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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1347990
審判番号 不服2018-8463  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-20 
確定日 2019-01-10 
事件の表示 特願2015- 18226「選局方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月 8日出願公開、特開2016-144020〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年2月2日の出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。

平成29年 4月25日 :手続補正書
平成29年 7月31日付け:拒絶理由通知
平成29年10月 6日 :意見書
平成29年10月 6日 :手続補正書
平成30年 1月 4日付け:拒絶理由通知(最後)
平成30年 3月 2日 :意見書
平成30年 3月 2日 :手続補正書
平成30年 3月15日付け:平成30年3月2日の手続補正についての
補正の却下の決定
平成30年 3月15日付け:拒絶査定
平成30年 6月20日 :拒絶査定不服審判請求
平成30年 6月20日 :手続補正書
平成30年 7月 6日 :前置審査報告
平成30年 8月 1日付け:拒絶理由通知(当審)
平成30年10月 9日 :意見書
平成30年10月 9日 :手続補正書

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年10月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
なお、本願発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成A?構成Mと称する。

(本願発明)
(A)放送伝送路および通信伝送路でIPデータフローが伝送される放送システムのデジタル放送サービスを受信可能な放送受信装置で実行する選局方法であって、
(B)前記放送伝送路では放送番組の映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されて伝送され、該放送伝送路のTLVストリームは前記放送受信装置のチューナで受信されるものであり、
(C)前記通信伝送路では放送番組の映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されずに伝送されるものであり、該通信伝送路のIPデータフローは、前記放送受信装置における前記チューナとは異なる通信部で受信されるものであり、
(D)前記チューナを用いて前記放送伝送路を介して伝送されるTLVストリームを受信する受信ステップと、
(E)受信した該TLVストリームの内でIPデータフローとは異なる部分に配置されるテーブルであって、テーブルのバージョン情報と、各サービスに関するIPマルチキャストグループの一覧とを含むアドレスマップテーブルを取得する取得ステップと、
(F)前記取得ステップで取得したアドレスマップテーブルを記憶する記憶ステップと、
(G)前記記憶ステップで記憶したアドレスマップテーブルに含まれるIPマルチキャストグループの一覧に基づいて、前記チューナにおける選局動作を行う選局ステップと、
(H)前記選局ステップの前記選局動作に基づいて受信するTLVストリームをデコードした結果を出力する出力ステップと、
を含み、
(I)前記記憶ステップでは、記憶済みのアドレスマップテーブルがある場合、当該記憶済みのアドレスマップテーブルのバージョン情報と、前記取得ステップで取得したアドレスマップテーブルのバージョン情報とを比較して前記取得したアドレスマップテーブルの更新の有無を判断し、
(J)前記選局ステップの前記選局動作に基づいて受信するTLVストリームに、前記放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データと、前記放送受信装置が有する音声デコーダでデコードする音声データと、前記放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする字幕データと、を含むIPデータフローが格納されており、
(K)前記放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データと、前記放送受信装置が有する音声デコーダでデコードする音声データは、いずれも、当該映像データと当該音声データと同一のIPデータフローから取得するパッケージリストテーブルから参照されるMMTパッケージテーブルから参照されることにより取得可能に構成されており、
(L)該パッケージリストテーブルと該MMTパッケージテーブルは、前記アドレスマップテーブルとは異なり、前記TLVストリームの内でIPデータフローの部分に格納されており、
(M)前記出力ステップでは、前記放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データに基づいたマルチメディアプレーンを生成し、前記放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする字幕データに基づいて前記マルチメディアプレーンの前面に位置する字幕プレーンを生成し、当該マルチメディアプレーンと当該字幕プレーンとを合成して出力する、ことを特徴とする、
(A)選局方法。

第3 当審の拒絶の理由
当審が通知した拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1.特開2014-241520号公報
2.「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式 標準規格 ARIB STD-B60 1.0版」,一般社団法人 電波産業会,平成26年7月,pp.4-5,9-22,39-49,175-180(周知技術を示す文献)
3.青木秀一、大槻一博、浜田浩行,「次世代放送システムにおけるMMTの運用方法の検討」,FIT2013 第12回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第3分冊,2013年8月20日,pp.355-356(周知技術を示す文献)
4.青木秀一、青木勝典、山本真,「デジタル放送におけるIPパケット伝送方式の伝送特性評価」,NHK技研R&D,2010年11月15日,No.124,pp.32-43(周知技術を示す文献)
5.特開2007-104099号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
当審の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2014-241520号公報には、「送信システム、情報送信装置、プラットフォーム装置及び受信装置」(発明の名称)に関し、図面とともに次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のコンテンツ(例えば、放送サービスのコンテンツ)を構成するコンポーネント信号を複数種の伝送路を介して送信する送信システム、当該送信システムを構成する情報送信装置及びプラットフォーム装置、並びに、当該複数種の伝送路に応じて当該コンポーネント信号に対する利用の可否を判定し受信する受信装置に関する。」

イ「【0005】
(TLVパケットを用いる放送システム)
また、高度広帯域衛星デジタル放送(例えば、非特許文献2参照)では、放送サービスのコンテンツを構成する信号をIP(Internet Protocol)パケットを用いて伝送することができる。この放送システムでは、TLV(Type Length Value)パケットを用いてこれらのIPパケットを1つのTLVストリームに多重し、放送することができる(例えば、非特許文献3,4参照)。このため、TLVパケットを用いる放送システムを利用する受信装置は、TLVストリームを受信することで放送サービスのコンテンツの信号を全て受信することができ、TLVストリームの中から放送サービスのコンテンツの信号を分離して利用することができる。
【0006】
このTLVパケットを用いる放送システムにおいて、放送サービスのコンテンツを構成する信号の送信元及び宛先のIPアドレスをリストするAMT(Address Map Table)を利用する技法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このAMTを利用することにより、受信装置は、必要とする信号の送信元及び宛先のIPアドレスとAMTの対応を検査して、この必要とする信号が当該放送システムで伝送されるか否かを判定することができる。」

ウ「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、従来技法における放送コンテンツの伝送では、TS若しくはTLVストリームに属するものとして、映像・音声・字幕データなど放送コンテンツを構成する全ての信号を、1つのTS、1つのマルチキャストグループ、若しくは、1つのTLVストリームなど、1つの信号系列に多重化して伝送することを前提としている。このため、事前スキャンを基に、放送コンテンツに対応する多重化された信号を受信することで、放送サービスのコンテンツを構成する全ての信号の受信が完結する。」

エ「【0038】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明による第1実施形態の送信システム10及び受信装置13の構成例を示すブロック図である。第1実施形態の送信システム10は、放送サービスのコンテンツ(特に、複数種のメディアコンポーネントから構成可能なコンテンツ)を構成するコンポーネント信号(即ち、予め用意されたメディアコンポーネントの信号)を複数種の伝送路を介して送信するように構成され、受信装置13は、当該放送サービスのコンテンツを構成する複数種の伝送路に応じたコンポーネント信号(電波により送信する信号及び通信で送信する信号)を同時に利用可能とするように構成される。尚、本実施形態の例では、複数種の伝送路として、放送伝送路と、CDNによる通信伝送路を想定して説明する。
【0039】
包括的には、送信システム10は、放送局装置11及びプラットフォーム装置12からなり、放送局装置11及びプラットフォーム装置12は、各種伝送路に応じた(即ち、各種受信装置13の受信能力に応じた)メディアコンポーネントを複数用意し、これらを複数種の伝送路で配信する。受信装置13は、利用者の操作指示により、利用可能な伝送路の中から自装置に適したメディアコンポーネントを選択的に受信してコンテンツ(例えば、当該放送サービスのコンテンツに係る映像・音声)を構成し外部に出力する。例えば、受信装置13は、放送伝送路を介して自装置の受信能力に応じたメディアコンポーネントの映像データを受信する一方で、当該メディアコンポーネントに関する特定の言語の音声データについてプラットフォーム装置12から選択的に受信するような態様が想定される。」

