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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1347220
審判番号 不服2018-5519  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-20 
確定日 2019-01-15 
事件の表示 特願2013-220715「体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成26年6月5日出願公開、特開2014-101356、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月24日(優先権主張 平成24年10月24日)を出願日とする特許出願であって、平成29年5月2日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月4日付けで手続補正書及び意見書が提出され、平成30年1月15日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年4月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。

(1) 特許法第36条第6項第1号について
本願請求項1?11に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。

(2) 特許法第29条第1項第3号及び同条第2項について
請求項1?11に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、引用文献1に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3) 特許法第29条第1項第3号及び同条第2項について
請求項1、2、4?8及び10?11に係る発明は、以下の引用文献2、3又は4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、引用文献2、3又は4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4) 特許法第29条第2項について
請求項3及び7に係る発明は、引用文献2、3又は4と、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2009-67734号公報
2.特開2005-15359号公報
3.特開2006-183030号公報
4.特開平10-183193号公報
5.特開2011-88844号公報(技術常識を示す文献)


第3 本願発明
本願の請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」ということがあり、これらをまとめて単に「本願発明」ということがある。)は、平成30年4月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
(A)ポリクオタニウム-10、並びに(B)塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分を含有する、加齢臭除去用の皮膚洗浄用組成物。
【請求項2】
ノネナールの除去のために用いられる、請求項1に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項3】
更に、(C)ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-22、及びポリクオタニウム-39からなる群より選ばれるカチオン性ポリマーを含有する、請求項1又は2に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項4】
更に、高級脂肪酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N-アシルタウリン塩、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤、及びアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1?3のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項5】
(C)成分の含有量が、組成物の全体に対して、0.005?5重量%である、請求項3に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項6】
(A)ポリクオタニウム-10と(B)塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分とを併用して、加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄することを特徴とする、加齢臭除去方法。
【請求項7】
(A)ポリクオタニウム-10、並びに(B)塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分を含有する、加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための皮膚洗浄用組成物。
【請求項8】
ノネナールの除去のために用いられる、請求項7に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項9】
更に、(C)ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-22、及びポリクオタニウム-39からなる群より選ばれるカチオン性ポリマーを含有する、請求項7又は8に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項10】
更に、高級脂肪酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N-アシルタウリン塩、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤、及びアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項7?9のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項11】
(C)成分の含有量が、組成物の全体に対して、0.005?5重量%である、請求項9に記載の皮膚洗浄用組成物。」


第4 引用文献、引用発明等
1. 引用文献1について
(1) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。

・記載事項1-1
「【0002】
従来、皮膚や毛髪を洗浄する目的で、界面活性剤を洗浄基剤とする様々な洗浄剤組成物が提案されている。」

・記載事項1-2
「【0030】
実施例17 ヘアシャンプー
(質量%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.0
ラウリル硫酸アンモニウム 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
POEセチルエーテル 1.0
(商品名:N-BC-15TX[日本サーファクタント社製])
セルロース誘導体 0.2
(商品名:カチナールHC-200[東邦化学工業社製])
セルロース誘導体 0.2
(商品名:レオガードGP[ライオン社製])
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール ・・・(B) 0.2
安息香酸ナトリウム 0.4
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.0
(商品名:マーコート550[カルゴン社製])
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ニンジンエキス 0.1
(商品名:ニンジン抽出液BG[丸善製薬社製])
オウバクエキス 0.1
(商品名:オウバクリキッドB [一丸ファルコス社製])
オリーブ油 ・・・(C) 0.1
アボカド油 ・・・(C) 0.05
ジメチコノール水性エマルジョン ・・・(A) 1.0
(1,000,000mm^(2)/s;25℃ シリコーン純分70%)
香料 適 量
精製水 残 余
*成分配合比(質量比)
(A):((B)+(C))=1:0.5
(B):(C)=1:0.75
【0031】
常法により上記組成のヘアシャンプーを調整(pH6.0/25℃)し、滑らかさ、泡のクリーミーさ、潤い感、べたつきのなさ等の仕上がり具合を評価したところ、いずれの特性も優れており、良好な結果を得た。」

・記載事項1-3
「【0032】
実施例18 ヘアシャンプー
(質量%)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.0
ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム液 3.0
ジプロピレングリコール 4.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 1.5
セルロース誘導体 0.3
(商品名:カチナールHC-200[東邦化学工業社製])
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール ・・・(B) 0.1
安息香酸ナトリウム 0.4
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.0
(商品名:マーコート550[オンデオ ナルコ社製])
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ハチミツ 0.1
加水分解コンキオリン 0.1
(商品名:真珠たん白抽出液BG-J[丸善製薬社製])
ムラサキセンブリエキス 0.1
(商品名:ムラサキセンブリ抽出液[丸善製薬社製])
オリーブ油 ・・・(C) 0.1
ジメチコノール水性エマルジョン ・・・(A) 1.0
(1,000,000mm^(2)/s;25℃:
200mm^(2)/s;25℃=7:3 シリコーン純分70%)
ジメチコン水性エマルジョン 0.5
(商品名:BY22-083[東レ・ダヴコーニング・シリコーン社製])
香料 適 量
精製水 残 余
*成分配合比(質量比)
(A):((B)+(C))=1:0.3
(B):(C)=1:1
【0033】
常法により上記組成のヘアシャンプーを調整(pH6.0/25℃)し、滑らかさ、泡のクリーミーさ、潤い感、べたつきのなさ等の仕上がり具合を評価したところ、いずれの特性も優れており、良好な結果を得た。」

(2) 引用文献1に記載された発明
・記載事項1-2から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。
「以下の組成及び成分配合比を有するヘアシャンプー。
(質量%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.0
ラウリル硫酸アンモニウム 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
POEセチルエーテル 1.0
(商品名:N-BC-15TX[日本サーファクタント社製])
セルロース誘導体 0.2
(商品名:カチナールHC-200[東邦化学工業社製])
セルロース誘導体 0.2
(商品名:レオガードGP[ライオン社製])
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール ・・・(B) 0.2
安息香酸ナトリウム 0.4
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.0
(商品名:マーコート550[カルゴン社製])
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ニンジンエキス 0.1
(商品名:ニンジン抽出液BG[丸善製薬社製])
オウバクエキス 0.1
(商品名:オウバクリキッドB [一丸ファルコス社製])
オリーブ油 ・・・(C) 0.1
アボカド油 ・・・(C) 0.05
ジメチコノール水性エマルジョン ・・・(A) 1.0
(1,000,000mm^(2)/s;25℃ シリコーン純分70%)
香料 適 量
精製水 残 余
*成分配合比(質量比)
(A):((B)+(C))=1:0.5
(B):(C)=1:0.75」

・記載事項1-3から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。
「以下の組成及び成分配合比を有するヘアシャンプー。
(質量%)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.0
ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム液 3.0
ジプロピレングリコール 4.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 1.5
セルロース誘導体 0.3
(商品名:カチナールHC-200[東邦化学工業社製])
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール ・・・(B) 0.1
安息香酸ナトリウム 0.4
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.0
(商品名:マーコート550[オンデオ ナルコ社製])
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ハチミツ 0.1
加水分解コンキオリン 0.1
(商品名:真珠たん白抽出液BG-J[丸善製薬社製])
ムラサキセンブリエキス 0.1
(商品名:ムラサキセンブリ抽出液[丸善製薬社製])
オリーブ油 ・・・(C) 0.1
ジメチコノール水性エマルジョン ・・・(A) 1.0
(1,000,000mm^(2)/s;25℃:
200mm^(2)/s;25℃=7:3 シリコーン純分70%)
ジメチコン水性エマルジョン 0.5
(商品名:BY22-083[東レ・ダヴコーニング・シリコーン社製])
香料 適 量
精製水 残 余
*成分配合比(質量比)
(A):((B)+(C))=1:0.3
(B):(C)=1:1」

(なお、引用発明1-1と引用発明1-2をまとめて「引用発明1」ということがある。)

2. 引用文献2について
(1) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

・記載事項2-1
「【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、使用時における泡性能(起泡性、クリーミー性)が良好で、すすぎ時に嗜好性の高い感触(ぬめりのなさ、肌のなめらかさ、すべすべ感)を付与でき、さらに品質の劣化(色調、香り)を長期間防止できる皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。」

