演出物の動作に応じて、演出表示により後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前方演出物、後方演出物及び演出表示手段の視認態様が変化する特別演出を実行可能とすること、すなわち本発明1の上記構成を何ら開示するものではありません。」 と主張している。 しかし、請求人が、本願補正発明について主張する、「前方演出物、後方演出物及び演出表示手段の3者による特別演出、すなわち、演出表示手段の前方で動作する前方演出物、該前方演出物の周囲に表示される演出表示手段の演出表示及び後方演出物の全てが一緒に視認可能となる」との点、「前方演出物の動作に応じて、演出表示により後方演出物を視認可能な領域を変化させることで、前方演出物、後方演出物及び演出表示手段の視認態様が変化する特別演出を実行可能である」との点は、上記(3)対比fで示したように、引用発明においても備えているものであり、請求人が主張する「一体感や奥行き感をより向上させることができる」との効果は、引用発明においても期待できるものである。請求人は、効果について、「後方演出物の出現に対する期待感を高めることができる」との主張もしているが、本願補正発明で特定される技術的事項に由来するものでは無く、当該主張を参酌することはできない。 また、請求人が、引用文献1について主張する「引用文献1は液晶セル10(演出表示手段)を通して光源部のLED40a(後方演出物)を視認可能な領域を変化させるものではな」いとの点について、上記(3)対比fで示したように、引用発明では、液晶セルに黒色の画像を表示することで、可動役物からはみ出ている部分のLEDが遊技者から見えないようにしているのであるから、液晶セルを通して光源部のLEDを視認可能な領域を変化させているのであり、請求人の主張は採用できない。 イ 上申書における主張について 請求人は、平成30年3月30日付け上申書において、 「しかしながら、引用文献1の可動役物115からはみ出ている部分のLED40cが遊技者から見えないように、液晶セル10に黒色の画像を表示する構成は、遊技者に見えているLED40cを液晶セル10に表示する黒色の画像で見えないように切り換えること、すなわち「LED40cが見えることと見えないこととの切換え」を行っているにすぎません。 これに対し、本発明1は「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、」なる構成を条件として「該後方演出物を視認可能な領域を変化させる」なる構成であります。 すなわち、上述した如く、後方演出物が視認可能となる状態とするときにおいて、その後方演出物を視認可能な領域を変化させるので、少なくとも変化させる前と変化させた後の双方で後方演出物が視認可能なものであって、引用文献1のように液晶セル10に黒色の画像を表示した後、後方演出物であるLED40cが見えなく(視認不能に)なるものではありません。 このように、引用文献1に記載された「遊技者に見えているLED40cを液晶セル10に表示する黒色の画像で見えないように切り換えること」と本発明1の「該後方演出物を視認可能な領域を変化させること」とはその概念が異なります。」 と主張している。 これらの主張については、上記「ア 審判請求書における主張について」で示したとおりである。請求人は、本願補正発明(本発明1)は「引用文献1のように液晶セル10に黒色の画像を表示した後、後方演出物であるLED40cが見えなく(視認不能に)なるものではありません。」と主張するが、上記(3)対比fで示したように、液晶セルの、可動役物からはみ出している部分のLEDが遊技者から見えないように黒色の画像が表示される部分でないところは、当該黒色の画像の表示にかかわらず、液晶セルを通して光源が視認可能な状態となっており、請求人の主張は採用できない。 (6)まとめ 以上のように、本願補正発明は、引用発明と同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下の決定についてのむすび 上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正(平成29年12月19日付け手続補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年6月14日付け手続補正書により補正された、上記第2[理由]1で示した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 光源からの光により演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 前記演出表示手段の前方に設けられる前方演出物と、 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 を備える ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由の概略 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ●理由1(特許法第29条第1項第3号)理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1.特開2012-090812号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1の記載事項は、上記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2[理由]2(2)で示したとおり、本願発明に対して、「前方演出物」について「動作可能に」と限定すると共に、「前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」について、補正前に「前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに」とあったのを、補正後に「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、該後方演出物を視認可能な領域を変化させることで」と限定したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]3(4)に記載したとおり、引用発明と同一の発明であるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明と同一の発明である。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-08-29 |
結審通知日 | 2018-09-04 |
審決日 | 2018-09-18 |
出願番号 | 特願2013-153999(P2013-153999) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 永田 美佐 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
▲高▼橋 祐介 田邉 英治 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 大久保 岳彦 |
代理人 | 溝渕 良一 |
代理人 | 堅田 多恵子 |
代理人 | 石川 好文 |
代理人 | 林 修身 |
代理人 | 重信 和男 |