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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1348192
審判番号 不服2018-5977  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-01 
確定日 2019-02-05 
事件の表示 特願2013-271091「接触子及び半導体試験装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 6日出願公開、特開2015-125095、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年12月27日の出願であって、平成29年7月18日付けで拒絶理由が通知され、平成29年9月25日に手続補正がなされたが、平成30年1月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成30年5月1日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされ、平成30年6月29日に前置報告がなされ、平成30年12月19日に上申書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年1月25日付け付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1-11に係る発明は、引用文献1-5に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2012-042448号公報
引用文献2.特開平03-048021号公報
引用文献3.特開昭50-158777号公報
引用文献4.特開2006-266869号公報
引用文献5.米国特許第4773877号明細書

第3 本願発明
請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成30年5月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、本願発明2は、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
被試験物である半導体装置の端子に接触及び押圧させて、該半導体装置に電流を流す半導体装置試験用の接触子において、
該半導体装置の端子に接触する平坦な接触面を有する接触部と、
該半導体装置の端子に接触して押圧されたときに弾性変形する変形部と、
該変形部の一端から突出して設けられた接続部とを有し、
該変形部は、柱状であり、
前記変形部に、前記押圧される方向を横切る方向に延び前記接触面と平行なスリットが複数設けられ、
前記スリットのうち、前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていて、
隣り合う2本の前記スリットが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていることを特徴とする接触子。
【請求項2】
被試験物である半導体装置の端子に接触及び押圧させて、該半導体装置に電流を流す半導体装置試験用の接触子において、
該半導体装置の端子に接触する平坦な接触面を有する接触部と、
該半導体装置の端子に接触して押圧されたときに弾性変形する変形部と、
該変形部の一端から突出して設けられた接続部とを有し、
該変形部は、柱状であり、
前記変形部に、前記押圧される方向を横切る方向に延び前記接触面と平行なスリットが複数設けられ、
前記スリットのうち、前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていて、
前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとの間に、4本のスリットを備え、該4本のスリットが周面の互いに90度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていることを特徴とする接触子。」

本願発明3-10は、本願発明1または本願発明2を減縮した発明である。

第4 引用発明、引用文献等
1.引用文献1について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は半導体素子のプローブカードに関し、特にプローブが少なくとも一つの波状スプリングを備えることで、プローブが被試験素子に接触するときに生じる応力を軽減する半導体素子のプローブカードに関する。」

「【0012】
本発明は、プローブが少なくとも一つの波状スプリングを備えることで、プローブが被試験素子に接触するときに生じる応力を軽減する半導体素子のプローブカードを提供するものである。」

「【0040】
図10には本発明の第10の実施例の垂直型プローブ10Jが例示されている。本発明の一実施例において、前記垂直型プローブ10Jは下部コンタクト20と、上部コンタクト11とを備えており、前記上部コンタクト11は実質的に直線となるように前記下部コンタクト20の上に重ねられている。本発明の実施例において、前記上部コンタクト11の幅は前記下部コンタクト20の幅よりも広い。本発明の一実施例において、前記下部コンタクト20は波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21と、柱状部材150とを備えている。
【0041】
本発明の一実施例において、各波状スプリング21は単一の導電性部材から構成されており、複数の頂点部23と複数の谷部25とを有しており、前記頂点部23は前記谷部25に隣接している。本発明の一実施例において、前記波状スプリング21は圧縮されていない状態では波高20A、すなわち前記頂点部23と前記谷部25との距離を有し、前記波高20Aは縦方向の移動を提供するように配置されることで、前記プローブ10Jが前記被試験素子70に接触するとき(圧縮状態にあるとき)に生じる応力を軽減する。本発明の一実施例において、前記柱状部材150は先端部151を有する円柱体であって、しかも前記先端部151は被試験素子80のコンタクトパッド81に接触するように配置されている。本発明の一実施例において、前記先端部151は、球状物体に接触するように凹状に設計しても良い。」

