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審決分類 審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  A63B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63B
管理番号 1346764
異議申立番号 異議2016-700469  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-23 
確定日 2018-10-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5823767号発明「ゴルフスイングの計測解析システム及び計測解析方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5823767号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、2]、及び3について訂正することを認める。 特許第5823767号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第5823767号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成27年10月16日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人仲井登志美より請求項1ないし3に対して特許異議の申立てがされ、当審において平成28年9月16日付けで取消理由を通知し、同年11月21日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成29年1月6日に特許異議申立人仲井登志美から意見書が提出され、当審において同年1月20日付けで審尋を通知し、同年3月27日に回答書が提出され、さらに当審において同年5月17日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、その指定期間内である同年7月13日付けで意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年8月22日に特許異議申立人仲井登志美から意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
ア.訂正事項1-1
特許権者は、一群の請求項1及び請求項1を引用する請求項2に係る訂正として、訂正前の請求項1の「前記ゴルフクラブに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニット」という発明特定事項を「前記ゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニット」と訂正し、特許請求の範囲の請求項1及び2を以下の事項により特定されるとおりの請求項1及び2として訂正することを請求する。(訂正箇所に当審で下線を付した。以下同じ。)
イ.訂正事項1-2
特許権者は、一群の請求項1及び請求項1を引用する請求項2に係る訂正として、訂正前の請求項1の「所定のゴルフクラブモデル」という発明特定事項を「前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデル」と訂正し、特許請求の範囲の請求項1及び2を以下の事項により特定されるとおりの請求項1及び2として訂正することを請求する。
「【請求項1】
ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフスイングを計測解析する計測解析システムであって、
三軸加速度及び三軸角速度を計測するセンサー、前記センサーにより計測される三軸加速度及び三軸角速度の計測データを保存するメモリ、並びに、前記計測データを送信する無線回路を有し、前記ゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニットと、
前記センサーユニットの前記無線回路から送信される前記計測データに基づいて、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの三軸加速度及び三軸角速度の時系列データを取得する、データ取得部、取得された前記時系列データから、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの軌跡データを抽出する軌跡データ抽出部、及び、前記軌跡データ、前記時系列データ、及び前記ゴルフクラブの特性に基づき、前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデルを使用してゴルファによるゴルフスイングをシミュレートするシミュレート部を有する解析装置と、
を備えることを特徴とする、ゴルフスイングの計測解析システム。
【請求項2】
前記シミュレート部は、前記ゴルフクラブの特性として、前記ゴルフクラブの剛性分布を使用して、ゴルファによるゴルフスイングをシミュレートすることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフスイングの計測解析システム。」
ウ.訂正事項2-1
特許権者は、請求項3に係る訂正として、訂正前の請求項1の「前記ゴルフクラブに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニット」という発明特定事項を「前記ゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニット」と訂正し、特許請求の範囲の請求項3を以下の事項により特定されるとおりの請求項1及び2として訂正することを請求する。
エ.訂正事項2-2
特許権者は、請求項3に係る訂正として、訂正前の請求項3の「所定のゴルフクラブモデル」という発明特定事項を「前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデル」と訂正し、特許請求の範囲の請求項3を以下の事項により特定されるとおりの請求項3として訂正することを請求する。
「【請求項3】
ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフスイングを計測解析する計測解析方法であって、
