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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1347325
審判番号 不服2018-4619  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-05 
確定日 2019-01-08 
事件の表示 特願2017- 82235「積層フィルム、マーク付き積層フィルムの製造方法、及び、画像表示装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日出願公開、特開2017-219830、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
平成29年 4月18日 出願(優先権主張 平成28年6月6日)
平成29年 5月31日 手続補正書
平成29年 7月28日 拒絶理由通知
平成29年10月 5日 意見書、手続補正書
平成29年12月25日 拒絶査定(以下、「原査定」という。)
平成30年 4月 5日 審判請求書、手続補正書

第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。

この出願の請求項1-5に係る発明は、引用文献2に記載された発明、並びに引用文献1及び4-6に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2008-197159号公報(周知技術を示す文献)
2.特開2003-14934号公報
4.特開平8-248210号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2015-225589号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2014-75430号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
この出願の請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成30年4月5日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
偏光板、及び、前記偏光板の一方の面に設けられた仮保護フィルムを備える積層フィルムであって、
前記積層フィルムは、前記積層フィルムの端面から一定幅の周辺領域と、前記周辺領域より内側の中央領域と、を備え、
前記周辺領域の面積をSP、前記中央領域の面積をSCとしたときに、SC/(SP+SC)≦0.7を満たすように前記一定幅が定められ、
前記中央領域はマークを有し、
前記マークは、前記積層フィルムを貫通する貫通孔、前記仮保護フィルムの表面に設けられた凹み、前記仮保護フィルムに設けられた貫通孔(ただし前記偏光板を貫通しない)、及び、前記仮保護フィルム内に設けられた染色部からなる群から選択される少なくとも1つであり、
前記周辺領域は前記マークを有さない、積層フィルム。
【請求項2】
前記マークの形状は、線状、十字、矢印、楕円、多角形からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記積層フィルムの外形形状は、円形、又は、正多角形である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
偏光板、及び、前記偏光板の一方の面に設けられた仮保護フィルムを備える積層フィルムにマークを設ける工程を有し、
前記積層フィルムは、前記積層フィルムの端面から一定幅の周辺領域と、前記周辺領域より内側の中央領域と、を備え、
前記周辺領域の面積をSP、前記中央領域の面積をSCとしたときに、SC/(SP+SC)≦0.7を満たすように前記一定幅が定められ、
前記マークを設ける工程では前記マークを前記中央領域内に設け、
前記マークは、前記積層フィルムを貫通する貫通孔、前記仮保護フィルムの表面に設けられた凹み、前記仮保護フィルムに設けられた貫通孔(ただし前記偏光板を貫通しない)、及び、前記仮保護フィルム内に設けられた染色部からなる群から選択される少なくとも1つであり、
前記周辺領域は前記マークを有さない、マーク付き積層フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記マークを参照して画像表示パネルに対して請求項1?3のいずれか1項に記載の積層フィルムの光軸を位置合わせする工程と、
位置合わせされた前記積層フィルムを前記画像表示パネルに貼り合わせる工程と、を備える、画像表示装置の製造方法。」

第4 当審の判断
1 引用文献の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2003-14934号公報)には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

(1)「【請求項1】 偏光板表面に保護フィルムが剥離可能に貼付されている保護フィルム付偏光板において、前記保護フィルムの表面にインクジェット用インクによりマーキングが施されていることを特徴とする保護フィルム付偏光板。」

(2)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、偏光板表面に保護フィルムが剥離可能に貼付されている保護フィルム付偏光板であって、当該保護フィルム表面に偏光板の「軸方向」を認識できるマーキングが効率的に行われた保護フィルム付偏光板および保護フィルム付偏光板に効率的にマーキングを施すためのマーキングシステムを提供することを目的とする。」

