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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1347981
審判番号 不服2017-16570  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-07 
確定日 2019-01-10 
事件の表示 特願2013-246428「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月 8日出願公開、特開2015-106734〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年11月28日の出願であって、平成29年3月13日付けで拒絶理由が通知され、同年5月18日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年11月7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年5月18日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、
通話中に背面のタッチセンサのタッチを検出すると、通話を切断する制御部を備えることを特徴とする電子機器。」


第3 原査定の拒絶の理由

平成29年8月2日付け拒絶査定(以下「原査定」という。)の理由の概要は、次のとおりのものである。

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献等一覧

1.特開2012-209683号公報
2.特開2013-207554号公報(周知技術を示す文献)


第4 引用文献の記載及び引用発明

1.引用文献1について

1.1.引用文献1の記載事項

原査定で引用文献1として引用した特開2012-209683号公報(以下「引用文献1」という。) には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。

ア「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のスマートフォンは、タッチパネル側に通話のためのスピーカおよびマイクを配置しているため、通話しながらの操作は大変困難であった。すなわち、操作する際は、一旦、耳から装置を離す必要があった。一方で、その表示面の背面にタッチパネルを備えることは上述特許文献1に記載されているように、知られたものとなっているが、やはり通話中における操作性を向上させることはできない。すなわち、上述の通り、通話中に何らかの操作をしたい場合には、やはり耳から装置を離す必要があり、その操作性は、よいものとはいえない。
【0005】
そこで、本発明においては、通話中において、ユーザによる操作を可能にする通信装置および操作制御方法を提供することを目的とする。」

イ「【0022】
図1は、本実施形態の通信装置100の外観図である。図1(a)は、大型の表面タッチパネル101を備える通信装置100の表面側の外観図であり、図1(b)は、小型の裏面タッチパネル102を備える通信装置100の裏面側の外観図である。図1に示されるとおり、一方の面(すなわち表面)には、表面タッチパネル101が配置され、表面タッチパネル101の上下に、スピーカ108およびマイク110が備えられている。一方、その背面には、裏面タッチパネル102が配置されており、表面においてスピーカ108が備えられている部分に対応した背面の位置に配置されている。」

ウ「【0023】
図2は、この通信装置100の機能を示すブロック図である。図2に示されるとおり、通信装置100は、表面タッチパネル101、裏面タッチパネル102、総括制御部103、スピーカ108(通話手段),通信部109(通話手段)、およびマイク110(通話手段)を含んで構成されている。さらに、総括制御部103は、操作情報解析部104(認識手段)、制御部105、スピーカ制御部106(制御手段)、およびDTMF(Dial-Tone Multi-Frequency)制御部107(制御手段)を含んで構成されている。」

エ「【0027】
操作情報解析部104は、表面タッチパネル101および裏面タッチパネル102に操作された操作情報を解析する部分である。例えば、表面タッチパネル101において、アイコンが表示されている位置にユーザがタッチすると、その位置およびアイコンに基づいて所定の動作、例えばアイコンに示されるアプリケーションが起動する操作がなされたと解析する。また、裏面タッチパネル102において数字が入力されたと解析されると、その数字に応じて音量調整のための処理またはDTMF信号の生成のための処理を実行する。また、裏面タッチパネル102において、スライド操作がされたと認識した場合には、そのスライド操作に応じた機能、例えば音量調整を実行する。
【0028】
さらに、操作情報解析部104は、通話部を用いた通話中において、裏面タッチパネル102に対して所定のタッチ操作が行われたことを認識すると、音量調整モードか、DTMF生成モードのいずれかのモードに移行して、それぞれのモードにおける認識処理および認識に応じた機能処理を実行する。例えば、円を2周描くようなタッチ操作が行われたことを認識し、その操作が行われた場合には、DTMF生成モードとして、その後に受け付けられるタッチ操作に応じた処理を行う。
【0029】
制御部105は、操作情報解析部104における解析結果に基づいた制御を行う部分であり、本実施形態においては、解析結果に基づいて、スピーカ制御部106およびDTMF制御部107に対する制御を行う部分である。」

オ「【0047】
本実施形態の通信装置100によれば、スピーカ108およびマイク110を含んだ通話部による通話中に、裏面タッチパネル102に対してユーザによる操作がなされると、操作情報解析部104は、その操作を解析し、制御部105は、操作情報解析部104により解析された操作に応じた処理を実行することができる。通常、携帯電話などの通信装置による通話を行う際には、ユーザは、ユーザ自身の耳に装置本体を直接当てることにより、スピーカから音声を聞くことができるが、何らかの操作をする場合には、操作しやすいように耳から装置本体を離す必要がある。本発明においては、通話中に耳から装置本体を離すことなく、簡単な操作で、予め定められた処理を実行することができる。」


