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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04M
管理番号 1346512
審判番号 不服2017-11784  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-07 
確定日 2018-12-11 
事件の表示 特願2016- 44257「携帯端末装置及びその表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月18日出願公開、特開2016-149776、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月15日に出願した特願2011-202109号の一部を、平成28年3月8日に新たな特許出願としたものであって、平成29年1月4日付けで拒絶理由が通知され、同年2月22日に手続補正がされ、同年5月17日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年5月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表2008-532185号公報
2.特開2007-141029号公報
3.特開2009-077221号公報
4.特開2011-118466号公報

第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年2月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】筐体の背面に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサと、
ユーザ毎に、複数の所定の保持状態で保持したときの前記タッチパッドセンサの出力を、所定の保持パターンとして取得し、ユーザ毎に、複数の前記所定の保持パターンと、各保持パターンに対応する表示切替制御信号とを対応付けて、予め登録する保持パターン登録手段と、
前記タッチパッドセンサが検出したタッチパッドセンサ検出データが、変化したか否かを判定し、前記タッチパッドセンサ検出データが変化した場合、自携帯端末装置を使用しているユーザに対応し、前記保持パターン登録手段が登録した前記複数の所定の保持パターンの内で、最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段とを備え、
前記保持パターン判定手段が出力した保持パターンに対応付けられた表示切替制御信号を用いて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御し、
前記保持パターン判定手段は、前記タッチパッドセンサが前記タッチパッドセンサ検出データを検出し、前記タッチパッド検出データが変化していない場合、前記表示部の前記表示画面に表示する情報の向きを維持することを特徴とする携帯端末装置。」