「【0045】
図13には本発明の第1の実施例の半導体素子のプローブカード100Bを例示している。本発明の実施例において、前記半導体素子のプローブカード100Bはガイドプレート120と、回路基板110と、複数本の垂直型プローブ10Aとを備えている。本発明の実施例において、前記ガイドプレート120は複数のホール121を有しており、前記回路基板110は前記ガイドプレート120の上に設けられるとともに、前記ガイドプレート120に対向しているコンタクト部131を複数有している。
【0046】
再度図1を参照する。前記垂直型プローブ10Aは下部コンタクト20と、上部コンタクト11とを備えており、前記上部コンタクト11は実質的に直線となるように前記下部コンタクト20の上に重ねられている。本発明の実施例において、前記下部コンタクト20は、被試験素子70に接触する球状物71が配置されるように下開口27を有している。本発明の一実施例において、前記上部コンタクト11は、前記回路基板110に接触して前記被試験素子70と前記回路基板110との間で導通経路を形成するように配置されている。本発明の一実施例において、前記ホール121のサイズは前記下部コンタクト20のサイズより大きく、前記ホール121のサイズは前記上部コンタクト11のサイズ未満であることから、前記垂直型プローブ10Aは前記ホール121内に設けることができ、前記回路基板110のコンタクト部131に固着させる必要はないため、故障した垂直型プローブ10Aは個別に交換することができる。」

「【0048】
・・・また、波状スプリングは波頂点同士が対向する方式で重ねられて複数の導通経路を形成することで、電流が単一のコイルを流れるときに誘導現象が生じて電気測定結果に影響を及ぼしてしまうということを防止できる。」

ここで、段落【0041】の「前記波状スプリング21は・・・波高20Aは縦方向の移動を提供するように配置される」とは、前記波状スプリング21が、「下部コンタクト20」の縦方向の移動を提供するように配置されることを意味していると認められる。

従って、上記引用文献1には、図10の「第10の実施例の垂直型プローブ10J」について、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「垂直型プローブ10Jは下部コンタクト20と、上部コンタクト11とを備えており、前記上部コンタクト11は実質的に直線となるように前記下部コンタクト20の上に重ねられ、前記上部コンタクト11の幅は前記下部コンタクト20の幅よりも広く、前記下部コンタクト20は波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21と、柱状部材150とを備え(段落【0040】より。以下、同様。)、
各波状スプリング21は単一の導電性部材から構成されており、複数の頂点部23と複数の谷部25とを有しており、前記頂点部23は前記谷部25に隣接し、前記波状スプリング21は、前記下部コンタクト20の縦方向の移動を提供するように配置されることで、前記プローブ10Jが前記被試験素子70に接触するとき(圧縮状態にあるとき)に生じる応力を軽減し、前記柱状部材150は先端部151を有する円柱体であって、しかも前記先端部151は被試験素子80のコンタクトパッド81に接触するように配置され(【0041】)
前記上部コンタクト11(【0046】)は、半導体素子のプローブカード100B(【0045】)の回路基板110に接触して前記被試験素子70と前記回路基板110との間で導通経路を形成するように配置され、(【0046】)、
波状スプリングは波頂点同士が対向する方式で重ねられて複数の導通経路を形成することで、電流が単一のコイルを流れるときに誘導現象が生じて電気測定結果に影響を及ぼしてしまうということを防止できる(【0048】)、
垂直型プローブ10J(【0040】)。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。

ア 「[産業上の利用分野]
本発明はスプリングとその製造方法、詳しくはブロック状の素材に切込みを形成したスプリングとその製造方法に関するものである。」(第2頁右上欄第8-11行)

イ 「[実施例]
以下、この発明を具体化した第一実施例のスプリング1を第1?5図に従って説明する。
第1,2図に示すように、このスプリング1はアルミニウム製で円柱状をなすとともに、その外周の90°ごとにずれた位相位置には、互いに平行な多数の切込み2がスプリング1の軸線方向へ並ぶように形成されている。各切込み2はスプリング1の奥深くまで達しており、そのピッチ及び幅は全て同一に設定されている。そして、各切込み2によって薄板状の弾性部3がそれぞれ区画形成され、これらの弾性部3はスプリング1に外力が加わると撓むようになっている。なお、各切込み2はメタルソーによる切削加工で形成されている。」(第3頁右下欄第14行-第4頁左上欄第8行)

