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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A23L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A23L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A23L
管理番号 1348187
審判番号 不服2018-1149  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-29 
確定日 2019-02-12 
事件の表示 特願2014- 30399号「多層生麺及びその製造方法並びに該多層生麺を用いたうどん,そば又はパスタ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年8月27日出願公開,特開2015-154725号,請求項の数(4)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 経緯の概略
本願は,平成26年2月20日の出願であって,平成29年5月30日付けで拒絶の理由が通知され,平成29年7月18日に意見書及び手続補正書が提出されたが,平成29年11月17日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し,平成30年1月29日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され,平成30年10月15日付けで拒絶の理由が通知され,平成30年12月11日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明(以下,請求項の番号に従って「本願発明1」などという。)は,平成30年12月11日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であり,本願発明は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
喫食する際に湯戻しされる多層生麺(ただし,該湯戻しよりも前に加熱処理されるものを除く)を湯戻しして製造されたうどん,そば又はパスタであって,
前記多層生麺が,pH4.0以上5.5以下のA層とpH8.5以上11.5以下(ただし,8.5以上9.4以下を除く)のB層とを含む多層構造を有し,該多層構造が,二層のA層の間に一層のB層が介在された積層三層構造である,うどん,そば又はパスタ。
【請求項2】
B層のpHが9.0超10.5以下(ただし,9.0超9.4以下を除く)である請求項1に記載のうどん,そば又はパスタ。
【請求項3】
喫食する際に湯戻しされる多層生麺であって,pH4.0以上5.5以下のA層とpH8.5以上11.5以下(ただし,8.5以上9.4以下を除く)のB層とを含む多層構造を有し,該多層構造が,二層のA層の間に一層のB層が介在された積層三層構造である,うどん,そば又はパスタ用多層生麺(ただし,該湯戻しよりも前に加熱処理されるものを除く)。
【請求項4】
請求項3に記載のうどん,そば又はパスタ用多層生麺の製造方法であって,
穀粉とpH調整剤とを用いてA層用麺生地及びB層用麺生地をそれぞれ調製する工程と,
調製したA層用麺生地とB層用麺生地とを重ね合わせ,圧延して多層生地とする工程とを有する,多層生麺の製造方法。」

第3 原査定の概要
原査定(平成29年11月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。すなわち,本願発明1?4は,下記引用文献1に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができない,又は下記引用文献1?3に記載された発明に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
(引用文献)
1 特開平5-49425号公報
2 特開平6-276973号公報
3 特開平6-292528号公報

第4 当審にて通知した拒絶の理由の概要
当審にて通知した拒絶の理由の概要は次のとおりである。すなわち,本願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり,特許法36条6項1号又は36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
1 請求項1,4の記載からすると,多層生麺が二層の場合及び四層以上の場合も含まれているように解されるが,二層の場合や,四層以上の偶数層の場合にどのような構成になるのか明確に把握することができない。
また,発明の詳細な説明において開示された多層生麺は三層のもののみであって,この三層の多層生麺に基づいて二層の多層生麺にまで発明を拡張することができるものとは認められない。
2 請求項1に係る発明は,「うどん,そば又はパスタ」に係るものとされているが,「多層生麺」と表現された物と「うどん,そば又はパスタ」との異同を明確に把握することができない。

