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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B |
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管理番号 | 1347400 |
審判番号 | 不服2017-19570 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-12-29 |
確定日 | 2018-12-27 |
事件の表示 | 特願2013- 96461「静電容量型センサシート及び静電容量型センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月20日出願公開、特開2014-219214〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年5月1日にされた特許出願であって、平成28年12月15日付けで拒絶理由が通知され、平成29年4月17日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲についての補正がなされたが、同年9月28日付けで拒絶査定がなされ、査定の謄本が同年10月3日に送達された。 これに対して同年12月29日に拒絶査定不服審判が請求された。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成29年4月17日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものである。特に、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 エラストマー組成物からなる誘電層と、前記誘電層の表面に積層された表側電極層と、前記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、 前記表側電極層及び裏側電極層は、平均長さ100μm以上で、かつ、アスペクト比が1000以上の単層カーボンナノチューブを含む導電性組成物からなり、 一軸引張りに耐えられる伸長率が30%以上であり、 伸縮変形歪み量及び/又は伸縮変形歪み分布を測定するために用いられる ことを特徴とする静電容量型センサシート。」 第3 原査定における拒絶の理由 この出願の請求項1ないし5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2009-20006号公報 引用文献2.国際公開第2013/031958号 引用文献3.特開2012-73150号公報 引用文献4.特開2012-225727号公報 第4 引用文献に記載された発明等 1 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。 (1) 段落0006 「【0006】 (1)本発明の静電容量型センサは、エラストマー製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている一対の電極と、を備えてなり、該一対の電極は、エラストマーと、該エラストマー中に配合されている導電性フィラーと、を有し、該誘電膜の変形に応じて伸縮可能であると共に、伸縮しても導電性の変化が小さく、該一対の電極間の静電容量変化に基づいて変形を検出することを特徴とする(請求項1に対応)。」 (2) 段落0034 「【0034】 エラストマー中に配合されている導電性フィラーは、導電性を有する粒子であればよく、炭素材料や金属等の微粒子を用いればよい。これらのうち、一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。例えば、比較的安価で、導電パスの形成が容易であるという理由から、炭素材料を用いることが望ましい。炭素材料としては、粒子径が小さく凝集しやすいという理由から、例えば、ケッチェンブラック等の導電性に優れるカーボンブラックが好適である。」 (3) 段落0038 「【0038】 電極の膜厚は、特に限定されるものではないが、誘電膜に対する追従性を考慮し、センサの小型化を図るという観点から、1μm以上100μm以下であることが望ましい。また、誘電膜の変形に対する追従性を高めるため、電極のヤング率を、0.1MPa以上10MPa以下とすることが望ましい。同様に、引張り試験(JIS K6251)における切断時伸びは、200%以上であることが望ましい。」 (4) 段落0043 「【0043】 本発明の静電容量型センサは、例えば、以下のようにして製造することができる。…(略)…その後、エラストマー組成物をシート状に成形し、それを金型に充填し、所定の条件下で架橋させて誘電膜を作製する。次に、電極用のエラストマー、導電性フィラー、および加硫促進剤等の添加剤を、溶剤中にて分散、混合して塗料とした後、該塗料を薄膜状に成形して、未加硫の電極を作製する。次に、作製した誘電膜の一対の表面に、未加硫の電極を配置して、所定の条件下でプレスして加硫接着する。