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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F25D |
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管理番号 | 1348103 |
審判番号 | 不服2018-5337 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-04-18 |
確定日 | 2019-02-12 |
事件の表示 | 特願2013-174251号「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月5日出願公開、特開2015-42915号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年8月26日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 平成29年 6月21日付け: 拒絶理由通知 同年 8月25日 : 意見書及び手続補正書 平成30年 1月22日付け: 拒絶査定 同年 4月18日 : 審判請求書及び手続補正書 第2 原査定の概要 原査定(平成30年1月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1及び2に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2012-63038号公報 2.特開2011-102599号公報 第3 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年4月18日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。 「【請求項1】 外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填した断熱箱体と、前記外箱の内側に配設された放熱パイプと、前記放熱パイプの庫内側に設けられた真空断熱材とを備え、前記真空断熱材は前後方向に凹形状の横溝を複数有し、前記真空断熱材の上端面から前記横溝につながる局所溝を設けて、前記局所溝に前記放熱パイプを配置することで前記断熱箱体の前記側面から天井面に前記放熱パイプを渡すとともに、最上段の前記横溝は、前記放熱パイプを通す部分のみ設け前記放熱パイプを通さない部分を厚肉部分として前記外箱への貼り付け用糊面とし、最下段の横溝の幅寸法を最大としたことを特徴とする冷蔵庫。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0070】 <背面板12に取り付けた変形形態の真空断熱材31> 次に、背面板12に取り付けた変形形態の真空断熱材31について説明する。 具体的には、図14?図17を用いて、背面板12に取り付けた変形形態の真空断熱材31のカバー率(発泡断熱材17が接する外箱19の面を覆う真空断熱材31の割合)を向上させる構成、および、発泡断熱材17の原液の注入口16を避けた形状の変形形態の真空断熱材31の構成、更に、放熱パイプ20の引き出し部20dと変形形態の真空断熱材31の溝(凹所32、端部凹所32a、32b、32c)との関係について説明する。 【0071】 図14は、変形形態の冷蔵庫1を斜め背面上方から見た背面斜視図であり、図15(a)は図14に示す変形形態の冷蔵庫1に使用されている真空断熱材31の背面斜視図であり、図15(b)は図15(a)のG-G線断面図であり、図15(c)は図15(a)のH-H線断面図である。 図16は図14のE-E線断面図である。 【0072】 図14および図16に示すように、背面板12の発泡断熱材17の側の面に、蛇行状の放熱パイプ20がアルミニウムテープ28(図11参照)等により取り付けられており、放熱パイプ20の熱が背面板12に伝達され、放熱パイプ20が背面板12を用いて凝縮器と同様に放熱する役目を果たしている。 放熱パイプ20から放出される熱を庫内1nから断熱するため、背面板12に取り付けられた放熱パイプ20を覆って、真空断熱材31が背面板12に貼り付けられている。 【0073】 詳細には、図14に示すように、板厚が薄い鉄板で作られた背面板12には、放熱パイプ20が蛇行状にアルミニウムテープ28(図11参照)等により取り付けられている。放熱パイプ20の引き出し部20dは、何れも例えば機械室29側に戻され、機械室29内で冷凍サイクルの配管(図示せず)に接続されている。 そして、放熱パイプ20が取り付けられる背面板12を放熱器として最大限に活用している。図14に示すように、放熱パイプ20が背面板12の大きな領域に取り付けられるので、図15に示す真空断熱材31は、放熱パイプ20が取り付けられた背面板12の大きさとほぼ同等の大きさに形成されている。 ・・・ 【0078】 更に、真空断熱材31は、その中央部に背面板12に取り付けられた放熱パイプ20の直線部20c(図14参照)を収納する凹所32(図15(a)および(b)参照)を有しており、放熱パイプ20の両側部の側直線部20b(図14参照)を収納する端部凹所32a(図15(a)および(b)参照)を有している。