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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A23L |
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管理番号 | 1347632 |
異議申立番号 | 異議2017-700287 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-03-21 |
確定日 | 2018-10-29 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5994160号発明「容器詰緑色野菜含有飲料及びその製造方法、並びに容器詰緑色野菜含有飲料における色合い劣化抑制方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5994160号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、7、8について訂正することを認める。 特許第5994160号の請求項1ないし8に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5994160号の請求項1?8に係る特許についての出願は、平成28年9月2日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人花崎健一より特許異議の申立てがされ、平成29年7月21日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年9月22日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、平成30年1月31日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成30年3月22日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、その後、平成30年4月25日に特許異議申立人から意見書の提出がされたものである。 なお、平成29年9月22日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取下げられたものとみなす。 第2 訂正について 1 訂正の内容 平成30年3月22日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 訂正前の請求項1に、「容器詰緑色野菜含有飲料であって、 その流通温度帯は、チルド帯であり、 そのpHは、4.6乃至6.5であり、かつ、 その製造から11日後の-a/b値は、0.1以上である、 もの。」とあるのを、 「容器詰緑色野菜含有飲料であって、 その流通温度帯は、チルド帯であり、 そのpHは、4.6乃至6.5であり、かつ、 その製造から11日後の-a/b値は、0.1以上であり、 それが含有するのは、破砕された緑色野菜、及び、この緑色野菜とは異 なる野菜又は果実であり、 前記破砕された緑色野菜は、その破砕前に加熱されていないものである、 もの。」と訂正する。 (2) 訂正事項2 訂正前の請求項2に、「請求項1の飲料において、 緑色の由来は、クロロフィルである、 もの。」とあるのを、 「請求項1の飲料において、 緑色の由来は、クロロフィルであり、 乳化剤は、無添加である、 もの。」と訂正する。 (3) 訂正事項3 訂正前の請求項4に、「請求項1乃至3の何れかの飲料であって」とあるのを、 「請求項1又は2の飲料において」と訂正する。 (4) 訂正事項4 訂正前の請求項4に、「それが含有する緑色野菜は、その破砕前に加熱されていないものである、」とあるのを、 「それが含有する緑色野菜は、その破砕前に加熱されていない小松菜である、」と訂正する。 (5) 訂正事項5 訂正前の請求項5に、「請求項1乃至4の何れかの飲料であって」とあるのを、 「請求項1又は2の飲料であって」と訂正する。 (6) 訂正事項6 訂正前の請求項6に、「請求項4又は5の飲料であって」とあるのを、 「請求項5の飲料であって」と訂正する。 (7) 訂正事項7 訂正前の請求項7に、「容器詰緑色野菜含有飲料の製造方法であって、当該製造方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。」とあるのを、 「容器詰緑色野菜含有飲料の製造方法であって、当該製造方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であり、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。」と訂正する。 (8) 訂正事項8 訂正前の請求項8に、「容器詰緑色野菜含有飲料の色合い劣化抑制方法であって、当該方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。」とあるのを、 「容器詰緑色野菜含有飲料の色合い劣化抑制方法であって、当該方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であり、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正の目的について ア 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「容器詰緑色野菜含有飲料」に含有される原材料について、「破砕された緑色野菜、及び、この緑色野菜とは異なる野菜又は果実であ」ると限定し、更に「緑色野菜」について、「破砕された緑色野菜は、その破砕前に加熱されていないものである」と属性を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 訂正事項2は、飲料において、「乳化剤は、無添加である」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ウ 訂正事項3は、訂正前の請求項4の「請求項1乃至3の何れかの飲料であって」のうち、択一的に記載されていた「請求項3」を削除して「請求項1又は2の飲料において」とより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 エ 訂正事項4は、訂正前の請求項4において「緑色野菜」の種類は限定されていなかったものを、「小松菜」とより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 オ 訂正事項5は、訂正前の請求項5の「請求項1乃至4の何れかの飲料であって」のうち択一的に記載されていた「請求項3」及び「請求項4」を削除して、「請求項1又は2の飲料であって」とより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 