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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01M
管理番号 1346311
審判番号 不服2016-16519  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-04 
確定日 2018-11-12 
事件の表示 特願2014-555491「新規な構造の二次電池パック」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月15日国際公開、WO2013/119003、平成27年 4月 2日国内公表、特表2015-510233〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年) 2月 4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2012年 2月 7日、韓国)を国際出願日とする出願であって、平成27年 6月19日付けで拒絶理由が通知され、同年 9月10日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年 3月 2日付けで拒絶理由が通知され、同年 6月 6日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年 6月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月 4日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同年12月21日付けで手続補正書が提出されたものである。
その後、平成29年 8月30日付けで当審から拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)が通知され、同年12月 4日付けで意見書及び手続補正書が提出され、さらに、平成30年 1月15日付けで当審から拒絶理由が通知され、同年 4月26日付けで意見書及び手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?13に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
正極/分離膜/負極構造の電極組立体が電解液と共に電池ケースの内部に密封されており、上端面に第1及び第2電極端子が形成されている電池セルと、
前記電池セルの第2電極端子を露出できるように開口が形成されており、電池セルの上端面に装着される絶縁性装着部材と、
保護回路が形成されており、前記絶縁性装着部材上に搭載される保護回路基板と、前記保護回路基板の下面に結合されている安全素子及び接続部材(B)とを含んでおり、安全素子は安全素子の一部を構成する接続部材(A)を経由して第1電極端子に接続され、接続部材(B)は第2電極端子に結合されており、前記接続部材(B)を露出できる貫通口が前記保護回路基板上に穿孔されている保護回路モジュール(PCM)と、
前記接続部材(A)、前記接続部材(B)、及び前記保護回路基板が搭載された状態で前記絶縁性装着部材を覆いながら電池セルの上端部に結合される絶縁性キャップと、
を含んでおり、
前記保護回路モジュール(PCM)及び前記絶縁性キャップの全体の高さが3.0mm以下であり、かつ
前記絶縁性装着部材に対する前記保護回路モジュール(PCM)の安定した装着状態を確保できるように、前記絶縁性装着部材には、上端面から収納用側壁が上向きに突出しており、前記収納用側壁の上縁に縦方向に同じサイズを有する4つの締結用突起が形成されており、前記締結用突起は、前記保護回路モジュール(PCM)を係合しており、
前記接続部材(B)は、ニッケルプレートで構成されており、かつ前記第2電極端子の表面に結合されていることを特徴とする、二次電池パック。」

第3 当審拒絶理由1の概要
当審は、平成29年 8月30日付けで当審拒絶理由1を通知したが、当該通知した当審拒絶理由1のうち、平成28年 6月 6日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?13に係る発明に対する、進歩性についての拒絶の理由4の概要は、引用文献1(米国特許出願公開第2011/0020672号明細書)、引用文献2(特開2011-243352号公報)及び引用文献3(特表2010-511280号公報)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

第4 引用文献の記載事項
1 引用文献1の記載事項
当審拒絶理由1において引用文献1として引用された、本願の優先日前に外国において頒布された刊行物である、米国特許出願公開第2011/0020672号明細書(以下「引用文献1」という。)には、「SECONDARY BATTERY PACK HAVING EXCELLENT ENERGY DENSITY AND PCM ASSEMBLY THEREFOR(当審訳:優れたエネルギー密度を有する二次電池パッケージと、そのPCMアセンブリ)」(発明の名称)に関して、次の記載がある(なお、訳文は、当審が作成したものであり、「・・・」は記載の省略を表す。以下同様。)。

1ア「The present invention relates to a secondary battery pack having excellent energy density, and, more particularly, to a secondary battery pack including a battery cell, a protection circuit module (PCM) assembly including a PCM and connection members, an insulative mounting member mounted at the top of the battery cell, an insulative cap coupled to the upper end of the battery cell, wherein one of the connection members, i.e., the connection member (A), protrudes from one end of the PCM assembly such that a region of the connection member (A) electrically connected to the battery cell is exposed upward from the PCM assembly, the other connection member, i.e., the connection member (B), is coupled to the bottom of the PCM such that at least a portion of the connection member (B) is exposed upward from the PCM assembly through a through-hole for connection, and the electrical connection between the connection members and the electrode terminals of the battery cell is achieved at the top of the PCM while the insulative mounting member and the PCM assembly are loaded on the battery cell. 」([0001])
(当審訳:本発明は、優れたエネルギー密度を有する二次電池パック、より詳しくは、電池セル、PCMと接続部材を含む保護回路モジュール(PCM)アセンブリ、電池セルの上端面に搭載された絶縁性搭載部材、電池セルの上部に結合された絶縁性キャップを含む二次電池パックであって、接続部材の一つ、すなわち、接続部材(A)は、電池セルに電気的に接続された接続部材(A)の領域が、PCMアセンブリの上側に露出するように、PCMアセンブリの一端から突出し、他の接続部材、すなわち、接続部材(B)は、接続部材(B)の少なくとも一部が接続のための貫通孔を介してPCMアセンブリの上側に露出されるようにPCMの底部に結合され、かつ、絶縁性搭載部材及びPCMアセンブリが電池セルの上に装着されている状態で、接続部材と電池セルの電極端子間の電気的接続がPCMの上端部で達成される、二次電池パックに関する。)

1イ「Specifically, it is an object of the present invention to provide a secondary battery pack wherein the number of parts necessary to construct the battery pack is reduced and a process of assembling the battery pack is simplified, to reduce the battery manufacturing costs, the battery pack has a stable coupling structure to minimize defect and internal resistance change due to external impact, and the capacity of the battery pack is increased.」([0011])
(当審訳:具体的には、本発明の目的は、二次電池パックであって、電池の製造コストを低減するために電池パックを構成する必要な部品点数の数が削減されるとともに電池パックの組立工程が簡略化され、電池パックが外部からの衝撃に起因する欠陥と内部抵抗変化を最小限に抑える安定な結合構造となっており、電池パックの容量が増加されている、二次電池パックを提供することである。)

1ウ「In accordance with one aspect of the present invention, the above and other objects can be accomplished by the provision of a secondary battery pack including a battery cell having an electrode assembly of a cathode/separator/anode structure mounted in a battery case together with an electrolyte in a sealed state, 」([0012])
(当審訳:本発明の一つの態様によると、上述及び他の目的は、密封された状態で電解液とともに電池ケースに搭載された正極/分離膜/負極の電極組立体を含む電池セル・・・を含む二次電池パックを規定することによって達成される。)

1エ「For example, the battery case may be a metal container. Preferably, the battery case is an aluminum container or a stainless steel container. 」([0016])
(当審訳:例えば、電池ケースは、金属容器であってもよい。好ましくは、電池ケースは、アルミニウム容器またはステンレス容器である。)

