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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1348306
審判番号 不服2017-7384  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-23 
確定日 2019-01-21 
事件の表示 特願2015-561641「無線周波マルチチップ集積回路パッケージ用の電磁妨害筐体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日国際公開、WO2014/164186、平成28年 5月19日国内公表、特表2016-514368〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2014年3月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年3月11日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年2月8日付けで拒絶理由通知がなされ、同年5月13日付けで意見書が提出され、同年8月10日付けで拒絶理由通知がなされ、同年11月11日付けで手続補正書と意見書が提出されたが、平成29年1月16日付けで拒絶査定がされた。これに対して同年5月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされ審判請求書と手続補正書が提出され、当審において平成30年5月7日付けで拒絶理由通知がなされ、同年7月4日付けで意見書と手続補正書が提出されたものである。


2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年7月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
パッケージであって、
基板であって、前記基板の第1の面に接続された少なくとも一つの第1の回路部品を有する基板と、
前記基板に接続された電磁妨害(EMI)シールドであって、
前記基板に導電結合され、前記パッケージを無線周波放射から遮蔽するように構成された金属ケースと、
前記金属ケースの内面の少なくとも一部に接続された誘電体層と、
前記誘電体層に接続され、前記誘電体層により前記金属ケースから電気的に絶縁された複数の信号線と、
前記誘電体層と前記複数の信号線の少なくとも一部とを含む内側側壁面を含む、前記金属ケースに接続された複数の側壁と、
前記EMIシールドの内面に接続された少なくとも一つの第2の回路部品であって、前記EMIシールドの内面の少なくとも一部は前記基板の前記第1の面に対面し、前記複数の信号線は電気信号を前記第2の回路部品に供給するように構成される、少なくとも一つの第2の回路部品と
を含む、EMIシールドと
を備え、
前記金属ケースが電気接地を前記第2の回路部品に提供するように更に構成され、前記第2の回路部品が前記第2の回路部品の直下に形成されたビアを介して前記金属ケースの内面に更に接続される、パッケージ。」


3.引用発明・引用文献の技術

(1)引用文献1
当審で通知した平成30年5月7日付け拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平5-90440号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。(下線部は当審において付加した。以下同じ)

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子機器の両面実装基板を収容するためのリードレスパッケージケースに関するものである。」

イ.「【0005】
【実施例】図1は本発明の一実施例を示す斜視図であり、(A)は上方からの斜視図、(B)は上下逆さにしたときの斜視図である。図において、1は箱部を示し、外側は全面シールド用金属面である。2はその開口端の折曲げ部を示す。3は小さい凹部であり、内部に収容するべき両面実装基板の固定ストッパである。3aと3bの内部凸状突起の間に箱部1の頂面にほぼ並行になるように両面実装基板が嵌め込まれる。従って、箱部1の頂面の方形形状は収容すべき両面実装基板の平面形状に対応した寸法に作られる。4は配線導体であり、回路接続用導体4aと接地用導体4bと内部配線用導体4cとがある。回路接続用導体4aと接地用導体4bは収容される両面実装基板の周縁部の端子電極と接続する役割と(A)の状態で開口面を主基板に接して面実装するときの主基板の配線電極との接続端子電極(端子部)の役割をもつ。さらに、接地用導体4bはU字状に折曲げられた折曲げ部2の端部で箱部1の外側表面の金属面と接続されている。」

ウ.「【0006】図2は本発明の実施例の断面図であり、図3は本発明の部材を説明するための一部詳細断面図である。図3は本発明のパッケージケースに用いる部材であり、箱形1の一部を拡大したものである。この部材はメタルベース多層配線板と呼ばれており、図3に示すように洋白等の金属薄板11にポリイミドまたはエポキシ樹脂等の絶縁被膜12が施され、その上に銅箔などの金属箔13が積層されている。このメタルベース多層配線板を立体加工する前に金属箔13の面をエッチング処理することによって所望の配線導体4が形成される。図2はこのメタルベース多層配線板の金属薄板11面を外側表面になるように形成したパッケージケースの断面を示すものである。箱形構造はしぼり加工または折曲げ加工によって作られる。左下の折曲げ部には予め形成された回路接続用導体4aがあり、ケース表面の金属薄板11とは端部の間隙5によって絶縁が保たれている。この回路接続用導体4aが折曲げ部の下の開口面との接点を超えて外側まで連続して設けられている理由は、主基板に面実装したときのはんだ接合と確認を確実にするためである。右下の折曲げ部には予め形成された接地用導体4bがあり、先端の切断箇所が切断加工時に押しつぶされてケース表面の金属薄板11と導通状態になっている。」

