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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A23L 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A23L |
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管理番号 | 1348026 |
審判番号 | 不服2017-12057 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-08-10 |
確定日 | 2019-02-04 |
事件の表示 | 特願2015-221891「固形ルウ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月18日出願公開、特開2016- 26506、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年10月26日に出願した特願2012-236355号の一部を平成27年11月12日に新たな特許出願としたものであって、平成28年9月30日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年12月16日付けで手続補正がされ、平成29年4月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年8月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年7月18日付けで拒絶理由通知(以下、その拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)がされ、平成30年9月20日付けで手続補正及び意見書の提出がされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年9月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明は以下のとおりの発明である。 「油脂と固形分とを含む原料を加熱混合し、油脂の融点を下回る温度に冷却して固化する固形ルウの製造方法であって、(A)固形ルウの全量に対する砂糖の含有量が8質量%以下となるような量の砂糖を含有し、(B)砂糖以外の固形分の含有量に対する油脂の含有量の割合が40質量%以上60質量%以下であり、(C)高甘味度甘味料を含有し、かつ(D)固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量が10質量%以上35質量%以下となるような量の小麦粉を含有する前記原料を用い、 流動性を有する原料混合物を焙煎釜、冷却タンク、及び充填機に順次パイプを介して送る形式の、連続式の製造ラインを用いて行うことを特徴とする固形ルウの製造方法。」 第3 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2001-258474号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0034】まず、固形カレールー作製条件を述べる。カレールー材料配合は焙焼小麦粉40g、油脂組成物35g、カレー粉10g、食塩7g、砂糖6g、グルタミン酸ソーダ2gとした。作製方法はステンレス鍋に油脂組成物を入れ100℃まで加熱する。次に焙焼小麦粉を入れ撹拌しながら残りの材料全部を加える。材料は120℃まで昇温後、同温度で約5分間攪拌した後、撹拌しながら品温60℃まで冷却する。その後、シャーレ(プラスチック製、直径8.5cm、高さ1.5cm)に作製したカレールー70gを計量し、5℃エアーバスで10分間冷却する。その後、30℃エアーバスに移行し保管する。」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「焙焼小麦粉40g、油脂組成物35g、カレー粉10g、食塩7g、砂糖6g及びグルタミン酸ソーダ2gを加熱混合した後冷却した固形カレールウの製造方法。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開平10-313783号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る固形ルーの白色化防止剤及びそれを含有した固形ルー用油脂組成物、並びに固形ルーの実施の形態について説明する。実施の形態に係る固形ルーの白色化防止剤(白色化防止剤Aとする)は、グリセリンの平均重合度が4以上、脂肪酸の平均エステル化度が6以上であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなるポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、特定ポリグリセリン脂肪酸エステルと記す)1?50重量%と、硬化牛脂、硬化ラード、硬化パーム油、硬化パーム分別油、硬化ナタネ油、硬化ナタネ分別油のうちの少なくとも1種からなる油脂(以下、特定硬化油と記す)25?99重量%と、レシチン0?25重量%とを含有してなる。前記白色化防止剤Aは、例えば前記した原料をミキサー等を用いて75℃程度で加熱融解し、これをクーリングドラム等を用いてフレーク状の製品とする。フレーク状とした場合は、計量、混合に便利であり、作業効率を上げることができる。」 