カ 訂正事項6は、訂正前の請求項6の「請求項4又は5の飲料であって」のうち択一的に記載されていた「請求項4」を削除して、「請求項5の飲料であって」とより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 キ 訂正事項7及び8は、訂正前の「破砕工程であって、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物」における「緑色野菜」について、「ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であ」ると属性を限定し、加えて、「冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であ」ると特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 新規事項の追加、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について ア 訂正事項1については、本件特許明細書の段落【0015】に「<原材料> 本飲料が含有するのは、緑色野菜である。」、段落【0016】に「本飲料が含有するのは、緑色野菜であるが、これに混合しうるものは、飲料一般で使用される野菜及び果実である。」及び段落【0018】に「本製法では、破砕工程前に、緑色野菜(例えば、小松菜)は、加熱されない。非加熱の理由は、熱による緑色劣化の防止であり、クロロフィルの分解防止である。」と記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2については、本件特許明細書の段落【0019】に「調合工程では、当該搾汁が混合撹拌され、それで得られるのは、調合液である。本製造方法が排除しないのは、各食品添加物の添加である。食品添加物を例示すると、香料、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、栄養強化剤等である。もっとも、これらの物質は、本来の風味を実現する観点から、添加しないことが好ましい。また、色合いを保持するための添加物(例えば、金属イオン及びその塩)も添加しないことが好ましい。」と記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項3、5及び6は、引用する請求項を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 訂正事項4は、訂正前の請求項6に「前記緑色野菜は、小松菜である」と記載され、段落【0018】に「本実施の形態で破砕される野菜は、少なくとも、緑色野菜であり、より具体的には、小松菜である。」と記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ 訂正事項7及び8については、段落【0018】に「本製法では、破砕工程前に、緑色野菜(例えば、小松菜)は、加熱されない。非加熱の理由は、熱による緑色劣化の防止であり、クロロフィルの分解防止である。」と記載され、段落【0022】に「冷却工程では、殺菌された調合液又は密封された容器が冷却される。本発明において排除しないのは、殺菌工程前における冷却工程である。冷却されるのは、破砕物、搾汁、又は調合液である。」と記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 カ さらに、訂正事項1?6は、請求項1?6の一群の請求項に対して請求された訂正である。 (3) 小括 したがって、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条4項、及び、同条9項で準用する同法126条5及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕、7、8について訂正を認める。 第3 取消理由についての判断 1 訂正請求項1?8に係る発明 上記訂正請求により訂正された請求項1?8に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明8」という。)は、以下のとおりのものである。 【請求項1】 容器詰緑色野菜含有飲料であって、 その流通温度帯は、チルド帯であり、 そのpHは、4.6乃至6.5であり、かつ、 その製造から11日後の-a/b値は、0.1以上であり、 それが含有するのは、破砕された緑色野菜、及び、この緑色野菜とは異 なる野菜又は果実であり、 前記破砕された緑色野菜は、その破砕前に加熱されていないものである、 もの。 【請求項2】 請求項1の飲料において、 緑色の由来は、クロロフィルであり、 乳化剤は、無添加である、 もの。 【請求項3】 請求項1又は2の何れかの飲料において、 金属イオン及びその塩、並びに着色料が無添加である、 もの。 【請求項4】 請求項1又は2の飲料において、 それが含有する緑色野菜は、その破砕前に加熱されていない小松菜である、 もの。 【請求項5】 請求項1又は2の飲料であって、 それが含有する緑色野菜は、その破砕後殺菌前まで加熱されていないものである、 もの。 【請求項6】 請求項5の飲料であって、 前記緑色野菜は、小松菜である、 もの。 【請求項7】 容器詰緑色野菜含有飲料の製造方法であって、当該製造方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であり、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。 【請求項8】 容器詰緑色野菜含有飲料の色合い劣化抑制方法であって、当該方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であり、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。 2 取消理由について (1) 本件訂正前の本件特許に対し、平成29年7月21日付けで通知した取消理由のうち、取消理由2は、概ね、次のとおりである。 取消理由2 請求項1?8に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 ・請求項 1?6 ・引用例 2、1、3、4 ・請求項 7、8 ・引用例 2、1、4 <<引用例>> 引用例1:中林敏郎、”ホーレン草の緑色に及ぼすpHと温度の影響”、日本食品工業学会誌、1986年、第33巻、第12号、p.835-836(異議申立人提出の甲第1号証) 引用例2:特開平8-308542号公報(異議申立人提出の甲第2号証)引用例3:特開2012-239403号公報(異議申立人提出の甲第3号証) 引用例4:分部麻希、外3名、”野菜ジュース調製時の還元型及び酸化型ビタミンCの変化”、日本調理科学会誌、2000年、第33巻、第2号、p.221-228(異議申立人提出の甲第4号証) (2) 引用例 取消理由に引用した引用例1には、以下の事項が掲載されている。 (1a) 「近年,緑色野菜のパルプを含む緑色飲料が一部市販されているが,これらは必ずしも新鮮な緑色を呈しているとはいえず,風味も不充分で,かつ保存性に乏しい.これは主に緑色色素のクロロフィルが酸性で速やかに変色するのを防ぐ為には飲料のpHを中性ないしは微アルカリ性に保たねばならず,このことが強い加熱殺菌を必要とすることに起因している.このような緑色飲料の品質改善の為にいくつかの方法が工夫されているが未だ有効な手段は見当らない.そこで緑色飲料の緑色保持の為の基礎的なデーターを得る目的で,まずクロロフィルの変色に最も影響の大きいpHと温度の関係をホーレン草を用いて調べることにした.」(835ページ左欄)(下線は当審で付与したものである。以下同様である。) (1b) 「1. 実験方法 (1) ホーレン草:ブランチングによるクロロフィルの損失をさける為に,市販の新鮮な葉茎を直ちに凍結乾燥後粉砕,48メッシュ以上の粉末を密封容器に入れて冷凍保存したものを使用した.本試料のフェオフィチン変化率は3%で,以下の実験ではこれを差引いて計算した.」(835ページ左欄?右欄) (1c) 「 (3) 実施法:ホーレン草の凍結乾燥粉末50mgをMCILVAIN緩衝液5mlに分散,時々振とうしながらそれぞれの温度で一定時間放置後,ろ過,沈殿を少量の蒸溜水,ついで1%重曹水で洗った後,沈殿を共栓試験管に移し,アセトン10mlを加えて30℃ で振とうする.30分で色素の抽出は完了するのでこれをろ過,ろ液について750(ブランク),556および534nmの吸光度を測定してフェオフィチン変化率を求める.なお吸光度の測定には島津のUV-200Sを使用した.」(835ページ右欄?836ページ左欄) (1d) 「2. 結果および考察 ホーレン草のフェオフィチン変化率 (1) 経時変化:酸性から中性までの4個所のpHで,室温(22?25℃)での2時間のフェオフィチン変化率の経時変化を測定した結果を図2に示した.この結果から以後の実験では60分後の変化率を測定することにした. (2) pHの影響:室温でpH2.5から8までの60分後のフェオフィチン変化率を測定した結果を図3に示した.この結果からpH5.5以上であれば緑色はかなりよく保たれており,緑色飲料の製造はこの条件で行なへばよいことが判る. (3) 温度の影響:酸性から中性までの4個所のpHで,0℃ から100℃ まで種々の温度に60分間保った時のフェオフィチン変化率を測定した結果を図4に示した.この結果からpH5以下では0℃ でもクロロフィルの変色はかなり速やかであるが,pH6以上であればかなり安定で,特に0℃ では長期間緑色が保たれるものと予想されるので,緑色飲料の保存には低温が必要であることが判る。」(836ページ左欄?右欄) (1e) 「3. 要 約 緑色飲料の緑色保持の為の基礎的データーを得る日的で,ホーレン草を用いてそのクロロフィルの変色に及ぼすpHと温度の影響と両者の相関を,フェオフィチン変化率から検討した.その結果,pH5以下では0℃でもクロロフィルの変色はかなり速やかであるが,pH6以上であればかなり安定で,特に0℃ では緑色がかなりの期間よく保たれることを確かめた.」(836ページ右欄) 上記(1a)?(1e)の記載事項を総合すると、引用例1には、以下の技術的事項(以下「技術的事項1」という。)が記載されている。 技術的事項1:緑色飲料の緑色保持のため、 ホーレン草は、ブランチングによるクロロフィルの損失をさける為に、市販の新鮮な葉茎を直ちに凍結乾燥後粉砕し、緑色飲料は、pH6以上であればかなり安定で、0℃ では緑色がかなりの期間よく保たれること。 なお、平成29年9月22日付け意見書において、特許権者は、「『緑色飲料』と『マッキルベイン緩衝液』とは明確に区別されています。また、『マッキルベイン緩衝液』が飲用されないのは、明らかです。」(意見書4ページ)と主張しているが、上記(1d)及び(1e)の記載から、引用例1において、緑色飲料についての事項を認識し得ることは明らかである。 取消理由に引用した引用例2には、以下の事項が掲載されている。 (2a) 「【請求項1】 次の工程(a)?(e)、(a)緑色野菜から不要部分を除去し、洗浄する工程、(b)緑色野菜にビタミンE類を添加する工程、(c)緑色野菜を破砕する工程、(d)破砕された緑色野菜を搾汁する工程、(e)搾汁液を殺菌する工程を含むことを特徴とする緑色野菜ジュースの製造方法。」 (2b) 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、緑色野菜ジュースの製造方法に関し、さらに詳細には、製造過程や保存中において、緑色野菜特有の緑色の色調が保持される緑色野菜ジュースの製造方法に関する。」 (2c) 「【0003】野菜ジュースの製造に使用できる野菜としては、例えば、セロリ、レタス、キャベツ、ピーマン、パセリ、ほうれん草等のクロロフィルを多量に含む緑色の野菜(以下、「緑色野菜」という)も知られているが、これらを従来の方法により、洗浄、破砕、搾汁、加熱殺菌処理等して得た野菜ジュースは、クロロフィルが破壊される結果、緑色野菜特有の緑色が失なわれ、茶褐色の黒ずんだ色となり、見た目が悪く飲用に堪えないものとなることが多かった。」 (2d) 「【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って、一般の緑色野菜を原料としながら、色調劣化の問題が生じない緑色野菜ジュースが求められており、このような緑色野菜ジュースの製造方法の提供が本発明の課題である。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実情に鑑み、緑色野菜からの野菜ジュースの製造方法について鋭意研究を行なった結果、原料野菜を破砕する前、あるいは破砕すると同時にビタミンEまたはその誘導体を添加すれば、野菜ジュースの色調劣化を防止できることを見出し本発明を完成した。」 (2e) 「【0009】本発明方法において原料として使用される緑色野菜としては、例えばセロリ、パセリ、ミツバ、セリ、ピーマン、キュウリ、シソ、レタス、シュンギク、チシャ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ケール、クレソン、キョウナ、オクラ、ホウレンソウ、マツナ、エンドウ、ネギ、ニラ、アスパラガス、中国野菜(チンゲンサイ、パクチョイ、タケノコハクサイ、タアサイ、チンサイ、コウサイ等)等の緑色野菜を挙げることができる。 これらの野菜は二種以上を組合せて用いることもでき、また、ここに挙げたもの以外でも、緑色野菜であれば特に制限なく原料とすることができる。 更に、例えばトマトなど緑色野菜以外の野菜を原料に加えても差支えない。 ・・・ 【0015】本発明においては、ビタミンE類を緑色野菜全体にまんべんに添加することが重要であるので、例えばビタミンE類を乳化したり、アルコールで希釈して添加することが有効であるが、アルコールを用いると搾汁液にアルコール成分が残留してしまうことがあるため、乳化させる方法がより好ましい。 【0016】ビタミンE類の乳化は、例えば、シュガーエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤をビタミンE類に対して1%?10%程度の濃度で用い、これをさらに100?1000倍程度に水で希釈することにより行われる。 なお、乳化剤は大量に使用しても人体に影響はないが、ジュースが白くなって見栄えが悪くなることがあるので、その使用量には留意する必要がある。また、予め乳化状態で市販されているビタミンE類の製剤を購入し、利用してもよい。」 (2f) 「【0022】かくして得られた本発明の野菜ジュースは、そのままで飲用に供することもできるが、必要に応じて味覚や風味を調整するための各種の添加物、例えば、塩、砂糖等の甘味料、酸味料、香料、保存料等を加えることも可能であり、本発明中にそのような工程を加えることができる。 また、透明もしくは混濁果物ジュースと混合し、ミックスジュースとすることも可能である。 ・・・ 【0024】 【作用】緑色野菜の緑色はクロロフィルによるものであり、その含有量で緑色の程度が決定される。 しかし、一旦破砕工程等により野菜の細胞が破壊されると、細胞内のクロロフィルが露出して酸素と接触し、酸化反応によりクロロフィルを構成するマグネシウムがとれて褐変現象が起こり、変色するものと考えられている。 【0025】本発明方法により、破砕工程における緑色の劣化が抑制できる理由は、未だ明らかでない点もあるが、野菜の細胞が破壊されたときに露出するクロロフィルを、ビタミンE類の抗酸化作用により保護するというメカニズムによるものと解される。」 (2g) 「【0032】実 施 例 1 パルプ成分含有野菜ジュースの製造:セロリ、レタス、パセリおよびほうれん草の各野菜について、以下の如くして野菜ジュースを調製した。すなわち、まず各野菜の不要部分を除去し、必要により芯抜き・分割等を行った後十分水洗した。 次いでそれぞれの野菜に、乳化したビタミンEを、野菜重量に対しビタミンEの量として表1に示す量となるよう添加した。なお、ここではビタミンEとして、理研スーパータイプ(理研ビタミン社製:α-トコフェロール3%以下、β-およびγ-トコフェロール55?65%、δ-トコフェロール30?50%)を用い、これに予めシュガーエステル1%、グリセリン脂肪酸エステル2%およびソルビタン脂肪酸エステル2%を加え、70℃に加熱し乳化して使用した。 【0033】更にワーニングブレンダーを用いて野菜を破砕し、フィニッシャーで搾汁し、得られた搾汁液を121℃で10分間加熱して殺菌した。 最後に、搾汁液を容器に充填した後冷却して野菜ジュースを製造した(本発明品)。 【0034】また、対照品として、ビタミンEを添加しない以外は本発明品と同様にして調製した対照野菜ジュースを、比較品としてビタミンEに代えて同量のビタミンCを使用した以外は本発明品と同様にして調製した比較野菜ジュースを利用した。 ・・・ 【0037】実 施 例 3 パルプ含有ミックス野菜ジュースの製造:実施例1で利用した4種の野菜を組み合わせ、以下の如くしてミックス野菜ジュースを調製した。 すなわち、表2に示す組合せおよび量の各野菜から不要部分を除去し、十分水洗した。 【0038】次にこの混合野菜に、実施例1で使用したものと同じ乳化したビタミンEを、混合野菜の重量に対して表2の量となるように添加した。 更にワーニングブレンダーを用いて混合野菜を破砕し、フィニッシャーで搾汁した。得られた搾汁液を121℃で10分間加熱、殺菌し、容器に充填した後冷却してミックス野菜ジュース(本発明混合野菜ジュース)を製造した。 【0039】また、対照品として、ビタミンEを添加しない以外は上記と同様にして調製した対照混合野菜ジュースを、比較品としてビタミンEに代えて同量のビタミンCを使用する以外は本発明品と同様にして調製した比較混合野菜ジュースを利用した。 【0040】 ![]() 」 (2h) 「【0041】実 施 例 4 透明ミックス野菜ジュースの製造:搾汁液を6000rpmで10分間遠心分離にかけ、パルプ分を除去する以外は実施例3と同様の操作をおこない、表2の混合野菜ジュースに対応する透明ミックス野菜ジュース(本発明混合野菜ジュース)を製造した。また、上記条件の遠心分離を行う以外は実施例3と同様にして対照混合野菜ジュースおよび比較混合野菜ジュースを調製した。」 (2i) 「 ![]() 」 (2j) 「 ![]() 」 以上の(2a)?(2j)の記載事項を総合し、(2g)、(2i)における対照品のほうれん草ジュースに着目すると、引用例2には、以下の発明(以下「引用発明2-1」という。)が記載されている。 「容器詰緑色野菜含有飲料であって、 その製造から20日後のa値は-1.73であり、b値は8.21であり、 それが含有するのは、破砕されたほうれん草である、 もの。」 また、上記対照品について製造方法に着目すると、引用例2には、以下の発明(以下「引用発明2-2」という。)が記載されている。 「次の工程(a)、(c)?(e)、(a)ほうれん草から不要部分を除去し、洗浄する工程、(c)ほうれん草を破砕する工程、(d)破砕されたほうれん草を搾汁する工程、(e)搾汁液を殺菌する工程を含む、ほうれん草ジュースの製造方法。」 取消理由に引用した引用例3には、以下の記載がある。 (3a) 「【0017】 <緑色野菜> 本発明において「緑色野菜」とは、大麦若葉、ケール、明日葉、小麦若葉、ゴーヤ、ほうれん草、セロリ、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、レタス、パセリ、モロヘイヤ、ピーマン、イグサ、アルファルファ、はと麦若葉、ブロッコリスプラウト、ミズナ、カラシナ、クレソン、クレソンスプラウト、わさび葉、ホウレンソウ、ブロッコリー、大根葉、桑葉、ニラ、アロエのことである。これらは、水系媒体に懸濁した状態で、加熱殺菌すると、緑色が退色する。それに対し、抹茶は、結晶セルロースを添加せずとも、退色しないため、本発明の緑色野菜には含まない。上記の緑色野菜は一種を単独で使用しても、二種以上を併用して使用してもよい。」 (3b) 「【0062】 <飲料のpH> 本発明における飲料のpHは3?7の範囲内であることが好ましい。より好ましくは5.0?7.0であり、さらに好ましくは6?6.5である。この範囲内に調整することにより緑色野菜特有の鮮やかな緑色をさらに安定的に保持することができる。pHの調整は重曹を添加する等の一般的な方法を使用することができる。pHは、一般的なpH計(HORIBA製 pHメータD-50)を用いて測定することができる。」 (3c) 「【0063】 <飲料の緑色の指標> 緑色野菜飲料の色調は鮮やかな緑色であることが望ましい。ここでいう緑色とは、飲料を、攪拌等を施し、均一に懸濁した状態で、液体用セルに仕込み、色差計(日本電色(株)製、分光色差計SE-2000)により、得られる色調の値(明度:L、色相:a、彩度:b)を基に算出される。この色調の値は、JIS Z8730(色差表示方法)に制定されるL*a*b*表色系の色度図が基になったものである。 【0064】 本発明でいう緑色は、上記の色調の値から、-a/bで表すことができる。-a/bは1に近いほど鮮やかな緑色であることを示す。 ここで、飲料の加熱殺菌前の-a/b値を基準として、殺菌後の-a/bが保持されている(以下の緑色保持率が高い)ほど、加熱後も、鮮やかな緑色が保持されていることになる。」 取消理由に引用した引用例4には、以下の記載がある。 (4a) 「2.各野菜ジュースでの安定性 野菜ジュースは4回繰り返し分析を行い,その平均値を用いた。 1) 野菜の種類による影響 野菜ジュースによく用いられるトマト,セロリ,ピーマン,キャベツ,ほうれん草,イチゴ,パセリ及びレタスで調製したジュースを,25℃で5時間保存した。AsA及びDAsAの残存率と保存時間の関係を表3に示した。なお,各生野菜中のVC含量は,トマト19mg/100g,セロリ8mg/100g,ピーマン68mg/100g,キャベツ57mg/100g,ほうれん草43mg/100g,イチゴ64mg/100g,ニンジン5mg/100g,パセリ123mg/100g,レタス3mg/100gで,野菜の種類によってかなり差がみられた。ここでは,各野菜がジュース調製時及び保存中にAsAに与える影響を調べることを目的としているため,ジュース調製時に野菜100gにつき200mgのAsA標準品を添加した。」 (4b) 「 ![]() 」 (3) 判断 ア 本件発明1について 引用発明2-1の「ほうれん草」は、本件発明1の「緑色野菜」に相当する。 そして、引用発明2-1の「それ(容器詰緑色野菜含有飲料)が含有するのは、破砕されたほうれん草である」ことと、本件発明1の「それ(容器詰緑色野菜含有飲料)が含有するのは、破砕された緑色野菜、及び、この緑色野菜とは異なる野菜又は果実であ」ることとは、「それ(容器詰緑色野菜含有飲料)が含有するのは、破砕された緑色野菜」である限りにおいて、共通する。 引用発明2-1は、「その製造から20日後のa値は-1.73であり、b値は8.21であ」るので、20日後における-a/bは、0.211である。そして、-a/bの値は、1に近いほど鮮やかな緑色であることを示す(上記(3c))ものであり、経時により劣化して値が小さくなるから、製造から20日で-a/bの値が0.211なら、製造から11日後においては、0.211より大きい値を有しているといえる。そうすると、引用発明2-1と本件発明1とは、-a/b値について、「その製造から11日後の-a/b値は、0.1以上であり」との点で、一致している。 よって、本件発明1と引用発明2-1との一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「容器詰緑色野菜含有飲料であって、 その製造から11日後の-a/b値は、0.1以上であり、 それが含有するのは、破砕された緑色野菜である、 もの。 」 [相違点1-1] 本件発明1は、「その流通温度帯は、チルド帯であり」、「そのpHは、4.6乃至6.5であ」るのに対して、引用発明2-1は、そのような特定はなされていない点。 [相違点1-2] 緑色野菜について、本件発明1は、「その破砕前に加熱されていないものである」のに対して、引用発明2-1は、そのような特定はなされていない点。 [相違点1-3] それ(容器詰緑色野菜含有飲料)が含有する、破砕された緑色野菜について、本件発明1は、「破砕された緑色野菜」に加えて、「この緑色野菜とは異なる野菜又は果実」を「含有する」とされているのに対して、引用発明2-1は、「破砕された緑色野菜」が「ほうれん草」のみである点。 そこで、上記各相違点について検討する。 [相違点1-1について] 引用例1には、緑色飲料の保存について、「pH6以上であればかなり安定で,特に0℃ では長期間緑色が保たれるものと予想されるので,緑色飲料の保存には低温が必要であることが判る」(上記(1d))と記載されており、引用例1が課題としているところは、緑色飲料の緑色を長期間保つことであるといえる。 一方、引用発明2-1も、「一般の緑色野菜を原料としながら、色調劣化の問題が生じない緑色野菜ジュース」の提供(上記(2d))を課題としており、引用発明2-1において、共通する課題のもと、引用例1に記載の示唆を踏まえれば、その保存に際し、pH6で、0℃の低温で保存することは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、0℃の低温は、チルド帯といえ、また、低温での保存は、飲料の流通時も当然考慮されるものべきものである。 そうすると、引用発明2-1において、上記相違点1-1に係る本件発明1の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 [相違点1-2について] 引用発明2-1は、ビタミンEを添加しないものなので、飲料にビタミンEを添加する際の、乳化剤を加えて加熱しビタミンEを乳化させること(上記(2g))を要しないものといえる。そして、引用例2には、「対照品として、ビタミンEを添加しない以外は本発明品と同様にして調製した対照野菜ジュース」(上記(2g))とされる本発明品(実施例1)の製造において、ビタミンEを加えた際の乳化のために加熱する外に、加熱することはなされていないので(上記(2g))、引用発明2-1もほうれん草を破砕する前に加熱しないものといえる。 そうすると、相違点1-2は、実質的な相違点ではない。 なお、引用例1には、「近年,緑色野菜のパルプを含む緑色飲料が一部市販されているが,これらは必ずしも新鮮な緑色を呈しているとはいえず,風味も不充分で,かつ保存性に乏しい.これは主に緑色色素のクロロフィルが酸性で速やかに変色するのを防ぐ為には飲料のpHを中性ないしは微アルカリ性に保たねばならず」(上記(1a))及び「ホーレン草:ブランチングによるクロロフィルの損失をさける為に,市販の新鮮な葉茎を直ちに凍結乾燥後粉砕,48メッシュ以上の粉末を密封容器に入れて冷凍保存したものを使用した」(上記(1b))と記載されている。これらの記載に基づけば、緑色飲料の緑色は、クロロフィルが関与し、クロロフィルはブランチングにより損失するものなので、ホーレン草を処理するに際し、ブランチングすることなく、すなわち、ホーレン草(ほうれん草)の加熱を避けるべきであることも示唆されているといえる。 [相違点1-3について] 引用例2には、「緑色野菜であれば特に制限なく原料とすることができる。 