エ.「【0007】図4は本発明の応用例を示す断面図であり、内部に両面実装基板を収容した状態を示した。両面配線基板6の両面に回路素子7が取付けられた両面実装基板は、本発明のパッケージケースの開口部から挿入されストッパ3a,3b間に嵌め込まれる。そして両面配線基板6の電極と回路接続用導体4aとははんだ9によって接続される。
【0008】本発明の効果をさらに上げる例として、図4に破線で示すようにケース箱部の内部天井面に内部配線用導体4cを設けて、回路素子8を実装することにより部品取付けを3重構造にすることができる。しかも、シールドされた状態で実装することができる。」

オ. 図1


カ.図2


キ.図3



ク.図4


上記アないしクの記載から、引用文献1には次の事項が記載されている。

・上記ウには、図2がパッケージケースの断面であることが記載されており、また、これが図1の箱形1の断面であることは明らかであるから、引用文献1において、箱形1はパッケージケースである。
そして、上記イ、図4によれば、引用文献1には、外側が全面シールド用金属面である箱形(パッケージケース)1に、該箱形(パッケージケース)1の頂面にほぼ並行になるように両面実装基板が嵌め込まれたケース付きの基板、が記載されている。
・上記エの段落【0007】、図4によれば、前記両面実装基板は、両面配線基板6の両面に回路素子7が取付けられたものである。
・上記イ、ウ、図2、図3によれば、前記箱形(パッケージケース)1は、外側になる全面シールド用の洋白等の金属薄板11の内面にポリイミドまたはエポキシ樹脂等の絶縁被膜12が施され、その上に銅箔などで所望の配線導体4が形成される金属箔13が積層されたメタルベース多層配線板を立体加工してなるものである。さらに、上記イ、図1、図2によれば、該箱形(パッケージケース)1の開口面の四辺の縁部が外側にU字状に折り曲げられた折曲げ部2を有するものである。
・上記イ、ウ、エの段落【0008】、図4によれば、前記配線導体4は、回路接続用導体4aと接地用導体4bと内部配線用導体4cとからなり、前記回路接続用導体4aと前記接地用導体4bは収容される両面実装基板の周縁部の端子電極と接続する役割と、前記パッケージを主基板に接して面実装するときの主基板の配線電極との接続端子電極(端子部)の役割を持ち、さらに、前記回路接続用導体4aはケース表面の金属薄板11とは端部の間隙5によって絶縁されているが、接地用導体4bはU字状に折曲げられた折曲げ部2の端部まであり、該端部が押しつぶされることで、金属薄板11と導通状態になっている、ことが記載されている。
・上記エの段落【0008】、図4によれば、前記箱形(パッケージケース)1の内部天井面の前記内部配線用導体4cに回路素子8が実装されること、が記載されている。
・図1、図2、図3によれば、前記箱形(パッケージケース)1の側壁にも、絶縁被膜12と回路接続用導体4aがある、ことが読み取れる。
・図1、図4によれば、前記接地用導体4bの一部は箱形1の上部まで伸び回路素子8が実装される内部配線用導体4cの一部に接続されている、ことが読み取れる。(以下、この接地用導体4bから内部配線用導体4cまで伸びる部分を「延長部」と言う。)
したがって、引用文献1には、前記接地用導体4bの一部は箱形1の上部まで伸びる延長部を介して前記回路素子8が実装される内部配線用導体4cの一部に接続される、ことが記載されているといえる。