1オ「The coupling between the connection members and the PCM may be achieved in various methods. For example, the connection members may be coupled to the bottom of the PCM by a surface mount technology (SMT). In case of soldering, paste is left at the bottom of the PCM. In case of welding, the bottom of the PCM is damaged by heat. However, the SMT prevents the paste from being left at the bottom of the PCM and the bottom of the PCM from being damaged by heat. In addition, the SMT achieves the coupling between the connection members and the PCM more accurately and reliably than the conventional welding or soldering method. Consequently, the use of the SMT is preferable. For reference, the SMT is mainly used to mount surface mount parts on an electronic board, such as a printed circuit board (PCB). 」([0017] )
(当審訳:接続部材とPCMの間の結合は、様々な方法で達成することができる。例えば、接続部材は表面実装技術(SMT)によってPCMの底面に結合できる。はんだ付けの場合、ペーストがPCMの底面に残る。溶接の場合、PCMの底面が熱によって損傷する。しかしながら、SMTは、ペーストがPCMの底面に残ることやPCMの底面が熱によって損傷することが防止される。加えて、SMTは、従来の溶接やはんだ付けの方法に比べて、接続部材とPCMの間の結合をより正確かつ確実に実現することができる。結果として、SMTの使用が好ましい。参考までに、SMTは主に印刷回路基板(PCB)のような電子基板上に表面実装部品を実装するために使用される。)

1カ「The material for the connection member (B) is not particularly restricted so long as the connection member (B) is made of a conductive material. Preferably, the connection member (B) is formed of a nickel plate.」([0022] )
(当審訳:接続部材(B)の材料は、接続部材(B)が導電性材料からなるものであれば特に制限されない。好ましくは、接続部材(B)はニッケルプレートより形成されている。)

1キ「The secondary battery pack according to the present invention may be applicable in various manners irrespective of the kind and appearance of the battery cell. Preferably, the present invention is applicable to a battery pack including a prismatic lithium secondary battery as a battery cell. 」([0033] )
(当審訳:本発明に係る二次電池パックは、電池セルの種類や外観に関わらず様々な様式で適用できる。好ましくは、本発明は電池セルとして角型リチウム二次電池を含む電池パックに適用できる。)

1ク「Referring to FIG. 1, the secondary battery pack 100 includes a battery cell 110 having an electrode assembly received in a battery case together with an electrolyte in a sealed state, a protection circuit module (PCM) assembly 120 for effectively controlling an abnormal state, such as over charge, of the battery cell 110, an insulative mounting member 130 mounted at the top 114 of the battery cell 110, the PCM assembly 120 being loaded on the insulative mounting member 130, an insulative top cap 140 coupled to the upper end of the battery cell 110 for covering the insulative mounting member 130 in a state in which the PCM assembly 120 is loaded on the insulative mounting member 130, an insulative bottom cap 150 coupled to the lower end of the battery cell 110, and a sheathing film 160 attached to the outer surface of the battery case of the battery cell 110 for covering the battery case of the battery cell 110. 」([0048] )
(当審訳:図1によれば、二次電池パック100は、密封状態で電解液とともに電池ケースに収容された電極構造体を含む電池セル110と、電池セルの110の過充電のような異常状態を効果的に制御するための保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120と、電池セル110の上面114に搭載された絶縁性搭載部材130と、ここで、上記PCMアセンブリ120は上記絶縁性搭載部材130上に装着されており、PCMアセンブリ120が絶縁性搭載部材130に搭載された状態で絶縁性搭載部材130を覆うため、電池セル110の上端部に結合する絶縁性上部キャップ140と、電池セル110の下部に結合する絶縁性下部キャップ150と、電池セル110の電池ケースを覆うため、電池セルの電池ケースの外表面に取り付けられる外装フィルム160とを含む。)

1ケ「At the top 114 of the battery cell 110 is formed an anode terminal 112 which protrudes upward while being isolated from the battery case of the battery cell 110. The remaining region of the top 114 of the battery cell 110, excluding the anode terminal 112, serves as a cathode terminal. At one side of the top of the battery cell 110 is formed an electrolyte injection port 116 which protrudes in the plan shape of a circle. 」([0049] )
(当審訳:電池セル110の上面114において、電池セル110の電池ケースから絶縁されて上方に突出している負極端子112が形成されている。電池セル110の上面114の負極端子112を除いた残りの領域は、正極端子として機能する。電池セル110の上部の一方の側には、円形の平面形状で突出している電解質注入口116が形成されている。)

1コ「The insulative mounting member 130 is loaded on the top 114 of the battery cell 110 and is joined to the top 114 of the battery cell 110 in a bonding fashion. In the central region of the insulative mounting member 130 is formed a first opening 132, through which the protruding anode terminal 112 of the battery cell 110 is exposed upward. In a one side region of the insulative mounting member 130 is formed a second opening 134, through which the sealed electrolyte injection port 116 is exposed upward. 」([0050] )
(当審訳:絶縁性搭載部材130は電池セル110の上面114に装着され、ボンディング方式で電池セル110の上面114に結合されている。絶縁性装着部材130の中央部に、電池セル110の突出している負極端子112を上方に露出させる第一の開口部132が形成されている。絶縁性装着部材130の一方の側の領域には、密封された電解液注入口116を上方に露出させる第二の開口部134が形成されている。)

1サ「A connection member 124 is coupled to the bottom of the PCM assembly 120. A through-hole 122 for welding is formed in the central region of the PCM assembly 120.」([0051] )
(当審訳:接続部材124はPCMアセンブリ120の底面に結合されている。溶接用の貫通孔122がPCMアセンブリ120の中心部に形成されている。)

1シ「The sheathing film 160 is attached to the outer surface of the battery case of the battery cell 110 for securing the electrically insulation of the battery cell 110 from the outside and indicating the information of a product. The sheathing film 160 is made of a heat shrinkable material. The sheathing film 160 is manufactured in the shape of a tube. When heat is applied to the sheathing film 160 after the battery cell 110 is covered by the sheathing film 160, the sheathing film 160 shrinks, with the result that the sheathing film 160 comes into tight contact with the outer surface of the battery case of the battery cell 110.」
(当審訳:電池セル110の外部との電気的絶縁を確保するため、及び、製品情報を表示するために、外装フィルム160が電池セル110の電池ケースの外表面に取り付けられる。外装フィルム160は熱収縮性材料で形成されている。外装フィルム160は筒状で製造される。電池セル110が外装フィルム160によって覆われた後、熱が外装フィルム160に加えられると、外装フィルム160が縮み、その結果、外装フィルム160が電池セル110の電池ケースの外表面に密着する。)