なお、本願発明2-6の概要は以下のとおりである。
本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6は、おおむね本願発明1の携帯端末装置の表示方法の発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特表2008-532185号公報(以下、「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0043】
図10は、本発明の一実施形態によるハンドヘルド電子装置100の透視図である。ハンドヘルド電子装置100は、ハンドヘルド電子装置100のための計算動作を提供するための集積回路チップおよび他の回路を含むさまざまな電子的要素を内部に囲むハウジング102を含む。例として、ハウジング102は、マイクロプロセッサ(例えばCPU)、メモリ(ROM、RAM)、電源(例えば電池)、プリント基板(PCB)、ハードディスクドライブまたは他のメモリ(例えばフラッシュ)および/またはさまざまな入力/出力(I/O)サポート回路を含み得る。加えて、ハウジング102は、ハンドヘルド電子装置100の形状または構造も規定し得る。すなわち、ハウジング102の輪郭は、ハンドヘルド電子装置100の外側の物理的外観を実現することができる。ハウジング102のサイズおよび形状は、大きく変更され得るが、典型的にはハンドヘルドによる使用のために構成される。
【0044】
ハンドヘルド電子装置100は、ハウジング102の内部であって、ハウジング102の開口部を通して見ることができるディスプレイ104も含む。典型的には装置100の前部表面上に配置されるディスプレイ104は、ハウジング102の前部表面の一部だけを占めるように構成され得る。或いは、ハウジング102の前部表面の全てを占めるように構成され得る(後述される)。
・・・(略)・・・
【0045】
一つの実施形態において、ディスプレイ104は、ハウジング102の前部表面を実質的に占めるよう構成される。また、例として、ディスプレイ104は、ハウジング102のあるエッジからハウジング102の反対のエッジへ広がっていてもよいし、または場合によってはハウジング102は、ハウジング102の前部表面においてディスプレイ104のエッジを囲む小さいベゼル102Aを含むようにしてもよい(図示を参照のこと)。いずれの場合も、ディスプレイ104は、ハンドヘルド電子装置100の前部表面の大部分を占め、それによって従来のユーザインタフェースに関連するボタンまたはスイッチを配するための任意の面積をなくす。要するに、ディスプレイ104のサイズは、ハンドヘルド電子装置100のサイズに最大化され、または代替として、ハンドヘルド電子装置100は、ディスプレイ104のサイズに最小化される。いずれにせよ、ディスプレイ104は、そうでなければ前部表面上にディスプレイと共に配されたボタンおよびスイッチによって制限される従来のハンドヘルド電子装置で許されるであろうものよりも、ハンドヘルド電子装置100のより大きい面積を利用することが許される。
【0046】
ユーザ入力を発生するために、ハンドヘルド電子装置100は、ディスプレイ104の前に配置された透明な入力パネルであるタッチスクリーン106を含み得る。タッチスクリーン106は、指(またはスタイラス)のような物体がタッチスクリーン106の表面を横切って移動されるときに(例えば直線的に、半径方向に、円形になど)、および/またはタッチスクリーン106上の特定の位置を保持する物体から、および/またはタッチスクリーン106上のフィンガータッピングによって入力信号を発生する。
・・・(略)・・・
【0047】
一実施形態によれば、タッチスクリーンは、同時に複数の接触点(または接触に近い点)を検出し、複数のタッチをハンドヘルド電子装置のコントローラにレポートする能力を有するマルチタッチセンシングデバイスである。すなわち、タッチスクリーンは、複数のタッチ入力を同時に検出することができる。このタイプの検出デバイスは、マルチポイントタッチセンシングデバイス(例えばマルチポイントタッチスクリーン)と呼ばれることもある。
【0048】・・・(略)・・・
【0049】
他の実施形態によれば、ハウジング102は、タッチ入力を追跡する大きな表面、または専用の機能を実行するタッチボタンのような小さい専用領域のいずれかを提供するタッチセンシティブ表面108を含み得る。タッチセンシティブ表面108は、ハウジング102の任意の表面、ハウジング102の任意の側、ハウジング102の任意の側の任意の部分、またはハウジング104の表面上の専用の位置の上に配置され得る。例として、タッチ領域は、ハウジング102の側部または背部表面上に配置されてもよいし、ハウジング102の前部表面に配置されたベゼル102Aにさえ配置されてもよい。これらの場合の全てにおいて、ハウジング102の前部表面の大部分は、ハンドヘルド電子装置100の視野が最大化されえるように、ディスプレイ104のために確保される。さらに、これらの位置にタッチセンシング領域を配置することは、片手使用を促すことになる。例えば、タッチセンシング領域は、ハンドヘルド電子装置100を保持するときに手の指がふつうに位置する場所に配置され得る。よって指は、ハンドヘルド電子装置100を使用中に保持するのと同時に、入力を開始するのに用いられ得る。さらに入力デバイスは手のさまざまな指の領域に配置されるので、異なる入力デバイスをアクチュエートするために常に手を再配置するという必要が無い。
【0050】
タッチセンシティブ表面108は、ハウジング104内に位置する1つ以上のタッチパネルの形態をとり得る。例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーンのようなデバイス(ディスプレイ有りでも無しでも)が用いられ得る。タッチセンシティブ表面108は、代替として、または追加として、ハウジング104に直接に設けられてもよい。すなわち、タッチセンシング要素は、ハウジング104そのものがタッチセンシングデバイスであるように、ハウジング104内に集積され、または一体化され、またはその下に配置される(別個のタッチパネルを用いるのではなく)。この特定の実施例は、ハウジング104が表面上に線、割れ目、または開口のない均質な外観を有し得る点において、より美的に満足がいくと考えられる。すなわちハウジング104の表面は、なんらの入力デバイスも有さず、ただディスプレイおよびハウジングしか有しない(例えば目に見える入力デバイスがない装置)ように見えるように作られえる連続的なスムーズな表面となる。
【0051】
一実施形態によれば、タッチセンシティブ表面は、同時に複数の接触点(または接触に近い点)を検出し、複数のタッチをハンドヘルド電子装置のコントローラにレポートする能力を有するマルチタッチセンシングデバイスである。すなわち、タッチセンシティブ表面は、同時に複数のタッチ入力を検出できる。このタイプのセンシングデバイスは、マルチポイントタッチセンシングデバイスと呼ばれることもある。
【0052】
タッチスクリーンと同様に、タッチセンシティブ表面(タッチパッド、タッチハウジング、またはタッチスクリーンのいずれであろうと)は、いくつかの独立した、タッチスクリーン全体に配置される空間的に別個の検出点、ノード、または領域に分割されるマルチポイント容量性タッチスクリーンであり得る。典型的には視界から隠された(透明な)センシングポイントは、タッチスクリーン上に分散され、それぞれのセンシングポイントが、タッチスクリーンの表面(つまりタッチスクリーン平面)上の異なる位置を表す。このセンシングポイントは、グリッドまたはピクセルアレイ内に配置されることができ、ここでそれぞれのピクセル化された検出点は、信号を発生することができる。最も簡単な場合において、信号は、物体がセンシングポイント上に位置するたびに作られる。物体が複数のセンシングポイント上に配置されるとき、または物体が複数のセンシングポイント間で、またはそれらの上で移動されるとき、複数の信号が発生され得る。タッチスクリーンと同じように、センシングポイントは、一般に、タッチスクリーン平面を、デカルト座標系、極座標系、またはなんらかの他の座標系のような座標系にマッピングする。・・・(略)・・・
【0053】
一つの具体的な実施形態において、ハンドヘルド電子装置100でユーザ入力を発生する唯一の方法は、タッチスクリーン106、および/またはハウジング102のタッチセンシティブ表面108を通してである。タッチスクリーン106およびタッチセンシティブ表面108は、ハンドヘルド電子装置100の他の全ての入力手段を完全に置き換える。機械的ボタンおよびスイッチのような他の入力デバイスは含まれないので、ディスプレイ104のための面積を確保できる。しかしある場合には、入力を受け取ることから1つ以上のタッチセンシングデバイスをロックおよびアンロックするホールドスイッチを含むのが望ましいかもしれない(例えばホールドスイッチは望ましくないときの入力を防ぐ)。このような場合において、ホールドスイッチは、ディスプレイを持つ前部表面上に配置されず、よって前部表面をディスプレイが占めることを可能にする。むしろ、ホールドスイッチは、デバイスの頂部表面のような側面のうちの一つに配置される。
【0054】
しかしこれは限定ではなく、装置は、制限された個数の物理的ボタンおよびスイッチを含み得ることに注意されたい。前部表面上に制限された個数を維持することで、装置の利用可能な空間がディスプレイのために確保されえることが一般には望ましい。
【0055】
ハンドヘルド電子装置100は、ハウジングのタッチスクリーン106および/またはタッチセンシティブ表面108(トラックパッド)に印加されたジェスチャを認識し、このジェスチャに基づいてハンドヘルド電子装置100の種々の局面を制御するよう設計され得る。ジェスチャは、1つ以上の特定の計算操作にマッピングされる、入力デバイスとの間の定形化されたインタラクションとして規定され得る。ジェスチャは、さまざまな、手による、およびより具体的には指の動きを通してなされ得る。代替としてまたは追加として、このジェスチャは、スタイラスでなされてもよい。これらの場合の全てにおいて、入力デバイス(タッチスクリーンおよびタッチセンシティブ表面)は、ジェスチャを受け取り、ハンドヘルド電子装置100のコントローラは、このジェスチャに関連付けられた操作を行う命令を実行する。ジェスチャは、単一の点または複数の点群からなるジェスチャでありえる。ハンドヘルド電子装置100は、ジェスチャ操作プログラムを含むことができ、これはオペレーティングシステムまたは別個のアプリケーションの一部であってもよい。ジェスチャの操作プログラムは、ジェスチャの発生を認識し、1つ以上のソフトウェアエージェントに、ジェスチャおよび/またはそのジェスチャに応答してどのようなアクション(群)を行うかを知らせる一連の命令を一般に含む。・・・(略)・・・
【0056】
代替としてまたは追加として、ハンドヘルド電子装置は、手の画像を認識し、その手の画像に基づいてハンドヘルド電子装置の種々の局面を制御するよう設計されてもよい。それぞれの手の画像は、特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイルを表し、すなわち手の画像は、どのように装置が持たれているかを記述する。この手の画像(または信号)は、ある種の機能を開始するために、またはどのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うために用いられ得る。例として、この機能は、コマンドを開始すること、アイテムを選択すること、ファイルまたはドキュメントを開くこと、プログラムを立ち上げること、命令を実行すること、ディスプレイスクリーン上のメニューを見ることなどを含み得る。この決定に関して、ユーザのアイデンティティ(例えばBobまたはCarol)を決定するために、またはユーザのタイプ(例えば左利きまたは右利きのユーザ)を決定するために、手の信号を用いることができる。ハンドヘルド電子装置は、それに関連付けられたアクションを持つ、手のプロファイルのリストを含み得る。ハンドプロファイルは一般に、その装置がどのように持たれているかを記述し、アクションは、ハンドプロファイルに基づいて実行すべきアクションのタイプを記述する。
【0057】
加えて、手の画像は、装置が例えば0、90、180および270度において持たれているときのような装置の向きを決定するために用いられえる。この情報で、装置は、装置が置かれている向きにかかわらず、直立した画像をつねに表示するよう構成され得る。」(11-14頁)

