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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1346651
審判番号 不服2017-19355  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-27 
確定日 2018-12-25 
事件の表示 特願2013-193382「情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月30日出願公開、特開2015- 60394、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年9月18日の出願であって、平成29年6月6日付けで拒絶理由が通知され、同年8月10日付けで手続補正がされたが、同年9月28日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定不服の審判請求がされると同時に手続補正され、平成30年2月16日に前置報告がされたものである。


第2 原査定の理由の概要

原査定(平成29年9月28日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

1.(新規性)本願請求項1-6、15-18に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)本願請求項1-18に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2-4記載の技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2006-229614号公報
引用文献2.特開2012-33067号公報
引用文献3.特開2008-148037号公報
引用文献4.特開2007-318686号公報


第3 本願発明

本願の請求項1-18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明18」という。)は、平成29年12月27日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、2は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
制御部と、記憶部と、を備えた情報処理装置の、前記制御部が実行可能な情報処理プログラムであって、
ネットワークに接続されたデバイス、または、ネットワークに接続されたサーバが提供するサービスを、入力機能または出力機能に対応付けて前記記憶部に登録する登録手段と、
前記登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記入力機能に対応付けられたデバイスである入力デバイスまたは前記入力機能に対応付けられたサービスである入力サービスと、前記出力機能に対応付けられたデバイスである出力デバイスまたは前記出力機能に対応付けられたサービスである出力サービスとの組み合わせを設定する設定手段と、
前記設定手段により、出力デバイスまたは出力サービスが既に設定されている場合に、
前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている出力デバイスまたは出力サービスと組み合わせ可能な入力デバイスまたは入力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する第1ガイド表示手段と、
前記設定手段により設定された入力デバイスまたは入力サービスと、出力デバイスまたは出力サービスとの組み合わせを対象とし、前記入力デバイスまたは前記入力サービスが有する前記入力機能、および、前記出力デバイスまたは前記出力サービスが有する前記出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段として、
前記制御部を機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【請求項2】
制御部と、記憶部と、を備えた情報処理装置の、前記制御部が実行可能な情報処理プログラムであって、
ネットワークに接続されたデバイス、または、ネットワークに接続されたサーバが提供するサービスを、入力機能または出力機能に対応付けて前記記憶部に登録する登録手段と、
前記登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記入力機能に対応付けられたデバイスである入力デバイスまたは前記入力機能に対応付けられたサービスである入力サービスと、前記出力機能に対応付けられたデバイスである出力デバイスまたは前記出力機能に対応付けられたサービスである出力サービスとの組み合わせを設定する設定手段と、
前記設定手段により、入力デバイスまたは入力サービスが既に設定されている場合に、前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている入力デバイスまたは入力サービスと組み合わせ可能な出力デバイスまたは出力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する第1ガイド表示手段と、
前記設定手段により設定された入力デバイスまたは入力サービスと、出力デバイスまたは出力サービスとの組み合わせを対象とし、前記入力デバイスまたは前記入力サービスが有する前記入力機能、および、前記出力デバイスまたは前記出力サービスが有する前記出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段として、
前記制御部を機能させることを特徴とする情報処理プログラム。」

なお、本願発明3-18の概要は以下のとおりである。
本願発明3-14は本願発明1または本願発明2を減縮した発明である。
本願発明15、16は、それぞれ本願発明1、2に対応する情報処理装置の発明であり、本願発明1、2とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明17、18は、それぞれ本願発明1、2に対応する情報処理方法の発明であり、本願発明1、2とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。


第4 引用文献・引用発明

1.引用文献1について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により注目する点に付与した。以下、同様。)

「【0001】
本発明は、複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行うサービス処理装置およびサービス処理方法およびコンピュータが読み取り可能なプログラムを格納した記憶媒体およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のサービス処理システムでは、例えばデバイスとしての複写機が高性能化して、紙原稿からコピーを行う機能に加えて、パーソナルコンピュータからのプリント機能、紙原稿をパーソナルコンピュータへ取り込むスキャナ機能、FAXを送信するFAX機能など複数の機能を有するようになってきている。
【0003】
更には、画像処理を行ってフォーマット変換を行う機能や電子メールを送信するメール機能、文字認識を行うOCR機能など提供される機能が多岐に渡ってきている。
【0004】
また、複写機が前記機能を処理するだけでなく、別途設けたサーバによって処理を行う場合もある。
・・・中略・・・
【0013】
このような状況においては、例えば、機能を何も持たない複写機304が、他の複写機の機能をサービスとして利用できたり、複写機303のサービスB1を処理した後に、複写機302のサービスA2を連携させたりすることが行える。
【0014】
このような連携操作を実現するためには、利用者が予めスキャン、印刷、FAX等といった機能について連携させる順番を指定して、順番通りに実行させるための指示書を作成していた。」