第5 原査定についての判断
1 引用文献,引用発明等
(1) 引用文献1
ア 引用文献1には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】(a)pHが7.2?9.4となる量のかん水を含む内層とpHが4.0?7.0の外層とからなる多層麺を調製する工程,
(b)上記多層麺に茹上り後の水分含量が55?70重量%となるように茹処理を施す工程,
(c)茹処理を施した多層麺に冷却処理を施す工程,
(d)上記茹処理及び冷却処理を施した多層麺に加圧加熱殺菌処理を施す工程,を採用することを特徴とする加圧加熱殺菌処理ラーメンの製造方法。」
・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,加圧加熱殺菌処理ラーメンの製造方法に関し,更に詳細にはラーメンの風味及び歯応えを充分に呈すると共に,加圧加熱殺菌処理に起因する褐変等の品質低下を有効に防止することができる加圧加熱殺菌処理ラーメンの製造方法に関する。」
・「【0005】本発明者等は,スープと共に喫食するタイプの麺の中でもラーメンについて充分なコシを有する加圧加熱殺菌処理麺を得るべく鋭意研究を行った結果,前記した構成に加えて麺線の生地が高pHになるようにかん水を加えることによりコシの強い加圧加熱殺菌処理ラーメンを得ることができることを見出したが,該方法を実施したところ加圧加熱殺菌処理時に,麺線表面に褐変が顕著に生じ,外観・風味の劣化と共に粘りが低下する傾向にあるとの問題が生じた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は,得られる加圧加熱殺菌処理ラーメンが充分なコシを有すると共に,ラーメン独特の風味を損うことなく上記問題を解決し得る加圧加熱殺菌処理ラーメンの製造方法を提供することを目的とする。」
・「【0031】
【発明の効果】本発明によれば,ラーメンの風味及び歯応えを充分に呈すると共に,加圧加熱殺菌処理に起因する褐変が有効に防止された加圧加熱殺菌処理ラーメンを得ることができる。」
・「【0032】
【実施例1】強力粉60重量部,中力粉15重量部に,かん水0.5重量部,食塩0.5重量部,水24重量部からなる溶液を加えて混捏しpH8.8の内層用生地を得た。一方,強力粉25重量部,中力粉50重量部に,食塩1重量部,水24重量部からなる溶液を加えて混捏しpH6.2の外層用生地を得た。得られた2種類の生地を押出し成型機により押出し成型し,内層部分が完全に外層部分により覆われ断面以外は麺表面に露出しない構造の多層麺(麺線)を得た。
【0032】次いで,得られた麺線にウェーブを付け,その後約100°Cの条件で100秒間蒸煮処理を施した。その後,麺線に約98°Cの条件で30秒間茹処理を施した。得られた茹麺の水分は,60重量%であった。
【0033】次に,湯を切り上記茹麺に15°Cの水を,茹麺100gに対して0.5リットル/秒の割合で10秒間シャワーした後,20°Cの水に30秒間浸漬した。水浸漬後の茹麺の品温は約21°Cであり,また,水切り後の水分は60.8重量%であった。次に,茹麺200gづつホリプロピレン製のレトルトパウチ(140×170mm)に充填し,その後,該レトルトパウチに95mlの空気が残るようにヒートシールした。次いで,上記レトルトパウチを加圧加熱殺菌時の袋内の圧力と加圧加熱殺菌処理槽内の圧力との差圧が-0.3?+0.3kg/cm^(2)となるように,殺菌温度121°C,F_(0)値4以上条件で加圧加熱殺菌処理を施し,加圧加熱殺菌処理ラーメンを得た。
【0034】得られた加圧加熱殺菌処理ラーメンを袋から出し沸騰水中で1.5分間加温した。次いで,沸騰水から取り出し,湯切り後別途加温したラーメンスープ250gの入った丼に入れ,喫食した。得られたラーメンは,ラーメンの風味及び歯応えを充分に呈すると共に,加圧加熱殺菌処理に起因する褐変が有効に防止されたものであった。また,その調理(加温)時のほぐれは良好なものであった。」
イ 上記の記載及び図面の記載からみて,引用文献1には,次の発明(以下,それぞれ「引用発明1」,「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
(引用発明1)
「喫食する際に湯戻しされる加圧加熱殺菌処理ラーメンを湯戻しして製造されたラーメンであって,
前記加圧加熱殺菌処理ラーメンが,(a)pHが7.2?9.4となる量のかん水を含む内層とpHが4.0?7.0の外層とからなる多層麺を調製する工程,(b)上記多層麺に茹上り後の水分含量が55?70重量%となるように茹処理を施す工程,(c)茹処理を施した多層麺に冷却処理を施す工程,(d)上記茹処理及び冷却処理を施した多層麺に加圧加熱殺菌処理を施す工程を経て製造されたものである,ラーメン。」
(引用発明2)
「喫食する際に湯戻しされる加圧加熱殺菌処理ラーメンであって,(a)pHが7.2?9.4となる量のかん水を含む内層とpHが4.0?7.0の外層とからなる多層麺を調製する工程,(b)上記多層麺に茹上り後の水分含量が55?70重量%となるように茹処理を施す工程,(c)茹処理を施した多層麺に冷却処理を施す工程,(d)上記茹処理及び冷却処理を施した多層麺に加圧加熱殺菌処理を施す工程を経て製造されたものである,加圧加熱殺菌処理ラーメン。」

