ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H02J 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02J |
---|---|
管理番号 | 1348390 |
審判番号 | 不服2017-11726 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-08-04 |
確定日 | 2019-01-30 |
事件の表示 | 特願2014- 49388「充電装置及びバッテリー装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月29日出願公開、特開2014-183737〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年3月12日(パリ条約による優先権主張 2013年3月15日 米国(US) 2013年8月30日 韓国(KR))に出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成28年12月 1日(起案日) 意見書 :平成29年 3月 6日 手続補正 :平成29年 3月 6日 拒絶査定 :平成29年 4月24日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成29年 8月 4日 手続補正 :平成29年 8月 4日 上申書 :平成29年11月15日 上申書(意見) :平成29年12月22日 上申書(面接希望) :平成29年12月22日 上申書 :平成30年 2月16日 面接 :平成30年 8月20日 第2 平成29年8月4日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年8月4日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 平成29年8月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、請求項1については、本件補正前に、 「 【請求項1】 バッテリーを充電する少なくとも二つの充電器を有する充電部と、 前記バッテリーは互いに並列連結された少なくとも二つのバッテリー群を含み、前記少なくとも二つのバッテリー群のそれぞれは互いに直列連結された少なくとも二つのバッテリーセルとを含み、 前記少なくとも二つの充電器のそれぞれは、電源供給器から電源を受信し、前記少なくとも二つのバッテリー群のうち対応する一つのバッテリー群に属する前記少なくとも二つのバッテリーセルのうち対応する一つのバッテリーセルを充電する、充電装置。」 とあったところを、 本件補正後、 「 【請求項1】 電源を供給する電源供給器と、 バッテリーを充電する少なくとも二つの充電器を有する充電部と、 を含み、 前記バッテリーは互いに並列連結された少なくとも二つのバッテリー群を含み、前記少なくとも二つのバッテリー群のそれぞれは互いに直列連結された少なくとも二つのバッテリーセルを含み、 前記電源供給器は、電源を無線伝送する少なくとも二つの送電コイルを含み、 前記少なくとも二つの充電器のそれぞれは、前記電源供給器の前記少なくとも二つの送電コイルと一対一に対応して設けられ、対応する送電コイルから無線伝送される電源を受信する受電コイルを含み、前記少なくとも二つのバッテリー群のうち対応する一つのバッテリー群に属する前記少なくとも二つのバッテリーセルのうち対応する一つのバッテリーセルを充電する、充電装置。」 とするものである。 2.補正の適否 補正前の請求項1における「電源供給器」は、「少なくとも二つの充電器のそれぞれは、電源供給器から電源を受信」することを特定するために記載されているに過ぎず、「充電装置」を構成する要素としては記載されていないのに対し、補正後の請求項1における「電源供給器」は、「充電装置」を構成する要素として記載されている。すなわち、請求項1において、「充電装置」を構成する要素としては記載されていなかった「電源供給器」が、補正により、「充電装置」を構成する要素として記載されることとなった。 したがって、本件補正は発明特定事項を限定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 なお、審判請求書において、請求人は、平成29年3月6日付けの手続補正により、「電源を供給する電源供給器」が誤って削除されたので、この誤記を訂正する補正を行った旨主張している。 しかしながら、同手続補正により、同手続補正前の請求項1(出願時の請求項1)における、充電器の動作に関する記載の「前記電源供給器」から「前記」が削除されており、「電源を供給する電源供給器」が誤って削除されたことが明らかであるとはいえず、誤記の訂正を目的とする旨の主張は採用できない。 3.本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成29年8月4日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成29年3月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項10に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「 【請求項10】 互いに並列連結された少なくとも二つのバッテリー群を含み、且つ前記少なくとも二つのバッテリー群のそれぞれは互いに直列連結された少なくとも二つのバッテリーセルを含むバッテリー装置を充電する充電装置であって、 少なくとも二つの充電器を有し、 前記少なくとも二つの充電器のそれぞれは、外部の電源供給器から伝達された電源を受信し、前記少なくとも二つのバッテリー群のうち対応する一つのバッテリー群に属する前記少なくとも二つのバッテリーセルのうち対応する一つのバッテリーセルを充電する、充電装置。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された登録実用新案第3169442号公報(平成23年7月28日発行、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。) (1)「【0011】 図1を参照し、それは、本考案のシステムブロック図であり、本考案の充電装置は、電源回路1と、複数の充電ユニット2a?2nと、通信インタフェースユニット4と、から構成され、そのうち、電源回路1は、外部電源を充電ユニット2a?2nが必要な電源型式に変換し、例えば、交流都市電源を低電圧直流電に変換し、該電源回路1は、複数の出力端を有し、それぞれ該複数の充電ユニット2a?2nに接続し、個別に各充電ユニット2a?2nが必要な電源を提供し、即ち、各充電ユニット2a?2nは、何れも独立した電源供給を有し、その他の充電ユニット2a?2nの干渉又は影響を受けない。」 (2)「【0012】 該複数の充電ユニット2a?2nは、単一又は複数の電池3a?3nに接続することに用いることができ、それに対し充電し、図に示すものは、並列形態の電池3a?3nであるので、各電池3a?3nは、それぞれ充電ユニット2a?2nを接続し、事実上、充電ユニット2a?2nは、複数且つ独立した電源供給であるので、該複数の充電ユニット2a?2nは、全直列、全並列又は直並列混合式を自由に構成することができ、各種電気自動車の全直列、全並列又は直並列電池に対応することができ、充電ユニット2a?2nは、電池3a?3nと完全な整合を形成することができ、各種充電要求を何れも十分満足させることができる。」 