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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 E06B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E06B |
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管理番号 | 1346568 |
審判番号 | 不服2017-9415 |
総通号数 | 229 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-28 |
確定日 | 2018-12-21 |
事件の表示 | 特願2014- 73644「サッシ構造」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 9日出願公開、特開2015-196944、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年3月31日の出願であって、平成28年7月22日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年9月21日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年11月7日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、平成29年1月23日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月15日付けで平成29年1月23日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年6月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年6月29日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、平成30年8月31日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 補正の却下の決定及び原査定の概要 1 平成29年3月15日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。 平成29年1月23日付けの請求項1及び請求項1を引用する請求項2?5についての補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該補正後の本願請求項1及び請求項1を引用する請求項2?5に係る発明は、下記引用文献A?Dに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、平成29年1月23日付けの補正は却下すべきものである。 引用文献: A.特許第3546178号公報 B.特開2001-40955号公報 C.特開2001-55869号公報 D.特開2014-9494号公報 2 原査定(平成29年3月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1?4に係る発明は、上記引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、また、本願請求項4及び5は、上記引用文献A,C,Dに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第3 当審拒絶理由の概要 当審の拒絶理由(新規性・進歩性)の概要は次のとおりである。 本願請求項1?3に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、または、本願請求項1?4に係る発明は、引用文献1?3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献: 1.特許2002-180766号公報 2.特開2006-132210号公報 3.特開2001-55869号公報 第4 本願発明 本願請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」という。)は、平成30年8月31日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1?4は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 開口部に設けられたサッシ枠と、該サッシ枠に引き違い状にスライド可能に支持される室外側サッシ障子および室内側サッシ障子を備えるサッシ障子と、を有するサッシ構造において、 前記サッシ枠は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の戸先框と近接して対向する第1枠部と、前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の戸先框と近接して対向する第2枠部と、を有し、 前記第1枠部および前記第2枠部は、それぞれ金属枠と、該金属枠を覆う樹脂枠と、を有し、 前記室外側サッシ障子の前記戸先框および前記室内側サッシ障子の前記戸先框は、それぞれ金属框と、該金属框の室内側の面を覆う樹脂カバーと、を有し、 