以上総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

「外側が全面シールド用金属面である箱形(パッケージケース)1に、該箱部(パッケージケース)1の頂面にほぼ並行になるように両面実装基板が嵌め込まれたケース付きの基板であって、
前記両面実装基板は、両面配線基板6の両面に回路素子7が取付けられたものであって、
前記箱形(パッケージケース1)1は、外側になる全面シールド用の洋白等の金属薄板11の内面にポリイミドまたはエポキシ樹脂等の絶縁被膜12が施され、その上に銅箔などで所望の配線導体4が形成される金属箔13が積層されたメタルベース多層配線板を立体加工したものであって、さらに、該箱形(パッケージケース)1の開口面の四辺の縁部が外側にU字状に折り曲げられた折曲げ部2を有し、
前記配線導体4は、回路接続用導体4aと接地用導体4bと内部配線用導体4cとからなり、前記回路接続用導体4aと前記接地用導体4bは収容される両面実装基板の周縁部の端子電極と接続する役割と、前記パッケージを主基板に接して面実装するときの主基板の配線電極との接続端子電極(端子部)の役割を持ち、さらに、前記回路接続用導体4aはケース表面の金属薄板11とは端部の間隙5によって絶縁されているが、接地用導体4bはU字状に折曲げられた前記折曲げ部2の端部まであり、該端部が押しつぶされることで、金属薄板11と導通状態になっており、
該箱形(パッケージケース)1の内部天井面の前記内部配線用導体4cに回路素子8が実装され、
前記接地用導体4bの一部は箱形1の上部まで伸びる延長部を介して前記回路素子8が実装される内部配線用導体4cに接続され、
前記箱形(パッケージケース)1の側壁にも、絶縁被膜12と回路接続用導体4aがある、
ケース付きの基板。」


(2)引用文献2
当審で通知した平成30年5月7日付け拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-237586号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

ア.「【0038】(実施の形態1)以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0039】図1は、本発明の一つの実施の形態に係る回路基板200の断面図である。回路基板200は、貫通孔205を有する電気絶縁性基板201を備え、その一方の主面には、配線パターン202およびグランドパターン203が形成されており、他方の主面には、シールド体204が形成されている。
【0040】電気絶縁性基板201は、電気絶縁性を有する基板であり、ガラス-エポキシ基板、セラミック基板、無機フィラーと樹脂のコンポジット基板等を用いることができる。

・・中略・・・

【0044】配線パターン202、グランドパターン203は、電気導電性を有する物質からなり、例えば、金属箔や導電性樹脂組成物、金属板を加工したリードフレームを用いることができる。金属箔やリードフレームを用いることにより、エッチング等により微細な配線パターン、グランドパターンの作成が容易となる。また、金属箔においては、離型フィルムによる転写等による配線パターンの形成も可能となる。特に銅箔は値段も安く、電気伝導性も高いため好ましい。また、離型フィルムを用いることにより、配線パターンが取り扱いやすくなる。

・・中略・・・

【0047】シールド体204は、電気導電性を有する物質からなり、導電性粉末と樹脂の混合物、例えば金、銀、銅、ニッケル等の金属粉やカーボン粉と熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の混合物を用いることができる。また、磁性体等の粉末の表面に導電成分を被覆した物を用いることにより、磁性体の磁気損失による電磁波の吸収によるシールド効果も得られる。導電性粉末と樹脂との混合物を用いることにより、複雑な形状のシールド体の作成が容易となり、成型と同時に電気絶縁性基板との一体化も図れる。また、シールド体204を電気絶縁性基板の両面に形成することで電磁波の遮蔽の範囲を広げることができる。
【0048】貫通孔205は、電気絶縁性基板201に例えば、レーザ加工、ドリルによる加工で形成できる。特に電気絶縁性基板201を無機フィラーと熱硬化性樹脂またはセラミックで構成した場合は、金型による加工でも形成することができる。レーザ加工は、微細なピッチで貫通孔205を形成することができ、削り屑が発生しないため好ましい。レーザ加工では、炭酸ガスレーザやエキシマレーザを用いると加工が容易である。また、ドリルによる加工は、簡単な設備で行えるため低コスト化が図れる。
【0049】この実施の形態1に示した回路基板20では、シールド体204が、電気絶縁性基板201の主面と一体に成型されており、接続部としての貫通孔205内にも充填されている。これにより、シールド体204とグランドパターン203とが、電気的に接続されており、シールド体204の電位が安定し、より効果的に電磁波の遮蔽が行われ、回路の安定化を果たしている。また、貫通孔205内のシールド体204によってグランドパターン203と接続することによって、絶縁性基板201の外周を介して接続するような場合に比べて接続距離も短くなる。
【0050】加えて、シールド体204が貫通孔205内と主平面を一体に形成しているため、例えば、貫通孔内に、グランドパターン203とシールド体とを接続するための導電材料を充填したり、メッキ処理をした後に、主平面にシールド体を形成するといったように個別に形成する場合に比べて、抵抗値を低くすることが可能である。また、貫通孔内のメッキ処理や他の充填物を用いる必要が無く、回路基板200は、部品点数、工程数を削減することができ、低価格で作製できる。
【0051】なお、本実施の形態において、シールド体は電気導電性を有しており、グランドパターンとしての機能も有している。

