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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61N
管理番号 1346294
審判番号 不服2017-4355  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-28 
確定日 2018-11-14 
事件の表示 特願2014-509877「エレクトロポレーション装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月15日国際公開、WO2012/153291、平成26年 8月14日国内公表、特表2014-519373〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、2012年(平成24年)5月10日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2011年5月11日、イタリア国)を国際出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 1月27日 :手続補正書の提出
平成27年 4月23日 :手続補正書の提出
平成28年 3月24日付け:拒絶理由通知書
平成28年 8月15日 :意見書の提出
平成28年11月25日付け:拒絶査定
平成29年 3月28日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 平成29年3月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論]
平成29年3月28日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
平成29年3月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「鉗子型部材(20)と、互いに接近及び離反可能に、前記鉗子型部材(20)によって担持されている第1及び第2電極(12,14)と、を備え、 前記鉗子型部材(20)から分離し、第3電極(16)を担持しているグリップ部材(34)をさらに備え、前記第3電極(16)は前記第1及び第2電極(12,14)から独立して可動することを特徴とする、エレクトロポレーション装置(10)。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成27年4月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「鉗子型部材(20)と、互いに接近及び離反可能に、前記鉗子型部材(20)によって担持されている第1及び第2電極(12,14)と、を備え、 第1及び第2電極(12,14)から独立して可動する第3電極(16)をさらに備えることを特徴とする、エレクトロポレーション装置(10)。」

2 補正の適否
本件補正のうち請求項1に対して行う補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第3電極」について、上記(下線部)のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2000-508220号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。

【第7頁第24行?同頁第26行】
「したがって、本発明の一つの目的は、電気穿孔を仲介として、生体内部で、薬物および遺伝子を患者の内皮および他の細胞内へと搬送するための、改良された装置および方法を提供することである。」

【第9頁第16行?同頁第26行】
「図1から図4を参照して、本発明の好ましい実施例にしたがった、全体が番号10で表示されるカテーテルが示される。カテーテル10は、拡張可能または膨張可能な末端14および基端16を有する細長い可撓性の本体部12を、組合せられた案内線および導電体18とともに含む。このカテーテルは、治療用液体源21に接続する薬物または遺伝子の入口もしくは注入入口ポート20と、その基端には膨張用媒体源23に接続する膨張ポート22とを含む。膨張用媒体は、気体または液体であってよい。案内線導電体は、その末端における24で終端し、そこで電極を形成する。好ましくは導電性コーティング26の形である対向する電極は、膨張可能部分14の外側表面上に保持されて、血管の壁部と接触または係合することが可能である。図示したカテーテルは、治療を受ける患者の血管内に挿入または注入されるよう適合される。」

【第10頁第1行?同頁第7行】
「このシステムはまた、好ましくは、導体27によって電源47に接続される、遠隔電極25を含む。電極25は、組織の表面と接触するよう、または、針等として組織内に突き刺すように設計され得る。これにより、分子を、カテーテルによって搬送された場所から、その部位とは離れた組織内へと移動させるよう、イオン導入法を使用することが可能となる。電極25はまた、電気穿孔モードでも使用することができる。カテーテルは、案内線18を使用して、従来の方法によって案内および挿入することが可能である。」

【第10頁第8行?同頁第25行】
「図面の図2から図4を参照して、カテーテルの末端部分における膨張可能または拡張可能部分の好ましい実施例が、血管の壁部に対して拡張された状態で示される。図示した実施例において、膨張可能な末端部分14は、最も外側の端部または部分30で、案内線および電極24を覆うシース32に封止するよう固定された、内側のバルーンまたは嚢28を含む。嚢またはバルーン28の内側端部は、管状シースまたは被覆34と封止するように接続され、かつ36でそれと接続している。この管状シースまたは被覆34は、膨張ポート22に延びてそれと接続している。外側の嚢38は、内側の嚢28の上に配されて、同じ点30および36において、それぞれのシースまたは被覆32および34に封止するように固定されている。この外側の嚢38は、穿孔されて複数のポート40を有しており、これらポートを通じて、内側の嚢28と外側の嚢38との間に形成された環状チャンバ42から血管の壁部50へと、液体を通す。管44は、カテーテルの基端における薬物または遺伝子入口注入ポート20と、カテーテルの膨張可能な末端におけるチャンバ42とを接続している。外側の嚢38は、その少なくとも中央の円周部分において、導体46と導通の関係にあるコーティング26等の導電性外部表面を含む。導体46は、カテーテルへ延び、カテーテルに接続され、カテーテルから延びてカテーテルの基端でパルス発生器47等の電源と接続されている。」