…(略)…」 (5) 段落0072 「【0072】 …(略)…例えば、凸曲げの場合には、誘電膜2に対して圧縮応力が加わるため、撓み量の増加と共に電極間距離が小さくなり、キャパシタンス(C)が大きくなったと考えられる。一方、凹曲げの場合には、誘電膜2に対して引張り応力が加わるため、撓み量の増加と共に膜厚(電極間距離)が大きくなり、キャパシタンス(C)が小さくなったと考えられる。このように、本発明の静電容量型センサによると、キャパシタンスの変化挙動に基づいて曲げ変形の方向および大きさを判別することができる。」 (6) 段落0073 「【0073】 本発明の静電容量型センサは、人工皮膚等のソフトな面圧センサ、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボード等の情報入力デバイスをはじめ、着座センサ、車両の衝突検知センサ、ベッド用面圧分布センサ等、様々な用途に適用することができる。」 2 引用発明 上記1からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「エラストマー製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている一対の電極と、を備え、 一対の電極は、エラストマーと、該エラストマー中に配合されている導電性フィラーと、を有し、エラストマー中に配合されている導電性フィラーは炭素材料の微粒子であって、炭素材料としては例えばケッチェンブラック等の導電性に優れるカーボンブラックが好適であり、 誘電膜の変形に対する追従性を高めるため、電極の引張り試験(JIS K6251)における切断時伸びは、200%以上であることが望ましく、 シート状に成形されたエラストマー組成物から作製された誘電膜と、薄膜状に成形された塗料から作製された未加硫の電極を加硫接着して製造されるものであり、 凸曲げの場合には誘電膜に対して圧縮応力が加わることによりキャパシタンスが大きくなり、凹曲げの場合には誘電膜に対して引張り応力が加わることによりキャパシタンスが小さくなり、キャパシタンスの変化挙動に基づいて曲げ変形の方向および大きさを判別することができ、 人工皮膚等のソフトな面圧センサ、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボード等の情報入力デバイスをはじめ、着座センサ、車両の衝突検知センサ、ベッド用面圧分布センサ等、様々な用途に適用される 静電容量型センサ。」 3 周知例1の記載 本願の出願日より前の2013年(平成25年)3月7日を国際公開日とする国際公開第2013/031958号(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2。以下、「周知例1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。 (1) 段落0002から0010まで 「[0002]炭素原子のみで構成されるカーボンナノチューブは、電気的特性や熱伝導性、機械的性質の優れた材料である。カーボンナノチューブは、非常に軽量、且つ、極めて強靱であり、また、優れた弾性・復元性を有する材料である。このように優れた性質を有するカーボンナノチューブは、工業材料として、極めて魅力的、且つ重要な物質である。 [0003]ポリマーフォームおよびエラストマーに導電性フィラーを配合したカーボンナノチューブ複合材料や導電材料は、各種の用途、たとえば、電子商品、コンピュータ、医用機器などにおいて、電磁遮蔽および/または静電気放散をさせるためのガスケットやシールとして広く用いられている。過去においては、通常、金属やカーボンブラックなどの微粒子をもちいることにより電気導電性を与えていた。電子部品の小型化と、プラスチック部品の利用が進むにつれて、特に民生用電子機器では、より高導電性を有するカーボンナノチューブ複合材料や導電材料が必要とされてきている。そこで、導電性に優れたカーボンナノチューブは、導電性フィラーとして注目されている。 [0004]例えば、中心部位から炭素繊維が三次元的(放射状)に延びているカーボンナノチューブをエラストマー中に配合すると、上記特定のカーボンナノチューブが、その三次元的な形状に由来し、エラストマー中で均一に分散する結果、エラストマー全体に連続的な導電路(導電パス)が形成され、導電性に優れる柔軟電極が実現されている(特許文献1)。 [0005]…(略)… [0006]しかしながら、これらの従来技術によるカーボンナノチューブ複合材料や導電材料は、ひずみなどの応力が繰り返し与えられると、マトリックスの変形に対して、導電性フィラーが完全に追随できないため、マトリック中の導電性フィラーの導電路が徐々に不可逆に構造変化してしまい、導電性が劣化してしまうという問題があった。…(略)… [0007]…(略)… [0008]…(略)… [0009]…(略)… [0010]本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解決し、高導電性を備え、ひずみなどの繰り返し応力に対して優れた耐久性を発揮できるカーボンナノチューブ複合材料及び導電材料を提供することを課題とする。」 (2) 段落0027 「[0027]本発明に係るカーボンナノチューブ複合材料及び導電材料は、カーボンナノチューブが存在する導電領域が連続的な導電路を効率良く形成するため、少ないカーボンナノチューブの配合量で、高い導電性を有する。また、本発明に係るカーボンナノチューブ複合材料及び導電材料は、カーボンナノチューブとマトリックス各々が優れた変形能を有し、互いの変形に追随して変形するため、ひずみなどの応力が繰り返されてもカーボンナノチューブが存在する導電領域の構造変化や亀裂、破断などを未然に防止することができる。これによって、本発明に係るカーボンナノチューブ複合材料及び導電材料はひずみなどの繰り返し応力に対して優れた耐久性を発揮できる。」 (3) 段落0043から0047まで 「[0043][カーボンナノチューブの特性] 本発明のカーボンナノチューブ複合材料に用いるカーボンナノチューブの特性は、カーボンナノチューブ複合材料からカーボンナノチューブのみを抽出し、例えばバッキペーパーにして評価することができる。抽出は、溶媒を用いてマトリックスを溶解するなどの公知の手段を適宜用いることができる。本発明のカーボンナノチューブ複合材料に用いるカーボンナノチューブの長さは、0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。このようなカーボンナノチューブは優れた変形能を有し、マトリックスの変形に追随して変形するため、ひずみなどの繰り返し応力に対して優れた耐久性を発揮できる。 [0044]本発明のカーボンナノチューブ複合材料に用いるカーボンナノチューブの平均直径は、1nm以上30nm以下の範囲であり、好ましくは1nm以上10nm以下の範囲である。平均直径が小さすぎると、凝集性が強すぎて分散しない。逆に平均直径が大きすぎると、カーボンナノチューブが硬くなるため、マトリックスの変形に追随して変形できなくなり、繰り返し応力に対して優れた耐久性を発揮できない。…(略)… [0045]…(略)… [0046]…(略)… [0047]本発明のカーボンナノチューブ複合材料に用いるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブが好ましい。単層カーボンナノチューブは優れた変形能を有し、マトリックスの変形に追随して変形するため、好ましい。」 (4) 段落0098 「[0098]〔実施例1で製造されるカーボンナノチューブの特性〕 カーボンナノチューブ集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、実施例1の製造条件では、典型値として、長さが100μm、平均直径が3.0nmである。」 上記(1)ないし(4)の記載を総合すると、周知例1には、エラストマーのマトリックスに導電性フィラーを配合した導電材料において、導電性フィラーとして、過去に用いられていた金属やカーボンブラックなどの微粒子に代えてカーボンナノチューブを用いるようにすれば、エラストマー全体に連続的な導電路が形成されるため導電性に優れた柔軟な導電材料が実現できることが記載されている。また、導電性フィラーに用いられるカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブであって、長さが0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上、実施例としては100μmであり、平均直径が1nm以上30nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下、実施例としては3.0nmであるものを用いれば、カーボンナノチューブが優れた変形能を有し、ひずみなどの応力が繰り返し与えられてもカーボンナノチューブが存在する導電領域の構造変化や亀裂、破断などを未然に防止することができるということが記載されている。実施例のようにカーボンナノチューブの長さが100μm、平均直径が3.0nmである場合、アスペクト比は約30,000(=100μm/3.0nm)程度となる。 4 周知例2の記載 本願の出願日より前の2009年(平成21年)8月20日を国際公開日とする国際公開第2009/102077号(合議体が新たに引用するもの。以下、「周知例2」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。 (1) 第2頁第16行から第3頁第14行まで 「しかるに、伸長可能なエレクトロニクスデバイスの開発における最も困難な課題の1つは、機械的な耐久性と電気的性能を同時に達成することである。通常、堅固な材料は、優れた電気的性能と、優れた制御性または安定性を示すが、機械的な耐久性は劣る。それに対して柔らかい材料は優れた機械的特性を示すが、電気的性能は劣る。実際、炭素粒子を含む導電性ゴムの導電率の最大値は0.1S/cmである。この値は、集積回路の配線に利用するには小さすぎる。 …(略)… 本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解決し、電子回路の構成材料として用いるのに十分な導電性と通常のゴム材料にも劣らない弾性を有し、フレキシブルエレクトロニクスの実現が可能となる伸長可能なエレクトロニクスデバイスを与えることのできるカーボンナノチューブゴム組成物、カーボンナノチューブゴム、カーボンナノチューブゴムペースト、配線、導電性ペースト、及びそれらを備える物品、及び電子回路を提供し、またその製造方法を提供することを課題とする。 本発明は、上記課題を解決するための手段を提供するものであって、下記からなる。 1.カーボンナノチューブ、ゴム、およびイオン性液体からなるカーボンナノチューブゴム組成物であって、 前記ゴムはイオン性液体と混和性を有することを特徴とするカーボンナノチューブゴム組成物。」 (2) 第20頁第11行から第21頁第11行まで 「カーボンナノチューブゴム組成物、カーボンナノチューブゴム、カ一ボンナノチューブペースト、配線、導電性ペース トに含まれる カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ(SWNT)および多層カーボンナノチューブ(MWNT)のいずれをも適宜用いることができる。高導電性を持ち、かつ高い伸長率を持つカーボンナノチューブゴム組成物を実現するためには、カーボンナノチューブが長いこと、純度が高いこと、及び比表面積が高いことが好ましい。そのため、一般的に比表面積が低く、長さも短い多層カーボンナノチューブより、比表面積が高く、長さも長い単層カーボンナノチューブがより好ましい。 高導電性、高い伸長率を得るためには、カーボンナノチューブが可能な限り長いことが望ましい。これは、カーボンナノチューブゴム組成物中のカーボンナノチューブのネットワーク(編み目構造)が長いカーボンナノチューブにより構成された場合、より電気を通す経路が多く形成でき、かつ伸長した場合においてもネットワークがより破壊されにくいためである。高導電性、高い伸長率を得る上でのカーボンナノチューブの長さには上限はないが、一般的に長いカーボンナノチューブはより分散性が低くなりカーボンナノチューブゴム組成物の製造が困難となる。特に長さが1μm以上10cm以下の長さのカーボンナノチューブは分散性が良く、高純度のものが得やすく、高導電性、高い伸長率を得る上で好ましい。長さが1μm以下のカーボンナノチューブでは高導電性、高い伸長率を実現するためのネットワークを形成することが困難である。長さが10cm以上のカーボンナノチューブは分散性が悪く、かつ分散処理中に容易に切断される。 カーボンナノチューブはナノスケールの直径をもちつつ、長さは長い非常に細長いナノマテリアルのために、一本一本の長さを測定することは非常に困難である。…(略)…」 (3) 第29頁第6行から第18行まで 「実施例1 以下に具体的な実施例を挙げて、本発明に係るカーボンナノチューブゴム組成物、カーボンナノチューブゴムペース ト、カーボンナノチューブゴム、配線、導電性ペース トについてより詳細に説明する。 カーボンナノチューブとして、特願2009-001586、特願2006-527894に記載の方法などを用いて基板から垂直配向した成長させた、カーボンナノチューブ配向集合体を成長基板から剥離した、粉体状の単層カーボンナノチューブ(以下SWNT)を用いた。カーボンナノチューブは、密度:0.03g/cm^(3)、 BET-比表面積:1200m^(2)/g、 平均外径:2.5nm、半値幅2nm、炭素純度99.9%、ヘルマンの配向係数0.8、長さ300μm以上800μm 以下の特性を持つ。 」 上記(1)ないし(3)の記載を総合すると、周知例2には、従来の炭素粒子を含む導電性ゴムに代えてカーボンナノチューブ、ゴム及びイオン性液体からなる導電性ゴムを採用すれば、組成物中にカーボンナノチューブのネットワークが形成されるため高導電性、高い伸長率が実現できることが記載されている。また、導電性ゴムに用いられるカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブであって、長さが1μm以上10cm以下の可能な限り長いものであり、実施例としては、300μm以上800μm以下であるものを用いれば、電気を通す経路が多く形成でき、かつ伸長した場合においてもネットワークが破壊されにくいということが記載されている。さらに、カーボンナノチューブの直径はナノスケール、実施例としては平均外径が2.5nmであることが記載されており、実施例のようにカーボンナノチューブの長さが300μm以上800μm以下で、平均外径が2.5nmである場合、アスペクト比は120,000(=300μm/2.5nm)から320,000(=800μm/2.5nm)程度となる。 5 周知技術 上記3及び4によれば、ゴムなどのエラストマーに導電性フィラーを配合した導電材料において、導電性フィラーとして、単層カーボンナノチューブであり長さが長いもの、具体的には長さが数百μm程度であってアスペクト比が数万から数十万程度であるものを採用することにより、エラストマー全体に導電ネットワークを形成し、カーボンブラックなどの微粒子を採用した場合よりも導電性に優れ、かつ伸長した場合においてもネットワークが破壊されにくい柔軟な導電材料を実現するということが、本願の出願前において周知技術であったといえる。 