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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1345751 |
審判番号 | 不服2017-18728 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-12-18 |
確定日 | 2018-11-27 |
事件の表示 | 特願2016-144086「圧力電極が形成されたディスプレイモジュールを含むタッチ入力装置及び圧力電極形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 9日出願公開、特開2017- 33549、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年7月22日(パリ条約による優先権主張2015年7月29日、韓国)の出願であって、平成29年5月26日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月1日付けで手続補正がされ、同年8月16日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年8月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1-9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1-5の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.国際公開第2013/132736号 引用文献2.特開2015-106417号公報 引用文献3.特開2003-243169号公報 引用文献4.国際公開第2015/41268号 引用文献5.特開2014-194591号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって請求項1に「前記ディスプレイパネルは、ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層、ガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層が備えられ、前記圧力電極は、前記下部基板層の下部面に直接形成され、」という事項を追加する補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「下部面に圧力検出のための圧力電極が形成されたディスプレイパネル」に関して、「ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層、ガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層が備えられ、前記圧力電極は、前記下部基板層の下部面に直接形成され」るものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、また、前記追加された事項は当初明細書の段落【0091】-【0095】及び図6b、図7dに記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないといえる。 また、審判請求時の補正によって請求項7を「前記下部基板層の下部面に圧力電極を直接形成する段階」という事項を有するものとする補正は、補正前の請求項10に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「 前記下部基板層の下部面に圧力電極を形成する段階」に関して、「下部面に圧力電極を直接形成する」ものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、また、前記追加された事項は当初明細書の段落【0091】-【0095】及び図6b、図7dに記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないといえる。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-11に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成29年12月18日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明7は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 タッチ圧力検出が可能なタッチ入力装置であって、 下部面に圧力検出のための圧力電極が形成されたディスプレイパネルと、 前記圧力電極と離隔して形成された基準電位層と、 前記ディスプレイパネルの下部に配置されて前記基準電子層が含まれる基板と、 を含み、 前記ディスプレイパネルは、ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層、ガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層が備えられ、 前記圧力電極は、前記下部基板層の下部面に直接形成され、 前記圧力電極と前記基準電位層との間の距離の変化による静電容量の変化量に基づいてタッチ圧力を検出し、 前記タッチ圧力がない時、前記距離は前記基板の縁部分にのみ配置された支持部材によって保持される、 タッチ入力装置。 【請求項7】 ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層及びガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層を備えるディスプレイパネルに圧力電極を形成する方法であって、 前記圧力電極形成方法は、 前記下部基板層の下部面に圧力電極を直接形成する段階と、 前記形成された圧力電極上に絶縁層を形成する段階と、 前記圧力電極と前記絶縁層とが形成された前記下部基板層に保護層を形成した後に、 前記下部基板層を反転させる段階と、 反転した前記下部基板層の上部面に液晶層または有機物層を形成する段階と、 前記液晶層または有機物層の上部に前記上部基板層を形成する段階と、 を含む、圧力電極形成方法。」 