【第10頁第26行?第11頁第2行】
「電極25はまた、それを組織表面と導電性の接触を有するよう配置することによって、または、それを図示するように組織48内に挿入することによって、使用することが可能である。この電極は、その後、イオン導入のため、または電気穿孔のため、または、その両方のために、電極24または26のいずれかと関連して使用することができる。」

【第11頁第9行?同頁第19行】
「操作時には、治療される血管または他の腔に対して適切なサイズを有する、上述のようなカテーテルが選択され、かつ、腔または血管内に挿入されて、管内の治療されるべき選択された領域へと進められる。管内の選択された場所に位置付けられると、好適な膨張用媒体源が膨張ポートに接続され、気体または液体等の膨張用媒体が、内側のバルーン28の内部に導入されて、外側の嚢38の外部表面が管の壁部と表面が接触するように拡張されるまで、内側のバルーン28が拡張される。これにより、外側のバルーン38上のコーティング26によって形成された電極が、血管の内部表面と直接、表面接触するようになる。電極25は、組織表面と接触するように配置されるか、または、組織内に挿入されるかのいずれかであり得る。カテーテルの基端の導電体は、高電圧パルス発生器等の電源に接続される。」

【第11頁第24行?第12頁第1行】
「電圧パルスがその後、電極24および26にかけられ、これにより、管の壁部内の細胞および/または管の壁部を形成している組織を電気穿孔することによって、それら細胞または組織内へと、遺伝子または薬物を含有する溶液が入ることができるようにする。分子を組織内へとさらに移動させ、かつ、管の壁部50から遠く離れた組織48内の細胞を電気穿孔するよう、電圧を電極25と他の電極24、26のうちの1方とに印加することも可能である。」

(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 【第7頁第24行?同頁第26行】には、「したがって、本発明の一つの目的は、電気穿孔を仲介として、生体内部で、薬物および遺伝子を患者の内皮および他の細胞内へと搬送するための、改良された装置および方法を提供すること」とあり、【第11頁第24行?第12頁第1行】には、「管の壁部50から遠く離れた組織48内の細胞を電気穿孔するよう、電圧を電極25と他の電極24、26のうちの1方とに印加することも可能である。」とあることから、引用文献1に記載された装置は、電極を備える電気穿孔装置といえる。

b 【第9頁第16行?同頁第26行】には、「カテーテル10は、拡張可能または膨張可能な末端14および基端16を有する細長い可撓性の本体部12を、組み合わせられた案内線および導電体18とともに含む。・・・・・。好ましくは導電性コーティング26の形である対向する電極は、膨張可能部分14の外側表面上に保持されて、血管の壁部と接触または係合することが可能である。」とあり、導電性コーティング26の形である対向する電極とあることから、カテーテル末端の膨張可能部分14の外側表面上には電極26が形成されている、といえる。

c 【第9頁第16行?同頁第26行】には、「カテーテル10は、拡張可能または膨張可能な末端14および基端16を有する細長い可撓性の本体部12を、組合せられた案内線および導電体18とともに含む。・・・・・。案内線導電体はその末端における24で終端し、そこで電極を形成する。」とあり、【第10頁第1行?同頁第7行】には、「カテーテルは、案内線18を使用して、従来の方法によって案内および挿入することが可能である。」とあり、案内線導電体の末端にて電極24が形成されていることから、カテーテル10の末端に形成された電極24はカテーテル10の案内線18により可動される、といえる。

