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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F24F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F24F |
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管理番号 | 1348517 |
審判番号 | 不服2018-191 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-01-09 |
確定日 | 2019-02-19 |
事件の表示 | 特願2013-137568号「油捕集装置およびレンジフード」拒絶査定不服審判事件〔平成27年1月19日出願公開、特開2015-10785号、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年6月28日の出願であって、平成29年3月14日付けで拒絶理由が通知され、平成29年5月18日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年10月16日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成30年1月9日に拒絶査定不服審判が請求され、平成30年10月9日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年12月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願請求項1ないし8に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、平成30年12月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 孔を有する円盤状のフィルタと、 前記フィルタを回転させる電動機と、 前記フィルタの周囲に位置する油分捕集部材と、を備え、 前記フィルタの単位時間当たりの回転数は、230rpm以上であり、 前記油分捕集部材は、前記フィルタの周縁端部から略等距離に配置される内壁と、回収した油が繰り返し周回流動することを抑制するための、前記フィルタの周縁端部と前記内壁との距離とは異なる距離に配置される第一異形部分とを有し、 前記内壁と前記第一異形部分とで前記フィルタの周縁端部を囲み、 前記第一異形部分と前記周縁端部との最短距離は、前記内壁と前記周縁端部との最短距離より大きいことを特徴とする油捕集装置。 【請求項2】 前記第一異形部分は、一部に角部を有することを特徴とする請求項1に記載の油捕集装置。 【請求項3】 前記第一異形部分は、前記角部を2つ備え、両前記角部の間に平面部のみを備えることを特徴とする請求項2に記載の油捕集装置。 【請求項4】 前記油分捕集部材は、前記内壁の下端部および前記第一異形部分の下端部で、前記内壁および前記第一異形部分の下端部より内側に延在する延在部をさらに備え、 前記角部の近傍の前記延在部における、前記周縁端部と対向する前記延在部の上面と前記周縁端部との上下方向の距離は、前記フィルタの回転中心を挟んで前記角部と対向する位置の前記延在部における上面と前記周縁端部との前記上下方向の距離より大きいことを特徴とする請求項2または3に記載の油捕集装置。 【請求項5】 前記角部の近傍の前記延在部は、少なくとも片側に段差を有することを特徴とする請求項4に記載の油捕集装置。 【請求項6】 前記油分捕集部材は、前記延在部の内縁端部から、前記フィルタの方へ立ち上がる立ち上り部をさらに備え、 前記立ち上り部は、前記フィルタの周縁端部から略等距離に配置される前記立ち上り部の外側壁と、前記周縁端部と前記外側壁との距離とは異なる距離に配置される第二異形部分とを有することを特徴とする請求項4または5に記載の油捕集装置。 【請求項7】 前記電動機が前記フィルタを回転させることにより、空気に含まれる油分を、前記フィルタの表面部に衝突させ、前記フィルタの周囲に位置する前記油分捕集部材の方へ飛散させ、前記油分捕集部材で捕集する請求項1乃至6のいずれかに記載の油捕集装置。 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の油捕集装置と、 空気の流れを発生させるファンと、 前記ファンと連通する連通口を有する内面パネルと、 を備え、 前記油捕集装置は、前記連通口に位置し、前記空気の流れの流路上であって前記ファンより上流側に設けられるレンジフード。」 