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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47L
管理番号 1347163
審判番号 不服2017-4812  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-05 
確定日 2018-12-18 
事件の表示 特願2015- 22968号「真空掃除機のためのツール」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月24日出願公開、特開2015-150431号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年2月9日(パリ条約による優先権主張2014年2月10日、(GB)英国)の出願であって、その経緯は、概ね次のとおりである。

平成28年1月18日付けで拒絶理由の通知
平成28年6月23日に意見書の提出
平成28年11月28日付けで拒絶査定
平成29年4月5日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正書の提出
平成29年6月21日に上申書の提出
平成29年8月30日に上申書の提出
平成30年3月6日付けで当審による拒絶理由の通知
平成30年6月11日に意見書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成29年4月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「真空掃除機のためのツールであって、ノズルと、前記真空掃除機のワンド、ホース、又はこれらに類する物に取り付けるためのダクトとを備えている、前記ツールにおいて、
1つ以上の吸引開口部が、前記ノズルの底面に形成されており、
前記ノズルの前方部分が、平坦な面取り部分とさらなる部分とを備えており、
所定の吸引開口部が、前記さらなる部分に形成されており、
前記面取り部分が、閉じられており、
前記面取り部分と前記さらなる部分とが成す内角が、90°より大きく、且つ、180°より小さいことを特徴とするツール。」

第3 拒絶理由の概要
当審において、平成30年3月6日付けで本願発明に関して通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された次の刊行物に記載された発明に基いて、本願の優先日前に本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[刊行物]
1 実願昭63-139533号(実開平2-59754号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)
2 特開2010-166995号公報(以下、「刊行物2」という。)

第4 引用刊行物
1 刊行物1
(1)刊行物1の記載事項
刊行物1には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「2.横幅が極めて薄い略長方形の筒状であって、先端が細く、両側面に多数の穴(5)あいており、両端からの中間点に接続部(7.8)を設けてあり、他方の端が湾曲しながら円筒状に変形し、接続部(7)を設けてある隙間用ノズル(C)及び請求項1記載の伸長用パイプ(B)とからなる電気掃除機の隙間用付属品」(明細書1頁16行ないし2頁2行)

イ 「[産業上の利用分野]
本考案は、家庭における高所、隙間などの特殊箇所の掃除に使用する電気掃除機の高所及び隙間用付属品に関するものである。
[従来の技術]
従来、当該付属品は、床板、畳、カーペット等の床面用のものが主力であり、床面以外の高所、隙間などの特殊箇所用のものとしては、一応、吸込口に刷毛を付けた吸込具、やや厚みのある長い筒状の隙間用ノズルなどがあるが、あらゆる箇所に、しかも使い易い便利なものは、見当たらない。
[考案が解決しようとする課題]
部屋の中を電気掃除機で掃除するとき、箪笥棚、なげしなどの上部の高所の場合には台に乗り、家具と壁との隙間の床・両側面の場合には家具を動かすなど、それぞれ手間がかかる例が多く不便である。
また、障子の桟を掃除するときは、障子紙が破れないように手加減するとか、家具などの上部を掃除するときも、後の壁が傷付かないに操作に注意を払うなど面倒である。
さらに、鴨居、窓などの溝の隙間を掃除するための付属品は、見当たらない。
従って、このような課題を解決する適当な付属品を提供したい。」(明細書2頁4行ないし3頁9行)

ウ 「また、隙間用付属品は、横幅が極めて薄い略長方形の筒状であって、先端が細く、両側面に多数の穴があいており、両端からの中間点に接続部を設けてあり、他方の端が湾曲しながら円筒状に変形し、接続部を設けてある隙間ノズルを伸長用パイプに差込んだものである。
なお、高所の隙間用としては、市販のコーナー用ノズルを伸長用ノズルに差込んだものもが使いよい。」(明細書4頁2ないし10行)

エ 「[作用]
吸込具又は隙間用ノズルの接続部を伸長用パイプの接続部に差込み、これをを電気掃除機のパイプに接続して使用する。
なお、掃除する箇所の状態では、吸込具又は隙間用ノズルを電気掃除機のパイプに直結して使用してもよい。」(明細書4頁11ないし17行)

