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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1347057
審判番号 不服2018-1742  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-07 
確定日 2018-12-06 
事件の表示 特願2012-231929「X線診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月12日出願公開、特開2014- 83085〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年10月19日の出願であって、平成28年7月28日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月3日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月6日付けの拒絶理由(最後の拒絶理由)の通知に対し、同年5月12日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月17日付けで、同年5月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定及び拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年2月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年2月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年2月7日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「被検体を挟んで対向配置されるよう支持部材に支持されたX線管およびX線検出部を備えたX線診断装置であって、
前記X線管から放射されるX線の照射範囲を調整するX線照射野絞りと、
前記支持部材に対する前記X線管の角度を変更可能に前記支持部材に対して前記X線管を保持し、前記X線検出部の検出面に対する前記X線管の管軸の角度を、撮影術式ごとの撮影条件と透視条件とを含む撮影プロトコルに応じて変更する管球保持部と、
を備え、
前記撮影プロトコルに応じて分解能を向上させて照射野を狭くする場合は、前記X線管の実効焦点が小さくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに当該管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更し、前記撮影プロトコルに応じて分解能を低下させて照射野を広げる場合は、前記X線管の実効焦点が大きくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに前記管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更する、
X線診断装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成28年10月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「被検体を挟んで対向配置されるよう支持部材に支持されたX線管およびX線検出部を備えたX線診断装置であって、
前記支持部材に対する前記X線管の角度を変更可能に前記支持部材に対して前記X線管を保持し、前記X線検出部の検出面に対する前記X線管の管軸の角度を、撮影術式ごとの撮影条件及び透視条件を含む撮影プロトコルに応じて変更する管球保持部、
を備えたX線診断装置。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「撮影プロトコルに応じて変更する」対象として、「X線照射野絞りの開口のサイズ」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献等

ア 引用文献4
(ア)引用文献4の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2011-104353号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。)

(引4-ア)
「【0002】
平面検出器(flat panel detector:以下FPDと呼ぶことにする)を使用して、血管や臓器のX線透視・撮影が行われている。また、穿通枝や非対称ステント等の微細な部分(200μm以下)の抽出用として、マイクロアンギオ検出器(micro angio detector:以下MAと呼ぶことにする)が考案されている。現在、FPDとMAとの両方を搭載し、FPDとMAとを切替えて使用可能なX線診断装置が開発されている。」