前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子における前記戸先框の前記金属框と、前記第1枠部の前記金属枠との間、および前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子における前記戸先框の前記金属框と、前記第2枠部の前記金属枠との間のそれぞれには、パッキンが配置され、 前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の前記戸先框の前記樹脂カバーおよび前記第1枠部の前記樹脂枠には、それぞれの少なくとも一部に前記パッキンよりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向する第1対向面が形成され、 前記第1枠部の第1対向面および前記室外側サッシ障子の第1対向面の少なくとも一方の第1対向面には、他方の第1対向面側へ突出する第1ヒレ部が設けられ、 前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の前記戸先框の前記樹脂カバーおよび前記第2枠部の前記樹脂枠には、それぞれの少なくとも一部に前記パッキンよりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向する第2対向面が形成され、 前記第2枠部の第2対向面および前記室内側サッシ障子の第2対向面の少なくとも一方の第2対向面には、他方の第2対向面側へ突出する第2ヒレ部が設けられ、 前記第1ヒレ部は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の第1対向面と前記第1枠部の第1対向面との間のみに位置し、第1基端部と第1先端部との間に第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部よりも前記第1先端部までの部分が前記第1屈曲部よりも前記一方の第1対向面側に位置するように屈曲するとともに、前記室外側サッシ障子が前記開口部を閉鎖している状態において、前記一方の第1対向面と前記他方の第1対向面との間の空気の流入を抑制し、 前記第2ヒレ部は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の第2対向面と前記第2枠部の第2対向面との間のみに位置し、第2基端部と第2先端部との間に第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部よりも前記第2先端部までの部分が前記第2屈曲部よりも前記一方の第2対向面側に位置するように屈曲するとともに、前記室内側サッシ障子が前記開口部を閉鎖している状態において、前記一方の第2対向面と前記他方の第2対向面との間の空気の流入を抑制することを特徴とするサッシ構造。 【請求項2】 前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の第1対向面と前記第1枠部の第1対向面との間には、室内空間と連続する第1隙間が形成され、 前記第1ヒレ部は、前記第1枠部の第1対向面に設けられて、前記第1隙間に配置され、前記第1先端部が前記第1基端部よりも見付方向における前記第1枠部の前記金属枠に近い側に位置し、 前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の第2対向面と前記第2枠部の第2対向面との間には、室内空間と連続する第2隙間が形成され、 前記第2ヒレ部は、前記第2枠部の第2対向面に設けられて、前記第2隙間に配置され、前記第2先端部が前記第2基端部よりも見付け方向における前記第2枠部の前記金属枠に近い側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のサッシ構造。 【請求項3】 前記室外側サッシ障子の前記戸先框の前記第1対向面は、前記室外側サッシ障子の前記戸先框の室内側の端部近傍に配置され、前記第1枠部の前記第1対向面は、前記第1枠部における前記室外側サッシ障子の前記戸先框よりも室内側に位置する部分に配置されて、前記室内側サッシ障子の前記戸先框の前記第2対向面は、前記室内側サッシ障子の前記戸先框の室内側の端部近傍に配置され、前記第2枠部の前記第2対向面は、前記第2枠部における前記室内側サッシ障子の前記戸先框よりも室内側に位置する部分に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサッシ構造。 【請求項4】 前記第1ヒレ部は、前記室外側サッシ障子が前記開口部を閉鎖している状態において、前記他方の第1対向面と一定の間隔をあけるように配置され、前記第2ヒレ部は、前記室内側サッシ障子が前記開口部を閉鎖している状態において、前記他方の第2対向面と一定の間隔をあけるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサッシ構造。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 当審拒絶理由通知において引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、窓開口部に装着される窓枠内に一対の引き違い障子を納めてなるサッシ窓において、窓の気密性を高めると共に、障子の摺動を良好にしたサッシ窓に関する。」 「【0014】 これら各図において、本発明に係るサッシ窓は、窓開口部Aに装着された上下枠及び左右の縦枠からなる窓枠1内に、一対の障子10を引き違い自在に納めてなるものである。そして、本発明は、サッシ窓における気密性を十分に図りつつ、かつ、障子10を開放摺動する際の気密機構によるタイト材の摩擦抵抗を減少させて、各障子10の初動力を低減する構造からなるものである。