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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1347586
審判番号 不服2017-11356  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-31 
確定日 2019-01-04 
事件の表示 特願2015-193322「太陽電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月20日出願公開、特開2016-111334〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月30日(パリ条約による優先権主張2014年12月8日、大韓民国)の出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。
平成28年 8月25日:拒絶理由の通知
平成28年11月30日:意見書、手続補正書の提出
平成29年 4月10日:拒絶査定(同年4月18日送達)
平成29年 7月31日:審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成29年7月31日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年7月31日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 補正の内容
「【請求項1】
透明部材と、
上面に前記透明部材が接着される封止材と、
前記封止材の内部に固定される複数の太陽電池セルと、
前記封止材の下面に接着されるバックシートとを含み、
前記バックシートは、
基材と、
前記基材の下面に形成されるポリテトラフルオロエチレンフィルム層と、
前記基材の上面に形成され、白色無機物を含み、ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンからなる表面層とから構成される、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記封止材は、ポリオレフィン系封止材からなる、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記封止材は、前記太陽電池セルの上部を囲むように備えられるエチレンビニルアセテート系封止材と、前記太陽電池セルの下部を囲むように備えられるポリオレフィン系封止材とからなり、
前記表面層は、前記ポリオレフィン系封止材に接着される、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルム層である、請求項2又は3に記載の太陽電池モジュール。」
とあったものを、
「【請求項1】
透明部材と、
上面に前記透明部材が接着される封止材と、
前記封止材の内部に固定される複数の太陽電池セルと、
前記封止材の下面に接着されるバックシートとを含み、
前記封止材は、
前記太陽電池セルの上部を囲むように備えられ、エチレンビニルアセテート(EVA)からなる上部封止材と、
前記太陽電池セルの下部を囲むように備えられ、ポリオレフィン(PO)からなる下部封止材とからなり、
前記バックシートは、
基材と、
前記基材の下面に形成されるポリテトラフルオロエチレンフィルム層と、
前記基材の上面に形成され、白色無機物を含み、ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンからなる表面層とから構成され、
前記表面層は、前記下部封止材に接着され、
前記基材は、複数枚のフィルムが積層されて形成され、
前記複数枚のフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリブチレンナフタレート(PBN)から選択される少なくとも2つからなる、太陽電池モジュール。」
に補正するものである。

2 補正の適否
上記1の特許請求の範囲についての補正は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「封止材」について「前記封止材は、前記太陽電池セルの上部を囲むように備えられ、エチレンビニルアセテート(EVA)からなる上部封止材と、前記太陽電池セルの下部を囲むように備えられ、ポリオレフィン(PO)からなる下部封止材とからなり、」との限定、「表面層」について「前記表面層は、前記下部封止材に接着され、」との限定、及び、「基材」について「前記基材は、複数枚のフィルムが積層されて形成され、前記複数枚のフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリブチレンナフタレート(PBN)から選択される少なくとも2つからなる」との限定をするとともに、本件補正前の請求項2ないし4を削除したものである。

したがって、本件補正後の特許請求の範囲に係る補正は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除及び特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用され本願の優先日前に頒布された引用文献1(特表2014-513431号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様である。)。
ア 「【0021】
図2?図6に示すように、本発明の態様に係る太陽電池モジュール用バックシート(以下、「バックシート」と略する。)は、基材としてポリエステルフィルム層12を用い、耐候性等のためのフッ素コート層14を含む。
【0022】
ここで、前記フッ素コート層14は、フッ素樹脂組成物がポリエステルフィルム層12の少なくとも一方の面にコートされて形成される。具体的に、フッ素コート層14は、ポリエステルフィルム層12の上面14a、または下面14bに形成されていてよいが、上面14aと下面14bとの両面に形成されていてもよい。参考として、図2および図3は、フッ素コート層14がポリエステルフィルム層12の上面14aと下面14bとの両面に形成された状態を例示した図である。図4は、フッ素コート層14がポリエステルフィルム層12のいずれか一方の面、すなわちポリエステルフィルム層12の下面に形成された状態を例示した図である。
【0023】
具体的に、先ず、図2を参照して説明すると、本発明の第1の態様に係るバックシート10は、ポリエステルフィルム層12;前記ポリエステルフィルム層12の上面にコートされた上部フッ素コート層14a;および前記ポリエステルフィルム層12の下面にコートされた下部フッ素コート層14bを含む積層構造を有する。
【0024】
前記ポリエステルフィルム層12はポリエステルフィルムから構成される。本発明において、前記ポリエステルフィルムは、カルボキシル基を有する化合物と水酸基を有する化合物とが重合されたポリエステル系ポリマーをフィルム状に成形してなるものである。特に制限されるものではないが、前記ポリエステルフィルムは、好ましくは、耐熱性や機械的強度等の面で有利なポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)またはポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)から選択されたものであってよい。また、前記ポリエステルフィルム層12は、特に限定されるものではないが、例えば80?400μmの範囲の厚さを有していてよく、好ましくは、100?250μmの範囲の厚さを有していてよい。」