(引4-イ)
「【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るX線診断装置1の構成を示す図である。図1に示すように、X線診断装置1は、撮影機構10を有している。図2は、撮影機構10の概略的な外観を示す図である。撮影機構10は、図示しないスタンドにより床に旋回可能又は固定して設置されたCアームホルダ11を有している。Cアームホルダ11は、Cアーム13を回転軸A1回りにスライド可能に支持している。Cアーム13は、回転軸A1回りスライドすることでCアーム13のC形状に沿ったスライド方向D1にスライドする。また、Cアームホルダ11は、A1に直交する回転軸A2回りに回転可能にCアーム13を支持している。Cアーム13は、軸A2回りに回転することで回転方向D2回りに回転する。回転軸A1と回転軸A2との交点は、アイソセンタと呼ばれている。Cアーム13は、アイソセンタが空間的に固定されるように回転軸A1やA2回りに動作する。Cアーム13は、X線管15とX線検出器17とを互いに向き合わせて搭載している。
【0010】
X線透視・撮影時においては、被検体Pが載置される天板19がX線管15とX線検出器17との間に移動される。天板19は、長手方向、横手方向、上下方向に沿って移動可能に寝台(図示せず)により支持されている。寝台は、寝台駆動部21からの駆動信号に従って天板19を移動させる。
【0011】
X線管15は、X線制御部23の制御のもと高電圧発生部25からの高電圧の印加とフィラメント電流の供給とを受けてX線を発生する。X線管15のX線照射口には、絞り機構27が取り付けられている。絞り機構27は、いわゆる可動絞りである。すなわち、絞り機構27は、X線を遮蔽する物質から構成された絞り羽根を移動可能に支持している。絞り羽根は、例えば、鉛により形成される。絞り羽根の位置が調整されることで、撮像視野(field of view:以下、FOVと呼ぶことにする)のサイズや形状が変化される。絞り機構27は、絞り機構駆動部29からの駆動信号の供給を受けて絞り羽根を移動する。
【0012】
X線管15は、Cアーム13に取り付けられた傾斜機構31上に搭載される。傾斜機構31は、X線管15を傾斜可能に支持する。傾斜機構31は、傾斜機構駆動部33からの駆動信号の供給を受けてX線管15を電動で傾斜させることで、X線量を大きく変化させること無くX線の実効焦点のサイズを変化させる。なお実効焦点とは、X線照射方向(例えば、X線検出器17からX線管15を眺める方向)から見たX線の焦点である。また、傾斜機構31とCアーム13とは独立に駆動可能である。
【0013】
X線検出器17は、X線管15から発生されたX線を検出する。具体的には、X線検出器17は、FPD171とMA173とを有する。FPD171は、MA173に比して大きい画素サイズを有するX線検出器である。FPD171は、X線管15から発生されたX線を検出し、検出されたX線に応じた第1画像のデータを生成する。生成された第1画像の画素サイズは、FPD171の画素サイズに対応している。第1画像のデータは、第1画像入力部35に供給される。MA173は、FPD171に比して小さい画素サイズを有するX線検出器である。MA173は、X線管15から発生されたX線を検出し、検出されたX線に応じた第2画像のデータを生成する。生成された第2画像の画素サイズは、MA173の画素サイズに対応している。すなわち、第2画像の画素サイズは、第1画像の画素サイズに比して小さい。第2画像のデータは、第2画像入力部37に供給される。
【0014】
FPD171とMA173とは、スライド機構39上に隣り合わせに配列される。FPD171とMA173とは、隙間を介して配列されていても、隙間無く配列されていてもどちらでも良い。Cアーム13は、FPD171とMA173とのどちらか一方がFOVに含まれるように、FPD171とMA173との配列方向に沿ってスライド可能に支持している。配列方向は、例えば、回転軸A2に平行である。スライド機構39は、スライド機構駆動部41からの駆動信号の供給を受けて配列方向(スライド方向)に沿って電動でスライドすることで、FPD171とMA173とをスライドさせる。このようにスライド機構39がスライドすることにより、使用するX線検出器をFPD171からMA173へ、またはMA173からFPD171へ切替える。なお、スライド機構39とCアーム13とは独立に駆動可能である。
【0015】
第1画像入力部35は、FPD171からの第1画像のデータを画像記憶部43に入力する。第2画像入力部37は、MA173からの第2画像のデータを画像記憶部43に入力する。
【0016】
画像処理部45は、システム制御部55からの制御に従って画像記憶部43から第1画像のデータや第2画像のデータを読み出して画像処理する。画像処理された第1画像のデータや第2画像のデータは、画像記憶部43に記憶される。
【0017】
画像記憶部43は、第1画像入力部35からの第1画像のデータや第2画像入力部37からの第2画像のデータ、画像処理部45からの画像処理された第1画像のデータ、画像処理部45からの画像処理された第2画像のデータを記憶する。
【0018】
画像出力部47は、システム制御部55からの制御に従って画像記憶部43から第1画像のデータや第2画像のデータを読み出して、表示部49に供給する。表示部49は、画像出力部47からの第1画像や第2画像を所定のレイアウトで表示する。
【0019】
機構制御部51は、システム制御部55からの制御に従ってスライド機構駆動部41、寝台駆動部21、絞り機構駆動部29、及び傾斜機構駆動部33をそれぞれ制御する。具体的には、機構制御部51は、システム制御部55からの制御信号に基づいてスライド機構駆動部41を制御して、スライド機構39に駆動信号を供給させる。機構制御部51は、システム制御部55からの制御信号に基づいて寝台駆動部21を制御して、寝台に駆動信号を供給させる。機構制御部51は、システム制御部55からの制御信号に基づいて絞り機構駆動部29を制御して、絞り機構27に駆動信号を供給させる。機構制御部51は、システム制御部55からの制御信号に基づいて傾斜機構駆動部33を制御して、傾斜機構31に駆動信号を供給させる。