・記載事項2-2
「【0052】
下記組成に従って、実施例10?14の洗浄剤組成物を各製剤の常法に準じて調製した。これらについて、上記実施例と同様に評価したところ、いずれも効果が優れるものであった。
・・・
【0055】
[実施例12] クレンジングジェル組成物
ミリスチン酸トリエタノールアミン 6.0
N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンカリウム 2.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
(ホームリードCD、ライオン化学(株)製)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸Na 4.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1.0
(オバゾリンLB-SF、東邦化学工業(株)製)
POE(10)ベヘニルエーテル 3.0
(エマレックス BHA-10、日本エマルジョン(株)製)
ジメチルポリシロキサン 1.0
(SH200-30cs、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
イソノナン酸イソノニル 2.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
(メトローズHPMC 60SH4000、信越化学工業(株)製)
アクリル酸アルキル共重合体エマルション 0.2
(レオアールMS-200、ライオン化学(株)製)
ポリクオタニウム-10 1.0
(JR-400、ユニオンカーバイド社製)
プロピレングリコール 5.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ラポナイトXLG(日本シリカ工業(株)製) 0.3
ポリエチレン末(平均粒径100μm) 0.3
香料D 1.0
トリエタノールアミン pH8に調整量
精製水 バランス
合計(%) 100.0」

・記載事項2-3
「【0049】
【表4】



(2) 引用文献2に記載された発明
記載事項2-2から、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「以下の組成を有するクレンジングジェル組成物。
ミリスチン酸トリエタノールアミン 6.0
N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンカリウム 2.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
(ホームリードCD、ライオン化学(株)製)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸Na 4.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1.0
(オバゾリンLB-SF、東邦化学工業(株)製)
POE(10)ベヘニルエーテル 3.0
(エマレックス BHA-10、日本エマルジョン(株)製)
ジメチルポリシロキサン 1.0
(SH200-30cs、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
イソノナン酸イソノニル 2.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
(メトローズHPMC 60SH4000、信越化学工業(株)製)
アクリル酸アルキル共重合体エマルション 0.2
(レオアールMS-200、ライオン化学(株)製)
ポリクオタニウム-10 1.0
(JR-400、ユニオンカーバイド社製)
プロピレングリコール 5.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ラポナイトXLG(日本シリカ工業(株)製) 0.3
ポリエチレン末(平均粒径100μm) 0.3
香料D 1.0
トリエタノールアミン pH8に調整量
精製水 バランス
合計(%) 100.0」

3. 引用文献3について
(1) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。

・記載事項3-1
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、高級脂肪酸の良好な泡性能を維持しつつ、高温時の安定性、低温時の使用性、及び肌に対するマイルド性に優れたペースト状洗浄剤組成物を提供することを目的とする。」

・記載事項3-2
「【0031】
(実施例1?9及び比較例1?9)
下記表1?4に示す配合組成、並びに、実施例1?9及び比較例1?9の全てに共通のその他の成分として、下記のものを添加した。
・・・
そして、下記調製方法により、常法に準じて実施例1?9、及び、比較例1?9のペースト状洗浄剤組成物を調製した。調製した各ペースト状洗浄剤組成物について、以下のようにして泡性能、高温時の安定性、低温時の使用性、及び、肌に対するマイルド性を評価した。結果を表1、2に示した。なお、実施例及び比較例で使用される香料の原料は、特開2002-128658号の(0027)?(0045)に記載されているものを用いた。
・・・
【0035】
<肌に対するマイルド性の評価>
本発明における肌へマイルド性は、洗浄中の皮膚への刺激(ヒリヒリ感、ピリピリ感)や洗浄後の肌状態(ヒリヒリ感のなさ、ピリピリ感のなさ、ツッパリ感のなさ)を指標にして総合的に評価した。パネラー10名が各ペースト状洗浄剤組成物を皮膚(主として顔)に使用後、下記評価基準に基づいて肌へのマイルド性を評価し、平均値を求めた。」

・記載事項3-3
「【0040】
(実施例10)
-ペースト状デオドランド及び殺菌洗浄剤組成物-
以下に示す成分を、以下の配合組成により、上記調製方法により常法に準じて、ペースト状デオドランド及び殺菌洗浄剤組成物を調製した。
[成分及び配合組成]
・ラウリン酸カリウム 5.0%
・ラウリン酸 0.5%
・ミリスチン酸カリウム 9.0%
・ミリスチン酸 1.0%
・パルミチン酸カリウム 5.0%
・パルミチン酸 0.5%
・ステアリン酸カリウム 10.0%
・ステアリン酸 1.0%
・N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム 3.0%
・N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン 0.3%
・POE(11)ステアリルエーテル 3.0%
・1,3-ブチレングリコール 12.0%
・ヘキシレングリコール 4.0%
・POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2.5%
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 2.0%
(オバゾリンLB-SF、東邦化学工業製)
・エタノール 1.5%
・POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド 1.0%
(アミゼット2L-Y、川研ファインケミカル製)
・スチレン重合体エマルジョン液(35%) 1.0%
(サイビノールRPX-196PE-3、サイデン化学製)
・塩化ナトリウム 0.3%
・ベンゲルFW(豊順鉱業製) 0.2%
・メチルパラベン 0.2%
・トリクロサン 0.2%
・トリクロカルバン 0.1%
・イソプロピルメチルフェノール 0.1%
・ピロクトンオラミン 0.1%
(オクトピロックス、クラリアント・ジャパン製)
・カチオン化セルロース 0.1%
(レオガードGP、ライオン化学製)
・ポリアクリル酸 0.1%
(カーボポール9402、BFグッドリッチ製)
・プロピルパラベン 0.1%
・油溶性甘草エキス 0.1%
(油溶性甘草エキスP-T40N、丸善製薬製)
・ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1%
・香料 0.5%
・水酸化カリウム 適量(0.05?2.0%)
・黄色4号 適量(0.0001?0.001%)
・青色1号 適量(0.0001?0.001%)
・精製水 残部
合計 100.0%
・・・
【0043】
実施例10?12のペースト状洗浄剤組成物について、実施例1と同様にして、泡性能、高温時の安定性、低温時の使用性、及び肌に対するマイルド性の評価を行ったところ、いずれの例においても、泡性能に優れると共に、低温時の使用性にも優れ、更には肌に対するマイルド性にも優れていることが判った。」

(2) 引用文献3に記載された発明
記載事項3-3から、引用文献3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「以下の成分及び配合組成を有するペースト状デオドランド及び殺菌洗浄剤組成物。
・ラウリン酸カリウム 5.0%
・ラウリン酸 0.5%
・ミリスチン酸カリウム 9.0%
・ミリスチン酸 1.0%
・パルミチン酸カリウム 5.0%
・パルミチン酸 0.5%
・ステアリン酸カリウム 10.0%
・ステアリン酸 1.0%
・N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム 3.0%
・N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン 0.3%
・POE(11)ステアリルエーテル 3.0%
・1,3-ブチレングリコール 12.0%
・ヘキシレングリコール 4.0%
・POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2.5%
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 2.0%
(オバゾリンLB-SF、東邦化学工業製)
・エタノール 1.5%
・POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド 1.0%
(アミゼット2L-Y、川研ファインケミカル製)
・スチレン重合体エマルジョン液(35%) 1.0%
(サイビノールRPX-196PE-3、サイデン化学製)
・塩化ナトリウム 0.3%
・ベンゲルFW(豊順鉱業製) 0.2%
・メチルパラベン 0.2%
・トリクロサン 0.2%
・トリクロカルバン 0.1%
・イソプロピルメチルフェノール 0.1%
・ピロクトンオラミン 0.1%
(オクトピロックス、クラリアント・ジャパン製)
・カチオン化セルロース 0.1%
(レオガードGP、ライオン化学製)
・ポリアクリル酸 0.1%
(カーボポール9402、BFグッドリッチ製)
・プロピルパラベン 0.1%
・油溶性甘草エキス 0.1%
(油溶性甘草エキスP-T40N、丸善製薬製)
・ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1%
・香料 0.5%
・水酸化カリウム 適量(0.05?2.0%)
・黄色4号 適量(0.0001?0.001%)
・青色1号 適量(0.0001?0.001%)
・精製水 残部
合計 100.0%」

4. 引用文献4について
(1) 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。

・記載事項4-1
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、洗浄性、起泡性及び洗浄後の感触に優れ、洗浄後の肌のつっぱり感がなく、低刺激でしかもカチオン性殺菌剤を安定に配合でき、高い殺菌効果及び抗菌効果を得ることにより、痒み防止性、防臭効果をも付与できる皮膚用として好適な洗浄剤組成物を提供することにある。」

・記載事項4-2
「【0090】
【発明の効果】本発明の洗浄剤組成物は、洗浄力、起泡性及び洗浄後の感触に優れ、しかも低刺激性であり、またカチオン性殺菌剤を安定に配合することができ、高い殺菌・抗菌効果と広い殺菌抗菌スペクトルを発揮するため、身体に対して痒み防止性、防臭効果を付与できる。」

