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審決分類 |
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 C01F 審判 一部申し立て 2項進歩性 C01F 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 C01F 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C01F 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C01F |
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管理番号 | 1345824 |
異議申立番号 | 異議2017-701104 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-24 |
確定日 | 2018-09-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6134334号発明「シリカ含有アルミナ担体、それから生じさせた触媒およびそれの使用方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6134334号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1ないし8]、[9ないし16]、[17ないし27]について訂正することを認める。 特許第6134334号の請求項1、2、5、6、8ないし10、13、14、16、17、19ないし21、23ないし27に係る特許を維持する。 特許第6134334号の請求項3、4、7、11、12、15、18、22に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6134334号の請求項1ないし31に係る特許についての出願は、平成29年4月28日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年11月24日付けで特許異議申立人成田隆臣より、その請求項1ないし27に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、平成30年2月27日付けで取消理由が通知され、その指定期間内の平成30年5月31日付けで意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正」という。)がなされたものである。 なお、本件訂正について、特許異議申立人からの特許法第120条の5第5項に基づく意見書の提出はなかった。 第2 本件訂正について 1.訂正請求の趣旨及び理由 平成30年6月12日付けの手続補正書(方式)の内容も踏まえると、特許権者は、特許請求の範囲の請求項1ないし27について、一群の請求項を構成している3つのグループ(請求項1ないし8、請求項9ないし16、請求項17ないし27)単位で、訂正事項1ないし31(後述)に基づき、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを請求するものである。 以下、一群の請求項ごとに訂正の適否を検討する。 2.訂正の適否 (1)一群の請求項1ないし8について 訂正前の請求項1を、請求項2ないし8が直接又は間接的に引用するものである。 ア 訂正の内容について 以下の訂正事項1ないし9のとおり訂正することを請求するものである。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における 「シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の」 との記載を 「シリカ含有量が0.1重量%?3.0重量%の」 と訂正する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1における 「沈澱アルミナ」 との記載を 「焼成された沈殿アルミナ」 と訂正する。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1における 「総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および」 との記載を 「総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、」と訂正する。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1における 「孔径分布幅を示す、」 との記載を 「孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す、」 と訂正する。 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項2における 「SiO_(2)を少なくとも3重量%含有」 との記載を 「SiO_(2)を3重量%含有」 と訂正する。 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項5における 「請求項1、2、3または4記載の」 との記載を 「請求項1または2記載の」 と訂正する。 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 イ 訂正の目的について 訂正事項1、3、5は、数値範囲の減縮であり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項2は、「沈殿アルミナ」という一般的な化学用語として使用されていない技術用語についての訂正であって、そのままでは焼成工程を経ていないものと解される余地があったものについて、沈殿工程により得られたアルミナを焼成することによって得られたものを意味することを明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正である。 訂正事項4は、新たな構成要件を付加して発明を技術的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項6、7、9は、請求項を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項8は、選択的引用請求項の一部を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 以上のことから、訂正事項1ないし9に係る訂正の目的は適法である。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項1、3、5に係る数値範囲の減縮は、いずれも数値範囲をより狭い数値範囲に限定するものである。そして、この限定による発明の効果の変更や追加は認められないから、この限定は新たな技術的事項を導入するものではなく、新規事項に該当しない。 訂正事項2は、本件特許明細書【0030】?【0039】に本件発明のアルミナ組成物に含有されるアルミナが沈殿工程によって得られたものであることが記載されており、特に以下の記載事項によれば、最終的なシリカ含有アルミナ組成物は焼成することによって得られたものであることが読み取れる。 「【0038】 (・・・)約100℃から約200℃の範囲の温度で約20分から約3時間乾燥させることでシリカ含有アルミナ押出し加工品を得る。その後、その乾燥させたアルミナ押出し加工品に焼成を約400℃から約900℃の範囲の温度で約30分から約4時間受けさせることで最終的シリカ含有アルミナ組成物を得る。 【0039】 (・・・)その後、本明細書の上に記述した如き2番目の段階の添加沈澱段階を実施することでシリカ含有アルミナスラリーを得る。その後、そのシリカアルミナスラリーの濾過、乾燥、押出し加工そして焼成を本明細書の上に記述したようにして実施することで最終的シリカ含有アルミナ組成物を得る。」 よって、新たな技術的事項は導入されておらず、新規事項の追加に該当しない。 訂正事項4は、本件明細書【0012】に以下のように記載されている。 「【0012】 本発明に従い、細孔容積が0.60cc/g以上でありかつ孔径中央値が約70Åから約120Åの範囲であることを特徴とする孔構造を示すシリカ含有アルミナ組成物を提供する。