「【0024】
上記目的を達成する本発明のサービス処理方法は以下に示す構成を備える。
【0025】
ネットワーク上に分散した各装置と通信して各装置で提供可能な機能をサービスとして利用可能なサービス処理装置におけるサービス表示方法であって、各装置から提供される個々のサービスに対する連携情報を含むサービス情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得される各装置のサービス情報に基づいて各サービスの連携情報を評価して、表示部に表示すべき各サービスの優先順位を決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定される優先順位に基づいて各サービスを前記表示部に表示する制御ステップとを有することを特徴とする。
【0026】
提供可能なサービス毎のサービス情報を記憶する記憶手段を備え、要求元の処理装置からサービス要求に対して所定の機能を実行するサービスを提供可能なサービス処理装置におけるサービス処理方法であって、前記要求元の処理装置からのサービス情報取得要求に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記サービス情報を送信する送信ステップと、前記要求元からのサービス要求に基づいて、所定の機能に基づくサービスを実行する実行ステップとを備えることを特徴とする。」

「【0039】
図1においては、サービスを処理するプログラムが、ハードディスク109に格納されている。これは、ROM104に格納されていてもよい。また、ネットワークを介してサーバ等から取得されるものであってもよい。
【0040】
CPU102は、ネットワークインタフェース107から外部デバイスのサービス一覧をネットワーク上のデバイス(本実施形態では、図2に示すように画像処理装置とする)から所定のプロトコルで所定のデータ形式で受け取ったり、自身の持つ機能を外部のデバイスとしての画像処理装置にサービスとして提供したり、外部デバイスにサービスを依頼したりする。このとき、CPU102は、表示部106にサービス情報を表示し、入力部105からユーザの所望のサービスを選択するなどの処理も行われている。
【0041】
図2は、図1に示した画像処理装置を利用する画像処理システムで連携可能な機能構成を説明するブロック図である。以下、図2を参照して画像処理装置におけるサービス一覧の取得について説明する。
【0042】
図2にいて、例えば、画像処理装置304が、他のデバイスとしての他の画像処理装置のサービスを知る場合は、画像処理装置304からネットワークに対して、自身のIPアドレスと共にサービス一覧を求めるブロードキャストメッセージを所定のプロトコルで送信する。
【0043】
このブロードキャストメッセージが到達したネットワーク上の各デバイス(画像処理装置302、303を含む)は、自身に提供できる機能(サービス)が存在するかどうかを自身の判定プログラム(例えばハードディスク等に記憶されている)で判定し、存在すると判定した場合は、ブロードキャストメッセージを送ってきたターゲットデバイスのIPアドレス宛に、サービス一覧リストを所定のプロトコルで返却する。
【0044】
例えば画像処理装置302であれば、サービスA1を示すサービス305とサービスA2を示すサービス306についてのサービス一覧リストを画像処理装置304宛に送付する。また、画像処理装置303であれば、サービスB1を示すサービス307についてのサービス一覧リストを画像処理装置304に送付する。」

