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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1348436
審判番号 不服2017-2788  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-27 
確定日 2019-01-30 
事件の表示 特願2016- 91544「発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月22日出願公開、特開2017-112347〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2016年4月28日(パリ条約による優先権主張 優先権主張番号:10-2015-0181113 2015年12月17日 韓国、優先権主張番号:10-215-0181122 2015年12月17日 韓国、優先権主張番号:10-2015-0183516 2015年12月22日 韓国)の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

平成28年 6月22日付け:拒絶理由通知(同年同月28日発送)
同年 9月23日 :意見書・手続補正書の提出
同年10月14日付け:拒絶査定(同年同月25日送達)
平成29年 2月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成30年 3月 2日付け:拒絶理由通知(同年同月6日発送。以下、「当審拒絶理由」とする。
同年 6月 6日 :意見書・手続補正書の提出
同年 6月27日付け :審尋(同年7月3日発送)
同年 7月26日 :回答書

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、平成30年8月13日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 それぞれが1つ以上のLEDからなる複数のLEDアレイ、入力ノード、及び出力ノードを含むLEDブロックと、
前記LEDブロックの入力ノードに供給される電源の電圧レベルによって前記LEDアレイが順次動作するように電流経路を制御する複数のスイッチングユニットからなるドライバーICと、
前記LEDブロックの出力ノードと接地との間に接続される出力ノードバイパス容量性素子と、を備え、
前記LEDブロックの入力ノードと接地との間に接続される入力ノードバイパス容量性素子と、
前記LEDアレイ間の中間ノードと接地との間に接続される中間ノードバイパス容量性素子と、
前記中間ノードバイパス容量性素子は前記ドライバーICを構成する前記複数のスイッチングユニットが接続された前記中間ノード各々に接続され、
前記LEDアレイが順次動作するように前記LEDブロックの入力ノードに供給される前記電源の電圧レベルを検出する電圧検出部と、
過電圧が印加されると、前記電圧検出部でこれを検知し、電流が流れて回路を保護するための過電圧保護抵抗と、をさらに含み、
前記LEDが実装される基板と、
電源の供給時に前記LEDが動作するときに発生した熱を前記基板から受けて外部に放出するヒートシンクと、
前記基板と前記ヒートシンクとの間に圧縮状態で介在する熱伝達物質(TIM:thermal interface material)と、を備え、
前記熱伝達物質(TIM)と前記基板との間、又は前記熱伝達物質(TIM)と前記ヒートシンクとの間に、前記基板側の界面粗さ又は前記ヒートシンク側の界面粗さによるエアギャップが存在し、
前記エアギャップのバレー内の体積に対する体積比率は、前記電源の供給時に前記エアギャップから発生する火花放電が抑制される量に制限され、
前記基板側の界面粗さのプロファイルは、前記基板側の界面の平均高さに対してピークとバレーを含み、前記平均高さを基準にして前記基板のバレー内の体積に対する前記エアギャップの体積比率が40%未満であり、
前記ヒートシンク側の界面粗さのプロファイルは、前記ヒートシンク側の界面の平均高さに対してピークとバレーを含み、前記平均高さを基準にして前記ヒートシンクのバレー内の体積に対する前記エアギャップの体積比率が40%未満であることを特徴とする発光装置。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。

本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特表2012-529124号公報
引用文献2:特開2013-16450号公報
引用文献3:特開2010-245570号公報
引用文献4:特開2011-154848号公報
引用文献5:国際公開第2013/065414号
引用文献6:特開2007-265993号公報

第4 引用文献の記載事項
1 引用文献1について
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。

(1)「【0077】
図1は、本発明の教示による第1の例示的なシステム50および第1の例示的な装置100の回路・ブロック図である。第1の例示的なシステム50は、電力会社から供給される家庭AC線または他のAC主電源のような、本明細書では同等にAC電力線またはAC電源とも呼ばれる交流(「AC」)線102に結合された第1の例示的な装置100(同等にオフラインAC LEDドライバとも呼ばれる)を含む。そのようなAC電圧または電流に関連して例示的な実施形態について説明するが、請求される発明が以下に詳しく定義される時変電圧または時変電流に適用可能であることを理解されたい。第1の例示的な装置100は、複数のLED140と、複数のスイッチ110(一例としてMOSFETとして示されている)と、コントローラ120と、(第1の)電流センサ115と、整流器105とを備え、適宜、電圧センサ195と、コントローラ120および選択される他の構成要素に電力を供給するDC電源(「Vcc」)とを備える。例示的なDC電源回路125は、様々な構成で実現されてよく、様々な例示的な装置(100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)内の様々な位置に設けられてよい。例示的ないくつかのDC電源回路125を図18?20を参照して例示し論じる。また、例示的なDC電源125は、限定するものではないが、たとえば、ノード131とノード117の間またはノード131とノード134の間のような様々な方法で例示的な装置に結合されてよい。例示的な電圧センサ195も、様々な構成で実現されてよく、様々な例示的な装置(100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)内の様々な位置に設けられてよい。電圧ドライバ回路として実現される例示的な電圧センサ195Aを図4および5を参照して例示し論じる。また、たとえば、例示的な電圧センサ195は、限定するものではないが、たとえば、ノード131とノード117の間またはその他の位置のような様々な方法で例示的な装置に結合されてよい。また、適宜、様々な期間、電流レベル、または電圧レベルを記憶するメモリ185を含めてよく、様々な例示的な実施形態において、コントローラ120は、様々な種類のメモリ185(たとえば、レジスタ)をすでに含んでいてよく、したがって、メモリ185は別個の構成要素でなくてよい。
(略)
【0079】
整流器105は、ブリッジ整流器として示され、AC線102に結合されており、全(または半)波整流入力電圧(「V_(IN)」)および電流を、LED140_(1)、140_(2)、140_(3)?140_(n)として示され、複数の直列結合セグメント(またはストリング)175(LEDセグメント175_(1)、175_(2)、175_(3)?175_(n)として示されている)として配置または構成された、複数の直列結合発光ダイオード(LED)140の第1の発光ダイオード1401に供給する。(整流器105は、全波整流器、全波ブリッジ、半波整流器、電気機械整流器、または他の種類の整流器であってよい。)各LEDセグメント175は、図示を容易にするために、対応する1つのLED140のみを有するように図1に示されているが、このような各LEDセグメント175が通常、対応する複数の直列結合LED140、すなわち、連続的に直列結合された各LEDセグメント175内の1個?「m」個のLED140を備えることを理解されたい。」