オ 「第6図?第11図において、隙間用ノズルCは、横幅5mm程度、縦幅5cm程度の略長方形の筒状であって、肉厚1mm程度、長さ約lmの長尺物であり、先端の縦幅を2cm程度に細くして、しかも先端から約30cmの間の両側面に直径3mm程度の小穴5を多数あけてある。
また、他方の端は、伸長用パイプBが差込めるように湾曲しながら円筒状に変形し、接続部8を設けてある。
さらに、隙間用ノズルCを家具等の左右いずれの側よりも差込めるようにするため、両端のほぼ中間地点に、先端部の下向きの吸込み口を上向きにできる接続部7.8を設けてある。
なお、材質は、折れ難いようにするために、塩化ビニール樹脂のやや軟質のようなものが適し、規格及び接続方式は、吸込具Aと同様とする。」(6頁2ないし18行)

カ 「請求項2においては、隙間用ノズルの横幅が極めて薄く、しかも長尺物なので、ほとんどの隙間に奥まで突っ込み、楽に掃除ができる。
また、隙間用ノズルには、側面に多数の小穴があるので、隙間の両側にある壁、家具の裏板などに付着した埃も吸取ることができるので、従来のように家具などを動かして掃除をする必要がなくなる。
さらに、隙間用ノズルに接続の伸長用パイプも略鉤型になっているので、狭い箇所でも容易に、しかも壁などに傷をつける心配もなく、楽に隙間へ差込める。。
なお、市販のコーナー用ノズルを伸長用パイプに接続すれば、鴨居、窓など高所の溝の隙間を下から楽に掃除することができる。」(明細書7頁19行ないし8頁13行)

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)アないしカ及び第6ないし11図の記載によれば、刊行物1には、電気掃除機のための隙間用ノズルCが記載されていることが分かる。

イ 上記(1)エないしカ及び第6ないし11図の記載によれば、隙間用ノズルCは、横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分と、前記電気掃除機の伸長用パイプB又はパイプに取り付けるための接続部7とを備えていることが分かる。
ここで、接続部7が電気掃除機の伸長用パイプB又は電気掃除機のパイプに取り付けるためのものであることは、上記(1)エの記載から分かる。

ウ 上記(1)ア、ウ、オ及びカ並びに第6及び9図の記載によれば、隙間用ノズルCにおいて、多数の小穴5が、横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の両側面に形成されていることが分かる。

エ 上記(1)オ及び第6ないし9図の記載によれば、隙間用ノズルCにおいて、横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の先端が、平坦な部分を有する長い面の部分と短い面の部分とを備えていることが分かる。

オ 上記(1)オ及び第6ないし9図(特に、第9図)の記載によれば、隙間用ノズルCにおいて、吸込み口が、横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の先端における、短い面の部分及び長い面の部分の所定の部分に亘って形成されていることが分かる。

カ 上記(1)オ及び第6ないし9図(特に、第9図)の記載によれば、隙間用ノズルCにおいて、横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の先端における長い面の部分が、平坦な部分で閉じられていることが分かる。

キ 上記(1)オ及び第6ないし9図(特に、第6及び9図)の記載によれば、隙間用ノズルCにおいて、横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の先端における長い面の部分と短い面の部分とが成す内角が、90°より大きく、且つ、180°より小さいことが分かる

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合して、本願発明の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「電気掃除機のための隙間用ノズルCであって、横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分と、前記電気掃除機の伸長用パイプB又はパイプに取り付けるための接続部7とを備えている、前記隙間用ノズルCにおいて、
多数の小穴5が、前記横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の両側面に形成されており、
前記横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の先端が、平坦な部分を有する長い面の部分と短い面の部分とを備えており、
吸込み口が、前記短い面の部分及び前記長い面の部分の所定の部分に亘って形成されており、
前記長い面の部分が、前記平坦な部分で閉じられており、
前記長い面の部分と前記短い面の部分とが成す内角が、90°より大きく、且つ、180°より小さい隙間用ノズルC。」