【0020】
操作部53は、操作者から入力デバイスを介して各種指令や情報入力を受け付け、受付けた指令や情報に応じた操作信号をシステム制御部55に供給する。入力デバイスとしては、例えば、キーボードやマウス、各種ボタン、タッチキーパネル等が適用可能である。入力デバイスは、X線管15の傾斜ボタン、FPD171とMA173との切替えボタンや、FOVサイズの切替えボタン等を有している。
【0021】
システム制御部55は、X線診断装置1の中枢として機能する。例えば、システム制御部55は、操作部53からの操作信号に応じて機構制御部51、X線制御部23、画像処理部45、及び画像出力部47を制御する。
【0022】
次に第1実施形態に係るX線診断装置1の動作例について詳細に説明する。上述のように、第1実施形態に係るX線診断装置1は、FPD171とMA173との両方を搭載している。FPD171は、通常のX線撮影・透視において使用される。MA173は、例えば、穿通枝や非対称ステント等の微細な部分(200μm以下)を観察するために使用される。従って、FPD171の使用頻度の方が、MA173の使用頻度に比して多い。
【0023】
例えば、機構制御部51は、スライド機構41によるFPD171とMA173とのスライドと、傾斜機構31によるX線管15の傾斜とを連動して制御する。より詳細には、上述のように、スライド機構駆動部41は、機構制御部51による制御に従ってスライド機構39を駆動し、FPD171とMA173との何れか一方にX線管15から発生されたX線が照射されるようにFPD171とMA173とをスライドさせる。また、傾斜機構駆動部33は、機構制御部51による制御に従って傾斜機構31を駆動し、実効焦点のサイズを変更するために前記X線管を傾斜させる。機構制御部51は、スライド機構駆動部41によるスライド機構39の駆動に連動して傾斜機構駆動部33による傾斜機構31を制御する。
【0024】
例えば、機構制御部51は、使用するX線検出器がFPD171からMA173へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが小さくなるようにX線管15を傾かせる。逆に機構制御部51は、使用するX線検出器がMA173からFPD51へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが大きくなるようにX線管15を傾かせる。機構制御部51は、上述のようにFPD171の使用頻度の方がMA173の使用頻度に比して多いことが想定されるので、典型的には、FPD171使用時におけるX線管15の傾斜角度を基準角度として、MA173使用時において傾斜角度を基準角度に対して傾斜させる。
【0025】
次に図3と図4とを参照しながらX線管15の構造とX線管15の傾斜について詳細に説明する。図3は、FPD171使用時におけるX線管15の配置を示す図である。図4は、MA173使用時におけるX線管15の配置を示す図である。
【0026】
図3と図4とに示すように、X線管15は、内部が高真空に保たれた筐体151を有する。筐体151には、陰極152と陽極153とが設けられている。陰極152は、フィラメントからなる。陰極152は、高電圧発生部25からフィラメント電流の供給を受けて発熱し電子を発生する。陽極153は、回転軸A3回りに高速に回転する回転陽極である。陰極152と陽極153との間は、高電圧発生部25により高電圧が印加されている。この高電圧により、陰極152で発生された電子は、ビーム状に集束しながら加速され、回転中の陽極153に衝突する。陽極153は、陰極152からの電子を受けてX線照射口に向けてX線を放射する。電子が衝突する陽極153上の領域は、焦点P1と呼ばれている。なお陽極153表面の法線方向から見た焦点P1は実焦点と呼ばれている。また、X線照射方向(図3においては、FPD171の検出面中心P2と焦点P1とを結ぶ軸A4(以下、FPD?焦点軸A4と呼ぶことにする))から見た焦点P2は実効焦点と呼ばれている。回転軸A3は、電子ビームの陰極152から陽極153への直進方向に平行する。なお陰極152と陽極153との相対的な位置関係は、X線管15の傾斜角度に依らず不変である。
【0027】
筐体151のX線照射口は、X線検出器17側に設けられている。筐体151のX線照射口部には絞り機構27が取り付けられている。絞り機構27は、FOVサイズを変更するための絞り羽根271が移動可能に支持されている。典型的には、絞り機構27には、複数の絞り羽根271が設けられている。絞り機構27は、複数の絞り羽根271を連動して適切な位置に配置することで、FOVサイズを切替えたり、FPD171やMA173の形状に応じてX線照射野(FOV)を四角形状や丸形状に成形したりできる。筐体151のX線照射口の反対側は、傾斜機構31により傾斜可能に支持されている。
【0028】
図3に示すように、FPD171使用時において傾斜機構31は、回転軸A3がFPD?焦点軸A4に略直交するようにX線管15を支持する。FPD171使用時においてX線管15の傾斜角度、すなわちFPD?焦点軸A4に対する回転軸A3の傾斜角度は、基準角度である略90度に設定される。
【0029】
図4に示すように、MA173使用時において傾斜機構31は、回転軸A3がMA173の検出面中心P3と焦点P1とを結ぶ軸A5(以下、MA?焦点軸A5と呼ぶことにする)に対して傾斜するようにX線管15を支持する。例えば、傾斜機構31は、筐体151の陽極153側が陰極152側に比してMA173に近づくようにX線管15を支持する。MA173使用時においてX線管15の傾斜角度、すなわち陰極152側から見たMA?焦点軸A5に対する回転軸A3の傾斜角度は、90度より大きく設定される。なお、MA173使用時におけるMA173の検出面中心P3は、FPD171使用時におけるFPD?焦点軸A4上に配置される。すなわち、FPD171使用時におけるFPD?焦点軸A4とMA173使用時におけるMA?焦点軸A5とは、重なる。
