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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G
管理番号 1348447
審判番号 不服2018-1361  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-01 
確定日 2019-02-19 
事件の表示 特願2016-543612「太陽エネルギーの収集効率向上のための画像修正方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日国際公開、WO2015/103769、平成29年 5月18日国内公表、特表2017-512316、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成26年1月10日(国際出願)
拒絶査定: 平成29年9月29日(送達日:同年10月6日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成30年2月1日
手続補正: 平成30年2月1日 (以下、「補正1」という。)
拒絶理由通知: 平成30年12月12日
(以下、「当審拒絶理由」という。発送日:同年同月13日)
手続補正: 平成30年12月19日(以下、「本件補正」という。)


第2 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
少なくとも一部が反射型である、ユーザインタフェースのスクリーンに画像を表示することと;
前記ユーザインタフェースに光が当たっていると決定することと;
前記ユーザインタフェースに光が当たっていると決定したことに応答して、前記光のうち反射して収集される割合を高めるために、前記少なくとも一部が反射型であるスクリーンに表示される画像を修正することと;
を含み、
ここで前記画像は太陽電池の後ろから表示されると共に、前記太陽電池により前記画像の見易さが阻害されることを低減するように、前記太陽電池の間を覆って配されるレンズを通じて表示され、
さらに、前記スクリーンは複数の画素を備え、前記画像を表示することはグレースケール画像を表示することを含み、前記画像を修正することは、前記画素のうち白にする割合を高くすることと、前記グレースケール画像を全体的に明るい色調で表示することとを含む、
方法。
【請求項2】
処理手段及び記憶手段を備える装置であって、前記記憶手段はプログラム命令を格納し、前記プログラム命令は、前記処理手段に実行されると、前記装置に、請求項1の方法を遂行させるように構成される、装置。
【請求項3】
前記装置は携帯デバイスとして具現化され、前記携帯デバイスは更に、
スクリーンと、
複数の太陽電池であって、前記修正の後、前記少なくとも一部が反射型であるスクリーンから反射された光の少なくとも一部を集めるために、前記スクリーンを少なくとも一部覆う、前記太陽電池と、
を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の太陽電池は複数の両面太陽電池を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に、請求項1に記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項6】
少なくとも一部が反射型である、ユーザインタフェースのスクリーンに画像を表示する
手段と;
前記ユーザインタフェースに光が当たっていると決定する手段と;
前記ユーザインタフェースに光が当たっていると決定したことに応答して、前記光のうち反射して収集される割合を高めるために、前記少なくとも一部が反射型であるスクリーンに表示される画像を修正する手段と;
前記スクリーンの上で前記画像を拡大する手段と;
を備える装置であって、前記画像は太陽電池の後ろから表示され、前記拡大する手段は、前記太陽電池の間を覆って配されるレンズを通じて前記画像を表示するように構成され、さらに、前記スクリーンは複数の画素を備え、前記画像を表示する手段はグレースケール画像を表示するように構成され、前記画像を修正する手段は、前記画素のうち白にする割合を高くすると共に、前記グレースケール画像を全体的に明るい色調で表示するように構成される、装置。」


第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許出願公開第2014/0009507号明細書)には、次の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。)

「【0033】 An (a) in FIG. 1 is a display apparatus in an embodiment of the invention in a state of non-high efficiency charging mode, and a (b) is image content displayed by a display module of the (a) in non-high efficiency charging mode. An (a) in FIG. 2 is a display apparatus in an embodiment in FIG. 1 in a state of high efficiency charging mode, and a (b) is image content displayed by a display module of the (a) in high efficiency charging mode.」
(当審訳「 図1(a)は、非高効率充電モード状態の、本発明実施例の表示装置であり、(b)は非高効率充電モードで(a)の表示モジュールによって表示された画像コンテンツである。図2(a)は、高効率充電モード状態の、図1の実施例の表示装置であり、(b)は、高効率充電モードで(a)の表示モジュールによって表示された画像コンテンツである。」)