本発明の組成物は、総細孔容積の少なくとも90%が約20Åから約250Åの範囲内に入るような孔径分布を示しかつ約40Å以上の孔径分布幅を示す。本発明の組成物は、右側にショルダーまたはテールがしばしば表れる一頂孔構造を示すことは明らかであり、このことは、孔径中央値より大きい孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっていることを示している。」 よって、新たな技術的事項は導入されておらず、新規事項の追加に該当しない。 以上に加え、訂正事項6、7、9は請求項の削除、訂正事項8は、選択的引用請求項の一部を削除するものであるから、訂正事項1ないし9は、いずれも新規事項の追加に該当しない。 エ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1ないし9は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)一群の請求項9ないし16について 訂正前の請求項9を、請求項10ないし16が直接又は間接的に引用するものである。 ア 訂正の内容について 以下の訂正事項10ないし19のとおり訂正することを請求するものである。 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項9における 「シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の」 との記載を 「シリカ含有量が少なくとも0.1重量%?3.0重量%の」 と訂正する。 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項9における 「沈澱アルミナ」 との記載を 「焼成された沈殿アルミナ」 と訂正する。 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項9における 「総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および」 との記載を 「総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、」と訂正する。 訂正事項13 特許請求の範囲の請求項9における 「孔径分布幅を示す」 との記載を 「孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す」 と訂正する。 訂正事項14 特許請求の範囲の請求項10における 「前記沈澱アルミナ」 との記載を 「前記焼成された沈殿アルミナ」 と訂正する。 訂正事項15 特許請求の範囲の請求項10における 「SiO_(2)を少なくとも3重量%含有」 との記載を 「SiO_(2)を3重量%含有」 と訂正する。 訂正事項16 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 訂正事項17 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 訂正事項18 特許請求の範囲の請求項13における 「請求項9、10、11または12記載の」 との記載を 「請求項9または10記載の」 と訂正する。 訂正事項19 特許請求の範囲の請求項15を削除する。 イ 訂正の目的について 訂正事項10、12、15は、数値範囲の減縮であり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項11、14は、「沈殿アルミナ」という一般的な化学用語として使用されていない技術用語についての訂正であって、そのままでは焼成工程を経ていないものと解される余地があったものについて、沈殿工程により得られたアルミナを焼成することによって得られたものを意味することを明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正である。 訂正事項13は、新たな構成要件を付加して発明を技術的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項16、17、19は、請求項を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項18は、選択的引用請求項の一部を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 以上のことから、訂正事項10ないし19に係る訂正の目的は適法である。 ウ 新規事項の有無について 上記2.(1)ウと同様であるから、何れも、新たな技術的事項は導入されておらず、新規事項の追加に該当しない。 エ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項10ないし19は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)一群の請求項17ないし27について 訂正前の請求項17を、請求項18ないし27が直接又は間接的に引用するものである。 ア 訂正の内容について 以下の訂正事項20ないし31のとおり訂正することを請求するものである。 訂正事項20 特許請求の範囲の請求項17における 「SiO_(2)含有量が少なくとも0.1重量%の」 との記載を 「SiO_(2)含有量が0.1重量%?3.0重量%の」 と訂正する。 訂正事項21 特許請求の範囲の請求項17における 「沈澱アルミナ」 との記載を 「焼成された沈殿アルミナ」 と訂正する。 訂正事項22 特許請求の範囲の請求項17における 「総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および」 との記載を 「総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、」と訂正する。 訂正事項23 特許請求の範囲の請求項17における 「孔径分布幅を示す」 との記載を 「孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す」 と訂正する。 訂正事項24 特許請求の範囲の請求項17における 「およびVIB族の金属成分、VIII族の金属成分、燐化合物およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1種の触媒活性成分」 との記載を 「、並びに(i)MoおよびWから選択されるVIB族の金属成分および(ii)NiおよびCoから選択されるVIII族の金属成分から成る群より選択される少なくとも1種の触媒活性成分および燐化合物、または(i)、(ii)および燐化合物の組み合わせ、」 と訂正する。 訂正事項25 特許請求の範囲の請求項18を削除する。 訂正事項26 特許請求の範囲の請求項19における 「アルミナ組成物」 との記載を 「焼成された沈殿アルミナ組成物」 と訂正する。 訂正事項27 特許請求の範囲の請求項19における 「SiO_(2)を3から10重量%含有」 との記載を 「SiO_(2)を3重量%含有」 と訂正する。 訂正事項28 特許請求の範囲の請求項20における 「請求項17、18または19記載の」 との記載を 「請求項17または19記載の」 と訂正する。 訂正事項29 特許請求の範囲の請求項22を削除する。 訂正事項30 特許請求の範囲の請求項23における 「請求項22記載の」 との記載を 「請求項17記載の」 と訂正する。 訂正事項31 特許請求の範囲の請求項25における 「請求項17、18、19、22または23記載の」 との記載を 「請求項17、18、19または23記載の」 と訂正する。 イ 訂正の目的について 訂正事項20、22、27は、数値範囲の減縮であり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項21は、「沈殿アルミナ」という一般的な化学用語として使用されていない技術用語についての訂正であって、そのままでは焼成工程を経ていないものと解される余地があったものについて、沈殿工程により得られたアルミナを焼成することによって得られたものを意味することを明確にするものであり、訂正事項26はこれと整合させるものであるから、何れも明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正である。 