ウ 「なお、本実施例のスプリング1は円柱状をなす素材から製作したが、例えば、第6,7図に示すスプリング4のように、その軸線方向に貫通孔5が形成された円筒状の素材に切込み2を形成して製作してもよい。この場合には、切込み2を形成する際の削り量を貫通孔5の分だけ少なくすることができるため、より製作が容易になる。」(第4頁右上欄第19行-第4頁左下欄第5行)

エ 「本実施例のスプリング14は、互いに接近離間する一対の可動部材17(第11図には一方のみ図示)の間に介装されて、その接近離間運動を緩衝するためのものであり、そのためにスプリング14の両雄ねじ16は、可動部材17に形成された雌ねじ18にそれぞれ螺入されるようになっている。」(第5頁左上欄第18行-第5頁右下欄第4行)

したがって、上記引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「互いに接近離間する一対の可動部材17の間に介装されて、その接近離間運動を緩衝するためのスプリング1であって(「エ」より。)、スプリング1はアルミニウム製で円柱状をなすとともに、その外周の90°ごとにずれた位相位置には、互いに平行な多数の切込み2がスプリング1の軸線方向へ並ぶように形成され、各切込み2はスプリング1の奥深くまで達しており、そのピッチ及び幅は全て同一に設定され、そして、各切込み2によって薄板状の弾性部3がそれぞれ区画形成され、これらの弾性部3はスプリング1に外力が加わると撓むようになっており(「イ」より。)、
スプリング1は円柱状をなす素材から製作したが、その軸線方向に貫通孔5が形成された円筒状の素材に切込み2を形成して製作してもよい(ウ)」より。)。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
ア 「この発明は一般にばねまたは柔軟な連結部あるいは案内部としての機能を果すようにした弾性体に関する。」(第1頁右下欄第2-4行)

イ 「第1図と第2図は弾性体を一定の壁厚の円筒状の本体1の形状とした実施例を表わしている。本体1の壁面には長手軸と直角に延びるスリット3が多数段に穿設されている。スリット3の列は2、2a・・・2nとして表わしてある。スリット3は各列に少なくとも3個形成してあり、各列について符号31、32、33として示してある。スリット31、32、33の間には3個の脚部5が形成され、それらの脚部5は連続した2段のスリットによって形成される上下に隣接した2列の弾性薄板部分の連結要素を形成している。これらの弾性薄板部分6は曲げ荷重の下にも引張荷重の下にも、あるいは曲げ荷重と引張荷重の両方の荷重の下にも働くことができる。」(第2頁左下欄第9-19行)

ウ 「図面からわかるように、同じ列に属するスリット3は同じ角度範囲をもつように形成され、2つの上下に連続した列の各々のスリット3は、同じ横断面内にある2つの連続した脚部5の半径方向の軸線の含む角度の半分に等しい角度だけ相互にその位置をずらせて配設されている。」(第2頁右下欄第13行-最下行)

よって、上記引用文献3には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「ばねまたは柔軟な連結部あるいは案内部としての機能を果すようにした弾性体(「ア」より。)であって、
一定の壁厚の円筒状の本体1の壁面には長手軸と直角に延びるスリット3が多数段に穿設され、スリット3は各列に少なくとも3個形成してあり、スリットの間には3個の脚部5が形成され、それらの脚部5は連続した2段のスリットによって形成される上下に隣接した2列の弾性薄板部分の連結要素を形成し(「イ」より。)、同じ列に属するスリット3は同じ角度範囲をもつように形成され、2つの上下に連続した列の各々のスリット3は、同じ横断面内にある2つの連続した脚部5の半径方向の軸線の含む角度の半分に等しい角度だけ相互にその位置をずらせて配設され(「ウ」より。)た、
弾性体(「ア」より。)。」