「【0023】<実施例1(白色化防止剤A)> グリセリンの平均重合度が4、脂肪酸の平均エステル化度が6であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなる特定ポリグリセリン脂肪酸エステル・・・・・・・・・・1重量部 レシチン・・・5重量部 特定硬化油・・・硬化牛脂(融点52℃)を94重量部 <実施例2(白色化防止剤A)> グリセリンの平均重合度が10、脂肪酸の平均エステル化度が10であって、構成脂肪酸の35%以上がベヘン酸よりなる特定ポリグリセリン脂肪酸エステル・・・・・・・・1重量部 レシチン・・・5重量部 特定硬化油・・・硬化牛脂(融点52℃)を94重量部」 「【0026】これら実施例に係る白色化防止剤A、B、及び油脂組成物A、Bを用いて、下記の配合のもと、ミキサーにて90℃、30分間加熱混合して溶融状のカレールーを得た。これを60℃まで冷却した後、トレーに充填し、5℃で30分間冷却固化して固形ルーを作成した。また、実施例に係る白色化防止剤A、B、及び油脂組成物A、Bのいずれをも用いないものを比較例とした。それぞれの配合量は下記の通りである。 【0027】<実施例9> 白色化防止剤A・・・上記実施例1の欄に記載した配合のものを10重量部 焙煎小麦粉・・・40重量部 食用油脂・・・硬化牛脂と硬化ラードの混合油脂(融点45℃)を25重量部 カレー粉・・・10重量部 食塩・・・7重量部 砂糖・・・6重量部 グルタミン酸ナトリウム・・・2重量部 <実施例10> 白色化防止剤A・・・上記実施例2の欄に記載した配合のものを10重量部 焙煎小麦粉・・・40重量部 食用油脂・・・硬化牛脂と硬化ラードの混合油脂(融点45℃)を25重量部 カレー粉・・・10重量部 食塩・・・7重量部 砂糖・・・6重量部 グルタミン酸ナトリウム・・・2重量部」 したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「油脂25?99重量%とレシチン0?25重量%とを含有する白色化防止剤を含有する固形ルーであって、94重量%の油脂を含む白色化防止剤10重量部、焙焼小麦粉40重量部、食用油脂25重量部、カレー粉10重量部、食塩7重量部、砂糖6重量部及びグルタミン酸ナトリウム2重量部を加熱混合した後冷却した固形カレールウの製造方法。」 第4 対比・判断 1.引用発明1について (1)対比 本願発明と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明1における「焙焼小麦粉」、「油脂組成物」、「固形カレールウ」は、本願発明における「小麦粉」、「油脂」、「固形ルウ」に相当する。また、引用発明1は斯界における技術常識からすると本願発明における「油脂と固形分とを含む原料を加熱混合し、油脂の融点を下回る温度に冷却して固化する固形ルウの製造方法」に相当する。また、引用発明1について、「焙焼小麦粉40g、油脂組成物35g、カレー粉10g、食塩7g、砂糖6g及びグルタミン酸ソーダ2g」が「固形カレールウ」の全量になるとすれば、その値は100gであり、「固形ルウの全量に対する砂糖の含有量」は6質量%であり、「砂糖以外の固形分の含有量に対する油脂の含有量の割合」は約59.3質量%(35/(40+10+7+2)。なお、原料に含まれる水分及びカレー粉の油脂分等は考慮していない。例えば、カレー粉10gの5%が油脂分であるとして先の計算に反映すると、その値は60質量%超である。)であり、「固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量」は40質量%である。 したがって、本願発明と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「油脂と固形分とを含む原料を加熱混合し、油脂の融点を下回る温度に冷却して固化する固形ルウの製造方法であって、(A)固形ルウの全量に対する砂糖の含有量が8質量%以下となるような量の砂糖を含有し、(B)砂糖以外の固形分の含有量に対する油脂の含有量の割合が40質量%以上60質量%以下である前記原料を用いて行う固形ルウの製造方法。」 (相違点) (相違点1)原料に関し、本願発明は「(C)高甘味度甘味料を含有し、かつ(D)固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量が10質量%以上35質量%以下となるような量の小麦粉を含有する」のに対し、引用発明1は「(C)高甘味度甘味料を含有」せず、「(D)固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量が」40質量%である点。 (相違点2)本願発明は「流動性を有する原料混合物を焙煎釜、冷却タンク、及び充填機に順次パイプを介して送る形式の、連続式の製造ラインを用いて行う」のに対し、引用発明1はどのような形式で行うか不明である点。 (2)相違点についての判断 相違点2に係る連続式の製造ラインを用いて製造することについては、引用文献1および引用文献2を含め、原査定で引用された文献には記載されていない。そして、「一般に、固形ルウを減容化するために、油脂や各種固形分の含有量を低減させた場合、固形ルウ製造時の原料混合物の流動性や、風味や香味のバランスが損なわれることが従来知られていた。」(本願特許明細書【0003】)という背景技術を前提に、本願発明は、「減容化を効果的に実現させつつも、製造時の原料混合物の流動性が十分に維持されて製造適性が損なわれること無く、風味や香味のバランスにも優れるものであった。」(本願特許明細書【0021】)という、上記のような連続式の製造ラインを用いて製造する際の製造適性が損なわれないという作用効果を奏するものである。そのためには、原料に関する相違点1に係る本願発明の構成が影響することも、当業者にとって自明であるといえる。 