訂正事項23は、新たな構成要件を付加して発明を技術的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項24は、金属成分について具体的に特定し、かつ、燐化合物を必須の成分として特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項25、29は、請求項を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 訂正事項30は、訂正事項29の請求項削除に伴い、引用する請求項を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正である。 訂正事項28、31は、選択的引用請求項の一部を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。 以上のことから、訂正事項10ないし19に係る訂正の目的は適法である。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項20ないし23、25ないし31については、上記2.(1)ウと同様、何れも、新たな技術的事項は導入されておらず、新規事項の追加に該当しない。 訂正事項24については、本件明細書【0046】【0047】に以下のように記載されている。 「【0046】 そのような触媒活性成分には、典型的に、これらに限定するものでないが、VIB族の金属、VIII族の金属およびこれらの組み合わせから成る群より選択した遷移金属または遷移金属の化合物が含まれる。水素化変換用触媒に存在させる触媒活性VIB族成分の量を酸化物として表して一般に触媒の約10から約40重量%の範囲の量にする。本発明の1つの態様では、VIB族の金属を水素化変換用触媒の約15から35重量%の範囲の量で存在させる。好適には、そのVIB族の金属をMo、Wおよびこれらの組み合わせから成る群より選択する。より好適には、VIB族の金属をMoにする。水素化変換用触媒に存在させるVIII族金属の量を酸化物として表して一般に変換用触媒の約1から約15重量%の範囲にする。本発明の1つの態様では、VIII族の金属を触媒の約2から約10重量%の範囲の量で存在させる。VIII族の金属を好適にはNi、Coおよびこれらの組み合わせから成る群より選択する。好適には、VIII族の金属をNiにする。 【0047】 さらなる態様では、そのような触媒活性成分に燐成分を含める。」 よって、新たな技術的事項は導入されておらず、新規事項の追加に該当しない。 エ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項20ないし31は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)独立特許要件について 本件訂正は、異議申立てがされていない請求項28ないし31について訂正するものではないから、独立特許要件の検討は要しない。 (5)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1ないし8]、[9ないし16]、[17ないし27]について訂正することを認める。 第3 訂正後の特許請求の範囲 本件訂正後の特許請求の範囲は、以下のとおりである。 以下、異議申立てのされている訂正後の請求項1ないし27に係る発明を、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明27」という。 本件特許発明3、4、7、11、12、15、18、22については、本件訂正により削除されているので、以下、異議申立てについての検討の対象とはしない。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 シリカ含有量が0.1重量%?0.3重量%の焼成された沈澱アルミナを含有して成るアルミナ組成物であって、0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、40Å以上の孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す、中間留分または重質炭化水素原料の水素化変換および水素化処理で用いるための触媒の担体として有用なアルミナ組成物。 【請求項2】 SiO_(2)を3重量%含有して成る請求項1記載のアルミナ組成物。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 0.60cc/gから1.0cc/gの総細孔容積を示す請求項1または2記載のアルミナ組成物。 【請求項6】 前記孔径分布幅が40Åから120Åの範囲である請求項5記載のアルミナ組成物。 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 前記細孔容積および孔径分布特性が水銀ポロシメーターを用いた水銀貫入ポロシメトリーで圧力の範囲を大気圧から60,000psiにして接触角θ=140°および474mN/mの水銀表面張力を用いて25℃で測定した特性である請求項1記載のアルミナ組成物。 【請求項9】 中間留分または重質炭化水素原料の水素化変換で用いるための触媒組成物の1成分とし て用いるに適した担体材料であって、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%?3.0重量%の焼成された沈澱アルミナを含有して成り、0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、40Åから120Åの孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す担体材料。 【請求項10】 前記焼成された沈澱アルミナがSiO_(2)を3重量%含有して成る請求項9記載の担体材料。 【請求項11】 (削除) 【請求項12】 (削除) 【請求項13】 前記組成物が0.60から1.0cc/gの総細孔容積を示す請求項9または10記載の担体材料。 【請求項14】 前記孔径分布幅が40Åから120Åの範囲である請求項13記載の担体材料。 【請求項15】 (削除) 【請求項16】 前記細孔容積および孔径分布特性が水銀ポロシメーターを用いた水銀貫入ポロシメトリーで圧力の範囲を大気圧から60,000psiにして接触角θ=140°および474mN/mの水銀表面張力を用いて25℃で測定した特性である請求項9記載の担体材料。 【請求項17】 中間留分または重質炭化水素原料の水素化変換で用いるに適した触媒組成物であって、SiO_(2)含有量が0.1重量%?0.3重量%の焼成された沈澱アルミナ組成物を含有して成り、0.60cc/g以上の細孔容積、70から120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、40Åから120Åの孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す担体材料、並びに(i)MoおよびWから選択されるVIB族の金属成分および(ii)NiおよびCoから選択されるVIII族の金属成分から成る群より選択される少なくとも1種の触媒活性成分および燐化合物、または(i)、(ii)および燐化合物の組み合わせ、を含有して成る触媒組成物。 【請求項18】 (削除) 【請求項19】 前記担体材料の焼成された沈殿アルミナ組成物がSiO_(2)を3重量%含有して成る請求項17記載の触媒組成物。 【請求項20】 前記担体材料が0.60cc/gから1.0cc/gの総細孔容積を示す請求項17または19記載の触媒組成物。 【請求項21】 前記VIB族の金属成分が触媒組成物中に10重量%から40重量%の範囲の量で存在し、前記VIII族の金属成分が触媒組成物中に1重量%から15重量%の範囲の量で存在し、そして前記燐化合物が触媒組成物中に酸化物として0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、ここで、あらゆる重量%は触媒組成物の総重量を基準にしたものである請求項20記載の触媒組成物。 【請求項22】 (削除) 【請求項23】 前記孔径分布幅が40Åから120Åの範囲である請求項17記載の触媒組成物。 【請求項24】 前記担体材料が示す細孔容積および孔径分布特性が水銀ポロシメーターを用いた水銀貫入ポロシメトリーで圧力の範囲を大気圧から60,000psiにして接触角θ=140°および474mN/mの水銀表面張力を用いて25℃で測定した特性である請求項17または23記載の触媒組成物。 