1ス「Referring to FIG. 2 together with FIG. 1, a pair of connection members 123 and 128 are coupled to the bottom of the PCM assembly 120 by a surface mount technology (SMT). The connection member (A) 123, electrically connected to the top 114 of the battery cell 110, includes a plate-shaped PCM coupling part 126, a plate-shaped battery cell coupling part 124, and a positive temperature coefficient (PTC) element 125 disposed between the plate-shaped PCM coupling part 126 and the plate-shaped battery cell coupling part 124. The battery cell coupling part 124 protrudes from the outer end of the PCM assembly 120. Also, the connection member (B) 128 is coupled to the bottom of the PCM assembly 120 by an SMT such that the connection member (B) 128 completely closes the through-hole 122 for welding (See FIG. 1).」([0055] )
(当審訳:図1とともに図2を参照して、一対の接続部材123、128は、表面実装技術(SMT)によりPCMアセンブリ120の底面に結合されている。接続部材(A)123は電池セル110の上面114に電気的に接続され、板状PCM結合部126、板状電池セル結合部124、当該板状PCM結合部126と当該板状電池セル結合部124の間に配置された正温度係数(PTC)素子125を備えている。当該電池セル結合部124は、PCMアセンブリ120の外端から突出している。また、当該接続部材(B)128は、溶接用の貫通孔122(図1参照)を完全に塞ぐようにSMTによってPCMアセンブリ120の底面に結合されている。)

1セ「Consequently, the connection member (A) 123 is coupled to the top 114 of the battery cell 110, which serves as the cathode terminal, by welding, and the connection member (B) 128 is connected to the protruding anode terminal 112 of the battery cell 110, whereby the electrical connection between the battery cell 110 and the PCM assembly 120 is achieved. 」([0056] )
(当審訳:この結果、接続部材(A)123は、溶接によって、正極端子として機能する電池セル110の上面114と結合され、接続部材(B)128は、電池セル110の突出している負極端子112と結合され、この結果、電池セル110とPCMアセンブリ120の間の電気的接続が達成される。)

1ソ「FIG. 3 illustrates a structure in which the insulative mounting member 130 is mounted to the top 114 of the battery cell 110 . As shown in FIG. 3 , the insulative mounting member 130 is attached to the top 114 of the battery cell 110 by an adhesive. The anode terminal 112 of the battery cell 110 is exposed upward through the first opening 132 of the insulative mounting member 130 . The sealed electrolyte injection port 116 of the battery cell 110 is inserted through the second opening 134 of the insulative mounting member 130 such that the sealed electrolyte injection port 116 is exposed upward from the insulative mounting member 130 .」([0059])
「Receiving sidewalls 138 protrude upward by a predetermined height from opposite ends of the insulative mounting member 130 in the widthwise direction W of the insulative mounting member 130 such that the PCM assembly 120 of FIG. 4 is stably mounted to the insulative mounting member 130 by the receiving sidewalls 138. 」([0060])
(当審訳:図3は、絶縁性搭載部材130が電池セル110の上面114に搭載されている構成を説明している。図3に示されるように、絶縁性搭載部材130は、接着剤によって電池セル110の上面114に取り付けられている。電池セル110の負極端子112は、絶縁性搭載部材130の第一の開口部132から上方に露出している。電池セル110の封止された電解液注入口116は、絶縁性搭載部材130の第二の開口134に挿入されて、絶縁性搭載部材130の上方に露出されている。
図4のPCMアセンブリ120が支持側壁138によって絶縁性装着部材130に対して安定的に搭載できるように、支持側壁138が、絶縁性搭載部材130の幅方向Wにおいて絶縁性搭載部材130の両端部から所定の高さだけ上向きに突出している。)

1タ「The insulative mounting member 130 has a length 1 less than the length L of the top 114 of the battery cell 110. A portion L-1 of the top 114 of the battery cell 110 exposed by this structure is used as the cathode terminal for connection with the connection member 124 (See FIG. 1). 」([0061] )
(当審訳:絶縁性搭載部材130は、電池セル110の上面114の長さLよりも短い長さlを有している。この構造により露出された電池セル110の上面114のL-l部分が、接続部材124と接続する正極端子として使われる(図1参照)。)

1チ「the battery cell coupling part 124 of the connection member (A) 123 and the connection member (B) 128 are coupled to the top 114 of the battery cell 110 by welding. As a result, the electrical connection and the mechanical coupling between the connection members 123 and 128 and the battery cell 110 are achieved.」([0063] )
(当審訳:接続部材(A)123の電池セル結合部124と接続部材(B)128は、溶接によって電池セル110の上面114に結合される。結果として、接続部材123,128と電池セル110との電気的接続と機械的結合が達成される。)

1ツ「FIG. 6 is a typical front view of FIG. 4. Referring to FIG. 6, the insulative mounting member 130 has a height H approximately 1.8 mm less than that of a conventional secondary battery pack (not shown). Consequently, it is possible to increase the capacity of the battery cell 110 by as much as the volume corresponding to the reduced height.」([0065])
(当審訳1:図6は図4の正面模式図である。図6を参照すると、絶縁性搭載部材130は、従来の二次電池パックの高さよりも低い、1.8mmの高さHを有している(図示せず)。これにより、減少した高さに対応する量だけ電池セル110の容量を大きくすることが可能である。)
(当審訳2:図6は図4の正面模式図である。図6を参照すると、絶縁性搭載部材130は、従来の二次電池パックの高さよりも1.8mm低い高さHを有している(図示せず)。これにより、減少した高さに対応する量だけ電池セル110の容量を大きくすることが可能である。)
なお、上記1ツの「a height H approximately 1.8 mm less than that of a conventional secondary battery pack」は、二通りの解釈が可能であるので、上記のとおり二つの訳を記載した。

1テ「Also, it is possible to reduce the size of the upper space of the battery pack where the PCM assembly is mounted through the provision of this structure. Consequently, the present invention has the effect of increasing the capacity of the battery pack as compared with other battery packs having the same standard.」([0066])
(当審訳:また、PCMアセンブリがこの発明が提供する構造のように搭載されることにより、電池パックの上部空間のサイズを減らすことが可能となる。結果として、本発明は、同一規格を有するほかの電池パックと比べて、電池パックの容量を増加させる効果を有する。)

1ト 「



1ナ 「



1ニ 「



1ヌ 「



1ネ 「



2 引用文献2の記載事項
当審拒絶理由1において引用文献2として引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2011-243352号公報(以下「引用文献2」という。)には、「パック電池」(発明の名称)に関して、次の記載がある。

2ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、素電池と回路基板が内蔵されているパック電池に関し、特に素電池が扁平な角形であって、その一端面上に基板ホルダ及び回路基板が装着され、キャップで覆われてなるパック電池に関する。」

2イ 「【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係るパック電池の外観を示す斜視図である。
【図2】パック電池本体2の構成を示す展開斜視図である。
【図3】パック電池本体2の要部斜視図である。
【図4】基板ホルダ20の構成を示す斜視図である。
【図5】基板ホルダ20にキャップ40を嵌合した状態を示す斜視図(一部断面)である。
【図6】基板ホルダ20にキャップ40を嵌合した状態を示す断面図である。
【図7】基板ホルダ20が封口蓋12の表面上に装着されている斜視図である。
【図8】基板ホルダ20上に回路基板30が装着されている状態を示す斜視図である。
【図9】パック電池のベンディング試験を説明する図である。
【図10】比較例にかかるパック電池の構成を示す斜視図である。」