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
この発明は、半導体装置(以下「ICパッケージ」という)等の電気部品を着脱自在に収容する電気部品用ソケットに配設され、その電気部品の端子に電気的に接続されるコンタクトピン及び、このコンタクトピンが配設された電気部品用ソケットに関するものである。」

「【0017】
このコンタクトピン16は、図4に示すように、板状の導電材料で形成され、両端部に接触部17,18が形成されると共に、これら両接触部17,18の間にばね部19が形成されている。
【0018】
これら両接触部17,18及びばね部19は、長手方向に延びる軸Oを中心として筒状に折曲げられている。」

「[発明の実施の形態2]
【0042】
図6乃至図8には、この発明の実施の形態2を示す。
【0043】
この実施の形態2は、コンタクトピン16のばね部20の構造が実施の形態1と相違している。
【0044】
すなわち、そのばね部20は、筒状に折曲げる前の展開状態で、図8に示すように、軸O方向に直交する方向に長い複数の長板部24aが、連結部24bにより連結されて軸O方向に並んで形成されると共に、これら長板部24aには、軸O方向と垂直な方向に沿うスリット24cが形成され、これが筒状に折曲げられて形成されている。このスリット24c等により、ばね部20が軸方向に伸縮するようになっている。
【0045】
他の構成及び作用は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。」

よって、上記引用文献4には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「コンタクトピン16は、板状の導電材料で形成され、両端部に接触部17,18が形成されると共に、これら両接触部17,18の間にばね部19が形成され(段落【0017】より。以下、同様。)、 これら両接触部17,18及びばね部19は、長手方向に延びる軸Oを中心として筒状に折曲げられ(【0018】)、
そのばね部20は、筒状に折曲げる前の展開状態で、軸O方向に直交する方向に長い複数の長板部24aが、連結部24bにより連結されて軸O方向に並んで形成されると共に、これら長板部24aには、軸O方向と垂直な方向に沿うスリット24cが形成され、これが筒状に折曲げられて形成され、このスリット24c等により、ばね部20が軸方向に伸縮するようになっている(【0044】)、
コンタクトピン16(【0018】)」

(5)引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
ア 「In the embodiment according to FIGS. 19 to 20 the spring 19 is not twisted or rotated relative to the width longitudinal plane of the planar plunger member 20 in its entirety about 90.degree. but it has a cornered snakelike coil which can run substantially in the plane of the plunger member 20 and thus the plunger head 21, or inclined to that plane, however at the peaks the approximately rectangular or square waves are bent to form rectangular flaps 67, 67' approximately at 90゜to the plane of the plunger head 21.」(第15欄第47-56行)(当審訳:図19から20における実施例では、スプリング19は、平面プランジャ部材20の幅方向の長さ方向の平面に対して、全体として約90の捩じれ又は回転しておらず、プランジャ部材20とそれ故プランジャヘッド21の平面内に実質的に、又は、その平面に傾斜して走行する、角のあるヘビのようなコイルであるが、しかし、ピークにおいて、近似的に矩形又は正方形の波は、プランジャヘッド21の平面に対して約90度、折り曲げられ、矩形フラップ67,67'を形成する。)

イ 「These fold lines can be provided suitably so that the width b2 (FIG. 19) of the spring 19 corresponds approximately to the width by of the plunger head 21. The flaps 67 and/or 67, 67' are attached by cross pieces 71 of the associated spring 19. These cross pieces 71 can be parallel to the geometric width longitudinal central plane of the plunger head 21 in the embodiment according to FIG. 19, advantageously in that case. The cross piece 71 and the flaps 67,67' can advantageously be linear or have another course for embodiment arced or curved.
With the bar 12' according to FIG. 19 all flaps 6 of the cross pieces 71 are bent from the same side.」(第15欄第67行-第16欄第11行)(当審訳:これらの折り線は、スプリング19の幅b2(図19)がプランジャヘッド21の幅にほぼ対応するように適切に設けることができる。フラップ67及び/又は67,67'が、スプリング19に関係付けられたの横片71によって取り付けられる。これらの横片71は、有利には、図19の実施形態において、プランジャヘッド21の幾何学的幅の長手方向中心面に平行とすることができる。横片71及びフラップ67,67'は、有利には直鎖状とし、または他の実施例では、円弧のための別の経路を有することができる。
図19のバー12’では、横片71の全てのフラップ6は、同じ側から曲げられている。)