【請求項25】 中間留分または重質炭化水素原料に水素化処理を受けさせる方法であって、請求項17、18、19または23記載の触媒と前記原料を適切な水素化処理条件下で接触させることを含んで成る方法。 【請求項26】 前記水素化処理条件が水素化脱硫条件である請求項25記載の方法。 【請求項27】 前記水素化処理条件が水素化脱窒素条件である請求項25記載の方法。 【請求項28】 触媒担体の製造方法であって、 (a)アルカリ性水溶液に入っているアルカリ性化合物または酸性水溶液に入っている酸性化合物またはそのような溶液に入っている両方がアルミニウム含有化合物であることを条件として少なくとも1種のアルカリ性化合物が入っているアルカリ性水溶液と少なくとも1種の酸性化合物が入っている酸性水溶液の混合を6から11の範囲のpHで実施することで1番目の水性アルミナスラリーを生じさせるが、前記混合中に前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持することで、1番目の水性スラリーとして種晶アルミナを沈澱させ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のアルミナ含有水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーの濾過そして洗浄を行うことでアルミナ粒子を得、 (e)前記アルミナ粒子を水溶液に入れて再びスラリー状にすることで3番目のアルミナ含有スラリーを得、 (f)前記3番目のアルミナ含有スラリーを60℃から90℃の範囲の温度に加熱し、 (g)その加熱したスラリーにシリカ含有化合物を触媒担体中のSiO_(2)が少なくとも0.1重量%になるに充分な量で添加し、 (h)場合により、前記シリカ含有アルミナスラリーに解膠を受けさせてもよく、 (i)(g)または(h)で得た前記スラリーの濾過そして乾燥を行うことで押出し加工可能なシリカ含有アルミナ混合物を得、 (j)(i)に示した前記シリカ含有アルミナ混合物の押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (k)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成っていて0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、ことを含んで成る方法。 【請求項29】 触媒担体の製造方法であって、 (a)シリカ含有化合物を触媒担体中のシリカが少なくとも0.1重量%になるに充分な量で含有する水性スラリーとアルカリ性水溶液とアルミニウム化合物水溶液を6から11の範囲のpHで前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持しながら組み合わせて沈澱シリカ含有アルミナが入っている1番目の水性スラリーを生じさせることで、アルミナの1番目の水性スラリーを生じさせ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のシリカ含有アルミナ水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のシリカ含有アルミナが入っている水性スラリーの濾過そして洗浄を行うことでシリカ含有アルミナを得、 (e)場合により、前記シリカ含有アルミナスラリーに解膠を受けさせてもよく、 (f)(d)または(e)で得た前記スラリーの濾過そして乾燥を行うことでシリカ含有アルミナを得、 (g)(f)で得た前記シリカ含有アルミナの押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (h)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成っていて0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、ことを含んで成る方法。 【請求項30】 触媒担体の製造方法であって、 (a)アルカリ性水溶液とアルミニウム化合物水溶液の混合を6から11の範囲のpHで実施することで1番目の水性アルミナスラリーを生じさせるが、前記混合中に前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持することで種晶アルミナを沈澱させ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のアルミナ含有水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーを洗浄し、 (e)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーを60℃から90℃の範囲の温度に加熱し、 (f)(e)で得た前記スラリーにシリカ含有化合物を触媒担体中のSiO_(2)が少なくとも0.1重量%になるに充分な量で添加し、 (g)場合により、前記シリカ含有アルミナスラリーに解膠を受けさせてもよく、 (h)(f)または(g)で得た前記スラリーの濾過そして乾燥を行うことで押出し加工可能なシリカ含有アルミナを得、 (i)(h)で得た前記シリカ含有アルミナの押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (j)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成っていて0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、ことを含んで成る方法。 【請求項31】 触媒担体材料の製造方法であって、 (a)アルカリ性水溶液とアルミニウム化合物水溶液の混合を6から11の範囲のpHで実施することで1番目の水性アルミナスラリーを生じさせるが、前記混合中に前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持することで種晶アルミナを沈澱させ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のアルミナ含有水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーに噴霧乾燥を受けさせることでアルミナ粒子を得、 (e)(d)で得た噴霧乾燥アルミナ粒子をシリカ含有化合物と触媒担体中のSiO_(2)が少なくとも0.1重量%になるに充分な量で接触させることで押出し加工可能なシリカ含有アルミナ混合物を生じさせそして前記混合物を水溶液で湿らせ、 (f)(e)で得た前記シリカ含有アルミナの押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (g)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成っていて0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、ことを含んで成る方法。」 第4 申立理由の概要 特許異議申立人は、甲第1ないし18号証を提示し、次の申立理由(1)ないし(3)により、本件特許は取り消すべきものである旨主張している。 1.申立理由(1) 訂正前の本件請求項1ないし16に係る発明は、甲第1号証に記載された実施例3からみて、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 2.申立理由(2) 訂正前の本件請求項1ないし27に係る発明は、甲第1号証に記載された実施例3及び周知慣用技術や当業者の技術常識に照らして、甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 3.申立理由(3) 訂正前の本件請求項1ないし27に係る発明について、本件明細書の発明の詳細な説明には、2段階沈殿方法以外の製造方法で得られる沈殿アルミナについて、発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第4項第1号に規定の要件を満たしていないものである。 4.申立理由(4) 訂正前の請求項1ないし27に係る発明は、本件請求項の記載によれば2段階沈殿方法以外の製造方法で得られる沈殿アルミナに係る発明を包含しているものであり、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものであるから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第1号に規定の要件を満たしていないものである。 