更に、例えばトマトなど緑色野菜以外の野菜を原料に加えても差支えない」(上記(2e))、「透明もしくは混濁果物ジュースと混合し、ミックスジュースとすることも可能である」(上記(2f))、「パルプ含有ミックス野菜ジュースの製造:実施例1で利用した4種の野菜を組み合わせ、以下の如くしてミックス野菜ジュースを調製した」(上記(2g))と記載され、複数の野菜を混合してもよいことが示唆されている。また、混合野菜ジュースに用いる野菜の例として、ほうれん草に加え、セロリ、レタス、パセリが上記表2で示されている。 そうすると、引用発明2-1の容器詰緑色野菜含有飲料として、ほうれん草の破砕物に加えて、ほうれん草以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料を加えたものとすることは、当業者が適宜なし得た事項である。 なお、引用発明2-1において、ほうれん草に加えて、ほうれん草以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料を加えた際に、引用発明2-1が、上述のように「その製造から20日後のa値は-1.73であり、b値は8.21であ」って、20日後における-a/b値は、0.211であるとまでは、必ずしもいえない。しかしながら、上記表4における(対照品)における「パセリジュース」の例をみると、製造直後のa値は-2.24、b値は7.03で-a/bは、0.319で、20日後のa値は-0.97、b値は8.03で-a/b値は、0.121であることを考慮すると、引用発明2-1において、ほうれん草に加えて、例えばパセリを(適量)加えた際に、20日後において-a/b値は0.1以上となる蓋然性は高く、この場合に製造後11日後においても-a/b値は、0.1以上といえる。 そうすると、引用発明2-1において、ほうれん草に加えて、ほうれん草以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料として、パセリを(適量)加えたものは、少なくとも、「その製造から11日後の-a/b値は、0.1以上であ」る蓋然性は高く、本件発明1と同様に、-a/b値は、0.1以上であるか、異なるとしても、引用例2には、「一般の緑色野菜を原料としながら、色調劣化の問題が生じない緑色野菜ジュースが求められており、このような緑色野菜ジュースの製造方法の提供」(上記(2d))を発明の課題とすることが記載されているから、-a/b値を、0.1以上とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 以上のことから、引用発明2-1において、上記相違点1-3に係る本件発明1の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、本件発明1の奏する効果をみても、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。 なお、特許権者は、「本件特許発明1?6に対応するのは、引用例2の『ほうれん草ジュース』(引用例2の表4)ではなく、『対照混合野菜ジュース』(引用例2の表2、表6)となりました。」( 平成30年3月22日の意見書4ページ12?14行)と主張している。しかしながら、上記示したとおり、引用発明2-1に基づいて、判断することができるので、当該主張は採用できない。 したがって、本件発明1は、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 イ 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を引用し、本件発明1にさらに限定を付加するものであり、引用発明2-1とは、上記一致点及び「緑色の由来は、クロロフィル」である点で一致し、上記相違点1-1、1-2及び1-3に加えて、以下の相違点2で相違する。 [相違点2] 本件発明2は、「乳化剤は、無添加である」のに対して、引用発明2-1は、その点は不明である点。 そして、相違点1-1、1-2及び1-3については、上記アで検討したとおり、当業者が容易に想到し得たことである。さらに、相違点2については、以下のとおりである。 [相違点2について] 引用例2には、以下の記載事項がなされている。 「【0015】本発明においては、ビタミンE類を緑色野菜全体にまんべんに添加することが重要であるので、例えばビタミンE類を乳化したり、・・・ 【0016】ビタミンE類の乳化は、例えば、シュガーエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤をビタミンE類に対して1%?10%程度の濃度で用い、これをさらに100?1000倍程度に水で希釈することにより行われる。 なお、乳化剤は大量に使用しても人体に影響はないが、ジュースが白くなって見栄えが悪くなることがあるので、その使用量には留意する必要がある。また、予め乳化状態で市販されているビタミンE類の製剤を購入し、利用してもよい。」 これらの記載からみて、引用例2において、乳化剤を用いるのは、ビタミンE類を用いる際に、まんべんに添加するためであり、その使用量にも留意する必要があるものである。 そうすると、引用発明2-1は、ビタミンEを添加しないものであるから(上記(2g))、乳化剤は用いていないか、あるいは、用いないようにするものである。 また、本件発明2の奏する効果をみても、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。 したがって、本件発明2は、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ウ 本件発明3について 本件発明3は、本件発明1又は2を引用し、本件発明1又は2にさらに限定を付加するものであり、引用発明2-1とは、上記ア及びイの一致点で一致し、上記相違点1-1、1-2、1-3及び2に加え、次の相違点3で相違する。 [相違点3] 本件発明3は、「金属イオン及びその塩、並びに着色料が無添加である」のに対して、引用発明2-1は、そのような特定はなされていない点。 そして、相違点1-1、1-2、1-3及び2については、上記ア及びイで検討したとおり、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、相違点3については、以下のとおりである。 [相違点3について] 金属イオン及びその塩、並びに着色料等の添加物は、飲料の製造に際して、必要に応じて添加するものなので、こららを添加しないものとすることは、当業者が適宜なし得た事項である。 また、本件発明3の奏する効果をみても、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。 