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 引用発明の「エラストマー製の誘電膜」は、本願発明の「エラストマー組成物からなる誘電層」に相当し、引用発明の「誘電膜を介して配置されている一対の電極」は、本願発明の「誘電層の表面に積層された表側電極層」及び「誘電層の裏面に積層された裏側電極層」の対に相当する。 引用発明の「一対の電極」は、「エラストマーと、該エラストマー中に配合されている導電性フィラーと、を有」するものであるから、「導電性組成物」からなっているといえる。また、引用発明の「炭素材料の微粒子であって、炭素材料としては例えばケッチェンブラック等の導電性に優れるカーボンブラックが好適」である「導電性フィラー」と本願発明の「平均長さ100μm以上で、かつ、アスペクト比が1000以上の単層カーボンナノチューブ」とは、「導電性組成物」に含まれる「導電性の炭素材料」であるという点で共通するものである。 本願発明における「伸縮変形歪み量」とは、センサシートの「伸縮」を伴う「変形」の量のことであると理解されるが、引用発明における「曲げ変形」の「大きさ」は、静電容量型センサに対する「圧縮応力」又は「引張り応力」に起因するキャパシタンスの変化挙動に基づいて判別されるものであり、静電容量型センサの「伸縮」を伴う「変形」の量といえるから、本願発明の「伸縮変形歪み量」に相当するものである。また、引用発明は、「曲げ変形」の「大きさを判別することができ」、そして、「人工皮膚等のソフトな面圧センサ、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボード等の情報入力デバイスをはじめ、着座センサ、車両の衝突検知センサ、ベッド用面圧分布センサ等、様々な用途に適用」されるのであるから、「曲げ変形」の「大きさを判別する」ために用いられるものといえる。したがって、引用発明が、「凸曲げの場合には誘電膜に対して圧縮応力が加わることによりキャパシタンスが大きくなり、凹曲げの場合には誘電膜に対して引張り応力が加わることによりキャパシタンスが小さくなり、キャパシタンスの変化挙動に基づいて曲げ変形の方向および大きさを判別することができ、人工皮膚等のソフトな面圧センサ、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボード等の情報入力デバイスをはじめ、着座センサ、車両の衝突検知センサ、ベッド用面圧分布センサ等、様々な用途に適用される」ということは、本願発明が、「伸縮変形歪み量を測定するために用いられる」ということに相当する。 引用発明の静電容量型センサは「シート状に成形されたエラストマー組成物から作製された誘電膜と、薄膜状に成形された塗料から作製された未加硫の電極を加硫接着して製造されるもの」であるため、製造された静電容量型センサも「シート状」であり、本願発明の「静電容量型センサシート」に相当するといえる。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「エラストマー組成物からなる誘電層と、前記誘電層の表面に積層された表側電極層と、前記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、 前記表側電極層及び前記裏側電極層は、導電性の炭素材料を含む導電性組成物からなり、 伸縮変形歪み量を測定するために用いられる ことを特徴とする静電容量型センサシート。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 導電性の炭素材料が、本願発明では、「平均長さ100μm以上で、かつ、アスペクト比が1000以上の単層カーボンナノチューブ」であるのに対して、引用発明では、「炭素材料の微粒子であって、炭素材料としては例えばケッチェンブラック等の導電性に優れるカーボンブラックが好適」であるとされている点。 (相違点2) 本願発明では、「静電容量型センサシート」の「一軸引張りに耐えられる伸長率が30%以上」であるとされているのに対して、引用発明では、「誘電膜の変形に対する追従性を高めるため、電極の引張り試験(JIS K6251)における切断時伸びは、200%以上であることが望まし」いとされているものの、電極単体ではなく「静電容量型センサ」の一軸引張りに対する特性は不明である点。 第6 相違点についての判断 1 相違点1について 引用文献1の段落0002から0005までの「例えば、特許文献1には、空隙を挟んで対向する一対の金属製電極を備えた静電容量型触覚センサが紹介されている。…(略)…金属製の電極には伸縮性がないため、例えば電極が曲げ変形した場合には、電極が塑性変形により破壊されやすい。また、金属製の電極間に弾性変形可能な誘電体を介在させて静電容量型センサを構成した場合、誘電体は曲げ変形可能であるが、電極は誘電体の変形に追従することができない。