5.申立理由(5) 訂正前の本件請求項1ないし27に係る発明について、「沈殿アルミナ」が一般的な化学用語として確立されていないことにより、請求項1ないし27に記載された特許を受けようとする発明が明確でないから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第2号に規定の要件を満たしていないものである。 <引用文献等一覧> 甲第1号証 特公昭54-37163号公報 甲第2号証 触媒学会編、「触媒講座第5巻(工学編1)触媒設計」、株式会社講談社、1985年12月10日、第72?73、77?79、94頁 甲第3号証 服部英、「新しい触媒化学」、三共出版株式会社、1990年5月10日、第173?174頁 甲第4号証 特開2001-334150号公報 甲第5号証 特開2004-43579号公報 甲第6号証 国際化学物質安全性カード、「酸化鉄(III)、ICSC番号:1577」、国立医薬品食品衛生研究所、2016年10月26日インターネット検索、<URL:http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss1577c.html> 甲第7号証 国際公開第2013/095856号の第1、6頁 甲第8号証 特公昭61-19301号公報の第1、3頁 甲第9号証 特公昭62-3198号公報の第1、5頁 甲第10号証 特公平2-37390号公報の第1、5-6頁 甲第11号証 特公平8-19427号公報の第1、4頁 甲第12号証 特表2010-535620号公報の第1、6頁 甲第13号証 特表2012-520765号公報の第1、6頁 甲第14号証 特表2013-527019号公報の第1、7頁 甲第15号証 特表2013-535330号公報の第1、6頁 甲第16号証 特表2013-537100号公報の第1、6頁 甲第17号証 特表2013-538120号公報の第1、9頁 甲第18号証 田部浩三、「金属酸化物と複合酸化物」、株式会社講談社、1991年8月10日(第6刷発行)、第72?74、84頁 第5 取消理由の概要 当審において、平成30年2月27日付けで通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 1.取消理由(1)(上記申立理由(5)に相当) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願にされたものであるから、取り消すべきものである。 即ち、請求項1、9ないし11、17に記載の「沈殿アルミナ」の意味内容が明確でない。 2.取消理由(2)(その1は上記申立理由(1)に相当) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内において頒布された下記の刊行物(甲第1号証)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 甲第1号証:特公昭54-37163号公報 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 a 「上記(ii)の半径50Å以上の細孔が全細孔容積中に占める割合は以下のようにして測定算出される。 乾燥した試料無機固体物質Agrを採って試料容器に封入し、容器内の空気を2×10-2mmHgとなるまで脱気減圧する。この試料容器を試験機にセットし、試料容器を水銀で満たしたのち、徐々に加圧する。試験機の圧力計の読みが2.14×104psiとなった時の初めに満たした水銀の量からの減量Bccを読みとり、累積孔容積B/A(cc/g)を算出する。この算出値をXとする。更に60,000psiまで加圧を続け、60,000psiにおける同様な累積孔容積を算出し、この値をYとする。 X/Y×100 (%) で半径50Å以上の細孔が全細孔容積中に占める割合とする。尚、測定は常温にて行なう。」(2頁左欄31?43行) b 「これら図面の結果が示すように、本発明に特定された細孔条件を満足しない無機固体物質触媒に比して、本発明によれば、遥かに温和な処理条件で格段に高い脱アスフアルテン率、脱ニッケル率、脱バナジウム率で、水素の存在下に蒸留残油を含む石油系炭化水素の予備処理を行なうことができ、この予備処理ずみ炭化水素を常法に従って接触水素化することによって、接触水素化処理反応域における触媒寿命を延長させ且つ温和な条件で水素化処理することを可能とし且つ水素化触媒の再生使用を効果的にすることができ、又接触水素化区域でも水素圧を可及的低くしても接触水素化処理触媒の活性を長時間維持することが可能となる。」(3頁右欄32?44行) c 「実施例3 常温で飽和の硫酸アルミニウム水溶液をはげしくかくはんしながら微粉砕した炭酸カルシウムを徐々に加え、上澄液としてAl_(2)O_(3) 105.7g/lおよびSO_(3) 85.7g/lを含む塩基性硫酸アルミニウムの水性コロイド溶液を得た。この溶液とSiO_(2) 107.5g/lを含むシリカゾルとをあらかじめ別に減圧下で5時間脱気して溶存ガスを除去した後、塩基性硫酸アルミニウムの水性コロイド溶液1lとシリカゾル100ccとを均一に混合した。この混合溶液を90℃に加熱された軽油中へ滴下させ直径2?4mmφの球状ヒドロゲルにした。このヒドロゲルはパイプにより搬出されて別に設けられた水を充たしたタンクへ入り、ここで硫酸根の1部を加水分解により流出してヒドロゲルのSO_(2)/Al_(2)O_(3)のモル比を0.55まで低下させる。水を切ってから再びヒドロゲルが埋没するだけ水を加え28%アンモニア水を徐々に滴下してpHを9.5とし、55℃で5時間加熱する。この操作によりヒドロゲル中に残留している硫酸根は硫酸アンモニウムとなってヒドロゲルから分離する。次いで水を加えて洗浄し硫酸根を認めなくなるまで続け、その後120℃の恒温槽中で20時間かかって乾燥し、さらに550℃で3時間焼成して直径1?2mmφの球状シリカアルミナ担体を得た。」(8頁右欄4?29行) d 「次に硝酸第二鉄281.5gに水123ccを加えて完全に溶解させ、この溶液400ccに上記の方法にしたがって製造した担体200ccを2時間浸漬させる。その後110℃で5時間乾燥し、最後に500℃で3時間焼成を行なった。このようにして得られた触媒の金属含有量は鉄9.8wt%であった。」(8頁右欄30?36行) e 「 」(9頁 表8) (1)特許法第29条第1項第3号(その1) ア 対象請求項 請求項1ないし16 イ 刊行物 甲第1号証 ウ 判断 甲第1号証に記載された実施例3の鉄担持触媒については、実施例3の記載(上記c、d)と表8(上記e)のデータに基づき、細孔直径に対する差分孔容積値を求めて直線で近似した分布図から試算(以下、「試算その1」ということがある。)すると、シリカ含有量9.2質量%、細孔容積0.789cc/g以上、孔径中央値103Å、40Åから200Åまでの範囲内の孔径分布98.6%、孔径分布幅約55Åとなり、本件特許発明1ないし16の要件を満たすものとなる。 (2)特許法第29条第1項第3号(その2) ア 対象請求項 請求項1ないし6、8ないし14、16ないし21、24、25 イ 刊行物 甲第1号証 ウ 判断 甲第1号証には、上記a-eが記載されている。上記cには、実施例3の中間物品として、「直径1?2mmφの球状シリカアルミナ担体」(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。甲1発明のシリカ含有量は9.2質量%であると認める。甲1発明は、上記cに記載のとおり製造されるものであるから、沈澱アルミナに相当するものと認める。鉄の担持量と表面積とから鉄の単位面積当たり付着量を求め、ここから担体の表面に担持された触媒の厚みの平均値(0.95Å)を見積もり、孔の形状を、水銀ポロシメトリーが想定する一軸方向に伸びた形状と仮定し、また、触媒が孔部でも偏在せず担持されたものと仮定して、上記eとから担体の細孔分布を求めると、総細孔容積0.821cc/g程度となる。ここから試算(以下、「試算その2」ということがある。)すると、孔径中央値は、101.9Å?121.9Åの範囲内の101.9Å側に存在するから120Å以下といえ、41.9Å?201.9Åの範囲に、総細孔容積の90%以上が存在する。