ウ 「The bar according to FIG. 20 differs substantially from the bar according to FIG. 19 in that on the one side of the spring 19 the planar flaps 67 are bent upwardly and on the other side the planar flaps 67' are bent downwardly approximately 90゜ or contrastingly somewhat more or less than 90゜.
Particularly it can be provided that with this spring 19 according to FIG. 20 the cross piece 71 does not fall on the geometric width longitudinal central plane of the plunger member 20 but is suitably inclined to this plane so that the flaps 67 and 67' have the same height directed oppositely and so the maximum height h2 of this spring 19 corresponds to the outer measured height h2 of that arbitrarily chosen for the flaps 67, 67' and not to the doubled flap height.」(第16欄第32-46行)(当審訳:図20のバーは、スプリング19の一端において平面フラップ67が上方に、他端において平面フラップ67'が下方に、90度、またはこれとはコントラストをなして90度以上又は未満、曲げられている点で、実質的に図19のバーとは異なる。
特に、図20のスプリング19では、横片71はプランジャ部材20の幾何学的幅の長手方向中心面上に下がっておらず、フラップ67及び67'が反対方向を向いて同じ高さを有するように、この平面に対して傾斜しているので、このスプリング19の最大高さh2は、フラップ67, 67'に対して任意に選択された外側の測定高h2に対応し、フラップ高さの2倍には対応しない。)

よって、上記引用文献5には、図19から20における実施例について、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「スプリング19は、プランジャ部材20とそれ故プランジャヘッド21の平面内に実質的に、又は、その平面に傾斜して走行する、角のあるヘビのようなコイルであるが、しかし、ピークにおいて、近似的に矩形又は正方形の波は、プランジャヘッド21の平面に対して約90度、折り曲げられ、矩形フラップ67,67'を形成し(「ア」より。)、
フラップ67及び/又は67,67'が、スプリング19に関係付けられたの横片71によって取り付けられ、これらの横片71は、有利には、プランジャヘッド21の幾何学的幅の長手方向中心面に平行とすることができ、横片71の全てのフラップ6は、同じ側から曲げられている(「イ」より。)か、
スプリング19の一端において平面フラップ67が上方に、他端において平面フラップ67'が下方に、曲げられ、横片71は、フラップ67及び67'が反対方向を向いて同じ高さを有するように、この平面に対して傾斜している(「ウ」より。)、
スプリング19(「ア」より。)」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明1における「垂直型プローブ10J」は、その「上部コンタクト11」が「半導体素子のプローブカード100Bの回路基板110に接触して前記被試験素子70と前記回路基板110との間で導通経路を形成するように配置され」、「前記下部コンタクト20は波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21と、柱状部材150とを備え」、「波状スプリングは波頂点同士が対向する方式で重ねられて複数の導通経路を形成する」から、本願発明1における「被試験物である半導体装置の端子に接触及び押圧させて、該半導体装置に電流を流す半導体装置試験用の接触子」に相当する。

イ 引用発明における「垂直型プローブ10J」の「前記下部コンタクト20」が備える「柱状部材150」は、「先端部151を有する円柱体であって、しかも前記先端部151は被試験素子80のコンタクトパッド81に接触するように配置され」ているから、本願発明1における「該半導体装置の端子に接触する平坦な接触面を有する接触部」に相当する。