第3 引用例 1 引用例1(特開昭58-175746号公報) 原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例1には「換気装置」に関して図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。 (1)引用例1の記載 1a)「2.特許請求の範囲 1.家屋の壁等に形設した開口等に嵌合装設する筒状の通風ベースに送風機を内装し、且つ前記通風ベースに連通する中空室を形成したフロントカバーを設けると共に、中央適所に、前記送風機用の吸込口を形設した平面略変形環状の吸込枠体を着脱可能に装設し、更に、該吸込枠体には前記フロントカバーの下端に対向して凹溝を形成し、且つこの凹溝底部を一方に低く傾斜して低端側を油溜部としたことを特徴とする換気装置。」 (第1ページ左欄第3ないし12行) 1b)「8.発明の詳細な説明 本発明は換気装置の構成に関し、特に通気ベースやフロントカバー等に付着した油などの滴下を阻止し、受容貯溜する吸込枠体を具備したものである。」(1ページ右欄第5ないし9行) 1c)「前記吸込枠体(15)は、合成樹脂材など適材にて中央適所に送風機(7)の下部翼用の吸込口(27)を設けた平面略変形環状となし、内外両周縁を上方に立上り形成して断面略変形U字状の凹溝(28)を形成すると共に、フロントカバー(5)の対向した下端を、この凹溝(28)内に臨ませている。更に前記吸込枠体(15)の凹溝(28)は、その底面がフロントカバー(5)の係止縁(12)を臨ませた通風ベース(4)側後端に向って低くなる如く傾斜形成し、この後端部分の凹溝(28)を油溜部(29)となし、且つ前記係止縁(12)の前方位置に形設した凹溝(28)の油溜部(29)底部より立上り突設した区画壁(30)にて、この油溜部(29)を相互に非連通の前溜部(29A)と後溜部(29B)に区画形成している。」(第2ページ左下欄第17行ないし右下欄第10行) 1d)「前記送風機(7)は合成樹脂製或いは金属製のシロツコフアンを使用するか、実施例の如く前記モーター(6)の回転軸(21)に挿通支持するボス(34)を形設した円板状の仕切板(35)外周に、前記回転軸(21)と平行方向の上下両方或いは少くとも上下何れか一方に多数の支持桟(36)(36)・・・を相互に間隔を存して突出形設すると共に、これら支持桟(36)(36)・・・の突出端を外周リング(37)(37)に支持して所謂一方に開口した籠状となし、更にこの内部に環状或いは実施例の如く樋状比較的厚い通気体(38)を着脱可能に、外周面を前記支持桟(36)(36)・・・に当接して配設している。この通気体(38)は、発泡フレタンフオームなどの連続気泡性軟質部材にて形成し、その所謂メツシユの粗密は所望の送風量や濾過量などによって予め選定され、外端面を支持桟(36)(36)・・・よりも内周方に張出した外周リング(37)内面に当接係止関係としている。」(第3ページ左上欄第6ないし右上欄第2行) 1e)「本発明は以上の如く構成しているので、送風機や通気体に付着し、外周方へ飛散した油は、フロントカバーの内周面に付着して下方に流下するが、吸込枠体に形成した凹溝内に滴下し、低端側の油溜部に集溜される。しかもこの吸込砕体は着脱可能支持装設しているため、フロントカバーを取り外すことなく容易に取り外して洗浄清掃が出来、保守・点検・清掃が容易となる。」(第3ページ右上欄第15行ないし左下欄第2行) 1f)第1図から、通気体(38)の外周側にはフロントカバー(5)が対向して位置することが看取できる。 1g)上記1d)及び図1の記載から、モータ(6)は、送風機(7)及び通気体(38)を回転駆動することが分かる。 (2)引用発明 上記(1)及び第1図、第2図の記載から、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「籠状の送風機(7)の内部に配置された環状の通気体(38)と、 送風機(7)及び通気体(38)を回転駆動するモータ(6)と、 通気体(38)の外周側に対向して位置するフロントカバー(5)及びフロントカバー(5)の下端に対向して位置する凹溝(28)と、凹溝(28)の傾斜部の低端側に形成した油溜部(29)を有する吸込枠体(15)とを備えた、油を受容貯溜するための装置。」 