上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。 (a)引用例には、「充電装置」が記載されている(摘示事項(1))。 (b)充電装置は、電源回路と、複数の充電ユニットと、から構成される(摘示事項(1))。 (c)該電源回路は、個別に各充電ユニットが必要な電源を提供する(摘示事項(1))。 (d)該複数の充電ユニットは、単一又は複数の電池に接続することに用いることができ、それに対し充電する。該複数の充電ユニットは、全直列、全並列又は直並列混合式を自由に構成することができ、全直列、全並列又は直並列電池に対応することができる(摘示事項(2))。 以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「電源回路と、複数の充電ユニットと、から構成される充電装置であって、 該電源回路は、個別に各充電ユニットが必要な電源を提供し、 該複数の充電ユニットは、単一又は複数の電池に接続することに用いることができ、それに対し充電し、 該複数の充電ユニットは、全直列、全並列又は直並列混合式を自由に構成することができ、全直列、全並列又は直並列電池に対応することができる、充電装置。」 3.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比する。 (1)充電装置 引用発明の充電装置を構成する複数の充電ユニットは、単一又は複数の電池に接続することに用いることができ、それに対し充電する。そして、該複数の充電ユニットは、直並列混合式を構成することができ、直並列電池に対応することができる。 したがって、本願発明と引用発明とは、「バッテリー装置を充電する充電装置」である点で一致する。 もっとも、「バッテリー装置」について、本願発明は、「互いに並列連結された少なくとも二つのバッテリー群を含み、且つ前記少なくとも二つのバッテリー群のそれぞれは互いに直列連結された少なくとも二つのバッテリーセルを含むバッテリー装置」との特定があるのに対し、引用発明は、「直並列電池」との特定しかない点で相違する。 (2)充電器 引用発明の充電装置は、複数の充電ユニットから構成されるから、本願発明と引用発明とは、「少なくとも二つの充電器」を有する点で一致する。 (3)充電器の詳細 引用発明の充電装置は、電源回路が、個別に各充電ユニットが必要な電源を提供する。そして、複数の充電ユニットは、単一の電池に対し充電する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記少なくとも二つの充電器のそれぞれは、電源供給器から伝達された電源を受信し、一つのバッテリーセルを充電する」点で一致する。 もっとも、「電源供給器」について、本願発明は、「外部の電源供給器」であるのに対し、引用発明は、「電源回路」が「充電装置」を構成する要素である点で相違する。 また、「少なくとも二つの充電器のそれぞれが充電する一つのバッテリーセル」について、本願発明は、「前記少なくとも二つのバッテリー群のうち対応する一つのバッテリー群に属する前記少なくとも二つのバッテリーセルのうち対応する一つのバッテリーセル」との特定があるのに対し、引用発明は、「直並列電池」の「単一の電池」との特定しかない点でも相違する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「バッテリー装置を充電する充電装置であって、 少なくとも二つの充電器を有し、 前記少なくとも二つの充電器のそれぞれは、電源供給器から伝達された電源を受信し、一つのバッテリーセルを充電する、充電装置。」の点。 そして、次の点で相違する。 <相違点> (1)「バッテリー装置」について、本願発明は、「互いに並列連結された少なくとも二つのバッテリー群を含み、且つ前記少なくとも二つのバッテリー群のそれぞれは互いに直列連結された少なくとも二つのバッテリーセルを含むバッテリー装置」との特定があるのに対し、引用発明は、「直並列電池」との特定しかない点。 (2)「電源供給器」について、本願発明は、「外部の電源供給器」であるのに対し、引用発明は、「電源回路」が「充電装置」を構成する要素である点。 (3)「少なくとも二つの充電器のそれぞれが充電する一つのバッテリーセル」について、本願発明は、「前記少なくとも二つのバッテリー群のうち対応する一つのバッテリー群に属する前記少なくとも二つのバッテリーセルのうち対応する一つのバッテリーセル」との特定があるのに対し、引用発明は、「直並列電池」の「単一の電池」との特定しかない点。 4.判断 そこで、上記各相違点について検討する。 相違点(1)及び(3)について 複数のバッテリーセルを直列に接続したものを並列に接続したバッテリーは周知である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-239326号公報の【0019】及び【図1】、国際公開第2010/079563号の[0035]ないし[0036]及び[図1]参照)から、引用発明において、「直並列電池」の具体的な構成として、複数のバッテリーセルを直列に接続したものを並列に接続したバッテリーを採用して、上記相違点(1)及び(3)の構成とすることは、当業者が適宜為し得る。 相違点(2)について 引用例には、「該電源回路1は、複数の出力端を有し、それぞれ該複数の充電ユニット2a?2nに接続し、個別に各充電ユニット2a?2nが必要な電源を提供し」(摘示事項(1))との記載もあり、電源回路が個別に各充電ユニットが必要な電源を提供し得るように「電源回路」と「複数の充電ユニット」とが接続されていれば、「電源回路」と「複数の充電ユニット」とが同一の筐体に納められている必要はないと考えられるから、引用発明において、「電源回路」を「外部の電源回路」として、相違点(2)の構成とすることは、当業者が適宜為し得る。 また、明細書に記載された本願発明が奏する効果についてみても、本願発明の構成のものとして当業者であれば予測し得る程度のものに過ぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項10に係る発明は、引用例に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2018-09-03 |
結審通知日 | 2018-09-04 |
審決日 | 2018-09-18 |
出願番号 | 特願2014-49388(P2014-49388) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(H02J)
P 1 8・ 121- Z (H02J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 古河 雅輝 |
特許庁審判長 |
酒井 朋広 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 東 昌秋 |
発明の名称 | 充電装置及びバッテリー装置 |
代理人 | 龍華国際特許業務法人 |