そして、孔径分布幅40Å以上で60Å以下となるから、本件特許発明1ないし6、8ないし14、16は、甲1発明と相違しない。 甲第1号証には、実施例3として、甲1発明に鉄9.8wt%を担持させた触媒の発明も記載されているところ、鉄は、VIII族の金属成分に相当するから、本件特許発明17?21、24、25も、甲第1号証に記載された発明である。 3.取消理由(3)(上記申立理由(2)に相当) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内において頒布された刊行物(甲第1号証)に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (1)第29条第2項(その1) ア 対象請求項 請求項17ないし20、22ないし27 イ 証拠 甲第1号証 ウ 判断 本件特許発明17ないし20、22ないし27については、触媒の活性成分として各種の金属成分を含有させること等が当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないから、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)第29条第2項(その2) ア 対象請求項 請求項21 イ 証拠 甲第1、4、5号証 ウ 判断 本件特許発明21については、触媒の活性成分として特定の金属成分及び燐化合物を含有させること等が甲第4,5号証に記載の技術的事項からみて当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないから、甲第1号証に記載された発明と甲第4号証、甲第5号証に記載された技術的事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 当審の判断 1.取消理由(1)について 意味内容が明確でないとされていた「沈殿アルミナ」との技術用語については、本件訂正により「焼成された沈殿アルミナ」と訂正され、沈殿工程によって得られたアルミナを焼成したものであることが明確となった。 よって、取消理由(1)は理由がない。 2.取消理由(2)及び(3)について (1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比 本件特許発明1が訂正されたことにより、両発明は以下の点で相違することとなった。 相違点1: 本件特許発明1のシリカ含有量が「0.1重量%?3.0重量%」であるのに対し、甲第1号証に記載された発明では「9.2重量%」である点 相違点2: 本件特許発明1では、「総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布」であるのに対し、甲第1号証に記載された発明では、試算その1では「40Åから200Åまでの範囲内の孔径分布98.6%」となっていて、20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布は総細孔容積の95%を超えることとなっている点。 なお、試算その2の結果に基づいた場合については、この点が特定されていた訂正前の本件特許発明7は取消理由の対象となっていない。 相違点3: 本件特許発明1では、「孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す」のに対し、甲第1号証に記載された発明ではこのような特定は無い点。 上記相違点は何れも実質的なものであって、甲第1号証の記載に加え、甲第2ないし18号証に記載された技術的事項や周知慣用技術を考慮しても、これらの点は何れも当業者が容易に想到しうるものであるとはいえない。 よって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2)本件特許発明2、5、6、8について 本件特許発明2、5、6、8については、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、上記(1)と同様、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)本件特許発明9と甲第1号証に記載された発明との対比 本件特許発明9が訂正されたことにより、両発明は以下の点で相違することとなった。 相違点4: 本件特許発明9のシリカ含有量が「少なくとも0.1重量%?3.0重量%」であるのに対し、甲第1号証に記載された発明では「9.2重量%」である点 相違点5: 本件特許発明9では、「総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布」であるのに対し、甲第1号証に記載された発明では、試算その1では「40Åから200Åまでの範囲内の孔径分布98.6%」となっていて、20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布は総細孔容積の95%を超えることとなっている点。 なお、試算その2の結果に基づいた場合については、この点が特定されていた訂正前の本件特許発明15は取消理由の対象となっていない。 相違点6: 本件特許発明9では、「孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す」のに対し、甲第1号証に記載された発明ではこのような特定は無い点。 上記相違点4は上記相違点1と同様であり、上記相違点5は上記相違点2と同様であり、上記相違点6は上記相違点3と同様であって、何れも実質的なものであり、甲第1号証の記載に加え、甲第2ないし18号証に記載された技術的事項や周知慣用技術を考慮しても、これらの点は何れも当業者が容易に想到しうるものであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)本件特許発明10、13、14、16について 本件特許発明10、13、14、16については、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、上記(3)と同様、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (5)本件特許発明17と甲第1号証に記載された発明との対比 本件特許発明17が訂正されたことにより、両発明は以下の点で相違することとなった。 相違点7: 本件特許発明17のSiO_(2)含有量が「0.1重量%?3.0重量%」であるのに対し、甲第1号証に記載された発明では「9.2重量%」である点 相違点8: 本件特許発明17では、「総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布」であるのに対し、甲第1号証に記載された発明では、試算その1では「40Åから200Åまでの範囲内の孔径分布98.6%」となっていて、20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布は総細孔容積の95%を超えることとなっている点。 なお、試算その2の結果に基づいた場合については、この点が特定されていた訂正前の本件特許発明22は取消理由の対象となっていない。 相違点9: 本件特許発明17では、「孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す」のに対し、甲第1号証に記載された発明ではこのような特定は無い点。 相違点10: 本件特許発明17では、金属成分について「(i)MoおよびWから選択されるVIB族の金属成分および(ii)NiおよびCoから選択されるVIII族の金属成分から成る群より選択される少なくとも1種の触媒活性成分および燐化合物、または(i)、(ii)および燐化合物の組み合わせ」と特定されているのに対し、甲第1号証に記載された発明では、金属成分が「鉄」であって、燐化合物は含まれていない点。 上記相違点7は上記相違点1と同様であり、上記相違点8は上記相違点2と同様であり、上記相違点9は上記相違点3と同様であり、加えて相違点10も含めた何れもが実質的なものであり、甲第1号証の記載に加え、甲第2ないし18号証に記載された技術的事項や周知慣用技術を考慮しても、これらの点は何れも当業者が容易に想到しうるものであるとはいえない。 