(2) 「【0081】
コントローラ120(および後述の他のコントローラ120A?120I)は、以下に詳しく論じるように任意の種類の回路を使用して、公知のように実現されてよく、あるいは当技術分野で公知になり、より一般的には制御回路とみなされてよい。限定するものではないが、たとえば、コントローラ120(および他のコントローラ120A?120I)または同等の制御回路は、メモリ回路を含んでも含まなくてもよいデジタル回路、アナログ回路、またはデジタル回路とアナログ回路の両方の組み合わせを使用して実現されてよい。コントローラ120は、主として切り替え制御を実行し、パラメータの変動(たとえば、LED140電流レベル、電圧レベル、光学輝度値など)を監視してそれに応答するのに利用され、かつ調光または色温度制御のような様々な照明効果のうちの任意の照明効果を実現するのに利用されてもよい。
【0082】
スイッチ110は、スイッチ110_(1)、110_(2)、110_(3)?110_(n-1)として示されており、スイッチの例示的な種類としての例示されたMOSFET、以下に詳しく論じる他の同等の種類のスイッチ110のような任意の種類のスイッチであってよく、そのようなすべての変形例は同等であり、請求される発明の範囲内であるとみなされる。スイッチ110は、LEDセグメント175の端子に対応して結合されている。図示されているように、対応する複数のスイッチ110は、各LEDセグメント175の端子において(ただし、最後のLEDセグメント175nは例外である)LED140のカソードに一対一対応で結合されている。特に、この例示的な実施形態では、各スイッチ110の第1の端子(たとえば、ドレーン端子)が各LEDセグメント175の対応するLED140の対応する端子(この例ではカソード)に結合され、各スイッチ110の第2の端子(たとえば、ソース端子)が電流センサ115(あるいはたとえば、グランド電位117、または他のセンサ、電流制限器(後述)、もしくは他のノード(たとえば132))に結合されている。各スイッチ110のゲートが、出力150_(1)、150_(2)、150_(3)?150_(n-1)として示されている(コントローラ120の制御下で)コントローラ120の対応する出力150に結合されている。この第1の例示的な装置100では、各スイッチ110は、電流バイパス機能を実行し、それによって、スイッチ110がオンであり通電しているときに、電流は対応するスイッチを通過し、残りの(または対応する)1つまたは複数のLEDセグメント175を迂回する。たとえば、スイッチ110_(1)がオンであって通電しており、残りのスイッチ110がオフであるときは、電流がLEDセグメント175_(1)を通って流れ、LEDセグメント175_(2)?175_(n)を迂回し、スイッチ110_(2)がオンであって通電しており、残りのスイッチ110がオフであるときは、電流がLEDセグメント175_(1)をおよび175_(2)を通って流れ、LEDセグメント175_(3)?175_(n)を迂回し、スイッチ110_(3)がオンであって通電しており、残りのスイッチ110がオフであるときは、電流がLEDセグメント175_(1)、175_(2)、および175_(3)を通って流れ、残りのLEDセグメント(?175_(n))を迂回し、オンにされていて通電しているスイッチ110がなく(すべてのスイッチ110がオフである)ときは、電流がすべてのLEDセグメント175_(1)、175_(2)、175_(3)?175_(n)を通って流れる。」