また、真空断熱材31の上・下外周部には、それぞれ放熱パイプ20の曲部のUタ-ン部20a(図14参照)を収納する端部凹所32b、32c(図15(a)および(c)参照)が端部凹所32aと同形状で形成されている。 【0079】 真空断熱材31の溝の端部凹所32a、32b、32cは、前記の端部凹所22aと同様に、凹所32のように放熱パイプ20を囲むようにその左右両側に立ち上がり壁部を有する溝形状でなく、真空断熱材31の縁部に沿って設けられ、外方が開放された横断面L字状のへこんだ形状としている。 真空断熱材31における放熱パイプ20を収納することができる凹所32、端部凹所32a、32b、32cは、図9および図10に示す凹所22および端部凹所22aと同様に作られる。 【0080】 図16に示すように、真空断熱材31の中央部の凹所32は、例えば直径4.0mmの放熱パイプ20の直線部20cを収納することができる。 真空断熱材31の上・下外周部の端部凹所32b、32cは、凹字形状の凹所32でなく、従来の図21に示す凸部59がないL字状の溝であり、図8(b)に示す端部凹所22aと同様に、例えば直径4.0mmの放熱パイプ20のUタ-ン部20aを、図8(a)の端部凹所22bと同様に収納することができる。ここで、両側部の端部凹所32aは、それぞれ真空断熱材31が背面板12に対して浮き上がることなく貼り付けられるように、背面板12の稜線12rより内側に配置される稜線31rをもって前方に向け屈曲して形成される。 【0081】 真空断熱材31の両側部の端部凹所32aは、凹字形状の凹所32でなく、従来の図21に示す凸部59がないL字状の溝であり、図8(b)に示す端部凹所22aと同様に、例えば、図16のように、直径4.0mmの放熱パイプ20の側直線部20bを収納することができる。 図15(b)に示すように、凹所32の幅寸法L3は40?60mmに作られている。 真空断熱材31は、凹所32、端部凹所32a、32b、32cで放熱パイプ20を覆い、ホットメルトを用いて背面板12に固定されている。 真空断熱材31は、図14にも示すように背面板12の表面積とほぼ同等の大きさを有し、端部凹所32aが、真空断熱材31の縁部の外方が開放された形状であることから、放熱パイプ20の引き出し部20dを機械室29に誘導することができる。 【0082】 すなわち、放熱パイプ20の引き出し部20dは、従来の図21に示す凸部59がないことにより、端部凹所32aまたは端部凹所32cのどこからでも外側(真空断熱材31の投影面外)に出して配置できる。 本実施形態の冷蔵庫1の場合、放熱パイプ20の引き出し部20dを切り欠き部31aより真空断熱材31の投影面外への引き出しを行えるようにしたものである。 【0083】 放熱パイプ20の引き出し部20dは、一旦、真空断熱材31の投影面外に引き出してしまえば、必要に応じて機械室29側への引き出しに備え、図14にも示すように、容易に屈曲することができる。」 「 」 「【0111】 したがって、本実施形態の冷蔵庫1によれば、隣り合った放熱パイプ20同士が熱干渉して庫内1nに熱影響を与えない。また、真空断熱材21、31、31´の端部に従来の凸部59(図19参照)がないので、放熱パイプ20を背面板12、側面板11にそれぞれ大きく広げられ、背面板12、側面板11を放熱パイプ20のための放熱器として十分に活用できる。また、放熱パイプ20とフランジ部19bと間の距離が適正にできるので、結露防止の効果が得られる。」 「【0113】 また、本実施形態の冷蔵庫1においては、背面板12に取り付ける真空断熱材31は、その外周縁全域にL字状の端部凹所32a・32b・32cが形成される。 したがって、本実施形態の冷蔵庫1によれば、従来の蛇行状に放熱パイプを収納する溝を有する真空断熱材に比較し、放熱パイプ20を収納する凹所32、端部凹所32a・32b・32cの形成が容易であり、放熱パイプ20のUタ-ン部20a或いは引き出し部20bの形状に変形があっても、真空断熱材31は端部凹所32a・32b・32cへの収納を許容することができる。また、放熱パイプ20の設置作業が容易であり、作業性を向上できる。」 「 」 上記記載から、引用文献1には次の発明が記載されていると認める(以下、「引用発明」という。)。 「外箱19と内箱18との間に発泡断熱材17を充填した冷蔵庫箱体15と、外箱19の内側に配設された放熱パイプ20と、放熱パイプ20の庫内側に設けられた真空断熱材31とを備え、 真空断熱材31は、背面板12に取り付けられ、且つ、凹字形状でないL字状の溝である上外周部の端部凹所32b及び下外周部の端部凹所32cを有し、両端部凹所32b、32cは、放熱パイプ20のUターン部20aを収容する冷蔵庫。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0022】 真空断熱パネル60は、図4?図6に示すように、綿状のガラス繊維(グラスウール)からなるコア材62と、アルミニウム箔と合成樹脂のラミネートフィルムを製袋した厚みが70?120μmのガスバリア容器64とを備え、真空断熱パネル60の一方面60aには他方面60bに向けて放熱パイプ14の外径寸法より大きく陥没する第1溝部66及び第2溝部68が凹設されている。 