2ウ 「【0020】
図2に示すように、パック電池本体2は、扁平な角形の素電池10を備え、この素電池10の封口蓋12上に、基板ホルダ20、回路基板30が配設され、当該基板ホルダ20、回路基板30を覆うようにキャップ40が装着され、素電池10の底面には底カバー50が装着されて構成されている。
素電池10は、リチウムイオン二次電池であって、Al合金からなる扁平直方体形状の外装缶11に電極体および電解液が充填され、外装缶11の開口部が封口蓋12で封口されて形成されている。」

2エ 「【0026】
3.基板ホルダ20、キャップ40の構成
図4は、基板ホルダ20の斜視図である。
図5は、基板ホルダ20にキャップ40を嵌合した状態を示す斜視図(一部断面)であり、リブ23a,23bが存在する領域を(Y-Z面)に沿って切断している。なお、図5では、回路基板30は図示を省略している。図6は、基板ホルダ20にキャップ40を嵌合した状態を示す断面図であり、リブ23a,23bが存在しない領域(図3に示す領域B2)を(Y-Z面)に沿って切断している。
【0027】
図7は、基板ホルダ20が封口蓋12の表面上に装着されている斜視図、図8は、その基板ホルダ上に回路基板30が装着されている状態を示す斜視図である。
基板ホルダ20は、封口蓋12の表面上に配される底板部21と、この底板部21の縁から起立する側板部22a?22dとを有し、この側板部22a?22dによって回路基板30の外周部が支持されている。
【0028】
底板部21は、封口蓋12と同様に、横長の長方形状であって、封口蓋12の表面に沿って密着して配置されている。
上記側板部22a?22dの中、側板部22a,22bは、底板部21の前縁,後縁から上方に起立し、側板部22c,22dは、底板部21の左縁,右縁から上方に起立している。
【0029】
さらに、底板部21の中央付近からは仕切板部22eが起立して形成されている。
回路基板30は、その外周部がこれら側板部22a?22dの上に載置され、側板部22a?22dによって支持されている。そして、回路基板30の下面側に搭載された素子及びPTC素子60が、側板部22a?22dで囲まれた空間内に嵌り込むようになっている(図2、図7参照)。」

2オ 「【0032】
なお、図4に示すように、側板部22aと側板部22bの上縁から上方に突出する突起24a,24bが形成され、一方、回路基板30の前縁と後縁には、この突起24a,24bが嵌り込む切欠33a,33bが形成され、それによって、回路基板30は基板ホルダ20上の定位置に位置決めされるようになっている。
また、図4に示すように、側板部22aと側板部22bの外側面上には、爪25が形成され、図3に示すように、キャップ40の裾部42a,42bには、爪25が嵌り込む孔45が開設されている。これによって、基板ホルダ20とキャップ40とが嵌合した状態でロックされる。」

2カ 「



2キ 「



2ク 「



2ケ 「



2コ 「



2ケ 「



3 引用文献4の記載事項
当審決において周知の文献として新たに引用する、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2009-87554号公報(以下「引用文献4」という。)には、「電池パック」(発明の名称)に関して、次の記載がある。

4ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の外装缶を具備する素電池と、素電池の外側に配置される回路基板および保護素子と、回路基板および保護素子を覆う合成樹脂製の外装カバーとを備え、外装カバーが外装缶に対してレーザ溶接により接合固定される電池パックにおいて、溶接部分の接合強度の向上を図る技術に関する。」

4イ 「【0019】
(第1実施形態) 図1から図5に、本発明に係る電池パックの第1実施形態を示す。図1および図2に示すように、電池パックは、充放電が可能なリチウムイオン電池等の二次電池である素電池1を主体として構成される。素電池1は、前後寸法が小さい扁平な直方体状に形成した金属製の外装缶2の内部に、正極シートと負極シートとをセパレータを挟んで渦巻状に巻回してなる電極体と、非水電解液とを封入して構成されている。素電池1の上側には、回路基板5および保護素子6が外装カバー7に覆われた状態で配置されており、素電池1の下面には、合成樹脂製の底カバー8が両面テープ9を介して貼付固定されている。また、素電池1の側面には、その全体を覆うシート状のラベル10が貼付装着されている。ラベル10の上縁からは外装カバー7の上半部が突出し、ラベル10の下縁からは底カバー8の下端部が僅かに突出している。」

4ウ 「【0034】
(第3実施形態) 図8ないし図12は、本発明に係る電池パックの第3実施形態を示す。この第3実施形態に係る電池パックにおいては、回路基板5を保持する合成樹脂製のホルダー41が素電池1の上面に配置されている。それ以外の点、例えば素電池1の構成等は、先の第1実施形態と同様である。ホルダー41は、外装缶2に対してレーザ溶接により接合固定されており、このホルダー41に対して、外装カバー7が外嵌装着されている。なお、本実施形態において、先の第1実施形態と同様の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図8および図9に示すようにホルダー41は、左右に長い底壁44と、底壁44の外周から上向きに伸びる前後一対の側壁45・45とを含んでおり、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂を素材として、射出成形によって形成される。ホルダー41の前後左右寸法は、素電池1のそれよりもやや小さく設定される。
【0036】
底壁44の中央部には、ホルダー41を外装缶2の上面に配置したときに、負極端子13を両側壁45・45の対向空間に露出させるための開口が形成されている。また、右端部における底壁44を、両側壁45の下端から僅かに上方の位置に設けて、ホルダー41を配置したとき、底壁44と封口板4との間に微小空間が形成されるようにしている。かかる微小空間に、クラッド板26と、回路基板5へと繋がるリード25の一端部とが上下に重なった状態で配置されている。
【0037】
一対の側壁45・45の上端部は、回路基板5の保持部とされており、その左右両端には、回路基板5の水平方向の遊動を規制するための上向きの突起が形成されている。また、両側壁45・45の対向面における左寄りの位置には、保護素子6の保持部が形成されており、各側壁45の外面には、外装カバー7を抜け止め状に保持するための左右一対の係合爪51・51が形成されている。
【0038】
このように構成したホルダー41を封口板4の上面に配置すると、封口板4の上面に形成した接合面46と、底壁44の下面に形成した接合面47とが、互いに突き合わされた状態となる。図10に示すように底壁44における接合面47の上方には、レーザ34用の透光部35が設けられており、この透光部35を介して両接合面46・47をレーザ溶接することで、封口板4にホルダー41が接合固定されている。そのため本実施形態では、封口板4の接合面46の表面粗さの最大高さRzが、0.2μm以上に設定されている。」

4エ 「



4オ 「



4カ 「



第5 当審の判断
1 引用文献1に記載された発明
ア 上記1ウの記載によれば、正極/分離膜/負極の電極組立体は、密封された状態で電解液とともに電池ケースに搭載されていることから、正極/分離膜/負極の電極組立体は電解液とともに電池ケースの内部に密封されているといえる。

イ 上記1ケ及び1タの記載によれば、電池セル110の上面114において上方に突出するように負極端子112が形成され、また、電池セル110の上面114の負極端子112を除いた残りの領域の一部が正極端子として使用されることから、電池セル110の上面114には正極端子も形成されているといえる。

ウ 上記1コの記載によれば、絶縁性搭載部材130は、上方に突出している負極端子112を露出できるように第一の開口部132が形成されており、電池セル110の上面114に装着されるものである。