(3) 「【0092】
図2および3を参照すると、さらに、整流AC線電圧が約零ボルトからそのピーク・レベルまで上昇する、AC(電圧)間隔の第1の部分としての第1の時間間隔(時間象限「Q1」146と呼ばれる)、および整流AC線電圧がそのピーク・レベルから約零ボルトまで低下する、AC(電圧)間隔の第2の部分としての第2の時間間隔(時間象限「Q2」147と呼ばれる)に分割される、整流60Hz ACサイクル(入力電圧VINが点線142として示されている)の第1の半部の間の選択されたLEDセグメント175を通る電流レベルが示されている。AC電圧が整流されるにつれて、整流60Hz ACサイクルの第2の半部の間、時間象限「Q1」146および時間象限「Q2」147ならびに対応する電圧レベルが繰り返される。(整流AC電圧V_(IN)が理想的で教科書的な例として示されており、実際の使用時にはこの図とは異なる可能性が高いことにも留意されたい。)図2を参照すると、各時間象限Q1およびQ2について、限定するものではないが、たとえば、7つのLEDセグメント175を直列LED140電流経路に含められるように切り替えることまたは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えることに対応する7つの時間間隔が示されている。時間間隔145_(1)の間の、ACサイクルの開始時には、スイッチ110_(1)がオンで通電しており、残りのスイッチ110がオフであり、電流(「I_(S)」)は、LEDセグメント175_(1)を通って流れ、所定のピーク電流レベルまたは選択されたピーク電流レベルI_(P)まで上昇する。コントローラ120は、電流センサ115を使用して、電流がI_(P)に達したときに、スイッチ110_(2)をオンに切り替え、スイッチ110_(1)をオフに切り替え、残りのスイッチ110をオフに維持し、それによって時間間隔145_(2)を開始することによって次のLEDセグメント175_(2)が電流経路に含められるように切り替える。コントローラ120はまた、様々な例示的な実施形態で例示される電圧センサ195を使用することなどによって、時間間隔145_(1)の持続時間、またはLEDセグメント175のこの特定の直列組み合わせ(この例では、第1のLEDセグメント175_(1)のみである)についてI_(P)に達したときの線電圧レベルのような同等のパラメータを測定するかあるいは他の方法で求め、対応する情報をメモリ185または他のレジスタもしくはメモリに記憶する。LEDセグメント175の選択された組み合わせについてのこの間隔情報は、時間パラメータであるか、電圧パラメータであるか、測定可能な他のパラメータであるかにかかわらず、第2の時間象限「Q2」147中に、対応するLEDセグメント175を直列LED140電流経路から除外するように切り替えるのに利用される(概ね逆の順序)。
【0093】
引き続き図2を参照すると分かるように、ACサイクルにおいて時間間隔145_(1)よりもわずかに遅い時間間隔145_(2)の間、スイッチ110_(2)がオンで通電しており、残りのスイッチ110がオフであり、電流(「I_(S)」)は、LEDセグメント1751および1752を通って流れ、再び所定のピーク電流レベルまたは選択されたピーク電流レベルI_(P)まで上昇する。コントローラ120は、電流センサ115を使用して、電流がI_(P)に達したときに、スイッチ110_(3)をオンに切り替え、スイッチ110_(2)をオフに切り替え、残りのスイッチ110をオフに維持し、それによって時間間隔145_(3)を開始することによって次のLEDセグメント175_(3)が電流経路に含められるように切り替える。コントローラ120はまた、時間間隔1452の持続時間、またはLEDセグメント175のこの特定の直列組み合わせ(この例では、LEDセグメント175_(1)および175_(2)である)についてI_(P)に達したときの線電圧レベルのような同等のパラメータを測定するかあるいは他の方法で求め、対応する情報をメモリ185または他のレジスタもしくはメモリに記憶する。LEDセグメント175の選択された組み合わせについてのこの間隔情報、すなわち、時間パラメータ、電圧パラメータ、または測定可能な他のパラメータは、第2の時間象限「Q2」147中に、対応するLEDセグメント175を直列LED140電流経路から除外するように切り替えるのに利用される。整流AC電圧レベルが高くなるにつれて、このプロセスは、時間間隔145_(n)で、すべてのLEDセグメント175が直列LED140電流経路に含められるように切り替えられ(すなわち、すべてのスイッチ110がオフになり、迂回されるLEDセグメント175がなくなり)、対応するすべての間隔情報がメモリ185に記憶されるまで継続する。
【0094】
したがって、整流AC線電圧(V_(IN)、図2および3における142)が高くなるにつれて、追加的なLEDセグメント175が電流経路に含められるように切り替えられることによって、整流AC線電圧の上昇に応じて利用されるLED140の数が増えていく。このように、LED140を使用することは、実質的にAC線電圧に追従するかあるいはAC線電圧に対応し、それによって、LED140によって適切な電流を(たとえば、LEDデバイス仕様内に)維持することができ、エネルギー貯蔵デバイスを複雑にすることも電力変換器デバイスを複雑にすることもなしに整流AC線電圧を十分に利用することが可能になる。それによって、この装置100構成および切り替え方法は、効率を高くし、LED140の稼働率を向上させ、全体的により小形の多数のLED140を使用するのを可能にし、それによって、光出力の効率も高くするとともに放熱および熱管理も向上させる。また、切り替えが頻繁に行われるため、LEDセグメント175を直列LED140電流経路に含められるように切り替えるかあるいは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えることによる出力輝度の変化を平均的な人間の観察者が知覚することはできない。
(略)
【0097】
例示的な実施形態では、第2の時間象限「Q2」147の間に、整流AC線形電圧が低下するときに、記憶されている間隔、電圧、またはその他のパラメータ情報を利用して対応するLEDセグメント175を逆の順序で(たとえば、「ミラーリングして」)順次、直列LED140電流経路から除外されるように切り替え、すなわち、(Q1の終了時に)直列LED140電流経路に含められるように切り替えられたすべてのLEDセグメント175の切り替えを開始し、直列LED140電流経路内に残るLEDセグメントが1つ(LEDセグメント175_(1))だけになるまで対応するLEDセグメント175を直列LED140電流経路から除外されるように切り替えていく。」

(4)「【0173】
図25は、本発明の教示による第8の例示的なシステム850および第8の例示的な装置800を示すブロック・回路図である。第8の例示的な装置800は、抵抗器340がFETスイッチ310に直列に接続され、かつ対応する電圧レベルまたは電流レベルがコントローラ120Hにフィードバックとして供給され(入力330)、それによって、各LEDセグメント175を通る電流レベルのような追加的な情報がコントローラ120Hに供給され、かつLEDセグメント175としてのスイッチ310が、直列LED140電流経路に含められるように切り替えられるかあるいは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えられてよい点で第7の例示的な装置700と異なる。各ブランチ(LEDセグメント175)内の電流レベルを測定することによって、有利なことに(たとえば、抵抗器165と比べて)比較的小さい抵抗340を利用することができ、電力消散を低減させることができる。したがって、選択される実施形態に応じて、(電流センサ115としての)このような抵抗器165は省略されてよい(別段に図示されていない)。
(略)
【0175】
図27は、本発明の教示による第10の例示的なシステム1050および第10の例示的な装置1000を示すブロック・回路図である。第10の例示的な装置1000は、すべてのLEDセグメント175が利用される(どのLEDセグメント175も迂回されない)ときに、どちらも直列LED140電流経路内のLEDセグメント175に直列に結合されたスイッチ310_(n)(nチャネルFETとしても図示されている)と直列抵抗器340_(n)を利用して、直列LED140電流経路で追加的な電流制御が行われる点で第8の例示的な装置800と異なる。スイッチ310_(n)および直列抵抗器340_(n)を利用して電流制限を行うことができ、この場合、コントローラ120Iがスイッチ310_(n)に対応するゲート電圧を供給し(一般に線形モードで供給する。ただし、スイッチ・モードを利用してもよい)、直列抵抗器340_(n)によって行われる電流制限に加えて、直列LED140電流経路に所望の電流レベルを維持する。このことは、特に入力電圧V_(IN)が高くなり過ぎた場合にも有用であり、V_(IN)の入力(入力162)および(入力330_(n)における直列抵抗器340_(n)からの)ノード電圧のフィードバックによって、コントローラ120Iは、スイッチ310_(n)のゲート電圧を調整することによって、過度の電流が直列LED140電流経路内のLEDセグメント175を通って流れるのを防止することができる。また、この回路トポロジーでは、他の抵抗器(抵抗器165または他の抵抗器340)の値を余剰の値にしてもより小さくしてもよく、それにもかかわらず、コントローラ120Iは所望の性能を発揮するのに十分な情報を有し、したがって、選択される実施形態に応じて、(電流センサ115としての)抵抗器165を省略してよい(別段に図示されていない)。スイッチ310_(n)および直列抵抗器340_(n)が、直列LED140電流経路の底部または終端だけでなく、他のLEDセグメント175同士の間、または直列LED140電流経路の頂部もしくは始端、または正もしくは負の電圧レール上のような第10の例示的な装置1000内の他の場所にも配置されてよいことにも留意されたい。」