(3)「【0015】
【発明の実施の形態】本発明の保護フィルム偏光板Aは、図1に示すように、偏光板2の表面に保護フィルム1が貼付されており、保護フィルム1の表面にインクジェット用インクによりマーキングaが施されているものである。マーキングaは、偏光板の軸方向を判別し易いように行われる。
【0016】保護フィルム1は、図2に示すようにプラスチックフィルムから構成される基材フィルム11の片面に、偏光板2の表面に剥離可能に貼付される軽剥離性の粘着剤層12を有するものである。
【0017】基材フィルム11は、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリプロピレンやポリエステルなどの2軸延伸フィルムを好ましく用いることができる。基材フィルム11の厚みについては特に制限されないが、好適には10?200μm程度である。
【0018】粘着剤層12を構成する粘着剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、アクリル系、合成ゴム系、ゴム系のいずれの粘着剤を使用することができる。これらのなかでも組成により粘着力をコントロールし易いアクリル系粘着剤が望ましい。粘着剤には、必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を適宜に使用することもできる。粘着剤層12の形成は、転写法、直写法、共押出し法等により行うことができる。粘着剤層12の厚み(乾燥膜厚)は、特に制限されないが、通常5?50μm程度である。
【0019】また保護フィルム1には、図2に示すように、前記基材フィルム11の粘着剤層12の形成面とは反対側の面に剥離処理層13を形成することができる。剥離処理層の形成材料は特に制限されないが、たとえば、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等があげられる。剥離処理層の厚みは、特に制限されないが、通常50μm以下程度、好ましくは25?40μmである。保護フィルム1の表面に施されるマーキングaは、基材フィルム11または剥離処理層13に行われる。
【0020】一般的な偏光板2の構成は図3に示す通りであり、偏光子21の両面に偏光子21の保護層22が設けられている。保護層22の一方の面には、液晶表示装置を構成するガラス基板に偏光板を貼付するための粘着剤層23を設けることができ、さらにはその粘着剤層23を保護するセパレータ24を有していてもよい。さらに、偏光板2には、任意の付加機能層25を設けることができる。図3では粘着剤層23を形成していない他方の保護層22の表面に付加機能層25が形成されている。
【0021】偏光子21としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン系配向フィルム等があげられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5?80μm程度が一般的である。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。
【0022】前記保護フィルム22を形成する透明ポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などもあげられる。保護フィルム22の厚さも特に制限されないが、20?150μm程度が一般的である。保護フィルム22を形成する透明ポリマーのなかでも、トリアセチルセルロースが好ましい。
【0023】粘着剤層23の形成にはアクリル系、合成ゴム系、ゴム系の各種の粘着剤を使用できる。セパレータ24の構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等があげられる。セパレータ24の表面には、粘着剤層23からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理な剥離処理が施されていても良い。
【0024】本発明の保護フィルム付偏光板Aとしては、偏光板2の粘着剤層23の形成面とは反対側の面に、保護フィルム1の粘着剤層12を貼付したものが使用される。図2の例では保護層22または付加機能層25を有する場合には付加機能層25に保護フィルム1の粘着剤層12が貼付される。保護フィルム付偏光板Aの大きさは特に制限されないが、たとえば、200mm×150mm?368mm×276mm程度のものが用いられる。
【0025】マーキングaに用いるインクジェット用インクは、マーキングを行う保護フィルム1の基材フィルム11または剥離処理層13に、インクジェットによる印字を良好に行えるものを、基材フィルム11または剥離処理層13との関係を考慮して適宜に選択して用いられる。剥離処理層13がシリコーン系剥離剤により形成されている場合には、たとえば、ビデオジェット社製のInk Source:16-7900Q(青インク)、同社のInk Source:19-8420(黒青インク)等が好適に用いられる。
【0026】インクジェット用インクによるマーキングは特に制限されず、文字、数字、記号、図形、絵等の1種を、または2種以上を組み合わせて行うことができる。そのマーキング位置も適宜に設定できる。また、マーキングによりバーコードを付すこともでき、保護フィルム付偏光板Aをバーコード管理することも可能になり、出荷Noの蓄積、納入数量、品質情報、品番コード等を一括管理できるようになる。」

(4)「



(5)保護フィルム1は偏光板2の一方の面に設けられている(【図1】から看取できる)ことを踏まえ、上記(1)ないし(4)(特に(1)と(4))によると、引用文献2には、保護フィルム付偏光板として、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。)。

「偏光板の一方の面に保護フィルムが剥離可能に貼付されている保護フィルム付偏光板において、前記保護フィルムの表面にインクジェット用インクによりマーキングが施されている保護フィルム付偏光板。」

2 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「偏光板」は、本願発明1の「偏光板」に相当する。

イ 引用発明の「保護フィルム」は、「偏光板の一方の面に」「剥離可能に貼付されている」。
そうすると、引用発明の「保護フィルム」は、本願発明1の「偏光板の一方の面に設けられた仮保護フィルム」に相当する。