【0023】 第1溝部66は、真空断熱パネル60の長辺方向(つまり、冷蔵庫10の上下方向)に沿って延びる凹溝であり、複数の第1溝部66が互いに平行に凹設されている。複数の第1溝部66の底部には、図6に示すように、放熱パイプ14において上下方向に延びる直線部14aが配置されている。 【0024】 第2溝部68は、真空断熱パネル60の短辺方向(つまり、冷蔵庫10の前後方向)に沿って延びる凹溝であり、第1溝部66の上下に1本ずつ凹設されている。上側の第2溝部68は、複数の第1溝部66の上端部を互いに連結し、下側の第2溝部68は、複数の第1溝部66の下端部を互いに連結している。上下の第2溝部68の底面には、放熱パイプ14の上下端で屈曲形成された屈曲部14bが配置されている。 【0025】 また、第1溝部66及び第2溝部68の少なくともいずれか一方の溝部(本実施形態では、下側の第2溝部68)は導入溝70に連結されている。導入溝70は、第1溝部66及び第2溝部68と同様、真空断熱パネル60の一方面60aから他方面60bに向けて陥没する凹溝であり、一端部が第1溝部66及び第2溝部68の少なくともいずれか一方の溝部に連結され、他端部が真空断熱パネル60の周縁に開口する。 【0026】 そして、凝縮器46の吐出側に接続された放熱パイプ14は、真空断熱パネル60の周縁から導入溝70を通って第2溝部68に導入され、第1溝部66に直線部14aが配置され、第2溝部68の底面に屈曲部14bが配置されることで、上下に蛇行する放熱パイプ14のほぼ全体が、真空断熱パネル60の一方面60aより飛び出ることなく真空断熱パネル60と外箱側板12aとの間に配設される。 【0027】 上記のような真空断熱パネル60は、まず、コア材62を収納したガスバリア容器64の内部を0.03?30Pa程度に真空排気した状態でガスバリア容器64の端部を密着して封止することで、第1溝部66及び第2溝部68が形成されていない板状の真空断熱パネル60を形成する。 【0028】 そして、図7に示すように、真空排気状態で封止された板状の真空断熱パネル60を油圧シリンダーなどで上下する平板状の押さえ板72,74で一方面60a及び他方面60bを押圧するプレス成形を行う。一方面60aに当接する押さえ板72には、第1溝部66、第2溝部68及び導入溝70に対応する位置に、それぞれ突条76,78,80が配設されており、一度のプレス成形工程によって真空断熱パネルの一方面60aに第1溝部66、第2溝部68及び導入溝70が同時に形成される。 【0029】 以上のように本実施形態では、複数の第1溝部66と、複数の第1溝部66の端部を互いに連結する第2溝部68とが、真空断熱パネル60に凹溝状に設けられてるため、 第1溝部66に放熱パイプ14の直線部14aを配置し、第2溝部68に屈曲部14bを配置することができる。そのため、外箱12の内側に放熱パイプ14を上下に蛇行して配設しても、放熱パイプ14を突出させることなく、放熱パイプ14の直線部14aだけでなく屈曲部14bの庫内側にも真空断熱パネル60を配設することができ、更なる断熱性能の向上を図ることができる。」 「 」 図5に示された真空断熱パネル60の上側及び下側にそれぞれ配置された第2溝部68は、「【0022】・・・真空断熱パネル60の一方面60aには他方面60bに向けて放熱パイプ14の外径寸法より大きく陥没する第1溝部66及び第2溝部68が凹設されている。」という記載から、陥没凹設された第2溝部68に対し、第2溝部68に隣接する一方面60aは相対的に凸設されており厚肉部分であることが理解できる。 また、図5の上側の第2溝部68の短辺側の幅寸法は、放熱パイプ14の屈曲部14bのみに対応する幅寸法であるのに対し、図5の下側の第2溝部68の短辺側の幅寸法は、放熱パイプ14の屈曲部14bに加え、下方に放熱パイプの直線部が配置され、それらに対応する幅寸法であるから、同図面には、真空断熱パネル60の下側の第2溝部68の短辺側の幅寸法を上側の第2溝部68の短辺側の幅寸法よりも大きくすることが記載されているといえる。 したがって、上記記載から、引用文献2には次の技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されていると認める。 「真空断熱パネル60は上下に第2溝部68を2つ有し、下側の第2溝部68の短辺側の幅寸法を上側の第2溝部68の短辺側の幅寸法よりも大きくし、 2つの第2溝部68は陥没凹設され、第2溝部68に隣接する一方面60aは相対的に凸設され厚肉部分であり、 下側の第2溝部68に連結される導入溝70も第2溝部68と同様に陥没する凹溝であり、一端部が第2溝部68に連結され、他端部が真空断熱パネル60の周縁に開口し、凝縮器46の吐出側に接続された放熱パイプ14は、真空断熱パネル60の周縁から導入溝70を通って第2溝部68に導入される技術。」 第5 対比、判断 1 対比 本願発明と引用発明を対比すると、次のとおりである。 引用発明の「外箱19」は、その機能又は技術的意義からみて、本願発明の「外箱」に相当する。 