(5) 図1は、次のものである。

(6) 図25は、次のものである。

(7) 図27は、次のものである。

(8) 図1、図27を参考にすると、上記(1)の記載から、LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))は、各々が連続的に直列結合された1個?「m」個のLED140を備えること、及び、図27のLEDセグメント175には、図1のノード131とノード134に対応する、入力側のノードと出力側のノードを有することが読みとれる。

(9) 上記(3)の段落【0092】?【0093】のスイッチの切り替えに関する記載からみて、コントローラ120がスイッチ110を切り替えて電流経路を制御することが読みとれ、同様に、上記(4)に記載された装置1000のコントローラ120IもFETスイッチ310_(1)?310_(n-1)を切り替えて電流経路を制御することが読みとれる。

(10) 上記(4)の段落【0173】の記載から、装置1000は、装置800と同様に、抵抗器340(340_(1)?340_(n-1))がFETスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))に直列に接続され、かつ対応する電圧レベルまたは電流レベルがコントローラ120Iにフィードバックとして供給され、それによって、各LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を通る電流レベルのような追加的な情報がコントローラ120Iに供給され、かつLEDセグメント175としてのスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))が、直列LED140電流経路に含められるように切り替えられるかあるいは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えられることが読みとれる。

(11)図25、図27を参考にすると、上記(3)の段落【0094】に記載された「整流AC線電圧(V_(IN)、図2および3における142)が高くなるにつれて、追加的なLEDセグメント175が電流経路に含められるように切り替えられることによって、整流AC線電圧の上昇に応じて利用されるLED140の数が増えていく」ことからみて、
装置1000のコントローラ120Iは、上記整流AC線電圧に対応する入力電圧レベルV_(IN)が高くなるにつれて、追加的なLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を電流経路に含められるように切り替えることが読みとれる。

(12) 上記(4)の記載からみて、入力電圧レベルV_(IN)に対応する入力電力レベルV_(IN)および入力330_(n)における直列抵抗器340_(n)からのノード電圧のフィードバックによって、コントローラ120Iが、スイッチ310_(n)のゲート電圧を調整することによって、過度の電流が直列LED140電流経路内のLEDセグメント175を通って流れるのを防止することが読みとれる。

したがって、引用文献1には、図27に示されたものに関して、次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されていると認められる。

「各々が連続的に直列結合された1個?「m」個のLED140を備え、入力側のノードと出力側のノードを有するLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))と、
入力電圧レベルV_(IN)が高くなるにつれて、追加的なLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を電流経路に含められるように切り替えるコントローラ120Iを有し、
抵抗器340(340_(1)?340_(n-1))がFETスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))に直列に接続され、かつ対応する電圧レベルまたは電流レベルがコントローラ120Iにフィードバックとして供給され、それによって、各LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を通る電流レベルのような追加的な情報がコントローラ120Iに供給され、かつLEDセグメント175としてのスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))が、直列LED140電流経路に含められるように切り替えられるかあるいは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えられ、
前記入力電圧レベルV_(IN)および入力330_(n)における直列抵抗器340_(n)からのノード電圧のフィードバックによって、コントローラ120Iが、スイッチ310_(n)のゲート電圧を調整することによって、過度の電流が直列LED140電流経路内のLEDセグメント175を通って流れるのを防止する、
装置1000。」

2 引用文献2
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1) 「【0015】
該ブリッジ整流ユニット102は該外部交流電圧源Vacを内部直流電圧源(図示しない)に整流する。該発光二極体ユニット104_Nは該ブリッジ整流ユニット102に電気的接続され、且つ、該直流電圧源によって駆動される。該発光二極体ユニット104_Nは複数の発光二極体シリーズを有し、且つ、各発光二極体シリーズは電気的直列接続である。該集積回路ユニット106は該ブリッジ整流ユニット102と該発光二極体ユニット104_Nに電気的接続され、且つ、該直流電圧源によって給電される。本実施例では、該交流駆動発光二極体モジュールセット10は多段電流制御を提供し、多段電流制御の説明に便利なように、下記において4段を例(N=4)として記述するが、それに制限されるものでない。
【0016】
該集積回路ユニット106は少なくとも1つの定電流源1066_N、少なくとも1つのスイッチ素子1064_N(即ち第一スイッチ素子1064_1、第二スイッチ素子1064-2、第三スイッチ素子1064一3及び第四スイッチ素子1064_4)及び制御器1062を有し、前記のように、該多段電流制御は四段多段電流制御を例とし、それによって、該定電流源1066_Nの数量は4個(即ち第一定電流源1066_1、第二定電流源1066_2、第三定電流源1066_3及び第四定電流源1066_4)である。該制御器1062はこれらの定電流源1066_Nとこれらのスイッチ素子1064_Nに電気的接続され、これらのスイッチ素子1064_Nを制御し、さらに該発光二極体ユニット104_Nに多段電流制御(sectioning current control)を提供し、その中において、該多段電流制御は多段変電流制御(sectioning varied-current control)と多段定電流制御(sectioning fixed-current control)を備える。両者の操作原理については、後で詳しく説明する。言及の価値があるのは、該発光二極体ユニット104_Nは複数の発光二極体シリーズ104_N(即ち第一発光二極体シリーズ104_1、第二発光二極体シリーズ104_2、第三発光二極体シリーズ104_3及び第四発光二極体シリーズ104_4)を有することである。その中において、これらの定電流源1066-Nの数量はこれらのスイッチ素子1064_Nの数量及びこれらの発光二極体シリーズ104_Nの数量と等しい。図3に示すように、各該定電流源1066_Nは対応したスイッチ素子1064一Nに電性直列接続され、直列回路を形成し、且つ、これらの直列回路はさらに電気的並列接続である。その中において、これらのスイッチ素子1064-Nは金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)或いはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)である。」

