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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D |
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管理番号 | 1348038 |
審判番号 | 不服2017-8522 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-13 |
確定日 | 2019-01-17 |
事件の表示 | 特願2012-13595号「シート用収納袋及びシートが収納されたシート用収納袋」拒絶査定不服審判事件〔平成25年8月8日出願公開、特開2013-151308号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年1月26日の出願であって、平成27年12月24日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月1日に手続補正書及び意見書が提出され、平成29年3月7日付けで拒絶査定がされた。これに対し、平成29年6月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、その後、当審より平成30年7月11日付けで拒絶理由が通知され、平成30年9月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明について 1 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成30年9月12日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める(以下「本願発明」という。)。 「ガゼットを有しない筒状の平袋から構成され、該平袋の片面から平袋が分岐してなり、その分岐した平袋はパックシートを取り出すための開口部である開口可能な端部が設けられた分岐平袋を形成してなり、該シートを取り出すための開口部にはチャックが設けられ、それにより繰り返し開封可能に形成されており、内部にパックシートが収納されているパックシート収納袋(但し、該パックシート収納袋はカバー材の約半分の部分に設けられるポケット部に収容されると共に、該開口可能な端部が該ポケット部の中央部附近に設けられるポケット状の開口部より突出せられてなり、かつ前記カバー材の他の約半分の部分に予備のポケットが設けられてなる場合を除く)。」 2 引用例 (1) 引用例 当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭56-139317号(実開昭57-80476号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「2実用新案登録請求の範囲 1 袋体本体が可撓性フイルムまたはシートから構成され、その開口部が袋体本体上面の中央部付近にスリツト状に設けられ、該スリツト状の開口部にはその両側部よりそれぞれ延びる舌部を有し、該舌部の上端が密閉されており、かつ前記開口部より若干の距離をへだてて着脱自在なシール機構が設けられると共に、前記袋体内にぬれテイツシユーが収容され、袋体本体がカバー材の約半分の部分に設けられるポケツト部に収容されると共に、舌部が該ポケツト部の中央部付近に設けられるスリツト状の開口部より突出せられてなり、かつ前記カバー材の他の約半分の部分に予備のポケツト部が設けられてなる携帯用袋入ぬれテイツシユー。」(明細書1頁4行?2頁1行) (イ)「第1図および第2図において、(1)は袋体本体であり、該袋体本体(1)はその下面(2)が上面(3)と連続した可撓性フイルム自体で構成される。袋体本体(1)の上面(3)側の中央部付近にはスリツト状の開口部(4)が設けられ、該スリツト状開口部(4)にはその両側部よりそれぞれ延びる舌部(5)を有し、該舌部(5)は第3図で示されるごとく、その使用時に先端部付近(A)を切断することによつて開口せられるように密封され、かつ該舌部(5)には前記開口部(4)より若干の距離をへだてて着脱自在なシール機構(6)が設けられると共に、前記袋体本体(1)内にぬれテイツシユー(7)が収容される。 かくして形成される袋体本体(1)は、その上面(3)側の中央部付近にスリツト状の開口部(4)が設けられているために、袋体本体(1)内に収容されるぬれテイツシユー(7)の取出しが便利であり、さらに前記スリツト状の開口部(4)にその両端部よりそれぞれ延びる舌部(5)が設けられ、該舌部(5)は使用前において完全密封状態で構成されているために、製品の貯蔵や保管中にぬれテイツシユーが乾燥するのが完全に防止せられると共に、その使用時において、使用者がその先端部付近(A)をハサミなどで切断して舌部(5)を開口するときは、該舌部(5)が着脱自在なシール機構(6)を有しているために、袋体本体(1)内に収容されるぬれテイツシユー(7)がほぼ完全な密封状態を維持することができ、そのためぬれテイツシユー(7)の乾燥が防止せられるという顕著な効果を奏しうる。」(明細書5頁13行?7頁2行) (ウ)「なお予備のポケツト部(13)は、たとえば補充用のぬれテイツシユーを収容した前記のごとき袋体を収容するためのものである。そのために、要すれば前記ポケツト部(11)と同様に、ポケツト部(13)の中央部付近にスリツト状の開口部を設けてもよい。 かくして形成されるカバー材(11)(当審注:「(10)」の誤記である。)はそのポケツト部(11)の中央部付近に設けられるスリツト状の開口部(12)から舌部(6)を突出せしめ、袋体本体(1)をそのポケツト部(11)内に収納しているために、携帯時に袋体本体(1)が破損し、ぬれテイツシユーが乾燥せられるのが完全に防止されると共に、携帯するのにきわめて体裁がよいなどの顕著な効果を奏しうる。」(明細書9頁16行?10頁9行) (エ)「 」 (オ)「 」 (カ)「 」 (2) 引用例に記載された発明 引用例の実用新案登録請求の範囲の請求項1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「袋体本体が可撓性フイルムまたはシートから構成され、その開口部が袋体本体上面の中央部付近にスリツト状に設けられ、該スリツト状の開口部にはその両側部よりそれぞれ延びる舌部を有し、該舌部の上端が密閉されており、かつ前記開口部より若干の距離をへだてて着脱自在なシール機構が設けられると共に、前記袋体内にぬれテイツシユーが収容された袋体本体(但し、袋体本体は、カバー材の約半分の部分に設けられるポケツト部に収容されると共に、舌部が該ポケツト部の中央部付近に設けられるスリツト状の開口部より突出せられてなり、かつ前記カバー材の他の約半分の部分に予備のポケツト部が設けられてなるものである)。」 