2 引用例2(特開平3-164639号公報) 原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例2には「排気装置」に関して図面とともに次の事項が記載されている。 (1)引用例2の記載 2a)「2.特許請求の範囲 (1)排気口に設置されたファンと、前記ファンの前方に設置された回転可能なフィルターと、前記ファン及び前記フィルターの駆動手段とからなる排気装置。 (2)フィルターの周囲に廃棄物受けを設けた請求項1記載の排気装置。 (3)フィルターに付着物焼却用ヒーターを具備させた請求項1記載の排気装置。 (4)廃棄物受けで収拾された廃棄物を溜める廃棄物溜を設けた請求項1記載の排気装置。」(第1ページ左欄第4ないし14行) 2b)「ファン3aの回転によってフィルター7を通して室内の空気が排気される。フィルター7に油や塵が付着した時は、必要に応じてもしくは一定時間毎に制御装置(図示せず)によって駆動する駆動装置6によってフィルター7を一定時間回転させる。回転の遠心力によって飛散した油や塵は、廃棄物受け8で受け止められ、傾斜によってパイプ9に流れ込み、廃棄物溜10に集められる。なお、フィルター7用駆動装置6の駆動時には制御装置によってファン3a用駆動装置5aも駆動させ、フィルター7回転時に発生する廃棄物臭が室内に拡散することや飛散した廃棄物が室内に降下することを防ぐことが出来る。また、ファン3aにおいても、その回転による遠心力で、ファン3aに付着していた油や塵は飛散し、ファン用廃棄物受け12で受け止められ、連通孔13を通って廃棄物溜10に集められる。」(第2ページ右上欄第18行ないし左下欄第14行) (2)引用例2技術 上記(1)及び第1図ないし第3図の記載から、引用例2には次の技術(以下、「引用例2技術」という。)が記載されている。 「排気口に設置されたファン3aの前方に設置された、駆動手段によって回転可能なフィルター7において、フィルター7の回転の遠心力によって飛散した油や塵を、フィルター7の周囲に設けた廃棄物受け8で受け止めて、傾斜によってパイプ9を通じて廃棄物溜10に集める技術。」 3 引用例3(特開2012-82973号公報) 原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例3には「レンジフード」に関して図面とともに次の事項が記載されている。 (1)引用例3の記載 3a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 調理中の汚染空気を吸い込み捕集する吸込み口から汚染空気を屋外に排気または室内に戻す吐出し口に至る排気風路に、フィルタ部材を回転可能に具備するフィルタ清掃装置を備え、 前記フィルタ清掃装置は、円盤形状に形成されている前記フィルタ部材を駆動回転させる駆動手段と、 前記フィルタ部材のフィルタ面に沿って圧接させて付着物を取り除く付着物除去手段と、を備えているレンジフードであって、 前記フィルタ部材は、回転中心部を中心とする回転円周線上に沿わせて前記汚染空気の通気部を、断続的または連続的に備えてなり、 前記通気部は、前記回転円周線またはその接線と略平行に切り込まれる2本の切込み縁の間に、前記フィルタ部材のフィルタ面から凸状に設けられる空気衝突面部と、該空気衝突面部と前記2本の切込み縁との間に設けられる通気孔と、から形成され、 前記付着物除去手段は、前記フィルタ部材の回転時に、前記フィルタ面と前記空気衝突面部とからなる凸凹面に沿わせるように圧接させる付着物除去部材を備えていることを特徴とするレンジフード。」 3b)「【0010】 そこで、本発明は、このような改善すべき課題に着目し、フィルタ面に沿わせて付着物除去部材を圧接させて油脂分や塵埃などの汚れを取り除く構成のフィルタ清掃装置を備えたレンジフードであって、汚れを取り逃がすことなく、確実に、かつ、効率的に取り除くフィルタ清掃が可能であること、汚染空気からの汚れの捕獲回収率(捕集回収率)の向上が期待できる汚染空気の通気構造とすること、などを目的とする。」 (2)引用例3技術 上記(1)及び図1ないし図11の記載から、引用例3には次の技術(以下、「引用例3技術」という。)が記載されている。 「レンジフードの排気風路に位置する円盤形状のフィルタ部材を駆動回転するとともに、付着物除去手段をフィルタ部材のフィルタ面に圧接して付着物を除去する技術。」 