イ.「【0073】
図16は、本発明のある実施形態によるハンドヘルド電子装置150の透視図である。この実施形態において、ハンドヘルド電子装置150は、完全なタッチセンシティブハウジング152、およびディスプレイ154全体をカバーするタッチスクリーン156を持つディスプレイ154を含む。したがってこの装置150は、完全にタッチセンシティブである。すなわち実質的に装置150の表面上の全ての位置が、表面接触を検出することができ、装置150は、全ての指および手のひらが装置150に触れている場所および時、およびどのくらいの圧力がそれぞれの点において存在するかを知る。同じ考えおよび使用法は、そのハウジングが接触に感応性を持つ相当部分を有する任意の装置に適用されえる。
【0074】
タッチセンシティブハウジング152は、第1センサ構成158を含み、タッチスクリーン156は第2センサ構成160を含む。第1センサ構成158は、ハウジング152の壁面に一体化して形成されることができ、またはそれらはハウジング152によって規定される囲まれた空間内の壁部の後ろに(例えば内部壁に近接して)配置されることができる。第2センサ構成160は、ディスプレイ154上に一体化して形成されることができ、またはそれはディスプレイ154上に設けられた別個のユニットであってもよい。両方のセンサ構成158および160は、例えば手がハウジング152を握るときのように、指または手のひらのような複数の物体の存在を検出するよう構成される。
【0075】
示されるように、それぞれのセンサ構成158および160は、それぞれの要素内に位置するいくつかの独立した空間的に別個の検出点群162(または領域群)に分割されている。検出点162は、それぞれの要素について一般に分散され、それぞれの検出点162は、要素、つまり装置150の表面上の異なる点を代表する。検出点162は、ピクセル化された検出点162が信号を発生できるグリッドまたはピクセルアレイ中に配置され得る。検出点162の個数および構成は大きく変更され得る。検出点162の個数および構成は、タッチセンシティブ表面の望ましい解像度に一般に依存し、コストおよび機能間の任意の望ましい妥協を達成するためにハウジング152にわたってスポットごとに変更され得る。
【0076】・・・(中略)・・・
【0077】・・・(中略)・・・
【0078】・・・(中略)・・・
【0079】
検出点162において発生された信号は、ユーザがどのように装置を保持しているかを決定するために用いることができる。例として、図11および図17A?17Dを参照すると、装置150に接触する手のそれぞれの部分は、接触面領域を作る。それぞれの接触面領域は、いくつかの検出点162をカバーし、よっていくつかの信号を発生する。この信号は、一緒にまとめられて、ユーザがどのように装置150を保持しているかを表すハンド信号を形成し得る。要するにハンド信号は、装置150に接触している手のピクセル化された画像である。」