そこで、本発明のサッシ窓は、通常タイプの窓と、複合型の窓のいずれにも適用できるものであるが、実施例においては、複合型の窓を例に以下説明する。 【0015】 一実施形態として説明する窓枠1を構成する各枠材は、複合型の枠材であり、ベースとなるアルミ枠2とその屋内側露出部分を覆う樹脂枠3とから構成されている。すなわち、アルミ枠2は、アルミ上枠21、アルミ下枠22、アルミ縦枠23、24を方形に枠組みして構成され、樹脂枠3は、樹脂上枠31、樹脂下枠32、樹脂縦枠33、34を方形に枠組みして構成されている。 【0016】 そして、上記樹脂上枠31はアルミ上枠21に、樹脂下枠32はアルミ下枠22に、樹脂縦枠33はアルミ縦枠23に、樹脂縦枠34はアルミ縦枠24に、それぞれ取り付けられている。具体的な取り付け方法については、後述する。なお、上記アルミ枠2はアルミの押し出し型材にて成型され、また樹脂枠3は塩化ビニルやアクリル樹脂等から押し出し成型される。また、これ等の樹脂材には、木材粉等を混入させて、外観上あたかも木材で形成されているかの観を呈することもできる。 【0017】 一方、各障子10は、上下及び左右の框材を方形に框組みしてなる框体11内に複層ガラス12を納めてなる。4は網戸である。框体11を構成する上框11a、下框11b、縦框11c、縦框11d(召合框)の各框材も、上記窓枠1と同様に、アルミ框13とその屋内側露出部分を覆うように取り付けられた樹脂框14とで構成されている。すなわち、上記樹脂上框14aはアルミ上框13aに、樹脂下框14bはアルミ下框13bに、樹脂縦框14cはアルミ縦框13cに、樹脂縦框14dはアルミ縦框13dに、それぞれ取り付けられている。なお、上記縦框11dを構成するアルミ縦框13dと樹脂縦框14dは、各々召合框を構成するものである。以下、上記したアルミ枠2と、また樹脂枠3を構成する樹脂上枠31と樹脂下枠32と樹脂縦枠33、34について順次説明する。」 「【0032】 次に、図1、図3にそって左右の縦枠の構成について説明する。同図における左側のアルミ縦枠23は、その内周面における略中央に係止突片23aを有すると共に、屋内端に上記係止突片23aと平行する当接片23bを有する。係止突片23aは、その先端が屋内側に曲げられており、後述する樹脂縦枠33の係止片33bと係合する。樹脂縦枠33は、アルミ縦枠23の略半分の見込幅を有しており、係止突片23aの屋内側におけるアルミ縦枠23の内周面を覆うように設置される。 【0033】 樹脂縦枠33は、アルミ縦枠23の内周面に当接される枠本体33aと、その屋外側から伸びる係止片33b及びその屋内側から伸びる略L字片からなるアングル片33cとから構成されている。係止片33bの先端は、上記アルミ縦枠23の係止突片23aに係合し、アングル片33cは、アルミ縦枠23の当接片23bに重ね合わされるように配置されると共に、その先端は屈曲され、当接片23bの先端に係合する。 【0034】 次に、係止片33bの屋外側には、タイト材33dを一体的に設けてあり、これを外障子10Aの縦框11cに弾性的に当接させて屋内側の気密性を図っている。そして、外障子10Aの屋外側の気密構造は、図6a、bに示すように、以下のように構成される。すなわち、縦枠23側の縦框11cに着脱自在に取り付けたタイト材92を縦枠23に設けた戸当りレール80に摺接自在としてなり、かつ、上記戸当りレール80は縦框11cに設けたブロック体70に圧接自在として、外障子10Aの屋外側の気密性が図られている。 ・・・・ 【0036】 次に、図3に示すように、右側の縦枠においてアルミ縦枠24は、上記した左側の縦枠と同様に、その内周面側に屋内側の障子用の戸当りレール80を備え、樹脂縦枠34は、この戸当たりレール80よりも屋内側のアルミ縦枠24の内周面を覆うように設置される。 【0037】 また、樹脂縦枠34の屋外側には、タイト材34aを一体的に設けてあり、これを内障子10Bの縦框11cに弾性的に当接させて屋内側の気密性を図っている。そして、内障子10Bの屋外側の気密構造は、図6a、bに示すように、前記した外障子10Aと同様に、以下のように構成される。すなわち、縦框11cに着脱自在に取り付けたタイト材92を縦枠24に設けた戸当りレール80に摺接自在とし、かつ、上記戸当りレール80は縦框11cに設けたブロック体70に圧接自在として、内障子10Bの屋外側の気密性が図られている。なお、上記した樹脂上枠31、樹脂下枠32、及び樹脂縦枠33、34のアングル片のよって、四周を囲んだ樹脂化粧縁60を構成し、化粧額縁60Aとの一体感を持たせてある。」 「 」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) 「窓開口部Aに装着された窓枠1と、該窓枠1に引き違い自在に納められた外障子10Aおよび内障子10Bを備える一対の障子と、を有するサッシ窓において、 前記窓枠1は、前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記外障子10Aの縦框11cと近接して対向する縦枠と、前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記内障子10Bの縦框11cと近接して対向する縦枠と、を有し、 前記各縦枠は、それぞれアルミ縦枠23、アルミ縦枠24と、各アルミ縦枠を覆う樹脂縦枠33,樹脂縦枠34と、を有し、 前記外障子10Aの前記縦框11cおよび前記内障子10Bの前記縦框11cは、それぞれアルミ縦框13cと、該アルミ縦框13cの室内側の面を覆う樹脂縦框14cと、を有し、 