・記載事項4-3
「【0107】実施例7
以下に示す組成の手洗い用洗浄剤を常法により製造した。
【表2】
ヤシ油脂肪酸カリウム 16%
カチオン化セルロース(Polymer JR400) 0.3%
ラウリン酸ジエタノールアミド 3%
塩化ベンザルコニウム^(*1) 1%
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.6%
グリセリン 1%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.1%
水 バランス
計 100.0%
【0108】得られた洗浄剤は洗浄性能、起泡性に優れ、低刺激で、洗浄後の肌のかさつき感もなく、しかも殺菌効果を有するものであった。」

(2)引用文献4に記載された発明
記載事項4-1?記載事項4-3から、引用文献4には以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「以下の組成を有し、高い殺菌・抗菌効果を発揮するため身体に対して防臭効果を付与できる、手洗い用洗浄剤。
ヤシ油脂肪酸カリウム 16%
カチオン化セルロース(Polymer JR400) 0.3%
ラウリン酸ジエタノールアミド 3%
塩化ベンザルコニウム 1%
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.6%
グリセリン 1%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.1%
水 バランス
計 100.0%」

5. その他の引用文献について
(1) 原査定において技術常識を示す文献として引用された引用文献5には、以下の記載がある。

・記載事項5-1
「【背景技術】
【0002】
近年では、臭いに対する意識が高くなって、体臭、それもいわゆる中高年齢者特有のいわゆる加齢臭について敏感になってきている。日本では人口の高年齢化と少子化に伴って平均年齢も高くなっているので、加齢臭を発するような年齢者もまた多くなっていると言える。一方、加齢臭の発生年代傾向や加齢臭の発生物質の探索や発生メカニズムの研究もさかんに行われ、以下の非特許文献1によれば次のことが報告されている。
【0003】
加齢臭は60代以上の高齢者ほど臭いが顕著である傾向があること。中高年齢者は低年齢者に較べて皮脂中の過酸化脂質量が多く、皮膚上に分泌された皮脂中の脂肪酸の一種である9-ヘキサデセン酸が、皮膚常在菌(微生物)の働きにより皮膚表面で低年齢者に較べて比較的速やかに酸化分解されて不飽和アルデヒドの一種であるノネナール(C9H16O)が生成されること。このノネナールが加齢臭の原因物質とされていること。
【0004】
ところで、一般的に悪臭と言われるアンモニアや低級脂肪酸は、水溶性のために水で容易に洗浄可能で、一方、硫化水素やメチルメルカプタンは常温で気体であるから揮散しやすいといったように、消臭そのものができなくとも低減させるには都合のよい性質を有している。
【0005】
ノネナールは、上記のいずれとも異なり、水に溶けないので水での洗浄も困難で、しかも高沸点で蒸気圧も低いので自然に揮散させるには長時間を要するという性質を有する。このことから、ノネナールは、日頃、風呂に入ったり、衣類を洗濯する程度ではなかなか除去できず、よって消臭できず、しだいに蓄積する点も非常に厄介である。
【0006】
加齢臭の要因がノネナールであることが明らかになるに伴ってその対策もいくつか提案されている。原理としてはおおまかに2つあり、1つは、例えば・・・ヒトの皮膚上に分泌された脂肪酸から、微生物の作用によってノネナールが生成されることに着目し、該微生物を抑制してノネナールの生成を抑制するという対策。
【0007】
もう1つは、例えば・・・生成されたノネナールを化学反応によって別の無臭物質に変化させるという対策で、ぶどう種子もしくは柿渋から得られる縮合型タンニン(以下、タンニンと記す)を用いる点を特徴としている。なお、・・・、ノネナールについてではないが本願で主題とする食用の実や種子の抽出物を用いる点について開示されている。」

・記載事項5-2
「【0015】
本発明は、上記問題点を解決すべく、ノネナールが非水溶性で、油ないし有機溶媒にのみ溶ける脂溶性である点に着目して研究した結果、食用植物油を主原料とすることでノネナールの消臭に効果的であることを見出した。
【0016】
本発明は、次の効果を有する。すなわち、ノネナールは上記のとおり脂溶性である点に着目して研究すると、ノネナールと脂質である食用植物油とを反応させることで、親和性の高い脂質と該ノネナールとが結合して無臭の別物質が生成されることと、該油脂分が多いほど積極的に結合して消臭可能であることを知見した。」


第5 対比・判断
<1> 本願発明と引用発明1との対比・判断
1. 本願発明1について
(1) 引用発明1との対比
引用発明1-1及び1-2における「セルロース誘導体(商品名:カチナールHC-200[東邦化学工業社製])」は、本願明細書【0017】に「ポリクオタニウム-10は、合成によって入手してもよく、また市販品を用いても良い。このような市販品としては、例えば、・・・カチナールHC-200(東邦化学工業)、・・・等を挙げることができる。」と記載されていることからみて、本願発明1における「ポリクオタニウム-10」に相当する。
引用発明1-1における「セルロース誘導体(商品名:レオガードGP[ライオン社製])」は、本願明細書【0017】に「・・・ポリクオタニウム-10を含有する市販の混合原料を使用してもよく、このような混合原料としては、例えば、・・・レオガードGP(ライオン)、・・・等を挙げることができる。」と記載されていることからみて、本願発明1における「ポリクオタニウム-10」を含有する混合原料であると認められる。
引用発明1-1及び1-2における「イソプロピルメチルフェノール」は、本願明細書【0022】に「抗菌成分とは、殺菌又は静菌作用を発揮して、雑菌(グラム陽性細菌やグラム陰性細菌等)の増殖を抑えることができる当該分野で公知の任意の成分をいう。具体的には、抗菌成分として、・・・イソプロピルメチルフェノール、・・・等を挙げることができる」と記載されていることからみて、本願発明1における「抗菌成分」に相当する。
そして、ヘアシャンプーは毛髪及び頭皮を洗浄するためのものであるというのが本願優先日前における技術常識であるから、引用発明1-1及び1-2における「ヘアシャンプー」は、本願発明1における「皮膚洗浄用組成物」に相当する。
そうすると、本願発明1のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明1とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明1においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明1においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点2)
本願発明1は「加齢臭除去用」であるのに対し、引用発明1ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明1のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明1とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点1及び2のほか、以下の点で相違する。

(相違点3)
抗菌成分について、本願発明1では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明1では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明1との相違点についての判断
ア 相違点1について
本願明細書【0052】において、「本発明の皮膚洗浄用組成物は、上記(A)及び(B)成分を配合し、また必要に応じて更なる成分を配合して、常法に従い、種々の洗浄用組成物の形態に調製され得る。」と記載されていることからみて、本願発明1は他の成分を含有することを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点2について
(ア) 本願発明1の皮膚洗浄用組成物について、本願明細書には、以下の記載がある。

・記載事項1
「【背景技術】
【0002】
近年、ニオイに対する人々の関心が高まっている。なかでも、加齢に伴い発生すると考えられている高齢者特有の体臭を気にする人が増えている。この加齢臭とも呼ばれる体臭は、皮膚表面上でω7不飽和脂肪酸が酸化的に分解されて生じる不飽和アルデヒドである2-ノネナールの発生と深く関連することが報告されている(・・・)。
【0003】
従来、このような体臭を防止する技術としては、香水等でマスキングしたり、炭の臭い吸着効能を利用する方法(・・・)等が知られている。また、ワレモコウの根部及び根茎部からの抽出物を用いる方法(・・・)や、縮合型カキタンニンを用いる方法(・・・)等も提案されている。
【0004】
また、体臭が気になる人は、入浴時に体臭の除去を気にするあまり、石鹸やボディソープ、洗顔料、シャンプーといった従来の身体洗浄剤又は頭皮洗浄剤で強く洗い過ぎてしまうことがある。しかし、体臭抑制効果が十分でない従来の洗浄剤で過度に皮膚洗浄することは角質層の剥離等を引き起こしてしまう場合があり好ましくない。」

・記載事項2
「【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリクオタニウム-10という特定のカチオン性ポリマーと、抗菌成分とを組み合わせて皮膚洗浄のために用いることにより、両成分の作用が相俟って相乗効果的に著しく高い体臭抑制効果を発揮できることを見出した。また更に本発明者等は検討を進め、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分と共に、ポリクオタニウム-7等の他のカチオン性ポリマーを組み合わせて皮膚の洗浄を行うことにより、一層高い体臭抑制効果を発揮できることをも見出し、本発明を完成するに至った。」