「【0058】
このようにして図2に示した画像処理装置304が各画像処理装置302、303等からサービス一覧リストは以下のように処理される。すなわち、画像処理装置304は、ブロードキャストメッセージに反応した各画像処理装置302、303から受け取ったサービス一覧をまとめて出力部106に対してCPU102の制御で、例えば図4に示すUI画面として表示する。なお、出力部106の表示デバイスとしては、タッチスクリーンや、デバイスに接続されているコンピュータディスプレイが好適である。
【0059】
図4は、図1に示した出力部106に表示されるサービス一覧リスト表示画面の一例を示す図であり、CPU102の制御により出力部106にUI表示される。なお、本表示例は、画像処理装置304に設置されたタッチスクリーン式のオペレーションパネルを含む出力部106で表示される例である。
【0060】
また、ユーザは、図上のボタンに相当する位置をタッチパネル上で自ら押すことによって、画像処理装置304に対して指示を与えることができるように構成されている。
【0061】
図4において、501は当該画像処理装置で利用可能なサービス(機能)の一覧画面であり、一覧画面501には、スクロールバーSBが付いており、スクロールバーSBをクリックすることで、画面表示状態では隠れた領域にある機能が現れる。
【0062】
一覧画面501には、ボタン506、507、508が現在表示され、それぞれ機能B、機能M、機能Cを指示するボタンとして実現する。
【0063】
ユーザは所望の機能をボタン506?508の押下指示で選択して、例えば追加ボタン503を押すことにより、実行する機能502へ選択した機能が移る。
【0064】
なお、機能選択については図示していないが、選択された機能の表示が反転する、選択されたことが分かるマークが付く、色が変わる等ユーザが判別できるものであれば、発明の本質に影響がない。また、再度選択することで、選択を解除するように制御してもよい。
【0065】
図4に示す一覧画面501上で、ボタン506?508を選択して追加ボタン503が指示されると、各選択された機能が実行する機能502へボタンとして移動すると、それに伴い利用可能な機能501において、ユーザが選択し易いように、機能の絞り込みと並べ替えがCPU102により実行される。
【0066】
また、初期状態である選択されていない状態においても、同様の並べ替えを行うことで、ユーザが先に実行すべき機能を選択し易い位置に表示する。この実現方法については、図5に示すフローチャートを用いて説明する。」

「【0115】
図9は、図4に示した出力部106に表示されるサービス一覧リスト表示画面の一例を示す図であり、図4における機能Mに対応するボタン507を選択して、実行する機能に移した場合のオペレーションパネルの例である。
【0116】
図9において、機能Mは、実行する機能602に表示され、同時に利用可能な機能601は、機能Mが選択されることに応じて絞り込まれ、かつ並べ替えられた機能Y、Cがこの順に表示される。
【0117】
603は追加ボタン、利用可能な機能601から選択する機能を追加する場合に指示される。604は削除ボタンで、実行する機能602に表示される機能を削除する場合に指示される。
【0118】
なお、追加ボタン604は、実行する機能602で選択した機能を実行しない場合に利用する。これが利用された場合も、再度、利用可能な機能601の絞り込み、並べ替えが行われる。
【0119】
また、このとき、連携する機能において、先に実行すべき機能を削除しようとした場合は、CPU102の制御に基づいて出力部106上に警告が表示される。そして、警告後に、先に実行すべき機能が無いものが色を変えて表示する制御をCPU102が実行したり、薄く表示する制御をCPU102が実行したりすることで、ユーザにどの機能が問題であるのかを提示するようにしてもよい。
【0120】
また、実行する機能502、602は、上に配置表示されている機能から先に実行されるものとなっている。
【0121】
また、実行する機能に対して順番を変更できるようにしてもよい。この場合も、前記と同様に、先に実行すべき機能より先に実行される機能があるときは、ユーザにメッセージで通知したり、機能の色を変えたり、薄く表示する制御をCPU102が実行したりすることで、知らせるようにしてもよい。」

「【0151】
図4に示した画面表示例において推奨する機能505、図9に示した画面表示例において推奨する機能605に表示されるものは、サービス一覧リストにある推奨動作である。いずれの推奨動作においても、同様に実行する機能を選択する毎に並び替えられて表示される。並び替えの仕方について、図11のフローチャートを用いて、説明する。」

したがって、上記記載(特に下線部)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

〈引用発明〉
「画像処理装置304がネットワークに対して、自身のIPアドレスと共にサービス一覧を求めるブロードキャストメッセージを所定のプロトコルで送信し、
ネットワーク上の各デバイス(画像処理装置302、303を含む)は、提供できる機能(サービス)が存在すると判定した場合は、ブロードキャストメッセージを送ってきたターゲットデバイスのIPアドレス宛に、サービス一覧リストを所定のプロトコルで返却、例えば画像処理装置302であれば、サービスA1を示すサービス305とサービスA2を示すサービス306についてのサービス一覧リストを画像処理装置304宛に送付し、画像処理装置303であれば、サービスB1を示すサービス307についてのサービス一覧リストを画像処理装置304に送付し、
画像処理装置304は、ブロードキャストメッセージに反応した各画像処理装置302、303から受け取ったサービス一覧リストをまとめて出力部106に対してCPU102の制御でUI画面として表示し、UI画面の当該画像処理装置で利用可能なサービス(機能)の一覧画面501には、ボタン506、507、508が現在表示され、それぞれ機能B、機能M、機能Cを指示するボタンとして実現し、ユーザは所望の機能をボタン506?508の押下指示で選択して、例えば追加ボタン503を押すことにより、実行する機能502へ選択した機能が移り、それに伴い利用可能な機能501において、ユーザが選択し易いように、機能の絞り込みと並べ替えがCPU102により実行され、
また、初期状態である選択されていない状態においても、同様の並べ替えを行うことで、ユーザが先に実行すべき機能を選択し易い位置に表示し、
実行する機能502、602は、上に配置表示されている機能から先に実行されるものとなっており、また、実行する機能に対して順番を変更できるようにしてもよく、先に実行すべき機能より先に実行される機能があるときは、ユーザにメッセージで通知したり、機能の色を変えたり、薄く表示する制御をCPU102が実行したりすることで、知らせるようにしてもよく、
サービス一覧リストにある推奨動作が、画面表示において推奨する機能505、605に表示され、いずれの推奨動作においても、同様に実行する機能を選択する毎に並び替えられて表示される、複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行うプログラム。」