【0030】
また、FPD171使用時における検出面中心P2とMA173使用時における検出面中心P3との位置を一致させ、さらに傾斜角度によらずに焦点P1位置を不動にさせる。
これにより、被検体Pの幾何学的拡大率を一定にすることができる。
【0031】
次に機構制御部51の制御のもとに行なわれるX線管15の傾斜とX線検出器17の切替えと絞り羽根271の移動との動作例について説明する。例えば、機構制御部51は、操作部53に設けられたX線検出器17の切替えボタンが押されることを契機として、X線管15の傾斜とX線検出器17の切替えと絞り羽根271の移動とを実行する。
【0032】
機構制御部51は、FPD171のためのX線管15の傾斜角度と絞り羽根271の配置とをテーブルに記憶している。同様に、機構制御部51は、MA173のためのX線管15の傾斜角度と絞り羽根271の配置とをテーブルに記憶している。FPD171使用時におけるX線管15の傾斜角度と絞り羽根271の配置とは、例えば、FOVがFPD171の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定される。MA173使用時におけるX線管15の傾斜角度と絞り羽根271の配置とは、FOVがMA173の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定される。この際、FPD171のための傾斜角度は、90度に設定される。また、MA173のための傾斜角度は、FPD171使用時に比してMA173使用時における実効焦点のサイズが小さくなるように、90度から180度までの角度に設定される。より厳密には、傾斜角度は、90度+陽極153ターゲット角までの角度に設定される。
【0033】
例えば、FPD171からMA173への切替え指示がなされると機構制御部51は、MA173のための傾斜角度をテーブルから読み出し、読み出された傾斜角度にX線管15が傾斜されるように傾斜機構駆動部33を制御する。傾斜機構駆動部33は、傾斜機構31を駆動して、MA173のための傾斜角度までX線管15を傾斜する。典型的には、MA173のための傾斜角度に配置されるように筐体151の陽極153側を持ち上げ陰極側152を下げる。同様に、機構制御部51は、FPD171からMA173への切替え指示がなされると、MA173のための絞り羽根271の配置をテーブルから読み出し、読み出された配置に絞り羽根271が配置されるように傾斜機構駆動部33を制御する。傾斜機構駆動部33は、絞り機構27を駆動して、MA173のための配置に絞り羽根271を移動する。
【0034】
また、MA173からFPD171への切替え指示がなされると機構制御部51は、FPD171のための傾斜角度をテーブルから読み出し、読み出された傾斜角度にX線管15が傾斜されるように傾斜機構駆動部33を制御する。傾斜機構駆動部33は、傾斜機構31を駆動して、FPD171のための傾斜角度までX線管15を傾斜する。典型的には、FPD171のための傾斜角度に配置されるように筐体151の陽極153側を下げ陰極側152を持ち上げる。同様に、機構制御部51は、MA173からFPD171への切替え指示がなされると、FPD171のための絞り羽根271の配置をテーブルから読み出し、読み出された配置に絞り羽根271が配置されるように傾斜機構駆動部33を制御する。傾斜機構駆動部33は、絞り機構27を駆動して、MA173のための配置に絞り羽根271を移動する。
【0035】
上記のようにX線診断装置1は、FPD171とMA173とをスライドさせるためのスライド機構39を有している。スライド機構39は、ユーザによるボタン操作を契機として、FPD171とMA173とを電動でスライドすることにより、使用するX線検出器を迅速に切替えることができる。このスライド機構39により、従来必要であったFPD171とMA173との切替え操作に際における、FPDやMAの退避・設置の操作は、第1実施形態においては無くなる。従ってX線診断装置は、FPD171とMA173との切替え操作に関するユーザの手間や切替え時間を削減することができる。
【0036】
またX線診断装置1は、X線管15を傾斜させるための傾斜機構31を有している。傾斜機構31は、ユーザによるボタン操作を契機として、実効焦点のサイズが変化するようにX線管15を傾斜させることができる。具体的には、検出面中心と焦点とを結ぶ軸A4、A5に対する回転軸A3(電子ビームの直進方向と略同一)を傾斜させる。X線管15の傾斜により実効焦点サイズを変更することで、MA173使用時におけるX線量を確保しつつ、実効焦点のサイズを小さくできる。このため、従来生じていたX線量の確保と実効焦点のサイズの縮小との間に生じていた二律背反の関係を解消できる。この結果、X線量を確保するために、実効焦点のサイズを大きくする必要がないため、従来にしてMA173に由来する第2画像の鮮鋭度が向上する。従ってMA173の特性を有効活用しながら、微細な部分を精度良く抽出することができる。
【0037】
かくして、第1実施形態によれば、検査効率や検査精度の向上を実現するX線診断装置を提供することが可能となる。
【0038】
なお、上記の説明においてはX線検出器17の切替え指示を契機として、X線管15の傾斜とX線検出器17の切替えと絞り羽根271の移動とが実行されるとした。しかしながら第1実施形態は、これに限定する必要はない。例えば、X線管15の傾斜指示や実効焦点のサイズの切替え指示等がなされることを契機として、X線管15の傾斜とX線検出器17の切替えと絞り羽根271の移動とが実行されてもよい。」