・記載事項3
「【0060】
<試験例1:体臭洗浄力評価1>
下記表1に示す各試験製剤(実施例1?3及び比較例1?3)を用いて、trans-2-ノネナール除去効果について評価を行った。
【表1】

【0061】
先ず、豚皮を生理食塩水で2時間浸漬後、2cm×2cm角に豚皮を切り分けた。この2cm×2cm豚皮表面に、エタノール溶媒に溶解させた5%(w/w)trans-2-ノネナールを30μL塗布し、乾燥させた。別途、各試験製剤(実施例1?3及び比較例1?3)を、10%(w/w)となるように精製水で希釈した。2cm×2cm角(幅:0.5cm)に切り分けたスポンジに各試験製剤の10%水溶液1mLを付け、該スポンジを手で20回プッシュすることで泡立てた。trans-2-ノネナール塗布後の2cm×2cm豚皮に対して、各試験製剤を付けて泡立てたスポンジで擦ることにより30秒間洗浄した(4ストローク/秒)。また、コントロールとして、精製水のみで同様にスポンジ洗浄した2cm×2cm角の豚皮も用意した。スポンジで洗浄後、3Lの精製水にて各豚皮を30秒間リンスし、その後水気を拭き取った。500mLの三角フラスコに洗浄後の豚皮をそれぞれ入れた。Mono Trap DCC18(シリカモノリス捕集剤, ジーエルサイエンス株式会社製)を、該三角フラスコのシリコンラバーに吊り、密栓後、室温で2時間静置させた。2時間後、Mono Trap DCC18を回収し、溶媒抽出するためにMT Extract Cup(ジーエルサイエンス株式会社製)に入れ、そこにクロロホルム1mLを添加した後、超音波を5分間照射した。このようにして得られた各抽出液を、後述の測定条件下でガスクロマトグラフィー(GC)測定によりtrans-2-ノネナールを定量した。
【0062】
(GC測定条件)
・機種:ガスクロマトグラフGC-17A(株式会社島津製作所製)
・カラム:VF-5ms 30m×0.25mmφ×0.25μm(VARIAN製)
・キャリヤーガス:He, 圧力:100kPa,
全流量:16ml/min
・スプリット比 10:1
・温度条件:60℃→昇温(10℃/min)→150℃→昇温(20℃/min)→200℃, 11.5min
・注入口:250℃、検出器:250℃(FID)
・注入量:8μl
【0063】
上記GC測定条件下で、各実施例、比較例、及びコントロールについて測定した値に基づき、以下の計算式Iに従って、trans-2-ノネナール洗浄率を算出した。
trans-2-ノネナール洗浄率(%)={(コントロールでの値-各実施例又は比較例での値)/コントロールでの値}×100 (式I)
【0064】
この結果を、上記表1の最下欄に併せて示す。この結果から明らかなように、従来の石鹸成分である高級脂肪酸塩のみで洗浄した場合でも、ある程度はノネナールを除去することができたが、まだ十分ではない(比較例1)。また、この高級脂肪酸塩にポリクオタニウム-10又は抗菌成分をそれぞれ単独で配合した場合では、ノネナール除去増強効果は全く又は殆んど認められない(比較例2、比較例3)。一方、全く予想外のことに、ポリクオタニウム-10と抗菌成分とを組み合わせて用いて洗浄した場合に、ノネナール除去効果が相乗効果的に著しく高められることが認められた。また、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分(塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール)と共に、他のカチオン性ポリマー(ポリクオタニウム-7)を更に組み合わせて配合した場合には、特に著しく高いノネナール洗浄効果が発揮されることも明らかとなった。以上の結果より、本発明の皮膚洗浄用組成物が、体臭(特に加齢臭)の抑制に効果的であることが分かる。
【0065】
<試験例2:体臭洗浄力評価2>
下記表2に示す合成界面活性剤を含むような各種試験製剤(実施例4及び比較例4?5)を用いて、trans-2-ノネナール除去効果について評価を行った。
【表2】

【0066】
先ず、豚皮を生理食塩水で2時間浸漬後、2cm×2cm角に豚皮を切り分けた。この2cm×2cm豚皮表面に、エタノール溶媒に溶解させた5%(w/w)trans-2-ノネナールを30μL塗布し、乾燥させた。別途、各試験製剤(実施例4及び比較例4?5)を、10%(w/w)となるように精製水で希釈した。2cm×2cm角(幅:0.5cm)に切り分けたスポンジに各試験製剤の10%水溶液1mLを付け、該スポンジを手で20回プッシュすることで泡立てた。trans-2-ノネナール塗布後の2cm×2cm豚皮に対して、各試験製剤を付けて泡立てたスポンジで擦ることにより30秒間洗浄した(4ストローク/秒)。また、コントロールとして、精製水のみで同様にスポンジ洗浄した2cm×2cm角の豚皮も用意した。スポンジで洗浄後、3Lの精製水にて各豚皮を30秒間リンスし、その後水気を拭き取った。500mLの三角フラスコに洗浄後の豚皮をそれぞれ入れた。Mono Trap DCC18(シリカモノリス捕集剤, ジーエルサイエンス株式会社製)を、該三角フラスコのシリコンラバーに吊り、密栓後、室温で2時間静置させた。2時間後、Mono Trap DCC18を回収し、溶媒抽出するためにMT Extract Cup(ジーエルサイエンス株式会社製)に入れ、そこにクロロホルム1mLを添加した後、超音波を5分間照射した。このようにして得られた各抽出液を、後述の測定条件下でガスクロマトグラフィー(GC)測定によりtrans-2-ノネナールを定量した。
【0067】
(GC測定条件)
・機種:7890A(Agilent Technologies製)
・カラム:HP-INNOwax 30m×0.25mmφ×0.25μm(Agilent Technologies製)
・キャリヤーガス:He, 圧力:100kPa, 全流量:16ml/min
・スプリット比 3:1
・温度条件:60℃→昇温(10℃/min)→150℃
→昇温(20℃/min)→200℃, 11.5min
・注入口:250℃、検出器:250℃(FID)
・注入量:2μl
【0068】
上記GC測定条件下で、各実施例、比較例、及びコントロールについて測定した値に基づき、上記試験例1と同じ計算式Iに従って、trans-2-ノネナール洗浄率を算出した。
【0069】
この結果を、上記表2の最下欄に併せて示す。この結果から明らかなように、合成界面活性剤をベースに含むコントロールを用いた場合でも、ある程度はノネナールを除去できたが未だ十分ではない(比較例5)。また、これに抗菌成分としてイソプロピルメチルフェノールのみを添加した場合にもノネナール除去増強効果は殆んど認められない(比較例4)。一方、上記試験例1の結果と同様に、ポリクオタニウム-10と抗菌成分(イソプロピルメチルフェノール)とを組み合わせて用いて洗浄した場合には、ノネナール除去効果が著しく高められることが認められた。よって、本発明の皮膚洗浄用組成物が体臭抑制に特に効果的であることが理解される。」

上記の記載事項1?3を総合すると、本願発明1は、(A)ポリクオタニウム-10並びに(B)塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分を併用することで、加齢臭の原因物質である2-ノネナールを効率よく除去するとの未知の属性を見出したことによってなされた発明であって、「加齢臭除去用」という用途を限定した発明であると認められる。
そこで、本願発明1の「加齢臭除去用」という用途が、その技術分野における本願優先日前の技術常識を考慮し、新たな用途を提供したといえるかどうかについて検討する。

(イ) 上記(1)で述べたように、引用発明1のシャンプーは皮膚洗浄用のものであるところ、本願優先日前における技術常識を考慮すると、「皮膚洗浄用」と、「加齢臭除去用の皮膚洗浄用」について、以下のことが認められる。

a 「皮膚洗浄用」とは、皮膚を洗浄することによって体臭の原因物質も含めた皮膚の汚染物質を除去するものであるのに対し、「加齢臭除去用の皮膚洗浄用」とは、体臭の原因物質の中でも特に加齢臭を除去するものである。
ここで、皮膚の汚染物質は様々であり、体臭についても腋臭、足臭、口臭など多様な臭い及び原因物質が存在し、それらは構造や特徴や物性が異なるため、一つの組成物又は方法によりすべての原因物質や臭いを除去できるわけではないことが本願優先日前における技術常識である。
また、引用文献5の記載から、加齢臭の原因物質であるノネナールは、入浴や衣類の洗濯程度ではなかなか除去できないことも、本願優先日前の技術常識である(記載事項5-1参照。)。
そうすると、単なる「皮膚洗浄」によって除去される皮膚の汚染と、入浴や洗濯程度では除去困難な加齢臭の原因物質による汚染とは同じ現象であるとはいえず、その除去については同じ機序であるとはいえない。

b 「皮膚洗浄用」組成物と「加齢臭除去用の皮膚洗浄用」組成物とは、皮膚を洗浄するという点において共通するが、引用文献1に記載されているように、本願優先日前において、皮膚を洗浄する目的で、界面活性剤を洗浄基剤とする様々な洗浄剤組成物が提案されており(記載事項1-1参照。)、皮膚の汚染物質を除去する手段には多くの異なる手段が存在していた。

c 引用文献5の記載から、近年では臭いに対する意識が高くなり、体臭、それもいわゆる加齢臭について敏感になってきているところ、原因物質がノネナールであることが明らかになるにつれ、ノネナールに着目した消臭及び除去対策がされており(記載事項5-1及び5-2参照。)、本願優先日前に、「加齢臭除去用の皮膚洗浄用」組成物からなる製品と、除去すべき汚染物質が特定されない「皮膚洗浄用」の組成物からなる製品は、異なる種類のものであると認識されていた。