3 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「可撓性フイルムまたはシートから構成され」る「袋体本体」は、図1、2を参照すると、本願発明の「ガゼットを有しない筒状の平袋から構成され」る「収納袋」に相当する。 (イ)引用発明の「ぬれテイツシユー」と本願発明の「パックシート」とは、「シート」の限りで一致する。 そして、引用発明の「その開口部が袋体本体上面の中央部付近にスリツト状に設けられ、該スリツト状の開口部にはその両側部よりそれぞれ延びる舌部を有」することは、舌部が袋体本体の上面から分岐しているといえ、その形状は平袋といえ、さらに開口部からぬれテイツシユーを取り出すことは明らかであるから、引用発明の当該記載と、本願発明の「該平袋の片面から平袋が分岐してなり、その分岐した平袋はパックシートを取り出すための開口部である開口可能な端部が設けられた分岐平袋を形成してな」ることとは、「該平袋の片面から平袋が分岐してなり、その分岐した平袋はシートを取り出すための開口部である開口可能な端部が設けられた分岐平袋を形成してな」ることの限りで一致する。 (ウ)引用発明の「該舌部の上端が密閉されており、かつ前記開口部より若干の距離をへだてて着脱自在なシール機構が設けられ」ていることは、使用時には、着脱自在なシール機構により繰り返し開封可能なことであるから、引用発明の当該記載事項と、本願発明の「該シートを取り出すための開口部にはチャックが設けられ、それにより繰り返し開封可能に形成されて」いることとは、「該シートを取り出すための開口部にはチャックが設けられ、それにより繰り返し開封可能に形成されて」いることの限りで一致する。 (エ)引用発明の「前記袋体内にぬれテイツシユーが収容された袋体本体」と、本願発明の「内部にパックシートが収納されているパックシート収納袋」とは、「内部にシートが収納されている収納袋」の限りで一致する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「ガゼットを有しない筒状の平袋から構成され、該平袋の片面から平袋が分岐してなり、その分岐した平袋はシートを取り出すための開口部である開口可能な端部が設けられた分岐平袋を形成してなり、該シートを取り出すための開口部にはチャックが設けられ、それにより繰り返し開封可能に形成されており、内部にシートが収納されている収納袋。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> シートを収納した収納袋について、本願発明は、「パックシート」を収納した「パックシート収納袋」であるのに対して、引用発明は、「ぬれテイツシユー」を収納した「袋体本体」である点。 <相違点2> 収納袋について、本願発明は、「(但し、該パックシート収納袋はカバー材の約半分の部分に設けられるポケット部に収容されると共に、該開口可能な端部が該ポケット部の中央部附近に設けられるポケット状の開口部より突出せられてなり、かつ前記カバー材の他の約半分の部分に予備のポケットが設けられてなる場合を除く)」のに対して、引用発明は、「(但し、袋体本体は、カバー材の約半分の部分に設けられるポケツト部に収容されると共に、舌部が該ポケツト部の中央部付近に設けられるスリツト状の開口部より突出せられてなり、かつ前記カバー材の他の約半分の部分に予備のポケツト部が設けられてなるものである)」点。 (2) 当審の判断 上記相違点について検討する。 <相違点1について> パックシートを多数枚重層して格納したパックシート収納袋は、周知(例えば、特開2010-285176号(【0020】、【0021】、図2等)、特開2010-168057号公報(【0021】、【0040】、図1等)参照。)である。 そして、上記特開2010-168057号公報の【0021】に記載されているように、パックシートが、ウェットティッシュ(引用発明の「ぬれテイツシユー」に相当する。)等のウェットシート製品として周知であることも参酌すると、引用発明において、「ぬれテイツシユー」に換えて「パックシート」を収納するものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点2について> 引用例には、「なお予備のポケツト部(13)は、たとえば補充用のぬれテイツシユーを収容した前記のごとき袋体を収容するためのものである。そのために、要すれば前記ポケツト部(11)と同様に、ポケツト部(13)の中央部付近にスリツト状の開口部を設けてもよい。」(摘記事項(ウ))と記載されている事から、ポケツト部(13)の中央部付近にスリツト状の開口部を設けることで、第2のポケツト部(11)とすることや予備ポケツトのないものとする程度のことは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、上記摘記事項(イ)をみると、袋体本体1は、「袋体本体(1)内に収容されるぬれテイツシユー(7)がほぼ完全な密封状態を維持することができ、そのためぬれテイツシユー(7)の乾燥が防止せられるという顕著な効果を奏しうる。」ものであり、カバーがなくとも、袋体本体1は当該作用効果を奏するといえる。 さらに、上記摘記事項(ウ)をみると、カバーを用いることによる作用効果は、「携帯時に袋体本体(1)が破損し、ぬれテイツシユーが乾燥せられるのが完全に防止される」及び「携帯するのにきわめて体裁がよい」ことであるから、引用例の上記記載に接した当業者であれば、引用発明の「袋体本体」は、体裁を意識せず、携帯時に破損する可能性が少ない状況であれば、カバーを用いなくとも使用できるものと理解できるから、引用発明について、カバー材を用いずに使用する程度のことは、当業者が容易になし得ることである。 ゆえに、引用発明について、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 <本願発明の奏する効果について> そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知の事項から、当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 4 むすび したがって、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第3 まとめ 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-11-15 |
結審通知日 | 2018-11-20 |
審決日 | 2018-12-03 |
出願番号 | 特願2012-13595(P2012-13595) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 植前 津子 |
特許庁審判長 |
久保 克彦 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 竹下 晋司 |
発明の名称 | シート用収納袋及びシートが収納されたシート用収納袋 |
代理人 | 長谷部 善太郎 |
代理人 | 山田 泰之 |