このため、電極と誘電体とが剥離してしまい、繰り返し使用することができない。…(略)…本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れ、曲げ変形を検出することのできる静電容量型センサを提供することを課題とする。」との記載及び段落0009から0010までの「また、一対の電極は、エラストマーを母材とする。このため、柔軟であり、誘電膜と一体となって変形することができる。つまり、曲げ変形した場合でも、誘電膜の変形に追従して変形することができる。…(略)…加えて、後述する導電性フィラーによる導電パスの形成により、導電性は良好で、かつ伸縮しても導電性の変化は小さい。したがって、誘電膜の変形量が大きい場合でも、電極としての機能が低下しにくい。」との記載等によれば、引用発明において従来の金属製の電極に代えて「エラストマーと、該エラストマー中に配合されている導電性フィラー」からなる電極を採用したことの目的は、誘電体の変形に応じて電極を伸縮可能とし、かつ、伸縮しても導電性の変化を小さくすることであると理解できる。また、引用文献1の段落0035から0037までの「例えば、アスペクト比の比較的大きな針状の導電性フィラーを用いると、三次元的な導電ネットワークを形成しやすく、少量で高い導電性が実現できる。加えて、電極伸縮時の導電性変化を抑制することができる。…(略)…但し、電極の伸縮性を確保するという観点から、比較的少量の導電性フィラーを配合して、高い導電性を発現できることが望ましい。…(略)…導電性フィラーの充填率が30vol%を超えると、エラストマーへの混合が困難となり、成形加工性が低下する。加えて、電極の伸縮性が低下する。このため、30vol%以下であることが望ましい。」との記載(下線は合議体が付したものである。)は、電極を伸縮可能とし、かつ、伸縮しても導電性の変化を小さくするために、導電性フィラーとして、三次元的な導電ネットワークを形成しやすく、少量で高い導電性が実現できるアスペクト比の比較的大きなものを選択すべきであるということを示唆している。 そして、上記第4の「5 周知技術」で述べたように、ゴムなどのエラストマーに導電性フィラーを配合した導電材料において、導電性フィラーとして、単層カーボンナノチューブであり長さが長いもの、具体的には長さが数百μm程度であってアスペクト比が数万から数十万程度であるものを採用することにより、エラストマー全体に導電ネットワークを形成し、カーボンブラックなどの微粒子を採用した場合よりも導電性に優れ、かつ伸長した場合においてもネットワークが破壊されにくい柔軟な導電材料を実現するということが、本願の出願前において周知の技術であったことからすれば、引用発明において、電極を伸縮可能とし、かつ、伸縮しても導電性の変化を小さくするために、導電性フィラーとして、三次元的な導電ネットワークを形成しやすく、少量で高い導電性が実現できるアスペクト比の比較的大きなものを選択すべきという示唆に基づき、周知技術のように導電性フィラーとして単層カーボンナノチューブであり長さが長いもの、具体的には長さが数百μm程度であってアスペクト比が数万から数十万程度であるものを採用し、その結果として、「平均長さ100μm以上で、かつ、アスペクト比が1000以上」という数値範囲に含まれる単層カーボンナノチューブを採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことということができる。 また、本願発明において、単層カーボンナノチューブの平均長さ及びアスペクト比の数値範囲を、それぞれ「100μm以上」及び「1000以上」としていることの効果について、本願の明細書では段落0032に「また、長尺のカーボンナノチューブを用いた場合、短尺のカーボンナノチューブを用いた場合に比べて、少ない電気接点数で導電性が確保されるとともに、1本のカーボンナノチューブにおける他のカーボンナノチューブとの電極接点数が多くなるためより高次元な電気的ネットワークを形成することができ、このことが導電パスが切断されにくい理由と考えられる。」と記載されているが、このような効果は、引用文献1における「アスペクト比の比較的大きな針状の導電性フィラーを用いると、三次元的な導電ネットワークを形成しやすく、少量で高い導電性が実現できる」との記載や、上記周知技術の内容から予測できる性質のものであり、数値範囲を「100μm以上」及び「1000以上」とすることに臨界的意義があるといったことも把握できない。 2 相違点2について 本願発明においては、「静電容量型センサシートが一軸引張りに耐えられる伸長率が30%以上」であるとされているが、本願の明細書の段落0023の「なお、本発明において、一軸引張りに耐えられる伸長率とは、JIS K 6251に準拠した引張り試験において、破断時伸び以下の伸長率であって、かつ、引張荷重を開放後元の状態に復元する伸長率をいい、例えば、一軸引張りに耐えられる伸長率が30%であるとは、一軸方向に30%伸長させた際に破断に至らず、かつ、引張荷重を開放した後に元の状態に復元する(即ち、弾性変形範囲にある)ことを意味する。」