2 刊行物2
(1)刊行物2の記載事項
刊行物2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気掃除機用吸込み具の斜視図(吸込み口蓋を左側に移動させたとき)、図2は、同電気掃除機用吸込み具の斜視図(吸込み口蓋を右側に移動させたとき)である。
【0015】
図1、図2に示されるように、本実施の形態における電気掃除機用吸込み具1(以下「吸込み具1」という)は、その一端に、ごみを吸引するための吸込み口2を形成し、他端側に吸込み口2と連通する接続口3を形成している。接続口3の外側には、電気掃除機本体(図示せず)に接続するホース(図示せず)の先端側(図示せず)に取り付ける接続部4を形成している。
【0016】
前記接続部4と接続口3との間には隙間を設け、吸込み口2とは別の補助吸込み口5を形成している。6は、吸込み口蓋であり、吸込み口2に摺動自在に取り付けられており、吸込み口蓋6が、矢印左側方向に移動させたときは、図1に示すように、吸込み口2の開口面積は狭くなり、逆に、矢印右側方向に移動させたときは、図2に示すように、吸込み口2の開口面積が広くなるようになっている。
【0017】
以下、本実施の形態における吸込み具1の動作、作用を説明する。
【0018】
吸込み口2の開口面積を、摺動自在の吸込み口蓋6で変えられるように構成しているので、質量の重いごみが多い時は、吸込み口蓋6を左側に移動させて開口面積を狭く調整すると、吸込み口2から吸込む風速が早くなり、小石などの重いごみも吸込むことが出来る。また軽いごみが多い時は、吸込み口蓋6を右に移動させ吸込み口2の開口面積を広く調整すると広い吸込み口2から効率良くゴミを吸込めるなど、その時のゴミに合わせ効率よくゴミを吸込むことができる。
【0019】
このように、本実施の形態における吸込み具1は非常に使い勝手が良いものである。またその先端の吸込み口2が被掃除面や塵埃などでふさがれてしまっても、補助吸込み口5から空気が取り入れられることによって、電気掃除機本体が密閉状態になるのを防いで、電気掃除機本体内の電動送風機にかかる負荷を低減することができるとともに、被掃除面に吸い付くことを防ぐこともできるので、使い勝手良く掃除ができる。」

(2)刊行物2記載の技術事項
上記(1)並びに図1及び2の記載によれば、刊行物2には、次の事項からなる技術が記載されていると認める。
「電気掃除機用吸込み具において、吸い込む風速を早くして重いごみを吸い込むことができるようにするため、吸込み口2を、開口面積が狭くなるように最先端側の部分のみが開口し、吸込み口蓋6が摺動する部分が閉じるようにした技術。」

ここで、「吸込み口2」について、「最先端側の部分のみが開口し、吸込み口蓋6が摺動する部分が閉じる」ことは、刊行物2の段落【0016】及び【0018】並びに図1の記載から読み取ることができる。
なお、請求人は、平成30年6月11日に提出された意見書において、「引用発明2では、面取り部分とさらなる部分(非面取り部分)に対応する表面に、吸込口2が形成されており、吸込口蓋6が、面取り部分に対応する表面に沿って移動するように設けられています。図1及び図2に表わされるように、吸込口蓋6は、面取り部分に対応する表面の一方の縁部から他方の縁部に至るまで移動可能とされます。しかしながら、吸込口蓋6は、その移動方向において、面取り部分に対応する表面より短いので、吸込口蓋6が図1に表わされる位置に位置する場合であっても、図1に表わされる位置の反対の位置に位置する場合であっても、面取り部分は部分的に開口しています。そうしますと、引用発明2でも、面取り部分は閉じられていません。すなわち、面取り部分は少なくとも“部分的に開口”されています。」(3頁5ないし13行)と主張する。
しかしながら、刊行物2には、吸い込む風速を早くして重いごみを吸い込むことができるようにするため、吸込み口蓋6を左側に摺動させることにより、吸込み口2を、開口面積が狭くなるようにすることが記載されている(段落【0018】)ことを考慮すると、刊行物2の図1に示された、吸込み口蓋6が摺動する部分(本願発明の「面取り部分」に相当。)において、吸込み口蓋6が覆っていない部分が開口(部分的に開口)していないことは明らかであるから、上記請求人の主張は採用できない。

第5 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「電気掃除機」は、前者における「真空掃除機」に相当し、以下同様に、「隙間用ノズルC」は「ツール」に、「横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分」は「ノズル」に、「電気掃除機の伸長用パイプB又はパイプ」は「ワンド、ホース、又はこれらに類する物」に、「接続部7」は「ダクト」に、「多数の小穴5」は「1つ以上の吸引開口部」に、「横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の先端」は「ノズルの前方部分」に、「長い面の部分」は「面取り部分」に、「短い面の部分」は「さらなる部分」に、「吸込み口」は「所定の吸引開口部」に、それぞれ相当する。