ウ「【0082】
絶対マッピングにおいて、タッチ表面は、選択されるときに、そのボタン領域に関連付けられた特定のボタン機能を実現する、装置の領域群を表す1つ以上のボタン領域に分割される。第1および第2ハンド信号間で最も大きい変化を持つ接触面領域を有するボタン領域が、典型的には実現される機能である。ユーザは、使用前にボタン領域の構成を設定することによって装置をカスタマイズすることができる。例えば、装置は、1つのボタンの装置、2つのボタンの装置、3つのボタンの装置などのように構成され得る。ボタン領域の位置およびサイズもカスタマイズされ得る。例えば、装置は、装置の前部または背部だけに、または装置の側部だけにボタン領域を持つよう構成することができる。このカスタマイズはユーザおよび/または装置によって実行され得る。
【0083】
他の実施形態において、ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、制御機能を実現しようとするユーザの希望(例えばジェスチャ)を表しえる。例えば、もしベースラインハンド信号が第1ボタン機能に対応し、現在のハンド信号がベースラインハンド信号に類似するなら、装置は、第1ボタン機能を実施することができる。ユーザは、使用前にベースラインハンド信号を設定することによって装置をカスタマイズし得る(例えば較正)。
【0084】
他の実施形態において、ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、ユーザのタイプ(例えばユーザの利き手またはユーザのアイデンティティ)も表し得る。例えば、もしベースラインハンド信号が左利きユーザに対応し、現在のハンド信号がベースラインハンド信号に類似するなら、装置はユーザが左利きであると知る。ユーザは、使用前にベースラインハンド信号を設定することによって装置をカスタマイズし得る(例えば較正)。
【0085】・・・(中略)・・・
【0086】
図19は、本発明の一実施形態による動作手順220である。手順220は一般にブロック222において始まり、ここで装置はスタンバイ状態である。スタンバイは一般に、その装置が何かが起こることを待っている準備のできた状態にあることを示唆し、すなわちユーザがアクションを開始することを待っている状態である。ブロック222に続いて、プロセスフローはブロック224に進み、ここでユーザが装置を触っているかについての判断がなされる。これは一般には、手が装置に近づくと信号を発生することができるタッチセンシングデバイス、およびタッチセンシングデバイスの動作をモニタするよう構成される制御システムで達成される。もしユーザが装置を触っていないと判断されるなら、プロセスフローはブロック222に戻り、装置をスタンバイ状態に維持する。もしユーザが装置を触っていると判断されるなら、プロセスフローはブロック226に進み、ここでユーザが判断される。
【0087】
ある実施形態において、ブロック226は、ユーザの利き手の判断を含む。他の実施形態において、ブロック226は、実際のユーザ(例えばBobまたはCarol)の判断を含む。この判断は、自動的に実行されてもよいし、またはそれは選択的に、すなわちユーザによって開始されてもよい。いったんユーザが決定されると、プロセスフローは、ブロック228に進み、ここで装置はユーザに基づいて構成される。ある実施形態において、装置のボタン領域は、ユーザの利き手に基づいて構成される。他の実施形態において、ボタン領域は、実際のユーザ(例えばBobまたはCarol)に基づいて構成される。
【0088】
ブロック228に続きプロセスフローは、ブロック232に進み、ここでタッチイベントがモニタされる。ブロック232に続きプロセスフローは、ブロック236に進み、ここでタッチイベントに基づいて信号が発生される。信号は、装置においてアクションを実行するのに用いられえる。例えば、信号は、コマンドを開始し、選択を行い、またはディスプレイにおいて動きを提供する(例えばカーソル制御、スクロール、パンニングなど)ために用いられえる。」(19頁)

エ「【0090】
図21は、本発明の一実施形態による実際のユーザの決定方法260である。例として、この方法は図19のブロック226に含まれ得る。この方法は、一般に、較正ステップ262および使用中ステップ264を含む複数のステップによって実施される。較正ステップ262は、使用中ステップ264の前に実行される。較正ステップは一般に一度、実行され、一方、使用中ステップは装置の使用のあいだ、連続的に使用される。較正ステップ262は、一般にブロック266において始まり、ここで各ユーザについてのベースラインハンド信号が生成される。ブロック266に続いて、プロセスフローはブロック268に進み、ここでベースラインハンド信号についてのユーザ設定(例えばボタン領域)が構成される。ブロック268に続いて、プロセスフローはブロック270に進みここでベースラインハンド信号およびユーザ設定が、ユーザプロファイルデータベースに記憶される。
【0091】
使用中ステップ264は一般にブロック272において始まり、ここで現在のハンド信号が発生される。ブロック272に続いてプロセスフローはブロック274に進み、ここで現在のハンド信号がユーザプロファイルデータベースに記憶されたベースラインハンド信号と比較される。ブロック274に続いてプロセスフローはブロック276に進み、ここで現在のハンド信号に最も類似するベースラインハンド信号が選択される。もし現在の信号に類似する信号が存在しないなら、ユーザは較正ステップ262を経るように促すようにしてもよい。ブロック276に続いてプロセスフローはブロック268に進み、ここで装置は、選択されたベースラインハンド信号に関連付けられたユーザ設定に従って構成される。」(20?21頁)