(ウ) 「加齢臭除去用の皮膚洗浄」の対象である加齢臭による汚染は、上記(イ)aのとおり、現象及び機序が単なる「皮膚洗浄」により除去される皮膚の汚染とは異なり、また、上記(イ)cのとおり、「皮膚洗浄用」組成物と、「加齢臭除去用の皮膚洗浄用」組成物とは、製品としても異なるものと認識されていたところ、上記(イ)bのとおり、多くの異なる手段が存在していた皮膚の汚染物質を除去する手段のうち、「皮膚洗浄用」組成物である引用発明1につき、当業者は、本願優先日前に、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められる。
それゆえ、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したといえる。

(エ) そして、引用文献1には、引用発明1を「加齢臭除去用」とすることについて記載も示唆もないところ、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したものであり、当業者は、本願優先日前に、引用発明1につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用発明1のヘアシャンプーを「加齢臭除去用」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。
また、本願発明1は、(A)ポリクオタニウム-10並びに(B)塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分を併用することにより、本願明細書の試験例1及び2(記載事項3、特に【表1】及び【表2】参照。)に例示されるとおり、加齢臭の原因物質であるトランス-2-ノネナールの除去効果が相乗効果的に著しく高められるという、予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点3について詳細に検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

2. 本願発明6について
(1) 引用文献1に記載された発明との対比
ア 引用文献1に記載された発明
ヘアシャンプーは毛髪及び頭皮を洗浄するためのものであるというのが本願優先日前の技術常識であるから、引用発明1-1及び1-2における「ヘアシャンプー」の記載から、当該ヘアシャンプーを用いて毛髪及び頭皮を洗浄する方法については、引用文献1に記載されているに等しい事項であると認められる。
そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1’-1」及び「引用発明1’-2」という。)が記載されていると認められる。

・引用発明1’-1
「以下の組成及び成分配合比を有するヘアシャンプーを用いて毛髪及び頭皮を洗浄する方法。
(質量%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.0
ラウリル硫酸アンモニウム 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
POEセチルエーテル 1.0
(商品名:N-BC-15TX[日本サーファクタント社製])
セルロース誘導体 0.2
(商品名:カチナールHC-200[東邦化学工業社製])
セルロース誘導体 0.2
(商品名:レオガードGP[ライオン社製])
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール ・・・(B) 0.2
安息香酸ナトリウム 0.4
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.0
(商品名:マーコート550[カルゴン社製])
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ニンジンエキス 0.1
(商品名:ニンジン抽出液BG[丸善製薬社製])
オウバクエキス 0.1
(商品名:オウバクリキッドB [一丸ファルコス社製])
オリーブ油 ・・・(C) 0.1
アボカド油 ・・・(C) 0.05
ジメチコノール水性エマルジョン ・・・(A) 1.0
(1,000,000mm^(2)/s;25℃ シリコーン純分70%)
香料 適 量
精製水 残 余
*成分配合比(質量比)
(A):((B)+(C))=1:0.5
(B):(C)=1:0.75」

・引用発明1’-2
「以下の組成及び成分配合比を有するヘアシャンプーを用いて毛髪及び頭皮を洗浄する方法。
(質量%)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.0
ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム液 3.0
ジプロピレングリコール 4.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 1.5
セルロース誘導体 0.3
(商品名:カチナールHC-200[東邦化学工業社製])
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール ・・・(B) 0.1
安息香酸ナトリウム 0.4
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.0
(商品名:マーコート550[オンデオ ナルコ社製])
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ハチミツ 0.1
加水分解コンキオリン 0.1
(商品名:真珠たん白抽出液BG-J[丸善製薬社製])
ムラサキセンブリエキス 0.1
(商品名:ムラサキセンブリ抽出液[丸善製薬社製])
オリーブ油 ・・・(C) 0.1
ジメチコノール水性エマルジョン ・・・(A) 1.0
(1,000,000mm^(2)/s;25℃:
200mm^(2)/s;25℃=7:3 シリコーン純分70%)
ジメチコン水性エマルジョン 0.5
(商品名:BY22-083[東レ・ダヴコーニング・シリコーン社製])
香料 適 量
精製水 残 余
*成分配合比(質量比)
(A):((B)+(C))=1:0.3
(B):(C)=1:1」

(なお、引用発明1’-1と引用発明1’-2をまとめて「引用発明1’」ということがある。)」

イ 本願発明6のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明1’とを対比すると、両者は、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分とを併用して、皮膚を洗浄する方法」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1’)
本願発明6においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を用いることが特定されていないのに対し、引用発明1’においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も用いることが特定されている点。
(相違点2’)
本願発明6は「加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄することを特徴とする、加齢臭除去」の方法であるのに対し、引用発明1’ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明6のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明1’とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点1’及び2’のほか、以下の点で相違する。

(相違点3’)
抗菌成分について、本願発明6では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明1’では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明1’との相違点についての判断
ア 相違点1’について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明6は他の成分を用いることを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点2’について
上記1.(2)イ(ウ)で述べたところと同様に、当業者は、本願優先日前に、引用発明1’のヘアシャンプーを用いる頭皮の洗浄方法につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用文献1には、「加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄すること」が記載されているとはいえない。
また、引用発明1’のヘアシャンプーを用いる洗浄方法を「加齢臭除去方法」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明6は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点3’について詳細に検討するまでもなく、本願発明6は、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3. 本願発明7について
(1) 引用発明1との対比
本願発明7のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明1とは、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1”)
本願発明7においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明1においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点2”)
本願発明7は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するため」のものであるのに対し、引用発明1ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明7のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明1とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点1”及び2”のほか、以下の点で相違する。

(相違点3”)
抗菌成分について、本願発明7では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明1では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明1との相違点についての判断
ア 相違点1”について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明7は他の成分を用いることを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点2”について
本願発明7は、「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄」し、加齢臭を除去するための皮膚洗浄用組成物であると認められるところ、加齢臭を除去するという用途は、上記1.で述べたとおり、新たな用途を提供するものであり、引用文献1に記載されているとはいえない。
また、当業者は、本願優先日前に、引用発明1につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用発明1のヘアシャンプーを「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するため」のものすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明7は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点3”について詳細に検討するまでもなく、本願発明7は、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

4. 本願発明2?5及び8?11について
本願発明2及び8は、それぞれ本願発明1及び7において「ノネナールの除去のために用いられる」旨をさらに特定したものであり、本願発明3及び9は、それぞれ本願発明1又は2及び本願発明7又は8において「(C)ポリクオタニウム-7、・・・からなる群より選ばれるカチオン性ポリマーを含有する」旨をさらに特定したものであり、本願発明4及び10は、それぞれ本願発明1?3のいずれか及び本願発明7?9のいずれかにおいて「高級脂肪酸塩、・・・からなる群より選択される少なくとも1種を含有する」旨をさらに特定したものであり、本願発明5及び11は、それぞれ本願発明3及び9において「(C)成分の含有量」をさらに特定したものである。
それゆえ、本願発明2?5及び8?11は、「加齢臭除去用」又は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための」を必須の構成とするものであるから、上記1.又は3.で述べた理由と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。


<2> 本願発明と引用発明2との対比・判断
1. 本願発明1について
(1) 引用発明2との対比
引用発明2における「イソプロピルメチルフェノール」は本願発明1における「抗菌成分」に相当する。
引用発明2の「クレンジングジェル組成物」は、引用文献2の課題が「・・・皮膚洗浄剤組成物を提供すること」であることからみて(記載事項2-1参照。)、本願発明1における「皮膚洗浄用組成物」に相当する。
そうすると、本願発明1のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明2とは、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点4)
本願発明1においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明2においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点5)
本願発明1は「加齢臭除去用」であるのに対し、引用発明2ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明1のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明2とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点4及び5のほか、以下の点で相違する。