なお、本願発明2-6は、本願発明1を直接又は間接的に引用し、本願発明1を減縮した発明であり、また、本願発明8-11は、本願発明7を直接又は間接的に引用し、本願発明7を減縮した発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献2について 引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 a)「【0025】 図12aないし図12fに示されたように、第1実施形態によるタッチ圧力感知モジュール2000は、スペーサ層2400を含んでもよい。スペーサ層2400は、エアギャップ(air gap)で具現されてもよい。スペーサは、実施形態により衝撃吸収物質からなってもよく、また、実施形態により誘電物質(dielectric material)で満たされてもよい。 【0026】 図12aないし図12dに示されたように、第1実施形態によるタッチ圧力感知モジュール2000は、基準電位層2500を含んでもよい。基準電位層2500は、任意の電位を有してもよい。例えば、基準電位層は、グランド(ground)電位を有するグランド層であってもよい。この時、基準電位層は、後述することになるタッチ圧力を感知するための第1電極2100が形成された2次元平面又は第2電極2200が形成された2次元平面と平行した平面を有してもよい。図12aないし図12dにおいては、タッチ圧力感知モジュール2000が基準電位層2500を含むものと説明したが、必ずしもこれに限定される訳ではなく、タッチ圧力感知モジュール2000が基準電位層2500を含まず、タッチ圧力感知モジュール2000の下部に配置されたディスプレイモジュール3000又は基板4000が基準電位層の役割をすることができる。 【0027】 図12aに示されたように、実施形態によるタッチ圧力感知モジュール2000は、一つの層に形成された第1電極2100、前記第1電極2100が形成された層の下部に形成されたスペーサ層2400、及び前記スペーサ層2400の下部に形成された基準電位層2500を含んでもよい。 【0028】 この時、第1電極2100は、図18aに示された形態のように、複数の電極6100で構成されて、それぞれの電極6100に駆動信号が入力され、それぞれの電極から自体静電容量に関する情報を含む感知信号が出力されてもよい。使用者の指又はスタイラスのような客体によってタッチスクリーン130に圧力が加えられる場合、図12bに示されたように、第1電極2100が少なくともタッチ位置でたわむことになり、第1電極2100と基準電位層2500との間の距離dが変わることになって、これにより、第1電極2100の自体静電容量が変わることになる。したがって、タッチ入力装置100は、タッチスクリーン130に使用者の指又はスタイラスのような客体により、圧力が加えられることによって変わる第1電極2100の自体静電容量を測定してタッチ圧力を検出することができる。このように、第1電極2100が複数の電極6100で構成されているので、タッチスクリーン130に同時に入力されたマルチタッチそれぞれの圧力を検出することができる。また、マルチタッチそれぞれの圧力を検出する必要がない場合、タッチ位置とは関係なく、タッチスクリーン130に加えられる全体的な圧力だけ検出すればよいので、タッチ圧力感知モジュール2000の第1電極2100は、図18dに示された形態のように一つの電極6600で構成されてもよい。」 b)「【0054】 図15に示されたように、第3実施形態によるタッチスクリーン130は、タッチ位置感知モジュール1000、前記タッチ位置感知モジュール1000の下部に配置されたディスプレイモジュール3000、前記ディスプレイモジュール3000の下部に配置されたタッチ圧力感知モジュール2000、及び前記タッチ圧力感知モジュール2000の下部に配置された基板4000を含んでもよい。 【0055】 図10及び図13に示された実施形態によるタッチスクリーン130は、スペーサ層2400、5400を含むタッチ圧力感知モジュール2000、又は、タッチ位置-圧力感知モジュール5000がディスプレイモジュール3000の上部に配置されるため、ディスプレイモジュール3000の色の鮮明度、視認性、及び光の透過率が低下することがある。したがって、このような問題点が発生することを防止するために、タッチ位置感知モジュール1000とディスプレイモジュール2000をOCA(Optically Clear Adhesive)のような接着剤を使用して完全ラミネーション(lamination)させ、タッチ圧力感知モジュール2000をディスプレイモジュール3000の下部に配置することによって、前述した問題点を軽減及び解消することができる。また、ディスプレイモジュール3000と基板4000との間に既に形成されている間隙をタッチ圧力を感知するためのスペーサ層として使用することによって、全体的なタッチスクリーン130の厚さを減少させることができる。 【0056】 図15に示された実施形態のタッチ位置感知モジュール1000は、図11aないし図11dに示されたタッチ位置感知モジュールと同一である。 【0057】 図15に示された実施形態のタッチ圧力感知モジュール2000は、図12aないし図12fに示されたタッチ圧力感知モジュール、及び図16aないし図16bに示されたタッチ圧力感知モジュールであってもよい。 【0058】 図16aに示されたように、実施形態によるタッチ圧力感知モジュール2000は、基準電位層2500、前記基準電位層2500の下部に形成されたスペーサ層2400、及び前記スペーサ層2400の下部層に形成された第1電極2100を含んでもよい。図16aの構成及び動作は、単に基準電位層2500と第1電極2100の相対的な位置が交替したことを除いて図12a及び図12bの構成及び動作と同一なので、以下重複する説明は省略する。 【0059】 図16bに示されたように、実施形態によるタッチ圧力感知モジュール2000は、基準電位層2500、前記グランドの下部に形成されたスペーサ層2400、前記スペーサ層2400の下部層に形成された第1電極2100、及び前記第1電極2100が形成された層の下部層に形成された第2電極2200を含んでもよい。図16bの構成及び動作は、単に基準電位層2500と第1電極2100及び第2電極2200の相対的な位置が交替したことを除いて図12c及び図12dの構成及び動作と同一なので、以下重複する説明は省略する。この時、第1電極2100と第2電極2200が同一の層に形成された場合にも、図12c及び図12dで説明したことと同様にタッチ圧力が感知されてもよい。 【0060】 図15においては、タッチ位置感知モジュール1000の下部にディスプレイモジュール3000が配置されたものと説明したが、タッチ位置感知モジュール1000がディスプレイモジュール3000の内部に含まれた形態も可能である。