(引4-ウ)
「【0051】
これら動作の実行後、機構制御部51は、ユーザによりX線管15の回転ボタンが押されることを契機として、X線管15の回転を実行する。例えば、X線管15は、回転ボタンが押されている間、所定の回転速度で回転する。そして回転ボタンが離された場合、X線管15は、停止する。従って任意の方向に沿って実効焦点のサイズを変化させることができるので、任意の方向に沿ってX線画像の空間分解能を向上させることができる。X線管15の回転による実効焦点のサイズの変更は、MA173を必要とするような高空間分解能が要求される場合、臨床的に特に有用である。」

(引4-エ)図1には、以下の図面が示されている。


(引4-オ)図2には、以下の図面が示されている。


(引4-カ)図3には、以下の図面が示されている。


(引4-キ)図4には、以下の図面が示されている。


(イ)引用文献4に記載された発明
上記(ア)の記載事項及び図面を総合すると、引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「撮影機構10を有しているX線診断装置1であって、
撮影機構10は、スタンドにより床に設置されたCアームホルダ11を有し、Cアームホルダ11は、Cアーム13をスライド可能に支持し、Cアーム13は、X線管15とX線検出器17とを互いに向き合わせて搭載し、
X線透視・撮影時においては、被検体Pが載置される天板19がX線管15とX線検出器17との間に移動され、
X線管15のX線照射口には、絞り機構27が取り付けられ、絞り機構27は、X線を遮蔽する物質から構成された絞り羽根を移動可能に支持し、絞り羽根の位置が調整されることで、撮像視野(field of view:以下、FOVと呼ぶことにする)のサイズや形状が変化され、
X線管15は、Cアーム13に取り付けられた傾斜機構31上に搭載され、傾斜機構31は、X線管15を傾斜可能に支持し、X線管15を傾斜させることで、X線の実効焦点のサイズを変化させ、
X線検出器17は、FPD171とMA173とを有し、FPD171は、MA173に比して大きい画素サイズを有するX線検出器であり、
FPD171は、通常のX線撮影・透視において使用され、MA173は、例えば、穿通枝や非対称ステント等の微細な部分(200μm以下)を観察するために使用され、
使用するX線検出器がFPD171からMA173へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが小さくなるようにX線管15を傾かせ、逆に、使用するX線検出器がMA173からFPD51へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが大きくなるようにX線管15を傾かせ、
FPD171使用時において傾斜機構31は、回転軸A3がFPD171の検出面中心P2と焦点P1とを結ぶ軸A4に略直交するようにX線管15を支持し、
MA173使用時において傾斜機構31は、回転軸A3がMA173の検出面中心P3と焦点P1とを結ぶ軸A5に対して傾斜するようにX線管15を支持し、
FPD171使用時における絞り羽根271の配置は、FOVがFPD171の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定され、
MA173使用時における絞り羽根271の配置は、FOVがMA173の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定される、
X線診断装置1。」