オ「【0040】
(送信システム)
放送局装置11は、複数のメディアコンポーネントで構成される放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ(第1のコンポーネント信号として伝送するデータ)と、当該IPパケットを識別する第1の制御情報を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、高度広帯域衛星デジタル放送など、IPパケットを放送できる放送伝送路を介して送信する。この第1の制御情報は、当該放送伝送路で伝送されるIPパケットの送信元及び宛先アドレスを記載したアドレスマップ情報を含む。尚、本実施形態の例では、第1の制御情報をIPパケットに格納して伝送する例とするが、第1の制御情報をIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成することができる。或いは、第1の制御情報のうち、アドレスマップ情報のみを送受間で定められた信号フォーマットで伝送し、その他の制御情報をIPパケットに格納して伝送するように構成することもできる。
【0041】
CDN15は、IPマルチキャストパケットやユニキャストパケットをコンテンツサーバ121などの各種サーバから回線終端装置14まで安定して伝送する機能を有する通信ネットワークであり、回線終端装置14を介して受信装置13と接続する。尚、回線終端装置14は、通信事業者の通信回線を終端する装置である。
【0042】
CDN15では、1つ若しくは複数のプラットフォーム装置が運用される。本実施形態に係るプラットフォーム装置12は、コンテンツサーバ121及びアドレスマップ情報サーバ122を備え、これらを用いて、1つ若しくは複数の放送サービスのコンテンツを提供する。受信装置13は、プラットフォーム装置12からの受信を利用可能な状態に設定しているものとし、CDN15で伝送されるプラットフォーム装置12からの放送サービスのコンテンツを構成するコンポーネント信号を格納するIPパケットを受信して利用できるものとする。
【0043】
コンテンツサーバ121は、プラットフォーム装置12が提供する当該放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ(第2のコンポーネント信号として伝送するデータ)と、当該IPパケットを識別する第2の制御情報を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、IPマルチキャスト若しくはユニキャストを用いてCDN15にて伝送する。尚、本実施形態の例では、第2の制御情報をIPパケットに格納して伝送する例とするが、第2の制御情報をIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成することができる。
【0044】
アドレスマップ情報サーバ122は、プラットフォーム装置12が提供する当該放送サービスのコンテンツに関するIPパケットと当該放送サービスのコンテンツを識別する識別子(サービス識別)とを対応づけて記載したアドレスマップ情報を送信する。尚、この「サービス識別」は、アドレスマップ情報を構成するために便宜的に付与するものであり、必ずしも、放送路におけるサービス識別と、通信ネットワークにおけるサービス識別とを一致させる必要はない。」

カ「【0045】
(アドレスマップ情報)
アドレスマップ情報は、放送局装置11若しくはコンテンツサーバ121が送信するIPパケットをサービス識別と対応づける情報であり、IPパケットを送信元アドレス及び宛先アドレスの組み合わせで記述する。尚、1つのサービス識別に対しては1つ以上の送信元アドレス及び宛先アドレスの組み合わせが対応する。アドレスマップ情報は、伝送路毎(即ち、放送伝送路及びプラットフォーム装置12毎)に作成されるものとする。
【0046】
アドレスマップ情報は、例えば非特許文献3におけるアドレスマップテーブルや、特許文献1におけるアドレスマップテーブル、これらの情報をXMLで記述したXML文書を用いることができる。
【0047】
アドレスマップ情報の例を表1に示す。表1のアドレスマップテーブルの例では、1つのサービス識別に連続した複数の送信元アドレス及び宛先アドレスの組み合わせを対応づける場合に、アドレスマスクを用いている。アドレスマスクを用いた送信元アドレス及び宛先アドレスの指定は、アドレスマスクとして指定した上位ビットが一致する送信元アドレスや宛先アドレスをまとめて指定するもので、特許文献1及び非特許文献3に開示されるアドレスマップテーブルでも利用されている。
【0048】
【表1】
(中略)
【0049】
送信元アドレスSと宛先アドレスDのIPパケットを(S,D)と表記すると、表1のアドレスマップテーブルにより、サービス識別0x0061のサービス識別に(2001:1234::61, FF3E::3211)と(2001:1234::62, FF3E::3212)のIPパケットが対応し、0x0064のサービス識別には(2001:1234::64から2001:1234::67, FF3E::3214からFF3E::3217)が対応し、0x0068のサービス識別には(2001:1234::68から2001:1234::6F, FF3E::3218からFF3E::321F)のIPパケットが対応する。」

キ「【0050】
また、放送局装置11及びプラットフォーム装置12のうち少なくとも一方は、第1のコンポーネント信号及び第2のコンポーネント信号の受信に関する第3の制御情報を送信する手段を有する。この第3の制御情報にはサービス構成情報が含まれる。また、サービス構成情報は、第1のコンポーネント信号及び第2のコンポーネント信号の各々を格納するIPパケットを特定するためのロケーション情報を含む。尚、放送局装置11によって第3の制御情報を送信する際には、当該第2の制御情報と同様に、IPパケットに格納して送信するか、又は送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成することができる。また、プラットフォーム装置12によって第3の制御情報を送信する際には、コンテンツサーバ121によって送信するか、或いは第3の制御情報を送信する専用のサーバを設けてもよく、IPパケットに格納して送信するか、又は送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成することができる。本実施形態の例では、放送局装置11が、当該第2の制御情報と同様に、第3の制御情報をIPパケットに格納して送信する例を説明する。
【0051】
(サービス構成情報とロケーション情報)
サービス構成情報は、その放送サービスのコンテンツを構成するコンポーネント信号に関する情報であり、IPパケットに格納される各コンポーネント信号を識別するための所定の識別情報に関連付けてロケーション情報を示すように構成することができる。
【0052】
ロケーション情報は、各コンポーネント信号を格納するIPパケットの送信元アドレスと宛先アドレス、及び、IPパケットから各コンポーネント信号を分離する情報を含む。
【0053】
第3の制御情報の信号の具体例として、MPEGにて現在標準化作業中のISO/IEC 23008にて規格化中であるMP Table(MMT Package Table)における、サービス構成情報とロケーション情報について述べる(例えば、ISO/IEC 2nd CD 23008-1 MPEG Media Transport (N13293)参照)。このMP Tableは、本実施形態におけるサービス構成情報に対応し、コンポーネント信号の識別情報をasset_idで、ロケーション情報をMMT_general_location_infoで記述する。MP Tableは、第3の制御情報の信号として、所定のメッセージ信号(MPT Message)にて伝送する。
【0054】
MMT_general_location_infoの例を表2に示す。ロケーション種別は、ロケーション情報の構成内容を識別する情報であり、ロケーション種別0x02は、IPバージョン6のUDP(User Datagram Protocol)/IPパケット送られるMMTパケットのロケーション情報であることを表している。この例では(2001:1234::68, FF3E::8)のIPパケットで送られる、UDPの宛先ポート7680、パケット識別1234で送られるMMTパケットを示している。
【0055】
【表2】
(中略)
【0056】
このようにして、送信システム10は、放送局装置11及びプラットフォーム装置12の双方によって、アドレスマップ情報とともに、メディアコンポーネントを配信する。」

ク「【0057】
(受信装置)
受信装置13は、第1IPデータフロー受信部131、第2IPデータフロー受信部132、IPパケット分離部133、受信制御部134及びAVデコーダ135を備える。
【0058】
第1IPデータフロー受信部131及び第2IPデータフロー受信部132は、それぞれの伝送路を介して、受信対象の放送局装置11及びプラットフォーム装置12から映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信する。本例では、第1IPデータフロー受信部131は、放送波による放送伝送路で伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する。第2IPデータフロー受信部132は、CDNと接続し、CDNで伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する。
【0059】
ここでは、放送局装置11から送信される第1のコンポーネント信号を格納するIPパケットを識別するための第1の制御情報、プラットフォーム装置12から送信される第2のコンポーネント信号を格納するIPパケットを識別するための第2の制御情報、及び、放送局装置11及びプラットフォーム装置12のうち少なくとも一方から送信される第3の制御情報は、IPパケットに格納して伝送される例を説明するが、必ずしもIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成することができる。この場合、第1IPデータフロー受信部131は、電波による伝送路を介して送信される信号又は情報を受信する第1受信部として構成し、第2IPデータフロー受信部132は、通信ネットワークによる伝送路を介して送信される信号又は情報を受信する第2受信部として構成することができる。
【0060】
IPパケット分離部133は、受信したIPパケットのIPデータフローから、サービス構成情報に記載されるロケーション情報(IPアドレス及びポート番号等)に基づき、映像データ及び音声データ、並びに、各制御情報を格納したIPパケットを分離し、映像データ及び音声データを抽出してAVデコーダ135に出力し、各制御情報を抽出して受信制御部134に出力する。
【0061】
AVデコーダ135は、放送サービスのコンテンツに係る映像データ及び音声データを復号し、放送サービスのコンテンツに関する映像音声信号として外部に出力する。
【0062】
受信制御部134は、放送局装置11からの第1の制御情報に含まれる放送伝送路のアドレスマップ情報を当該放送伝送路に対応づけて保持するとともに、アドレスマップ情報サーバ122から当該受信装置13が利用するプラットフォーム装置12のアドレスマップ情報を取得し、当該利用するプラットフォーム装置12と対応づけて保持する。このように、各伝送路におけるアドレスマップ情報を予め取得して保持し管理することにより、受信装置13の初期設定処理を完了することができる。この初期設定処理により、受信装置13は、サービス構成情報に記載されるロケーション情報と各伝送路におけるアドレスマップ情報を照合し、所望のコンポーネント信号が伝送される伝送路を把握することが可能になる。
【0063】
受信制御部134は、当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象の信号が伝送されるIPパケットの受信を制御する。より具体的には、受信制御部134は、利用者による操作指示に基づき受信装置13が受信する放送サービスのコンテンツを構成する信号(コンポーネント信号)が要求されると、後述する技法により、受信制御部134は、放送局装置11の放送伝送路、及び、利用するプラットフォーム装置12に対応づけられた各アドレスマップ情報を参照して、当該コンポーネント信号を格納するIPパケットと対応するサービス識別が、それらのアドレスマップ情報に存在するか検査することで、放送局装置11及びプラットフォーム装置12からの各伝送路のうち、いずれの伝送路を介して当該コンポーネント信号を受信できるかを判定する。続いて、受信制御部134は、当該コンポーネント信号が、放送伝送路の信号であれば第1IPデータフロー受信部131を制御し、当該コンポーネント信号が、利用するプラットフォーム装置12の信号であれば第2IPデータフロー受信部132を制御することにより、当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行う。」