エ 上記1スの記載を参照すると、上記1ナの図2から、接続部材(A)123及び接続部材(B)128が基板状の部材の底面に結合されていることを見て取ることができる。ここで、上記基板状の部材は名称が付けられていないが、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120を構成する基板であることから、当審決において「PCM基板」ということとすると、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120は、PCM基板の底面に接続部材(A)123及び接続部材(B)128がそれぞれ結合されているものであるといえる。

オ 上記1クの記載によれば、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120は、絶縁性搭載部材130上に装着されるものであるから、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120を構成するPCM基板も、絶縁性搭載部材130上に装着されるものであるといえる。

カ 上記1スの記載によれば、接続部材(A)123は、板状PCM結合部126、板状電池セル結合部124と、これら板状PCM結合部126と板状電池セル結合部124の間に配置された正温度係数(PTC)素子125を備えている。

キ 上記1セ及び1チの記載によれば、接続部材(B)128は、溶接によって、負極端子112に結合されている。また、接続部材(A)123は、その板状電池セル結合部124が、溶接によって、正極端子として機能する電池セル110の上面114と結合されている。

ク 上記1サの記載を参照すると、上記1トの図1から、PCMアセンブリ120のうち、基板状の部材、すなわち、上記エで定義した「PCM基板」に貫通孔122が形成されていることを見て取ることができる。また、上記1アの記載、上記1ト、1ヌの図1、図4によれば、接続部材(B)128は貫通孔122から露出しているといえる。

ケ 上記1クの記載によれば、絶縁性上部キャップ140は、PCMアセンブリ120が絶縁性搭載部材130に搭載された状態で絶縁性搭載部材130を覆うため、電池セル110の上端部に結合するものである。

コ 上記1ソの記載によれば、支持側壁138は、絶縁性搭載部材130の幅方向Wの両端部から上向きに突出しているものであり、また、上記支持側壁138は、PCMアセンブリ120が絶縁性搭載部材130に対して安定して搭載できるようにするためのものである。

サ なお、上記コの検討に関して、支持側壁138がどのような機序によって、PCMアセンブリ120が絶縁性搭載部材130に対して安定して搭載されることが可能であるかについての説明は引用発明1には明記されていないが、上記1ニの図3を参照すると、支持側壁138はその上端部が平坦に形成されていることを見て取ることができ、このような上端部が平坦に形成された支持側壁138によって、PCMアセンブリ120を構成するPCM基板の底面を安定に支持することができるので、負極端子112等による電池セルの上面114の凹凸にもかかわらず、PCMアセンブリ120を絶縁性搭載部材130に対して安定して搭載できるものと推定される。

シ 上記1カの記載によれば、接続部材(B)はニッケルプレートで形成されている。

ス 上記1ケ及び1セの記載によれば、接続部材(B)128は、電池セル110の上面114に突出して設けられた負極端子112と結合しているといえる。また、上記1チに記載されているように、接続部材(B)128が、溶接によって電池セル110の上面114に結合されているものであるから、接続部材(B)128は、溶接によって負極端子112に結合されているといえる。

セ 上記1クなどの記載によれば、引用文献1に記載された電池パックは、二次電池パックである。

上記第4の1で摘記した上記1ア?1ネの記載事項と、上記ア?セの検討事項に基づいて、上記1ト?1ネの図1?図6に記載された電池パックに注目して、本願請求項1に係る発明の記載ぶりに則して整理すると、引用文献1には、次の二次電池パックの発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「正極/分離膜/負極構造の電極組立体が電解液と共に電池ケースの内部に密封されており、上面114に正極端子及び上方に突出する負極端子112が形成されてなる電池セル110と、
前記電池セル110の前記負極端子112を露出できるように第一の開口部132が形成されており、前記電池セル110の上面114に装着される絶縁性搭載部材130と、
前記絶縁性搭載部材130上に搭載されるPCM基板と、前記PCM基板の底面にそれぞれ結合されている接続部材(A)123及び接続部材(B)128とを含む保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120であって、前記接続部材123(A)は、板状PCM結合部126、板状電池セル結合部124、及び前記板状PCM結合部126と前記板状電池セル結合部124の間に配置された正温度係数(PTC)素子125を備えているとともに、前記板状電池セル結合部124が前記正極端子に接続されており、前記接続部材(B)128は前記負極端子112に結合されており、前記接続部材(B)128を露出する貫通孔122が前記PCM基板に形成されている、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120と、
前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120が前記絶縁性搭載部材130に搭載された状態で前記絶縁性搭載部材130を覆うとともに前記電池セル110の上端部に結合される絶縁性上部キャップ140と、を含んでおり、
前記絶縁性搭載部材130に対して前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120を安定して搭載できるように、前記絶縁性搭載部材130の幅方向Wの両端部から、支持側壁138が上向きに突出しており、
前記接続部材(B)128は、ニッケルプレートで構成されており、かつ溶接により前記負極端子112に結合されていることを特徴とする、二次電池パック。」

2 本願発明と引用発明の対比と判断
(1)本願発明1と引用発明の対比
ア 引用発明の「電池セル110」、「上面114」、「正極端子」、「負極端子112」は、それぞれ、本願発明1の「電池セル」、「上端面」、「第1電極端子」、「第2電極端子」に相当する。したがって、引用発明の「正極/分離膜/負極構造の電極組立体が電解液と共に電池ケースの内部に密封されており、上面114に正極端子及び負極端子112が形成されてなる電池セル110」は、本願発明1の「正極/分離膜/負極構造の電極組立体が電解液と共に電池ケースの内部に密封されており、上端面に第1及び第2電極端子が形成されている電池セル」に相当する。

イ 上記アの検討を踏まえると、引用発明の「電池セル110の負極端子112を露出できるように第一の開口部132が形成され」た「電池セル110の上面114に装着される絶縁性搭載部材130」は、本願発明1の「電池セルの第2電極端子を露出できるできるように開口が形成され」た「電池セルの上端面に装着される絶縁性装着部材」に相当する。

ウ 引用発明の「前記絶縁性搭載部材130上に搭載されるPCM基板」は、その底面に「正温度係数(PTC)素子125」を備える「接続部材(A)123」を結合しているため、全体として保護回路として機能するといえるから、本願発明1の「保護回路が形成されており、前記絶縁性装着部材上に搭載される保護回路基板」に相当する。

エ 引用発明の「前記PCM基板の底面に」「結合されている接続部材(A)123」は、「板状PCM結合部126、板状電池セル結合部124、及び前記板状PCM結合部126と前記板状電池セル結合部124の間に配置された正温度係数(PTC)素子125」を備えていることから、本願発明1の「前記保護回路基板の下面に結合されている安全素子」に相当し、引用発明の「前記接続部材(A)123」を構成する「板状電池セル結合部124」は、本願発明1の「接続部材(A)」に相当する。また、上記1ナの図2及び上記1ネの図6の部材相互の配置を参照すると、引用発明の「接続部材(A)123」が備える「板状電池セル結合部124」が「正極端子」に接続していることは、本願発明1の「安全素子は安全素子の一部を構成する接続部材(A)を経由して第1電極端子に接続され」ることに相当する。