1.2.引用発明

上記「1.1.引用文献1の記載事項」について以下検討する。

上記イによれば、通信装置100に、大型の表面タッチパネル101と小型の裏面タッチパネル102を備えること、表面に表面タッチパネル101が配置され、その背面には、裏面タッチパネル102が配置されることが記載されているから、通信装置100は、表面に大型の表面タッチパネル101と、背面に小型の裏面タッチパネル102とを備える通信装置100であるといえる。

上記ウ、オによれば、通話部による通話中に、裏面タッチパネル102に対してユーザによる操作がなされると、その操作を解析し、解析された操作に応じた処理を実行する総括制御部103を含んで構成される、本実施形態の「通信装置100」が記載されているといえる。
そして、上記オにおける、解析された操作に応じた「処理」は、上記エによれば、「音量調整」が含まれるといえるから、引用文献1における「通信装置100」は、通話部による通話中に、裏面タッチパネル102に対してユーザによる操作がなされると、その操作を解析し、解析された操作に応じた処理を実行する総括制御部103を含んで構成される「通信装置100」であって、実行される処理には「音量調整」が含まれるといえる。

また、上記オには、本発明、すなわち、本実施形態の「通信装置100」においては、通話中に耳から装置本体を離すことなく、簡単な操作で、予め定められた処理を実行することができることが記載されており、通話中に耳から装置本体を離すことなく、予め定められた処理を実行することができるようにするための「通信装置100」が記載されているといえる。

よって、上記イからオによれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「通話中に耳から装置本体を離すことなく、予め定められた処理を実行することができるようにするために、
表面に大型の表面タッチパネル101と、背面に小型の裏面タッチパネル102とを備え、
通話部による通話中に、裏面タッチパネル102に対してユーザによる操作がなされると、その操作を解析し、解析された操作に応じた処理を実行する総括制御部103を含んで構成される通信装置100であって、実行される処理には音量調整が含まれる通信装置100。」


2.引用文献2について

2.1.引用文献2の記載事項

原査定で引用文献2として引用した2013-207554号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。

ア「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通話中、タッチパネルに表示される通話画面には、受話音量を調節する機能等、通話に係る各種の機能を実行するための操作ボタンが配される。
【0005】
しかしながら、ユーザが携帯電話機を耳に当てた状態では、タッチパネルが耳に向けられているので、ユーザがタッチパネル上の操作ボタンを操作することが困難である。操作ボタンを操作する際には、携帯電話機を耳元から離す必要があり、ユーザは、通話相手との会話を中断しなければならない。
【0006】
そこで、本発明は、通話の際、ユーザが、通話に係る機能を実行するための操作を円滑に行うことが可能な携帯端末装置、プログラムおよび携帯端末装置の制御方法を提供することを目的とする。」

イ「【0037】
タッチ検出部14は、指、タッチペン等(以下、単に「指」と言う。)の表示面3への接触を検出するタッチセンサ等から構成されている。タッチセンサは、上記の液晶ディスプレイと一体的に形成されることにより、タッチパネルを構成する。タッチセンサは、透明なシート状に形成され、表示面3上を覆うようにキャビネット2の正面2aに配される。タッチセンサは、静電容量式、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等、各種のタッチセンサであってよい。
【0038】
タッチ検出部14は、前記表示面3へのユーザによるタッチを検出する。即ち、タッチ検出部14は、指が触れた表示面3上の位置を入力位置として検出し、検出した入力位置に応じた位置信号を制御部11へ出力する。
【0039】
ユーザは、表示面3に指を触れることにより各種のタッチ操作を行える。タッチ操作の種類として、タップ操作、ダブルタップ操作、ロングタップ操作、フリック操作、スライド操作等が挙げられる。」

