ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
---|---|
管理番号 | 1348603 |
審判番号 | 不服2017-14935 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-10-06 |
確定日 | 2019-02-26 |
事件の表示 | 特願2017- 92797「電子情報漏洩対策システム、電子情報漏洩対策装置及び電子情報漏洩対策方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月29日出願公開、特開2018-190211、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成29年5月9日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 5月30日付け :拒絶理由通知書 平成29年 7月 3日 :意見書,手続補正書の提出 平成29年 9月12日付け :拒絶査定(原査定) 平成29年10月 6日 :審判請求書,手続補正書の提出 平成30年 9月 3日付け :拒絶理由通知書(当審) 平成30年10月17日 :意見書,手続補正書の提出 第2 本願発明 本願請求項1-6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は,平成30年10月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割して,割符保存場所に保存し,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元する電子情報漏洩対策装置において, 環境設定画面を表示する画面表示手段を備え,当該環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄,割符ファイルのサイズ形態を示す割符様式欄及びパスワード入力欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含み, 割符割数入力欄に割符数を,割符形式欄に復元に必要な割符ファイルの数の形態を,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態を,そして割符保存場所入力欄に割符保存場所を入力させて,電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成させ,環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ,端末装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備え, 当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示し, 割符数をNとしたときに,Nが2?10以内とされ,電子割符データが,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定され, 割符割数入力欄で,Nが2?10以内のいずれかを選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかの数を選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかを選択させ,電子情報ファイルが復元可能にされたこと を特徴とする電子情報漏洩対策装置。 【請求項2】 電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割して,割符保存場所に保存し,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元する電子情報漏洩対策装置を支援する電子情報漏洩対策支援装置において, 電子情報漏洩対策装置に,電子情報漏洩対策装置にインストールされ,環境設定画面上に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ,電子情報漏洩対策装置で実行するための電子割符ソフトウエアを提供し, 当該電子割符ソフトウエアが,電子情報漏洩対策装置に環境設定画面を設定させ,当該環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄,割符ファイルのサイズ形態を示す割符様式欄及びパスワード入力欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含み, 割符割数入力欄に割符数を,割符形式欄に復元に必要な割符ファイルの数の形態を,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態を,そして割符保存場所入力欄に割符保存場所を入力させて,電子情報ファイルを複数の電子割符データに形成させ, 割符数をNとしたときに,Nが2?10以内とされ,電子割符データを,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定させ, 当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ, 割符割数入力欄で,Nを2?10以内のいずれかで選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかを選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかを選択させ, 電子情報漏洩対策装置に,電子割符データを元の電子情報ファイルに復元させること を特徴とする電子情報漏洩対策支援装置。 