2.その他の文献について
また、前置報告書において引用された引用文献5(特開2012-213144号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0037】
図3は、実施の形態1の機能実行要求の入力画面の一例を示す模式図である。情報処理装置100のUI部101は、図3に示す入力画面を操作端末200に表示し、ユーザはこの入力画面から所望の機能の実行要求を入力する。図3に示すように、ユーザは、所望の入力機能、入力機能を実行させる入力機器のIPアドレスにより入力機器を指定し、入力機能のパラメータを指定する。また、ユーザは所望の出力機能、出力機能を実行させる出力機器のIPアドレスにより出力機器を指定し、出力機能のパラメータを指定する。
【0038】
図2に戻り、操作端末200は、上記の入力画面からユーザにより指定された「スキャン(複合機1)+投影(プロジェクタ1)」の機能実行要求を情報処理装置100に送信する(ステップS11)。」

「【0052】
このように本実施の形態では、ユーザからの入出力にかかる機能実行要求があった場合に、サービス連携部111により、機能実行要求で指定された入力機器、出力機器に能力情報を問い合わせ、能力情報に基づいて連携可能な場合に、連携フローを生成し、フロー実行アプリ103で連携フローに基づいて入力機器、出力機器に対して処理実行要求を行うので、ユーザは入力機器、出力機器の能力を把握していなくても、入力機器、出力機器を連携して所望の入出力処理を実行することができ、入力機器と出力機器の連携を容易に行うことができる。」

上記記載(特に下線部)によれば、引用文献5には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「情報処理装置100のUI部101は、入力画面を操作端末200に表示し、ユーザはこの入力画面から、所望の入力機能、入力機能を実行させる入力機器のIPアドレスにより入力機器を指定し、入力機能のパラメータを指定し、また、ユーザは所望の出力機能、出力機能を実行させる出力機器のIPアドレスにより出力機器を指定し、出力機能のパラメータを指定し、
操作端末200は、上記の入力画面からユーザにより指定された「スキャン(複合機1)+投影(プロジェクタ1)」の機能実行要求を情報処理装置100に送信し、
サービス連携部111により、機能実行要求で指定された入力機器、出力機器に能力情報を問い合わせ、能力情報に基づいて連携可能な場合に、連携フローを生成し、フロー実行アプリ103で連携フローに基づいて入力機器、出力機器に対して処理実行要求を行う
入出力にかかる機能実行要求に係る処理」


第5 対比・判断

1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「画像処理装置304」は、当該装置が制御部や記憶部を備えることは自明な構成であるから、本願発明1の「制御部と、記憶部と、を備えた情報処理装置」に相当し、引用発明の「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行うプログラム」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「前記制御部が実行可能な情報処理プログラム」に相当する。
(イ)引用発明の「ネットワーク上の各デバイス(画像処理装置302、303を含む)」が「提供できる機能(サービス)」は、スキャン、印刷、FAX等といった機能を含む(【0014】の記載参照。)ものであり、「スキャン」は、本願発明1の「入力機能」に相当し、「印刷、FAX」は、本願発明1の「出力機能」に相当する。
(ウ)引用発明の「サービス(機能)の一覧画面501」から「実行する機能502へ選択した機能」を移し、「実行する機能」は、「上に配置表示されている機能から先に実行されるものとなって」、「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行う」ことと、本願発明1の「前記設定手段により設定された入力デバイスまたは入力サービスと、出力デバイスまたは出力サービスとの組み合わせを対象とし、前記入力デバイスまたは前記入力サービスが有する前記入力機能、および、前記出力デバイスまたは前記出力サービスが有する前記出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段」とは、「入力デバイスが有する入力機能、および、出力デバイスが有する出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段」である点で共通するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「制御部と、記憶部と、を備えた情報処理装置の、前記制御部が実行可能な情報処理プログラムであって、
入力デバイスまたは入力サービスが有する入力機能、および、出力デバイスまたは出力サービスが有する出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段として、
前記制御部を機能させることを特徴とする情報処理プログラム。」