イ 「【0042】
具体的に、前述したように太陽電池モジュールの充填シート20は、エチレンビニルアセテート(EVA)シートから構成されていてよく、このとき、前記ポリエチレン系フィルム層15は、エチレンビニルアセテート(EVA)シートを構成する単量体の一種であるエチレンを含むことから、充填シート20に対して優れた接着力を有するようになる。また、前述したように、前記ポリエステルフィルム層12は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)またはポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)から構成されるのが好ましく、このとき、前記ポリエチレン系フィルム層15は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)またはポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)を構成する単量体の一種であるエチレンを含むことから、ポリエステルフィルム層12に対して優れた接着力を有する。」

ウ 「【0056】
図6を参照して、本発明の態様に係る太陽電池モジュールは、例えば、透明部材30、充填シート20、太陽電池セルC、および前述したような本発明に係るバックシート10を含む。
【0057】
ここで、前記透明部材30は、太陽電池セルCの上部側を保護するものであって、このような透明部材としては、太陽電池の保護と光の入射に有利な強化ガラスが用いられていてよい。また、前記充填シート20は、電気的に接続された複数の太陽電池セルCが充填、固定されるものであって、図6に示すように上部充填シート20bと下部充填シート20aとで構成されていてよい。このような充填シート20、20a、20bとしては、エチレンビニルアセテート(EVA)シートを用いていてよい。
【0058】
図6に示すように、バックシート10は、充填シート20の下面、具体的に下部充填シート20aの下面に貼り合わされる。このとき、バックシート10と下部充填シート20aとは熱融着や接着剤を介して貼り合せていてよい。前記接着剤は、特に制限されないが、例えばアクリル系、ウレタン系、およびエポキシ系樹脂等から選択された一種以上の接着剤を用いていてよい。バックシート10と下部充填シート20aとは、好ましくは、熱融着にて貼り合わせた方がよい。ここで、図2中のバックシート10の場合、下部充填シート20aに上部フッ素コート層14aが貼り合わされ、図3中のバックシート10の場合、下部充填シート20aにプライマー層16が形成される。そして、図4および図5に示されたバックシート10の場合、下部充填シート20aにポリエチレン系フィルム層15が貼り合わされる。図6は、図4に示されたバックシート10が貼り合わされた太陽電池モジュールを例示した図である。」

エ 「【0062】
[実施例1]
ポリエチレン(PE)100重量部に対して平均粒度3μmの大きさの二酸化チタン(TiO_(2))10重量部を混合した後、これを通常のフィルム成形方法にて2軸延伸して、150μm厚さの白色PEフィルム(以下、「W-PEフィルム」という。)を作製した。
【0063】
また、耐熱性PETフィルム(厚さ150μm)の一方の面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をコートして15μm厚さのフッ素コート層を形成した。そして、他方の面には、前記作製したW-PEフィルム(PE+TiO_(2))をアクリル系接着剤にて貼り合わせて、W-PE(150μm)/耐熱PET(150μm)/フッ素コート層(15μm)の積層構造を有するバックシートを作製した。


オ 図6の記載から、上面に透明部材30が接している充填シート20は、複数の太陽電池セルCの上部を囲むように備えられた上部充填シート20bと、複数の太陽電池セルCの下部を囲むように備えられた下部充填シート20aとで構成されることが見て取れる。