(相違点6)
抗菌成分について、本願発明1では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明2では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明2との相違点についての判断
ア 相違点4について
上記<1>1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明1は他の成分を含有することを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点5について
(ア) 上記<1>1.(2)イで述べたところと同様に、本願優先日前の技術常識を考慮すれば、「皮膚洗浄用」組成物である引用発明2につき、当業者が、本願優先日前に、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したといえる。

(イ) そして、引用文献2には、引用発明2を「加齢臭除去用」とすることについて記載も示唆もないところ、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したものであり、当業者は、本願優先日前に、引用発明2につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用発明2のクレンジングジェル組成物を「加齢臭除去用」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。
そして、本願発明1は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質であるトランス-2-ノネナールの除去効果が相乗効果的に著しく高められるという、予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点6について詳細に検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献2に記載された発明ではなく、引用文献2に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

2. 本願発明6について
(1) 引用文献2に記載された発明との対比
ア 引用文献2に記載された発明
引用発明2の「クレンジングジェル組成物」は、引用文献2の課題が「・・・皮膚洗浄剤組成物を提供すること」であること(記載事項2-1参照。)からみて皮膚洗浄用組成物に相当し、当該組成物を用いて皮膚を洗浄する方法については、引用文献2に記載されているに等しい事項であると認められる。
そうすると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2’」という。)が記載されていると認められる。

「以下の組成を有するクレンジングジェル組成物を用いて皮膚を洗浄する方法。
ミリスチン酸トリエタノールアミン 6.0
N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンカリウム 2.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
(ホームリードCD、ライオン化学(株)製)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸Na 4.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1.0
(オバゾリンLB-SF、東邦化学工業(株)製)
POE(10)ベヘニルエーテル 3.0
(エマレックス BHA-10、日本エマルジョン(株)製)
ジメチルポリシロキサン 1.0
(SH200-30cs、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
イソノナン酸イソノニル 2.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
(メトローズHPMC 60SH4000、信越化学工業(株)製)
アクリル酸アルキル共重合体エマルション 0.2
(レオアールMS-200、ライオン化学(株)製)
ポリクオタニウム-10 1.0
(JR-400、ユニオンカーバイド社製)
プロピレングリコール 5.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ラポナイトXLG(日本シリカ工業(株)製) 0.3
ポリエチレン末(平均粒径100μm) 0.3
香料D 1.0
トリエタノールアミン pH8に調整量
精製水 バランス
合計(%) 100.0」

イ 本願発明6のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明2’とを対比すると、両者は、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分とを併用して、皮膚を洗浄する方法」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点4’)
本願発明6においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を用いることが特定されていないのに対し、引用発明2’においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も用いることが特定されている点。
(相違点5’)
本願発明6は「加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄することを特徴とする、加齢臭除去」の方法であるのに対し、引用発明2’ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明6のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明2’とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点4’及び5’のほか、以下の点で相違する。

(相違点6’)
抗菌成分について、本願発明6では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明2’では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明2’との相違点についての判断
ア 相違点4’について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明6は他の成分を用いることを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはいえない。

イ 相違点5’について
上記1.(2)イ(ア)で述べたところと同様に、当業者が、本願優先日前に、引用発明2’のクレンジングジェル組成物を用いる皮膚洗浄方法につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用文献2には、「加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄すること」が記載されているとはいえない。
また、引用発明2’のクレンジングジェル組成物を用いる洗浄方法を「加齢臭除去方法」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明6は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点6’について詳細に検討するまでもなく、本願発明6は、引用文献2に記載された発明ではなく、引用文献2に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3. 本願発明7について
(1) 引用発明2との対比
本願発明7のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明2とは、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点4”)
本願発明7においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明2においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点5”)
本願発明7は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するため」のものであるのに対し、引用発明2ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明7のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明2とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点4”及び5”のほか、以下の点で相違する。

(相違点6”)
抗菌成分について、本願発明7では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明2では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明2との相違点についての判断
ア 相違点4”について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明7は他の成分を含有することを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点5”について
本願発明7は、「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄」し、加齢臭を除去するための皮膚洗浄用組成物であると認められるところ、加齢臭を除去するという用途は、上記1.で述べたとおり、新たな用途を提供するものであり、引用文献2に記載されているとはいえない。
また、当業者は、本願優先日前に、引用発明2につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用発明2のクレンジングジェル組成物を「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するため」のものすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明7は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点6”について詳細に検討するまでもなく、本願発明7は、引用文献2に記載された発明ではなく、引用文献2に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

4. 本願発明2?5及び8?11について
上記<1>4.で述べたとおり、本願発明2?5及び8?11は、「加齢臭除去用」又は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための」を必須の構成とするものであるから、上記1.又は3.で述べた理由と同じ理由により、引用文献2に記載された発明ではなく、引用文献2に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。


<3> 本願発明と引用発明3との対比・判断
1. 本願発明1について
(1) 引用発明3との対比
引用発明3における「カチオン化セルロース・・・(レオガードGP、ライオン化学製)」は、本願明細書【0017】に「・・・ポリクオタニウム-10を含有する市販の混合原料を使用してもよく、このような混合原料としては、例えば、・・・レオガードGP(ライオン)、・・・等を挙げることができる。」と記載されていることからみて、本願発明1における「ポリクオタニウム-10」を含有する混合原料であると認められる。
引用発明3における「イソプロピルメチルフェノール」は本願発明1における「抗菌成分」に相当する。
引用発明3の「殺菌洗浄剤組成物」は、引用文献3の課題が「肌に対するマイルド性に優れたペースト状洗浄剤組成物を提供すること」であること(記載事項3-1参照。)、及び、肌へのマイルド性を評価する実施例において「皮膚(主として顔)」に使用していること(記載事項3-2参照。)からみて、「皮膚」を洗浄するものであると認められ、本願発明1における「皮膚洗浄用組成物」に相当する。
引用発明3の「デオドラント」とは防臭のことである。
そうすると、本願発明1のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明3とは、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分を含有する、臭い防止用の皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点7)
本願発明1においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明3においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点8)
防止する臭いについて、本願発明1は「加齢臭」と特定されているのに対し、引用発明3では特定されていない点。

また、本願発明1のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明3とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点7及び8のほか、以下の点で相違する。

(相違点9)
抗菌成分について、本願発明1では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明3では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明3との相違点についての判断
ア 相違点7について
上記<1>1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明1は他の成分を含有することを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点8について
(ア) 本願明細書に記載された事項については、上記<1>1.(2)イ(ア)で述べたとおりである。
そこで、本願発明1の「加齢臭除去用」という用途が、その技術分野における本願優先日前の技術常識を考慮し、新たな用途を提供したといえるかどうかについて検討する。

(イ) 上記(1)で述べたように、引用発明3は、皮膚洗浄用のデオドラント及び殺菌洗浄剤組成物であるところ、本願優先日前における技術常識を考慮すると、「デオドランド及び殺菌洗浄」及び「加齢臭除去」について、以下のことが認められる。

a 「デオドラント」とは、体臭などを防止するものであるのに対し、「加齢臭除去用」とは、体臭の中でも特に加齢臭を除去するものである。ここで、体臭には腋臭、足臭、口臭など多様な臭い及び原因物質が存在し、それらは構造や特徴や物性が異なるため、一つの組成物又は方法によりすべての原因物質や臭いを防止できるわけではないことが本願優先日前における技術常識である。そうすると、「デオドラント」において防止される体臭と、「加齢臭」とが同じ現象であるとはいえず、その防止については同じ機序であるとはいえない。
「殺菌洗浄」とは、その文言どおり、殺菌及び洗浄を行うことであると認められる。このうち、「洗浄」について、単なる皮膚洗浄によって除去される皮膚の汚染及びその除去と、加齢臭の原因物質による汚染及びその除去が同じ現象及び機序であるといえないことは、上記<1>1.(2)イで述べたとおりである。また、「殺菌」することで加齢臭を除去できるといった技術常識が本願優先日前に存在したとも認められないから、「殺菌」の対象となる微生物が存在している状態と、「加齢臭」が存在している状態とが同じ現象であるとはいえず、その防止については同じ機序とはいえない。

b 引用文献5の記載より、本願優先日前において、体臭を消臭又は低減する手段として、多くの異なる手段が存在していた(記載事項5-1参照。)。
また、引用文献1に記載されているように、本願優先日前において、皮膚や毛髪を洗浄する目的で、界面活性剤を洗浄基剤とする様々な洗浄剤組成物が提案されており(記載事項1-1参照。)、皮膚の汚染物質を除去する手段には多くの異なる手段が存在していた。

c 引用文献5の記載から、近年では臭いに対する意識が高くなり、体臭、それもいわゆる加齢臭について敏感になってきているところ、原因物質がノネナールであることが明らかになるにつれ、ノネナールに着目した消臭及び除去対策がされているものと認められ(記載事項5-1及び5-2参照。)、本願優先日前に、「加齢臭除去用」の皮膚洗浄用組成物からなる製品と、防止すべき臭いや洗浄すべき汚染物質が明らかでない「デオドラント及び殺菌洗浄剤」組成物からなる製品は、異なる種類のものであると認識されていた。