3 引用文献3
引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1) 「【0037】
(実施形態6)
本発明の実施形態6の回路構成を図6に示す。先の実施形態1?5に比べると、本実施形態では、電源ユニット1の金属ケース6とLEDユニット2の導電部4の間を接続するアース線7を有していない。この場合、交流電源ACにコモンモードのノイズが印加されると、電源ユニット1のDC-DCコンバータ回路5の1次側グランドG1と2次側グランドG2の間の結合コンデンサC3,C4を介してノイズが伝搬されて、電源線3a,3bを介してLEDユニット2に対地ノイズ電圧が印加されてしまう。このとき、LEDユニット2の導電部4がアースされていると、対地ノイズ電圧は浮遊容量Cyを介してパルス電流として流れることになり、いずれかのLEDを破壊することになる。
【0038】
これを防止するには、LEDユニット2の低圧側あるいは高圧側と導電部4の間にノイズ電圧バイパス用のコンデンサC5,C5’を挿入すれば良い。また、ディスクリートの部品では実装面積を確保できない場合があるので、フレキシブル配線基板のLED実装部以外の配線部分の銅箔パターンの面積を増大させるか、当該配線部分の誘電体の厚さを薄くするか、誘電率の高い材質を用いるなどの手段によりLED実装部以外の配線部分と導電部4の間の分布容量を増大させることにより、ノイズ電圧をバイパスさせても良い。

4 引用文献4
引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【0012】
<実施の形態1>
図1(a)は、実施の形態1に係る発光装置の全体の外観を示す概略斜視図であり、図1(b)は、その構成を示す概略斜視図である。図2(a)は、図1の発光装置の内部の構造を示す概略斜視図であり、図2(b)はその概略側面図である。図3は、本発明の発光装置の要部を説明するための概略斜視図である。また、図4(a)は、図1の発光装置の押さえ付け部材を示す概略斜視図であり、図4(b)はその概略正面図であり、図4(c)は図4(b)におけるA-A断面を示す概略横断面図であり、図4(d)は図4(b)におけるB-B断面を示す概略横断面図である。さらに、図5(a)は、図1の発光装置の光源と押さえ付け部材との関係を示す概略斜視図であり、図5(b)はその概略縦断面図である。
【0013】
図1(a)に示すように、実施の形態1に係る発光装置100は、一方向に延伸された長尺な形状を有する。図1(b)や図2に示すように、本発光装置100は、主として、放熱部材40と、この放熱部材上に載置され、間隔dで配列された複数の光源10を上面に有する基板20と、放熱部材に保持され、基板を覆うカバー部材30と、基板とカバー部材の間に介在し、基板を放熱部材に対して押さえ付ける押さえ付け部材50と、により構成されている。以下、基板面に平行な、本発光装置の長手方向をx方向(x軸)、それに垂直な短手方向をy方向(y軸)とし、xy平面に垂直な高さ方向をz方向(z軸)として説明する。なお、xy平面のz方向からの視点を「平面視」とし、また「横断面」はz軸を含む面(主としてyz面)に平行な断面であり、「縦断面」はxy面に平行な断面である。」

(2) 「【0036】
(光源)
光源10は、例えばLED素子やLD素子等の半導体発光素子、有機EL素子(Organic Electro-Luminescence)など、当該分野で使用されている発光素子を用いることができる。また光源10は、このような発光素子を直接基板20に実装してもよいし、発光素子がセラミックや樹脂のパッケージ基体に配置された表面実装型(Surface Mount Device:SMD)や、リードフレームに配置された発光素子がガラスや樹脂の被覆部材で覆われた砲弾型(ランプタイプ)等の発光装置を用いてもよい。また、その基体や被覆部材には、波長変換部材(例えば、アルミニウム酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、シリケート系蛍光体など)や光拡散部材(例えば、アルミナやシリカ、酸化チタンなど)を含有させることができる。さらに、発光波長域の異なる(例えば赤・緑・青(RGB)の各波長域で発光する)複数の発光素子を組み合わせてもよい。このほか光源10は、ハロゲンランプ等の電球を用いることもできる。光源10は、基板20の上面に所定の間隔で配列されるが、このときAg,Au,Sn等の導電性の接合部材によって基板20の配線と電気的に接続される。
【0037】
(基板)
基板20は、光源10やコネクタ29等の電子部品が配置され、さらにそれらの電子部品と電気的に接続される配線が形成された回路基板である。基板20としては、機械的強度および熱伝導性が高く、熱変形の少ない材料を用いるのが好ましい。具体的には、セラミック、ガラス、ガラスエポキシ、アルミニウム合金等を用いたプリント配線基板が好適に利用される。また、実施の形態1の発光装置100における基板20は、x方向に長い矩形状であるが、その形状、数は限定されず、例えば略正方形のものを複数枚並べて配置してもよいし、後述の実施の形態2のように円形状であってもよい。基板20の厚さは、例えば0.6mm以上2mm以下程度である。さらに、基板20は、外部電源と電気的接続を可能にする配線及びコネクタ29(図2(a)参照)を有しており、光源10と同様にコネクタ29が配線と電気的に接続されている。このコネクタ29は、基板20のx方向の端部に設けられていることが、外部電源と接続しやすく、x方向に複数の基板20が並べられる場合その各基板を直列接続しやすいため、好ましい。また発光装置を複数設ける際にも、各発光装置を直列接続しやすい。さらに、基板10の下面に、放熱性に優れるグリスや両面テープを設けて放熱部材40との隙間を埋めてもよく、銅やアルミニウム合金等の金属板を接合してもよい。
(略)
【0039】
(放熱部材)
放熱部材40は、基板20を載置する台座となる部材である。放熱部材40は、熱伝導性に優れた材料により構成されることが好ましい。例えば金属板、より詳細にはアルミニウム合金やステンレス鋼、鉄、銅等の金属材料を板金加工したものや、アルミニウム合金を押し出し加工したものに塗装及びアルマイト処理を施したもの等が挙げられる。図1?5に示す例の発光装置における放熱部材40は、板状体であるが、その形状は限定されず、ブロック状のものでもよいし、基板20を収容する箱状のものでもよい。また、所謂ヒートシンクのように、表面積を増大させ効率良く放熱するために、下面(裏面)側に多数の突起(フィン等)が設けられた、図7に示す例の放熱部材43,44であってもよい。
【0040】
(押さえ付け部材)
押さえ付け部材50は、基板20とカバー部材30との間に介在し、基板20を放熱部材40に対して押さえ付けられる部材であればよく、種々の材料により形成できる。例えばポリカーボネート、ABS、アクリル、PA、PBT等の樹脂材料は、比較的成形加工しやすく、また基板20の配線や光源10等に対する絶縁性の観点でも好ましい。また必須ではないが、押さえ付け部材50は、それ自体が弾性を有することが好ましく、その観点でも上記のような樹脂材料が好ましい。このほか、例えばバネ用の炭素鋼・銅合金・ステンレス等の金属材料により形成することもできる。なお、押さえ付け部材50を光反射体とする場合には、ポリカーボネート、ABS、アクリル等の樹脂成型体に光反射性の高いアルミニウムや銀等の金属膜を蒸着、鍍金したもの、若しくはアルミニウム板材等をプレス加工したもの、により形成することができる。さらに、反射面にはブラスト加工などの粗面化処理を施し、光拡散効果を持たせてもよい。」