三軸加速度及び三軸角速度を計測するセンサー、前記センサーにより計測される三軸加速度及び三軸角速度の計測データを保存するメモリ、並びに、前記計測データを送信する無線回路を有し、前記ゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニットの、前記無線回路から、前記計測データを受信するステップと、
前記センサーユニットの前記無線回路から受信した前記計測データに基づいて、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの三軸加速度及び三軸角速度の時系列データを取得するステップと、
取得された前記時系列データから、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの軌跡データを抽出するステップと、
前記軌跡データ、前記時系列データ、及び前記ゴルフクラブの特性に基づき、前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデルを使用してゴルファによるゴルフスイングをシミュレートするステップと、
を含むことを特徴とする、ゴルフスイングの計測解析方法。」
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1-1、及び2-1について
訂正事項1-1、及び2-1は、訂正前の請求項1の「センサーユニット」の取り付け位置を具体的に「(ゴルフクラブの)グリップエンド又はヘッド」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としている。
また、訂正の根拠として、本件特許第5823767号の明細書の段落【0029】には、「本発明の一実施形態について説明したが、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、上記実施形態においては、ゴルフクラブ11のグリップ12のグリップエンドにセンサーユニット14を取り付けるものとして説明したが、センサーユニット14は、ヘッド13対して着脱可能に取り付けることもでき、この場合には、センサーユニット14は、ゴルフクラブ11のヘッド13の三軸加速度及び三軸角速度の時系列データを取得する。これにより、ゴルフクラブ11のヘッド13の挙動による、ゴルフスイングの計測解析が可能になる。」と記載されている。すなわち、本件特許の明細書には、センサーユニットは、ゴルフクラブのグリップグリップエンドやヘッド対して着脱可能に取り付けることが記載されており、「センサーユニット」の取り付け」を「(ゴルフクラブの)グリップエンド又はヘッド」に限定する訂正事項1-1、及び2-1は、新規事項の追加にも該当しない。
訂正事項1-1、及び2-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.訂正事項1-2、及び2-2について
訂正事項1-2、及び2-2は、訂正前の請求項1の「所定のゴルフクラブモデル」を具体的に「前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデル」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としている。
また、訂正の根拠として、本件特許第5823767号の明細書の段落【0024】には、「さらに、制御部5は、演算部7の軌跡データ抽出部9を制御して、時系列データ取得部8により取得した時系列データに基づいて、ゴルフスイング中のグリップエンドの軌跡(例えば、ゴルフスイング中のグリップエンドの位置や、グリップの向きなど)を算出する(ステップS03)。そして、制御部5は、シミュレート部10に対して、軌跡データ抽出部9により算出した軌跡のデータを、例えば、片持ち梁モデルのような所定のゴルフクラブモデルの入力パラメータとして入力する(ステップS04)。ここで、シミュレート部10は、ゴルフクラブ11の特性として、ゴルフクラブ11の剛性分布を使用する。具体的には、シミュレート部10はゴルフクラブモデルの剛性分布等の、片持ち梁モデルを用いたシミュレーションに必要とされる他の種々の入力パラメータを、データベース7を参照して読み込む。」(下線は当審で付した。)と記載されている。すなわち、本件特許の明細書には、所定のゴルフクラブモデルとして片持ち梁モデルが用いられること、及び片持ち梁モデルに軌跡のデータが入力されることが記載されており、「所定のゴルフクラブモデル」を「前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデル」に限定する訂正事項1-2、及び2-2は、新規事項の追加にも該当しない。
訂正事項1-2、及び2-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

そして、訂正前の請求項1は、請求項2が訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
(3)小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1-1、1-2、2-1、及び2-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1ないし3について訂正を認める。

3.本件発明
上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1ないし3に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、上記「2.(1)訂正の内容」において示したとおりのものである。

4.甲各号証の記載
(1)甲第1号証
取消理由において通知した甲第1号証(特開2011-425号公報)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同じ。)
ア.「以下、本発明の第1の実施形態によるゴルフシャフト設計装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、予め設計因子が既知であるゴルフクラブであり、グリップ部分のシャフト内部に6軸センサ11と、6軸センサ11の出力を無線通信によって外部へ送信する送信部を備えている。6軸センサ11は、3軸の加速度と、3軸の角速度を検出して出力するセンサである。」(段落【0023】)