ウ「【0061】
ユーザは、ボタン操作でなく、タッチ操作を望む場合にタッチ操作判別モードを選択する選択操作を行う。選択操作がなされると、操作モードがタッチ操作判別モードに切り替わる。タッチ操作判別モードにおいて、ユーザは、キャビネット2の背面2bが耳に向けられるように、携帯電話機1を耳に当てて(耳に近づけて)通話を行う。表示面3は、ユーザの耳とは反対の方向を向くため、ユーザは、携帯電話機1を耳元から離さなくても、表示面3をタッチすることが可能となる。キー操作部6の操作キーに替えて、選択操作のための操作ボタンが通話画面に配されても良い。
【0062】
タッチ操作判別モードに切り替わると、表示制御部21は、表示部13をオフする(S108)。表示面3は真っ暗な状態となる。操作判定部22は、ユーザによって表示面3がタッチされたか否かを判定し(S109)、表示面3がタッチされれば(S109:YES)、タッチ操作の種類を判定する(S110)。機能実行部23は、第1割り当てテーブル(図4(a))を参照し、操作判定部22により判定されたタッチ操作の種類に機能の割り当てがあり(S111:YES)、判定されたタッチ操作の種類に割り当てられた機能が通話を終了する機能でなければ(S112:NO)、割り当てられた機能を実行する(S113)。たとえば、機能実行部23は、右フリック操作がなされた場合、通話スピーカ5の音量を増加させ、左フリック操作がなされた場合、通話スピーカ5の音量を低減させる。機能実行部23は、上フリック操作なされた場合、録音を開始し、下フリック操作がなされた場合、録音を停止する。機能実行部23は、ダブルタップ操作がなされた場合、通話を一時停止し、所定の保留音を通話相手の機器に送信する。
【0063】
通話を終了する場合、ユーザは、表示面3に対してロングタップ操作を行う。ロングタップ操作がなされると、機能実行部23は、割り当てられた機能が通話を終了する機能であると判定し(S112:YES)、通話を終了する(S106)。表示制御部21は、表示部13をオンする。表示面3には、たとえば、電話のアプリケーションが実行される前に表示されていた画面が再び表示される。
【0064】
操作判定部22は、表示面3がタッチされたか否かを監視している間(S109)、さらに、ボタン操作判別モードを選択する選択操作がなされたか否かを監視する(S114)。キー操作部6において、選択操作に割り当てられた操作キーが押されると、操作モードがタッチ操作判別モードに切り替わる。表示制御部21は、表示部13をオンするとともに、表示面3に通話画面を表示する(S101)。
【0065】
以上、本実施形態によれば、キャビネット2の背面2bを耳が向けられた場合でも通話できるとともに、ユーザの耳と反対に向いた表示面3に対してタッチ操作(ロングタップ操作、ダブルタップ操作、フリック操作等)を行うことにより、タッチ操作の種類に応じて、通話音量の調整等、通話に係る機能が実行できる。よって、ユーザは、携帯電話機1を耳元に置いて通話相手との会話を継続したまま、表示面3に対する操作を行うことにより、通話に係る機能を利用することができる。」

2.2.引用文献2に記載された技術的事項

引用文献2の記載について以下検討する。

上記ウの段落【0061】には、「ユーザは、ボタン操作でなく、タッチ操作を望む場合にタッチ操作判別モードを選択する選択操作を行う。選択操作がなされると、操作モードがタッチ操作判別モードに切り替わる。タッチ操作判別モードにおいて、ユーザは、キャビネット2の背面2bが耳に向けられるように、携帯電話機1を耳に当てて(耳に近づけて)通話を行う。表示面3は、ユーザの耳とは反対の方向を向くため、ユーザは、携帯電話機1を耳元から離さなくても、表示面3をタッチすることが可能となる。」と記載されているから、ユーザは、タッチ操作を望む場合に選択したタッチ操作判別モードにおいて、携帯電話機1を耳に当てて(耳に近づけて)通話を行う際、すなわち、通話中に、携帯電話機1を耳元から離さなくても、「表示面3」をタッチすることが可能である。
通話中に、「表示面3」をタッチすることが可能であるには、「表示面3」がユーザの耳とは反対の方向を向くように、ユーザは、携帯電話機1を耳に当てることが必要であるから、「表示面3」は通話中のユーザの耳とは反対の方向を向く表示面といえる。
上記ウの段落【0062】の「機能実行部23は、第1割り当てテーブル(図4(a))を参照し、操作判定部22により判定されたタッチ操作の種類に機能の割り当てがあり(S111:YES)、判定されたタッチ操作の種類に割り当てられた機能が通話を終了する機能でなければ(S112:NO)、割り当てられた機能を実行する(S113)。たとえば、機能実行部23は、右フリック操作がなされた場合、通話スピーカ5の音量を増加させ、左フリック操作がなされた場合、通話スピーカ5の音量を低減させる。機能実行部23は、上フリック操作なされた場合、録音を開始し、下フリック操作がなされた場合、録音を停止する。機能実行部23は、ダブルタップ操作がなされた場合、通話を一時停止し、所定の保留音を通話相手の機器に送信する。」の記載によれば、「判定されたタッチ操作の種類に割り当てられた機能」は、「通話を終了する機能」と、通話スピーカ5の音量を増加または低減させる機能、すなわち、音量調整機能を含む機能であるといえる。
また、上記ウの段落【0065】には、「ユーザは、携帯電話機1を耳元に置いて通話相手との会話を継続したまま、表示面3に対する操作を行うことにより、通話に係る機能を利用することができる」と記載されており、上記ウには、携帯電話機1を耳元に置いて通話相手との会話を継続したまま、通話に係る機能を利用することができるようにするための「携帯電話機1」が記載されているといえる。
そうすると、携帯電話機1を耳元に置いて通話相手との会話を継続したまま、通話に係る機能を利用することができるようにするために、「携帯電話機1」について、通話中に、ユーザの耳とは反対の方向を向く表示面がタッチされれば、タッチ操作の種類を判定し、判定されたタッチ操作の種類に割り当てられた、通話を終了する機能と音量調整機能を含む機能を実行することが記載されているといえる。