(1)摘記事項アの【0044】及び【0051】の記載によれば、「ハンドヘルド電子装置」は、「ハウジング」及び「ディスプレイ」を有し、同【0049】の記載及び図11によれば、「タッチセンシティブ表面」が、「ハウジングの背部表面上」を含む「表面上に配置され」ているといえる。

(2)摘記事項アの【0046】の「ハンドヘルド電子装置100は、ディスプレイ104の前に配置された透明な入力パネルであるタッチスクリーン106を含み得る。」の記載より、「ディスプレイの前に配置されたタッチスクリーン」を備えているといえる。

(3)摘記事項アの【0049】の「タッチセンシティブ表面108は、ハウジング102の任意の表面、ハウジング102の任意の側、ハウジング102の任意の側の任意の部分、またはハウジング104の表面上の専用の位置の上に配置され得る。例として、タッチ領域は、ハウジング102の側部または背部表面上に配置されてもよいし、」と、【0051】の「タッチセンシティブ表面は、同時に複数の接触点(または接触に近い点)を検出し、複数のタッチをハンドヘルド電子装置のコントローラにレポートする能力を有するマルチタッチセンシングデバイスである。すなわち、タッチセンシティブ表面は、同時に複数のタッチ入力を検出できる。」との各記載より、「ハウジングの背部表面上を含む表面上に配置され、同時に複数の接触点を検出し、複数のタッチをハンドヘルド電子装置のコントローラにレポートする能力を有するタッチセンシティブ表面」を備えているといえる。

(4)摘記事項アの【0056】の「ハンドヘルド電子装置は、手の画像を認識し、その手の画像に基づいてハンドヘルド電子装置の種々の局面を制御するよう設計されてもよい。それぞれの手の画像は、特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイルを表し、すなわち手の画像は、どのように装置が持たれているかを記述する。この手の画像(または信号)は、ある種の機能を開始するために、またはどのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うために用いられ得る。」と、「ユーザのアイデンティティ(例えばBobまたはCarol)を決定するために、またはユーザのタイプ(例えば左利きまたは右利きのユーザ)を決定するために、手の信号を用いることができる。ハンドヘルド電子装置は、それに関連付けられたアクションを持つ、手のプロファイルのリストを含み得る。ハンドプロファイルは一般に、その装置がどのように持たれているかを記述し、アクションは、ハンドプロファイルに基づいて実行すべきアクションのタイプを記述する。」との記載より、「その装置がどのように持たれているかを記述した手のプロファイルと、それに関連付けられ、ハンドプロファイルに基づいて実行すべきアクションのタイプを記述したアクションを持つ手のプロファイルリスト」を備えているといえる。

(5)摘記事項アの【0051】の記載によれば、ハンドヘルド電子装置は「コントローラ」を備えているといえる。

(6)摘記事項アの【0056】の「ハンドヘルド電子装置は、手の画像を認識し、その手の画像に基づいてハンドヘルド電子装置の種々の局面を制御するよう設計されてもよい。それぞれの手の画像は、特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイルを表し、すなわち手の画像は、どのように装置が持たれているかを記述する。この手の画像(または信号)は、ある種の機能を開始するために、またはどのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うために用いられ得る。」と、「ユーザのアイデンティティ(例えばBobまたはCarol)を決定するために、・・・(中略)・・・手の信号を用いることができる。ハンドヘルド電子装置は、それに関連付けられたアクションを持つ、手のプロファイルのリストを含み得る。ハンドプロファイルは一般に、その装置がどのように持たれているかを記述し、アクションは、ハンドプロファイルに基づいて実行すべきアクションのタイプを記述する。」の各記載によれば、「ハンドヘルド電子装置」は、「その装置がどのように持たれているかに関連付けられ」た、「ハンドプロファイルに基づいて実行すべきアクションのタイプを記述」した「手のプロファイルのリスト」を含み、「特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイルを表す手の画像を認識し、その手の画像に基づいてハンドヘルド電子装置の種々の局面を制御するよう設計され」、「手の画像(または信号)は、ある種の機能を開始するために、またはどのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うために用いられ」るので、「特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイルを表す手の画像を認識し、その手の画像に基づいてハンドヘルド電子装置の種々の局面を制御するよう設計され、手の画像(または信号)は、ある種の機能を開始するために、またはどのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うために用いられ」ているといえる。

(7)摘記事項ウの【0083】の「ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、制御機能を実現しようとするユーザの希望(例えばジェスチャ)を表しえる。」の記載より、「ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、制御機能を実現しようとするユーザの希望を表し」ているといえる。

(8)摘記事項ウの【0084】の「ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、ユーザのタイプ(例えばユーザの利き手またはユーザのアイデンティティ)も表し得る。」の記載より、「ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、ユーザのタイプも表し」ているといえる。