そうすると、相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明1に基いて当業者が容易に想到し得たとはいえない。 なお、相違点2に係る連続式の製造ラインは、例えば、特開2004-8043号公報に記載されていることから、周知技術であるとしても、引用発明1の原料配合が、上記連続式の製造ラインを用いて製造する際にも原料混合物の流動性が十分に維持されて製造適性が損なわれないものであることは、引用例1に示唆されておらず、また、知られていたとする根拠もないから、上記周知技術を考慮しても、引用発明1をして相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。 2.引用発明2について (1)対比 本願発明と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明2における「焙焼小麦粉」、「油脂」及び「食用油脂」、「固形カレールウ」は、本願発明における「小麦粉」、「油脂」、「固形ルウ」に相当する。また、引用発明2は斯界における技術常識からすると本願発明における「油脂と固形分とを含む原料を加熱混合し、油脂の融点を下回る温度に冷却して固化する固形ルウの製造方法」に相当する。また、引用発明2について、「白色化防止剤10重量部、焙焼小麦粉40重量部、食用油脂25重量部、カレー粉10重量部、食塩7重量部、砂糖6重量部及びグルタミン酸ソーダ2重量部」が「固形カレールウ」の全量になるとすれば、その値は100重量部であり、「固形ルウの全量に対する砂糖の含有量」は6質量%であり、「砂糖以外の固形分の含有量に対する油脂の含有量の割合」は約57.7質量%((0.94×10+25)/((1.00-0.94)×10+40+10+7+2)。なお、原料に含まれる水分及びカレー粉の油脂分等は考慮していない。例えば、カレー粉10gの5%が油脂分であるとして先の計算に反映すると、その値は約59.1質量%である。)であり、「固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量」は40質量%である。 したがって、本願発明と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「油脂と固形分とを含む原料を加熱混合し、油脂の融点を下回る温度に冷却して固化する固形ルウの製造方法であって、(A)固形ルウの全量に対する砂糖の含有量が8質量%以下となるような量の砂糖を含有し、(B)砂糖以外の固形分の含有量に対する油脂の含有量の割合が40質量%以上60質量%以下である前記原料を用いて行う固形ルウの製造方法。」 (相違点) (相違点1)原料に関し、本願発明は「(C)高甘味度甘味料を含有し、かつ(D)固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量が10質量%以上35質量%以下となるような量の小麦粉を含有する」のに対し、引用発明2は「(C)高甘味度甘味料を含有」せず、「(D)固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量が」40質量%である点。 (相違点2)本願発明は「流動性を有する原料混合物を焙煎釜、冷却タンク、及び充填機に順次パイプを介して送る形式の、連続式の製造ラインを用いて行う」のに対し、引用発明2はどのような形式で行うか不明である点。 (2)相違点についての判断 上記相違点については、すでに引用発明1との関係において1.にて検討したのと同様である。 そうすると、相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明2に基いて当業者が容易に想到し得たとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は、平成28年12月16日付け手続補正により補正された請求項1に係る発明について上記引用文献1又は2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成29年8月10日の拒絶査定不服審判の請求と同時にした手続補正により補正された請求項1は、「流動性を有する原料混合物を焙煎釜、冷却タンク、及び充填機に順次パイプを介して送る形式の、連続式の製造ラインを用いて行う」という事項を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明は、上記引用文献1に記載された発明又は上記引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 1.特許法第36条第6項第1号について 当審では、本願明細書に記載された【表1】における「実施例」、「比較例」の位置づけが、本願発明に対して正しいものとはいえない(発明の詳細な説明に記載された事項を踏まえると、【表1】で実施例とされているものが本願発明に含まれず、比較例とされているものが、本願発明に含まれ得るため。)ので、さらに、「製造適性」について「×」と評価された「比較例1」が本願発明に含まれ得るものとも考えられるので、本願発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないとの拒絶の理由を通知している。しかし、平成30年9月20日付けの意見書において、請求人は「本件発明は、(略)固形ルウの配合設計にあたっては、(略)油脂の必要量を確保する以外は、水分等を極力含まないようにして減容化を図ったものです。ここで、【表1】における「実施例」及び「比較例」で使用した調味原料に含まれる油脂について説明致します。