そして、タッチ操作の種類の「判定」は、タッチ操作の種類を見つけ出すものであるから、タッチ操作の種類の「検出」に含まれ、「通話終了をする機能」は、「通話を切断する機能」に含まれる。

よって、引用文献2には、「携帯電話機を耳元に置いて通話相手との会話を継続したまま、通話に係る機能を利用することができるようにするために、通話中に、ユーザの耳とは反対の方向を向く表示面がタッチされれば、タッチ操作の種類を検出し、検出されたタッチ操作の種類に割り当てられた、通話を切断する機能と音量調整機能を含む機能を実行する携帯電話機」という技術的事項が記載されている。


第5 対比

本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明における「大型の表面タッチパネル101」、「小型の裏面タッチパネル102」、「通信装置100」は、それぞれ本願発明における、「表面」の「タッチセンサ」、「背面」の「タッチセンサ」、「電子機器」に相当する。
すると、引用発明における、表面に大型の表面タッチパネル101と、背面に小型の裏面タッチパネル102とを備えた「通信装置100」は、本願発明における「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器」に相当する。

引用発明における、「ユーザによる操作」は、通話中にユーザによりなされた、裏面タッチパネル102に対しての操作であるから、引用発明における、「ユーザによる操作」と、本願発明における、通話中に検出する「タッチセンサのタッチ」は、どちらも「通話中に」なされた「背面のタッチセンサの入力操作」である点で共通する。
引用発明における「解析」は、裏面タッチパネル102に対する操作を認識するものであるから、本願発明における「検出」に含まれる。
引用発明における、通話中の操作に応じた処理である「音量調整」と、本願発明における、通話中に背面のタッチセンサのタッチを検出すると、「通話を切断する」ことは、どちらも入力操作に応じた「通話に関する機能」である点で共通する。
引用発明における、通信装置100を構成する「総括制御部103」は、本願発明における、電子機器が備える「制御部」に相当する。
すると、引用発明における、通話部による通話中に、裏面タッチパネル102に対してなされたユーザによる操作が解析されると、解析された操作に応じた処理を実行する「総括制御部103」と、本願発明における、通話中に背面のタッチセンサのタッチを検出すると、通話を切断する「制御部」は、どちらも通話中に背面のタッチセンサの入力操作を検出すると、入力操作に応じた通話に関する機能を実行する「制御部」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、
通話中に背面のタッチセンサの入力操作を検出すると、入力操作に応じた通話に関する機能を実行する制御部を備えることを特徴とする電子機器。」

(相違点)
一致点のタッチセンサの「入力操作」と「通話に関する機能」に関し、本願発明は、タッチセンサの「入力操作」が「タッチ」であって、「通話に関する機能」が「通話を切断する」ことであるのに対し、引用発明では、タッチセンサの「入力操作」が「ユーザによる操作」であって、「通話に関する機能」が「音量調整」である点。


第6 判断

上記相違点について判断する。

引用発明と引用文献2に記載された技術的事項とは、通話中に耳から装置本体を離すことなく(携帯電話機を耳元に置いて通話相手との会話を継続したまま)、予め定められた処理(通話に係る機能)を実行するために、裏面タッチパネル102に対するユーザによる操作(ユーザの耳とは反対の方向を向く表示面へのタッチ操作)を利用可能にするという点で共通するから、引用発明において、引用文献2に記載された技術的事項を適用して、裏面タッチパネル102に対するユーザによるタッチ操作を利用可能にすること、すなわち、裏面タッチパネル102に対するユーザによるタッチ操作の種類を検出し、検出されたタッチ操作の種類に割り当てられた、通話を切断する機能、音量調整機能を含む機能を実行する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
その際、タッチ操作の種類と通話に関する機能の割り当ては、当業者が適宜設定することであって、「通話を切断する機能」をタッチセンサの入力操作の種類のうち「タッチ」に割り当てることで、「総括制御部103」が「タッチを検出すると、通話を切断する」ことは設計的事項にすぎない。

そして、本願発明の作用効果も、引用文献1,2から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は引用文献1,2に基づいて当業者が容易に発明できたものである。


第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は他の請求項に係る発明について特に検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-05 
結審通知日 2018-11-13 
審決日 2018-11-29 
出願番号 特願2013-246428(P2013-246428)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤江 大望  
特許庁審判長 吉田 隆之
特許庁審判官 佐藤 実
中野 浩昌
発明の名称 電子機器  
代理人 杉村 憲司  
代理人 太田 昌宏  
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