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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1348315 |
審判番号 | 不服2017-13008 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-04 |
確定日 | 2019-01-23 |
事件の表示 | 特願2012-199665「低電力シャッタラグ除去方法、カメラモジュール及びそれを備えたモバイル機器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月10日出願公開、特開2013-115816〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年9月11日(パリ条約による優先権主張2011年11月28日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成27年 9月 4日 :手続補正書の提出 平成28年 8月31日付け:拒絶理由通知書 平成28年11月21日 :意見書、手続補正書の提出 平成29年 4月27日付け:拒絶査定 平成29年 5月 2日 :拒絶査定の謄本の送達 平成29年 9月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 本願発明 平成29年9月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲について補正しようとするものであり、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1を引用する請求項2を、独立形式に書き改めて記載したものである。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 なお、A?Gは、説明のために当審にて付したものであり、以下、「構成A」?「構成G」という。 「A カメライメージセンサのプレビュモードでセンサ出力イメージを低解像度に維持する段階と、 B キャプチャ準備信号に応答して前記センサ出力イメージの解像度を低解像度から高解像度に変更して前記カメライメージセンサの動作モードを前記プレビュモードからキャプチャ準備モードに進入させる段階と、 C 前記キャプチャ準備信号とは異なるキャプチャ信号を受信する段階と、 D 前記キャプチャ準備モードで前記キャプチャ信号に応答して前記センサ出力イメージをキャプチャする段階と、 E 前記センサ出力イメージがキャプチャされると、前記センサ出力イメージの解像度を高解像度から低解像度に変更して前記カメライメージセンサを前記キャプチャ準備モードからプレビュモードに再進入させる段階とを含み、 F 前記低解像度は基準解像度と同一であるか、または、前記基準解像度より低い解像度であり、前記高解像度は前記基準解像度より高い解像度であることを特徴とする G イメージセンサ動作方法。」 第3 原査定の拒絶の理由 本件補正前の請求項2についての原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。 この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、もしくは、この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.特開2011-234360号公報 第4 引用文献1の記載事項及び引用発明 引用文献1(平成23年11月17日出願公開。なお、段落番号は、公開公報の段落番号である。)には、図面とともに、次の記載がある。 なお、下線は、説明のために当審にて付したものである。 「【0012】 本発明は、画像キャプチャモジュール及びこれを用いた画像キャプチャ方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明に係る画像キャプチャモジュール及びこれを用いた画像キャプチャ方法をデジタルカメラに用いることができるが、画像処理が行われる他の電子装置、例えば携帯電話、PDA、GPS、携帯ゲーム機などに用いることもできる。 【0013】 図2に示すように、画像キャプチャモジュール100は少なくとも画像信号処理手段300と、プレビューインタフェース500と、画像レジスタ700とを含む。画像キャプチャモジュール100は、撮像素子200に接続されており、撮像素子200に提供される画像データストリーム210を受信する。撮像素子200は各種のイメージセンサ、例えばCCDやCMOSであってもよい。撮像素子200は、外部の光線を受けて電子信号に変換することにより、画像データストリーム210を生成する。画像信号処理手段300は、撮像素子200からの画像データストリーム210を受信する。