(ウ) 「加齢臭除去用の皮膚洗浄」の対象である加齢臭は、上記(イ)aのとおり、現象及び機序が「デオドラント及び殺菌洗浄」の対象となる臭いや汚染とは異なり、また、上記(イ)cのとおり、「デオドラント及び殺菌洗浄剤」組成物と、「加齢臭除去用の皮膚洗浄用」組成物とは、製品としても異なるものと認識されていたところ、上記(イ)bのとおり、多くの異なる手段が存在していた皮膚の汚染物質を除去する手段のうち、「デオドラント及び殺菌洗浄剤」組成物である引用発明3につき、当業者は、本願優先日前に、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められる。
それゆえ、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したといえる。

(エ) そして、引用文献3には、本願発明3を「加齢臭除去用」とすることについて記載も示唆もないところ、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したものであり、当業者は、本願優先日前に、引用発明3につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用発明3の「デオドラント及び殺菌洗浄剤」組成物を「加齢臭除去用」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。
また、本願発明1は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質であるトランス-2-ノネナールの除去効果が相乗効果的に著しく高められるという、予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点9について詳細に検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献3に記載された発明ではなく、引用文献3に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

2. 本願発明6について
(1) 引用文献3に記載された発明との対比
ア 引用文献3に記載された発明
引用発明3の「デオドラント及び殺菌洗浄剤組成物」は、引用文献3の課題が「肌に対するマイルド性に優れたペースト状洗浄剤組成物を提供すること」であること(記載事項3-1参照。)、及び肌へのマイルド性を評価する実施例において「皮膚(主として顔)」に使用していること(記載事項3-2参照。)からみて、「皮膚」を洗浄するものであると認められ、当該組成物を用いて皮膚を洗浄する方法については、引用文献3に記載されているに等しい事項であると認められる。
そうすると、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3’」という。)が記載されていると認められる。

「以下の成分及び配合組成を有するペースト状デオドランド及び殺菌洗浄剤組成物を用いて皮膚を洗浄する方法。
・ラウリン酸カリウム 5.0%
・ラウリン酸 0.5%
・ミリスチン酸カリウム 9.0%
・ミリスチン酸 1.0%
・パルミチン酸カリウム 5.0%
・パルミチン酸 0.5%
・ステアリン酸カリウム 10.0%
・ステアリン酸 1.0%
・N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム 3.0%
・N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン 0.3%
・POE(11)ステアリルエーテル 3.0%
・1,3-ブチレングリコール 12.0%
・ヘキシレングリコール 4.0%
・POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2.5%
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 2.0%
(オバゾリンLB-SF、東邦化学工業製)
・エタノール 1.5%
・POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド 1.0%
(アミゼット2L-Y、川研ファインケミカル製)
・スチレン重合体エマルジョン液(35%) 1.0%
(サイビノールRPX-196PE-3、サイデン化学製)
・塩化ナトリウム 0.3%
・ベンゲルFW(豊順鉱業製) 0.2%
・メチルパラベン 0.2%
・トリクロサン 0.2%
・トリクロカルバン 0.1%
・イソプロピルメチルフェノール 0.1%
・ピロクトンオラミン 0.1%
(オクトピロックス、クラリアント・ジャパン製)
・カチオン化セルロース 0.1%
(レオガードGP、ライオン化学製)
・ポリアクリル酸 0.1%
(カーボポール9402、BFグッドリッチ製)
・プロピルパラベン 0.1%
・油溶性甘草エキス 0.1%
(油溶性甘草エキスP-T40N、丸善製薬製)
・ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1%
・香料 0.5%
・水酸化カリウム 適量(0.05?2.0%)
・黄色4号 適量(0.0001?0.001%)
・青色1号 適量(0.0001?0.001%)
・精製水 残部
合計 100.0%」

イ 本願発明6のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明3’とを対比すると、両者は、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分とを併用して、皮膚を洗浄する方法」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点7’)
本願発明6においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を用いることが特定されていないのに対し、引用発明3’においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も用いることが特定されている点。
(相違点8’)
本願発明6は「加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄することを特徴とする、加齢臭除去」の方法であるのに対し、引用発明3’ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明6のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明3’とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点7’及び8’のほか、以下の点で相違する。

(相違点9’)
抗菌成分について、本願発明6では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明3’では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明3’との相違点についての判断
ア 相違点7’について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明6は他の成分を用いることを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点8’について
上記1.(2)イ(ウ)で述べたとおり、当業者が、本願優先日前に、引用発明3’のデオドラント及び殺菌洗浄剤組成物を用いる皮膚洗浄方法につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用文献3には、「加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄すること」が記載されているとはいえない。
また、引用発明3’のデオドラント及び殺菌洗浄剤組成物を用いる洗浄方法を「加齢臭除去方法」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明6は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点9’について詳細に検討するまでもなく、本願発明6は、引用文献3に記載された発明ではなく、引用文献3に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3. 本願発明7について
(1) 引用発明3との対比
本願発明7のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明3とは、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)イソプロピルメチルフェノールである抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点7”)
本願発明7においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明3においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点8”)
本願発明7は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するため」のものであるのに対し、引用発明3ではその旨が特定されていない点。

また、本願発明7のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明3とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点7”及び8”のほか、以下の点で相違する。

(相違点9”)
抗菌成分について、本願発明7では「塩化ベンザルコニウム」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明3では「イソプロピルメチルフェノール」が含まれ、「塩化ベンザルコニウム」は含まれない点。

(2) 引用発明3との相違点についての判断
ア 相違点7”について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明7は他の成分を含有することを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点8”について
本願発明7は、「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄」し、加齢臭を除去するための皮膚洗浄用組成物であると認められるところ、加齢臭を除去するという用途は、上記1.で述べたとおり、新たな用途を提供するものであり、引用文献3に記載されているとはいえない。
また、引用発明3のデオドラント及び殺菌洗浄組成物を「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するため」のものすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明7は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点9”について詳細に検討するまでもなく、本願発明7は、引用文献3に記載された発明ではなく、引用文献3に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

4. 本願発明2?5及び8?11について
上記<1>4.で述べたとおり、本願発明2?5及び8?11は、「加齢臭除去用」又は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための」を必須の構成とするものであるから、上記1.又は3.で述べた理由と同じ理由により、引用文献3に記載された発明ではなく、引用文献3に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。


<4> 本願発明と引用発明4との対比・判断
1. 本願発明1について
(1) 引用発明4との対比
引用発明4における「カチオン化セルロース(Polymer JR400)」は、引用文献2の【表4】のカチオン化セルロース(2)の欄に「ポリクオタニウム-10(JR-400・・・)」と記載されていることからみて(記載事項2-3参照。)、本願発明1における「ポリクオタニウム-10」に相当するものと認められる。
引用発明4における「塩化ベンザルコニウム」は、本願明細書【0022】に「抗菌成分とは、殺菌又は静菌作用を発揮して、雑菌(グラム陽性細菌やグラム陰性細菌等)の増殖を抑えることができる当該分野で公知の任意の成分をいう。具体的には、抗菌成分として、塩化ベンザルコニウム、・・・等を挙げることができる」と記載されていることからみて、本願発明1における「抗菌成分」に相当する。
引用発明4の「手洗い用洗浄剤」は、本願発明1における「皮膚洗浄用組成物」に相当する。
そうすると、本願発明1のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」が選ばれるものと引用発明4とは、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)塩化ベンザルコニウムである抗菌成分を含有し、臭いを防止するための皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点10)
本願発明1においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明4においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点11)
防止する臭いについて、本願発明1では「加齢臭」と特定されているのに対し、引用発明4では特定されていない点。

また、本願発明1のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明4とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点10及び11のほか、以下の点で相違する。

(相違点12)
抗菌成分について、本願発明1では「イソプロピルメチルフェノール」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明4では「塩化ベンザルコニウム」が含まれ、「イソプロピルメチルフェノール」は含まれない点。