・前者において、本願明細書における「清掃面30を端から端に亘ってスイープすることに加えて、ツール1は、90度回転させることによって、狭い空間を清掃するために横倒しにして利用することができる。」(段落【0036】)という記載によれば、「ノズルの底面」は、ノズルの一使用形態に於いて下向きの底面となる面を意味するものと解することができる。
一方、後者における「横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の両側面」は、上記第4(1)イの記載を参酌すると、家具と床との隙間等、隙間ノズルCの使用形態によっては、両側面の一方が下向きの面にされることから、前者における「ノズルの底面」に相当する。

・後者における「平坦な部分を有する長い面の部分」と、前者における「平坦な面取り部分」とは、「少なくとも平坦な部分を有する面取り部分」という限りにおいて一致する。

・後者における「吸込み口が、前記短い面の部分及び前記長い面の部分の所定の部分に亘って形成されており」と、前者における「所定の吸引開口部が、前記さらなる部分に形成されており」とは、「所定の吸引開口部が、少なくともさらなる部分に形成されており」という限りにおいて一致する。

・後者における「前記長い面の部分が、前記平坦な部分で閉じられており」と、「前記面取り部分が、閉じられており」とは、「面取り部分が、少なくとも平坦な部分で閉じられており」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「真空掃除機のためのツールであって、ノズルと、前記真空掃除機のワンド、ホース、又はこれらに類する物に取り付けるためのダクトとを備えている、前記ツールにおいて、
1つ以上の吸引開口部が、前記ノズルの底面に形成されており、
前記ノズルの前方部分が、少なくとも平坦な部分を有する面取り部分とさらなる部分とを備えており、
所定の吸引開口部が、少なくとも前記さらなる部分に形成されており、
前記面取り部分が、少なくとも前記平坦な部分で閉じられており、
前記面取り部分と前記さらなる部分とが成す内角が、90°より大きく、且つ、180°より小さいことを特徴とするツール。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願発明においては、「ノズルの前方部分が、平坦な面取り部分とさらなる部分とを備えており、所定の吸引開口部が、前記さらなる部分に形成されており、前記面取り部分が、閉じられて」いるのに対して、引用発明においては、「横幅が極めて薄い略長方形の筒状の部分の先端が、平坦な部分を有する長い面の部分と短い面の部分とを備えており、吸込み口が、前記短い面の部分及び前記長い面の部分の所定の部分に亘って形成されており、前記長い面の部分が、前記平坦な部分で閉じられて」いる点(以下、「相違点」という。)。

第6 判断
1 相違点について
上記相違点について検討する。
引用発明は、吸込み口(本願発明の「所定の吸引開口部」に相当。以下、括弧内同様。)が、短い面の部分(さらなる部分)及び長い面の部分(面取り部分)の所定の部分に亘って形成されているところ、真空掃除機に用いられるノズルにおいて、吸込み口の大きさや形状を、吸い込むごみの種類、ノズルの使用形態、真空掃除機の吸引量等に応じて設計することは、本願の優先日前に技術常識といえるとともに、ノズルの最先端側の部分のみが開口した態様も、刊行物2に開示されていることを参酌すれば、引用発明において、吸込み口(所定の吸引開口部)が、短い面の部分(さらなる部分)に形成されて、長い面の部分(面取り部分)が、閉じられるものとし、それに伴い、長い面の部分(面取り部分)の全体を平坦なものとすること、すなわち、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 効果について
本願発明において、所定の吸引開口部が、さらなる部分に形成されて、面取り部分が、閉じられたものとすることについては、本願明細書の段落【0034】において、所定の吸引開口部をさらなる部分に設けた場合は、比較的良好な空気の流れが縁部に沿って所定の吸引開口部の内部に引き込まれ、塵埃収集性能が良好になり、所定の吸引開口部を面取り部分に設けた場合は、壁が塵埃を収集し引き込むように作用する所定の吸引開口部を通じた空気の流れを阻害するように作用し、縁部に沿った塵埃の収集が悪化する旨の記載がされているものの、引用発明においても吸込み口(所定の吸引開口部)を短い面の部分(さらなる部分)に設けているのであるから、本願発明と同様に塵埃収集性能が良好であると認められる。よって、本願発明が、引用発明に対して格別有利な効果を奏するとは認めることができない。
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び刊行物2記載の事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

3 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第7 むすび
上記第6のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-07-18 
結審通知日 2018-07-23 
審決日 2018-08-03 
出願番号 特願2015-22968(P2015-22968)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 井上 哲男
槙原 進
発明の名称 真空掃除機のためのツール  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  

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