よって、本件特許発明17は、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (6)本件特許発明19ないし21、23ないし27について 本件特許発明19ないし21、23ないし27については、本件特許発明17の発明特定事項をすべて含むものであるから、上記(5)と同様、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (7)小括 以上(1)ないし(6)のとおりであるから、取消理由(2)及び(3)は何れも理由がない。 3.取消理由として通知しなかった特許異議申立人の申立理由について (1)申立理由(3)(特許法第36条第4項第1号)について 本件訂正前の本件請求項1ないし24に係る物の発明及び請求項25ないし27に係る物の使用方法の発明について、少なくとも2段階沈殿方法により製造される焼成された沈殿アルミナを含有して成る特定の「アルミナ組成物」、少なくとも2段階沈殿方法により製造される焼成された沈殿アルミナを含有して成る特定の「担体材料」、少なくとも2段階沈殿方法により製造される焼成された沈殿アルミナを含有して成る特定の担体材料及び特定の触媒活性成分を含有して成る特定の「触媒組成物」について、それぞれの製造条件と触媒への使用を含む実施例等が本件明細書及び図面に詳述されている。 そうすると、本件特許に係る出願は、2段階沈殿方法以外の製造方法について記載せずとも、上記発明に係る物を当業者が製造でき、また使用できるように発明の詳細な説明が記載されていることになる。 よって、申立理由(3)は理由がない。 本件訂正後の本件特許発明1、2、5、6、8ないし10、13、14、16、17、19ないし21、23ないし27についても、同様である。 (2)申立理由(4)(特許法第36条第6項第1号)について 本件訂正前の本件請求項1ないし24に係る物の発明の課題は、本件明細書の特に【0009】、【0011】の記載からみて、水素化処理用の触媒組成物、その担体材料としてのアルミナ組成物の特性が十分でないことにあり、その改良が発明の目的であると認められる。一方、その課題を解決する手段として、例えば、発明の詳細な説明の実施例の表1、2等からアルミナ触媒担体に適した物の孔特性が様々な観点で把握でき、少なくとも何らかの孔構造が特性の改良に資することは明らかといえる状況下、2段階沈殿方法により得られた物であることまでが必要であるという根拠は見いだせない。 そうすると、このような物の発明について、2段階沈殿方法以外の製造方法で得られる物を包含していることを理由として、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えているということはできない。更に、当該物の使用方法の発明である本件訂正前の請求項25ないし27に係る発明についても、同様である。 よって、申立理由(4)は理由がない。 本件訂正後の本件特許発明1、2、5、6、8ないし10、13、14、16、17、19ないし21、23ないし27についても、同様である。 第7 むすび 以上のとおりであるから、上記取消理由及び異議申立ての理由によっては、本件請求項1、2、5、6、8ないし10、13、14、16、17、19ないし21、23ないし27に係る特許を取り消すことはできない。 他に本件請求項1、2、5、6、8ないし10、13、14、16、17、19ないし21、23ないし27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項3、4、7、11、12、15、18、22については、訂正により削除されたから、異議申立ての対象となるものが存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 シリカ含有量が0.1重量%?3.0重量%の焼成された沈澱アルミナを含有して成るアルミナ組成物であって、0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、40Å以上の孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す、中間留分または重質炭化水素原料の水素化変換および水素化処理で用いるための触媒の担体として有用なアルミナ組成物。 【請求項2】 SiO_(2)を3重量%含有して成る請求項1記載のアルミナ組成物。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 0.60cc/gから1.0cc/gの総細孔容積を示す請求項1または2記載のアルミナ組成物。 【請求項6】 前記孔径分布幅が40Åから120Åの範囲である請求項5記載のアルミナ組成物。 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 前記細孔容積および孔径分布特性が水銀ポロシメーターを用いた水銀貫入ポロシメトリーで圧力の範囲を大気圧から60,000psiにして接触角θ=140°および474mN/mの水銀表面張力を用いて25℃で測定した特性である請求項1記載のアルミナ組成物。 【請求項9】 中間留分または重質炭化水素原料の水素化変換で用いるための触媒組成物の1成分として用いるに適した担体材料であって、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%?3.0重量%の焼成された沈澱アルミナを含有して成り、0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、40Åから120Åの孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す担体材料。 【請求項10】 前記焼成された沈澱アルミナがSiO_(2)を3重量%含有して成る請求項9記載の担体材 料。 【請求項11】 (削除) 【請求項12】 (削除) 【請求項13】 前記組成物が0.60から1.0cc/gの総細孔容積を示す請求項9または10記載の担体材料。 【請求項14】 前記孔径分布幅が40Åから120Åの範囲である請求項13記載の担体材料。 【請求項15】 (削除) 【請求項16】 前記細孔容積および孔径分布特性が水銀ポロシメーターを用いた水銀貫入ポロシメトリーで圧力の範囲を大気圧から60,000psiにして接触角θ=140°および474mN/mの水銀表面張力を用いて25℃で測定した特性である請求項9記載の担体材料。 【請求項17】 中間留分または重質炭化水素原料の水素化変換で用いるに適した触媒組成物であって、SiO_(2)含有量が0.1重量%?3.0重量%の焼成された沈澱アルミナ組成物を含有して成り、0.60cc/g以上の細孔容積、70から120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の90%?95%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布、40Åから120Åの孔径分布幅および孔径中央値より大きな孔径の所に存在する二次ピークが小さくなっているショルダーが表れる一頂孔分布を示す担体材料、並びに(i)MoおよびWから選択されるVIB族の金属成分および(ii)NiおよびCoから選択されるVIII族の金属成分から成る群より選択される少なくとも1種の触媒活性成分および燐化合物、または(i)、(ii)および燐化合物の組み合わせ、を含有して成る触媒組成物。 【請求項18】 (削除) 【請求項19】 前記担体材料の焼成された沈澱アルミナ組成物がSiO_(2)を3重量%含有して成る請求項17記載の触媒組成物。 【請求項20】 前記担体材料が0.60cc/gから1.0cc/gの総細孔容積を示す請求項17または19記載の触媒組成物。 【請求項21】 前記VIB族の金属成分が触媒組成物中に10重量%から40重量%の範囲の量で存在し、前記VIII族の金属成分が触媒組成物中に1重量%から15重量%の範囲の量で存在し、そして前記燐化合物が触媒組成物中に酸化物として0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、ここで、あらゆる重量%は触媒組成物の総重量を基準にしたものである請求項20記載の触媒組成物。 【請求項22】 (削除) 【請求項23】 前記孔径分布幅が40Åから120Åの範囲である請求項17記載の触媒組成物。 【請求項24】 前記担体材料が示す細孔容積および孔径分布特性が水銀ポロシメーターを用いた水銀貫入ポロシメトリーで圧力の範囲を大気圧から60,000psiにして接触角θ=140°および474mN/mの水銀表面張力を用いて25℃で測定した特性である請求項17または23記載の触媒組成物。 