5 引用文献5
引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1) 「[0162] 一般的に、発光装置のセラミック基板とヒートシンクとを接触させる場合、どちらの表面も鏡面ではなく、比較的粗い面となっている。そのため、通常、セラミック基板及びヒートシンクの互いに対向する面には、それぞれ細かな凹凸が存在するので、放熱性が低下する。
[0163] 図27を参照して、より詳細に説明する。従来の一般的な照明装置では、表面の凹凸の存在によってセラミック基板172とヒートシンク2200との接触は面接触ではなく凹凸部分での点接触(破線内の領域E1及びE2参照)となっている。この場合、点接触以外の部分に関しては空隙となり、セラミック基板172とヒートシンク2200との界面には空気が介在する。これにより、接触熱抵抗が上昇する一方、熱伝導率は低下する。その結果、効率の良い放熱が得られない。
[0164] そのため、セラミック基板とヒートシンクとの間には大きな空隙が存在しないことが好ましい。ここで、従来の一般的な照明装置において、セラミック基板とヒートシンクとの間に、TIMからなる熱伝導材を配することによって、この熱伝導材で空隙を埋めて、接触熱抵抗を高める方法を用いることもできる。しかし、TIMは一般的にヒートシンク及びセラミック基板に比べて熱伝導性が劣るため、図27に示すように、セラミック基板172とヒートシンク2200との界面に大きな空隙が形成されていると、そこに入るTIMが多くなり熱伝導性は悪くなる。」

第5 対比・判断
1 対比
本願発明1と引用文献1発明とを対比する。

(1) 引用文献1発明の「各々が連続的に直列結合された1個?「m」個のLED140を備え、入力側のノードと出力側のノードを有するLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))」は、本願発明1の「それぞれが1つ以上のLEDからなる複数のLEDアレイ、入力ノード、及び出力ノードを含むLEDブロック」に相当する。

(2) 本願発明1の「前記LEDブロックの入力ノードに供給される電源の電圧レベルによって前記LEDアレイが順次動作するように電流経路を制御する複数のスイッチングユニットからなるドライバーIC」と、
引用文献1発明の「入力電圧レベルV_(IN)が高くなるにつれて、追加的なLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を電流経路に含められるように切り替えるコントローラ120I」、及び、「抵抗器340(340_(1)?340_(n-1))がFETスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))に直列に接続され、かつ対応する電圧レベルまたは電流レベルがコントローラ120Iにフィードバックとして供給され、それによって、各LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を通る電流レベルのような追加的な情報がコントローラ120Iに供給され、かつLEDセグメント175としてのスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))が、直列LED140電流経路に含められるように切り替えられるかあるいは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えられ」る構成とを対比する。

引用文献1発明の「LEDセグメント175」は、LED140が直列接続されており、各々のLEDセグメント(175_(1)?175_(n))を電流経路に含めるか除外することにより、入力電圧レベルV_(IN)に応じて、順次点灯動作するように電流経路を制御するものである。

そして、引用文献1発明の「入力電圧レベルV_(IN)」は、LEDセグメント175に入力される電圧レベルであり、電源である整流AC線電圧に相当するものである。

よって、両者は、「LEDブロックの入力ノードに供給される電源の電圧レベルによってLEDアレイが順次動作するように電流経路を制御する複数のスイッチからなる部材」という点で一致する。

(3)本願発明1の「前記LEDアレイが順次動作するように前記LEDブロックの入力ノードに供給される電源の電圧レベルを検出する電圧検出部」と、
引用文献1発明の「抵抗器340(340_(1)?340_(n-1))がFETスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))に直列に接続され、かつ対応する電圧レベルまたは電流レベルがコントローラ120Iにフィードバックとして供給され、それによって、各LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を通る電流レベルのような追加的な情報がコントローラ120Iに供給され、かつLEDセグメント175としてのスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))が、直列LED140電流経路に含められるように切り替えられるかあるいは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えられ」る構成とを対比する。

引用文献1発明の「抵抗器340(340_(1)?340_(n-1))」は、LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を順次動作するように電圧レベルを検出する機能を有しているから、
両者は、「前記LEDアレイが順次動作するように電圧レベルを検出する電圧検出部」という点で一致する。

(4) 本願発明1の「過電圧が印加されると、前記電圧検出部でこれを検知し、電流が流れて回路を保護するための過電圧保護抵抗」と、
引用文献1発明の「前記入力電圧レベルV_(IN)および入力330_(n)における直列抵抗器340_(n)からのノード電圧のフィードバックによって、コントローラ120Iが、スイッチ310_(n)のゲート電圧を調整することによって、過度の電流が直列LED140電流経路内のLEDセグメント175を通って流れるのを防止する」構成とを対比する。

引用文献1発明の「直列抵抗器340_(n)」は、過電圧がLEDセグメントにかかることにより、過度の電流が流れることは当然のことであり、コントローラ120Iが検知した入力電圧レベルV_(IN)および入力330_(n)における直列抵抗器340_(n)からのノード電圧のフィードバックによって、「過度の電流が直列LED140電流経路内のLEDセグメント175を通って流れるのを防止する」機能を有していることからみて、
両者は、「過電圧が印加されると、検知し、電流が流れて回路を保護するための過電圧保護抵抗」である点で一致する。

(5) 引用文献1発明の「装置1000」は、LEDを有する装置であるため、本願発明1の「発光装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用文献1発明との間には、次の一致点、相違点がある。

(一致点)
「 それぞれが1つ以上のLEDからなる複数のLEDアレイ、入力ノード、及び出力ノードを含むLEDブロックと、
前記LEDブロックの入力ノードに供給される電源の電圧レベルによって前記LEDアレイが順次動作するように電流経路を制御する複数のスイッチからなる部材と、
前記LEDアレイが順次動作するように電圧レベルを検出する電圧検出部と、
過電圧が印加されると、検知し、電流が流れて回路を保護するための過電圧保護抵抗とを含む、
発光装置。」