前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記外障子10Aにおける前記縦框11cの前記アルミ縦框13cと、前記アルミ縦枠23との間、および前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記内障子10Bにおける前記縦框11cの前記アルミ縦框13cと、前記アルミ縦枠24との間のそれぞれに、タイト材92、92が配置され、 前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記外障子10Aの前記縦框11cの前記樹脂縦框14cおよび前記樹脂縦枠33には、それぞれに前記タイト材92よりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向する面状の部位が形成され、 前記樹脂縦枠33の面状の部位には、前記樹脂縦框14cの面状の部位へ突出するタイト材33dが設けられ、 前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記内障子10Bの前記縦框11cの前記樹脂縦框14cおよび前記樹脂縦枠34には、それぞれに前記タイト材92よりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向する面状の部位が形成され、 前記樹脂縦枠34の面状の部位には、前記樹脂縦框14cの面状の部位へ突出するタイト材34aが設けられ、 前記タイト材33dは、樹脂縦框14cに当接させて屋内側の気密性を図り、 前記タイト材34aは、樹脂縦框14cに当接させて屋内側の気密性を図る、 サッシ窓。」 2 引用文献2について 当審拒絶理由通知において引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0033】 次に、上記樹脂傾斜枠9には、障子2のガラス面15に近接する位置まで突出する突出部16が一体に形成されている。また、図6に示されるように、この突出部16は傾斜框3等に生じた結露を受けることが可能な位置まで延長され、その断面は樋形状に形成されて水受けを構成している。 【0034】 また、金属下枠6と樹脂下枠10には、図示しないが、その上面の屋外側と屋外側に開口する排水孔が形成され、排水経路が設定されている。下枠に集められた雨水や結露水は上記排水孔から屋外に排出される。 【0035】 上記構成によれば、樹脂枠1bには、障子2のガラス面15に近接する位置まで突出する突出部16が一体に形成されているので、障子2の金属製の框材3、4周辺の空気の対流が抑制され、断熱効果がより向上する。」 上記の記載から、次の事項が記載されていると認められる。 「障子2のガラス面15に近接する位置まで突出する突出部16が樹脂枠1bに一体的に形成され、障子の金属製の框材3,4周辺の空気の対流が抑制される点。」 3 引用文献3について 当審拒絶理由通知において引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0018】 モヘア90は、図1に一点鎖線で示すように、各障子20が締め切られた状態において、外障子20が存在しない領域内に連続して設けられている。モヘア90の下端は、内障子20の室外面21と外障子20の室内面22との間の隙間23内に位置し、各面21,22とは接触していない。また、モヘア90はレール形成部42から十分に離間しおり、モヘア90、レール形成部42、および内障子20の上部側で囲まれた領域は、空気からなる断熱層91になっている。」 上記の記載から、次の事項が記載されていると認められる。 「モヘア90の下端が内障子20の室外面21と外障子20の室内面22とは接触していない点」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、 引用発明の「窓開口部Aに装着された窓枠1」は、本願発明1の「開口部に設けられたサッシ枠」に相当し、以下同様に、 「該窓枠1に引き違い自在に納められた外障子10Aおよび内障子10Bを備える一対の障子」は、「該サッシ枠に引き違い状にスライド可能に支持される室外側サッシ障子および室内側サッシ障子を備えるサッシ障子」に、 「サッシ窓」は、「サッシ構造」に、それぞれ相当する。 また、 「前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記外障子10Aの縦框11cと近接して対向する縦枠」は、「前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の戸先框と近接して対向する第1枠部」に 「前記窓開口部Aを閉鎖している状態の前記内障子10Bの縦框11cと近接して対向する縦枠」は、「前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の戸先框と近接して対向する第2枠部」に、 「アルミ縦枠23」及び「アルミ縦枠24」は、第1枠部及び第2枠部の各「金属枠」に、 各アルミ縦枠23,24を覆う「樹脂縦枠33」及び「樹脂縦枠34」は、第1枠部及び第2枠部の各金属枠を覆う「樹脂枠」に、 外障子10A及び内障子10Bの各縦框11cの「アルミ縦框13c」と「樹脂縦框14c」は、室外側サッシ障子及び室内側サッシ障子の各戸先框の「金属框」と「樹脂カバー」に、それぞれ相当する。 また、 窓開口部Aを閉鎖している状態の外障子10Aにおける縦框11cのアルミ縦框13cと、アルミ縦枠23との間、及び窓開口部Aを閉鎖している状態の内障子10Bにおける縦框11cのアルミ縦框13cと、アルミ縦枠24との間のそれぞれに配置されている「タイト材92、92」は、開口部を閉鎖している状態の室外側サッシ障子における戸先框の金属框と、第1枠部の金属枠との間、および開口部を閉鎖している状態の室内側サッシ障子における戸先框の金属框と、第2枠部の金属枠との間のそれぞれに配置された「パッキン」に相当する。 