(相違点1a)
本願発明1は、「ネットワークに接続されたデバイス、または、ネットワークに接続されたサーバが提供するサービスを、入力機能または出力機能に対応付けて前記記憶部に登録する登録手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「ネットワーク上の各デバイス(画像処理装置302、303を含む)」から、「サービス一覧リストを」受け取って、「まとめて出力部106に対してCPU102の制御でUI画面として表示」しているものの、各デバイスを入力機能または出力機能に対応付けて記憶部に登録する構成ではない点。

(相違点2a)
本願発明1は、「前記登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記入力機能に対応付けられたデバイスである入力デバイスまたは前記入力機能に対応付けられたサービスである入力サービスと、前記出力機能に対応付けられたデバイスである出力デバイスまたは前記出力機能に対応付けられたサービスである出力サービスとの組み合わせを設定する設定手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「サービス(機能)の一覧画面501」から「実行する機能502へ選択した機能」を移し、「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行う」ものではあるものの、上記のような構成でない点。

(相違点3a)
本願発明1は、「前記設定手段により、出力デバイスまたは出力サービスが既に設定されている場合に、前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている出力デバイスまたは出力サービスと組み合わせ可能な入力デバイスまたは入力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する第1ガイド表示手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「先に実行すべき機能より先に実行される機能があるときは、ユーザにメッセージで通知」したり、「サービス一覧リストにある推奨動作が、画面表示において推奨する機能」に表示されるものではあるものの、上記のような構成でない点。

(相違点4a)
本願発明1は、「前記設定手段により設定された入力デバイスまたは入力サービスと、出力デバイスまたは出力サービスとの組み合わせを対象とし、前記入力デバイスまたは前記入力サービスが有する前記入力機能、および、前記出力デバイスまたは前記出力サービスが有する前記出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「サービス(機能)の一覧画面501」から「実行する機能502へ選択した機能」を移し、「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行う」ものではあるものの、上記のような構成でない点。

(2)判断
事案に鑑みて先ず相違点3aについて検討する。
引用文献2-4には、上記相違点3aに係る本願発明1の構成である「出力デバイスまたは出力サービスが既に設定されている場合に、前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている出力デバイスまたは出力サービスと組み合わせ可能な入力デバイスまたは入力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する」ことについて記載はなく、このことを示唆されてもいない。
また、前置報告書において引用された引用文献5には、入力デバイスと出力デバイスとの組み合わせを設定することは記載されているものの、上記相違点3aに係る本願発明1の構成である「出力デバイスまたは出力サービスが既に設定されている場合に、前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている出力デバイスまたは出力サービスと組み合わせ可能な入力デバイスまたは入力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する」ことについて記載はなく、このことを示唆されてもいない。
また、上記相違点3aに係る本願発明1の構成が、本願出願日前に周知技術であったとはいえない。
したがって、上記相違点1a、2a、4aを検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2について
(1)対比
本願発明2と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「画像処理装置304」は、当該装置が制御部や記憶部を備えることは自明な構成であるから、本願発明2の「制御部と、記憶部と、を備えた情報処理装置」に相当し、引用発明の「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行うプログラム」は、後述する相違点を除き、本願発明2の「前記制御部が実行可能な情報処理プログラム」に相当する。
(イ)引用発明の「ネットワーク上の各デバイス(画像処理装置302、303を含む)」が「提供できる機能(サービス)」は、スキャン、印刷、FAX等といった機能を含む(【0014】の記載参照。)ものであり、「スキャン」は、本願発明2の「入力機能」に相当し、「印刷、FAX」は、本願発明1の「出力機能」に相当する。
(ウ)引用発明の「サービス(機能)の一覧画面501」から「実行する機能502へ選択した機能」を移し、「実行する機能」は、「上に配置表示されている機能から先に実行されるものとなって」、「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行う」ことと、本願発明1の「前記設定手段により設定された入力デバイスまたは入力サービスと、出力デバイスまたは出力サービスとの組み合わせを対象とし、前記入力デバイスまたは前記入力サービスが有する前記入力機能、および、前記出力デバイスまたは前記出力サービスが有する前記出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段」とは、「入力デバイスが有する入力機能、および、出力デバイスが有する出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段」である点で共通するといえる。