ウ 引用発明における「波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21」は、「波状スプリング21」が「前記下部コンタクト20の縦方向の移動を提供するように配置される」ことで、「前記プローブ10Jが前記は被試験素子70に接触するとき(圧縮状態にあるとき)に生じる応力を軽減し」ているから、本願発明1における「該半導体装置の端子に接触して押圧されたときに弾性変形する変形部」に相当する。

エ 引用発明における「上部コンタクト11」は、「前記回路基板110に接触して前記被試験素子70と前記回路基板110との間で導通経路を形成するように配置され」、「複数の波状スプリング21」「を備え」る「下部コンタクト20」に対し、「実質的に直線となるように前記下部コンタクト20の上に重ねられ」ているから、本願発明1における「該変形部の一端から突出して設けられた接続部」とは、「該変形部の一端に設けられた接続部」の点で共通する。

オ 引用発明における「波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21」は、「各波状スプリング21は単一の導電性部材から構成されており、複数の頂点部23と複数の谷部25とを有しており、前記頂点部23は前記谷部25に隣接し」ているから、本願発明1における「該変形部は、柱状であり、前記変形部に、前記押圧される方向を横切る方向に延び前記接触面と平行なスリットが複数設けられ、前記スリットのうち、前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていて、隣り合う2本の前記スリットが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていること」とは、「該変形部は、縦方向に延びた形状である」点で共通する。

よって、本願発明1と引用発明とは、次の一致点、相違点を有するものと認められる。
(一致点)
被試験物である半導体装置の端子に接触及び押圧させて、該半導体装置に電流を流す半導体装置試験用の接触子において、
該半導体装置の端子に接触する平坦な接触面を有する接触部と、
該半導体装置の端子に接触して押圧されたときに弾性変形する変形部と、
該変形部の一端に設けられた接続部とを有し、
該変形部は、縦方向に延びた形状であり、
ることを特徴とする接触子。

(相違点1)
本願発明1では、「変形部」が「柱状」であって、「前記変形部に、前記押圧される方向を横切る方向に延び前記接触面と平行なスリットが複数設けられ、前記スリットのうち、前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていて、隣り合う2本の前記スリットが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されている」のに対し、
引用発明における「複数の波状スプリング21」は、「波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21」からなり、「各波状スプリング21は単一の導電性部材から構成されており、複数の頂点部23と複数の谷部25とを有しており、前記頂点部23は前記谷部25に隣接し」ているものの、「柱状」ではない点。

(相違点2)
本願発明1では、「接続部」が、「該変形部の一端から突出して設けられ」ているのに対し、引用発明における「上部コンタクト11」は、「複数の波状スプリング21」「を備え」る「下部コンタクト20」に対し、「実質的に直線となるように前記下部コンタクト20の上に重ねられ」ている点。

(2)判断
上記相違点1について検討すると、
ア 引用文献2には、「互いに平行な多数の切込み2」が「軸線方向へ並ぶように形成され」た、「円柱状」または「円筒状」の「スプリング1」が記載され、引用文献3には、「本体1の壁面」に「長手軸と直角に延びるスリット3が多数段に穿設され」た「一定の壁厚の円筒状」の「弾性体」が記載されている。
しかし、引用文献2に記載された「スプリング1」は、「互いに接近離間する一対の可動部材17の間に介装されて、その接近離間運動を緩衝するための」ものであり、引用文献3に記載された「弾性体」は、「ばねまたは柔軟な連結部あるいは案内部としての機能を果すようにした」ものであって、引用文献2、3には、これらの「スプリング1」や「弾性体」を、「導電性部材」で構成して「導通経路を形成する」ことはもとより、これらの「スプリング1」や「弾性体」が、誘導現象の発生を防止できることについては、記載も示唆もされていない。
よって、引用発明において、「半導体素子のプローブカード」における「波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21」を、引用文献2、3に記載された「スプリング1」や「弾性体」で置き換えることは、当業者であっても、容易に想到し得たことであるとはいえない。