(2)引用文献1に記載された発明
引用文献1に記載された発明を以下に認定する。

ア 受信装置について
上記(1)アによれば、「所定のコンテンツ(例えば、放送サービスのコンテンツ)を構成するコンポーネント信号を複数種の伝送路を介して送信する送信システム」と、「当該複数種の伝送路に応じて当該コンポーネント信号に対する利用の可否を判定し受信する受信装置」が記載されている。
また、上記(1)エによれば、「第1実施形態の送信システム10は、放送サービスのコンテンツ(特に、複数種のメディアコンポーネントから構成可能なコンテンツ)を構成するコンポーネント信号(即ち、予め用意されたメディアコンポーネントの信号)を複数種の伝送路を介して送信するように構成され、受信装置13は、当該放送サービスのコンテンツを構成する複数種の伝送路に応じたコンポーネント信号(電波により送信する信号及び通信で送信する信号)を同時に利用可能とするように構成される」と記載されている。
また、上記(1)エによれば、「送信システム10は、放送局装置11及びプラットフォーム装置12」からなることが記載されている。
また、上記(1)エによれば、「複数種の伝送路として、放送伝送路と、CDNによる通信伝送路を想定して説明する」と記載されている。

上記(1)クによれば、「受信装置13」は、「受信制御部134」、「第1IPデータフロー受信部131」、「第2IPデータフロー受信部132」を備えることが記載されており、「受信装置13」の「受信制御部134」が、「当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行う」と記載されている。
また、「受信装置13」の「第1IPデータフロー受信部131」が、「放送波による放送伝送路で伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する」、「受信装置13」の「第2IPデータフロー受信部132」が、「CDNと接続し、CDNで伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する」と記載されている。

以上によれば、引用文献1には、『放送局装置及びプラットフォーム装置からなる送信システムから、放送伝送路及びCDNによる通信伝送路で送信された、放送サービスのコンテンツを構成するコンポーネント信号を受信する受信装置であって、放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行い、放送伝送路で伝送されたIPパケットのIPデータフローと、CDNで伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する受信装置』に関する発明が記載されている。

イ 放送局装置について
上記(1)オによれば、「放送局装置11は、複数のメディアコンポーネントで構成される放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ(第1のコンポーネント信号として伝送するデータ)と、当該IPパケットを識別する第1の制御情報を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、高度広帯域衛星デジタル放送など、IPパケットを放送できる放送伝送路を介して送信する」と記載されている。
また、上記(1)オによれば、「第1の制御情報をIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成することができる」と記載されている。
よって、引用文献1には、「第1の制御情報をIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送する」構成として、『放送局装置は、複数のメディアコンポーネントで構成される放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ(第1のコンポーネント信号として伝送するデータ)を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、高度広帯域衛星デジタル放送など、IPパケットを放送できる放送伝送路を介して送信し、第1の制御情報をIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送する』構成が記載されているといえる。

また、上記(1)オによれば、「この第1の制御情報は、当該放送伝送路で伝送されるIPパケットの送信元及び宛先アドレスを記載したアドレスマップ情報を含む」と記載されている。
また、上記(1)カによれば、「アドレスマップ情報は、例えば非特許文献3におけるアドレスマップテーブルや、特許文献1におけるアドレスマップテーブル、これらの情報をXMLで記述したXML文書を用いることができる」と記載されている。

また、上記(1)イによれば、「高度広帯域衛星デジタル放送(例えば、非特許文献2参照)では、放送サービスのコンテンツを構成する信号をIP(Internet Protocol)パケットを用いて伝送することができる。この放送システムでは、TLV(Type Length Value)パケットを用いてこれらのIPパケットを1つのTLVストリームに多重し、放送することができる(例えば、非特許文献3,4参照)。」と記載されている。

また、上記(1)キによれば、「放送局装置11及びプラットフォーム装置12のうち少なくとも一方は、第1のコンポーネント信号及び第2のコンポーネント信号の受信に関する第3の制御情報を送信する手段を有する。この第3の制御情報にはサービス構成情報が含まれる。」と記載されている。
また、上記(1)キによれば、「本実施形態の例では、放送局装置11が、当該第2の制御情報と同様に、第3の制御情報をIPパケットに格納して送信する例を説明する」と記載されている。
また、上記(1)キによれば、「第3の制御情報の信号の具体例として、MPEGにて現在標準化作業中のISO/IEC 23008にて規格化中であるMP Table(MMT Package Table)における、サービス構成情報とロケーション情報について述べる(例えば、ISO/IEC 2nd CD 23008-1 MPEG Media Transport (N13293)参照)。このMP Tableは、本実施形態におけるサービス構成情報に対応し、コンポーネント信号の識別情報をasset_idで、ロケーション情報をMMT_general_location_infoで記述する。」と記載されている。

以上によれば、引用文献1には、『放送局装置は、複数のメディアコンポーネントで構成される放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ(第1のコンポーネント信号として伝送するデータ)を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、高度広帯域衛星デジタル放送など、IPパケットを放送できる放送伝送路を介して送信し、
第1の制御情報をIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送し、この第1の制御情報は、当該放送伝送路で伝送されるIPパケットの送信元及び宛先アドレスを記載したアドレスマップ情報を含み、アドレスマップ情報は、アドレスマップテーブルを用いることができ、
高度広帯域衛星デジタル放送では、放送サービスのコンテンツを構成する信号をIP(Internet Protocol)パケットを用いて伝送することができ、TLV(Type Length Value)パケットを用いてこれらのIPパケットを1つのTLVストリームに多重し、放送することができ、
放送局装置は、第1のコンポーネント信号の受信に関する第3の制御情報を送信し、この第3の制御情報にはサービス構成情報が含まれ、放送局装置が、第3の制御情報をIPパケットに格納して送信し、第3の制御情報の信号の具体例として、MP Table(MMT Package Table)における、サービス構成情報とロケーション情報がある』ことが記載されている。

ウ プラットフォーム装置について
上記(1)オによれば、「本実施形態に係るプラットフォーム装置12は、コンテンツサーバ121及びアドレスマップ情報サーバ122を備え、これらを用いて、1つ若しくは複数の放送サービスのコンテンツを提供する」と記載されている。
また、上記(1)オによれば、「コンテンツサーバ121は、プラットフォーム装置12が提供する当該放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ(第2のコンポーネント信号として伝送するデータ)と、当該IPパケットを識別する第2の制御情報を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、IPマルチキャスト若しくはユニキャストを用いてCDN15にて伝送する」と記載されている。

以上によれば、引用文献1には、『プラットフォーム装置のコンテンツサーバは、放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データと、第2の制御情報を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、IPマルチキャスト若しくはユニキャストを用いてCDNにて伝送する』ことが記載されている。

エ 第1受信部について
上記(1)クによれば、「受信装置13」は、「第1IPデータフロー受信部131」を備えると記載されている。
また、上記(1)クによれば、「第1IPデータフロー受信部131」は、「それぞれの伝送路」を介して、「受信対象の放送局装置11」から「映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信」し、「第1IPデータフロー受信部131は、放送波による放送伝送路で伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する。」と記載されている。
また、上記(1)クによれば、「放送局装置11から送信される第1のコンポーネント信号を格納するIPパケットを識別するための第1の制御情報」は、「必ずしもIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成する」ことができ、この場合、「第1IPデータフロー受信部131は、電波による伝送路を介して送信される信号又は情報を受信する第1受信部として構成」することができると記載されている。
よって、引用文献1には、「第1の制御情報」を、「IPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送する」場合の構成として、「第1IPデータフロー受信部」を、「第1受信部」とし、「第1受信部」は、映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信するとともに、IPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送される第1の制御情報を受信する構成が記載されているといえる。