【請求項3】 電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割させて,割符保存場所に保存させ,環境設定画面上に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元させる,電子情報漏洩対策装置で実行する電子割符ソフトウエアが記録された電子記録媒体であって, 電子情報漏洩対策装置に, 環境設定画面を設定させ,当該環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄,割符ファイルのサイズ形態を示す割符様式欄及びパスワード入力欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含み, 割符割数入力欄に割符数を,割符形式欄に復元に必要な割符ファイルの数の形態を,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態を,そして割符保存場所入力欄に割符保存場所を入力させ, 当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ, 割符数をNとしたときに,Nが2?10以内とされ,電子割符データを,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定させ, 割符割数入力欄で,Nが2?10以内のいずれかを選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかを選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかを選択させ,電子情報ファイルを復元可能にさせ, 電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成する,電子情報漏洩対策装置にインストールされ,電子情報漏洩対策装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録すること を特徴とする電子記録媒体。 【請求項4】 電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割して,割符保存場所に保存し,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元する電子情報漏洩対策装置における電子情報漏洩対策方法において, 画面表示手段が環境設定画面を表示し,当該環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄,割符ファイルのサイズ形態を示す割符様式欄及びパスワード入力欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含み, 端末装置で実行するための電子割符ソフトウエアによって,割符割数入力欄に割符数を,割符形式欄に復元に必要な割符ファイルの数の形態を,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態を,そして割符保存場所入力欄に割符保存場所を入力させて,電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成し,環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示し, 前記画面表示手段の表示画面に表示させた前記環境設定画面に,割符割数,復元に必要な割符ファイルの数の形態,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態及び割符保存場所を入力し, 当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示し, 割符数をNとしたときに,Nが2?10以内とされ,電子割符データが,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定され,割符割数入力欄で,Nが2?10以内のいずれかが選択され,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかが選択され,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかが選択され,電子情報ファイルが復元可能にされたことで,電子情報ファイルを複数の電子割符データに形成すること を特徴とする電子情報漏洩対策装置における電子情報漏洩対策方法。 【請求項5】 電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割して,割符保存場所に保存し,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元する電子情報漏洩対策装置において, 環境設定画面を表示する画面表示手段を備え,当該環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含み, 当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ, 割符数をNとしたときに,Nを2?10以内とし,電子割符データを,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定させ, 割符割数入力欄で,Nを2?10以内のいずれかで選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかを選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかが選択させ,電子情報ファイルを復元可能にさせることで, 電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成する,端末装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備えたこと を特徴とする電子情報漏洩対策装置。 