第4 対比・判断 1 本願発明1について 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明における「通気体(38)」は、その機能からみて、本願発明1における「フィルタ」に相当し、以下同様に、「回転駆動する」は「回転させる」に、「モータ(6)」は「電動機」に、「油を受容貯溜するための装置」は「油捕集装置」にそれぞれ相当する。 さらに、引用発明における「送風機(7)及び通気体(38)を回転駆動するモータ(6)」は本願発明1における「フィルタを回転させる電動機」と、「フィルタを回転させる電動機」という限りにおいて一致し、 引用発明における「フロントカバー」及び「吸込枠体(15)」は、本願発明1における「油分捕集部材」と「油分を回収して貯留する部材」という限りにおいて一致する。 したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「フィルタと、フィルタを回転させる電動機と、油分を回収して貯留する部材、とを備える油捕集装置。」 [相違点1] 本願発明1においては「フィルタ」が、「孔を有する円盤状」のものであるのに対して、引用発明においては「通気体(38)」が「籠状の送風機(7)の内部に配置された環状」のものである点。 [相違点2] 本願発明1においては「電動機」は「フィルタ」を回転させるものであって、「フィルタの単位時間当たりの回転数は、230rpm以上」であるのに対して、引用発明においては「モータ(6)」は「送風機(7)及び通気体(38)」を回転駆動するものであって、駆動する回転数については不明である点。 [相違点3] 「油分を回収して貯留する部材」が、本願発明1においては「フィルタの周囲に位置する油分捕集部材」であって、「フィルタの周縁端部から略等距離に配置される内壁と、回収した油が繰り返し周回流動することを抑制するための、前記フィルタの周縁端部と内壁との距離とは異なる距離に配置される第一異形部分とを有し、内壁と前記第一異形部分とでフィルタの周縁端部を囲み、第一異形部分と周縁端部との最短距離は、内壁と周縁端部との最短距離より大きい」のに対して、 引用発明においては「通気体(38)の外周側に対向して位置するフロントカバー(5)及びフロントカバー(5)の下端に対向して位置する凹溝(28)と、凹溝(28)の傾斜部の低端側に形成した油溜部(29)を有する吸込枠体(15)とを備えた」ものである点。 以下、事案に鑑み、まず上記相違点3について検討する。 [相違点3について] 引用例2技術は「排気口に設置されたファン3aの前方に設置された、駆動手段によって回転可能なフィルター7において、フィルター7の回転の遠心力によって飛散した油や塵を、フィルター7の周囲に設けた廃棄物受け8で受け止めて、傾斜によってパイプ9を通じて廃棄物溜10に集める技術」であり、 引用例3技術は「レンジフードの排気風路に位置する円盤形状のフィルタ部材を駆動回転するとともに、付着物除去手段をフィルタ部材のフィルタ面に圧接して付着物を除去する技術」である。 しかし、引用例2技術におけるフィルター7は、ファン3aの前方に設置されるものであるから、ファン3aとは別途独立して設置されるものであって、前提となる構成が引用発明のものとは異なるから、引用発明における「籠状の送風機(7)の内部に配置された環状の通気体(38)」に代えて引用例2技術におけるフィルター7を採用する動機付けは見出せない。 また、引用例3技術におけるフィルタ部材は円盤形状であって、フィルタ部材のフィルタ面に圧接して付着物を除去するための付着物除去手段を設けるものであるから、引用発明における「籠状の送風機(7)の内部に配置された環状の通気体(38)」に代えて引用例3技術におけるフィルタ部材を採用する動機付けは見出せない。 さらに、引用例2技術あるいは引用例3技術は、上記相違点3に係る本願発明1において特定された事項を有するものではないから、当業者が引用発明に上記引用例2技術及び引用例3技術を適用したとしても記相違点3に係る引用発明とすることが容易に想到し得たとすることはできない。 したがって、本願発明1は、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、引用発明、引用例2技術及び引用例3技術に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 2 本願発明2ないし8について 本願の特許請求の範囲における請求項2ないし8は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載したものであるから、本願発明2及びないし8は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。 