オ 引用発明の「前記PCM基板の底面に」「結合されている」「接続部材(B)128」は、本願発明1の「前記保護回路基板の下面に結合されている」「接続部材(B)」に相当する。

カ 上記ア、オの検討を踏まえると、引用発明の「前記接続部材(B)128は前記負極端子112に結合されて」いる構成は、本願発明1の「接続部材(B)は第2電極端子に結合されて」いることに相当する。

キ 上記ウ、オの検討を踏まえると、引用発明の「前記PCM基板に形成されている」「前記接続部材(B)128を露出する貫通孔122」は本願発明1の「前記保護回路基板上に穿孔されている」「前記接続部材(B)を露出できる貫通口」に相当する。また、引用発明の「保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」は本願発明1の「保護回路モジュール(PCM)」に相当する。したがって、引用発明の「前記接続部材(B)128を露出する貫通孔122が前記PCM基板に形成されている保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」は、本願発明1の「前記接続部材(B)を露出できる貫通口が前記PCB上に穿孔されている保護回路モジュール(PCM)」に相当する。

ク 引用発明の「絶縁性上部キャップ140」は「前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120が前記絶縁性搭載部材130に搭載された状態で前記絶縁性搭載部材130を覆うとともに前記電池セル110の上端部に結合される」ものであるところ、「前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」とは「絶縁性搭載部材130上に搭載されるPCM基板と、前記PCM基板の底面にそれぞれ結合されている接続部材(A)123及び接続部材(B)128とを含む」ものであり、また、上記ウ、エ、オの検討も踏まえると、引用発明の「前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120が前記絶縁性搭載部材130に搭載された状態で前記絶縁性搭載部材130を覆うとともに前記電池セル110の上端部に結合される絶縁性上部キャップ140」は、本願発明1の「前記接続部材(A)、前記接続部材(B)、及び前記保護回路基板が搭載された状態で前記絶縁性装着部材を覆いながら電池セルの上端部に結合される絶縁性キャップ」に相当する。

ケ 上記キの検討を踏まえると、引用発明の「保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」は、本願発明1の「保護回路モジュール(PCM)」に相当し、上記イの検討を踏まえると、引用発明の「絶縁性搭載部材130」は、本願発明1の「絶縁性装着部材」に相当することから、引用発明の「前記絶縁性搭載部材130に対して前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120を安定して搭載できるように、前記絶縁性搭載部材130の幅方向Wの両端部から、支持側壁138が上向きに突出して」いる構成と、本願発明1の「前記絶縁性装着部材に対する前記保護回路モジュール(PCM)の安定した装着状態を確保できるように、前記絶縁性装着部材には、上端面から収納用側壁が上向きに突出して」いる構成とは、「前記絶縁性装着部材に対する前記保護回路モジュール(PCM)の安定した装着状態を確保できるように、前記絶縁性装着部材には」「側壁が上向きに突出して」いる点で共通しているが、「上向きに突出して」いる「側壁」について、引用発明は「前記絶縁性搭載部材130の幅方向Wの両端部から」突出しているのに対して、本願発明1は「絶縁性装着部材」の「上端面から」突出している点で相違しており、また、引用発明の「上向きに突出して」いる「側壁」が「収納用」であるか不明である。

コ 上記ケの検討では、引用発明の「前記絶縁性搭載部材130に対して前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120を安定して搭載できる」と、本願発明1の「前記絶縁性装着部材に対する前記保護回路モジュール(PCM)の安定した装着状態を確保できる」との対比において、搭載もしくは装着が「安定」している点については一致するとしたが、両者には技術的な意義の違いがあるので確認しておく。
引用発明において「安定して搭載できる」ということは、上記1のサで検討したように、上端部が平坦に形成された支持側壁138によって、PCMアセンブリ120を構成するPCM基板の底面を安定に支持することができるので、負極端子112等による電池セルの上面114の凹凸にもかかわらず、PCMアセンブリ120を絶縁性搭載部材130に対して安定して搭載できるということを意味するものと認められる。
一方、本願発明1において「安定した装着状態を確保できる」ということは、本願明細書の段落【0025】の記載「前記絶縁性装着部材に対するPCMアセンブリの安定した装着状態を確保できるように、好ましくは、装着部材には、上端面から収納用側壁が上向き突出しており、前記収納用側壁から縦方向に締結用突起が形成されている構造であってもよい。」も参照すれば、「上向き突出」して形成された「収納用側壁」のみならず、収納用側壁から縦方向に形成された「締結用突起」も含めた構成に基づく効果であると認められる。
本願発明1における「収納用側壁」は、本願の図4を参照すれば、その上端は、突起以外の箇所は平坦に形成されているものと看取できるので、この点において、少なくとも引用発明と同様に安定であるといえるが、本願発明1は、「収納用側壁」以外に「締結用突起」も有しており、当該「締結用突起」が嵌合することにより、絶縁性装着部材は保護回路モジュール(PCM)と位置ずれすることなく、さらに安定に装着されるものであるといえる。
したがって、引用発明と本願発明1はいずれも「安定」して搭載または装着している点で共通するけれども、本願発明1は「締結用突起」を備えることによって、より安定した装着を実現しているといえる。

サ 引用発明の「前記接続部材(B)128は、ニッケルプレートで構成されており」、「前記負極端子112に結合されている」という構成は、本願発明1の「前記接続部材(B)は、ニッケルプレートで構成されており、前記第2電極端子に結合されている」ことに相当する。

シ 以上から、本願発明1と引用発明との一致点と相違点は次のとおりである。
<一致点>
「正極/分離膜/負極構造の電極組立体が電解液と共に電池ケースの内部に密封されており、上端面に第1及び第2電極端子が形成されている電池セルと、
前記電池セルの第2電極端子を露出できるように開口が形成されており、電池セルの上端面に装着される絶縁性装着部材と、
保護回路が形成されており、前記絶縁性装着部材上に搭載される保護回路基板と、前記保護回路基板の下面に結合されている安全素子及び接続部材(B)とを含んでおり、安全素子は安全素子の一部を構成する接続部材(A)を経由して第1電極端子に接続され、接続部材(B)は第2電極端子に結合されており、前記接続部材(B)を露出できる貫通口が前記保護回路基板上に穿孔されている保護回路モジュール(PCM)と、
前記接続部材(A)、前記接続部材(B)、及び前記保護回路基板が搭載された状態で前記絶縁性装着部材を覆いながら電池セルの上端部に結合される絶縁性キャップと、
を含んでおり、
前記絶縁性装着部材に対する前記保護回路モジュール(PCM)の安定した装着状態を確保できるように、前記絶縁性装着部材には、側壁が上向きに突出しており、
前記接続部材(B)は、ニッケルプレートで構成されており、かつ前記第2電極端子の表面に結合されていることを特徴とする、二次電池パック。」