【請求項6】 電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割して,割符保存場所に保存し,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元する電子情報漏洩対策装置がラインで結ばれた電子情報漏洩対策装置が適用されたシステムにおいて, 当該ラインに複数の電子情報漏洩対策装置が接続され,少なくとも一つの電子情報漏洩対策装置が送り手側の電子情報漏洩対策装置と受取り手側の電子情報漏洩対策装置として共用のもので,2つ以上の電子情報漏洩対策装置が受取り手側の電子情報漏洩対策装置として専用のもので, 各電子情報漏洩対策装置が環境設定画面を表示する画面表示手段を備え,当該環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含み, 当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ, 割符保存場所入力欄に任意の割符保存場所を入力させ, 割符数をNとしたときに,Nを2?10以内とし,電子割符データを,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定させ, 割符割数入力欄で,Nを2?10以内のいずれかで選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかを選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかが選択させ,電子情報ファイルを復元可能にさせることで, 電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成する,端末装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備え, 送り手側の端末装置で生成され,保存された電子割符データが受取り側の端末装置で復元可能とされたこと を特徴とする電子情報漏洩対策システム。」 第3 引用文献,引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2006-39794号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) A 「【0012】 以下,図面を参照して,本発明の一実施例について具体的に説明する。 図1は一実施例が適用されるネットワークシステムの構成を示す。 リモートサイト1とローカルサイト2は,インターネットやWAN(Wide Area Network)等のネットワーク3を介して接続され,両者の間では例えばHTTPに基づいた通信が可能である。 【0013】 リモートサイト1は,ファイルに関する情報を保持して管理するファイル管理サーバ10と,ファイルを格納する大容量の記憶装置に形成されたファイルシステムのアクセス制御を行なうファイルサーバ13を有する。 【0014】 ファイル管理サーバ10は,ネットワーク3との接続や情報の通信を行うためのソフトウェアであるリモートプロキシ11を有し,そのリモートプロキシは秘密分散処理機能を有する。この秘密分散処理機能は,ファイル情報を秘密分散により分割,統合する処理を行う電子割符機能であり,ここでは秘密分散リモートプロキシ(R-PROXY)11と言う。詳細については後述するが,このリモートプロキシ11は,この機能を有するプログラムをプロセッサで実行することにより実現される。 【0015】 一方,ローカルサイト2にあるクライアントは,例えば,PC(パーソナルコンピュータ)或いはモバイルなどのPC20である。図には1台のPCがネットワーク3に接続された例を示しているが,一般的には複数のPCが接続される。PC20は,ブラウザ21とローカルプロキシ(L-PROXY)22を有する。ブラウザ21は,ファイル管理サーバ10より取得したファイル情報を閲覧するためのアプリケーションソフトであり,ネットワーク3を通してHTML形式のファイルや画像ファイル等を受信して,レイアウトを解析して再生し,PC20の表示器に表示する。 【0016】 ローカルプロキシ22は,ブラウザ21とネットワーク3との接続や情報の通信を行うためのソフトウェアであり,本実施例では秘密分散処理機能を有する。この秘密分散処理機能は,電子割符されたファイル情報の復号化の処理を行う。これは,この機能を備えたプログラムをプロセッサで実行することにより実現される。」 B 「【0023】 次に,図3を参照して,ファイル管理システムにおけるファイル情報の処理シーケンスについて説明する。図3は,PC20の利用者が作成したファイルをファイル管理サーバ10に登録するための処理シーケンスを示す図である。 ファイルの作成及び登録の動作は,携帯端末装置を利用することを要しない。利用者は日常の業務として,社内に設置されたPC20等の情報処理装置を利用してファイルを作成する。作成されたファイルはクライアント1から社内LANを介してファイル管理サーバ10へ転送され,ファイルサーバ13に登録される。以下,詳細に説明する。 【0024】 前提として,作成されたファイルDはファイル名称が付加されて,PC20の記憶装置に予め格納される。そして,ブラウザ21から登録要求の指示を出すと,この要求はローカルプロキシ22で中継されて,リモートサイト1へ送信される(S31)。 リモートサイト1では,ファイル管理サーバ10のリモートプロキシ11が,この要求を受信してパスワード等の登録フォームをクライアント2へ送信する(S32)。 【0025】 クライアント2で受信された登録フォームはブラウザ21により表示される。図6に表示画面の一例を示すように,登録画面は登録者ID,及び登録ファイル名の入力項目から成っている。登録ファイル名は,参照ボタンをクリックすることにより,選択される。表示画面の「OK」キーが操作されると,ブラウザ21は,登録フォームに従って入力された利用者のID及びファイル名称,及び当該ファイルDをアップロードするための処理を行う。HTTP中継部222は,これらの情報を中継してリモートサイト1へ送信する(S33)。尚,一般的に,入力されたIDやファイル名称及びファイルD等の情報は暗号化処理されて送信される。」 C 「【0026】 ファイル管理サーバ10のリモートプロキシ11では,受信したHTTP要求を解析する(S35)。解析の結果,ファイルの登録要求であれば,受信したファイルの登録のための処理を行う(S36)。 登録処理に際して,まず受信されたファイルは,電子割符機能によって,サイズの異なる2つのファイルD1,D2に分割される。分割されるファイルD1とD2のサイズ比は99:1である。尚,ファイルを複数に分割する電子割符の生成は,通常知られている技術を用いて実現できる。また電子割符される情報のサイズを異ならせて分割処理することも容易に行なわれる。 【0027】 分割された2つのファイルD1,D2に対しては,ファイルのIDが付与され,ID1とID2の対及びそれらを関連付けるファイル情報はテーブルに登録され,このテーブルはリモートプロキシ11に保持される。 