(9)摘記事項ウの【0086】?【0088】の「本発明の一実施形態による動作手順220である。手順220は一般にブロック222において始まり、ここで装置はスタンバイ状態である。」と、「プロセスフローはブロック224に進み、ここでユーザが装置を触っているかについての判断がなされる。」と、「もしユーザが装置を触っていないと判断されるなら、プロセスフローはブロック222に戻り、装置をスタンバイ状態に維持する。もしユーザが装置を触っていると判断されるなら、プロセスフローはブロック226に進み、ここでユーザが判断される。」と、「タッチイベントに基づいて信号が発生される。信号は、装置においてアクションを実行するのに用いられえる。」と、摘記事項エの【0090】の「ここで各ユーザについてのベースラインハンド信号が生成される。」との各記載より、「動作手順は、ユーザが装置を触っているかについての判断がなされ、ユーザが装置を触っていると判断されるなら、ユーザが判断され、ユーザが決定されると、装置はユーザに基づいて構成され、タッチイベントがモニタされ、タッチイベントに基づいて信号が発生され、装置においてアクションを実行するのに用いられ、実際のユーザの決定方法は、ここで各ユーザについてのベースラインハンド信号が生成され」るといえる。

(10)摘記事項エの【0091】の「使用中ステップ264は一般にブロック272において始まり、ここで現在のハンド信号が発生される。ブロック272に続いてプロセスフローはブロック274に進み、ここで現在のハンド信号がユーザプロファイルデータベースに記憶されたベースラインハンド信号と比較される。ブロック274に続いてプロセスフローはブロック276に進み、ここで現在のハンド信号に最も類似するベースラインハンド信号が選択される。もし現在の信号に類似する信号が存在しないなら、ユーザは較正ステップ262を経るように促すようにしてもよい。ブロック276に続いてプロセスフローはブロック268に進み、ここで装置は、選択されたベースラインハンド信号に関連付けられたユーザ設定に従って構成される。」の記載より、「現在のハンド信号がユーザプロファイルデータベースに記憶されたベースラインハンド信号と比較され、最も類似するベースラインハンド信号が選択され、選択されたベースラインハンド信号に関連づけられたユーザ設定に従って構成され」るといえる。

(11)摘記事項アの【0057】の「加えて、手の画像は、装置が例えば0、90、180および270度において持たれているときのような装置の向きを決定するために用いられえる。この情報で、装置は、装置が置かれている向きにかかわらず、直立した画像をつねに表示するよう構成され得る。」の記載によれば、「加えて、手の画像は、装置が例えば0、90、180および270度において持たれているときのような装置の向きを決定するために用いられ」、「装置が置かれている向きにかかわらず、直立した画像をつねに表示する」といえる。

摘記事項の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「ハウジングと、
ディスプレイと、
ディスプレイの前に配置されたタッチスクリーンと、
ハウジングの背部表面上を含む表面上に配置され、同時に複数の接触点を検出し、複数のタッチをハンドヘルド電子装置のコントローラにレポートする能力を有するタッチセンシティブ表面と、
その装置がどのように持たれているかを記述した手のプロファイルと、それに関連付けられ、ハンドプロファイルに基づいて実行すべきアクションのタイプを記述したアクションを持つ手のプロファイルリストと、
コントローラとを備え、
特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイルを表す手の画像を認識し、その手の画像に基づいてハンドヘルド電子装置の種々の局面を制御するよう設計され、手の画像(または信号)は、ある種の機能を開始するために、またはどのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うために用いられ、
ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、制御機能を実現しようとするユーザの希望を表し、
ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、ユーザのタイプも表し、
動作手順は、ユーザが装置を触っているかについての判断がなされ、ユーザが装置を触っていると判断されるなら、ユーザが判断され、ユーザが決定されると、装置はユーザに基づいて構成され、タッチイベントがモニタされ、タッチイベントに基づいて信号が発生され、装置においてアクションを実行するのに用いられ、
実際のユーザの決定方法は、ここで各ユーザについてのベースラインハンド信号が生成され、現在のハンド信号がユーザプロファイルデータベースに記憶されたベースラインハンド信号と比較され、最も類似するベースラインハンド信号が選択され、選択されたベースラインハンド信号に関連づけられたユーザ設定に従って構成され、
加えて、手の画像は、装置が例えば0、90、180および270度において持たれているときのような装置の向きを決定するために用いられ、装置が置かれている向きにかかわらず、直立した画像をつねに表示する、ハンドヘルド電子装置。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-141029号公報(以下、「引用文献2」という。)(【0061】?【0063】)には、「裏面タッチ式入力部に対する画像入力(指紋パターンの検出)について、操作者の手の指が触れている位置が変化した場合に処理を行い、変化していなかった場合には、指の入力が一旦途切れたか否かの判断をさらに行う。」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-077221号公報(以下、「引用文献3」という。)(【0014】、図4)、「ユーザが携帯電話機を手で保持した際に、ユーザの指の位置を示す保持パターンを認証データとして、予め登録しておくことで、ユーザ認証を行う。」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-118466号公報(以下、「引用文献4」という。)(【0156】?【0163】)には、「格納した比較用一致パターンとの一致画素数によりマッチングの度合いを示す合致度を算出する。」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明の「ハウジング」は、本願発明1の「筐体」に相当する。