また、図15ではディスプレイモジュール3000の下部にタッチ圧力感知モジュール2000が配置されたものと説明したが、タッチ圧力感知モジュール2000の一部がディスプレイモジュール3000の内部に含まれた形態も可能である。具体的に、前記タッチ圧力感知モジュール2000の基準電位層2500がディスプレイモジュール3000の内部に配置され、前記ディスプレイモジュール3000の下部に電極2100、2200が形成されてもよい。このように基準電位層2500がディスプレイモジュール3000の内部に配置されれば、ディスプレイモジュール3000の内部に形成されている間隙をタッチ圧力を感知するためのスペーサ層として使用することによって、全体的なタッチスクリーン130の厚さを減少させることができる。この時、前記基板4000の上部に電極2100、2200が形成されてもよい。このように、電極2100、2200が基板4000の上部に形成されれば、ディスプレイモジュール300の内部に形成されている間隙だけでなく、ディスプレイモジュール3000と基板4000との間に形成されている間隙をタッチ圧力を感知するためのスペーサ層として使用することによって、タッチ圧力を感知する感度をもう少し高めることができる。」 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献2には、タッチスクリーンとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「タッチスクリーン130は、タッチ位置感知モジュール1000、前記タッチ位置感知モジュール1000の下部に配置されたディスプレイモジュール3000、前記ディスプレイモジュール3000の下部に配置されたタッチ圧力感知モジュール2000、及び前記タッチ圧力感知モジュール2000の下部に配置された基板4000を含み、 タッチ圧力感知モジュール2000は、スペーサ層2400を含んで、スペーサ層2400は、エアギャップ(air gap)で具現され、 タッチ圧力感知モジュール2000は、基準電位層2500を含んで、基準電位層は、グランド(ground)電位を有するグランド層であって、基準電位層は、タッチ圧力を感知するための第1電極2100が形成された2次元平面又は第2電極2200が形成された2次元平面と平行した平面を有してもよく、 タッチ圧力感知モジュール2000が基準電位層2500を含まず、タッチ圧力感知モジュール2000の下部に配置された基板4000が基準電位層の役割をすることができ、 タッチ圧力感知モジュール2000は、一つの層に形成された第1電極2100、前記第1電極2100が形成された層の下部に形成されたスペーサ層2400、及び前記スペーサ層2400の下部に形成された基準電位層2500を含み、 使用者の指又はスタイラスのような客体によってタッチスクリーン130に圧力が加えられる場合、第1電極2100が少なくともタッチ位置でたわむことになり、第1電極2100と基準電位層2500との間の距離dが変わることになって、これにより、第1電極2100の自体静電容量が変わることになり、圧力が加えられることによって変わる第1電極2100の自体静電容量を測定してタッチ圧力を検出し、 また、ディスプレイモジュール3000と基板4000との間に既に形成されている間隙をタッチ圧力を感知するためのスペーサ層として使用する タッチスクリーン130。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「タッチスクリーン130」は、「タッチ圧力感知モジュール2000」を含むものであるから、本願発明1の「タッチ圧力検出が可能なタッチ入力装置」に相当する。 イ.引用発明は、「ディスプレイモジュール3000の下部に配置されたタッチ圧力感知モジュール2000」を含み、「タッチ圧力感知モジュール2000は、一つの層に形成された第1電極2100、前記第1電極2100が形成された層の下部に形成されたスペーサ層2400、及び前記スペーサ層2400の下部に形成された基準電位層2500」を含み、「第1電極2100」は「タッチ圧力を感知するため」のものであるから、引用発明の「第1電極2100」は本願発明1の「圧力検出のための圧力電極」に相当し、引用発明の「ディスプレイモジュール3000」は、本願発明1の「下部面に圧力検出のための圧力電極が形成されたディスプレイパネル」と「下部面に圧力検出のための圧力電極が配置されたディスプレイパネル」である点では共通するといえる。 ウ.引用発明の「タッチ圧力感知モジュール2000は、一つの層に形成された第1電極2100、前記第1電極2100が形成された層の下部に形成されたスペーサ層2400、及び前記スペーサ層2400の下部に形成された基準電位層2500を含」むから、引用発明の「基準電位層2500」は、本願発明1の「前記圧力電極と離隔して形成された基準電位層」に相当する。 エ.引用発明は、「タッチ圧力感知モジュール2000の下部に配置された基板4000を含み」、「タッチ圧力感知モジュール2000は、基準電位層2500を含んで」もよく、「タッチ圧力感知モジュール2000が基準電位層2500を含まず、タッチ圧力感知モジュール2000の下部に配置された基板4000が基準電位層の役割をすることができ」るものであるから、引用発明の「タッチ圧力感知モジュール2000の下部に配置され」「基準電位層の役割をする」「基板4000」は、本願発明1の「前記ディスプレイパネルの下部に配置されて前記基準電子層が含まれる基板」に相当する。 オ.引用発明が、「使用者の指又はスタイラスのような客体によってタッチスクリーン130に圧力が加えられる場合、第1電極2100が少なくともタッチ位置でたわむことになり、第1電極2100と基準電位層2500との間の距離dが変わることになって、これにより、第1電極2100の自体静電容量が変わることになり、圧力が加えられることによって変わる第1電極2100の自体静電容量を測定してタッチ圧力を検出」することは、本願発明1の「前記圧力電極と前記基準電位層との間の距離の変化による静電容量の変化量に基づいてタッチ圧力を検出」することに相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。 〈一致点〉 「タッチ圧力検出が可能なタッチ入力装置であって、 下部面に圧力検出のための圧力電極が配置されたディスプレイパネルと、 前記圧力電極と離隔して形成された基準電位層と、 前記ディスプレイパネルの下部に配置されて前記基準電子層が含まれる基板と、 を含み、 前記圧力電極と前記基準電位層との間の距離の変化による静電容量の変化量に基づいてタッチ圧力を検出する、 タッチ入力装置。」 