d 【第9頁第16行?同頁第26行】には、「カテーテル10は、拡張可能または膨張可能な末端14および基端16を有する細長い可撓性の本体部12を、組合せられた案内線および導電体18とともに含む。このカテーテルは、治療用液体源21に接続する薬物または遺伝子の入口もしくは注入入口ポート20と、その基端には膨張用媒体源23に接続する膨張ポート22とを含む。」とあり、【第10頁第8行?同頁第25行】には、「膨張可能な末端部分14は、最も外側の端部または部分30で、案内線および電極24を覆うシース32に封止するよう固定された、内側のバルーンまたは嚢28を含む。嚢またはバルーン28の内側端部は、管状シースまたは被覆34と封止するように接続され、かつ36でそれと接続している。この管状シースまたは被覆34は、膨張ポート22に延びてそれと接続している。外側の嚢38は、内側の嚢28の上に配されて、同じ点30および36において、それぞれのシースまたは被覆32および34に封止するように固定されている。・・・・・。外側の嚢38は、その少なくとも中央の円周部分において、導体46と導通の関係にあるコーティング26等の導電性外部表面を含む。」とあり、【第11頁第9行?同頁第19行】には、「管内の選択された場所に位置付けられると、好適な膨張用媒体源が膨張ポートに接続され、気体または液体等の膨張用媒体が、内側のバルーン28の内部に導入されて、外側の嚢38の外部表面が管の壁部と表面が接触するように拡張されるまで、内側のバルーン28が拡張される。これにより、外側のバルーン38上のコーティング26によって形成された電極が、血管の内部表面と直接、表面接触するようになる。」とあり、上記認定事項bから、外側のバルーン38上のコーティング26によって形成された電極は電極26といえるから、電極カテーテル10の末端の膨張可能部分14は内側のバルーンと、内側のバルーンの上に配された外側の襄38とを含み、外側の襄38の外部表面上に形成された電極26が血管の内部表面と表面接触するようになるまで、内側のバルーンの内部に膨張用媒体源を導入して内側のバルーンを拡張させることになり、電極26はカテーテル10の膨張ポート22を介した膨張用媒体源の導入により可動する、といえる。

e 【第10頁第1行?同頁第7行】には、「このシステムはまた、好ましくは、導体27によって電源47に接続される、遠隔電極25を含む。電極25は、組織の表面と接触するよう、または、針等として組織内に突き刺すように設計され得る。」とあり、図1には、電極25の電極47への接続に関して、電極25はカテーテル10の本体部12の内部を通じることなく導体27によって電源47へ直接的に接続されており、カテーテル10の案内線18とも接続されておらず、カテーテル10の膨張ポートとも接続されていないことから、電極25はカテーテル10から分離している、といえる。

f 【第10頁第26行?第11頁第2行】には、「電極25はまた、それを組織表面と導電性の接触を有するよう配置することによって、または、それを図示するように組織48内に挿入することによって、使用することが可能である。この電極は、その後、イオン導入のため、または電気穿孔のため、または、その両方のために、電極24または26のいずれかと関連して使用することができる。」とあり、図1には、導体27の一端が電極27と接続され、他端が電源47に接続されていることが示されており、そして、上記認定事項eから、電極25の配置に際しては、カテーテル10を動かすのではなく、導体27を動かすことにより電極25が可動する、といえる。

g 上記認定事項eないしfを総合すれば、電極27はカテーテル10から分離し、電極24及び電極26から独立して可動するもの認められる。

(ウ)上記記載事項(ア)及び認定事項(イ)aないしgから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「カテーテルの末端に電極24及び電極26とを備え、カテーテルから分離した電極25をさらに備え、前記電極25は前記電極24及び電極26から独立して可動する電気穿孔装置。」

イ 引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で例示され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許公開第2002/0072746号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。