(イ)引用発明の「タッチセンシティブ表面」は、「ハウジングの背部表面上」を含む表面上に配置されている。
さらに、引用発明の「タッチセンシティブ表面」は、「複数のタッチをハンドヘルド電子装置のコントローラにレポートする」能力を有しているから、「複数のタッチ」を検出することは明らかである。
ここで、タッチスクリーンとともに「タッチセンシティブ表面」に接触している指または手の他の部分のプロファイルは「その装置がどのように持たれているか」を記述しているから、「複数のタッチ」とは、「ユーザが保持した際の接触」である。
つまり、引用発明の「タッチセンシティブ表面」は、「ユーザが保持した際の接触位置」を検出しているといえる。
上記によれば、引用発明の「タッチセンシティブ表面」は「ハウジングの背部表面上」に設けられ、「ユーザが保持した際の接触位置を検出」しているから、本願発明1の「筐体の背面に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサ」に相当する。

(ウ)引用発明は、「手の画像」は「装置の向きを決定するために用いられ」て、「直立した画像をつねに表示」するから、「直立した画像をつねに表示」するための信号が存在することは自明であって、該信号を「表示切替制御信号」と呼ぶことは、任意である。
「直立した画像」は、ディスプレイに表示されることが明らかであって、引用発明の「ディスプレイ」は、本願発明1の「表示部」に相当し、「直立した画像をつねに表示」するためには、「表示する情報の向きを制御」する必要があることも自明である。
つまり、引用発明は、「表示切替制御信号を用いて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御し」ているといえる。

(エ)引用発明は、「その装置がどのように持たれているかを記述した手のプロファイルのリスト」を有しているから、「保持パターン」を予め記憶しているといえ、保持パターンを予め記憶するためには、該「保持パターン」を取得し、「保持パターン登録手段」を備えていることは自明である。
ここで、「その装置がどのように持たれているかを記述した手のプロファイルのリスト」を有するとは、「その装置がどのように持たれているかを記述し」ている「手のプロファイル」を「リスト」として有することである。
そして、「手の画像」が「特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイル」を示している、ことを考慮すれば、「手のプロファイル」とは「手の画像」、すなわち「保持パターン」である。
また、「ベースラインハンド信号と現在のハンド信号の類似性」は、「制御機能を実現しようとするユーザの希望」すなわち「アクション」、または「ユーザ」を決定するから、「手の画像」は「アクション」または「ユーザ」に対応した画像であって、「手のプロファイルのリスト」には、「手の画像」と、手の画像に対応した「アクション」または「ユーザ」が記憶されているといえる。
そして、動作方法200は、ユーザを決定し、ユーザに基づいて構成された後に、タッチイベントに基づいてアクションが決定されているから、「アクション」は「ユーザ毎」に決定されている。ここで、「ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性」が「制御機能を実現しようとするユーザの希望」が「アクション」であるから、「手のプロファイルのリスト」は、「ユーザ毎」の「アクション」であることが明らかである。
上記によれば、引用発明の「手のプロファイルのリスト」は、「保持したときの前記タッチパッドセンサの出力を、所定の保持パターンとして取得」しており、「ユーザ毎に、複数の前記保持パターンと、各保持パターンに対応する制御に関する情報とを対応づけて」いるといえる。

(オ)「手の画像」は、「ある種の機能を開始するため」または「どのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うため」に用いられるのに加えて「装置が例えば0、90、180および270度において持たれているときのような装置の向きを決定するために用いられ」ている。

以上より、
a.本願発明の「筐体の背面に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサ」と、引用発明の「ハウジングと、ディスプレイと、ディスプレイの前に配置されたタッチスクリーンと、ハウジングの背部表面上を含む表面上に配置され、同時に複数の接触点を検出し、複数のタッチをハンドヘルド電子装置のコントローラにレポートする能力を有するタッチセンシティブ表面」とは、以下の相違点(相違点1)を除いて、「筐体の背面に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサ」で共通する。

b.本願発明の「ユーザ毎に、複数の所定の保持状態で保持したときの前記タッチパッドセンサの出力を、所定の保持パターンとして取得し、ユーザ毎に、複数の前記所定の保持パターンと、各保持パターンに対応する表示切替制御信号とを対応付けて、予め登録する保持パターン登録手段」と、引用発明の「その装置がどのように持たれているかを記述した手のプロファイルと、それに関連付けられ、ハンドプロファイルに基づいて実行すべきアクションのタイプを記述したアクションを持つ手のプロファイルリスト」とは、以下の相違点(相違点2)を除いて、「ユーザ毎に保持したときの所定のセンサの出力を、所定の保持パターンとして取得し、ユーザ毎に、複数の前記保持パターンと、各保持パターンに対応する制御に関する情報とを対応付けて、予め登録する保持パターン登録手段」で共通する。