・・中略・・・
【0051】なお、本実施の形態において、シールド体は電気導電性を有しており、グランドパターンとしての機能も有している。」

イ.図1


上記引用文献2の記載事項及び図面、及び、この分野の技術常識を考慮すると、引用文献2には、次の技術事項(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が開示されていると認められる。

「電気絶縁性基板の一方の面に配線パターンとグランドパターンを形成し、他方の面に導電材料からなりグランドパターンとしての機能も有するシールド体を形成した回路基板において、グランドパターンが形成されている部分の電気絶縁性基板にシールド体と接続する貫通孔を設け、該貫通孔内にも導電材料からなるシールド体を充填することで、グランドパターンとシールド体を、電気絶縁性基板の外周を介して接続するような場合に比べて接続距離も短く接続すること。」


4.対 比
本願発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「ケース付きの基板」は、箱形(パッケージケース)1と両面実装基板をひとまとめにしたものでありパッケージと認められる。
よって、引用発明の「外側が全面シールド用金属面である箱形(パッケージケース)1に、該箱部(パッケージケース)1の頂面にほぼ並行になるように両面実装基板が嵌め込まれたケース付きの基板」は、本願発明の「パッケージ」に相当する。

b.引用発明の「回路素子7」は、本願発明の「第1の回路部品」に相当する。
したがって、引用発明の「前期両面実装基板は、両面実装基板6の両面には回路素子7を取付けられ」ることは、本願発明の「基板であって、前記基板の第1の面に接続された少なくとも一つの第1の回路部品を有する基板」に相当する。

c.引用発明の「箱形(パッケージケース1)1」は、外側が全面シールド用金属面であって、金属面は電磁波を遮蔽(シールド)するものであり、さらに、「両面実装基板がはめ込まれ」るものであるから、「箱形(パッケージケース1)1」と「両面実装基板」は接続されているといえる。
したがって、引用発明の「外側が全面シールド用金属面である箱形(パッケージケース)1」は、本願発明の「前記基板に接続された電磁妨害(EMI)シールド」に相当する。

d.引用発明の前記箱形(パッケージケース1)1の「金属薄板11」は、外側になる全面シールド用の洋白等であって、さらに、金属薄板11と導通状態になっている接地用導体4bは、両面実装基板の周縁部の端子電極と接続されるものである。そうすると、「金属薄板11」と「両面実装基板」は導電結合されているものと認められる。
したがって、引用発明の「外側の全面シールド用の洋白等の金属薄板11」は、本願発明の「前記基板に導電結合され、前記パッケージを無線周波放射から遮蔽するように構成された金属ケース」に相当する。

e.引用発明の「絶縁被膜12」は、金属薄板11にポリイミドまたはエポキシ樹脂等が施されたものであって、「ポリイミドまたはエポキシ樹脂」は誘電体である。
したがって、引用発明の「金属薄板11の内面にポリイミドまたはエポキシ樹脂等の絶縁被膜12が施され」は、本願発明の「前記金属ケースの内面の少なくとも一部に接続された誘電体層」に相当する。