撮像素子200に生成された画像データストリーム210は、所定のタイミング及び解像度で伝送されるのが好ましいが、所定の機能を達成するために、適当にタイミングやフレーム周期、解像度を変更してもよい。」 「【0018】 図3に示すように、プレビュー画像ストリーム310は第1プレビューフレーム311、第2プレビューフレーム312、及び第3プレビューフレーム313を有し、出力画像ストリーム330は、それぞれ前記第1プレビューフレーム311、第2プレビューフレーム312、及び第3プレビューフレーム313に対応する第1出力フレーム331、第2出力フレーム332、及び第3出力フレーム333を有する。つまり、第1プレビューフレーム311及び第1出力フレーム331は、撮像素子200に提供される画像データストリーム210中における同じフレームによって生成され、この後のプレビューフレーム及び対応する出力フレームは前記と同じようである。プレビューフレームは通常表示装置に合わせるように解像度が調節されるので、第1プレビューフレーム311の画像解像度は第1出力フレーム331の画像解像度より小さいことが好ましい。」 「【0020】 使用者がシャッターキーや他のトリガ装置を操作することによって画像キャプチャ指令800が生成されて画像キャプチャモードに入り、このとき、システムは、画像キャプチャ指令800により、一時的に保持されている第1出力フレーム331をキャプチャする画像として出力させ、また、使用者が出力する画像を確認や検視できるように、第1出力フレーム331をプレビューインタフェース500に転送されて外部に出力されてもよい。第1プレビューフレーム311が第1出力フレーム331に対応付けられており、つまり、両者の画像内容が画像データストリーム210からの同一のフレームであるので、当然、両者が示す画像は同じものである。このように、シャッターや画像処理によるタイムラグ、及び使用者がシャッターキーをきるときに見た画像と実際に撮影した画像が異なることが回避される。」 「【0027】 図8Aに示すように、プレビューモードと画像キャプチャモードの間に、更に画像キャプチャ用意指令810によって起動される画像キャプチャ用意モードを含んでもよい。この場合、シャッターキー930は、第1段のトリガ931と、第2段のトリガ932とを有するのが好ましい。例えばシャッターキーを軽く触れることやタッチパネル上の合焦位置をタッチすることによって第1段のトリガ931が作動され、これによって合焦や測光を行わせるのが好ましい。また、例えばシャッターキーを実際に押すことやタッチパネル上に示すシャッターキーアイコンをタッチすることによって第2段のトリガ932が作動され、これによって画像がキャプチャされるのが好ましい。」 「【0029】 また、図8Bに示すように、画像キャプチャ用意指令810を受信する前のプレビューモードにおいて、システムによって、解像度の低い画像データストリーム210を提供してプレビュー画像ストリーム310の画像更新周期を高めるように撮像素子200を切り替える、画像キャプチャ用意指令810を受信してその後の画像キャプチャ用意モードの入るとき、システムによって、解像度の高い画像データストリーム210を提供するように、撮像素子200を切り替えて、この解像度の高い画像データストリーム210によって、同時にプレビュー画像ストリーム310と、出力画像ストリーム330とを生成する。」 図8A 図8B 上記記載、並びにこの分野における技術常識を考慮し、引用文献1に記載される発明を以下に検討する。 (a)段落0012の記載から、引用文献1には、画像キャプチャ方法が記載され、画像キャプチャ方法をデジタルカメラに用いることが記載されている。 また、段落0013の記載から、引用文献1の画像キャプチャ方法は、イメージセンサを用いた方法である。 したがって、引用文献1には、『デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法』が記載されている。 (b)段落0013の記載から、引用文献1の『デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法』は、撮像素子すなわちイメージセンサが画像データストリームを生成するものであり、段落0029の記載から、引用文献1の『デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法』は、プレビューモードにおいて、解像度の低い、すなわち、低解像度の画像データストリームを提供するように撮像素子すなわちイメージセンサを切り替えるものである。 すなわち、引用文献1の『デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法』は、『イメージセンサのプレビューモードにおいて、イメージセンサが生成する低解像度の画像データストリームを提供するように、イメージセンサを切り替える段階』を有するものである。 (c)段落0029の記載から、引用文献1の『デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法』は、画像キャプチャ用意指令を受信して画像キャプチャ用意モードに入るとき、解像度の高い、すなわち、高解像度の画像データストリームを提供するように、撮像素子すなわちイメージセンサを切り替えるものである。 すなわち、引用文献1の『デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法』は、『画像キャプチャ用意指令を受信して画像キャプチャ用意モードに入るとき、高解像度の画像データストリームを提供するように、イメージセンサを切り替える段階』を有するものである。 (d)段落0027、図8A、図8Bによれば、引用文献1には、プレビューモードと画像キャプチャモードの間に、さらに画像キャプチャ用意モードを含むこと、第2段のトリガ932が作動されると、画像がキャプチャされることが記載されている。 また、段落0018、段落0020によれば、引用文献1には、画像キャプチャ指令800により、画像キャプチャモードに入り、画像データストリームによって生成される第1出力フレーム等を含む出力画像ストリームを出力することが記載されている。 さらに、図8A、図8Bによれば、(932)800により、画像キャプチャモードに入ることが見てとれる。 以上をまとめると、引用文献1の『デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法』は、『画像キャプチャ指令を受信する段階と、画像キャプチャ指令により、画像キャプチャモードに入り、画像データストリームによって生成される出力画像ストリームをキャプチャする段階』を有するものである。 よって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。 なお、a?eは、説明のために当審にて付したものであり、以下、「構成a」?「構成e」という。 「a イメージセンサのプレビューモードにおいて、イメージセンサが生成する低解像度の画像データストリームを提供するように、イメージセンサを切り替える段階と、 b 画像キャプチャ用意指令を受信して画像キャプチャ用意モードに入るとき、高解像度の画像データストリームを提供するように、イメージセンサを切り替える段階と、 c 画像キャプチャ指令を受信する段階と、 d 画像キャプチャ指令により、画像キャプチャモードに入り、画像データストリームによって生成される出力画像ストリームをキャプチャする段階とを含むことを特徴とする e デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法。」 第5 対比 本願発明と引用発明を対比する。 (a)構成Aと構成aについて 構成aの「プレビューモード」は、構成Aの「プレビュモード」に相当する。 構成aの「イメージセンサ」は、構成eより「デジタルカメラのイメージセンサ」であるから、構成Aの「カメライメージセンサ」に相当する。 構成aの「イメージセンサが生成する」「画像データストリーム」は、イメージセンサが出力する画像であるから、構成Aの「センサ出力イメージ」に相当する。 そして、構成aは、プレビューモードにおいて低解像度の画像データストリームを提供しているものであり、構成bの、「画像キャプチャ用意指令を受信」するまでは、プレビューモードにおいて低解像度の画像データストリームを提供し続けているといえるから、構成aは、構成Aの「カメライメージセンサのプレビュモードでセンサ出力イメージを低解像度に維持する段階」に相当する。 したがって、構成aは、構成Aに相当する。 (b)構成B?Dと構成b?dについて (b-1)構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」及び「画像キャプチャモード」と、構成B?Dの「キャプチャ準備モード」について 各構成を対比する前に、構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」及び「画像キャプチャモード」と、構成B?Dの「キャプチャ準備モード」について検討する。 引用発明の構成b?dより、「画像キャプチャ用意モード」は、画像キャプチャ用意指令を受信してから画像キャプチャ指令を受信するまでの、高解像度の画像データストリームを提供しているモードである。 そして、「画像キャプチャモード」は、画像キャプチャ指令を受信した後に、出力画像ストリームをキャプチャするモードといえる。 そうすると、構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」とそれに続く「画像キャプチャモード」は、画像キャプチャ用意指令を受信し、高解像度の画像データストリームを提供し、画像キャプチャ指令を受信し、出力画像ストリームをキャプチャする処理を含むものである。 