(2) 引用文献2,3
ア 引用文献2には,以下の事項が記載されている。
・「【0034】
実施例2:うどんの作成(内層麺生地減圧下調製)
(1)アルギン酸2.0g,炭酸ナトリウム1.8g,食塩30.0gを水380mlに溶解して練水を調製した。次に,小麦粉(中力粉)700gと澱粉300gの混合物に,前記練水を加え,ミキサーにて15分間混練し,外層用の麺生地を調製した(生地pH6.7)。
【0035】(2)アルギン酸2.5g,炭酸ナトリウム2.0gを水380mlに溶解して練水を調製した。次に,小麦粉(中力粉)1,000gに,前記練水を加え,真空ミキサーで絶対圧160mmHgの減圧下で6分間混練して内層用の麺生地を調製した(生地pH7.1)。
【0036】(3)前記,外層用の生地と内層用の生地を,それぞれ圧延ロールにて圧延して麺帯とし,さらに,複合圧延して,麺帯厚2.8m/mの外層/内層/外層からなる麺帯とした後,#10の切刃を通して麺線とした。
【0037】(4)前記麺線を7分茹でた後,水洗・冷却を行った。
【0038】(5)前記工程(4)で調製した麺線を6g/Lの乳酸溶液に1分間浸漬後,液切りを行った。
【0039】(6)前記工程(5)で調製した麺線220gを,白絞油5mlと共にパウチに封入した。(7)前記包装後の麺を115℃でFo値1.9まで加熱殺菌したのち冷却した(麺pH4.8)。
【0040】試作品は室温に1日放置した後,麺を粉末スープと共にスチロール容器に入れ,熱湯を注いで2分たってから試食したところ,うどんとして美味しいものであった。また,めんのほぐれも外層にアルギン酸を添加しないものに比べて良好であった。」
・「【0048】
実施例4:中華めんの作成(内層麺帯減圧下調製)
(1)アルギン酸2.0g,カンスイ1.3g,食塩15gを水410mlに溶解して練水を調製した。次に,小麦粉(準強力粉)700gと澱粉300gの混合物に,前記練水を加え,ミキサーにて15分間混練し,外層用の麺生地を調製した(生地pH6.7)。
【0049】(2)アルギン酸5.0g,カンスイ5.0gを水350mlに溶解して練水を調製した。次に,小麦粉(準強力粉)1,000gとアルギン酸5.0gの混合物に,前記練水を加えて混合し,真空麺帯機で押出して,内層用の麺帯を調製した(生地pH7.0)。
【0050】(3)前記,外層用の生地と内層用の麺帯を,それぞれ圧延ロールにて圧延して麺帯とし,複合,圧延して,麺帯厚1.4m/mの外層/内層/外層からなる麺帯とした後,#22の切刃を通して麺線とした。
【0051】(4)前記麺線を2分蒸煮し,15秒茹でた後,水洗・冷却を行った。
【0052】(5)前記工程(4)で調製した麺線を12g/Lの乳酸溶液に1分間浸漬後,液切りを行った。
【0053】(6)前記工程(5)で調整した麺線180gを,白絞油3mlと共にパウチに封入した。
【0054】(7)前記包装後の麺を97℃で35分加熱殺菌したのち冷却した。
【0055】試作品は,室温に1日放置した後,沸騰水中で1分茹でたのち丼に移し,熱湯およびスープを加えて,試食評価を行ったところ,中華めんとして美味しいものであった。また,めんのほぐれも良好であった。」
イ 引用文献3には,以下の事項が記載されている。
・【0044】実施例3:アルギン酸外層添加 フライ麺(中華麺タイプ)
(1)炭酸ナトリウム2.0g食塩16gを水330mlに溶解して練水を調製した。小麦粉(中力粉)1000gに前記練水を加え,ミキサーにて15分混練し,内層用麺生地(A)を調製した(生地pH7.9)。
【0045】(2)アルギン酸5.0g炭酸ナトリウム2.0g食塩16gを水330mlに溶解して練水を調製した。小麦粉(中力粉)1000gに前記練水を加え,ミキサーにて15分混練し,外層用麺生地(B)を調製した(生地pH6.7)。
【0046】(3)前記,麺生地(A)及び(B)を,それぞれ圧延ロールにて圧延して内層用麺帯(A)及び,外層用麺帯(B)として,これを複合圧延して,麺帯厚1.07mmの(B)/(A)/(B)からなる麺帯とした後,#22の切刃を通して麺線とした。
【0047】(4)前記麺線を2分蒸した後,25?30cmにカットした。
【0048】(5)前記工程(4)で調製した麺線を0.5%乳酸溶液に2分間浸漬した後,液切りを行った。(麺線pH4.9)
(6)前記工程(5)で調製した麺線145gをフライ用リテイナーに入れ,143℃の食用油で2分30秒フライし,室温で放冷した。
【0049】試作品は500mlの熱湯で3分間茹で,試食した結果,麺線の外側に「腰」「粘弾性」「つるみ」があり,芯が柔らかな独特の食感のある麺であった。」