以上によれば、引用文献1には、「受信装置」において、『第1受信部が、放送伝送路で伝送された、映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信するとともに、IPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送される第1の制御情報を受信する』ことが記載されている。

オ 第2IPデータフロー受信部について
上記(1)クによれば、「受信装置13」は、「第2IPデータフロー受信部132」を備えることが記載されている。
また、上記(1)クによれば、「第2IPデータフロー受信部132」は、「それぞれの伝送路」を介して、「受信対象」の「プラットフォーム装置12」から「映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信」し、「第2IPデータフロー受信部132は、CDNと接続し、CDNで伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する」と記載されている。

以上によれば、引用文献1には、「受信装置」において、『第2IPデータフロー受信部が、CDNで伝送された、映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信する』ことが記載されている。

カ 受信制御部について
上記(1)クによれば、「受信装置13」は、「受信制御部134」を備えることが記載されている。
また、上記(1)クによれば、「受信制御部134は、放送局装置11からの第1の制御情報に含まれる放送伝送路のアドレスマップ情報を当該放送伝送路に対応づけて保持する」と記載されている。
また、上記(1)クによれば、「このように、各伝送路におけるアドレスマップ情報を予め取得して保持し管理することにより、受信装置13の初期設定処理を完了することができる」と記載されている。
また、上記(1)クによれば、「受信制御部134は、当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象の信号が伝送されるIPパケットの受信を制御する」、「より具体的には、受信制御部134は、利用者による操作指示に基づき受信装置13が受信する放送サービスのコンテンツを構成する信号(コンポーネント信号)が要求される」と、「受信制御部134は、当該コンポーネント信号が、放送伝送路の信号であれば第1IPデータフロー受信部131を制御」することにより、「当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行う」と記載されている。
また、上記(1)クによれば、「放送局装置11から送信される第1のコンポーネント信号を格納するIPパケットを識別するための第1の制御情報」は、「必ずしもIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送するように構成する」ことができ、この場合、「第1IPデータフロー受信部131は、電波による伝送路を介して送信される信号又は情報を受信する第1受信部として構成」することができると記載されている。
よって、引用文献1には、「第1の制御情報」を、「IPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送する」場合の構成として、「第1IPデータフロー受信部」を、「第1受信部」し、「受信制御部」は、「第1受信部」を制御することにより、当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行う構成が記載されているといえる。

以上によれば、引用文献1には、「受信装置」において、『受信制御部が、放送局装置からの第1の制御情報に含まれる放送伝送路のアドレスマップ情報を予め取得して当該放送伝送路に対応づけて保持し、利用者による操作指示に基づき受信装置が受信する放送サービスのコンテンツを構成する信号(コンポーネント信号)が要求されると、第1受信部を制御することにより、当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行う』ことが記載されている。

キ IPパケット分離部について
上記(1)クによれば、「受信装置13」は、「IPパケット分離部133」を備えることが記載されている。
また、上記(1)クによれば、「IPパケット分離部133は、受信したIPパケットのIPデータフローから、サービス構成情報に記載されるロケーション情報(IPアドレス及びポート番号等)に基づき、映像データ及び音声データ、並びに、各制御情報を格納したIPパケットを分離し、映像データ及び音声データを抽出してAVデコーダ135に出力し、各制御情報を抽出して受信制御部134に出力する」と記載されている。

以上によれば、引用文献1には、「受信装置」において、『IPパケット分離部が、受信したIPパケットのIPデータフローから、サービス構成情報に記載されるロケーション情報(IPアドレス及びポート番号等)に基づき、映像データ及び音声データ、並びに、各制御情報を格納したIPパケットを分離し、映像データ及び音声データを抽出してAVデコーダに出力する』ことが記載されている。

ク AVデコーダについて
上記(1)クによれば、「受信装置13」は、「AVデコーダ135」を備えることが記載されている。
また、上記(1)クによれば、「AVデコーダ135は、放送サービスのコンテンツに係る映像データ及び音声データを復号し、放送サービスのコンテンツに関する映像音声信号として外部に出力する」と記載されている。

以上によれば、引用文献1には、「受信装置」において、『AVデコーダが、放送サービスのコンテンツに係る映像データ及び音声データを復号し、放送サービスのコンテンツに関する映像音声信号として外部に出力する』ことが記載されている。

ケ まとめ
以上より、引用文献1に記載された発明として、上記アの「受信装置」で実行する「受信方法」の発明を認定すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。引用発明の各構成については、以下、構成a?構成d5と称する。

(引用発明)
(a)放送局装置及びプラットフォーム装置からなる送信システムから、放送伝送路及びCDNによる通信伝送路で送信された、放送サービスのコンテンツを構成するコンポーネント信号を受信する受信装置であって、放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行い、放送伝送路で伝送されたIPパケットのIPデータフローと、CDNで伝送されたIPパケットのIPデータフローを受信する受信装置で実行する受信方法であって、
(b)放送局装置は、
(b1)複数のメディアコンポーネントで構成される放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ(第1のコンポーネント信号として伝送するデータ)を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、高度広帯域衛星デジタル放送など、IPパケットを放送できる放送伝送路を介して送信し、
(b2)第1の制御情報をIPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送し、この第1の制御情報は、当該放送伝送路で伝送されるIPパケットの送信元及び宛先アドレスを記載したアドレスマップ情報を含み、アドレスマップ情報は、アドレスマップテーブルを用いることができ、
(b3)高度広帯域衛星デジタル放送では、放送サービスのコンテンツを構成する信号をIP(Internet Protocol)パケットを用いて伝送することができ、TLV(Type Length Value)パケットを用いてこれらのIPパケットを1つのTLVストリームに多重し、放送することができ、
(b4)放送局装置は、第1のコンポーネント信号の受信に関する第3の制御情報を送信し、この第3の制御情報にはサービス構成情報が含まれ、放送局装置が、第3の制御情報をIPパケットに格納して送信し、第3の制御情報の信号の具体例として、MP Table(MMT Package Table)における、サービス構成情報とロケーション情報があり、
(c)プラットフォーム装置のコンテンツサーバは、放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データと、第2の制御情報を1つ若しくは複数のIPパケットに格納し、IPマルチキャスト若しくはユニキャストを用いてCDNにて伝送し、
(d)受信装置において、
(d1)第1受信部が、放送伝送路で伝送された、映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信するとともに、IPパケットに格納せずに送受間で定められた信号フォーマットで伝送される第1の制御情報を受信し、
(d2)第2IPデータフロー受信部が、CDNで伝送された、映像データ、音声データ及び各制御情報を格納したIPパケットのIPデータフローを受信し、
(d3)受信制御部が、放送局装置からの第1の制御情報に含まれる放送伝送路のアドレスマップ情報を予め取得して当該放送伝送路に対応づけて保持し、利用者による操作指示に基づき受信装置が受信する放送サービスのコンテンツを構成する信号(コンポーネント信号)が要求されると、第1受信部を制御することにより、当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行い、
(d4)IPパケット分離部が、受信したIPパケットのIPデータフローから、サービス構成情報に記載されるロケーション情報(IPアドレス及びポート番号等)に基づき、映像データ及び音声データ、並びに、各制御情報を格納したIPパケットを分離し、映像データ及び音声データを抽出してAVデコーダに出力し、
(d5)AVデコーダが、放送サービスのコンテンツに係る映像データ及び音声データを復号し、放送サービスのコンテンツに関する映像音声信号として外部に出力する、
(a)受信方法。

2 引用文献2、3
(1)引用文献2の記載事項
当審の拒絶の理由に引用された引用文献2である、「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式 標準規格 ARIB STD-B60 1.0版」,一般社団法人 電波産業会,平成26年7月,pp.4-5,9-22,39-49,175-180には、次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア「2.1 MMTを用いる放送システムのプロトコルスタック
MMTを用いる放送システムのプロトコルスタックを図2-1に示す。

放送番組の映像信号及び音声信号の符号はMFU/MPUとし、MMTP(MMT Protocol)ペイロードに乗せてMMTPパケット化し、IPパケットで伝送する。また、放送番組に関連するデータコンテンツや字幕の信号についてもMFU/MPUの形式とし、MMTPペイロードに乗せてMMTPパケット化し、IPパケットで伝送する。データコンテンツの伝送には、表2-1に示す4種類の伝送方式がある。いずれの伝送方式でもデータをMMTPパケット化し、IPパケットで伝送する。
(中略)
このように構成したIPパケットは、放送伝送路ではTLVパケットの形式で伝送する。一つのIPパケットあるいは一つのヘッダー圧縮したIPパケットを、一つのTLVパケットで伝送する(ARIB STD-B32)。」(第4頁第2?11行目、図2-1)