以下同様に、「内箱18」は「内箱」に、「発泡断熱材17」は「発泡断熱材」に、「冷蔵庫箱体15」は「断熱箱体」に、「放熱パイプ20」は「放熱パイプ」に、「真空断熱材31」は「真空断熱材」に、「冷蔵庫」は「冷蔵庫」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「凹字形状でないL字状の溝である上外周部の端部凹所32b及び下外周部の端部凹所32c」並びに「上外周部の端部凹所32b」及び「下外周部の端部凹所32c」は、本願発明の「複数有」する「凹形状の横溝」並びに「最上段の横溝」及び「最下段横溝」に、「凹部」という限りにおいて相当する。 したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (1)一致点 「外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填した断熱箱体と、外箱の内側に配設された放熱パイプと、放熱パイプの庫内側に設けられた真空断熱材とを備え、真空断熱材は凹部を複数有する冷蔵庫。」 (2)相違点 凹部に関係する構成について、 本願発明が、「真空断熱材は前後方向に凹形状の横溝を複数有し、前記真空断熱材の上端面から前記横溝につながる局所溝を設けて、前記局所溝に前記放熱パイプを配置することで前記断熱箱体の前記側面から天井面に前記放熱パイプを渡すとともに、最上段の前記横溝は、前記放熱パイプを通す部分のみ設け前記放熱パイプを通さない部分を厚肉部分として前記外箱への貼り付け用糊面とし、最下段の横溝の幅寸法を最大とした」ものであるのに対し、 引用発明が、「真空断熱材31は、背面板12に取り付けられ、且つ、凹字形状でないL字状の溝である上外周部の端部凹所32b及び下外周部の端部凹所32cを有し、両端部凹所32b、32cは、放熱パイプ20のUターン部20aを収容する」ものであるものの、天井面への放熱パイプの配置を含め他の構成を有しない点。 2 判断 引用発明の「背面板12に取り付けられた」「真空断熱材31」の天井面側に位置する「凹字形状でないL字状の溝である上外周部の端部凹所32b」について、引用文献1を参照すると次の事項が記載されている。 「【0080】・・・真空断熱材31の上・下外周部の端部凹所32b、32cは、凹字形状の凹所32でなく、従来の図21に示す凸部59がないL字状の溝であり」 「【0113】 また、本実施形態の冷蔵庫1においては、背面板12に取り付ける真空断熱材31は、その外周縁全域にL字状の端部凹所32a・32b・32cが形成される。 したがって、本実施形態の冷蔵庫1によれば、従来の蛇行状に放熱パイプを収納する溝を有する真空断熱材に比較し、放熱パイプ20を収納する凹所32、端部凹所32a・32b・32cの形成が容易であり、放熱パイプ20のUタ-ン部20a或いは引き出し部20bの形状に変形があっても、真空断熱材31は端部凹所32a・32b・32cへの収納を許容することができる。また、放熱パイプ20の設置作業が容易であり、作業性を向上できる。」 上記記載から、引用発明の「凹字形状でないL字状の溝である上外周部の端部凹所32b」とは、従来の放熱パイプを収納する溝を形成することで断熱材外周に凸部が存在するものとは異なり、凸部のない「L字状の溝」とすることにより、放熱パイプのUタ-ン部の形状に変形があっても、真空断熱材は端部凹所32bへの収納を許容することができることに加えて、凹所の形成並びに放熱パイプの設置作業が容易であり、作業性を向上させるためのものである。 してみると、引用発明及び引用文献2記載の技術は冷蔵庫並びに真空断熱材という同一の技術分野に属するものの、引用文献2記載の技術における第2溝部68が陥没凹設され、該第2溝部68に隣接する一方面60aが相対的に凸設され厚肉部分となる態様は、引用発明の従来技術に該当するものであるから、引用文献2記載の技術を引用発明に適用することは、その適用に動機付けがないことは明らかである。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定についての判断 平成30年4月18日の補正により、補正後の請求項1は、「前記真空断熱材の上端面から前記横溝につながる局所溝を設けて、前記局所溝に前記放熱パイプを配置することで前記断熱箱体の前記側面から天井面に前記放熱パイプを渡す」という技術的事項を有するものとなった。 当該技術的事項は、原査定における引用文献1及び2には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明は、当業者であっても、原査定における引用文献1及び2に基いて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-01-29 |
出願番号 | 特願2013-174251(P2013-174251) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F25D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関口 勇、金丸 治之 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
藤原 直欣 莊司 英史 |
発明の名称 | 冷蔵庫 |
代理人 | 鎌田 健司 |
代理人 | 前田 浩夫 |