イ.「次に、図2を参照して、図1に示すゴルフシャフト設計装置2の動作を説明する。まず、試打を行う者(設計対象のゴルフシャフトを使用するユーザ)は、9本のゴルフクラブ1のうち、クラブNo.が「1」であるゴルフクラブ1を使用して試打を行う。6軸センサ11は、この試打動作中の検出結果を送信部12に対して出力する。送信部12は、6軸センサ11から検出データの出力が行われると、無線通信を使用してセンサ出力データを外部へ送信する。このセンサ出力データは、受信部20によって受信され、受信したセンサ出力データを計測データとして計測データ記憶部21に記憶する(ステップS1)。この動作を9本のゴルフクラブ1(クラブNo.が「2」?「9」)について繰り返し行うことによって、計測データ記憶部21には、少なくとも9本のゴルフクラブ1のそれぞれによって1回試打した場合の時系列の計測データが記憶されることになる。計測データ記憶部21には、試打したゴルフクラブを識別可能なクラブNo.と計測データが関係付けられて記憶される。」(段落【0030】)
ウ.「次に、シャフト設計者が、入力部23からシャフト設計を行うことを指示する操作を行うと、計測データ入力部25は、計測データ記憶部21から9つの計測データを入力する(ステップS2)。そして、計測データ入力部25は、入力した計測データをゴルフクラブ1のグリップ部分の予め決められた2点の軌跡の3次元座標データと、シャフトの軸回転データとに変換する。この変換は、ゴルフクラブ1内に挿入されている6軸センサ11の取付位置と、ゴルフクラブ1のグリップ部分の予め決められた2点の位置関係とから幾何学的に変換することにより行う。また、計測データ入力部25は、計測データを参照して、計測データの中からアドレス(ゴルフクラブを構えた状態)からインパクト(ヘッドがボールに当たった状態)までの計測データのみを座標値データと軸回転データに変換する対象とする。計測データ入力部25は、計測データを変換することにより得られた2点の軌跡の3次元座標データと、シャフトの軸回転データとを座標データ記憶部22に記憶する。」(段落【0031】)
エ.「次に、応答曲面算出部26は、座標データ記憶部22に記憶されているデータを読み出して、試打者の技量と癖を1次関数化したスイング応答曲面を算出する(ステップS4)。応答曲面とは、図4に示す9種類のゴルフクラブで試打した場合に得られた2点(P1、P2)の移動軌跡(3次元座標データ)、軸回転データと、ゴルフシャフトの3つの設計因子(ねじり剛性、曲げ剛性、曲げ剛性分布)の関係式である。」(段落【0034】)
オ.「次に、設計因子選択部29は、ねじり剛性、曲げ剛性、曲げ剛性分布のそれぞれの値の初期値を選択する(ステップS5)。そして、スイング解析部30は、設計因子選択部29が選択したねじり剛性、曲げ剛性、曲げ剛性分布のそれぞれの値と、応答曲面算出部26が算出した応答曲面と、座標データ記憶部22に記憶されているグリップ部分の2点の軌跡座標データ及び軸回転データとを入力として、ゴルフクラブヘッドの運動を動的に解析する(ステップS6)。スイング解析部30は、算出した応答曲面で得られるグリップの2点の変位および回転を強制変位として与えることにより、ヘッドの運動を動的有限要素法により解析を行う。」(段落【0037】)
カ.「この動的有限要素法によるゴルフクラブヘッドの運動の解析方法は、公知の方法(例えば、市販の有限要素法ソフトウェア)を用いるため、詳細な処理動作の説明を省略する。この解析によって、設計因子選択部29において選択した設計因子(ねじり剛性、曲げ剛性、曲げ剛性分布)を適用したシャフトのゴルフクラブを使用して、設計対象のシャフトのユーザがスイングを行った場合のゴルフクラブのヘッドの運動を模擬することができる。このとき、スイング解析部30に対して、試打者の技量と癖を1次関数化したスイング応答曲面を入力としているため、試打者の技量と癖を考慮したゴルフクラブのヘッドの運動を模擬することができる。」(段落【0038】)
キ.上記「ア.」ないし「カ.」に示されたことからみれば、「6軸センサ」、「送信部」及び「ゴルフシャフト設計装置」は、システムを構成しているといえる。
ク.これらの記載及び上記「キ.」から、甲第1号証には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ゴルフクラブのグリップ部分のシャフト内部に、3軸の加速度と、3軸の角速度を検出して出力する6軸センサと、6軸センサの出力を無線通信によって外部へ送信する送信部を備え、
試打を行う者(設計対象のゴルフシャフトを使用するユーザ)が、ゴルフクラブを使用して試打を行い、
6軸センサが、この試打動作中の検出結果を送信部に対して出力し、
送信部が、6軸センサから検出データの出力が行われると、無線通信を使用してセンサ出力データを外部へ送信し、
このセンサ出力データが、受信部によって受信され、受信したセンサ出力データを計測データとして計測データ記憶部に記憶し、計測データ記憶部には、時系列の計測データが記憶され、
計測データ入力部が、計測データ記憶部から計測データを入力し、入力した計測データをゴルフクラブのグリップ部分の予め決められた2点の軌跡の3次元座標データと、シャフトの軸回転データとに変換し、計測データを変換することにより得られた2点の軌跡の3次元座標データと、シャフトの軸回転データとを座標データ記憶部に記憶し、
応答曲面算出部が、座標データ記憶部に記憶されているデータを読み出して、試打者の技量と癖を1次関数化したスイング応答曲面を算出し、
設計因子選択部が、ねじり剛性、曲げ剛性、曲げ剛性分布のそれぞれの値の初期値を選択し、
スイング解析部が、設計因子選択部が選択したねじり剛性、曲げ剛性、曲げ剛性分布のそれぞれの値と、応答曲面算出部が算出した応答曲面と、座標データ記憶部に記憶されているグリップ部分の2点の軌跡座標データ及び軸回転データとを入力として、ゴルフクラブヘッドの運動を動的に解析し、
この解析によって、設計因子選択部において選択した設計因子(ねじり剛性、曲げ剛性、曲げ剛性分布)を適用したシャフトのゴルフクラブを使用して、設計対象のシャフトのユーザがスイングを行った場合のゴルフクラブのヘッドの運動を模擬する、
システム」
(2)甲第2号証
取消理由において通知した甲第2号証(特表2008-529727号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア.「好ましい実施形態として、図5はゴルフクラブにおける本発明の運動捕捉システムの例示的な実施形態を提示しており、全体を400で示されている。運動捕捉システム400はシャフトグリップまたはハンドル404を有するシャフト402と、ゴルフクラブのシャフト402のハンドル404側に取り付けられている運動センサ406を含んでいる。示されているように1対の取外し可能な取り付けクリップ408と410は運動センサ406をシャフト402へ取付けるために訓練期間中に使用されることができる。訓練期間が終了したとき、センサ406は容易にシャフト302から外され、それによってクラブをその通常の状態に戻す。」(段落【0033】)