(2) 引用発明4との相違点についての判断
ア 相違点10について
上記<1>1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明1は他の成分を含有することを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点11について
(ア) 上記<3>1.(2)イで述べたところと同様に、本願優先日前の技術常識を考慮すれば、高い殺菌・抗菌効果を発揮するため身体に対して防臭効果を付与できる手洗い用洗浄剤である引用発明4につき、当業者は、本願優先日前に、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したといえる。

(イ) そして、引用文献4には、引用発明4を「加齢臭除去用」とすることについて記載も示唆もないところ、本願発明1は、「加齢臭除去用」という新たな用途を提供したものであり、当業者は、本願優先日前に、引用発明4につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったものと認められるから、引用発明4の「高い殺菌・抗菌効果を発揮するため身体に対して防臭効果を付与できる手洗い用洗浄」剤を「加齢臭除去用」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。
そして、本願発明1は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質であるトランス-2-ノネナールの除去効果が相乗効果的に著しく高められるという、予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点12について詳細に検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献4に記載された発明ではなく、引用文献4に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

2. 本願発明6について
(1) 引用文献4に記載された発明との対比
ア 引用文献4に記載された発明
引用発明4は「身体に対して防臭効果を付与できる、手洗い用洗浄剤」であるが、当該洗浄剤を用いて手を洗浄し、防臭効果を付与する方法については、引用文献4に記載されているに等しい事項であると認められる。
そうすると、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4’」という。)が記載されてみると認められる。

「以下の組成を有し、高い殺菌・抗菌効果を発揮するため身体に対して防臭効果を付与できる、手洗い用洗浄剤を用いて手を洗浄し、防臭効果を付与する方法。
ヤシ油脂肪酸カリウム 16%
カチオン化セルロース(Polymer JR400) 0.3%
ラウリン酸ジエタノールアミド 3%
塩化ベンザルコニウム 1%
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.6%
グリセリン 1%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.1%
水 バランス
計 100.0%」

イ 本願発明6のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」が選ばれるものと引用発明4’とを対比すると、両者は、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)塩化ベンザルコニウムである抗菌成分とを併用して、皮膚を洗浄することを特徴とする、臭いを防止する方法」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点10’)
本願発明6においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を用いることが特定されていないのに対し、引用発明4’においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も用いることが特定されている点。
(相違点11’)
防止する臭いについて、本願発明6では「加齢臭」と特定されているのに対し、引用発明4’では特定されていない点。

また、本願発明6のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明4’とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点10’及び11’のほか、以下の点で相違する。

(相違点12’)
抗菌成分について、本願発明6では「イソプロピルメチルフェノール」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明4’では「塩化ベンザルコニウム」が含まれ、「イソプロピルメチルフェノール」は含まれない点。

(2) 引用発明4’との相違点についての判断
ア 相違点10’について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明6は他の成分を用いることを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点11’について、上記1.(2)イ(ウ)で述べたとおり、当業者が、本願優先日前に、引用発明4’の「高い殺菌・抗菌効果を発揮するため身体に対して防臭効果を付与できる手洗い用洗浄」剤を用いて手を洗浄し、防臭効果を付与する方法につき、加齢臭を効率的に除去するという効果があるとは認識しなかったと認められるから、引用文献4には、「加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄すること」が記載されているとはいえない。
また、引用発明4’の手洗い用洗浄剤を用いる洗浄方法を、「加齢臭除去方法」とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明6は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点12’について詳細に検討するまでもなく、本願発明6は、引用文献4に記載された発明ではなく、引用文献4に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3. 本願発明7について
(1) 引用発明4との対比
本願発明7のうち抗菌成分として「塩化ベンザルコニウム」が選ばれるものと引用発明4とは、
「(A)ポリクオタニウム-10と、(B)塩化ベンザルコニウムである抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点10”)
本願発明7においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分を含有することが特定されていないのに対し、引用発明4においては、ポリクオタニウム-10及び抗菌成分以外の成分も含有することが特定されている点。
(相違点11”)
本願発明7は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための」と特定されているのに対し、引用発明4はそのように特定されていない点。

また、本願発明7のうち抗菌成分として「イソプロピルメチルフェノール」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が選ばれるものと引用発明4とは、
「(A)ポリクオタニウム-10、並びに抗菌成分を含有する、皮膚洗浄用組成物」
である点で一致し、上記相違点10”及び11”のほか、以下の点で相違する。

(相違点12”)
抗菌成分について、本願発明7では「イソプロピルメチルフェノール」又は「塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール」が含まれるのに対し、引用発明4では「塩化ベンザルコニウム」が含まれ、「イソプロピルメチルフェノール」は含まれない点。

(2) 引用発明4との相違点についての判断
ア 相違点10”について
上記1.(2)アで述べたところと同様に、本願発明7は他の成分を含有することを排除していないものと認められるから、この点は実質的な相違点とはならない。

イ 相違点11”について
本願発明7は、「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄」し、加齢臭を除去するための皮膚洗浄用組成物であると認められるところ、加齢臭を除去するという用途は、上記1.で述べたとおり、新たな用途を提供するものであり、引用文献4に記載されているとはいえない。
また、引用発明4の「高い殺菌・抗菌効果を発揮するため身体に対して防臭効果を付与できる手洗い用洗浄」剤を「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するため」のものすることを当業者が容易に想到し得たとはいえず、一方、本願発明7は、(A)及び(B)を併用することにより、加齢臭の原因物質の除去の点で予想外の優れた効果をもたらすものである。

(3) 小括
したがって、相違点12”について詳細に検討するまでもなく、本願発明7は、引用文献4に記載された発明ではなく、引用文献4に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

4. 本願発明2?5及び8?11について
上記<1>4.で述べたとおり、本願発明2?5及び8?11は、「加齢臭除去用」又は「加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための」を必須の構成とするものであるから、上記1.又は3.で述べた理由と同じ理由により、引用文献4に記載された発明ではなく、引用文献4に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。


第6 原査定の拒絶理由について
1. 特許法第36条第6項第1号(理由2)について
原査定における理由2は、要するに、請求項1?11には種々の抗菌成分が記載されているところ、発明の詳細な説明において、「高度に加齢臭除去効果を発揮できる新規の皮膚洗浄用組成物を提供する」という課題を解決できることが客観的データに基いて示されているのは、抗菌成分として塩化ベンザルコニウム又はイソプロピルメチルフェノールを使用する場合についてのみであり、それ以外の抗菌成分も同様の効果を奏することが本願明細書の記載から明らかであるとは認められないから、塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノール以外の抗菌成分を用いる態様を包含する請求項1?11に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化することはできない、というものである。
これに対し、平成30年4月20日付けの手続補正により、請求項1?11における(B)の抗菌成分が「塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる」ものに補正されたため、特許法第36条第6項第1号の規定を満たすものとなった。

2. 特許法第29条第1項第3号(理由3)及び同条第2項(理由4)について
第5で述べたように、本願発明は引用文献1?4に記載された発明ではなく、引用文献1?4に記載された発明及び本願優先日前の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。


第7 原査定における付記について
原査定においては、拒絶理由ではないが、付記として、請求項1、2、5?8及び11に係る発明について、以下の引用文献6?8のいずれかに記載された発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、引用文献6?8のいずれかに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない旨が指摘されている。
しかし、平成30年4月20日付けの手続補正により、(B)の抗菌成分が「塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる」ものに補正され、一方、引用文献6?8にはそのような抗菌成分についての記載がないから、補正後の請求項1、2、5?8及び11に係る発明(すなわち、本願発明1、2、5?8及び11)は、引用文献6?8に記載された発明ではなく、同法第29条第1項第3号に該当しないものとなった。
また、引用文献6、7又は8に記載の発明において、抗菌成分を「(B)塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる」ものとし、加齢臭除去用組成物、加齢臭除去方法又は加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための皮膚洗浄用組成物とすることは、当業者は容易に想到し得ないし、本願発明1、2、5?8及び11の加齢臭を効率よく除去できるという効果は引用文献6、7又は8から予測できない顕著なものであるから、引用文献6、7又は8に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、同法第29条第2項の規定に違反するものではない。

引用文献等一覧
6.MINTEL GNPD ID:1614277,2011年 8月
7.MINTEL GNPD ID:1946145,2012年12月
8.MINTEL GNPD ID:1900847,2012年10月


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-25 
出願番号 特願2013-220715(P2013-220715)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A61K)
P 1 8・ 113- WY (A61K)
P 1 8・ 121- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小久保 勝伊  
特許庁審判長 阪野 誠司
特許庁審判官 冨永 みどり
長谷川 茜
発明の名称 体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物  
代理人 多田 央子  
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