カ 上記ウないしオから引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「透明部材、
上面に透明部材が接している充填シート、
充填シートに充填、固定される複数の太陽電池セル、
充填シートの下面に貼り合わされるバックシート、
充填シートは、
複数の太陽電池セルの上部を囲むように備えられた上部充填シートと複数の太陽電池セルの下部を囲むように備えられた下部充填シートとで構成され、エチレンビニルアセテート(EVA)シートを用いていてよく、
耐熱性PETフィルムと、
耐熱性PETフィルムの一方の面にポリテトラフルオロエチレンをコートしたフッ素コート層と、
耐熱性PETフィルムの他方の面にポリエチレンに対して二酸化チタンを混合した白色PEフィルムの白色PEフィルム/耐熱PET/フッ素コート層の積層構造を有するバックシートを作製し、
下部充填シートに白色PEフィルムが貼り合わされる、
太陽電池モジュール。」

(3)引用発明との対比
ア 引用発明の「透明部材」は、本件補正発明の「透明部材」に、引用発明の「充填シート」は、本件補正発明の「封止材」に、引用発明の「封止材の内部に固定される複数の太陽電池セル」は、本件補正発明の「充填シートに充填、固定される複数の太陽電池セル」に、引用発明の「充填シートの下面に貼り合わされるバックシート」は、本件補正発明の「封止材の下面に接着されるバックシート」に、引用発明の「『太陽電池セルの上部を囲むように備えられ』『エチレンビニルアセテート(EVA)シートを用いていてよ』い『上部充填シート』」は、本件補正発明の「太陽電池セルの上部を囲むように備えられ、エチレンビニルアセテート(EVA)からなる上部封止材」に、引用発明の「太陽電池セルの下部を囲むように備えられた下部充填シート」は、本件補正発明の「『太陽電池セルの下部を囲むように備えられ』た『下部封止材』」に、引用発明の「耐熱性PETフィルム」は、本件補正発明の「基材」に、引用発明の「耐熱性PETフィルムの一方の面にポリテトラフルオロエチレンをコートしたフッ素コート層」は、本件補正発明の「基材の下面に形成されるポリテトラフルオロエチレンフィルム層」に、引用発明の「耐熱性PETフィルムの他方の面にポリエチレンに対して二酸化チタンを混合した白色PEフィルム」は、本件補正発明の「『基材の上面に形成され、白色無機物を含み、ポリエチレン』『からなる表面層』」に、引用発明の「下部充填シートに白色PEフィルムが貼り合わされ」は、本件補正発明の「表面層は、前記下部封止材に接着され」に、引用発明の「太陽電池モジュール」は、本件補正発明の「太陽電池モジュール」に、それぞれ相当する。

イ また、引用発明の「上面に透明部材が接している充填シート」と、本願補正発明の「上面に前記透明部材が接着される封止材」とは、「上面に透明部材が接している封止材」である点で一致する。

ウ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「透明部材と、
上面に透明部材が接している封止材と、
前記封止材の内部に固定される複数の太陽電池セルと、
前記封止材の下面に接着されるバックシートとを含み、
前記封止材は、
前記太陽電池セルの上部を囲むように備えられ、エチレンビニルアセテート(EVA)からなる上部封止材と、
前記太陽電池セルの下部を囲むように備えられた下部封止材とからなり、
前記バックシートは、
基材と、
前記基材の下面に形成されるポリテトラフルオロエチレンフィルム層と、
前記基材の上面に形成され、白色無機物を含み、ポリエチレンからなる表面層とから構成され、
前記表面層は、前記下部封止材に接着されている、
太陽電池モジュール。」

【相違点1】
封止材の上面に透明部材が接していることについて、本件補正発明は、「接着」しているのに対し、引用発明は、「接着」しているか明らかでない点。

【相違点2】
太陽電池セルの下部を囲むように備えられた下部封止材について、本件補正発明は、「ポリオレフィン(PO)からなる」のに対し、引用発明は、「エチレンビニルアセテート(EVA)シートを用いていてよ」い点。

【相違点3】
バックシートの基材について、本件補正発明は、「複数枚のフィルムが積層されて形成され、前記複数枚のフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリブチレンナフタレート(PBN)から選択される少なくとも2つからなる」のに対し、引用発明は、「耐熱性PETフィルム」である点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献1(上記(2)ウ参照。)には、透明部材は、太陽電池セルの上部側を保護するものと記載されていること、太陽電池モジュールは、透明部材、充填シートを含むと記載されていることからして、透明部材が充填シートから簡単にはがれては、保護するものや太陽電池モジュールに含まれることにならないから、引用発明において、充填シートの上面に透明部材が接しているのみではなく、接着していると考えることが自然であり、相違点1は、実質的に相違点ではない。
仮に、引用発明において、封止材の上面に透明部材が接しているのみで接着していないとしても、太陽電池モジュールにおいて、封止材の上面に透明部材を接着することは、本願優先日前における周知技術(例えば、特開2011-181637号公報(【0003】?【0008】)、特開2010-221671号公報(【0002】?【0004】)、特開2013-75944号公報(【0029】)を参照されたい。)にすぎない。