2 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明1とを,その有する機能に照らして対比してみるに,引用発明1の「加圧加熱殺菌処理ラーメン」は,「喫食する際に湯戻しされる」ものであって,「(a)pHが7.2?9.4となる量のかん水を含む内層とpHが4.0?7.0の外層とからなる多層麺を調製する工程」を経て製造されたものであるから,本願発明1の「多層生麺」と,「喫食する際に湯戻しされる」多層の麺である点で共通する。
そして,引用発明1の「ラーメン」は,「加圧加熱殺菌処理ラーメンを湯戻しして製造された」ものであるから,本願発明1と,「喫食する際に湯戻しされる」多層の麺を「湯戻しして製造された」麺である点で共通する。
そうすると,本願発明1と引用発明1とは,次の点で一致し,相違する。
(一致点1)
「喫食する際に湯戻しされる多層の麺を湯戻しして製造された麺。」
(相違点1)
本願発明1は,「多層生麺(ただし,該湯戻しよりも前に加熱処理されるものを除く)を湯戻しして製造されたうどん,そば又はパスタ」であって,「前記多層生麺が,pH4.0以上5.5以下のA層とpH8.5以上11.5以下(ただし,8.5以上9.4以下を除く)のB層とを含む多層構造を有し,該多層構造が,二層のA層の間に一層のB層が介在された積層三層構造である」のに対し,引用発明1は,「加圧加熱殺菌処理ラーメンを湯戻しして製造されたラーメン」であって,「加圧加熱殺菌処理ラーメンが,(a)pHが7.2?9.4となる量のかん水を含む内層とpHが4.0?7.0の外層とからなる多層麺を調製する工程,(b)上記多層麺に茹上り後の水分含量が55?70重量%となるように茹処理を施す工程,(c)茹処理を施した多層麺に冷却処理を施す工程,(d)上記茹処理及び冷却処理を施した多層麺に加圧加熱殺菌処理を施す工程を経て製造されたものである」点。