「【0035】 In the embodiment, the display module 110 is a reflective display module, and the solar cell module 120 is a transmission solar cell module. In other words, the display module 110 may reflect an ambient light L and the solar cell module 120 may be transmitted by the ambient light L. In addition, the solar cell module 120 in the embodiment is disposed at one side of a reflective light emitting surface of the display module 110 , ・・・As a result, the ambient light L being reflected may serve as the charging light Lc for the solar cell module 120 to proceed to charge, which further enhances the efficiency of charging for the solar cell module 120 .」
(当審訳「一実施形態では、表示モジュール110は、反射型表示モジュールであり、太陽電池モジュール120は、透過型太陽電池モジュールである。換言すれば、表示モジュール110は、周囲光Lを反射することができ、太陽電池モジュール120は、周囲光Lにより透過されうる。さらに、本実施形態においては、太陽電池モジュール120は、表示モジュール110の反射発光面の一側に配置されており、・・・その結果、反射された外光Lは、太陽電池モジュール120の充電の効率をさらに向上させた充電を進めるために、太陽電池モジュール120の充電光Lcとして機能しうる。」)

「【0037】 Next, please refer to the (a) in FIG. 2 , when the display apparatus 100 is in high efficiency charging mode, the image content V displayed by the display module 110 presents high efficiency image content W, which is an image more likely to reflect the ambient light L, such as the (b) in FIG. 2 , the high efficiency image content W is, for example, a white color image. ・・・According to the aforementioned, when the display apparatus 100 is in high efficiency charging mode, it is equivalent to that the ambient light L is being used twice for enhancing the efficiency of charging for the solar cell module 120 .」
(当審訳「次に、図2の(a)を参照すると、表示装置100が高効率の充電モードである場合、表示モジュール110によって表示される画像コンテンツVは、高効率画像コンテンツWを提供し、これは周囲光Lをより反射させやすい画像であり、図2(b)のように、高効率画像コンテンツWは、例えば白色画像である。・・・上記のように、表示装置100が高効率充電モードにあることは、周囲光Lが太陽電池モジュール120の充電効率向上のために2度使用されることに相当する。」)

「【0039】 To be specific, the display apparatus 100 may further includes a detection unit 130 disposed on the display module 110 or on the solar cell module 120 . ・・・Furthermore, the detection unit 130 may detect a system state of the display apparatus 100 and an intensity of the ambient light L. When the system state of the display apparatus 100 or the intensity of the ambient light L meets the conditions of getting into the high efficiency charging mode, the detection unit 130 outputs the high efficiency image control signal F, so as to enable the display module 110 to display the high efficiency image content W.」
(当審訳「具体的には、表示装置100は、表示モジュール110上に、または太陽電池モジュール120上に配置された検出部130をさらに備えてもよい。・・・また、検出部130は、ディスプレイ装置100のシステム状態および周囲光Lの強度の検出を行うことができる。表示装置100のシステム状態又は周囲光の強度が高効率充電モードに突入する条件を満たした際に、検出手段130は高効率画像制御信号Fを出力し、表示モジュール110が高効率の画像コンテンツWを表示できるようにする。」)

「【0040】 ・・・In addition, with regard to the intensity of the ambient light L, when the detection unit 130 detects that the intensity of the ambient light L is too weak, for example, when the display apparatus 100 gets into a dark place, the detection unit 130 may output the high efficiency image control signal F.」
(当審訳「・・・加えて、周囲光Lの強度に関し、例えば表示装置100が暗い場所に入るときなど、検出部130が周囲光Lの強度があまりにも弱いことを検出するとき、検出部130は高効率画像制御信号Fを出力するかもしれません。」)

「【0055】 To be specifically, the step S 1200 further includes judging if the display apparatus is in a low power state, if the display apparatus is in a standby state, if the display apparatus is set to high efficiency charging mode, if the way the display apparatus is placed matches a predetermined way of placing, or if an intensity of an ambient light is too low (as the step S 1240 shown in FIG. 7B ).」
(当審訳「具体的には、ステップS1200は、表示装置が低電力状態にあるかどうか、表示装置がスタンバイ状態であるかどうか、表示装置が高効率充電モードに設定されているかどうか、・・・または周囲光の強度が低すぎるかどうか(図7Bに示すステップS1240)、の判定を更に含む。」)

「【0060】 Or for example, a display apparatus 100 B is a mobile phone having a transflective liquid crystal screen. In order to make the lasting time of the mobile phone last longer, a user manually activates the high efficiency charging mode of the mobile phone. An image of the mobile phone is therefore adjusted to a form with more white level.」
(当審訳「または例えば、表示装置100Bは、半透過反射型の液晶画面を有する携帯電話である。携帯電話の持続時間を長く持続させるためには、ユーザは携帯電話の高効率充電モードを手動で起動させる。携帯電話の画像はより白いレベルの形態に調節されている。」)


したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「反射型表示モジュールである表示モジュール110によって高効率画像コンテンツWを表示し、(【0035】,【0037】)
表示モジュール110上に配置された検出部130により周囲光Lの強度の検出を行い(【0039】)、検出部130が周囲光Lの強度があまりにも弱いことを検出するとき、検出部130は高効率画像制御信号Fを出力し(【0040】)、
高効率画像コンテンツWは周囲光Lをより反射させやすい画像であり(【0037】)、反射された外光Lは、太陽電池モジュール120の充電の効率をさらに向上させた充電を進めるために、太陽電池モジュール120の充電光Lcとして機能し(【0035】)、また画像はより白いレベルの形態に調節され(【0060】)たものであり、
太陽電池モジュール120は、表示モジュール110の反射発光面の一側に配置される(【0035】)、
方法。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(米国特許出願公開第2011/0195723号明細書)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0076】 Referring to FIG. 4 , screen view [a] shows a background screen in the normal mode. This background screen is composed chiefly of red, blue and white. On the other hand, screen view [b] of FIG. 4 shows a background screen in the eco mode which is composed chiefly of black. The control unit 160 enables the display unit 150 to display a relatively increased black portion of the screen in the eco mode, thus reducing power consumption.」
(当審訳「図4を参照すると、スクリーンビュー[a]が通常モードで背景画面を示す図である。この背景画面は、赤色、青色および白色によって主に構成される。一方、図4のスクリーンビュー[b]は、黒色によって主に構成されるエコモードで背景画面を示す図である。制御部160は、表示部150がエコモード画面で比較的高い黒の部分を表示するのを可能にすることから、消費電力を低減することができる。」)

3.引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2006-53206号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0004】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、コレステリック液晶パネルを透過した光で太陽電池パネルに発電を行わせるようになっているため、反射型表示装置に黒色の文字と白色の背景部とからなる白黒の画像を表示させている場合、つまり、光を透過する画素の数が少ない場合には、太陽電池パネルによる発電量が小さくなってしまう恐れがあった。
本発明は、上記従来技術の未解決の問題点を解決することを目的とするものであって、太陽電池パネルによる発電量の増加の必要に応じて当該発電量を増加可能な反射型表示装置を提供することを課題とする。」

「【0050】
そのため、表示面積変更処理で、前記ステップS101及びS102の判定が「Yes」となり、コンテンツ表示部13に表示されているコンテンツの全画素の明るさの平均値が全階調数の半分値以上であると、つまり、背景部を表示している画素の数が全画素数の半分値以上であるとすると、ステップS201の判定が「Yes」となり、ステップS202で、階調反転表示指令がコレステリックLCDコントローラ5に出力され、ステップS105の判定が「No」となり、上記フローが前記ステップS101から繰り返される。そして、コレステリックLCDコントローラ5によって、画像データ入力I/F4から入力される画像データに基づいて第4の行ドライバ駆動指令と第4の列ドライバ駆動指令とが生成され、その第4の行ドライバ駆動指令と第4の列ドライバ駆動指令とが行ドライバ21と列ドライバ22とに出力される。そして、行ドライバ21と列ドライバ22とによって、その第4の行ドライバ駆動指令と第4の列ドライバ駆動指令とに従って、それまで背景部を表示させていた画素に所定電圧が印可され、当該画素が透明とされ、また、それまでの画像データ対応画素に当該画素による反射光の色(白濁色)が表示される。その結果、その透明な画素に黒色が表示されることで、図9(b)に示すように、コンテンツ表示部13にコンテンツが反転表示される。
【0051】
また、コンテンツ表示部13にコンテンツが反転表示されると、それまでコンテンツの背景部を表示させていた画素に入射した光がほぼそのままの強さで透過し、また、それまでの画像データ対応画素に入射した光が弱められて透過し、それらを透過した光、つまり、コンテンツ表示部13に通常の階調でコンテンツを表示させた場合より強い光が太陽電池パネル15に入射する。そして、太陽電池パネル15によって、その入射した光のエネルギーが電気エネルギーに変換され、その電気エネルギーが蓄電池7に蓄えられる。」