<相違点>
相違点1:本願発明1では、「前記保護回路モジュール(PCM)及び前記絶縁性キャップの全体の高さ」が「3.0mm以下であり」と特定されているのに対し、引用発明では、「保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」と「絶縁性キャップ140」の全体の高さが特定されていない点。

相違点2:「上向きに突出して」いる「側壁」について、本願発明1は「絶縁性装着部材」の「上端面から」突出しており、「収納用」であるのに対して、引用発明は「前記絶縁性搭載部材130の幅方向Wの両端部から」突出しており、「収納用」であるか不明である点。

相違点3:本願発明1では、「側壁の上縁に縦方向に同じサイズを有する4つの締結用突起が形成されており、前記締結用突起は、前記保護回路モジュール(PCM)を係合して」いると特定されているのに対し、引用発明では、「支持側壁138」に「締結用突起」が形成されていない点。

(2)相違点についての判断
(2-1)相違点1について
ア 本願明細書において、背景技術を説明した段落【0006】の記載「このようなPCMを含んだ安全素子は、電極端子と電気的接続を維持しながら、同時に電池セルの他の部分とは電気的絶縁状態を維持しなければならない。このような接続形態を構成するためには、多数個の絶縁性装着部材または多数の部品が要求されるので、電池パックの組立工程を複雑にする。特に、このようなPCM及び絶縁性キャップを結合した全体高さは一般的に3mmに達するので、相対的に電池セルを収納する空間が減少するという問題点がある。」(下線は当審が付与した。)によれば、PCMと絶縁性キャップを結合した全体高さは、従来3mmに達するものであったとの記載があることから、本願発明1の「前記保護回路モジュール(PCM)及び前記絶縁性キャップの全体の高さが3.0mm以下であ」るとの特定事項は、PCMと絶縁性キャップを結合した全体の高さは、従来の一般的な高さである3.0mmよりも低減されているということを意味しているものと解される。

イ 一方、引用文献1には、「保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」と「絶縁性キャップ140」を合わせた「全体の高さ」について明示的な記載はないので、引用文献1の記載に基づいて、上記「全体の高さ」について検討する。
引用文献1の上記1ツや1テによれば、絶縁性搭載部材130の高さHは、従来よりも低い1.8mmである(1ツの当審訳1による)か、もしくは、従来よりも1.8mm低くなっており(1ツの当審訳2による)、いずれの訳が適切であるとしても、上記高さHを従来の二次電池パックよりも低くすることによって、電池セルの上部空間のサイズを減らすことが可能となり、そのため、当該減らしたサイズの量だけ電池セルの容量を大きくすることができるので、同一規格を有する他の電池パックと比べて、電池パックの容量を増加させることができるということを意味している。
つまり、引用文献1には、高さHを小さくして、電池セルの上部空間のサイズを減らすことにより、電池パックの容量を増加させるという技術思想が開示されているのであり、高さHを小さくすれば、当該高さHが小さくなることに従って、「保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」と「絶縁性キャップ140」を合わせた「全体の高さ」も小さくなることは明らかである。

ウ そして、絶縁性搭載部材130の高さHが、従来よりも低い1.8mmである(1ツの当審訳1による)場合には、「保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」と「絶縁性キャップ140」を合わせた「全体の高さ」は、当該1.8mmの高さHを「絶縁性キャップ140」の厚さ分だけ、わずかに上回る程度の高さになると推定されるから、この場合には、本願発明1と同様に、「全体の高さが3.0mm以下」となっているといえるので、相違点1は実質的なものではない。

エ また、絶縁性搭載部材130の高さHが、従来よりも1.8mm低くなっている(1ツの当審訳2による)場合には、「保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120」と「絶縁性キャップ140」を合わせた「全体の高さ」は、従来の高さよりも小さくなっているといえるし、上記アで検討した従来の一般的な「全体の高さ」が3.0mmであるとの事項も参照すれば、引用発明においても、「全体の高さ」は3.0mmよりも小さくなっているといえる。
仮に、そうでなくても、絶縁性装着部材と保護回路モジュールと絶縁性キャップを備える点で基本的な構造が本願発明1と共通している引用発明において、上記イで検討したように、電池セルの上部空間のサイズを減らすことを目的にして、「全体の高さ」を従来よりも小さい、「3.0mm以下」とすることは、当業者が適宜なし得ることである。また、「全体の高さ」の上限値を「3.0mm」とすることは、上記アで検討したとおり、単に従来より高さが低減されているということを意味するのみであって、臨界的な技術的意義は何ら認められない。

オ したがって、相違点1については、本願発明1と引用発明との実質的な相違点ではないか、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明において相違点1に係る本願発明1の特定事項とすることは当業者が容易になし得ることである。

(2-2)相違点2について
ア 本願発明1の「収納用側壁」の「収納用」が何を収納するものであるかについて、本願明細書には明示的な記載がされていない。そこで、本願図4を参照すると、U字型の「収納用側壁」125で囲まれた領域には、負極端子111と電解液注入部113が配置されている。また、本願明細書の段落【0026】には「すなわち、前記側壁の上端部がPCMアセンブリを支持しながら結合される構造とすることができる。」と記載されており、「PCMアセンブリ」は「側壁」の上端部で支持されるものであるから、「PCMアセンブリ」は「側壁」に収納されるものではない。
以上の検討によれば、本願発明1の「収納用側壁」とは、側壁で囲まれる領域に、負極端子111と電解液注入部113を含む、電池セル110の上端面の構造部材を収納する側壁であることを意味しているものと認められる。

イ 一方、引用発明の「支持側壁138」は、上記1ニの図3を参照すると、電池セル110の上面114に設けられた、突出する負極端子112や、電解質注入口116を当該側壁内部に配置しているから、引用発明の「支持側壁138」は、電池セルの上面の構造部材を収納しているという意味において、本願発明1の「収納用側壁」と同様に「収納用」であるといえる。

ウ また、引用発明において「絶縁性搭載部材130の幅方向Wの両端部から、支持側壁138が上向きに突出しており」について、上記1ニの図3を参照すると、「支持側壁138」が幅方向Wの両端部から突出しているところの「絶縁性搭載部材130」には、第一の開口132及び第二の開口134が設けられている底板が存在していることを見て取ることができる。そして、「支持側壁138」は、この底板の上端面から突出しているということができるから、引用発明の「側壁」も、本願発明1の「収納用側壁」と同様に、「絶縁性装着部材」の「上端面から」「上向きに突出して」いるものであるといえる。

エ したがって、相違点2については、本願発明1と引用発明との実質的な相違点ではない。

(2-3)相違点3について
ア 上記1のサの検討によれば、引用発明において、絶縁性搭載部材130の両端部から突出するように形成された支持側壁138は、平坦に形成されたその上端部によって、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120を構成するPCM基板の底面を安定に支持しているものであるといえるが、上記1ニ、1ヌ、1ネの図3、図4、図6を参照すると、絶縁性搭載部材130上の保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120の搭載位置について、突起(protrusion)136によって長さL方向の右端が規制可能となっている以外は、幅W方向の位置も、長さL方向の位置も何ら規制がなされないものとなっている。