との記載を参酌すれば、「一軸引張りに耐えられる伸長率」との指標は「JIS K 6251に準拠した引張り試験において、破断時伸び以下の伸長率であって、かつ、引張荷重を開放後元の状態に復元する伸長率」のことであり、この指標の値がより大きい部材は、引張りへの耐性がより強い、具体的には、より長く伸長させても元の状態に復元するという特徴を持つものであると理解できる。 一方、引用発明においては、「誘電膜の変形に対する追従性を高めるため、電極の引張り試験(JIS K6251)における切断時伸びは、200%以上であることが望まし」いとされている。ここで、引用文献1の段落0009の「また、一対の電極は、エラストマーを母材とする。このため、柔軟であり、誘電膜と一体となって変形することができる。つまり、曲げ変形した場合でも、誘電膜の変形に追従して変形することができる。ここで、本明細書における「変形」には、圧縮、伸張、曲げ等による変形がすべて含まれる。このように、一対の電極が誘電膜の変形に応じて伸縮可能であるため、曲面形状に対しても容易に装着することができる。また、繰り返し使用しても、電極と誘電膜とは剥離しにくく、耐久性に優れる。」との記載を考慮すれば、引用発明において「誘電膜の変形に対する追従性を高めるため」とされていることの前提には、誘電膜に対し「圧縮、伸長、曲げ等による変形」が繰り返しもたらされるという事実があることが理解できるが、そのような事実に対処するためには、電極単体としてだけではなく、「エラストマー製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている一対の電極と、を備え」る静電容量型センサ全体としての引張りへの耐性も考慮すべきであることが自明である。このことは、例えば本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2012-73150号公報(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3。)の段落0038に「静電容量型センサ1の切断時伸びは、300%である」との記載があり、引用発明と同様に着座センサ等に適用される静電容量型センサにおいて、電極単体ではなく、静電容量型センサ全体としての引張り耐性が規定されていることからも理解できる。 そして、引用発明において、静電容量型センサ全体としての引張りへの耐性を考慮するにあたり、具体的にどの程度の耐性を要求するのかは、引用発明の適用が想定される「人工皮膚等のソフトな面圧センサ、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボード等の情報入力デバイスをはじめ、着座センサ、車両の衝突検知センサ、ベッド用面圧分布センサ」などの様々な用途等に応じて当業者が適宜決定し得る単なる設計的事項にすぎない。特に、引用発明の静電容量型センサが、「圧縮、伸長、曲げ等による変形」が繰り返しもたらされるものであるということを考慮すれば、静電容量型センサへの「圧縮、伸張、曲げ等による変形」の後でセンサが元の状態に復元する必要があることは当然のことであるから、上述の様々な用途等に応じた長さに伸長させても元の状態に復元するということを静電容量型センサ全体の引張り耐性として要求し、その結果として、「一軸引張りに耐えられる伸長率が30%以上」という数値範囲を満たすようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 また、本願発明において、一軸引張りに耐えられる伸長率の数値範囲を「30%以上」としている点について、本願の明細書では段落0023に「本発明の静電容量型センサシートは、一軸引張りに耐えられる伸長率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、100%以上であることが更に好ましく、200%以上であることが特に好ましい。」と記載されており、この記載からは一軸引張りに耐えられる伸長率がより大きければより好ましいということは読み取れるが、「30%以上」とすることに臨界的意義があるといったことは把握できない。 3 請求人の主張について (1) 請求人は審判請求書の請求の理由において、引用発明が解決しようとする課題は、引用文献1の段落0003に記載されるように、曲げ変形可能な静電容量型センサにおいて「電極と誘電体とが剥離してしまい、繰り返し使用することができない」というものであるのに対し、周知例1(引用文献2)には、ひずみなどの応力が繰り返されても導電材料自体に構造変化や亀裂、破断などが生じることを防止することができることが記載されているにすぎず、カーボンナノチューブ複合材料(導電材料)がひずみなどの応力が繰り返された際に、他の部材から剥離することを防止できるといったことが記載されているわけではないため、引用発明が解決しようとする課題に基づいて周知例1に示されるような技術を採用することが当業者にとって容易であるとした審査官の判断は誤りであり、引用発明において周知例1に示されるような技術を採用することの動機づけが存在しないという旨の主張をしている。 