イ 相違点2について
太陽電池セルの下部を囲むように備えられた下部封止材を、ポリオレフィン(PO)であるポリエチレン系樹脂からなる下部封止材とすることは、例えば、特開2013-74170号公報(【0072】?【0074】)、特開2013-80737号公報(【0025】)、国際公開第2012/133748号([0084]、[0086])に示されているように、本願優先日前に周知技術である。
そして、引用文献1(上記(2)イ参照。)から、ポリエチレン系フィルム層と充填シートとが単量体としてエチレンを含むことから、優れた接着力を有するようになることが把握でき、そうすると、単量体としてエチレンを含む充填シートは、優れた接着力を有することが、引用文献1に示唆されている。
したがって、引用発明の太陽電池セルの下部を囲むように備えられた下部封止材に、引用文献1の段落【0042】などの示唆に基づいて、引用発明に上記周知技術を適用して、引用発明のエチレンビニルアセテート(EVA)シートをポリオレフィン(PO)であるポリエチレン系樹脂からなるシートに置換することは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3について
太陽電池モジュールのバックシートの基材について、複数層の積層体であってもよいこと、前記複数層の積層体として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)から選択することは、例えば、特開2013-74170号公報(【0049】)、特開2013-80737号公報(【0023】)、国際公開第2010/116649号([0020])に示されているように、本願優先日前に周知技術である。
そして、引用文献1(上記(2)ア参照。)から、基材としてポリエステルフィルム層を用い、特に制限されるものではないこと、前記ポリエステルフィルムは、好ましくは、耐熱性や機械的強度等の面で有利なポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)またはポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)から選択されたものであってよいことが把握でき、そうすると、基材は、ポリエステルフィルム層を用い、耐熱性や機械的強度等の面で有利なポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)またはポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)から選択されたものであってよいことが、引用文献1に示唆されている。
したがって、引用発明の太陽電池モジュールのバックシートの基材に、引用文献1の段落【0024】などの示唆に基づいて、引用発明に上記周知技術を適用して、引用発明の耐熱性PETフィルムを複数層の積層体とし、前記複数層の積層体として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)から選択するようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 本件補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予想し得る範囲内のものであって格別なものではない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年7月31日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年11月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1に記載のとおりである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、1.この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、2.この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

●理由1(特許法第29条第1項第3号)、理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-4
・引用文献等 1

●理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-4
・引用文献等 1、4、5

・請求項 1-4
・引用文献等 1、2

・請求項 1-4
・引用文献等 1-4

<引用文献等一覧>

1.特表2014-513431号公報
2.特開2012-84587号公報
3.特開2010-24446号公報
4.国際公開第2011/090023号(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
5.特開2014-12830号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記封止材は、前記太陽電池セルの上部を囲むように備えられ、エチレンビニルアセテート(EVA)からなる上部封止材と、前記太陽電池セルの下部を囲むように備えられ、ポリオレフィン(PO)からなる下部封止材とからなり、」との限定事項、「前記表面層は、前記下部封止材に接着され、」との限定事項、及び、「前記基材は、複数枚のフィルムが積層されて形成され、前記複数枚のフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリブチレンナフタレート(PBN)から選択される少なくとも2つからなる」との限定事項を削除したものである。
本願発明は上記限定事項を削除したものなので、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載した相違点2、3はなくなり、対比すると、相違点は、相違点1のみである。そして、前記第2の[理由]2(3)に記載した相違点1は、前記第2の[理由]2(4)で検討したように、実質的な相違点でないか、または、本願優先日前における周知技術にすぎない。
そうすると、本願発明は、引用発明である。
または、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号、又は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-08-01 
結審通知日 2018-08-07 
審決日 2018-08-21 
出願番号 特願2015-193322(P2015-193322)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐竹 政彦河村 麻梨子  
特許庁審判長 西村 直史
特許庁審判官 野村 伸雄
近藤 幸浩
発明の名称 太陽電池モジュール  
代理人 南山 知広  
代理人 河合 章  
代理人 三橋 真二  
代理人 青木 篤  
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