また、 窓開口部Aを閉鎖している状態の外障子10Aの縦框11cの樹脂縦框14cおよび樹脂縦枠33に形成された、タイト材92よりも室内側において「所定の間隔をあけて互いに対向する面状の部位」は、開口部を閉鎖している状態の室外側サッシ障子の戸先框の樹脂カバーおよび第1枠部の樹脂枠の少なくとも一部にパッキンよりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向して形成された「第1対向面」に、 樹脂縦枠33の面状の部位において、樹脂縦框14cの面状の部位へ突出する「タイト材33d」は、「前記第1枠部の第1対向面および前記室外側サッシ障子の第1対向面の少なくとも一方の第1対向面」に、他方の第1対向面側へ突出して設けられた「第1ヒレ部」に、 窓開口部Aを閉鎖している状態の内障子10Bの縦框11cの樹脂縦框14cおよび樹脂縦枠34に形成された、タイト材92よりも室内側において「所定の間隔をあけて互いに対向する面状の部位」は、開口部を閉鎖している状態の室内側サッシ障子の戸先框の樹脂カバーおよび第2枠部の樹脂枠の少なくとも一部にパッキンよりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向して形成された「第2対向面」に、 樹脂縦枠33の面状の部位において、樹脂縦框14cの面状の部位へ突出する「タイト材34a」は、「前記第2枠部の第2対向面および前記室内側サッシ障子の第2対向面の少なくとも一方の第2対向面」に、他方の第2対向面側へ突出して設けられた「第2ヒレ部」に、それぞれ相当する。 さらに、 「タイト材33d」及び「タイト材34a」は、いずれも樹脂縦框14cに当接させて屋内側の気密性を図っているのであるから、本願発明1と同様に空気の流入を抑制しているものといえる。 そうすると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。 <一致点> 「開口部に設けられたサッシ枠と、該サッシ枠に引き違い状にスライド可能に支持される室外側サッシ障子および室内側サッシ障子を備えるサッシ障子と、を有するサッシ構造において、 前記サッシ枠は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の戸先框と近接して対向する第1枠部と、前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の戸先框と近接して対向する第2枠部と、を有し、 前記第1枠部および前記第2枠部は、それぞれ金属枠と、該金属枠を覆う樹脂枠と、を有し、 前記室外側サッシ障子の前記戸先框および前記室内側サッシ障子の前記戸先框は、それぞれ金属框と、該金属框の室内側の面を覆う樹脂カバーと、を有し、 前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子における前記戸先框の前記金属框と、前記第1枠部の前記金属枠との間、および前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子における前記戸先框の前記金属框と、前記第2枠部の前記金属枠との間のそれぞれには、パッキンが配置され、 前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の前記戸先框の前記樹脂カバーおよび前記第1枠部の前記樹脂枠には、それぞれの少なくとも一部に前記パッキンよりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向する第1対向面が形成され、 前記第1枠部の第1対向面および前記室外側サッシ障子の第1対向面の少なくとも一方の第1対向面には、他方の第1対向面側へ突出する第1ヒレ部が設けられ、 前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の前記戸先框の前記樹脂カバーおよび前記第2枠部の前記樹脂枠には、それぞれの少なくとも一部に前記パッキンよりも室内側において所定の間隔をあけて互いに対向する第2対向面が形成され、 前記第2枠部の第2対向面および前記室内側サッシ障子の第2対向面の少なくとも一方の第2対向面には、他方の第2対向面側へ突出する第2ヒレ部が設けられ、 前記第1ヒレ部は、前記室外側サッシ障子が前記開口部を閉鎖している状態において、前記一方の第1対向面と前記他方の第1対向面との間の空気の流入を抑制し、 前記第2ヒレ部は、前記室内側サッシ障子が前記開口部を閉鎖している状態において、前記一方の第2対向面と前記他方の第2対向面との間の空気の流入を抑制するサッシ構造。」 <相違点1> 第1ヒレ部材について、本願発明1では、「前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の第1対向面と前記第1枠部の第1対向面との間のみに位置し、第1基端部と第1先端部との間に第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部よりも前記第1先端部までの部分が前記第1屈曲部よりも前記一方の第1対向面側に位置するように屈曲する」のに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。 <相違点2> 第2ヒレ部材について、本願発明1では、「前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の第2対向面と前記第2枠部の第2対向面との間のみに位置し、第2基端部と第2先端部との間に第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部よりも前記第2先端部までの部分が前記第2屈曲部よりも前記一方の第2対向面側に位置するように屈曲する」のに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。 したがって、本願発明1は、引用発明と同一ではないから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではない。 (2)相違点についての判断 ア 相違点1について 第1ヒレ部材について、相違点1に係る本願発明1の「前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の第1対向面と前記第1枠部の第1対向面との間のみに位置し、第1基端部と第1先端部との間に第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部よりも前記第1先端部までの部分が前記第1屈曲部よりも前記一方の第1対向面側に位置するように屈曲する」点は、上記引用文献2、引用文献3のいずれにも記載されていない。 イ 相違点2について 第2ヒレ部材について、相違点2に係る本願発明1の「前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の第2対向面と前記第2枠部の第2対向面との間のみに位置し、第2基端部と第2先端部との間に第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部よりも前記第2先端部までの部分が前記第2屈曲部よりも前記一方の第2対向面側に位置するように屈曲する」点は、上記引用文献2、引用文献3のいずれにも記載されていない。 したがって、本願発明1は、当業者が、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2?4について 本願発明2?4は、本願発明1の構成をすべて含み、さらに限定を加えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、また、本願発明2?4は、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 原査定で用いた引用文献A,C,D(引用文献Cは、当審拒絶理由で引用した引用文献3)には、「第1ヒレ部」及び「第2ヒレ部」に関して、少なくとも、「前記第1ヒレ部は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の第1対向面と前記第1枠部の第1対向面との間のみに位置し、第1基端部と第1先端部との間に第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部よりも前記第1先端部までの部分が前記第1屈曲部よりも前記一方の第1対向面側に位置するように屈曲する」の点、及び「前記第2ヒレ部は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の第2対向面と前記第2枠部の第2対向面との間のみに位置し、第2基端部と第2先端部との間に第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部よりも前記第2先端部までの部分が前記第2屈曲部よりも前記一方の第2対向面側に位置するように屈曲する」点は、開示されていない。したがって、引用文献A,C,Dに記載された発明は、本願発明1?4とは、少なくとも、「前記第1ヒレ部は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室外側サッシ障子の第1対向面と前記第1枠部の第1対向面との間のみに位置し、第1基端部と第1先端部との間に第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部よりも前記第1先端部までの部分が前記第1屈曲部よりも前記一方の第1対向面側に位置するように屈曲する」の点、及び「前記第2ヒレ部は、前記開口部を閉鎖している状態の前記室内側サッシ障子の第2対向面と前記第2枠部の第2対向面との間のみに位置し、第2基端部と第2先端部との間に第2屈曲部を有し、前記第2屈曲部よりも前記第2先端部までの部分が前記第2屈曲部よりも前記一方の第2対向面側に位置するように屈曲する」点で相違し、また、前記の点が本願出願前において周知技術であるともいえないので、本願発明1?4は、原査定における引用文献A,C,Dに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由通知における理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-12-11 |
出願番号 | 特願2014-73644(P2014-73644) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(E06B)
P 1 8・ 113- WY (E06B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 村田 泰利、小野 郁磨 |
特許庁審判長 |
小野 忠悦 |
特許庁審判官 |
西田 秀彦 住田 秀弘 |
発明の名称 | サッシ構造 |
代理人 | 鈴木 三義 |
代理人 | 清水 雄一郎 |
代理人 | 川渕 健一 |
代理人 | 棚井 澄雄 |