イ「通信回線では、ユニキャスト・マルチキャストの配信形態に応じてIPパケットのまま伝送する。通信回線におけるプロトコルスタックを図2-2に示す。

」(第5頁第8?9行目、図2-2)

ウ「

」(第11頁表4-7)

エ「5.2.1.2 アドレスマップテーブル
[注]アドレスマップテーブルは告示にも規定される。
AMTは、そのネットワークにおいて伝送される各サービスを構成する、IPパケットのマルチキャストグループの一覧を提供する。AMTの構成を表5-2に示す。

(中略)
version_number(バージョン番号):テーブルのバージョン番号を書き込む領域とする。テーブル内の情報に変化があった場合に1加算される。その値が31になった場合は、その次は0に戻る。」(第20頁第13行目?第21頁第10行目)

オ「1.2 アドレスマップテーブル(AMT)
アドレスマップテープル(AMT)は、アプリケーションが、TLV多重化方式で伝送されるIPパケットを、通信回線で伝送されるIPパケットと可能な限り区別なく受信するため、IPパケットのマルチキャストグループの一覧を提供する。受信中のTLVストリームでのAMTの伝送は必須である。
(中略)
1.2.1 マルチキャストグループによる選局
AMTを用いることで、IPマルチキャストグループの指定による選局が可能となる。受信機におけるAMTの利用例として、受信機外部のアプリケーションがホームネットワーク経由でTLV多重化方式対応受信機と接続する場合(図1-3)の選局の例を示す。」(第177頁第1?16行目)

(2)引用文献3の記載事項
当審の拒絶の理由に引用された引用文献3である、青木秀一、大槻一博、浜田浩行,「次世代放送システムにおけるMMTの運用方法の検討」,FIT2013 第12回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第3分冊,2013年8月20日,pp.355-356には、次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア「3.1 次世代放送システムのレイヤーモデル
筆者らが提案している次世代放送システムのレイヤーモデルを図1に示す.このシステムでは,放送サービスを構成する映像信号・音声信号の符号をMMTパケット化する.MMTパケットはIPパケットを用いて放送あるいは通信回線で伝送する.IPパケットを放送で伝送する際は,TLV多量化方式[4]を用いる.
提案するシステムでは,TLV-Signaling Information (SI), IP-SI, MMT-SIの3種類の制御信号を設けている.TLV-SIは,放送伝送路のIPパケットを多重・分離するための制御信号であり,TLV-Network Information Table (NIT), Address Map Table (AMT)が規定されている[4].IP-SIは,MMTで伝送する信号に加えデータ伝送方式で伝送する信号を対象とする制御信号である.MMT-SIは,MMTで伝送するパッケージに関する制御信号である.」(第355頁右欄第12?26行目)

イ「3.3 チャンネル選択時の動作
MPU Timestamp記述子を用いた,放送におけるチャンネル選択から,所望の映像信号や音声信号を提示するまでのフローを図3に示す.
利用者のチャンネル選択は,受信するIPデータフローの指定により行われる.指定されたIPデータフローに対し,AMTを用いて対応するサービスIDを特定する.次に,TLV-NITを用いて,対応するサービスIDの物理チャンネルを特定し,選局処理を行う.この結果,所望のIPデータフローが放送受信機のフロントエンド部から出力される.
このように受信したIPパケットはMMTパケットを格納している.ここからMMTパケットヘッダーのpacket_idフィールドの値が0x0000であるMMTパケットを選択し,PAメッセージを取得し,さらに,メッセージ内のMPテーブルを取得する.
放送では,一つのIPデータフローに複数のパッケージが多重される場合がある.そこで,得られたMPテーブルのパッケージIDが,指定されたサービスIDと一致することを確認する.一致しない場合,PAメッセージに含まれるパッケージリストテーブルを取得し,必要なサービスIDのMPテーブルを伝送するMMTパケットのpacket_idを特定する.
MPテーブルに記載されるgeneral_location_infoから,コンテンツを構成するアセットを伝送するIPデータフロー及びpacket_idを特定する.同時にMPU Timestamp記述子から,MPUの提示時刻とレイアウト番号を特定する.
次に,アセットとして特定したpacket_idのMMTパケットを選択し,必要なMPUを取得する.このようにして取得したMPUを,指定の提示時刻に,指定のレイアウト番号と領域番号の位置に提示(図4)することで,映像信号や音声信号の提示を行う.」(第356頁右欄第1?32行目)

ウ「

」(第356頁図3)

(3)MMTを用いるデジタル放送における周知技術
上記(1)で示した引用文献2は、MMTを用いるデジタル放送の標準規格文書であり、上記(2)で示した引用文献3は、MMTを用いるデジタル放送の運用方法に関する論文であるから、MMTを用いるデジタル放送は、本願出願時に既に当業者に周知であったものといえる。
そして、上記(1)及び(2)で示した引用文献2及び3の記載によれば、MMTを用いるデジタル放送において、以下の事項は周知技術であるといえる。

(周知技術1)
「MMTを用いるデジタル放送において、放送伝送路でTLVパケットに格納されて伝送されるIPパケットが、映像、音声および字幕を格納すること。」(上記(1)ア)

(周知技術2)
「MMTを用いるデジタル放送において、通信回線では、IPパケットはTLVパケットに格納されずに伝送され、伝送されるIPパケットが、映像、音声および字幕を格納すること。」(上記(1)イ)

(周知技術3)
「MMTを用いるデジタル放送において、アドレスマップテーブルが、テーブルのバージョン情報と、各サービスに関するIPマルチキャストグループの一覧とを含むこと。」(上記(1)エ)

(周知技術4)
「MMTを用いるデジタル放送において、アドレスマップテーブルに含まれるIPマルチキャストグループの一覧に基づいて、選局を行うこと。」(上記(1)オ、(2)ア、イ)

(周知技術5)
「MMTを用いるデジタル放送の受信機において、映像データと音声データは、一つのIPデータフローから取得するパッケージリストテーブルから参照されるMPテーブルから参照されることにより取得可能であること。」(上記(2)ア?ウ)

(周知技術6)
「MMTを用いるデジタル放送において、パッケージリストテーブルは、TLVパケットの内でIPパケットの部分に格納されていること。」(上記(1)ア、ウ)

(周知技術7)
「MMT及びTLV多重化方式を用いるデジタル放送において、受信されるアドレスマップテーブルの内容が更新され得ること。」(上記(1)エ、オ)

3 引用文献4
(1)引用文献4の記載事項
当審の拒絶の理由に引用された引用文献4である、青木秀一、青木勝典、山本真,「デジタル放送におけるIPパケット伝送方式の伝送特性評価」,NHK技研R&D,2010年11月15日,No.124,pp.32-43には、次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア「2.高度BS放送及びISDB-T_(SB)におけるIPパケットの伝送方式
高度BS放送におけるTLV多重化方式のプロトコルスタック^(*4)を1図に示す。TLV多重化方式は,以下の要素技術で構成される。
(中略)
(2)IPアドレス解決^(*5)のための伝送制御信号
放送で伝送するIPパケットを受信機で分離し,IPアドレス解決をするためにAMT(Address Map Table)を規定した。AMTはサービス識別子とそれに対応するIPアドレスの一覧を提供する伝送制御信号である。記述例を2表に示す。32ビットのIPアドレスを用いる現在のIPv4および128ビットのlPアドレスを用いる次世代のIPv6のIPアドレスが記述可能である。また,いずれのIPアドレスのバージョンにおいても,送信元IPアドレスと宛先IPアドレスの上位の有効なビット数を,それぞれ送信元アドレスマスクと宛先アドレスマスクを用いて指定できるので,連続するIPアドレスをAMTに効率的に記述することができる。AMTはMPEG-2 Systemsに規定するネットワーク情報テーブル(NIT:Network Information Table)と同等の機能を持つTLV-NITと併せて,後述するTLVパケットを用いて伝送する。AMTとTLV-NITを用いることで,IPアドレスに対応するサービスとそのサービスを伝送する放送波を特定することができる。AMTおよびTLV-NITは頻繁に更新するテーブルではなく,受信機はそれらを不揮発性メモリーに蓄積して参照することができる。」(第34頁左欄第11行目?第35頁左欄第11行目)