である点。 〈相違点1〉 本願発明1は、「前記ディスプレイパネルは、ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層、ガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層が備えられ」たものであり、「前記圧力電極は、前記下部基板層の下部面に直接形成され」ることにより、「ディスプレイパネル」の「下部面に圧力検出のための圧力電極が形成された」ものであるのに対し、引用発明は、「ディスプレイモジュール3000」の構成は特定されておらず、また、「第1電極2100」は「ディスプレイモジュール3000」の下部に配置されるものの、「第1電極2100」が「ディスプレイモジュール3000」を構成する「下部基板層の下部面に直接形成され」るものではない点。 〈相違点2〉 本願発明1は、「タッチ圧力がない時、」「前記圧力電極と前記基準電位層との間の距離」は「前記基板の縁部分にのみ配置された支持部材によって保持される」ものであるのに対し、引用発明は、「タッチ圧力感知モジュール2000は、一つの層に形成された第1電極2100、前記第1電極2100が形成された層の下部に形成されたスペーサ層2400、及び前記スペーサ層2400の下部に形成された基準電位層2500を含み」、「スペーサ層2400は、エアギャップ(air gap)で具現され」るものの、「第1電極2100」と「基準電位層2500」との間の距離を保持するための構成は特定されていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、例えば、特開2008-83497号公報の段落【0063】に「液晶パネル2は、液晶32を挟んで対向する第1基板22aと第2基板22bとを、これら2枚の基板の周縁部に環状に設けたシール材23によって接着した構成を備える。」と記載されるように、「ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層、ガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層」を含むディスプレイパネルは、本願の優先日前周知のものと認められ、引用発明の「ディスプレイモジュール3000」を「ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層、ガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層」を含む構成のものとすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。 しかしながら、引用発明の「ディスプレイモジュール3000」の構成を上記周知のものとすることにより、直ちに、「ディスプレイモジュール3000」の下部面に配置する「第1電極2100」(圧力電極)が「下部基板層の下部面に直接形成」されるものではない。 そして、「圧力電極」を「ガラスまたはプラスチックで構成された上部基板層、ガラスまたはプラスチックで構成された下部基板層、及び前記上部基板層と前記下部基板層との間に液晶層または有機物層が備えられたディスプレイパネル」の下部基板層の下部面に直接形成することは、引用文献1,3-5のいずれにも記載も示唆もされておらず 、また、本願の優先日前周知のこととは認められない。 また、引用発明において、「第1電極2100」を「ディスプレイモジュール3000」の下部に配置するにあたり、「第1電極2100」を「ディスプレイモジュール3000」を構成する「下部基板層の下部面に直接形成」する、積極的な動機はない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献1,3-5に記載された技術及び上記周知の事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-6について 本願発明2-6は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1,3-5に記載された技術及び上記周知の事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明7について 本願発明7は、「前記下部基板層の下部面に圧力電極を直接形成する」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1,3-5に記載された技術及び上記周知の事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4.本願発明8-11について 本願発明8-11は、本願発明7を直接又は間接的に引用するものであり、上記「3.請求項7について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1,3-5に記載された技術及び上記周知の事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-6は、「前記圧力電極は、前記下部基板層の下部面に直接形成され」との、本願発明7-11は、「前記下部基板層の下部面に圧力電極を直接形成する」との記載を備えるものとなっており、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-11-12 |
出願番号 | 特願2016-144086(P2016-144086) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 萩島 豪 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
山田 正文 稲葉 和生 |
発明の名称 | 圧力電極が形成されたディスプレイモジュールを含むタッチ入力装置及び圧力電極形成方法 |
代理人 | 今藤 敏和 |
代理人 | 金山 賢教 |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 市川 英彦 |
代理人 | 飯野 陽一 |
代理人 | 岩瀬 吉和 |
代理人 | 安藤 健司 |
代理人 | 五味渕 琢也 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 市川 祐輔 |
代理人 | 川嵜 洋祐 |
代理人 | 重森 一輝 |
代理人 | 青木 孝博 |