イ ここで、引用文献1の上記1チによれば、接続部材(A)123の電池セル結合部124と接続部材(B)128は、溶接によって電池セル110の上面114に結合されるものであるところ、上記溶接を行う際には、接続部材(A)123及び接続部材(B)128が結合されている保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120と、電池セル110の上面114との位置合わせが必要であることは、当業者には自明である。
また、引用発明において、「絶縁性上部キャップ140」は、「前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120が前記絶縁性搭載部材130に搭載された状態で前記絶縁性搭載部材130を覆うとともに前記電池セル110の上端部に結合される」ものであるところ、「前記保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120が前記絶縁性搭載部材130に搭載された状態」とするためには、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120が絶縁性搭載部材130の所定位置に位置決めされる必要があることは、当業者には自明である。

ウ つまり、上記イの検討によれば、引用発明の二次電池パックを製造するために、溶接を行い、また、絶縁性上部キャップ140を電池セルに結合する際に、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120が絶縁性搭載部材130の所定位置に位置決めされる必要があるが、上記アで検討したように、引用発明において、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120は、長さL方向にも幅W方向にも搭載位置の規制がなされないため、製造時の振動等により位置ずれが生じたり、位置合わせを行うために時間や手間がかかるなど、製造の組み立て精度や組立効率において解決すべき課題(以下「組立に係る課題」という。)を有していることは当業者には自明である。

エ そして、上記組立に係る課題に対して、同じ大きさの4つの突起を用いて部品相互の位置決めを行うことは、以下オ、カに示す、引用文献2や、周知の文献として新たに引用する引用文献4に記載されているように、当業者には周知の技術である。

オ 引用文献2の上記2ウ、2エ、2オの記載を参照すると、上記2カ、2キの図2、図4には、Al合金からなる扁平直方体形状の外装缶11に電極体および電解液が充填された素電池10の封口蓋12上に、基板ホルダ20、回路基板30が配設され、当該基板ホルダ20、回路基板30を覆うようにキャップ40が装着されたパック電池本体2において、上記基板ホルダ20は、封口蓋12の表面上に配される底板部21と、この底板部21の縁から起立する側板部22a?22dとを有しており、当該側板部22aと側板部22bの上縁から上方に突出する、同じ大きさの4つの突起24a,24bが形成されていることが見て取れる。これら4つの突起24a,24bは、上記2オによれば、回路基板30の前縁と後縁に形成された切欠33a,33bに嵌り込むことによって、回路基板30が基板ホルダ20上の定位置に位置決めされるためのものである。

カ 引用文献4の上記4イ、4ウの記載を参照すると、上記4エの図8には、金属製の外装缶2の内部に、正極シートと負極シートとをセパレータを挟んで渦巻状に巻回してなる電極体と、非水電解液とを封入して構成されている素電池1の上面に、回路基板5を保持する合成樹脂製のホルダー41が配置されている電池パックにおいて、上記ホルダー41は、左右に長い底壁44と、底壁44の外周から上向きに伸びる前後一対の側壁45、45とを含んでおり、当該一対の側壁45、45の上端部の左右両端に、上向きで同じ大きさの4つの突起が形成されていることが見て取れる。これら4つの突起は、上記4ウの段落【0037】の記載によれば、回路基板5の水平方向の遊動を規制するための部材である。

キ したがって、引用発明の二次電池パックにおいて、組み立て精度や組立効率を向上するために、保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120を絶縁性搭載部材130の所定位置に位置決め可能なように、絶縁性搭載部材130の側壁138の上縁に、縦方向に同じサイズを有する4つの突起を設けて係合可能とすること、すなわち、相違点3に係る本願発明1の特定事項を備えるものとすることは、引用文献2や引用文献4に示される周知の技術に基づいて、当業者が容易になし得ることである。

ク また、引用発明において、絶縁性搭載部材130の側壁138の上縁に、縦方向に同じサイズを有する4つの突起を設けることによって、絶縁性搭載部材130に対して保護回路モジュール(PCM)アセンブリ120がより安定した装着状態を確保できるようになることは明らかである。

(3)請求人の意見について
ア 請求人は、平成29年12月 4日付けの意見書の3.C.ii)において、本願発明では、4つの「締結用突起(126、127、128、129)」の縦方向のサイズは皆、同じであるが、引用文献2の図4に記載された突起であって、図中、左側に記載された対の突起(24a、24b)のサイズと、図中、右側に記載された対の突起(24a、24b)のサイズとは異なっているから、引用文献2の突起は本願の突起と異なっており、引用文献2は、本願発明の締結用突起を開示・示唆するものではない旨主張している。

イ そこで、上記アの主張について検討する。引用文献2の図4を参照すると、図中、右側に記載された対の突起(24a、24b)は、基板ホルダ20の側板部22aと側板部22bの上縁から上方に突出しているのに対して、図中、左側に記載された対の突起(24a、24b)は、基板ホルダ20の底板部21から上方に突出しているので、上記右側の対の突起と、上記左側の対の突起では、その縦方向のサイズが相違しているようにも見える。

ウ しかしながら、引用文献2の段落【0032】には、「図4に示すように、側板部22aと側板部22bの上縁から上方に突出する突起24a,24bが形成され」と記載されており、図4に示された4つの突起24a,24bはいずれも、側板部22aまたは側板部22bの上縁から上方に突出するものであるとされている。
また、同段落【0027】には、「基板ホルダ20は、封口蓋12の表面上に配される底板部21と、この底板部21の縁から起立する側板部22a?22dとを有し、この側板部22a?22dによって回路基板30の外周部が支持されている。」と、同段落【0028】には、「記側板部22a?22dの中、側板部22a,22bは、底板部21の前縁,後縁から上方に起立し、側板部22c,22dは、底板部21の左縁,右縁から上方に起立している」と記載されており、図4に示された底板部21の前縁及び後縁からから起立している板は、いずれも側板部22a,22bであるとされている。
すると、上記イで記載した、上記左側の対の突起は、上部の小さい突起と、下部の肩部を有する大きい突起からなるものに見えるところ、当該下部の肩部を有する大きい突起は、底板部21の前縁及び後縁からから起立している板状の部材であるし、上記2ケの図8を参照すると、突起24aの当該肩部は、回路基板30を支持していることが見て取れるから、上記下部の肩部を有する大きい突起は、側板部22a,22bに該当するものであると解するのが相当である。このことを換言すれば、左側の対の突起において、下部の肩部を有する大きい突起のうち、当該肩に相当する箇所は、側板部22aまたは側板部22bの上縁に該当するものであると認められる。

エ したがって、請求人の上記アの主張は採用できない。

(4)判断のまとめ
本願発明1は、引用文献1に記載された発明と、引用文献2や引用文献4に記載された周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-06-05 
結審通知日 2018-06-11 
審決日 2018-07-02 
出願番号 特願2014-555491(P2014-555491)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 近藤 政克松本 陶子  
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 土屋 知久
▲辻▼ 弘輔
発明の名称 新規な構造の二次電池パック  
代理人 渡部 崇  
代理人 実広 信哉  

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