イ.「別の実施形態として、図6は全体を440で示されている本発明の運動捕捉システムの別の例示的な実施形態を示している。示されているように、運動捕捉システム440はグリップ444と共に形成されたシャフト442を含んでいる。内部IMMCAPモジュール446はキャップ448を通してシャフト442内で受けられるような寸法にされ、ON-OFFスイッチ450が取り付けられることができる。モジュール446はシャフト442内で適切に隠蔽されるので、クラブの使用は制約されず、それによって練習及び運動捕捉目的に対して、機能的に等価のクラブを与える。この例ではゴルファーはクラブを変化されていないかのように扱うため最も正確な運動捕捉が行われることを可能にするので、これは特に有効である。」(段落【0034】)
(3)甲第3号証
取消理由において通知した甲第3号証(特表2002-529210号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア.「本発明は、ゴルフクラブに取り付け可能なゴルフスイング分析装置に関する。分析装置は、ハウジングと、ハウジングに取り付けられていてハウジングをゴルフクラブのシャフトに取り付けるためのシャフト取り付け具を具備する。加速度計とマイクロプロセッサがハウジング内に装着されている。マイクロプロセッサは加速度計による加速度測定値を処理するために、加速度計に接続している。データ記憶装置(data storage)はハウジング内に装着され、マイクロプロセッサに接続している。本発明はまた、マイクロプロセッサに接続された出力ポートを具備する。実施例の一つでは、シャフト取り付け具はさらに、ゴルフクラブシャフトの両側部に位置決めをして、前記シャフトを締め付け把持するために、一対の対向する舌片を持つ締め付け具を具備する。」(段落【0017】)
イ.「分析装置10が作動位置で装着されたところで、ゴルファーは従来通りにクラブをスイングさせる。スイング中、加速度計34で半径方向の加速度を測定する。マイクロプロセッサ32は加速度計34からの信号を受信し、所定の時間間隔、たとえば2ミリ秒ごとに、信号をサンプルする。マイクロプロセッサ32は加速度測定データを、たとえば2次元配列(two dimensional array)として、データ記憶装置36に記憶させる。」(段落【0030】)
ウ.「シェル62,64をシャフト68を取り囲むようにして閉じると、シャフトを受ける表面74-78はシャフト68に当接し、摩擦によりシャフトを把持する。C字型の保持ラッチ80,82がそれぞれの軸を中心に旋回し、各シェルの両耳部の少なくとも一部を取り囲んで締まる。ラッチ80,82は耳部70-73の外面にもうけた凹部くぼみに嵌合する凸部リッジを有しており、その結果分析装置をシャフト68上の固定位置にしっかりと保持する。分析装置はラッチ80,82を手で旋回させて耳部70-73から離し、シェル62,64を開くことでシャフト68から取り外す。」(段落【0064】)
(4)甲第4号証
取消理由において通知した甲第4号証(特開2005-152321号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア.「図1は、実施例1である“ゴルフクラブの位置,姿勢検出システム”の構成を示す図である。図1(a)はゴルフクラブに取り付けるセンサーモジュールの構成を示す図であり,図1(b)は、システム全体を示す図である。本実施例では、ティーアップしたボールをウッドで打つ状況を想定しているが、これに限らず地表のボールをアイアンで打つといった状況においても同様に実施することができる。」(段落【0030】)
イ.「図1において、1は3次元加速度センサー(3軸の加速度センサー)、2は3次元加速度センサー1の出力を処理するワンチップマイコン、3-1は3次元加速度センサー1とワンチップマイコン2をモジュール化したセンサーモジュールである。2-1は3次元加速度センサー1のアナログ出力を一定時間間隔でデジタル変換するAD変換器、2-2はAD変換器2-1のデジタルデータをメモリー2-4に書き込み、メモリー2-4のデータをシリアルインターフェース2-3に出力するなどの処理を行うCPUである。メモリー2-4はリングバッファであるが,リングバッファと同じ手法でデータを蓄積できる(リングバッファ機能の)メモリーであれば、リングバッファでなくてもよい。」(段落【0031】)
ウ.「図2は、ゴルフクラブ4におけるセンサーモジュール3-1の取り付け位置を示す図である。図2(a)に示すように、センサーモジュール3-1をゴルフクラブ4のグリップ部4-1とヘッド部4-3に取り付ける。より詳しいデータを収集するため、図2(b)に示すように、さらに、キックポイント(ゴルフクラブ4を振ったときにもっとも曲がりやすいシャフト4-2上の位置)近傍などにセンサーモジュール3-1を追加して取り付けてもよい。」(段落【0033】)
エ.「なお、各実施例では、情報の処理をノートパソコンで行っているが、これに限らず、適宜の携帯端末で行うことができる。また、シリアルライン、センサーモジュールは、ゴルフクラブに着脱自在に取り付けることができる。」(段落【0048】)
(5)甲第5号証
取消理由において通知した甲第5号証(特開昭61-186859号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア.「第1図に示すように、バット1の表面に帯状の装置本体2が装着され、装置本体2には加速度センサ3、電源部6となる電池7、演算回路4を構成するマイクロプロセッサ8、液晶表示器などの表示部5、電源スイッチ9などが設けられる。」(第2頁右上欄第12行から第17行)
イ.「また、装置本体2の寸法を変更することにより、スイング体としてバット1以外にテニスやバドミントンのラケット、ゴルフのクラブなどにも取付可能である。」(第3頁右上欄第1行から第4行)
ウ.「本発明は上述のように、バットやラケットのようなスイング体の長手方向に直交する方向でかつ少なくとも互いに直交する方向の加速度を検出する加速度検出手段と、加速度検出手段により検出された加速度の積分値を速度として算出する演算手段と、演算手段の出力結果を表示する表示手段と、上記各手段が内装され上記スイング体に着脱自在に結合する装置本体とから構成されているので、装置がスイング体に直接取着されるものであり、スイング体を振る位置が装置によって規制されずに速度の測定ができるものであり、飛んでいるボールを打つ場合などでもスイング体のスイング速度が測定できるという利点を有する。」(第4頁左上欄第14行から右上欄第6行)