c.本願発明の「自携帯端末装置を使用しているユーザに対応し、前記保持パターン登録手段が登録した前記複数の所定の保持パターンの内で、最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段」と、引用発明の「コントローラとを備え、特定の時刻の瞬間においてタッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面に接触している指または手の他の部分のプロファイルを表す手の画像を認識し、その手の画像に基づいてハンドヘルド電子装置の種々の局面を制御するよう設計され、手の画像(または信号)は、ある種の機能を開始するために、またはどのユーザがそのハンドヘルド電子装置を使用しているかについての決定を行うために用いられ、ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、制御機能を実現しようとするユーザの希望を表し、ベースラインハンド信号および現在のハンド信号の間の類似性は、ユーザのタイプも表し、動作手順は、ユーザが装置を触っているかについての判断がなされ、ユーザが装置を触っていると判断されるなら、ユーザが判断され、ユーザが決定されると、装置はユーザに基づいて構成され、タッチイベントがモニタされ、タッチイベントに基づいて信号が発生され、装置においてアクションを実行するのに用いられ、実際のユーザの決定方法は、ここで各ユーザについてのベースラインハンド信号が生成され、現在のハンド信号がユーザプロファイルデータベースに記憶されたベースラインハンド信号と比較され、最も類似するベースラインハンド信号が選択され、選択されたベースラインハンド信号に関連づけられたユーザ設定に従って構成され、」とは、「前記所定のセンサが検出したセンサ検出データを用いて、自携帯端末装置を使用しているユーザに対応し、前記保持パターン登録手段が登録した前記複数の所定の保持パターンの内で、最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段とを備え、」で共通する。

d.本願発明の「前記保持パターン判定手段が出力した保持パターンに対応付けられた表示切替制御信号を用いて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御し、」と、引用発明の「加えて、手の画像は、装置が例えば0、90、180および270度において持たれているときのような装置の向きを決定するために用いられ、装置が置かれている向きにかかわらず、直立した画像をつねに表示する、」とは、「前記所定のセンサが検出したセンサ検出データを用いて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御する」で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致および相違する。

(一致点)
「筐体の背面に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサと、
ユーザ毎に保持したときの所定のセンサの出力を、所定の保持パターンとして取得し、ユーザ毎に、複数の前記保持パターンと、各保持パターンに対応する制御に関する情報とを対応付けて、予め登録する保持パターン登録手段と、
前記所定のセンサが検出したセンサ検出データを用いて、自携帯端末装置を使用しているユーザに対応し、前記保持パターン登録手段が登録した前記複数の所定の保持パターンの内で、最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段とを備え、
前記所定のセンサが検出したセンサ検出データを用いて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御する
ことを特徴とする携帯端末装置。」

(相違点1)

「所定の保持パターンとして取得」するセンサの出力として、本願発明1は「タッチパッドセンサ」であるのに対し、引用発明は、「タッチスクリーンとともにタッチセンシティブ表面」である点。

(相違点2)

「保持パターン登録手段」が、本願発明1ではユーザ毎に、「複数の所定の保持状態で保持したとき」のセンサの出力を、「ユーザ毎に、複数の前記所定の保持パターンと、各保持パターンに対応する表示切替制御信号とを対応付けて」登録するのに対し、引用発明では、ユーザ毎の保持が、「複数の所定の保持状態」で保持したものではなく、ユーザ毎に、複数の所定の保持パターンに対応する情報が「各保持パターンに対応する表示切替制御信号」ではない点。
そして、該「保持パターン登録手段」に登録されている情報の違いにより、「表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御」するにあたり、本願発明1では、「保持パターン判定手段が出力した保持パターンに対応付けられた表示切替制御信号」を用いているのに対し、引用発明では保持パターン判定手段の出力を用いることは記載されていない点。

(相違点3)

「保持パターン判定手段」において、本願発明1では、「前記所定のセンサが検出したセンサ検出データ」が「変化したか否かを判定」し、類似している保持パターンを判定するのは「センサ検出データが変化した場合」であって、「センサ検出データが変化していない場合」には「前記表示部の表示画面に表示する情報の向きを維持する」のに対し、引用発明では、「前記所定のセンサが検出したセンサ検出データ」が「変化したか否かを判定」しておらず、類似している保持パターンの判定は、「センサ検出データが変化したかどうか」に関係していると記載していない点。

(2)相違点についての検討

事案に鑑み、(相違点2)について検討する。

本願発明は、保持パターン登録手段に「複数の所定の保持状態で保持したとき」の「各保持パターンに対応する表示切替制御信号」を予め登録しておき、「保持パターン判定手段」の出力に対応した「切替制御信号」を用いて「表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御」するという具体的な処理内容が記載されている。
一方、引用発明は、「所定のセンサが検出したセンサ検出データを用いて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御する」にあたって、どのような処理を行っているのかは明らかではなく、該処理にあたって、「保持パターン登録手段」に「複数の所定の保持状態で保持したとき」の「各保持パターンに対応する表示切替制御信号」を予め登録し、「保持パターン判定手段」の出力に対応した「切替制御信号」を用いて「表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御」することは、自明な処理とはいえず、引用文献2-4に記載された技術的事項から容易に想到し得たということもできない。

よって、(相違点2)について、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたということはできない。

したがって、(相違点1)、(相違点3)について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたとすることはできない。


2.本願発明2-5について
本願発明2-5も、(相違点1)として検討した、本願発明1の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明6について
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であり、(相違点1)として検討した、本願発明1の発明特定事項と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-6は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-11-29 
出願番号 特願2016-44257(P2016-44257)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤江 大望  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 吉田 隆之
山中 実
発明の名称 携帯端末装置及びその表示方法  
代理人 青木 充  
代理人 ▲高▼橋 幹夫  
代理人 加藤 朝道  
代理人 内田 潔人  
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