ウ 一般に、偏光板はフィルム状である(引用文献2の【0020】-【0023】の記載からも理解できる。)。また、引用発明の「保護フィルム付偏光板」は、「偏光板の一方の面に保護フィルムが剥離可能に貼付されている」から、「偏光板」と「保護フィルム」が積層されているといえる。
そうすると、引用発明の「保護フィルム付偏光板」は、本願発明1の「積層フィルム」に相当する。

エ 引用発明の「インクジェット用インクにより」「施され」た「マーキング」と本願発明1の「前記積層フィルムを貫通する貫通孔、前記仮保護フィルムの表面に設けられた凹み、前記仮保護フィルムに設けられた貫通孔(ただし前記偏光板を貫通しない)、及び、前記仮保護フィルム内に設けられた染色部からなる群から選択される少なくとも1つであ」る「マーク」とは、「マーク」である点で共通する。

オ 以上によれば、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
「偏光板、前記偏光板の一方の面に設けられた仮保護フィルムを備える積層フィルムであって、マークを有する積層フィルム。」

カ 他方、両者は以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明1は、「積層フィルムの端面から一定幅の周辺領域と、前記周辺領域より内側の中央領域と、を備え、前記周辺領域の面積をSP、前記中央領域の面積をSCとしたときに、SC/(SP+SC)≦0.7を満たすように前記一定幅が定められ」、「前記中央領域はマークを有し、」「前記周辺領域は前記マークを有さない」のに対し、引用発明は、そのような構成を備えているのかが定かではない点。

<相違点2>
本願発明1の「マーク」は、「前記積層フィルムを貫通する貫通孔、前記仮保護フィルムの表面に設けられた凹み、前記仮保護フィルムに設けられた貫通孔(ただし前記偏光板を貫通しない)、及び、前記仮保護フィルム内に設けられた染色部からなる群から選択される少なくとも1つであ」るのに対し、引用発明の「マーキング」は、保護フィルム内に設けられた染色部であるのかが不明である点。

(2)判断
事案に鑑み、前記相違点1について検討する。
引用文献2には、「マーキング位置も適宜に設定できる」(【0026】)とは記載されているが、【図1】に記載されたマーキングaは、保護フィルム1の表面の端部(周辺)に近い領域に施されているし、また、他にマーキングの具体的な位置についての記載や示唆はない。
また、偏光板と偏光板の一方の面に設けられた仮保護フィルムを備える積層フィルムにおいて、その端面から一定幅(周辺領域の面積をSP、中央領域の面積をSCとしたときに、SC/(SP+SC)≦0.7を満たすように定められる)の周辺領域にマークを設けず、周辺領域より内側の中央領域にマークを設けるようにする技術事項は、前記引用文献1及び4-6に記載されていないし、他の公知文献(特開平10-221685号公報等)にも記載されていない。さらに、当該技術事項は周知技術ではない。
そして、本願発明1は、前記相違点1に係る構成を有することにより、「マークが中央領域に設けられているため、偏光板を画像表示パネルに貼りつける際に偏光板の周辺領域がカールしても、カールの影響を受けることなくマークを基準に高精度に偏光板と画像表示パネルとの位置合わせが可能となる」(本願明細書【0008】)という効果を奏するものである。
そうすると、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
したがって、前記相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献2に記載された発明、並びに引用文献1及び4-6等に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明2、3及び5について
請求項2、3及び5は、請求項1を直接又は間接的に引用するから、本願発明2、3及び5は、前記2の本願発明1についての判断と同様の理由により、引用文献2に記載された発明、並びに引用文献1及び4-6等に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明4について
本願発明4は、本願発明1の積層フィルムの製造方法であり、本願発明4と引用発明を対比すると、前記相違点1及び2(前記2(1)カ)と同様の点で相違する。
そうすると、本願発明4は、前記2の本願発明1についての判断と同様の理由により、引用文献2に記載された発明、並びに引用文献1及び4-6等に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第5 原査定について
平成30年4月5日付けの手続補正により、本願発明1-3及び5は、前記相違点1に係る構成を有するものとなり、また、本願発明4は、前記相違点1と同様の相違点に係る構成を有するものとなった。
そうすると、本願発明1-5は、原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2に記載された発明、並びに引用文献1及び4-6に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-17 
出願番号 特願2017-82235(P2017-82235)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 廣田 健介小西 隆菅原 奈津子  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 宮澤 浩
関根 洋之
発明の名称 積層フィルム、マーク付き積層フィルムの製造方法、及び、画像表示装置の製造方法  
代理人 三上 敬史  
代理人 阿部 寛  
代理人 清水 義憲  
代理人 長谷川 芳樹  
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