したがって、本願発明2と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「制御部と、記憶部と、を備えた情報処理装置の、前記制御部が実行可能な情報処理プログラムであって、
入力デバイスまたは入力サービスが有する入力機能、および、出力デバイスまたは出力サービスが有する出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段として、
前記制御部を機能させることを特徴とする情報処理プログラム。」

(相違点1b)
本願発明2は、「ネットワークに接続されたデバイス、または、ネットワークに接続されたサーバが提供するサービスを、入力機能または出力機能に対応付けて前記記憶部に登録する登録手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「ネットワーク上の各デバイス(画像処理装置302、303を含む)」から、「サービス一覧リストを」受け取って、「まとめて出力部106に対してCPU102の制御でUI画面として表示」しているが、各デバイスを入力機能または出力機能に対応付けて記憶部に登録する構成ではない点。

(相違点2b)
本願発明2は、「前記登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記入力機能に対応付けられたデバイスである入力デバイスまたは前記入力機能に対応付けられたサービスである入力サービスと、前記出力機能に対応付けられたデバイスである出力デバイスまたは前記出力機能に対応付けられたサービスである出力サービスとの組み合わせを設定する設定手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「サービス(機能)の一覧画面501」から「実行する機能502へ選択した機能」を移し、「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行う」ものではあるが、上記のような構成でない点。

(相違点3b)
本願発明2は、「前記設定手段により、入力デバイスまたは入力サービスが既に設定されている場合に、前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている入力デバイスまたは入力サービスと組み合わせ可能な出力デバイスまたは出力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する第1ガイド表示手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「先に実行すべき機能より先に実行される機能があるときは、ユーザにメッセージで通知」したり、「サービス一覧リストにある推奨動作が、画面表示において推奨する機能」に表示されるものではあるが、上記のような構成でない点。

(相違点4b)
本願発明1は、「前記設定手段により設定された入力デバイスまたは入力サービスと、出力デバイスまたは出力サービスとの組み合わせを対象とし、前記入力デバイスまたは前記入力サービスが有する前記入力機能、および、前記出力デバイスまたは前記出力サービスが有する前記出力機能を実行させることによって、当該入力機能と当該出力機能とから構成される主機能を実行させる機能実行手段」として制御部を機能させるのに対し、引用発明は、「サービス(機能)の一覧画面501」から「実行する機能502へ選択した機能」を移し、「複数のサービス処理装置が分散された機能を連携して処理を行う」ものではあるが、上記のような構成でない点。

(2)判断
事案に鑑みて先ず相違点3bについて検討する。
引用文献2-4には、上記相違点3bに係る本願発明2の構成である「入力デバイスまたは入力サービスが既に設定されている場合に、前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている入力デバイスまたは入力サービスと組み合わせ可能な出力デバイスまたは出力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する」ことについて記載はなく、このことを示唆されてもいない。
また、前置報告書において引用された引用文献5には、入力デバイスと出力デバイスとの組み合わせを設定することは記載されているものの、上記相違点3bに係る本願発明2の構成である「入力デバイスまたは入力サービスが既に設定されている場合に、前記記憶部に登録されたデバイスまたはサービスのうち、前記既に設定されている入力デバイスまたは入力サービスと組み合わせ可能な出力デバイスまたは出力サービスに関する情報を、第1ガイド情報として表示部に表示する」ことについて記載はなく、このことを示唆されてもいない。
また、上記相違点3bに係る本願発明2の構成が、本願出願日前に周知技術であったとはいえない。

したがって、上記相違点1b、2b、4bを検討するまでもなく、本願発明2は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

3.本願発明3-14について
本願発明3-14は、上記相違点3aに係る本願発明1または上記相違点3bに係る本願発明2の構成と同じ構成を備えるものであるから、本願発明1または本願発明2と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明15、17について
本願発明15、17は、上記相違点3aに係る本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5.本願発明16、18について
本願発明16、18は、上記相違点3bに係る本願発明2の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明2と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-10 
出願番号 特願2013-193382(P2013-193382)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三橋 竜太郎  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 ▲吉▼田 耕一
稲葉 和生
発明の名称 情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法  

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