(2)引用文献4に記載された技術
以上によれば、引用文献4には、次の技術(以下、「文献4技術」という。)が記載されている。

(文献4技術)
「TLV多重化方式を用いるデジタル放送において、受信されるアドレスマップテーブルの内容が更新され得ること。」

4 引用文献5
(1)引用文献5の記載事項
当審の拒絶の理由に引用された引用文献5である特開2007-104099号公報には、「デジタル放送再送信方法及びその送信受信装置」(発明の名称)に関し、図面とともに次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア「【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル放送再送信方法及びその送信受信装置に関するもので、例えばInternet Protocol(IP)放送を行なう場合にエッジルータの負担を軽減できるように工夫したものである。」

イ「【0044】
図4には、サービスエリア選局リストのデータ構造の一例を示す。サービスエリア選局リスト内の情報としては、サービスエリア識別(4-1)、リスト自体のバージョン番号(4-2)、このエリアにおいて伝送されるチャンネル数(4-2)がある。
【0045】
さらにサービスエリアごとに受信可能な放送局(ネットワーク)の一覧(4-4)がある。この一覧には、各放送信号(TS)識別(4-5)とIPマルチキャスト配信に必要な伝送情報(4-6)との対応表(4-7)が含まれる。IPマルチキャスト配信に必要な情報としては、マルチキャストアドレス、ソースアドレス、ポート番号が含まれる。
【0046】
さらにサービスエリア選局リスト内の情報としては、NIT/BIT/SDT/EITの各ファイルの配置場所(4-8)、(4-9)、(4-10)、(4-11)が記述されている。また(4-12)は、バージョンチェックリストの配置場所である。
【0047】
またフラグ情報(4-13)、(4-14)を含んでもよい。フラグ情報(4-13)は、例えばエラー訂正情報を有するか否かを示すフラグとして利用される。つまりIP放送の場合は、放送信号にIP特有の誤り訂正符号を付して放送信号を伝送される場合もあるし、また回線の状況により異なる強度で放送信号に誤り訂正符号を付して伝送されることがあるからである。またフラグ情報(4-14)は、例えば緊急放送を行っているか否かを示す情報である。」

ウ「【0069】
図9(A)、図9(B)、図9(C),図10(A)、図10(B)は、受信端末31の動作例を示すフローチャートであり、この動作は装置を統括制御する制御部107が中心となって実現される。図9(A)は、受信端末31の電源がオン(ステップSB1)されたときに動作するフローチャートである。サーバに対して、サービスエリア選局リスト要求(ステップSB2)し、取得する(ステップSB3)。そして、この選局リストを受信端末が既に保持しているかを判定(ステップSB4)し、保持していればさらにそのサービスエリア識別が同じかどうか判定する(ステップSB5)。同じであればさらにリストのバージョン番号が同じか確認(ステップSB6)し、同じであれば更新処理は行わないで取得したリストを廃棄する。しかし、選局リストそのものを保持していなかったり、保持していてもサービスエリア識別が異なっていたり、保持していてサービスエリア識別が同じでもバージョン番号が更新されていると判断すれば取得した選局リストを更新/保持する。なお、上記のようにサービスエリア識別を基にサービスエリア選局リストを適切に更新することで、たとえば転居時等で受信端末を再設置した際の再スキャンに相当する処理を円滑に行うことができる。」

(2)引用文献5に記載された技術
以上によれば、引用文献5には、次の技術(以下、「文献5技術」という。)が記載されていると認められる。

(文献5技術)
「デジタル放送の受信端末において、
バージョン番号とマルチキャストアドレスを含む選局リストを取得したときに、
この選局リストを受信端末が既に保持している場合に、リストのバージョン番号が同じか確認し、同じであれば更新処理は行わないようにする技術。」

5 引用文献6
(1)引用文献6の記載事項
周知技術を示す文献として引用する国際公開第2013/136754号(以下、「引用文献6」という。)には、「表示装置、及び送信装置」(発明の名称)に関し、図面とともに次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア「[0001] 本発明は、放送コンテンツとそれに付随するコンテンツとを同期して再生する技術に関する。」

イ「[0013]<実施の形態>
<概要>
以下、本発明に係る表示装置の一実施形態として、放送局から、放送波を介して送信される放送映像を受信し、通信サービス提供局から、インターネット回線を介して送信される通信映像を受信し、受信した放送映像と受信した通信映像とを、映像製作者の意図した通りのタイミングで同期して表示する表示装置について説明する。」

ウ「[0051] 図5は、表示装置110の構成を示す構成図である。
[0052] 同図に示されるように、表示装置110は、チューナ501と通信インターフェース502と外部機器インターフェース503とリモコンインターフェース504と放送ストリームデコード手段510と通信ストリームデコード手段520とアプリケーション実行制御部530と同期開始パケット決定部540と入力開始制御部541とバッファ542とATCディレイ部543と字幕プレーン551と第1ビデオプレーン552と背景プレーン553とグラフィックスプレーン554と第2ビデオプレーン555とプレーン合成処理部560と音声合成処理部570とディスプレイ580とスピーカ590とから構成される。
[0053] さらに、放送ストリームデコード手段510は、第1多重分離部511と第1オーディオデコーダ512と字幕デコーダ513と第1ビデオデコーダ514とシステムパケットマネージャ515とから構成され、通信ストリームデコード手段520は、第2多重分離部521と第2ビデオデコーダ523と第2オーディオデコーダ522とから構成される。」

エ「[0062] 第1ビデオデコーダ514は、第1多重分離部511から送られて来るビデオストリームをデコードして、非圧縮の映像フレームを生成し、生成した映像フレームを、そのフレームに対応付けられたPTSのタイミングで第1ビデオプレーン552に出力する機能を有する。」

オ「[0066] 字幕デコーダ513は、第1多重分離部511から送られて来る字幕フレームをデコードして非圧縮のイメージフレームを生成し、生成したイメージフレームを、そのイメージフレームに対応付けられたPTSのタイミングで字幕プレーン551に出力する機能を有する。」

カ「[0074] プレーン合成処理部560は、字幕プレーン551と第1ビデオプレーン552と背景プレーン553とグラフィックスプレーン554と第2ビデオプレーン555とに格納されている画像を合成して1枚の画像を生成し、生成した画像をディスプレイに出力する機能を有する。
[0075] ここで、プレーン合成処理部560は、画像の合成において、背面側から順に、背景プレーン553、第1ビデオプレーン552、第2ビデオプレーン555、字幕プレーン551、グラフィックスプレーン554の順で重畳して画像の合成を行う。また、アプリケーション実行制御部530によって実行されるアプリケーションからの合成方法の制御に応じて、ビデオプレーンに対して拡大、縮小等のスケーリングや、ポジショニング等を行う。」

(2)引用文献6に記載された技術
以上によれば、引用文献6には、次の技術(以下、「文献6技術」という。)が記載されていると認められる。

(文献6技術)
「放送局から、放送波を介して送信される放送映像を受信する表示装置において、
ビデオデコーダでビデオストリームをデコードしてビデオプレーンに出力し、
字幕デコーダで字幕フレームをデコードして、字幕プレーンに出力し、
背面側から順に、ビデオプレーン、字幕プレーンの順で重畳して画像の合成を行い、出力する技術。」

第5 対比
次に、本願発明と、引用発明を対比する。

1 本願発明の構成Aについて
構成aの「IPデータフロー」は、放送伝送路およびCDNによる通信伝送路で伝送されている。
また、構成aの「放送局装置及びプラットフォーム装置からなる送信システム」と、「受信装置」からなるシステムは、「放送システム」といえる。
また、構成aの「放送サービスのコンテンツを構成するコンポーネント信号」は、「IPパケット」として伝送され、「IPパケット」を用いる伝送はデジタル伝送であるといえるから、構成aの「放送サービス」は、「デジタル放送サービス」といえる。
また、構成aの「放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行う」ことは、「選局」といえるから、構成aの「受信方法」は、「選局方法」であるといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「放送伝送路および通信伝送路でIPデータフローが伝送される放送システムのデジタル放送サービスを受信可能な放送受信装置で実行する選局方法」である点で一致する。

2 本願発明の構成Bについて
構成d1の「放送伝送路」で伝送される「IPデータフロー」の「IPパケット」は、「映像データ」と「音声データ」を格納している。
また、構成d1の「映像データ」と「音声データ」は、構成b1の「放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ」であるから、「放送番組」といえる。
また、構成d1の「IPパケット」は、構成b3の「TLVストリーム」に多重して放送されたものである。
また、上記第4の1(1)ウによれば、引用文献1には、「従来技法における放送コンテンツの伝送では、TS若しくはTLVストリームに属するものとして、映像・音声・字幕データなど放送コンテンツを構成する全ての信号を、1つのTS、1つのマルチキャストグループ、若しくは、1つのTLVストリームなど、1つの信号系列に多重化して伝送することを前提としている」と記載されているから、引用発明においても、「放送コンテンツ」には「字幕データ」が含まれることが示唆されているといえる。
そして、上記第4の2(3)の(周知技術1)のとおり、MMTを用いるデジタル放送において、放送伝送路でTLVパケットに格納されて伝送されるIPパケットが、映像、音声および字幕を格納することは周知技術である。
よって、構成d1の「放送伝送路」では、映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されて伝送されるといえる。
また、放送伝送路で伝送されたデータを受信する受信部が「チューナ」といえることは、当業者にとって明らかであるから、構成d1の「第1受信部」は「チューナ」といえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「放送伝送路では放送番組の映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されて伝送され、該放送伝送路のTLVストリームは放送受信装置のチューナで受信されるものである」点で一致する。