イ 引用文献5の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-253801号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(引5-ア)
「【0016】
図1は本発明に係るX線診断装置の第1の実施形態を示す構成図であり、図2は、図1に示すX線診断装置1の詳細構成を示す概念図である。
・・・
【0022】
メイン制御部13には、機械制御部10、X線制御部12等の各種制御部、撮影プロトコル選択部(X線条件入力部)14、皮膚照射線量制限値入力部15等の入力手段、撮影プロトコル表示部(X線条件表示部)16、透視可能時間表示部17、撮影可能枚数表示部18等の表示手段、警告情報出力部19が接続される。また、警告情報出力部19は、表示装置やスピーカ等の出力手段で構成される。
【0023】
そして、撮影プロトコル選択部14、皮膚照射線量制限値入力部15等の入力手段から入力された情報に基づいてメイン制御部13から機械制御部10およびX線制御部12に制御信号を与えられることによりX線診断装置1全体が管理または制御されるとともに、表示すべき情報が撮影プロトコル表示部16、透視可能時間表示部17、撮影可能枚数表示部18等の表示手段に与えられて表示できるように構成される。
・・・
【0025】
撮影プロトコル選択部14は、撮影条件や透視条件、予め撮影術式に応じて撮影条件および透視条件が設定された撮影プロトコルや検査プロトコルの選択情報等のX線条件情報をメインCPU20に与えることにより、X線条件を設定する機能を有する。
【0026】
撮影プロトコル表示部16は、撮影プロトコル選択部14により設定された撮影条件および透視条件または選択された撮影プロトコルや検査プロトコル等のX線条件情報をメインCPU20から受けて表示させる機能を有する。」

ウ 引用文献6の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-82650号公報(以下「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(引6-ア)
「【0052】
本発明に係るX線診断装置は、主制御部12として機能するコンピュータを含んで構成されている。主制御部12のメインCPU50は、X線診断装置の全体制御を実行する。このとき、メインCPU50は、制御プログラムや各種データをRAM等の主記憶装置51に展開することで、X線診断装置の各種制御を行う。
【0053】
撮影プロトコル記憶媒体52は、各種の撮影術式(撮影部位や検査内容等)に応じた撮影プロトコルをあらかじめ記憶させておくための記憶媒体である。なお、撮影プロトコルとは、撮影術式に応じて事前に設定された管電流値、管電圧値、撮影時間等の設定値と画像処理プログラムとを含むデータである。
・・・
【0060】
ユーザは、ディスプレイ10に表示された画面にしたがって操作部11を操作することにより、管電流値、管電圧値、撮影時間や透視時間(X線曝射時間)等の撮影条件や透視条件の設定入力、電源のオン/オフの切り換え、後述のメンテナンス実施の有無の選択入力などを行う。
【0061】
ここで、撮影条件や透視条件の設定入力操作については、撮影プロトコル記憶媒体52に記憶された各種の撮影プロトコルのうちから所望のものを選択指定することによって行うことも可能である。」

(3)対比・判断

ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「被検体P」、「Cアーム13」、「X線管15」、「X線検出器17」及び「X線診断装置1」は、それぞれ、本件補正発明の「被検体」、「支持部材」、「X線管」、「X線検出部」及び「X線診断装置」に相当するところ、引用発明の「Cアーム13は、X線管15とX線検出器17とを互いに向き合わせて搭載し」、「被検体Pが載置される天板19がX線管15とX線検出器17との間に移動され」る「X線診断装置1」は、本件補正発明の「被検体を挟んで対向配置されるよう支持部材に支持されたX線管およびX線検出部を備えたX線診断装置」に相当する。

(イ)引用発明の「絞り機構27」は、本件補正発明の「X線照射野絞り」に相当するところ、引用発明の「X線管15のX線照射口に」「取り付けられ」、「X線を遮蔽する物質から構成された絞り羽根を移動可能に支持し、絞り羽根の位置が調整されることで、撮像視野(field of view:以下、FOVと呼ぶことにする)のサイズや形状が変化され」る「絞り機構27」は、本件補正発明の「前記X線管から放射されるX線の照射範囲を調整するX線照射野絞り」に相当する。