4.引用文献4について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開平11-265172号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0058】表示画像の空間、時間周波数の低減以外にも、液晶表示パネル1の表示モードがノーマリホワイトかノーマリブラックかで表示画像のネガとポジ表示を反転することも消費電力低減に効果がある。すなわち、ノ一マリブラックの表示モードの場合は液晶パネルに印加する信号は黒表示の画像の信号振幅が小さく、白表示の信号振幅が大きい。したがって、ワードプロッセッサの画面表示の場合の様に白い背景に黒い文字を表示するような場合は、信号振幅の大きい領域が多いため消費電力が大きい。このような場合には、表示画像を反転させて、つまりポジ画像をネガ表示させた方が消費電力低の効果が大きい。」

5.引用文献5について
また、原査定において周知技術を示す文献として新たに引用された引用文献5(特開平5-61033号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】液晶テレビ等で用いられる液晶表示装置は、一般に、液晶表示パネル(液晶セル)の表裏両面に偏光板が配置され、その裏面側にバックライトまたは反射板が配置された構造となっている。このような液晶表示装置には、視野角の拡大を図るために、液晶表示パネルの表面側にすりガラスの如き光散乱板等からなる視野角拡大板を配置し、また画像の拡大を図るために、液晶表示パネルの表面側にフレネルレンズ等からなる画像拡大板を配置したものがある。」

「【0008】なお、上記実施例では、1つの液晶表示パネル1の表面側に1つの視野角及画像拡大板5を配置しているが、1枚の画像を複数の液晶表示パネルで表示するような大シネラマパネルにも適用することができる。例えば、図3および図4に示すように、9つの液晶表示パネル1を同一平面の左右方向および上下方向にそれぞれ3つずつ並べて配置し、各液晶表示パネル1の表面側に9つの視野角及画像拡大板5をその各頭部21a側を互いに密着させて配置し、9つの液晶表示パネル1の裏面側に1つの大きなバックライト4を配置した構成とすることもできる。この場合、9つの視野角及画像拡大板5によって左右方向の視野角および画像を拡大するようにすると、左右方向の液晶表示パネル1は所定の間隔をおいて配置され、上下方向の液晶表示パネル1は密着して配置されることになる。左右方向の液晶表示パネル1が所定の間隔をおいて配置されると、その間に隙間ができるが、視野角及画像拡大板5によって画像が左右方向に拡大されるので、液晶表示パネル1間の隙間は見えず、美しい画像が得られる。各液晶表示パネル1に図4において点線で示すような非表示領域を設けると、左右方向の液晶表示パネル1も密着させて配置することができるが、この場合も、各液晶表示パネル1の非表示領域が見えることはない。」


第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
まず、引用発明の「反射型表示モジュールである表示モジュール110」は、本願発明1の「少なくとも一部が反射型である、ユーザインタフェースのスクリーン」に相当するから、引用発明において「反射型表示モジュールである表示モジュール110によって高効率画像コンテンツWを表示」することは、本願発明1において「少なくとも一部が反射型である、ユーザインタフェースのスクリーンに画像を表示すること」に相当するといえる。
また、引用発明において、「高効率画像コンテンツW」は「周囲光Lをより反射させやすい画像であり、反射された外光Lは、太陽電池モジュール120の充電の効率をさらに向上させた充電を進めるために、太陽電池モジュール120の充電光Lcとして機能」するものであるから、本願発明1における「光のうち反射して収集される割合を高めるため」の画像に相当する。そうすると、引用発明において「より白いレベルの形態に調節」することにより「反射型表示モジュールである表示モジュール110によって高効率画像コンテンツWを表示」することは、本願発明1において「前記光のうち反射して収集される割合を高めるために、前記少なくとも一部が反射型であるスクリーンに表示される画像を修正すること」に相当するといえる。
次に、引用発明においては、「太陽電池モジュール120は、表示モジュール110の反射発光面の一側に配置され」ているのであるから、「表示モジュール110」によって表示される「高効率画像コンテンツW」が「太陽電池モジュール120」の後ろから表示されることは明らかであり、このことは本願発明1において「前記画像は太陽電池の後ろから表示される」ことに相当する。
さらに、引用発明の「表示モジュール110」は画像を表示するものであって、複数の画素を備えていることは明らかであるから、その表示する画像を「より白いレベルの形態に調節」するということは、前記画素のうち白にする割合を高くすることと、前記画像を全体的に明るい色調で表示することを含むものであることも当然といえる。そうすると、引用発明において「表示モジュール110によって高効率画像コンテンツWを表示」することが、「より白いレベルの形態に調節」することによる点と、本願発明1において「前記スクリーンは複数の画素を備え、前記画像を表示することはグレースケール画像を表示することを含み、前記画像を修正することは、前記画素のうち白にする割合を高くすることと、前記グレースケール画像を全体的に明るい色調で表示することとを含む」点とは、「前記スクリーンは複数の画素を備え、前記画像を修正することは、前記画素のうち白にする割合を高くすることと、前記画像を全体的に明るい色調で表示することとを含む」点で共通するといえる。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「少なくとも一部が反射型である、ユーザインタフェースのスクリーンに画像を表示することと;
前記光のうち反射して収集される割合を高めるために、前記少なくとも一部が反射型であるスクリーンに表示される画像を修正することと;
を含み、
ここで前記画像は太陽電池の後ろから表示され、
さらに、前記スクリーンは複数の画素を備え、前記画像を修正することは、前記画素のうち白にする割合を高くすることと、前記画像を全体的に明るい色調で表示することとを含む、
方法。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は「前記ユーザインタフェースに光が当たっていると決定すること」を含み、「前記ユーザインタフェースに光が当たっていると決定したことに応答して」画像を修正するものであるのに対し、引用発明は「表示モジュール110上に配置された検出部130により周囲光Lの強度の検出を行い、検出部130が周囲光Lの強度があまりにも弱いことを検出するとき、検出部130は高効率画像制御信号Fを出力」しており、「光が当たっていると決定する」ものではない点。