(相違点1)
LEDブロックの入力ノードに供給される電源の電圧レベルによってLEDアレイが順次動作するように電流経路を制御する複数のスイッチからなる部材が、
本願発明1では、「複数のスイッチングユニットからなるドライバーIC」であるのに対し、
引用文献1発明では、「FETスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))」であり、「スイッチングユニット」からなる「ドライバーIC」と限定されていない点。

(相違点2)
前記LEDアレイが順次動作するように電圧レベルを検出する電圧検出部が、本願発明1では、「前記LEDアレイが順次動作するように前記LEDブロックの入力ノードに供給される電源の電圧レベルを検出する電圧検出部」を有しているのに対し、
引用文献1発明では、「対応する電圧レベルまたは電流レベルがコントローラ120Iにフィードバックとして供給され、それによって、各LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))を通る電流レベルのような追加的な情報がコントローラ120Iに供給される」、「抵抗器340(340_(1)?340_(n-1))」である点。

(相違点3)
過電圧保護抵抗(直列抵抗器340n)が動作する過電圧を印加されたことを検知する手段が、本願発明1では、「電圧検出部」であるのに対し、引用文献1発明では、「入力電力レベルV_(IN)および入力330_(n)における直列抵抗器340_(n)からのノード電圧のフィードバック」によるものである点。

(相違点4)
本願発明1では、「前記LEDブロックの出力ノードと接地との間に接続される出力ノードバイパス容量性素子」、「前記LEDブロックの入力ノードと接地との間に接続される入力ノードバイパス容量性素子」、及び、「前記LEDアレイ間の中間ノードと接地との間に接続される中間ノードバイパス容量性素子」を備え、
「前記中間ノードバイパス容量性素子は前記ドライバーICを構成する前記複数のスイッチングユニットが接続された前記中間ノード各々に接続され」るのに対し、
引用文献1発明では、バイパス容量性素子を備えない点。

(相違点5)
本願発明1では、「前記LEDが実装される基板と、電源の供給時に前記LEDが動作するときに発生した熱を前記基板から受けて外部に放出するヒートシンクと、前記基板と前記ヒートシンクとの間に圧縮状態で介在する熱伝達物質(TIM:thermal interface material)と、を備えているのに対し、引用文献1発明では、「基板」、「ヒートシンク」、「熱伝達物質」を備えない点。

(相違点6)
本願発明1では、「前記熱伝達物質(TIM)と前記基板との間、又は前記熱伝達物質(TIM)と前記ヒートシンクとの間に、前記基板側の界面粗さ又は前記ヒートシンク側の界面粗さによるエアギャップが存在し、
前記エアギャップのバレー内の体積に対する体積比率は、前記電源の供給時に前記エアギャップから発生する火花放電が抑制される量に制限され、
前記基板側の界面粗さのプロファイルは、前記基板側の界面の平均高さに対してピークとバレーを含み、前記平均高さを基準にして前記基板のバレー内の体積に対する前記エアギャップの体積比率が40%未満であり、
前記ヒートシンク側の界面粗さのプロファイルは、前記ヒートシンク側の界面の平均高さに対してピークとバレーを含み、前記平均高さを基準にして前記ヒートシンクのバレー内の体積に対する前記エアギャップの体積比率が40%未満である」のに対し、引用文献1発明は、そのようなものではない点。

2 判断
(1) 上記(相違点1)について
複数のスイッチを他の回路とともに集積化し、ICユニットとして構成することは、引用文献2に記載されているように周知の技術であり、個々のスイッチはICユニット内でスイッチのユニットとして存在しているといえる。

したがって、引用文献1発明のFETスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))の具体的な構成として、上記周知のICユニットを採用し、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(2) 上記(相違点2)及び(相違点3)
引用文献1の【0077】には、入力電圧レベルV_(IN)が検出可能な位置であるLEDセグメント175の入力側のノード131に電圧センサを配置することが記載されている。
そして、引用文献1発明の装置1000は、入力電圧レベルV_(IN)が高くなるにつれて、追加的なLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))が電流経路に含められるように切り替えるものである。
したがって、上記記載を参酌して、引用文献1発明の「抵抗器340(340_(1)?340_(n-1))」で電圧レベルを検出することに代えて、入力電圧レベルV_(IN)を直接検出する電圧センサを採用して、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

同様に、引用文献1発明の「入力電力レベルV_(IN)および入力330_(n)における直列抵抗器340_(n)からのノード電圧のフィードバックによって、コントローラ120Iが、スイッチ310_(n)のゲート電圧を調整することによって、過度の電流が直列LED140電流経路内のLEDセグメント175を通って流れるのを防止する」構成において、過度の電流が直列LED140電流経路内のLEDセグメント175を通って流れるのを防止するものであることからみて、入力電圧レベルV_(IN)を直接検出するように設計することに技術的な困難性があるとはいえない。
したがって、引用文献1発明の直列抵抗器340_(n)が動作する過電圧を印加されたことを検知する手段として、入力電圧レベルV_(IN)を直接検出する電圧センサを採用して、相違点3に係る本願発明1の発明特定事項となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(3) 上記(相違点4)について
複数のLEDから構成されるLEDユニットへのノイズ電圧の印加を防止するために、前記LEDユニットと接地(アース)との間に容量性素子であるノイズ電圧バイパス用のコンデンサを配置することは、引用文献3に記載されているように周知の技術である。

したがって、引用文献1発明の各LEDセグメントに、各LEDセグメントのノイズ電圧の印加を防止するためのコンデンサを配置するのであれば、各LEDセグメントの接続部に配置することは、当業者であれば容易になし得たことである。

そして、引用文献1発明では、「LEDセグメント175としてのスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))が、直列LED140電流経路に含められるように切り替えられるかあるいは直列LED140電流経路から除外されるように切り替えられる」動作を行うために、「スイッチ310(310_(1)?310_(n-1))」は、「LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))」間に接続されているから、上記各LEDセグメントの接続部には、スイッチ310(310_(1)?310_(n-1))が接続されている。