(ウ)
a 引用発明の「傾斜機構31」は、本件補正発明の「管球保持部」に相当するところ、引用発明の「X線管15を傾斜可能に支持し、」「Cアーム13に取り付けられた傾斜機構31」は、本件補正発明の「前記支持部材に対する前記X線管の角度を変更可能に前記支持部材に対して前記X線管を保持」する「管球保持部」に相当する。

b また、引用発明は、「X線検出器17は、FPD171とMA173とを有」することから、引用発明の「FPD171の検出面」/「MA173の検出面」、及び「回転軸A3」は、それぞれ、本件補正発明の「X線検出部の検出面」、及び「X線管の管軸」に相当するところ、引用発明の「FPD171使用時において」は、「回転軸A3がFPD171の検出面中心P2と焦点P1とを結ぶ軸A4に略直交するようにX線管15を支持し」、「MA173使用時において」は、「回転軸A3がMA173の検出面中心P3と焦点P1とを結ぶ軸A5に対して傾斜するようにX線管15を支持」する「傾斜機構31」は、本件補正発明の「前記X線検出部の検出面に対する前記X線管の管軸の角度を、」「変更する管球保持部」に相当する。

c してみると、引用発明の「X線管15を傾斜可能に支持し、」「Cアーム13に取り付けられ」、「FPD171使用時において」は、「回転軸A3がFPD171の検出面中心P2と焦点P1とを結ぶ軸A4に略直交するようにX線管15を支持し」、「MA173使用時において」は、「回転軸A3がMA173の検出面中心P3と焦点P1とを結ぶ軸A5に対して傾斜するようにX線管15を支持」する「傾斜機構31」と、本件補正発明の「前記支持部材に対する前記X線管の角度を変更可能に前記支持部材に対して前記X線管を保持し、前記X線検出部の検出面に対する前記X線管の管軸の角度を、撮影術式ごとの撮影条件と透視条件とを含む撮影プロトコルに応じて変更する管球保持部」とは、「前記支持部材に対する前記X線管の角度を変更可能に前記支持部材に対して前記X線管を保持し、前記X線検出部の検出面に対する前記X線管の管軸の角度を、変更する管球保持部」の点で共通する。

(エ)
a 上記(引4-イ)の【0036】「X線管15の傾斜により実効焦点サイズを変更することで、MA173使用時におけるX線量を確保しつつ、実効焦点のサイズを小さくできる。・・・この結果、X線量を確保するために、実効焦点のサイズを大きくする必要がないため、従来にしてMA173に由来する第2画像の鮮鋭度が向上する。従ってMA173の特性を有効活用しながら、微細な部分を精度良く抽出することができる。」、及び上記(引4-ウ)の【0051】「実効焦点のサイズを変化させることができるので、・・・X線画像の空間分解能を向上させることができる」という記載に鑑みると、引用発明の「使用するX線検出器がFPD171からMA173へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが小さくなるようにX線管15を傾かせ」ることが、X線画像の空間分解能(鮮鋭度)を向上させていることは明らかである。

b また、引用発明では、「MA173使用時における絞り羽根271の配置は、FOVがMA173の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定され」、「FPD171は、MA173に比して大きい画素サイズを有する」ことから、引用発明において、「MA173使用時」は、「FPD171使用時」と比べて、「FOV」が狭く「設定される」ことは明らかである。

c してみると、引用発明の「使用するX線検出器がFPD171からMA173へ切替えられる場合」は、本件補正発明の「分解能を向上させて照射野を狭くする場合」に相当する。

d よって、引用発明の「FOV」は、本件補正発明の「照射野」に相当するところ、引用発明の「使用するX線検出器がFPD171からMA173へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが小さくなるようにX線管15を傾かせ」、「MA173使用時における絞り羽根271の配置は、FOVがMA173の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定され」、「FPD171は、MA173に比して大きい画素サイズを有する」ことと、本件補正発明の「前記撮影プロトコルに応じて分解能を向上させて照射野を狭くする場合は、前記X線管の実効焦点が小さくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに当該管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更」することとは、「分解能を向上させて照射野を狭くする場合は、前記X線管の実効焦点が小さくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに当該管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更」する点で共通する。