(6)甲第6号証
取消理由において通知した甲第6号証(特表2008-528195号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア.「一組の慣性動作センサは、特別に設計された器具を使用して、戦略的なポイントにおいて、ユーザの身体及び/又はゴルフクラブ等の運動具又はデバイスに取り付け可能である。各動作センサは、多素子感知システムと、三次元位置とセンサの姿勢とを感知及び報告する回路とを含み、更なるアプリケーション固有処理のためにベクトルデータのリアルタイム出力を送信する。動作センサ内の多素子感知システムの一実施形態は、マサチューセッツ州ベッドフォードのInterSense Inc製のもののように、ジャイロスコープ慣性センサと、三個の加速度計と、三個の磁力計とを含む。動作データは、通常、三個の動作センサを採用するシステムにより120ヘルツの速度で更新されるが、これより多い又は少ないセンサ及びこれより速い又は遅い位置更新速度によるシステムも、本発明の範囲内である。」(段落【0028】)
イ.「図7A、7B、及び7Cに示すように、装身器具に加えて、或いはその代わりとして、センサを装着するために、取り付け具、即ち、この場合はゴルフクラブに取り付け可能な器具が存在してもよい。また、取り付け手段は、無線クラブセンサ11のようにセンサ筐体に組み込んでもよく、この場合、バックカバー13には、センサ11をゴルフクラブのシャフト21に固定するラッチメカニズム15が組み込まれる。トップカバー17は、電池扉19を介してアクセス可能な電池を下端部で覆っており、電子回路及びセンサ要素は、クラブのグリップに近い上方部分に収容される。」(段落【0078】)
(7)甲第7号証
取消理由において通知した甲第7号証(米国特許第7871333号明細書)には、以下の事項が記載されている。(なお、原文の後の訳は当審でなされた。以下同じ。)
ア.「A golf swing measurement and analysis system comprising:
a golf club comprising a shaft, a club head, and the club head further comprising a club head top surface and a club head face;
a first module that is attachable to and detachable from said club head top surface, and comprises a means for measuring acceleration in three separate orthogonal directions defining a measurement axes coordinate system and transmitting acceleration measurements out of the first module wirelessly as first module transmitted measurements;
a means for aligning said first module on said club head top surface defining an alignment of said first module, and a means for attaching said first module to a top surface of said club head top surface;
a means for receiving first module transmitted measurements wirelessly at a computational engine external to said first module, the computational engine having typical input/output port formats and a display;
a golf swing model stored on the computational engine comprising multiple levers including at least one rigid lever and at least one non-rigid lever, and a means for inputting constants based on a golfer and the golf club;
a first computational algorithm that operates on said computational engine that interprets said first module transmitted measurements within boundary conditions of said golf swing model and detects if said first module alignment is misaligned and calibrates said first module transmitted measurements;
and a second computational algorithm that operates on said computational engine that interprets said first module transmitted measurements or said first module transmitted measurements calibrated by the first computational algorithm within boundary conditions of said golf swing model to define dynamically changing relationships between an inertial axes coordinate system defined by said golf swing model and said measurement axes coordinate system during a golf swing.」(請求項1(第20欄第59行から第21欄第30行))
(「以下を含むゴルフスイング計測分析システム:
シャフト、クラブヘッドを含むゴルフクラブ、そして、クラブヘッドはさらにクラブヘッドトップ面及びクラブヘッド正面を含み;