分割された2つのファイルのうち,サイズの大きい一方ファイルD1はファイルサーバ13へ転送されてファイルシステムに格納される(S37)。またサイズの小さい他方のファイルD2はリモートプロキシ11の記憶手段に保持される。この記憶手段はメモリ又はソフトウェア的に構成された記憶機能であってもよい。 【0028】 一連の登録処理が終了すると,リモートプロキシ11から登録完了通知を示すHTTP応答が送信される(S38)。クライアント1のローカルプロキシ22では,このHTTP応答を受信してブラウザ21に中継し,一連の登録処理が終了する(S39)。 【0029】 尚,上記の登録処理は,社内のPCからセキュアな環境にあるLANを経由して行われ,また,ファイルを作成したPCそのものが携帯端末用のPCとして外部に持ち出されることはないとの前提である。」 したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「リモートサイト1とローカルサイト2が,ネットワーク3を介して接続されたファイル管理システムにおいて, 前記リモートサイト1は,ファイルに関する情報を保持して管理するファイル管理サーバ10と,ファイルを格納する大容量の記憶装置に形成されたファイルシステムのアクセス制御を行なうファイルサーバ13を有し, 前記ファイル管理サーバ10は,ネットワーク3との接続や情報の通信を行うためのソフトウェアであるリモートプロキシ11を有し,そのリモートプロキシ11はファイルを秘密分散により分割,統合する処理を行う電子割符機能である秘密分散処理機能を有するものであり, 前記ローカルサイト2は,クライアントPC20を有し, 前記PC20は,ブラウザ21とローカルプロキシ(L-PROXY)22を有し,前記ローカルプロキシ22は,ブラウザ21とネットワーク3との接続や情報の通信を行うためのソフトウェアであり,電子割符されたファイルの復号化の処理を行うものであり, 利用者が前記PC20を利用して作成したファイルは,ローカルサイト2のクライアントからLANを介してファイル管理サーバ10へ転送されてファイルサーバ13に登録され, 登録の時には,ファイル管理サーバ10のリモートプロキシ11が,パスワード等の登録フォームをローカルサイト2のクライアントへ送信し, ローカルサイト2では,受信された登録フォームがブラウザ21により表示され,登録画面は登録者ID,及び登録ファイル名の入力項目から成っており,登録ファイル名は,参照ボタンをクリックすることにより,選択され, リモートプロキシ11では,登録処理に際してまず,受信されたファイルが電子割符機能によってサイズの異なる2つのファイルD1,D2に分割され,電子割符される情報のサイズを異ならせて分割処理され, 分割された2つのファイルのうち,サイズの大きい一方ファイルD1はファイルサーバ13へ転送されてファイルシステムに格納され,サイズの小さい他方のファイルD2はリモートプロキシ11の記憶手段に保持されること を特徴とするファイル管理システム。」 2 引用文献2について また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(株式会社エスロジカル,マル秘分散,online,2016年10月29日,URL,https://web.archive.org/web/20161029150647/http://ma-bu.com/?mode=pcsoft)には,図面とともに次の事項が記載されている。 D 「製品の特徴 ファイルを暗号化・秘密分散することのできるソフトウェアです。 ドラッグ&ドロップの簡単操作で,軽い操作感を実現しています。 個人情報・機密情報ファイルの漏洩対策として,簡単にお使いいただけます。 ![]() ・暗号化アルゴリズムとしては,AES(128bit,192bit,256bit)とCamellia(128bit,192bit,256bit)に対応 ・秘密分散法(シャミア氏が,1979年に発表した論文の理論を元にしたもの)として,2/2分散と2/3分散に対応」 したがって,上記引用文献2には,「ファイルを暗号化・秘密分散するソフトウェアにおいて,パスワードや秘密分散に関する設定値の入力欄を設ける」という技術的事項が記載されていると認められる。 3 引用文献3について また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2005-215735号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 E 「【0042】 図3は,設定部231によって提供されるGUIの一例を示す説明図である。かかるGUIは,ファイル入出力制御装置200に接続されたCRT(図示せず)等に表示してもよいし,Webブラウザ経由でクライアント100に表示させるものとしてもよい。図示するように,このGUIは,分割数と冗長度を設定するための操作部と,ファイルを分割して保存することができなかった場合に実行する処理を設定するための操作部を有する。ここでは,ファイルをフラグメントに分割して保存できなかった場合には,クライアントにエラーを返す処理を行うか,分割せずにファイルを保存し,分割できなかった旨を電子メールによってシステム管理者に通知する処理を行うかのいずれかの処理を選択可能であるものとした。」 F 「 ![]() 」 したがって,上記引用文献3には,「ファイルの分割数や冗長度の入力欄を設けること等,ファイルの分割処理を行う際に,分割・統合処理に必要な各種設定値のための入力欄を設ける」という技術的事項が記載されていると認められる。 第4 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明の「ファイル」,「電子割符」はそれぞれ,本願発明1の「電子情報ファイル」,「電子割符データ」に相当し,引用発明の「ファイル管理システム」は「ファイルを秘密分散により分割,統合する処理を行」い,「電子割符されたファイルの復号化の処理を行う」ことから,本願発明1の「電子情報漏洩対策装置」に対応する。 