(オ)
a 上記(エ)aの記載に鑑みると、引用発明の「使用するX線検出器がMA173からFPD51へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが大きくなるようにX線管15を傾かせ」ることが、X線画像の空間分解能(鮮鋭度)を低下させていることは明らかである。

b 引用発明では、「FPD171使用時における絞り羽根271の配置は、FOVがFPD171の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定され」、「FPD171は、MA173に比して大きい画素サイズを有するX線検出器であ」ることから、引用発明において、「FPD171使用時」は、「MA173使用時」と比べて、「FOV」が広く「設定される」ことは明らかである。

c してみると、引用発明の「使用するX線検出器がMA173からFPD51へ切替えられる場合」は、本件補正発明の「分解能を低下させて照射野を広げる場合」に相当する。

d よって、引用発明の「使用するX線検出器がMA173からFPD171へ切替えられる場合、実効焦点のサイズが大きくなるようにX線管15を傾かせ」、「FPD171使用時における絞り羽根271の配置は、FOVがFPD171の検出面の形状とサイズとに略一致するように設定され」、「FPD171は、MA173に比して大きい画素サイズを有する」ことと、本件補正発明の「前記撮影プロトコルに応じて分解能を低下させて照射野を広げる場合は、前記X線管の実効焦点が大きくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに前記管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更する」こととは、「分解能を低下させて照射野を広げる場合は、前記X線管の実効焦点が大きくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに前記管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更する」点で共通する。

イ 一致点・相違点
以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。

(一致点)
「被検体を挟んで対向配置されるよう支持部材に支持されたX線管およびX線検出部を備えたX線診断装置であって、
前記X線管から放射されるX線の照射範囲を調整するX線照射野絞りと、
前記支持部材に対する前記X線管の角度を変更可能に前記支持部材に対して前記X線管を保持し、前記X線検出部の検出面に対する前記X線管の管軸の角度を、変更する管球保持部と、
を備え、
分解能を向上させて照射野を狭くする場合は、前記X線管の実効焦点が小さくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに当該管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更し、分解能を低下させて照射野を広げる場合は、前記X線管の実効焦点が大きくなるよう前記X線管の管軸の角度を変更するとともに前記管軸の変更後の角度に応じたサイズの照射野になるよう前記X線照射野絞りの開口のサイズを変更する、
X線診断装置。」

(相違点)
X線管の管軸の角度、及びX線照射野絞りの開口のサイズの変更が、本件補正発明では、「撮影術式ごとの撮影条件と透視条件とを含む撮影プロトコルに応じて」されるに対し、引用発明では、「FPD171からMA173へ切替えられる場合」及び「MA173からFPD171へ切替えられる場合」にされる点。

ウ 判断
上記相違点について検討する。

引用発明において、「FPD171からMA173へ」及び「MA173からFPD171へ」の「切替え」は、「FPD171は、通常のX線撮影・透視において使用され、MA173は、例えば、穿通枝や非対称ステント等の微細な部分(200μm以下)を観察するために使用され」、ここで、「FPD171」は、通常使用される平面検出器であり、「MA173」はマイクロアンギオ検出器(引4-アを参照。)、すなわち、微細箇所の血管造影に使用される検出器であるから、「FPD171」と「MA173」は、撮影部位や検査内容などの「撮影術式」に応じて選択されることになる。
そして、X線診断装置において、撮影術式ごとに、撮影条件と透視条件とを含む撮影プロトコルが設定されることは、例えば、引用文献5(上記(2)イを参照。)及び引用文献6(上記(2)ウを参照。)に記載されているように周知技術である。
そうすると、引用発明において、X線管の管軸の角度、及びX線照射野絞りの開口のサイズの変更が、撮影部位や検査内容などの「撮影術式」に応じてされる「FPD171からMA173へ」及び「MA173からFPD171へ」の「切替え」を契機とすることから、上記周知技術に鑑み、「撮影術式ごとの撮影条件と透視条件とを含む撮影プロトコルに応じて」される「FPD171からMA173へ」及び「MA173からFPD171へ」の「切替え」を契機とし、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用文献4?6に記載された事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明
平成30年2月7日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?5に係る発明は、平成28年10月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2」の「1(2)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の要旨は次のとおりである。
本願の請求項1?5に係る発明は、引用文献4(特開2011-104353号公報)に記載された発明、並びに、引用文献5(特開2005-253801号公報)及び引用文献6(特開2007-82650号公報)に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 引用文献等
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4ないし6及びその記載事項は、上記「第2」の「2(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から「撮影プロトコルに応じて変更する」対象として、「X線照射野絞りの開口のサイズ」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明は、上記「第2」の「2(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-27 
結審通知日 2018-10-02 
審決日 2018-10-15 
出願番号 特願2012-231929(P2012-231929)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 俊文  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 信田 昌男
▲高▼見 重雄
発明の名称 X線診断装置  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  
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