f.引用発明の「配線導体4」は、絶縁被膜12の上に形成されたものである。また、「配線導体4」の「回路接続用導体4a」は、ケース表面の金属薄板11とは端部の間隙5によって絶縁されているものである。さらに、「配線導体4」の「内部配線用導体4c」のうち接地用導体4bの延長部が接続されないものは、引用文献1の図1を参照すると、箱形(パッケージケース)1の内部天井面のみに形成されており、金属薄板11とは絶縁されているものと認められる。
そして、「回路接続用導体4a」、延長部が接続されない「内部配線用導体4c」は、引用文献1の図1、4を参照すると、それぞれ複数設けられており、また、各々が、回路素子7が取り付けられた実装基板、回路素子8に接続し電気信号を供給するものであるから、信号線と認められる。
したがって、引用発明の「配線導体4」の「回路接続用導体4a」、及び、延長部が接続されない「内部配線用導体4c」は、本願発明の「前記誘電体層に接続され、前記誘電体層により前記金属ケースから電気的に絶縁された複数の信号線」に相当する。

g.引用発明の「前記箱形(パッケージケース)1の側壁にも、絶縁被膜12と回路接続用導体4aがある」ことは、前記箱形(パッケージケース)1の側壁の金属薄板11の内面に絶縁被膜12が施され、その上に回路接続用導体4aが形成されていることである。
したがって、引用発明の側壁部分の「金属薄板11」の内面が、本願発明の「内側側壁面」に相当し、さらに、引用発明の「前記箱形(パッケージケース)1の側壁にも、絶縁被膜12と回路接続用導体4aがある」は、本願発明の「前記誘電体層と前記複数の信号線の少なくとも一部とを含む内側側壁面を含む、前記金属ケースに接続された複数の側壁」に相当する。

h.引用発明の「回路素子8」は、本案発明の「第2の回路部品」に相当する。
そして、引用発明の「回路素子8」は、箱部(パッケージケース)1の頂面の前記内部配線用導体4cに実装されるものであるから、箱部(パッケージケース)1の頂面の内面に接続され、内部配線用導体4cから電気信号を供給しているものと認められる。
また、該箱部(パッケージケース)1の頂面の内面は、「両面実装基板」が箱部(パッケージケース)1の頂面にほぼ並行になるように嵌め込まれたものであるから、両面実装基板の回路素子7を取付けられた面と対面しているものと認められる。
したがって、引用発明の「該箱部(パッケージケース)1の頂面の前記内部配線用導体4cには回路素子8が実装され」ることは、本案発明の「前記EMIシールドの内面に接続された少なくとも一つの第2の回路部品であって、前記EMIシールドの内面の少なくとも一部は前記基板の前記第1の面に対面し、前記複数の信号線は電気信号を前記第2の回路部品に供給するように構成される、少なくとも一つの第2の回路部品」に相当する。

i.金属のケースが電気接地を提供することは技術常識であり、そして、引用発明の「金属薄板11」は、「箱部(パッケージケース)1」の外側の金属面であって、金属の薄板を箱状にしたものであり金属のケースといえるから、引用発明の「金属薄板11」は電気接地を提供するものと認められる。
また、「金属薄板11」は、接地用導体4bに接続され、さらに、接地用導体4bは延長部を介して前記回路素子8が実装された内部配線用導体4cに接続されるものであるから、「回路素子8」に「金属薄板11」が電気接地を提供しているものと認められる。
したがって、引用発明の「前記接地用導体4bの一部は箱形の上部まで伸びる延長部を介して前記回路素子8が実装される内部配線用導体4cに接続され」る構成は、本願発明の「前記金属ケースが電気接地を前記第2の回路部品に提供するように更に構成され」に相当する。

但し、本願発明では、「電気接地」が「前記第2の回路部品が前記第2の回路部品の直下に形成されたビアを介して前記金属ケースの内面に更に接続されるように構成される」のに対して、引用発明では、その旨の特定がされていない点で相違する。

よって、本願発明と引用発明とは、次の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「パッケージであって、
基板であって、前記基板の第1の面に接続された少なくとも一つの第1の回路部品を有する基板と、
前記基板に接続された電磁妨害(EMI)シールドであって、
前記基板に導電結合され、前記パッケージを無線周波放射から遮蔽するように構成された金属ケースと、
前記金属ケースの内面の少なくとも一部に接続された誘電体層と、
前記誘電体層に接続され、前記誘電体層により前記金属ケースから電気的に絶縁された複数の信号線と、
前記誘電体層と前記複数の信号線の少なくとも一部とを含む内側側壁面を含む、前記金属ケースに接続された複数の側壁と、
前記EMIシールドの内面に接続された少なくとも一つの第2の回路部品であって、前記EMIシールドの内面の少なくとも一部は前記基板の前記第1の面に対面し、前記複数の信号線は電気信号を前記第2の回路部品に供給するように構成される、少なくとも一つの第2の回路部品と
を含む、EMIシールドと
を備え、
前記金属ケースが電気接地を前記第2の回路部品に提供するように更に構成される、パッケージ。」