そして,引用発明の「ファイル管理システム」は「ファイル管理サーバ10」と「PC20」を有し,「ファイル管理サーバ10は,ネットワーク3との接続や情報の通信を行うためのソフトウェアであるリモートプロキシ11を有し,そのリモートプロキシ11はファイルを秘密分散により分割,統合する処理を行う電子割符機能である秘密分散処理機能を有するものであり」,「分割された2つのファイルのうち,サイズの大きい一方ファイルD1はファイルサーバ13へ転送されてファイルシステムに格納され,サイズの小さい他方のファイルD2はリモートプロキシ11の記憶手段に保持され」,「PC20は,ブラウザ21とローカルプロキシ(L-PROXY)22を有し,前記ローカルプロキシ22は,ブラウザ21とネットワーク3との接続や情報の通信を行うためのソフトウェアであり,電子割符されたファイルの復号化の処理を行うものであ」ることから,引用発明の「ファイル管理システム」と本願発明1の「電子情報漏洩対策装置」とは,“電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割して,割符保存場所に保存し,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元する電子情報漏洩対策装置”の点で共通するといえる。 イ 引用発明では,「利用者が前記PC20を利用して作成したファイルは,ローカルサイト2のクライアントからLANを介してファイル管理サーバ10へ転送されてファイルサーバ13に登録され,登録の時には,ファイル管理サーバ10のリモートプロキシ11が,パスワード等の登録フォームをローカルサイト2のクライアントへ送信」するところ,「ファイル管理システム」において,「ファイル」を「ファイルサーバ13」に登録する時には,「登録フォーム」を「ローカルサイト2」に送信することから,引用発明の「登録フォーム」は本願発明1の「環境設定画面」に対応するといえる。 また,引用発明では,「ローカルサイト2では,受信された登録フォームがブラウザ21により表示され,登録画面は登録者ID,及び登録ファイル名の入力項目から成っており,登録ファイル名は,参照ボタンをクリックすることにより,選択され」るところ,「登録フォーム」は「ブラウザ」により表示されることから,引用発明の「ブラウザ」は本願発明1の「画面表示手段」に相当するといえ,「登録者ID,及び登録ファイル名」は“電子情報ファイルの登録時の設定事項”とみることができるから,引用発明では,“環境設定画面は,電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能とする”といえる。 ウ 一方,本願発明1は,「環境設定画面を表示する画面表示手段を備え,当該環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄,割符ファイルのサイズ形態を示す割符様式欄及びパスワード入力欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含」むところ,「割符条件設定欄及び保存場所設定欄」は“電子情報ファイルの登録時の設定事項”とみることができるから,「環境設定画面」は,“電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能とする”といえる。 そうすると,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“環境設定画面を表示する画面表示手段を備え,当該環境設定画面は,電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能とする”点で共通するといえる。 エ 上記イでの検討より,引用発明では,“環境設定画面は,電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能とする”といえ,“環境設定画面”は「ローカルサイト2」のクライアント「PC20」に表示されると解されるから,引用発明の「PC20」は本願発明1の「端末装置」に相当する。 そして,引用発明の「ファイル管理システム」は,クライアント「PC20」を備えているから,“環境設定画面上で電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能に表示させ,端末装置で実行するためのソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体”を実質的に備えていることは明らかである。 一方,上記ウでの検討より,本願発明1では,“環境設定画面は,電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能とする”といえ,このような表示を「端末装置で実行するためのソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備え」ると解される。 そうすると,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“環境設定画面上で電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能に表示させ,端末装置で実行するためのソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備え”る点で共通するといえる。 したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「電子情報ファイルを複数の電子割符データに分割して,割符保存場所に保存し,分割され保存された電子割符データを元の電子情報ファイルに復元する電子情報漏洩対策装置において, 環境設定画面を表示する画面表示手段を備え,当該環境設定画面は,電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能とするものであって, 環境設定画面上で電子情報ファイルの登録時の設定事項を入力可能に表示させ,端末装置で実行するためのソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備えること を特徴とする電子情報漏洩対策装置。」 (相違点) (相違点1) 環境設定画面に関し,本願発明1では,「環境設定画面が,割符条件設定欄及び保存場所設定欄を有し,割符条件設定欄が割符割数入力欄,復元に必要な割符ファイルの数の形態を示す割符形式欄,割符ファイルのサイズ形態を示す割符様式欄及びパスワード入力欄を含み,保存場所設定欄が割符保存場所入力欄を含」むのに対して, 引用発明は,ファイルの「登録フォーム」に「割符条件設定欄及び保存場所設定欄」を含むことは特定されていない点。 (相違点2) 本願発明1は,「割符割数入力欄に割符数を,割符形式欄に復元に必要な割符ファイルの数の形態を,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態を,そして割符保存場所入力欄に割符保存場所を入力させて,電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成させ,環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ,端末装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備え」るのに対して, 引用発明は,「PC20」に表示される「登録フォーム」に「割符割数入力欄」,「割符形式欄」,「割符様式欄」,「割符保存場所入力欄」を含むこと,そのような入力欄の表示を「PC20」で実行するための電子割符ソフトウエアを備えることは特定されていない点。 (相違点3) 本願発明1では,「環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示し, 割符数をNとしたときに,Nが2?10以内とされ,電子割符データが,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定され, 割符割数入力欄で,Nが2?10以内のいずれかを選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかの数を選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかを選択させ,電子情報ファイルが復元可能にされ」るのに対して, 引用発明では,ファイルの「登録フォーム」の「割符形式欄」での選択設定の表示を,「割符割数入力欄」で入力された「割符数」に応じて行うことは特定されていない点。 (2)相違点についての判断 ア 相違点3について 事案に鑑みて,上記相違点3を先に検討すると,引用発明では,ファイルを秘密分散により分割,統合する処理を行う電子割符機能を用いて登録する時に,クライアントPC20に登録フォームを表示して,登録者ID,及び登録ファイル名を入力するものの,電子割符機能に係る設定を入力することは特定されておらず,その詳細な設定事項である「割符割数入力欄」や「割符形式欄」について言及されていないことから,両者を連動させて選択設定できるようにすることの動機付けもない。 また,ファイルを電子割符機能を用いて登録する時に,登録画面において,「割符形式欄」での選択設定の表示を,「割符割数入力欄」で入力された「割符数」に応じて行う旨の技術は,上記引用文献2-3には記載されておらず,本願出願前に当該技術分野において周知技術であったとまではいえず,当業者が適宜に選択し得た設計的事項であるとすることもできない。 そうすると,引用発明において,環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示し,割符数をNとしたときに,Nが2?10以内とされ,電子割符データが,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定され,割符割数入力欄で,Nが2?10以内のいずれかを選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかの数を選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかを選択させ,電子情報ファイルが復元可能にされること,すなわち,本願発明1の上記相違点3に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得たものであるとすることはできない。 イ まとめ したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2について 本願発明2は,本願発明1を「電子情報漏洩対策支援装置」として特定した発明であり,本願発明1の 「当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示し, 割符数をNとしたときに,Nが2?10以内とされ,電子割符データが,割符割数入力欄に入力される割符数N内の数の選択と割符形式欄に入力される復元に要する割符数N,N-1及びN-2のいずれかの選択との組み合わせで設定され, 割符割数入力欄で,Nが2?10以内のいずれかを選択させ,割符数Nが3?4で選択されたときに,割符形式欄で,復元に要する割符数N及びN-1のいずれかの数を選択させ,及び割符数Nが5?10で選択されたときに,N,N-1及びN-2のいずれかを選択させ,電子情報ファイルが復元可能にされたこと」(以下,「相違点3に係る構成」という。) に対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明3について 本願発明3は,本願発明1を「電子情報漏洩対策装置で実行する電子割符ソフトウエアが記録された電子記録媒体」として特定したカテゴリのみ異なる発明であり,本願発明1の「相違点3に係る構成」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4 本願発明4について 本願発明4は,本願発明1を「電子情報漏洩対策装置における電子情報漏洩対策方法」として特定したカテゴリのみ異なる発明であり,本願発明1の「相違点3に係る構成」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 5 本願発明5について 本願発明5は,本願発明1と同等な「電子情報漏洩対策装置」として特定した発明であり,本願発明1の「相違点3に係る構成」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 6 本願発明6について 本願発明6は,本願発明1と同等な「電子情報漏洩対策システム」として特定した発明であり,本願発明1の「相違点3に係る構成」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は,請求項1-6について上記引用文献1-3に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 しかしながら,平成30年10月17日付け手続補正により補正された請求項1-6は,それぞれ「相違点3に係る構成」に対応する構成を有するものとなっており, 上記のとおり,本願発明1-6は,引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。 