それに対して、本願発明の構成B?Dより、「キャプチャ準備モード」は、キャプチャ準備信号を受信し、センサ出力イメージの解像度を高解像度にし、キャプチャ信号を受信し、センサ出力イメージをキャプチャする処理を含むものである。 そして、構成bの「画像キャプチャ用意指令」は、構成Bの「キャプチャ準備信号」に相当する。 また、構成cの「画像キャプチャ指令」は、画像をキャプチャするための信号であるから、構成Cの「キャプチャ信号」に相当する。 さらに、構成dの「出力画像ストリーム」は、画像データストリーム、すなわち、イメージセンサが出力する画像によって生成されるものであるから、構成Dの「センサ出力イメージ」に相当する。 したがって、構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」とそれに続く「画像キャプチャモード」は、構成B?Dの、キャプチャ準備信号を受信し、センサ出力イメージの解像度を高解像度にし、キャプチャ信号を受信し、センサ出力イメージをキャプチャする処理を含むものであるから、構成B?Dの「キャプチャ準備モード」に相当するものといえる。 構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」とそれに続く「画像キャプチャモード」は、構成B?Dの「キャプチャ準備モード」に相当することを踏まえ、構成B?Dと構成b?dについてさらに検討する。 (b-2)構成Bと構成bについて 構成bは、「画像キャプチャ用意指令を受信して」「高解像度の画像データストリームを提供する」ものであり、画像キャプチャ用意指令を受信する前のプレビューモードでは、提供する画像データストリームは低解像度であるから、『画像キャプチャ用意指令を受信すると、画像データストリームの解像度を低解像度から高解像度に変更』しているものといえる。 そして、構成bは、「画像キャプチャ用意モードに入るとき、高解像度の画像データストリームを提供するように、イメージセンサを切り替え」るものであり、切り替え前のモードは、プレビューモードであるから、『イメージセンサの動作モードをプレビューモードから画像キャプチャ用意モードに入れる』ものといえる。 そうすると、構成bは、『画像キャプチャ用意指令を受信すると、画像データストリームの解像度を低解像度から高解像度に変更し、イメージセンサの動作モードをプレビューモードから画像キャプチャ用意モードに入れる段階』であるといえる。 上記(a)、(b-1)で検討したように、構成bの「画像キャプチャ用意指令」、「画像データストリーム」、「イメージセンサ」は、構成Bの「キャプチャ準備信号」、「センサ出力イメージ」、「カメライメージセンサ」に相当する。 そして、上記(b-1)で検討したように、構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」とそれに続く「画像キャプチャモード」は、構成B?Dの「キャプチャ準備モード」に相当するので、構成bの『プレビューモードから画像キャプチャ用意モードに入れる』ことは、構成Bの「前記プレビュモードからキャプチャ準備モードに進入させる」ことに相当する。 よって、構成bは、構成Bの「キャプチャ準備信号に応答して前記センサ出力イメージの解像度を低解像度から高解像度に変更して前記カメライメージセンサの動作モードを前記プレビュモードからキャプチャ準備モードに進入させる段階」に相当する。 したがって、構成bは、構成Bに相当する。 (b-3)構成Cと構成cについて 構成cの「画像キャプチャ指令」は、画像をキャプチャするための信号であり、構成bの「画像キャプチャ用意指令」とは、異なる信号であるから、構成Cの「前記キャプチャ準備信号とは異なるキャプチャ信号」に相当する。 したがって、構成cは、構成Cに相当する。 (b-4)構成Dと構成dについて 構成dは、画像キャプチャ指令により、画像キャプチャモードに入り、出力画像ストリームをキャプチャすることから、画像キャプチャモードで、画像キャプチャ指令により、出力画像ストリームをキャプチャするものである。 そして、構成dの「画像キャプチャ指令」、「出力画像ストリーム」は、構成Dの「キャプチャ信号」、「センサ出力イメージ」に相当する。 上記(b-1)で検討したように、構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」とそれに続く「画像キャプチャモード」は、構成B?Dの「キャプチャ準備モード」に相当する。 よって、構成dは、構成Dの「前記キャプチャ準備モードで前記キャプチャ信号に応答して前記センサ出力イメージをキャプチャする段階」に相当する。 以上より、構成dは、構成Dに相当する。 (c)構成Eについて 構成Eは、「前記センサ出力イメージがキャプチャされると、前記センサ出力イメージの解像度を高解像度から低解像度に変更して前記カメライメージセンサを前記キャプチャ準備モードからプレビュモードに再進入させる」のに対し、引用発明は、そのように限定される構成が明記されていない点で一応相違する。 