[0041]
「FIG. 1 shows a pair of tweezers 1 for surgical purposes, especially for coagulation, as an example of a surgical instrument. These tweezers have two arms 2 and 3, moveable towards one another and electrically insulated from one another. At its tip 4, arm 2 has (in areas) an electrical contact region 6 which consists of electrically conductive doped diamond. The facing arm 3 has correspondingly at its tip 5 a contact region 7 formed from the diamond doped to produce the electrical conductivity.」
(当審仮訳:[0041] 図1は、例として外科用器具用の、特に凝固用として、外科用ピンセット1を示している。これらのピンセットは、互いに向かって移動可能であり、互いに電気的に絶縁されている、2個のアーム2、3を有している。その先端部4において、アーム2(の領域内に)は、導電性のドープされたダイヤモンドからなる電気的接触領域6を有している。同様に、対向するアーム3は、導電性を形成するためにドープされたダイヤモンドからなる接触領域7を有する。)

(イ)上記(ア)の[0041]には、「これらのピンセットは、互いに向かって移動可能」とあり、FIG1のアーム2、3には左右両側を指し示す円弧状矢印が示されていることから、アーム2、3の移動は互いに接近・離反可能と認められる。

(ウ)上記記載事項(ア)及び認定事項(イ)aから、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。
「互いに接近・離反可能である導電性接触領域を各先端部に有する外科用器具としてのピンセット」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
・引用発明の「電極24及び電極26」は、本件補正発明の「第1及び第2電極」に相当する。
・引用発明の「電極25」は、本件補正発明の「第3電極」に相当する。
・引用発明の「電気穿孔装置」は、本件補正発明の「エレクトロポレーション装置」に相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「第1及び第2電極とを備え、第3電極をさらに備え、前記第3電極は前記第1及び第2電極から独立して可動する、エレクトロポレーション装置」
【相違点1】
「第1電極及び第2電極」について、本件補正発明においては、鉗子型部材に担持されて互いに接近及び離反可能にあるのに対して、引用発明においては、カテーテルの末端に形成されている点。

【相違点2】
「第3電極」について、本件補正発明は第3電極を担持するグリップ部材を備えているのに対して、引用発明は第3電極を担持するグリップ部材が設けられているか否か不明な点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 【相違点1】について
互いに接近及び離反可能な鉗子型の電極は、引用文献2に外科用器具のピンセットとして記載されている(上記(2)イ(ウ))ほか、新たに例示する特表平11-503349号公報(図2及び図3並びに要約欄参照)にも記載されているように、従来周知の技術事項である。
そして、引用発明は、第1及び第2電極(電極24及び電極26)をカテーテル末端に備えたものではあるが、引用発明の第1及び第2電極を上記従来周知の互いに離反可能な鉗子型の電極として用いることは、鉗子型(ピンセット形状)の医療器具がきわめて汎用的なものであることを踏まえれば、格別想到困難ではないというべきである。
したがって、引用発明において、第1及び第2電極を互いに接近・離反可能となるような従来周知の技術事項である鉗子型電極としての鉗子型の部材として、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者にとって容易に想到し得ることというべきである。

イ 【相違点2】について
上記アにて検討したように、引用発明の第1及び第2電極(電極24及び電極26)を鉗子型部材に担持させることは想到容易であるところ、そのように構成した場合も、引用発明の第3電極(電極25)を、第1電極及び第2電極から独立して可動させるための何らかの手段が必要となる。ここで、医療器具一般において、器具を独立して可動させるためには、把持部(すなわちグリップ部)を設けて施術者が担持することよって可動とするのが、例示するまでもなく最も基本的な形態である。そうすると、引用発明において、第3電極を担持するグリップ部を設けることも、当業者が容易に想到し得たものと解される。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、及び従来周知の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎないから、格別顕著なものということはできない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についての結び
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年3月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項に係る発明は、平成27年4月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特表2000-508220公報
引用文献2:米国特許公開第2002/0072746号明細書

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記鉗子型部材(20)から分離し、第3電極(16)を担持しているグリップ部材(34)をさらに備え」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということになる。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-06-18 
結審通知日 2018-06-19 
審決日 2018-07-02 
出願番号 特願2014-509877(P2014-509877)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61N)
P 1 8・ 575- Z (A61N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮下 浩次井上 哲男  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 林 茂樹
船越 亮
発明の名称 エレクトロポレーション装置  
代理人 田中 光雄  
代理人 前堀 義之  
代理人 山崎 宏  
代理人 田中 光雄  
代理人 前堀 義之  
代理人 山崎 宏  

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