したがって、本願発明2ないし8は、本願発明1と同様の理由で、引用発明、引用例2技術及び引用例3技術に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は、請求項1ないし11に係る発明は、引用例1ないし3に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとするものである。 しかし、平成30年12月4日提出の手続補正書により補正された請求項1ないし8に係る発明においては、「フィルタの周囲に位置する油分捕集部材」において、「フィルタの周縁端部から略等距離に配置される内壁と、回収した油が繰り返し周回流動することを抑制するための、前記フィルタの周縁端部と内壁との距離とは異なる距離に配置される第一異形部分とを有し、内壁と前記第一異形部分とでフィルタの周縁端部を囲み、第一異形部分と周縁端部との最短距離は、内壁と周縁端部との最短距離より大きい」ことが特定されたものとなっており、上記第4で判断したとおり、本願発明1ないし8は、引用発明、引用例2技術及び引用例3技術に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 当審では、 「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 1.請求項1の記載 (1)「フィルタの周縁端部を囲む内壁と前記フィルタの周縁端部との最短距離が異なる第1の異形部分」の意味が不明瞭である。(「第1の異形部分」に関して、「フィルタの周縁端部を囲む内壁と前記フィルタの周縁端部との最短距離が異なる」とは、どのようなことか不明。) (2)「前記フィルタの周縁端部を囲む内壁」とは、内壁がフィルタの周縁端部の全てを囲むのか否か不明である。また、「第一異形部分」においても「内壁」が存在するのか否か記載上明らかではない。 (一般的に、「囲む」とは、周囲の全てを包囲することを意味すると認められるが、明細書段落【0037】の記載によれば、「内壁32と第一異形部分323とで周縁端部の周囲全てを取り囲む」のであって、「内壁」のみによって「フィルタの周縁端部」の全てを「囲む」ものではない。「内壁」と「第一異形部分」の定義を請求項1の記載において明確にされたい。) (3)請求項1に記載の油捕集装置が、明細書記載のどの実施例と対応するのか意見書等において明らかにされたい。 請求項1を直接あるいは間接的に引用する請求項2ないし8においても同様である。 したがって、請求項1ないし8の記載は明確でない。 2.請求項9の記載 (1)請求項9は請求項1を引用しておらず、独立形式で記載されているものであるところ、「第一異形部分」が、どのように構成されたものか不明である。 (2)「前記立ち上り部は、前記立ち上り部の外側壁と前記周縁端部との最短距離が異なる異形部分を有する」の記載において、 ア 「前記立ち上り部の外側壁と前記周縁端部との最短距離が異なる」とは、何と比較した場合にどのように異なるのか不明瞭である。 イ 「異形部分」とは、「第一異形部分」と同一のものか異なるものか請求項9の記載上不明瞭である。 (3)請求項9に記載の油捕集装置が、明細書記載のどの実施例と対応するのか意見書等において明らかにされたい。 請求項9を引用する請求項10及び11においても同様である。 したがって、請求項9ないし11の記載は明確でない。」 という拒絶の理由を通知しているが、平成30年12月4日提出の手続補正書による請求項1及び6の補正及び請求項9ないし11の削除により、この拒絶の理由は解消した。 第7 むすび したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-02-04 |
出願番号 | 特願2013-137568(P2013-137568) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F24F)
P 1 8・ 537- WY (F24F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 横溝 顕範、金丸 治之 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
窪田 治彦 松下 聡 |
発明の名称 | 油捕集装置およびレンジフード |
代理人 | 特許業務法人 英知国際特許事務所 |