イ 引用文献4には、「展開状態で、軸O方向に直交する方向に長い複数の長板部24aが、連結部24bにより連結されて軸O方向に並んで形成されると共に、これら長板部24aには、軸O方向と垂直な方向に沿うスリット24cが形成され、これが筒状に折曲げられて形成され、このスリット24c等により、ばね部20が軸方向に伸縮するようになっている、コンタクトピン16」が記載されているが、「板状の導電材料」が「折曲げられて形成され」た「ばね部20」は、「筒状」であって、「柱状」ではないから、引用発明における「複数の波状スプリング21」を引用文献4に記載された「コンタクトピン16」の「ばね部20」で置き換えたとしても、上記相違点1に係る本願発明1の構成とはならない。

ウ 引用文献5には、「プランジャ部材20とそれ故プランジャヘッド21の平面内に実質的に、又は、その平面に傾斜して走行する、角のあるヘビのようなコイル」であって、「ピークにおいて」「約90度、折り曲げられ、矩形フラップ67,67'を形成し」た「スプリング19」が記載されている。
しかし、引用文献5における「スプリング19」は「柱状」ではなく、平面状の「角のあるヘビのようなコイル」であるから、引用発明における「複数の波状スプリング21」を引用文献5に記載された「スプリング19」で置き換えたとしても、上記相違点1に係る本願発明1の構成とはならない。

エ したがって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2について
(1)対比
本願発明2は、本願発明1における「隣り合う2本の前記スリットが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されている」との構成を、「前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとの間に、4本のスリットを備え、該4本のスリットが周面の互いに90度異なる位置から中心に向かう方向に形成されている」との構成で置き換えたものであるから、本願発明2と引用発明とを対比すると、両者の一致点は、本願発明1と引用発明との一致点と同じであり、両者の相違点は、次のとおりのものである。
(相違点3)
本願発明2では、「変形部」が「柱状」であって、「前記変形部に、前記押圧される方向を横切る方向に延び前記接触面と平行なスリットが複数設けられ、前記スリットのうち、前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとが、周面の互いに180度異なる位置から中心に向かう方向に形成されていて、前記接触面に最も近いスリットと、前記接続部に最も近いスリットとの間に、4本のスリットを備え、該4本のスリットが周面の互いに90度異なる位置から中心に向かう方向に形成されている」のに対し、
引用発明における「複数の波状スプリング21」は、「波頂点同士が対向する方式で重ねられている複数の波状スプリング21」からなり、「各波状スプリング21は単一の導電性部材から構成されており、複数の頂点部23と複数の谷部25とを有しており、前記頂点部23は前記谷部25に隣接し」ているもの、「柱状」ではない点。

(相違点4)
本願発明2では、「接続部」が、「該変形部の一端から突出して設けられ」ているのに対し、引用発明における「上部コンタクト11」は、「複数の波状スプリング21」「を備え」る「下部コンタクト20」に対し、「実質的に直線となるように前記下部コンタクト20の上に重ねられ」ている点。

(2)判断
そこで、上記相違点3について検討すると、本願発明2と本願発明1との構成上の相違は、上記「(1)対比」で述べたとおりであるから、上記「1.」「(2)」で述べた相違点1についての判断は、上記相違点3についての判断にも、そのまま当てはまる。
したがって、相違点4について検討するまでもなく、本願発明2は、相違点1について上記「1.」「(2)」で述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)本願発明3-10について
本願発明3-10も、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同一の構成、または、相違点3に係る本願発明2の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1または本願発明2について述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定及び前置報告について
審判請求時の補正により特許請求の範囲が減縮された結果、本願発明1-10が、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえないことは、上記「第6」で述べたとおりである。
また、前置報告において周知技術を示す文献として引用された特開2007-24555号公報には、「プローブピンが挿入されるガイド孔」に「波型のスプリングを使用すること」(段落【0009】)が記載されているに過ぎないから、当該周知技術を考慮しても、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-22 
出願番号 特願2013-271091(P2013-271091)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 須原 宏光
清水 稔
発明の名称 接触子及び半導体試験装置  
代理人 本多 一郎  
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