前記のクラブヘッドトップ面に取り付け及び取り外しが可能な第1モジュールであって、計測軸座標系を規定する3つのそれぞれの直交方向の加速度を計測し、第1モジュールからの加速度の計測結果を第1モジュール送信計測結果として送信する第1モジュール;
前記第1モジュールの位置合わせを規定する前記クラブヘッドトップ面上に前記第1モジュールを位置合わせする手段、及び前記クラブヘッドトップ面に前記第1モジュールを取り付ける手段;
第1モジュール外の計算装置において無線で第1モジュール送信計測結果を受信する手段、計算装置は典型的な入力/出力ポート形式及びディスプレイを有し;
少なくとも1つの剛体レバー及び少なくとも1つの非剛体レバーを含む多体レバーを含む、計算装置に蓄積されたゴルフスイングモデル、及びゴルファー及びゴルフクラブに基づく定数を入力する手段;
前記ゴルフスイングモデルの境界条件において前記第1モジュール送信計測結果を解釈し、前記第1モジュールの位置合わせが間違っているか否かを検出し、前記第1モジュール送信計測結果を較正する、前記計算装置において実行される第1の計算アルゴリズム;
及び前記ゴルフスイングモデルの境界条件において前記第1モジュール送信計測結果又は第1の計算アルゴリズムによって較正された前記第1モジュール送信計測結果を解釈し、前記ゴルフスイングモデルによって規定される慣性座標系及びゴルフスイング中の前記計測座標系の間の動的な関係変化を規定する第2の計算アルゴリズム。」)
(8)甲第8号証
取消理由において通知した甲第8号証(米国特許出願公開第2010/216565号明細書)には、以下の事項が記載されている。
ア.「A head 208 of golf club 200 may include an impact module 210 for measuring the impact of a golf ball relative to the face of head 208. Impact module 210 may include a strain gauge. Head 208 may also include a removable accelerometer module 212. Accelerometer module 212 may include a three-axis accelerometer for head measuring acceleration along three orthogonal axes. Embodiments that include a removable accelerometer module, as opposed to embodiments that include a module embedded into head 208, provide certain advantages. For example, a single removable accelerometer module may be used for several different clubs and allows a golfer to upgrade or replace the accelerometer module without replacing the entire club.」(段落[0029])
(「ゴルフクラブ200のヘッド208は、ヘッド208のフェースに対するゴルフボールのインパクトを測定するためのインパクトモジュール210を含んでいてもよい。インパクトモジュール210は歪みゲージを含んでいてもよい。また、ヘッド208は着脱式加速度計モジュール212を含んでいてもよい。加速度計モジュール212は、直交する3軸に沿って加速度をヘッドで測定する3軸加速度計を含んでいてもよい。ヘッド208内に埋設されたモジュールを含む実施形態に対して、着脱式加速度計モジュールを含む実施形態は、いくつかの利点を提供する。例えば、1つの着脱式加速度計モジュールを、いくつかの異なるクラブに使用してもよく、ゴルファーはクラブ全体を交換することなくその加速度計モジュールをアップグレードまたは交換することができる。」)
(なお、甲第8号証と甲第9号証はパテントファミリーの関係にあり、当該記載は下記の「4.(9)」の記載に相当する。)
(9)甲第9号証
取消理由において通知した甲第9号証(特表2007-530151号公報)には、以下の事項が記載されている。
ア.「ゴルフクラブ200のヘッド208は、ヘッド208のフェースに対するゴルフボールのインパクトを測定するためのインパクトモジュール210を含んでいてもよい。インパクトモジュール210は歪みゲージを含んでいてもよい。また、ヘッド208は着脱式加速度計モジュール212を含んでいてもよい。加速度計モジュール212は、直交する3軸に沿って加速度をヘッドで測定する3軸加速度計を含んでいてもよい。ヘッド208内に埋設されたモジュールを含む実施形態に対して、着脱式加速度計モジュールを含む実施形態は、いくつかの利点を提供する。例えば、1つの着脱式加速度計モジュールを、いくつかの異なるクラブに使用してもよく、ゴルファーはクラブ全体を交換することなくその加速度計モジュールをアップグレードまたは交換することができる。」(段落【0012】)

5.当審の判断
(1)本件発明1について
ア.対比
本件発明1と引用発明1とを対比すると、後者における「試打を行う者」が前者における「ゴルファ」に相当し、以下同様に、「スイング」が「ゴルフスイング」に、「6軸センサ」が「センサー」に、「検出」が「計測」に、「送信部」が「無線回路」に、「センサ出力データ」が「計測データ」に、「時系列の計測データ」が「時系列データ」に、「計測データ記憶部」が「データ取得部」に、「軌跡座標データ及び軸回転データ」が「軌跡データ」に、「座標データ記憶部」が「軌跡データ抽出部」に、「模擬」が「シュミレート」に、「スイング解析部」が「シュミレート部」に相当する。
引用発明1の「6軸センサ」と「送信部」からなるものは、互いに接続された1つのユニットを構成しているから、「センサーユニット」といえる。
また、引用発明1の「システム」は、試打を行うときのゴルフクラブの3軸の加速度と3軸の角速度を計測し、試打を行う者がスイングを行った場合のゴルフクラブのヘッドの運動を模擬することでスイングの解析を行っているから、「ゴルフスイングの計測解析システム」といえる。