【0016】の記載から、調味原料には、カレーパウダー、食塩、粉乳、野菜パウダー、及びブイヨンが含まれており、油脂を含む調味原料としては、カレーパウダー及び粉乳が考えられます。カレーパウダーには、飽和水蒸気処理を行った油脂分が5質量%のカレーパウダー(特許第3274394号の【0002】参照)を用いています。このカレーパウダーは、飽和水蒸気処理によって脱油したものであり、低油脂含有量に制御したカレーパウダーです。したがって、例えば、実施例1では、固形ルウの全量に対して、カレーパウダーは約6.8質量%含まれる(当審注:明細書の段落【0016】に「調味原料」に対し「カレーパウダー20質量%」と記載され、【表1】の調味原料の配合比率の「残量」が「実施例1」で約34%であるから、固形ルウの全量に対してカレーパウダーは約6.8質量%と計算できる。)ので、カレーパウダーに含まれる油脂は約0.34質量%となります。このように、カレーパウダー由来の油脂の含有量は、添加した油脂の含有量に比べて非常に小さなものとなっています。なお、【表1】の他の実施例及び比較例についても、同様のことがいえます。また、粉乳には、脱脂粉乳を用いており、これには油脂はほとんど含まれていません(当審注:本願明細書の段落【0016】に「調味原料」に対し「粉乳15質量%」と記載され、【表1】の調味原料の配合比率の「残量」が「実施例1」で約34%であるから、固形ルウの全量に対して粉乳は約5.1質量%と計算できる。一般的に脱脂粉乳中の脂質は1質量%程度である(例えば、香川芳子 監修,「七訂 食品成分表 2016 資料編」,女子栄養大学出版部,2016年4月1日,p.184、参照。)。)。以上のことから、【表1】における「実施例」及び「比較例」においては、調味原料に含まれる油脂の含有量は非常に小さいものであるから、上記定義に従う油脂の含有量は、ほぼ添加した油脂の量に等しいものとなります。」と主張する。すなわち、固形ルウの製造においては、水分が14%程度の一般的な薄力粉や中力粉(例えば、香川芳子 監修,「七訂 食品成分表 2016 資料編」,女子栄養大学出版部,2016年4月1日,p.6-8、参照。)ではなく、水分を極力含まないようにした小麦粉を用いる等しているのであって、それは特殊なことともいえない。これらのことを参酌すると、本願明細書に記載された【表1】中の「比較例1」について、「原料の配合比率」の値を「水分」や「油脂」の値に関して詳細に検討しても「油脂/砂糖以外の固形分」の値は40質量%以上60質量%以下の範囲に含まれるとはいえないし、同じく「実施例1」?「実施例3」について同様に検討してもそれが本願発明の実施例に相当しないとまではいえない。なお、「実施例4」については「油脂/砂糖以外の固形分」の値が60質量%超となる可能性を否定できないが、「製造適正」が「◎」であるから、「油脂/砂糖以外の固形分」の値が40質量%以上60質量%以下の範囲で「製造適正」が「◎」であることを否定する根拠にはならない。したがって、この拒絶の理由は理由があるとはいえない。 2.特許法第36条第6項第2号について (1)当審では、請求項1に「砂糖以外の固形分の含有量に対する油脂の含有量の割合」が発明特定事項として記載されているが、本願明細書に記載された段落【0010】及び【0011】における定義と【表1】における表示とが整合しないので、その「油脂」及び「固形分」が明確に特定できず不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年9月20日付けの意見書における、本願明細書の段落【0009】?【0011】の記載から明らかである旨の主張を踏まえれば、上記「油脂」は、「調味原料等に含まれる油脂を含めた油脂」という意味であることが明確であるから、「油脂」及び「固形分」が明確に特定でき、請求項1に係る発明は明確である。 (2)当審では、請求項1の「小麦粉」の「含有量」が何に対するものであるのかが不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年9月20日付けの補正において、「(D)固形ルウの全量に対する小麦粉の含有量」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 (3)当審では、請求項1の記載は「(出発)原料」の「砂糖」の「含有量」を「(製造した)固形ルウ」の全量に対して特定していると解釈できるので発明が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年9月20日付けの補正において、「(A)固形ルウの全量に対する砂糖の含有量が8質量%以下となるような量の砂糖を含有し」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明1又は2に基いて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-01-22 |
出願番号 | 特願2015-221891(P2015-221891) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A23L)
P 1 8・ 537- WY (A23L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 竹内 祐樹、藤井 美穂 |
特許庁審判長 |
紀本 孝 |
特許庁審判官 |
田村 嘉章 宮崎 賢司 |
発明の名称 | 固形ルウ |
代理人 | 山崎 一夫 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 市川 さつき |
代理人 | 箱田 篤 |
代理人 | 浅井 賢治 |
代理人 | 服部 博信 |
代理人 | 田中 伸一郎 |