よって、引用文献1発明において、LEDセグメント175の両端部に、ノイズ電圧の印可を防止するためのコンデンサを配置し、各LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))間であるとともにスイッチ310(310_(1)?310_(n-1))が接続される位置に、ノイズ電圧の印加を防止するためにコンデンサを配置し、各々を接地(アース)するように設計して、相違点4に係る本願発明1の発明特定事項となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(4) 上記(相違点5)について
引用文献4には、LED素子等の半導体発光素子を基板に実装し、基板の下面に放熱性に優れるグリスや両面テープを設けてヒートシンク等の放熱部材を接合する構成が記載されている。
また、放熱性に優れるグリスや両面テープは、放熱性に優れるという点で、熱伝達物質の一種であるといえる。

引用文献1発明において、LEDセグメント175(175_(1)?175_(n))はLED140を備えたものであり、LEDの放熱を行うことが好ましいことは技術常識であるから、引用文献1発明のLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))に対して、引用文献3に記載された、LED素子を基板に実装し、前記基板の下面にグリスや両面テープ等の熱伝達物質を介して、ヒートシンクを接合する構成を適用して、相違点5に係る本願発明1の発明特定事項となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(5) 上記(相違点6)について
引用文献5には、次の技術事項が記載されている。
a 発光装置の基板とヒートシンクとを接続する際に、前記基板と前記ヒートシンクの互いに対向する面に存在する凹凸により放熱性が低下するため、前記基板と前記ヒートシンクとの間に大きな空隙が存在しないことが望ましい。
b 従来の一般的な照明装置において、セラミック基板とヒートシンクとの間に、TIMからなる熱伝導材を配することによって、この熱伝導材で空隙を埋めて、接触熱抵抗を高める方法を用いることもできる。

上記「b」の技術事項により、基板とヒートシンクとの間に空隙が生じないように熱伝導材を基板とヒートシンクとの間に熱伝導材を配する際に、上記「a」の技術事項に基づき、熱伝導材と基板、及び、熱伝導材とヒートシンクとの間に空隙が生じない、すなわち、空隙の体積が0に近くなるように設計することは、当業者の通常の創作活動の範囲でなし得ることである。

そして、ヒートシンクは、放熱性を高めるために基板に接合されるのであるから、引用文献4に記載された基板とヒートシンクとの間の接続技術を引用文献3に記載された基板とヒートシンクとの接合技術とともに用いることは、ヒートシンクを基板に接合する目的からみて、特段の技術的な困難性があるとはいえない。

また、上記のように基板と熱伝達物質の間の空隙、及び、ヒートシンクと熱伝達物質の間の空隙の各々の体積が0に近くなるように構成するのであれば、本願の明細書の段落【0006】に記載された「エアギャップが一定水準以上に存在する場合、電源供給時に、電子が両極に引き寄せられて加速され、電子と衝突した空気分子がイオン化し、その結果、火花放電が発生する。」現象が発生しないものであり、空隙をできる限り小さくすることにより、「前記基板側の界面粗さのプロファイルは、前記基板側の界面の平均高さに対してピークとバレーを含み、前記平均高さを基準にして前記基板のバレー内の体積に対する前記エアギャップの体積比率が40%未満であり、
前記ヒートシンク側の界面粗さのプロファイルは、前記ヒートシンク側の界面の平均高さに対してピークとバレーを含み、前記平均高さを基準にして前記ヒートシンクのバレー内の体積に対する前記エアギャップの体積比率が40%未満」である条件を満たすものといえる。
そして、前記体積比率が「40%未満」という範囲についても、明細書の記載からみて臨界的意義があるものともいえない。

よって、上記(エ)で検討したとおり、引用文献1発明のLEDセグメント175(175_(1)?175_(n))に対して、引用文献3に記載された、LED素子を基板に実装し、前記基板の下面にグリスや両面テープ等の熱伝達物質を介して、ヒートシンクを接合する構成を適用する際に、引用文献4に記載された上記技術事項をもとに、基板と熱伝達物質の間の空隙、及び、ヒートシンクと熱伝達物質の間の空隙の各々の体積が0に近くなるように構成して、相違点6に係る本願発明1の発明特定事項となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(6) 審判請求人の主張及び当該主張についての当審の判断
ア 審判請求人の主張
審判請求人は、平成30年6月6日に提出された当審拒絶理由通知に対する意見書の「[3] 出願人の対応」で、
「審判長殿のご指摘はその通りでありますが、補正した請求項1に係る発明は、
「中間ノードバイパス容量素子」が、「LEDアレイ」間の中間ノードであって、且つ、「スイッチングユニット」が接続されている中間ノードに接続されている場合に限定するものであります。
(a)(b)の補正は、図4、図5の実施形態を根拠とします。
この構成は、引用文献1?6の何れにも記載されていない本願独自のものであって
その結果、明細書段落[0032]に記載の
『高周波成分がバイパスされる経路を有する発光装置を提供することにより、熱伝達物質(TIM)を介在した状態で基板とヒートシンク間を組み立てる際に発生する組立不良に伴い発生する火花放電による電磁ノイズに含まれる高周波成分から、基板上に実装されているLEDを含む様々な部品を保護する効果を奏する』レベルを一層向上するものであります。」と主張している。

イ 審判請求人の主張に対する判断
上記(3)で検討したとおり、引用文献1発明のLEDセグメントにおいて、中間ノードに相当する位置には、スイッチが接続されているから、周知のノイズ電圧バイパス用のコンデンサを、各LEDセグメントのノイズ電圧の印加を防止するために、当該中間ノードに相当する位置に適用し、「中間ノードバイパス容量素子」が、「LEDアレイ」間の中間ノードであって、且つ、「スイッチングユニット」が接続されている中間ノードに接続されているものを構成することは、当業者であれば容易になし得たことである。
そして、効果に関しても、周知のノイズ電圧バイパス用のコンデンサは、ノイズ電圧の印加を防止するものであるから、上記主張の効果を有しており、格別なものではない。

したがって、上記主張は採用できない。

(7) 小括
したがって、本願発明1は、引用文献1発明、及び、引用文献2?5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1発明、及び、引用文献2?5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明において検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-08-31 
結審通知日 2018-09-04 
審決日 2018-09-18 
出願番号 特願2016-91544(P2016-91544)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 英昭大西 孝宣金高 敏康  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 居島 一仁
近藤 幸浩
発明の名称 発光装置  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  

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