そして、本件特許第5823767号の明細書の段落【0024】の「さらに、制御部5は、演算部7の軌跡データ抽出部9を制御して、時系列データ取得部8により取得した時系列データに基づいて、ゴルフスイング中のグリップエンドの軌跡(例えば、ゴルフスイング中のグリップエンドの位置や、グリップの向きなど)を算出する(ステップS03)。そして、制御部5は、シミュレート部10に対して、軌跡データ抽出部9により算出した軌跡のデータを、例えば、片持ち梁モデルのような所定のゴルフクラブモデルの入力パラメータとして入力する(ステップS04)。ここで、シミュレート部10は、ゴルフクラブ11の特性として、ゴルフクラブ11の剛性分布を使用する。具体的には、シミュレート部10はゴルフクラブモデルの剛性分布等の、片持ち梁モデルを用いたシミュレーションに必要とされる他の種々の入力パラメータを、データベース7を参照して読み込む。」との記載を参酌すれば、本件発明1の「軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデル」とは、グリップの軌跡のデータ及びゴルフクラブモデルの剛性分布等を入力パラメータとする、ゴルフクラブを片持ち梁としてモデル化したものであると認められる。引用発明1も、試打を行う者はゴルフクラブの片側のグリップを持っていることから、ゴルフクラブを片持ち梁として仮定して解析することが技術的に見て自然であること、並びにこのグリップの軌跡のデータ及び剛性分布に相当する曲げ剛性分布等をモデル化したゴルフクラブの入力パラメータとしていることから、軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデルを使用しているといえる。
したがって、両者は、
「ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフスイングを計測解析する計測解析システムであって、
三軸加速度及び三軸角速度を計測するセンサー、並びに、前記計測データを送信する無線回路を有し、前記ゴルフクラブに対して取り付けられたセンサーユニットと、
前記センサーユニットの前記無線回路から送信される前記計測データに基づいて、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの三軸加速度及び三軸角速度の時系列データを取得する、データ取得部、取得された前記時系列データから、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの軌跡データを抽出する軌跡データ抽出部、及び、前記軌跡データ、前記時系列データ、及び前記ゴルフクラブの特性に基づき、前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデルを使用してゴルファによるゴルフスイングをシミュレートするシミュレート部を有する解析装置と、
を備える、ゴルフスイングの計測解析システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本件発明1においては、センサーユニットがセンサーにより計測される計測データを保存する「メモリ」を有しているのに対し、引用発明1では有していない点。
[相違点2]
本件発明1においては、センサーユニットが「ゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に」取り付けられているのに対し、引用発明1では着脱可能に取り付けられていない点。
イ.判断
上記相違点について、以下検討する。
(ア)相違点1について
ゴルフスイングの計測、解析等を行う装置において、ゴルフクラブに対して取り付けられたセンサーユニットで計測された計測データを解析装置に送信するにあたり、前記計測データを保存するため、センサーユニットにメモリを設けることは、周知の技術事項(例えば、上記「4.(3)及び(4)」参照。以下「周知の技術事項1」という。)である。
してみると、上記周知の技術事項1は上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を備えている。
そして、ゴルフクラブに対して取り付けられたセンサーユニットで計測された計測データを解析装置に送信するには、センサーユニットのメモリに保存して解析装置に計測データを送信するか、計測データを直接解析装置に送信するかのいずれかしかなく、そのいずれを選択するかは当業者であれば適宜設計可能な事項であって、上記周知の技術事項1及び上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は格別な作用効果を奏するものではないことを踏まえれば、引用発明1において上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることである。
(イ)相違点2について
ゴルフスイングの計測、解析等を行う装置において、ゴルフクラブを計測するセンサーユニットを取り付け及び取り外しが可能なモジュールとするため、センサーユニットをゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に取り付けることは、周知の技術事項(例えば、上記「4.(4)、(7)ないし(9)」参照。以下「周知の技術事項2」という。)である。
してみると、上記周知の技術事項2は上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を備えている。
そして、ゴルフクラブにセンサーユニットを取り付けるにあたり、センサーユニットは着脱可能とするか、着脱不可能とするかのいずれかしかなく、そのいずれを選択するかは当業者であれば適宜設計可能な事項であって、上記周知の技術事項2及び上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は格別な作用効果を奏するものではないことを踏まえれば、引用発明1において上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることである。
そして、本件発明1の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1、上記周知の技術事項1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものである。
ウ.小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用発明1、上記周知の技術事項1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明2について
ア.対比