この主張に関し、確かに引用文献1の段落0003には、金属製の電極を採用した場合に「電極と誘電体とが剥離してしま」うという問題が生じることが記載されている。しかしながら、この問題は同じく段落0003に記載されるように「金属製の電極には伸縮性がない」ことに起因するものであり、この問題を解決するために、引用発明では、伸縮可能であり、かつ、伸縮しても導電性の変化が小さい電極として「エラストマーと、該エラストマー中に配合されている導電性フィラー」からなる電極を採用しているということは、上記1で述べたとおりである。すなわち、引用発明においては、段落0003に記載されるような「電極と誘電体とが剥離してしま」うという問題は、「エラストマーと、該エラストマー中に配合されている導電性フィラー」からなる電極を採用することで、すでに金属製の電極を用いた場合よりも改善されているのである。そして、同じく上記1で述べたように、引用文献1の段落0035から0037までの記載が、電極を伸縮可能とし、かつ、伸縮しても導電性の変化を小さくするために、三次元的な導電ネットワークを形成しやすく、少量で高い導電性が実現できるアスペクト比の比較的大きな導電性フィラーを選択すべきであるということを示唆しているところ、ゴムなどのエラストマーに導電性フィラーを配合した導電材料において、導電性フィラーとして、単層カーボンナノチューブであり長さが長いものを採用することにより、エラストマー全体に導電ネットワークを形成し、カーボンブラックなどの微粒子を採用した場合よりも導電性に優れ、かつ伸長した場合においてもネットワークが破壊されにくい柔軟な導電材料を実現するということが、周知例1及び周知例2に記載されるように本願の出願前の周知技術となっており、かかる周知技術は、まさに、三次元的な導電ネットワークを形成しやすく、少量で高い導電性が実現できるアスペクト比の比較的大きな導電性フィラーを提供するものであるから、引用発明においてかかる周知技術を採用することの動機づけは十分存在しているといえる。 よって、請求人のこの主張は採用することができない。 (2) また、請求人は審判請求書の請求の理由において、審査官が原査定の理由で、「引用文献1に記載された発明は、上述のように伸縮変形歪みの検出に用いられるところ、この場合、引張りに耐えられる伸張率が大きい方が望ましいことは当業者に明らかであるから、引用文献1に記載された発明において耐えられる伸張率をできるだけ高くすることは当業者にとって容易に想到し得ることである」と判断した点について、センサの曲がった後の形状を円弧(円の一部)とするためには静電容量型センサにある程度の剛性が必要であるため、引用発明において、引張りに耐えられる伸張率が「大きければ大きいほど望ましい」などということは、通常、当業者は考えず、よって、引用文献1に接した当業者にとって、一軸引張りに耐えられ伸長率を30%以上にすることは当業者が容易に想到し得ることではないとの主張もしている。 しかしながら、上記2で述べたように、静電容量型センサ全体としての引張りへの耐性を考慮するにあたり、具体的にどの程度の耐性を要求するのかは、引用発明の適用が想定される「人工皮膚等のソフトな面圧センサ、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボード等の情報入力デバイスをはじめ、着座センサ、車両の衝突検知センサ、ベッド用面圧分布センサ」などの様々な用途等に応じて当業者が適宜決定し得る単なる設計的事項にすぎず、一軸引張りに耐えられる伸長率の数値範囲を「30%以上」とすることに臨界的意義があるなどの事情も把握できないため、その点について進歩性を認めることはできない。なお、請求人が主張するように「センサの曲がった後の形状を円弧(円の一部)とするためには静電容量型センサにある程度の剛性が必要である」という点に関し、引用文献1の段落0041には「また、本発明の静電容量型センサにおいて、曲げ変形を検出するためには、一対の電極の少なくとも一方の表面に、該表面の弾性変形を拘束する拘束部材を配置することが望ましい。」との記載があり、このような「拘束部材」によってもある程度の剛性が与えられるものと推測できる。静電容量型センサに要求される引張りへの耐性の程度は、上述のようなセンサの用途の他、このような「拘束部材」の有無も当然に考慮して設計されるべき事項である。 よって、請求人のこの主張も採用することができない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-10-26 |
結審通知日 | 2018-10-30 |
審決日 | 2018-11-13 |
出願番号 | 特願2013-96461(P2013-96461) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 眞岩 久恵 |
特許庁審判長 |
小林 紀史 |
特許庁審判官 |
櫻井 健太 中塚 直樹 |
発明の名称 | 静電容量型センサシート及び静電容量型センサ |
代理人 | 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所 |