【請求項25】 中間留分または重質炭化水素原料に水素化処理を受けさせる方法であって、請求項17、18、19または23記載の触媒と前記原料を適切な水素化処理条件下で接触させることを含んで成る方法。 【請求項26】 前記水素化処理条件が水素化脱硫条件である請求項25記載の方法。 【請求項27】 前記水素化処理条件が水素化脱窒素条件である請求項25記載の方法。 【請求項28】 触媒担体の製造方法であって、 (a)アルカリ性水溶液に入っているアルカリ性化合物または酸性水溶液に入っている酸性化合物またはそのような溶液に入っている両方がアルミニウム含有化合物であることを条件として少なくとも1種のアルカリ性化合物が入っているアルカリ性水溶液と少なくとも1種の酸性化合物が入っている酸性水溶液の混合を6から11の範囲のpHで実施することで1番目の水性アルミナスラリーを生じさせるが、前記混合中に前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持することで、1番目の水性スラリーとして種晶アルミナを沈澱させ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のアルミナ含有水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーの濾過そして洗浄を行うことでアルミナ粒子を得、 (e)前記アルミナ粒子を水溶液に入れて再びスラリー状にすることで3番目のアルミナ含有スラリーを得、 (f)前記3番目のアルミナ含有スラリーを60℃から90℃の範囲の温度に加熱し、 (g)その加熱したスラリーにシリカ含有化合物を触媒担体中のSiO_(2)が少なくとも 0.1重量%になるに充分な量で添加し、 (h)場合により、前記シリカ含有アルミナスラリーに解膠を受けさせてもよく、 (i)(g)または(h)で得た前記スラリーの濾過そして乾燥を行うことで押出し加工可能なシリカ含有アルミナ混合物を得、 (j)(i)に示した前記シリカ含有アルミナ混合物の押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (k)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成っていて0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、ことを含んで成る方法。 【請求項29】 触媒担体の製造方法であって、 (a)シリカ含有化合物を触媒担体中のシリカが少なくとも0.1重量%になるに充分な量で含有する水性スラリーとアルカリ性水溶液とアルミニウム化合物水溶液を6から11の範囲のpHで前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持しながら組み合わせて沈澱シリカ含有アルミナが入っている1番目の水性スラリーを生じさせることで、アルミナの1番目の水性スラリーを生じさせ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のシリカ含有アルミナ水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のシリカ含有アルミナが入っている水性スラリーの濾過そして洗浄を行うことでシリカ含有アルミナを得、 (e)場合により、前記シリカ含有アルミナスラリーに解膠を受けさせてもよく、 (f)(d)または(e)で得た前記スラリーの濾過そして乾燥を行うことでシリカ含有アルミナを得、 (g)(f)で得た前記シリカ含有アルミナの押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (h)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成っていて0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、ことを含んで成る方法。 【請求項30】 触媒担体の製造方法であって、 (a)アルカリ性水溶液とアルミニウム化合物水溶液の混合を6から11の範囲のpHで実施することで1番目の水性アルミナスラリーを生じさせるが、前記混合中に前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持することで種晶アルミナを沈澱させ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のアルミナ含有水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーを洗浄し、 (e)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーを60℃から90℃の範囲の温度に加熱し、 (f)(e)で得た前記スラリーにシリカ含有化合物を触媒担体中のSiO_(2)が少なくと も0.1重量%になるに充分な量で添加し、 (g)場合により、前記シリカ含有アルミナスラリーに解膠を受けさせてもよく、 (h)(f)または(g)で得た前記スラリーの濾過そして乾燥を行うことで押出し加工可能なシリカ含有アルミナを得、 (i)(h)で得た前記シリカ含有アルミナの押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (j)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成ってい て0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、 ことを含んで成る方法。 【請求項31】 触媒担体材料の製造方法であって、 (a)アルカリ性水溶液とアルミニウム化合物水溶液の混合を6から11の範囲のpHで実施することで1番目の水性アルミナスラリーを生じさせるが、前記混合中に前記水性スラリーを45℃から70℃の範囲の温度に維持することで種晶アルミナを沈澱させ、 (b)前記1番目の水性スラリーの温度を48℃から80℃の範囲に上昇させることで2番目の水性スラリーを生じさせ、 (c)前記2番目の水性スラリーにアルミニウム化合物水溶液とアルカリ性水溶液を6から11の範囲の2番目のpHで前記2番目の水性スラリーを48℃から80℃の範囲の温度に維持しながら添加してアルミナを沈澱させることで2番目のアルミナ含有水性スラリーを生じさせ、 (d)前記2番目のアルミナ含有水性スラリーに噴霧乾燥を受けさせることでアルミナ粒子を得、 (e)(d)で得た噴霧乾燥アルミナ粒子をシリカ含有化合物と触媒担体中のSiO_(2)が 少なくとも0.1重量%になるに充分な量で接触させることで押出し加工可能なシリカ含有アルミナ混合物を生じさせそして前記混合物を水溶液で湿らせ、 (f)(e)で得た前記シリカ含有アルミナの押出し加工を行うことで押出し加工品を生じさせ、そして (g)前記押出し加工品に焼成を400℃から900℃の範囲の温度で受けさせることで、シリカ含有量が少なくとも0.1重量%の沈澱アルミナ粉末を含有して成っていて0.60cc/g以上の細孔容積、70Åから120Åの範囲の孔径中央値、総細孔容積の少なくとも90%が20Åから250Åの範囲内に入るような孔径分布および40Å以上の孔径分布幅を示す触媒担体を得る、ことを含んで成る方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-09-03 |
出願番号 | 特願2014-549065(P2014-549065) |
審決分類 |
P
1
652・
113-
YAA
(C01F)
P 1 652・ 851- YAA (C01F) P 1 652・ 536- YAA (C01F) P 1 652・ 537- YAA (C01F) P 1 652・ 121- YAA (C01F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 村岡 一磨 |
特許庁審判長 |
豊永 茂弘 |
特許庁審判官 |
大橋 賢一 菊地 則義 |
登録日 | 2017-04-28 |
登録番号 | 特許第6134334号(P6134334) |
権利者 | アドバンスド・リフアイニング・テクノロジーズ・エルエルシー |
発明の名称 | シリカ含有アルミナ担体、それから生じさせた触媒およびそれの使用方法 |
代理人 | 特許業務法人小田島特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人小田島特許事務所 |