3 本願発明の構成Cについて
構成d2の「CDN」は、「通信伝送路」であり、当該「CDN」で伝送される「IPデータフロー」の「IPパケット」は、映像データと音声データを格納している。
また、構成d2の「映像データ」と「音声データ」は、構成cの「放送サービスのコンテンツに関する映像データ及び音声データ」であるから、「放送番組」といえる。
また、上記第4の1(1)ウによれば、引用文献1には、「従来技法における放送コンテンツの伝送では、TS若しくはTLVストリームに属するものとして、映像・音声・字幕データなど放送コンテンツを構成する全ての信号を、1つのTS、1つのマルチキャストグループ、若しくは、1つのTLVストリームなど、1つの信号系列に多重化して伝送することを前提としている」と記載されているから、引用発明においても、「放送コンテンツ」には「字幕データ」が含まれることが示唆されているといえる。
そして、上記第4の2(3)の(周知技術2)のとおり、MMTを用いるデジタル放送において、通信回線では、IPパケットはTLVパケットに格納されずに伝送され、伝送されるIPパケットが、映像、音声および字幕を格納することは周知技術である。
したがって、構成d2の「CDN」では、映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されずに伝送されるといえる。
また、構成d2の「第2IPデータフロー受信部」は、構成d1の「第1受信部」とは異なるものであり、「通信部」といえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「通信伝送路では放送番組の映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されずに伝送されるものであり、該通信伝送路のIPデータフローは、放送受信装置におけるチューナとは異なる通信部で受信されるものである」点で一致する。

4 本願発明の構成Dについて
上記2のとおり、構成d1の「第1受信部」は「チューナ」といえる。
また、構成d1の「IPパケット」は、構成b3の「TLVストリーム」に多重して放送されたものであるから、構成d1の「第1受信部」は、「TLVストリーム」を受信するといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「チューナを用いて放送伝送路を介して伝送されるTLVストリームを受信する受信ステップ」を含む点で一致する。

5 本願発明の構成Eについて
構成d3の「受信制御部」は、放送局装置からの「第1の制御情報」に含まれる放送伝送路の「アドレスマップ情報」を取得している。
そして、構成d3の「アドレスマップ情報」は、構成b2の「アドレスマップテーブル」を用いることができるとされているから、構成d3の「受信制御部」は、「アドレスマップテーブル」を取得するといえる。

また、構成b2の「第1の制御情報」は、IPパケットに格納されずに伝送され、「アドレスマップ情報」を含んでいる。
また、構成b2の「第1の制御情報」は、構成bの「放送局装置」が送信するものであるから、構成b3の「TLVストリーム」に多重して放送されるといえる。
よって、構成d3の「受信制御部」が取得する「アドレスマップテーブル」は、受信したTLVストリームの内でIPデータフローとは異なる部分に配置されるといえる。

また、上記第4の2(3)の(周知技術3)のとおり、MMTを用いるデジタル放送において、アドレスマップテーブルが、テーブルのバージョン情報と、各サービスに関するIPマルチキャストグループの一覧とを含むことは周知である。
よって、構成d3の「受信制御部」が取得する「アドレスマップテーブル」は、テーブルのバージョン情報と、各サービスに関するIPマルチキャストグループの一覧とを含むといえる。

したがって、本願発明と引用発明は、「受信したTLVストリームの内でIPデータフローとは異なる部分に配置されるテーブルであって、テーブルのバージョン情報と、各サービスに関するIPマルチキャストグループの一覧とを含むアドレスマップテーブルを取得する取得ステップ」を含む点で一致する。

6 本願発明の構成Fについて
構成d3の「受信制御部」は、「アドレスマップ情報」を放送伝送路に対応づけて保持しており、当該「保持」は、「記憶」することといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「取得ステップで取得したアドレスマップテーブルを記憶する記憶ステップ」を含む点で一致する。

7 本願発明の構成Gについて
上記2のとおり、構成d1の「第1受信部」は「チューナ」といえるから、構成d3の「利用者による操作指示に基づき受信装置が受信する放送サービスのコンテンツを構成する信号(コンポーネント信号)が要求されると、第1受信部を制御することにより、当該放送サービスのコンテンツに関する受信対象のコンポーネント信号が伝送されるIPパケットの受信の制御を行う」ことは、「チューナにおける選局動作」といえる。
また、構成d3は「アドレスマップ情報」を保持するものである。
そして、上記第4の2(3)の(周知技術4)のとおり、MMTを用いるデジタル放送において、アドレスマップテーブルに含まれるIPマルチキャストグループの一覧に基づいて、選局を行うことは周知である。
よって、構成d3は、記憶したアドレスマップテーブルに含まれるIPマルチキャストグループの一覧に基づいて、選局を行うものといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「記憶ステップで記憶したアドレスマップテーブルに含まれるIPマルチキャストグループの一覧に基づいて、チューナにおける選局動作を行う選局ステップ」を含む点で一致する。

8 本願発明の構成Hについて
上記7のとおり、構成d3の「受信の制御」は、「選局動作」といえる。
また、上記4のとおり、構成d1の「第1受信部」は、「TLVストリーム」を受信するといえる。
また、構成d4の「IPパケット分離部」は、「受信したIPパケットのIPデータフロー」から、映像データ及び音声データを格納したIPパケットを分離し、映像データ及び音声データを抽出してAVデコーダに出力している。
また、構成d5の「AVデコーダ」は、「放送サービスのコンテンツに係る映像データ及び音声データを復号し、放送サービスのコンテンツに関する映像音声信号として外部に出力」している。
したがって、本願発明と引用発明は、「選局ステップの選局動作に基づいて受信するTLVストリームをデコードした結果を出力する出力ステップ」を含む点で一致する。

9 本願発明の構成Iについて
「記憶ステップ」が、本願発明では、「記憶済みのアドレスマップテーブルがある場合、当該記憶済みのアドレスマップテーブルのバージョン情報と、取得ステップで取得したアドレスマップテーブルのバージョン情報とを比較して前記取得したアドレスマップテーブルの更新の有無を判断する」のに対し、引用発明では、当該判断を行っていない点で、両発明は相違する。

10 本願発明の構成Jについて
上記7のとおり、構成d3の「受信の制御」は、「選局動作」といえる。
また、上記4のとおり、構成d1の「第1受信部」は、「TLVストリーム」を受信するといえる。
また、上記2のとおり、構成d1で受信する「TLVストリーム」に格納される「IPデータフロー」には、映像データ、音声データおよび字幕データが含まれているといえる。
また、構成d4の「IPパケット分離部」は、受信した「IPパケット」の「IPデータフロー」から、映像データ及び音声データを格納したIPパケットを分離し、映像データ及び音声データを抽出してAVデコーダに出力している。
また、構成d5の「AVデコーダ」は、「放送サービスのコンテンツに係る映像データ及び音声データを復号し、放送サービスのコンテンツに関する映像音声信号として外部に出力」している。
よって、構成d1の「第1受信部」で受信する「TLVストリーム」には、構成d5の「AVデコーダ」で復号する映像データと音声データを含むIPデータフローが格納されているといえる。
また、「AVデコーダ」が、映像データをデコードする映像デコーダと、音声データをデコードする音声デコーダを含むことは、技術常識である。
したがって、本願発明と引用発明は、「選局ステップの選局動作に基づいて受信するTLVストリームに、放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データと、前記放送受信装置が有する音声デコーダでデコードする音声データと、字幕データと、を含むIPデータフローが格納されている」点で共通する。
ただし、「字幕データ」が、本願発明では、「放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする」ものであるのに対し、引用発明は、「字幕デコーダ」を備えるものではない点で、両発明は相違する。