しかし、画像をキャプチャした後に、次の撮影の準備のためにプレビューモードに戻すことは、デジタルカメラにおいて普通に行われている構成(例えば、特開2009-111671号公報の段落0050、図4には、キャプチャーを行った後、プレビューモードに戻す構成が開示されている。)であるから、引用発明においても、『出力画像ストリームがキャプチャされると、画像キャプチャモードからプレビューモードに戻す』構成は、当然に有している構成であると認められる。 上記(b-1)で検討したように、構成b?dの「画像キャプチャ用意モード」とそれに続く「画像キャプチャモード」は、構成B?Dの「キャプチャ準備モード」に相当する。そして、上記(b-2)で検討したように、構成bの『プレビューモードから画像キャプチャ用意モードに入れる』ことは、構成Bの「前記プレビュモードからキャプチャ準備モードに進入させる」ことに相当する。 そうすると、『画像キャプチャモードからプレビューモードに戻す』ことは、プレビューモードから画像キャプチャ用意モードに進入したことに対応して、再び、プレビューモードに進入することであるから、構成Eの「前記キャプチャ準備モードからプレビュモードに再進入させる」ことに相当するといえる。 また、引用発明における出力画像ストリームがキャプチャされる時の解像度は高解像度で、プレビューモードの時の解像度は低解像度であるから、『出力画像ストリームがキャプチャされると、画像キャプチャモードからプレビューモードに戻す』構成では、『解像度を高解像度から低解像度に変更』しているものといえ、構成Eの「前記センサ出力イメージの解像度を高解像度から低解像度に変更」することに相当する。 したがって、引用発明において、構成Eの「前記センサ出力イメージがキャプチャされると、前記センサ出力イメージの解像度を高解像度から低解像度に変更して前記カメライメージセンサを前記キャプチャ準備モードからプレビュモードに再進入させる段階」に相当する構成は、当然に有している構成であるといえる。 (d)構成Fについて 構成Fは、「前記低解像度は基準解像度と同一であるか、または、前記基準解像度より低い解像度であり、前記高解像度は前記基準解像度より高い解像度である」構成である。 ここで、「基準解像度」について検討すると、本願の発明の詳細な説明には、「基準解像度」に関して以下のような記載があるのみである。 「【0009】 (前略)ここで、前記低解像度は基準解像度と同一であるか、または、基準解像度より低い解像度であり、前記高解像度は前記基準解像度より高い解像度である。」 「【0022】 (前略)ここで、前記低解像度は基準解像度と同一であるか、または、基準解像度より低い解像度であり、前記高解像度は前記基準解像度より高い解 像度である。」 「【0060】 (前略)この時、「低解像度」とは基準解像度と同一であるか、または、基準解像度より低い解像度であり、「高解像度」とは基準解像度より高い解像度である。」 「【0127】 (前略)この時、低解像度は基準解像度と同一であるか、または、基準解像度より低い解像度であり、高解像度は基準解像度より高い解像度である。」 すなわち、発明の詳細な説明においても、構成Fと同様の記載があるのみであり、基準解像度がどのような値であるのかについて、具体的な記載がない。 よって、構成Fの「前記低解像度は基準解像度と同一であるか、または、前記基準解像度より低い解像度であり、前記高解像度は前記基準解像度より高い解像度である」とは、低解像度は、高解像度よりも低いことを特定しているだけである。 そして、引用発明においても、低解像度は、高解像度よりも低いものであるから、引用発明は、構成Fの「前記低解像度は基準解像度と同一であるか、または、前記基準解像度より低い解像度であり、前記高解像度は前記基準解像度より高い解像度である」に相当する構成を有するものである。 (e)構成Gと構成eについて 構成eの「デジタルカメラのイメージセンサを用いた画像キャプチャ方法」は、イメージセンサを用いて画像をキャプチャする際に、構成a?構成dにて特定した構成により、イメージセンサをどのように動作させるかという方法であるといえるので、引用発明は、構成Gの「イメージセンサ動作方法」に相当するものである。 (f)まとめ 以上より、本願発明と引用発明は、構成A?構成Gの全てにおいて一致し、相違点はない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2018-08-22 |
結審通知日 | 2018-08-28 |
審決日 | 2018-09-10 |
出願番号 | 特願2012-199665(P2012-199665) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤原 敬利 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
渡辺 努 樫本 剛 |
発明の名称 | 低電力シャッタラグ除去方法、カメラモジュール及びそれを備えたモバイル機器 |
代理人 | 萩原 誠 |