したがって,原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について (特許法第36条第6項第2号について) (1)当審では,請求項1の「割符割数入力欄に割符数を,割符形式欄に復元に必要な割符ファイルの数の形態を,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態を,そして割符保存場所入力欄に割符保存場所を入力させて,電子情報ファイルを複数の電子割符データに形成させ,環境設定画面上に割符割数と復元に要する割符ファイルの数との関係を表示させ,端末装置で実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な電子割符ソフトウエアを備え,」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年10月17日付けの手続補正により, 「割符割数入力欄に割符数を,割符形式欄に復元に必要な割符ファイルの数の形態を,割符様式欄に割符ファイルのサイズ形態を,そして割符保存場所入力欄に割符保存場所を入力させて,電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成させ,環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示させ,端末装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備え,」, と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 また,請求項1に対応する請求項2-4についても同様に,補正によりこの拒絶の理由は解消した。 (2)当審では,請求項1の「当該環境設定画面上において割符割数と復元に要する割符ファイルの数との関係が表示され,」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年10月17日付けの手続補正により, 「当該環境設定画面上の割符形式欄に,入力された割符数に応じて,割符数と復元に要する割符ファイルの数との関係を選択設定可能に表示し,」, と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 また,請求項1に対応する請求項2-6についても同様に,補正によりこの拒絶の理由は解消した。 (3)当審では,請求項3の「電子情報ファイルを複数の電子割符データに形成させる,電子情報漏洩対策装置にインストールされ,電子情報漏洩対策装置で実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な電子割符ソフトウエアを有すること」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年10月17日付けの手続補正により, 「電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成する,電子情報漏洩対策装置にインストールされ,電子情報漏洩対策装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録すること」, と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 (4)当審では,請求項5の「電子情報ファイルを複数の電子割符データに形成させる,端末装置で実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な電子割符ソフトウエアを備えたこと」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年10月17日付けの手続補正により, 「電子情報ファイルから複数の電子割符データを形成する,端末装置で実行するための電子割符ソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な電子記録媒体を備えたこと」, と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 また,請求項5に対応する請求項6についても同様に,補正によりこの拒絶の理由は解消した。 (5)当審では,請求項1の「分割され保存さえた電子割符データ」について「保存さえた」は誤記であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年10月17日付けの手続補正により, 「分割され保存された電子割符データ」, と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 また,請求項1に対応する請求項2,4-6についても同様に,補正によりこの拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明1-6は,当業者が引用発明,引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-02-08 |
出願番号 | 特願2017-92797(P2017-92797) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 脇岡 剛、圓道 浩史 |
特許庁審判長 |
仲間 晃 |
特許庁審判官 |
山崎 慎一 辻本 泰隆 |
発明の名称 | 電子情報漏洩対策システム、電子情報漏洩対策装置及び電子情報漏洩対策方法 |
代理人 | 特許業務法人 日峯国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人 日峯国際特許事務所 |