したがって、本件発明3は、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 エ 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1又は2を引用し、本件発明1又は2にさらに限定を付加するものであり、引用発明2-1とは、上記ア及びイの一致点で一致し、上記相違点1-1、1-2、1-3及び2に加え、次の相違点4で相違する。 [相違点4] 緑色野菜として、本件発明4は、「小松菜」であるのに対して、引用発明2-1は、そのような特定はなされていない点。 そして、相違点1-1、1-2、1-3及び2については、上記ア及びイで検討したとおり、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、相違点4については、以下のとおりである。 [相違点4について] 引用発明2-1において、その用いる緑色野菜として、小松菜を採用することは、当業者が適宜なし得た事項である。 また、本件発明4の奏する効果をみても、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。 したがって、本件発明4は、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 オ 本件発明5について 本件発明5は、本件発明1又は2を引用し、本件発明1又は2にさらに限定を付加するものであり、引用発明2-1とは、上記ア及びイの一致点で一致し、上記相違点1-1、1-2、1-3及び2に加え、次の相違点5で相違する。 [相違点5] 緑色野菜として、本件発明5は、「その破砕後殺菌前まで加熱されていないものである」のに対して、引用発明2-1は、そのような特定はなされていない点。 そして、相違点1-1、1-2、1-3、2については、上記ア及びイで検討したとおり、当業者が容易になし得たことである。 さらに、相違点5については、以下のとおりである。 [相違点5について] 引用例2には、「(c)緑色野菜を破砕する工程、(d)破砕された緑色野菜を搾汁する工程、(e)搾汁液を殺菌する工程」(上記(2a))、及び「ワーニングブレンダーを用いて野菜を破砕し、フィニッシャーで搾汁し、得られた搾汁液を121℃で10分間加熱して殺菌した」(上記(2g))と記載され、引用発明2-1も野菜の破砕後殺菌前まで加熱していないものと認められる。 そうすると、相違点5は、実質的な相違点ではない。 また、本件発明5の奏する効果をみても、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。 したがって、本件発明5は、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 カ 本件発明6について 本件発明6は、本件発明5を引用し、本件発明5にさらに限定を付加するものであり、引用発明2-1とは、上記ア及びイの一致点で一致し、上記相違点1-1、1-2、1-3、2、4及び5で相違する。 そして、相違点1-1、1-2及び1-3については、上記アで検討したとおり、相違点2については、上記イで検討したとおり、相違点4については、上記エで検討したとおり、及び相違点5については、上記オで検討したとおり、それぞれ当業者が容易に想到し得たことである。 また、本件発明6の奏する効果をみても、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。 したがって、本件発明6は、引用発明2-1及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 キ 本件発明7について 本件発明7と引用発明2-2とを対比すると、各文言の意味等からみて、後者の「(c)ほうれん草を破砕する工程」と、前者の「破砕工程であって、ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であ」ることとは、「破砕工程であって、ここで破砕されるのは」、「緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であ」る限りで、一致している。 引用発明2-2の「(d)破砕されたほうれん草を搾汁する工程」と本件発明7の「調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され」ることとは、「緑色野菜汁を得る工程」との限りで一致する。 引用発明2-2の「(e)搾汁液を殺菌する工程」と本件発明7の「殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であ」ることとは、「緑色野菜汁の殺菌工程」との限りで一致する。 よって、本件発明7と引用発明2-2との一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「容器詰緑色野菜含有飲料の製造方法であって、当該製造方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、ここで破砕されるのは、緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 緑色野菜汁を得る工程であり、 緑色野菜汁の殺菌工程である、 こと。」 [相違点7-1] 破砕工程で、破砕される緑色野菜について、本件発明7は、「加熱されていない」ものであるのに対して、引用発明2-2は、そのような特定はなされていない点。 [相違点7-2] 緑色野菜汁を得る工程について、本件発明7は、「調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され」ものであるのに対して、引用発明2-2は、「(d)破砕されたほうれん草を搾汁する工程」である点。 [相違点7-3] 緑色野菜汁の殺菌工程について、本件発明7は、「冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であ」る工程を殺菌工程の前に有し、「それ(殺菌工程)によって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液」であるのに対して、引用発明2-2は、「(e)搾汁液を殺菌する工程」において、そのような特定はなされていない点。 [相違点7-4] 本件発明7は、「前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない」とされているのに対して、引用発明2-2は、そのような特定はなされていない点。 そこで、上記各相違点について検討する。 [相違点7-1について] 上記アの[相違点1-2について]で検討したのと同様に、引用発明2-2において、破砕工程で、破砕されるほうれん草について、加熱されていないものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 [相違点7-2について] 引用例2には、「緑色野菜であれば特に制限なく原料とすることができる。 