(相違点2)本願発明1において画像は、「前記太陽電池により前記画像の見易さが阻害されることを低減するように、前記太陽電池の間を覆って配されるレンズを通じて表示され」ているのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点3)本願発明1において、「画像を表示することはグレースケール画像を表示すること」であるのに対し、引用発明の「高効率画像コンテンツW」がグレースケール画像を含むか否かは不明である点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
相違点1に係る本願発明1の、「光が当たっていると決定」したことに応答して画像を修正する、という構成は、上記引用文献2ないし5のいずれにも記載も示唆もされておらず、また周知な技術事項であるともいえない。
また引用発明は、「例えば表示装置100が暗い場所に入るときなど」(【0040】)、「周囲光Lの強度があまりにも弱いことを検出するとき」に、「高効率画像制御信号Fを出力」して、「充電の効率をさらに向上させた充電を進めるために」、画像を「より白いレベルの形態に調節」するものであるから、逆に周囲光の強度が十分に強い場合には、画像を「より白いレベルの形態に調節」する必要がないものであるといえる。そうすると、引用発明において、本願発明1のように、「光が当たっている」場合(すなわち、当たっている光の強度がある程度以上である場合)に、「前記光のうち反射して収集される割合を高めるために」、画像を「より白いレベルの形態に調節」することは、当業者に動機付けられないことである。
したがって、上記相違点2、3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-5について
本願発明2-5は、本願発明1の方法を遂行させるように構成される装置、もしくはコンピュータプログラムの発明であり、本願発明1の上記相違点1に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明6について
本願発明6は、本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1の上記相違点1に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
1.理由1(特許法第36条第6項第2号)について
原査定の理由1は、請求項6,10の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、というものである。しかしながら、補正1及び本件補正による補正の結果、この拒絶の理由は解消した。したがって、原査定を維持することはできない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
原査定の理由2は、請求項1-11について上記引用文献1-5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、本件補正により補正された請求項1-6は、それぞれ上記相違点1に係る構成、もしくはそれに対応する構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-6は、当業者であっても、引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒絶理由(特許法第36条第6項第2号)について
a.当審では、請求項1,8の「・・・前記光のうち反射して収集を容易にする割合を高めるために、」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正において、「・・・前記光のうち反射して収集される割合を高めるために、」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

b.当審では、請求項2,3の「前記画像を修正することは、前記画像の背景を、前記画像の1つ又は複数の文字よりも明るくするように変更することを含む、」、「前記画像の背景を変更することは、前記画像の背景を白色に変更することを含む、」という記載の意味が不明瞭であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正において、補正前の請求項2,3が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

c.当審では、請求項5,6の「光起電力セル」という記載の意味が不明瞭であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正において、「太陽電池」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。


第7 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は明確である。また、本願発明1-6は、当業者が引用文献1ないし5に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-04 
出願番号 特願2016-543612(P2016-543612)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G09G)
P 1 8・ 537- WY (G09G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 越川 康弘  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 中村 説志
中塚 直樹
発明の名称 太陽エネルギーの収集効率向上のための画像修正方法及び装置  
代理人 川守田 光紀  

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