(2) 判断
ア このように,引用発明1は本願発明1と相違し,本願発明1は,相違点1に係る構成によって,「湯戻し直後の食感が良好で,且つ湯戻し後の経時的な食感低下が抑制された多層生麺が提供される。」(本願明細書【0009】)といった効果を奏するものであるから,相違点1は実質的なものである。
したがって,本願発明1は引用発明1であるとは認められない。
イ また,引用発明1は,前記(a)?(d)の工程を経て製造された「加圧加熱殺菌処理ラーメン」を湯戻しして製造された,「ラーメン」であって,引用文献1には,相違点1に係る,多層生麺(ただし,該湯戻しよりも前に加熱処理されるものを除く)を湯戻しして製造されたうどん,そば又はパスタについてや,当該多層生麺を,pH4.0以上5.5以下のA層とpH8.5以上11.5以下(ただし,8.5以上9.4以下を除く)のB層とを含む多層構造を有し,該多層構造を,二層のA層の間に一層のB層が介在された積層三層構造とする点について,特段記載も示唆もない(前記1(1))。
引用例2,3をみても,相違点1に係る構成について記載はなく(前記1(2)),本願出願前において周知技術であるともいえない。
そして,本願発明1は,上記効果を奏するものである。
したがって,引用発明1及び引用文献2,3に記載された事項に基いて,相違点1に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本願発明1は,引用文献1に記載された発明であるとは認められず,引用発明1及び引用文献2,3に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

3 本願発明2について
本願発明1を特定するための事項をすべて含む本願発明2は,その余の事項を検討するまでもなく,本願発明1と同様の理由により,引用文献1に記載された発明であるとは認められず,引用発明1及び引用文献2,3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

4 本願発明3について
(1) 対比
本願発明1と引用発明1との関係を参考に(前記2(1)),本願発明3と引用発明2とを,その有する機能に照らして対比すると,本願発明3と引用発明2とは,次の点で一致し,相違する。
(一致点2)
「喫食する際に湯戻しされる多層の麺。」
(相違点2)
本願発明3は,「多層生麺」であって,「pH4.0以上5.5以下のA層とpH8.5以上11.5以下(ただし,8.5以上9.4以下を除く)のB層とを含む多層構造を有し,該多層構造が,二層のA層の間に一層のB層が介在された積層三層構造である,うどん,そば又はパスタ用多層生麺(ただし,該湯戻しよりも前に加熱処理されるものを除く)」であるのに対し,引用発明2は,「加圧加熱殺菌処理ラーメン」であって,「(a)pHが7.2?9.4となる量のかん水を含む内層とpHが4.0?7.0の外層とからなる多層麺を調製する工程,(b)上記多層麺に茹上り後の水分含量が55?70重量%となるように茹処理を施す工程,(c)茹処理を施した多層麺に冷却処理を施す工程,(d)上記茹処理及び冷却処理を施した多層麺に加圧加熱殺菌処理を施す工程を経て製造されたものである」点。

(2) 判断
相違点2は,前記相違点1と実質的に同じであるから,同様の理由により,本願発明3は,引用文献1に記載された発明であるとは認められず,引用発明2及び引用文献2,3に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

5 本願発明4について
引用発明2からは,前記(a)?(b)の工程を有する加圧加熱殺菌処理ラーメンの製造方法に関する発明を認識することができる。
他方,本願発明4は,本願発明3を特定するための事項をすべて含むものである。
したがって,その余の事項を検討するまでもなく,本願発明4は,本願発明3と同様の理由により,引用文献1に記載された発明であるとは認められず,引用発明2及び引用文献2,3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

6 以上のとおりであるから,原査定を維持することはできない。

第6 当審にて通知した拒絶の理由についての判断
平成30年12月11日の手続補正書により補正された特許請求の範囲は前記のとおりであるところ(前記第2),当該補正により,特許請求の範囲の記載に関する不備は解消した。

第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由及び当審にて通知した拒絶の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-28 
出願番号 特願2014-30399(P2014-30399)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A23L)
P 1 8・ 121- WY (A23L)
P 1 8・ 113- WY (A23L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 北村 悠美子田中 耕一郎  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 莊司 英史
窪田 治彦
発明の名称 多層生麺及びその製造方法並びに該多層生麺を用いたうどん、そば又はパスタ  
代理人 特許業務法人翔和国際特許事務所  
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