更に、例えばトマトなど緑色野菜以外の野菜を原料に加えても差支えない」(上記(2e))と記載され、引用発明2-2において、ほうれん草汁を得る工程において、ほうれん草の破砕物に、ほうれん草以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料を加えて調合液とすることは、当業者が適宜なし得た事項である。 そして、引用例2においても、緑色野菜の緑色色調劣化を防止することを意図する点が記載されているから(上記(2b)、(2c)、(2d))、上記技術的事項1を参酌し、引用発明2-2において、pH調整することは、当業者が容易に想到し得たことである。 そうすると、引用発明2-2において、上記相違点7-2に係る本件発明7の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 [相違点7-3について] 上記アの[相違点1-1について]で検討したのと同様に、引用発明2-2におけるほうれん草汁の殺菌工程で得られたもののpHを、pH4.6乃至6.5程度とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、[相違点1-2について]で検討したとおり、ビタミンEを添加しない時は加熱して乳化する必要はなく、また、技術的事項1を考慮すると、0℃で緑色飲料の緑色が保たれることから、緑色飲料をできるだけ冷却しておくことが望ましいことは明らかである。 そうすると、引用発明2-2においても、殺菌する工程まで、冷却するようにして、上記相違点7-3に係る本件発明7の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 [相違点7-4について] 上記アの[相違点1-2について]及び[相違点7-3について]で検討したと同様に、緑色野菜の加熱による緑色の変色を防ぐために、引用発明2-2において、「殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない」ようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、本件発明7の奏する効果をみても、引用発明2-2及び引用例1に記載の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。 したがって、本件発明7は、引用発明2-2及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明7に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ク 本件発明8について 本件発明8は、本件発明7の「容器詰緑色野菜含有飲料の製造方法であって」と特定されているものを、「容器詰緑色野菜含有飲料の色合い劣化抑制方法であって」と特定するものである。一方、引用発明2-2は、製造方法の発明であるとともに、色合い劣化抑制方法の発明であるともいえる。 そうすると、本件発明8は、引用発明2-2と、「キ 本件発明7について」の一致点で一致し、相違点7-1?相違点7-4で相違する。 そして、相違点7-1?相違点7-4については、「キ 本件発明7について」で検討したとおり、それぞれ当業者が容易に想到し得たことである。 よって、本件発明8は、引用発明2-2及び引用例1に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1?8は、引用発明2-1又は引用発明2-2及び引用例1に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 容器詰緑色野菜含有飲料であって、 その流通温度帯は、チルド帯であり、 そのpHは、4.6乃至6.5であり、かつ、 その製造から11日後の-a/b値は、0.1以上であり、 それが含有するのは、破砕された緑色野菜、及び、この緑色野菜とは異なる野菜又は果実であり、 前記破砕された緑色野菜は、その破砕前に加熱されていないものである、 もの。 【請求項2】 請求項1の飲料において、 緑色の由来は、クロロフィルであり、 乳化剤は、無添加である、 もの。 【請求項3】 請求項1又は2の何れかの飲料において、 金属イオン及びその塩、並びに着色料が無添加である、 もの。 【請求項4】 請求項1又は2の飲料において、 それが含有する緑色野菜は、その破砕前に加熱されていない小松菜である、 もの。 【請求項5】 請求項1又は2の飲料であって、 それが含有する緑色野菜は、その破砕後殺菌前まで加熱されていないものである、 もの。 【請求項6】 請求項5の飲料であって、 前記緑色野菜は、小松菜である、 もの。 【請求項7】 容器詰緑色野菜含有飲料の製造方法であって、当該製造方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であり、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。 【請求項8】 容器詰緑色野菜含有飲料の色合い劣化抑制方法であって、当該方法を構成するのは、少なくとも、 破砕工程であって、ここで破砕されるのは、加熱されていない緑色野菜であり、それによって得られるのは、緑色野菜の破砕物であり、 調合工程であって、この工程で調合されるのは、前記破砕物、並びに、前記緑色野菜以外の野菜由来の原材料及び/又は果実由来の原材料であり、それによって得られるのは、調合液であり、前記調合液は、pH調整され、 冷却工程であって、ここで冷却されるのは、前記調合液であり、 殺菌工程であって、それによって殺菌されるのは、前記冷却された調合液であり、それによって得られるのは、pH4.6乃至6.5の殺菌された調合液であり、 前記殺菌工程前において、前記破砕物は加熱されない、 こと。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-09-19 |
出願番号 | 特願2015-7821(P2015-7821) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZAA
(A23L)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 太田 雄三 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
山崎 勝司 佐々木 正章 |
登録日 | 2016-09-02 |
登録番号 | 特許第5994160号(P5994160) |
権利者 | カゴメ株式会社 |
発明の名称 | 容器詰緑色野菜含有飲料及びその製造方法、並びに容器詰緑色野菜含有飲料における色合い劣化抑制方法 |
代理人 | 宮下 洋明 |
代理人 | 早川 裕司 |
代理人 | 田岡 洋 |
代理人 | 宮下 洋明 |
代理人 | 村雨 圭介 |