11 本願発明の構成Kについて
構成d4の「IPパケット分離部」は、「受信したIPパケットのIPデータフローから、サービス構成情報に記載されるロケーション情報(IPアドレス及びポート番号等)に基づき、映像データ及び音声データ、並びに、各制御情報を格納したIPパケットを分離し、映像データ及び音声データを抽出してAVデコーダに出力する」ものである。
また、構成d4の「サービス構成情報」は、構成b4の「MP Table(MMT Package Table)」である。
そして、上記第4の2(3)の(周知技術5)のとおり、MMTを用いるデジタル放送の受信機において、映像データと音声データは、一つのIPデータフローから取得するパッケージリストテーブルから参照されるMMTパッケージテーブルから参照されることにより取得可能であることは周知技術である。
よって、構成d4の「IPパケット分離部」においても、映像データと音声データは、一つのIPデータフローから取得するパッケージリストテーブルから参照されるMMTパッケージテーブルから参照されることにより取得可能であるといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データと、前記放送受信装置が有する音声デコーダでデコードする音声データは、いずれも、当該映像データと当該音声データと同一のIPデータフローから取得するパッケージリストテーブルから参照されるMMTパッケージテーブルから参照されることにより取得可能に構成されている」点で一致する。

12 本願発明の構成Lについて
構成b4の「MP Table(MMT Package Table)」は、「IPパケット」に格納して送信されている。
また、構成b4の「MP Table(MMT Package Table)」は、構成bの「放送局装置」が送信するものであるから、構成b3の「TLVストリーム」に多重して放送されるといえる。
よって、構成b4の「MP Table(MMT Package Table)」は、TLVストリームの内でIPデータフローの部分に格納されているといえる。

また、構成b4の「MP Table(MMT Package Table)」は、構成b2の「アドレスマップテーブル」とは異なるものである。
また、上記第4の2(3)の(周知技術6)のとおり、MMTを用いるデジタル放送において、パッケージリストテーブルは、TLVパケットの内でIPパケットの部分に格納されていることは周知技術である。
したがって、本願発明と引用発明は、「パッケージリストテーブルとMMTパッケージテーブルは、アドレスマップテーブルとは異なり、TLVストリームの内でIPデータフローの部分に格納されている」点で一致する。

13 本願発明の構成Mについて
構成d5の「AVデコーダ」は、「放送サービスのコンテンツに係る映像データ及び音声データを復号し、放送サービスのコンテンツに関する映像音声信号として外部に出力する」ものである。
したがって、本願発明と引用発明は、「出力ステップでは、放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データを出力する」点で共通する。
ただし、「出力ステップ」が、本願発明では、「放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データに基づいたマルチメディアプレーンを生成し、前記放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする字幕データに基づいて前記マルチメディアプレーンの前面に位置する字幕プレーンを生成し、当該マルチメディアプレーンと当該字幕プレーンとを合成して出力する」のに対し、引用発明では、当該マルチメディアプレーンの生成、当該字幕プレーンの生成、及び、合成して出力を行っていない点で、両発明は相違する。

14 まとめ
以上によれば、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
(A)放送伝送路および通信伝送路でIPデータフローが伝送される放送システムのデジタル放送サービスを受信可能な放送受信装置で実行する選局方法であって、
(B)前記放送伝送路では放送番組の映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されて伝送され、該放送伝送路のTLVストリームは前記放送受信装置のチューナで受信されるものであり、
(C)前記通信伝送路では放送番組の映像データ、音声データおよび字幕データを格納するIPデータフローがTLVストリームに格納されずに伝送されるものであり、該通信伝送路のIPデータフローは、前記放送受信装置における前記チューナとは異なる通信部で受信されるものであり、
(D)前記チューナを用いて前記放送伝送路を介して伝送されるTLVストリームを受信する受信ステップと、
(E)受信した該TLVストリームの内でIPデータフローとは異なる部分に配置されるテーブルであって、テーブルのバージョン情報と、各サービスに関するIPマルチキャストグループの一覧とを含むアドレスマップテーブルを取得する取得ステップと、
(F)前記取得ステップで取得したアドレスマップテーブルを記憶する記憶ステップと、
(G)前記記憶ステップで記憶したアドレスマップテーブルに含まれるIPマルチキャストグループの一覧に基づいて、前記チューナにおける選局動作を行う選局ステップと、
(H)前記選局ステップの前記選局動作に基づいて受信するTLVストリームをデコードした結果を出力する出力ステップと、
を含み、
(J’)前記選局ステップの前記選局動作に基づいて受信するTLVストリームに、前記放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データと、前記放送受信装置が有する音声デコーダでデコードする音声データと、字幕データと、を含むIPデータフローが格納されており、
(K)前記放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データと、前記放送受信装置が有する音声デコーダでデコードする音声データは、いずれも、当該映像データと当該音声データと同一のIPデータフローから取得するパッケージリストテーブルから参照されるMMTパッケージテーブルから参照されることにより取得可能に構成されており、
(L)該パッケージリストテーブルと該MMTパッケージテーブルは、前記アドレスマップテーブルとは異なり、前記TLVストリームの内でIPデータフローの部分に格納されており、
(M’)前記出力ステップでは、前記放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データを出力する、ことを特徴とする、
(A)選局方法。

[相違点]
(相違点1)「記憶ステップ」(構成I)が、本願発明では、「記憶済みのアドレスマップテーブルがある場合、当該記憶済みのアドレスマップテーブルのバージョン情報と、取得ステップで取得したアドレスマップテーブルのバージョン情報とを比較して前記取得したアドレスマップテーブルの更新の有無を判断する」のに対し、引用発明では、当該判断を行っていない点。

(相違点2)「字幕データ」(構成J)が、本願発明では、「放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする」ものであるのに対し、引用発明は、「字幕デコーダ」を備えるものではない点。

(相違点3)「出力ステップ」(構成M)が、本願発明では、「放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データに基づいたマルチメディアプレーンを生成し、前記放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする字幕データに基づいて前記マルチメディアプレーンの前面に位置する字幕プレーンを生成し、当該マルチメディアプレーンと当該字幕プレーンとを合成して出力する」のに対し、引用発明では、当該マルチメディアプレーンの生成、当該字幕プレーンの生成、及び、合成して出力を行っていない点。

第6 判断
以下、相違点について検討する。

1 相違点1について
上記第4の2(3)の(周知技術7)及び上記第4の3(2)の(文献4技術)のように、TLV多重化方式を用いるデジタル放送において、受信されるアドレスマップテーブルの内容が更新され得ることは周知である。
よって、引用発明においても、受信されるアドレスマップテーブルの内容は更新され得るものといえる。

また、上記第4の4(2)の(文献5技術)のように、「デジタル放送の受信端末において、バージョン番号とマルチキャストアドレスを含む選局リストを取得したときに、この選局リストを受信端末が既に保持している場合に、リストのバージョン番号が同じか確認し、同じであれば更新処理は行わないようにする技術」は、当該技術分野における周知技術といえる。

そして、引用発明と文献5技術のような周知技術は、いずれも、バージョン番号とマルチキャストアドレスを含む選局を行うためのデータを受信するものであるという点で共通するから、引用発明において、受信されるアドレスマップテーブルの内容が更新されたかどうかを判断するために、当該文献5技術のような周知技術を適用し、記憶済みのアドレスマップテーブルがある場合、当該記憶済みのアドレスマップテーブルのバージョン情報と、取得ステップで取得したアドレスマップテーブルのバージョン情報とを比較して前記取得したアドレスマップテーブルの更新の有無を判断する構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

2 相違点2、3について
上記第4の5(2)の(文献6技術)のように、「放送局から、放送波を介して送信される放送映像を受信する表示装置において、ビデオデコーダでビデオストリームをデコードしてビデオプレーンに出力し、字幕デコーダで字幕フレームをデコードして、字幕プレーンに出力し、背面側から順に、ビデオプレーン、字幕プレーンの順で重畳して画像の合成を行い、出力する技術」は、当該技術分野における周知技術といえる。

そして、引用発明と文献6技術のような周知技術は、いずれも、字幕を含む放送を受信する装置である点で共通するから、引用発明に文献6技術のような周知技術を適用し、「字幕データ」を、「放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする」ものとし、「出力ステップ」で、「放送受信装置が有する映像デコーダでデコードする映像データに基づいたマルチメディアプレーンを生成し、前記放送受信装置が有する字幕デコーダでデコードする字幕データに基づいて前記マルチメディアプレーンの前面に位置する字幕プレーンを生成し、当該マルチメディアプレーンと当該字幕プレーンとを合成して出力する」ことは、当業者が容易に想到し得ることである。

3 効果等について
本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。

4 まとめ
以上のように、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?6に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-12 
結審通知日 2018-11-13 
審決日 2018-11-27 
出願番号 特願2015-18226(P2015-18226)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨田 高史福西 章人  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
坂東 大五郎
発明の名称 選局方法  
代理人 特許業務法人筒井国際特許事務所  

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