(相違点)
本願発明では、「電気接地」が「前記第2の回路部品が前記第2の回路部品の直下に形成されたビアを介して前記金属ケースの内面に更に接続されるように構成される」のに対して、引用発明では、その旨の特定がされていない点。


5.検討
そこで、上記相違点について検討する。
引用文献2には、電気絶縁性基板の一方の面に配線パターンとグランドパターンを形成し、他方の面に導電材料からなりグランドパターンとしての機能も有するシールド体を形成した回路基板において、グランドパターン部の電気絶縁性基板にシールド体と接続する貫通孔を設け、該貫通孔内にも導電材料からなるシールド体を充填することで、グランドパターンとシールド体を、電気絶縁性基板の外周を介して接続するような場合に比べて接続距離も短く接続することが記載されている。
また、回路部品が接続される基板の配線において、寄生インダクタンスや寄生抵抗を低下させることは普通に考慮されることであって、さらに、接続距離を長くなると寄生インダクタンスや寄生抵抗が増加し、短くすれば減少することは技術常識である。
してみると、引用発明における「金属薄板11」が「回路素子8」に電気接地の提供するための、内部配線用導体4cまで伸びる延長部がある接地用導体4bでは接続距離が長く、寄生インダクタンスや寄生抵抗を増加することが当選に予想されることから、引用発明において寄生インダクタンスや寄生抵抗を低下させるために、延長部がある接地用導体4bに代えて、引用文献2の技術事項を適用して、回路素子8の直下の内部配線用導体4cと金属薄板11の内面の間に貫通孔を設け、貫通孔内に導電材料を充填することで接続し、「回路素子8」を「金属薄板11」の内面に接続することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、その際には、「接地用導体4b」は「収容される両面実装基板の周縁部の端子電極と接続する役割と、前記パッケージを主基板に接して面実装するときの主基板の配線電極との接続端子電極(端子部)の役割」と、「金属薄板11と導通状態」とする役割を持つものであるから、その役割を担う延長部のない「金属薄板11」から「両面実装基板」までの接地用導体4bは残すものと認められる。


なお、審判請求人は、平成30年7月4日付け提出の意見書で「引用文献1に記載の発明に引用文献2の技術的事項を適用して、『回路素子8まで伸びる接地用導体4bに代えて、回路素子8と金属薄板11の内面の間に貫通孔を設け、貫通孔内に導電材料を充填することで接続する』構成とした場合には、その組み合わせの発明においては、最早、『接地用導体4bは両面実装基板6の周縁部の端子電極と接続されること、さらに、接地用導体4bが箱形のパッケージケースの開口端のU字状に折曲げられた折曲げ部2の先端まであり、先端が押しつぶされることで、金属薄板11と導通状態になっていること』という構成にはなっておらず、本願発明1の『「前記基板に導電結合され…た金属ケース』という構成という構成は備えていないものと思料します。」と主張している。

しかしながら、上記したように、内部内線用導体4cまで伸びる延長部がある接地用導体4bに代えて、引用文献2の技術事項を適用する際には、接地用導体4bの役割を考慮して、延長部のない「金属薄板11」から「両面実装基板」までの接地用導体4bは残されるものと認められる。
そうすると、引用発明は、本願発明の「前記基板に導電結合され…た金属ケース」という構成を有しているものと認められる。

さらに、本願発明の効果も、引用発明から想到される構成から当業者が予想できる範囲のものである。


6.むすび

以上のとおりであって、本願発明は、上記引用発明、並びに周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-08-24 
結審通知日 2018-08-27 
審決日 2018-09-11 
出願番号 特願2015-561641(P2015-561641)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多賀 和宏麻川 倫広  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 山澤 宏
井上 信一
発明の名称 無線周波マルチチップ集積回路パッケージ用の電磁妨害筐体  
代理人 村山 靖彦  
代理人 黒田 晋平  
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