本件発明2と引用発明1を対比すると、後者における「曲げ剛性分布」は前者における「剛性分布」に相当し、両者は上記「(1)ア.」で示した一致点に加えて、「シミュレート部は、ゴルフクラブの特性として、ゴルフクラブの剛性分布を使用して、ゴルファによるゴルフスイングをシミュレートする」点でも一致し、両者の相違点は上記相違点1及び2となる。
イ.判断
上記「(1)イ.」のとおりであるから、引用発明1において上記相違点1及び2に係る本件発明2の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることである。
そして、本件発明2の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1、上記周知の技術事項1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものである。
ウ.小括
以上のとおりであるから、本件発明2は、引用発明1、上記周知の技術事項1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明3について
ア.対比
本件発明3は、本件発明1の計測解析システムを計測解析方法とした、本件発明1と同様の発明特定事項を有するカテゴリーが異なる発明である。
引用発明1も、実質的に同じ発明特定事項を有する方法を含んでいる。
したがって、上記「(1)ア.」での検討を踏まえ、本件発明3と引用発明1とを対比すると、両者の相違点は上記相違点1及び2となる。
イ.判断
上記「(1)イ.」のとおりであるから、引用発明1において上記相違点1及び2に係る本件発明3の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることである。
そして、本件発明3の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1及び上記周知の技術事項1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものである。
ウ.小括
以上のとおりであるから、本件発明3は、引用発明1、上記周知の技術事項1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本件発明1ないし3は引用発明1、上記周知の技術事項1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1ないし3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件特許1ないし3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフスイングを計測解析する計測解析システムであって、
三軸加速度及び三軸角速度を計測するセンサー、前記センサーにより計測される三軸加速度及び三軸角速度の計測データを保存するメモリ、並びに、前記計測データを送信する無線回路を有し、前記ゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニットと、
前記センサーユニットの前記無線回路から送信される前記計測データに基づいて、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの三軸加速度及び三軸角速度の時系列データを取得する、データ取得部、取得された前記時系列データから、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの軌跡データを抽出する軌跡データ抽出部、及び、前記軌跡データ、前記時系列データ、及び前記ゴルフクラブの特性に基づき、前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデルを使用してゴルファによるゴルフスイングをシミュレートするシミュレート部を有する解析装置と、
を備えることを特徴とする、ゴルフスイングの計測解析システム。
【請求項2】
前記シミュレート部は、前記ゴルフクラブの特性として、前記ゴルフクラブの剛性分布を使用して、ゴルファによるゴルフスイングをシミュレートすることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフスイングの計測解析システム。
【請求項3】
ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフスイングを計測解析する計測解析方法であって、
三軸加速度及び三軸角速度を計測するセンサー、前記センサーにより計測される三軸加速度及び三軸角速度の計測データを保存するメモリ、並びに、前記計測データを送信する無線回路を有し、前記ゴルフクラブのグリップエンド又はヘッドに対して着脱可能に取り付けられた、センサーユニットの、前記無線回路から、前記計測データを受信するステップと、
前記センサーユニットの前記無線回路から受信した前記計測データに基づいて、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの三軸加速度及び三軸角速度の時系列データを取得するステップと、
取得された前記時系列データから、ゴルフスイング中の前記ゴルフクラブの軌跡データを抽出するステップと、
前記軌跡データ、前記時系列データ、及び前記ゴルフクラブの特性に基づき、前記軌跡データが入力された片持ち梁ゴルフクラブモデルを使用してゴルファによるゴルフスイングをシミュレートするステップと、
を含むことを特徴とする、ゴルフスイングの計測解析方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-11-01 
出願番号 特願2011-168656(P2011-168656)
審決分類 P 1 651・ 832- ZAA (A63B)
P 1 651・ 121- ZAA (A63B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 黒瀬 雅一
畑井 順一
登録日 2015-10-16 
登録番号 特許第5823767号(P5823767)
権利者 株式会社ブリヂストン
発明の名称 ゴルフスイングの計測解析システム及び計測解析方法  
代理人 塚中 哲雄  
代理人 杉村 光嗣  
代理人 冨田 和幸  
代理人 福尾 誠  
代理人 福尾 誠  
代理人 塚中 哲雄  
代理人 杉村 光嗣  
代理人 冨田 和幸  
代理人 伊藤 怜愛  
代理人 伊藤 怜愛  
代理人 杉村 憲司  
代理人 杉村 憲司  
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