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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1348650
審判番号 不服2018-3447  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-09 
確定日 2019-02-07 
事件の表示 特願2013-241643号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月 4日出願公開、特開2015-100438号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月22日に特許出願されたものであって、平成29年4月25日付けで拒絶理由通知がなされ、同年7月10日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月6日付け(発送日:同年12月12日)で拒絶査定がなされ、これに対して平成30年3月9日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年3月9日に提出された手続補正書による補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の結論]
平成30年3月9日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、
本件補正前の
「 【請求項1】
遊技中に抽選契機が発生すると、内部抽選を実行する内部抽選実行手段と、
前記内部抽選が実行されると、これを契機として図柄を所定の変動時間にわたって変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、
前記内部抽選の結果に応じて前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技の一部を構成する特別遊技時間について、前記図柄表示手段により停止表示された図柄の態様に対応して予め複数種類の特別遊技時間を規定する特別遊技時間規定手段と、
前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して、特別な条件を満たす場合、前記特別遊技時間規定手段とは別に予め規定された特別遊技時間を選択する一方、前記特別な条件を満たさない場合、前記特別遊技時間規定手段に規定された複数種類の特別遊技時間の中から前記図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する特別遊技時間選択手段と
を備えた遊技機。」
から、
本件補正後の
「 【請求項1】
遊技中に抽選契機が発生すると、内部抽選を実行する内部抽選実行手段と、
前記内部抽選が実行されると、これを契機として図柄を所定の変動時間にわたって変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、
前記内部抽選の結果に応じて前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技の一部を構成する特別遊技時間について、前記図柄表示手段により停止表示された図柄の態様に対応して予め複数種類の特別遊技時間を規定する特別遊技時間規定手段と、
前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して、遊技状態に基づいて決定される特別な条件を満たす場合、前記特別遊技時間規定手段とは別に予め規定された特別遊技時間を選択する一方、前記特別な条件を満たさない場合、前記特別遊技時間規定手段に規定された複数種類の特別遊技時間の中から前記図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する特別遊技時間選択手段と
を備えた遊技機。」
に補正された(当審にて、補正箇所を明示するための下線を付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、本願の願書に最初に添付された明細書及び図面の【0391】から【0411】並びに【図49】、【図50】及び【図51】に、根拠となる記載があるから、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものである。
また、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するための事項である「特別遊技時間選択手段」が、「特別遊技時間を選択する」、「特別な条件」について、「遊技状態に基づいて決定される」と限定するものである。
そして、本件補正後の請求項1に記載された発明は、本件補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下で検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(当審にて分説のために記号を付した。)。
「 【請求項1】
A 遊技中に抽選契機が発生すると、内部抽選を実行する内部抽選実行手段と、
B 前記内部抽選が実行されると、これを契機として図柄を所定の変動時間にわたって変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、
C 前記内部抽選の結果に応じて前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技の一部を構成する特別遊技時間について、前記図柄表示手段により停止表示された図柄の態様に対応して予め複数種類の特別遊技時間を規定する特別遊技時間規定手段と、
E 前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して、遊技状態に基づいて決定される特別な条件を満たす場合、前記特別遊技時間規定手段とは別に予め規定された特別遊技時間を選択する一方、前記特別な条件を満たさない場合、前記特別遊技時間規定手段に規定された複数種類の特別遊技時間の中なら前記図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する特別遊技時間選択手段と
F を備えた遊技機。」

(2)刊行物1に記載された発明
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-233985号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0024】
まず、図1を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の前面側の基本構造を説明する。パチンコ遊技機は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。以下、これらを順に説明する。
・・・中略・・・
【0026】
次に、遊技盤は、外レール122と内レール124とにより区画された遊技領域120が形成されている。そして、当該遊技領域120には、図示しない複数の遊技釘及び風車等の機構や各種一般入賞口の他、第1特図始動口2210、第2特図始動口2110、普図始動口2410、大入賞口2120、第1特別図柄表示装置2130、第2特別図柄表示装置2230、普通図柄表示装置2420、演出表示装置2310、センター飾り192及びアウト口142が設置されている。以下、各要素を順番に詳述する。」

(イ)「【0043】
次に、図2を参照しながら、パチンコ遊技機の背面側における基本構造を説明する。パチンコ遊技機は、パチンコ遊技機の全体動作を制御し、特に普図始動口2410・第1特図始動口2210・第2特図始動口2110へ入球したときの抽選等、遊技動作全般の制御(即ち、遊技者の利益と直接関係する制御)を行う主制御装置(メイン基板)1000と、遊技内容に興趣性を付与する装図表示部2311上での各種演出・情報報知に係る表示制御を行う演出表示制御手段(サブ基板)2320と、遊技の興趣性を高める演出が表示される演出表示装置2310と、賞球タンク212、賞球レール214及び各入賞口への入賞に応じて賞球タンク212から供給される遊技球を上球皿110へ払い出す払出ユニット216等を備える賞球払出機構(セット基盤)210と、払出ユニット216による払出動作を制御する賞球払出装置3000と、上球皿110の遊技球(貯留球)を遊技領域120へ1球ずつ発射する発射装置232と、発射装置232の発射動作を制御する発射制御基板230と、パチンコ遊技機の各部へ電力を供給する電源ユニット290と、パチンコ遊技機の電源をオンオフするスイッチである電源スイッチ292等が、前枠104裏面(遊技側と反対側)に設けられている。
・・・中略・・・
【0045】
まず、主制御装置1000は、主遊技(第1遊技、第2遊技、特別遊技)・補助遊技・一般遊技に関する主たる制御を司る遊技制御手段1100と、遊技周辺機器2000側に各種遊技情報{例えば、停止図柄情報、停止図柄の属性情報{例えば、通常大当たり、特定遊技(本最良形態では確率変動遊技)移行大当たり、ハズレ}、変動態様に関する情報(例えば、変動時間)、特別遊技の開始信号・状態情報・終了信号、保留情報等}を送信するための情報送信手段1300と、各種入賞口への遊技球の入賞に基づき所定の賞球の払出を行うように賞球払出装置3000を制御する賞球払出決定手段1400とを有している。
【0046】
ここで、遊技制御手段1100は、各入球口(始動口等)への遊技球の流入を判定するための入球判定手段1110と、各乱数の取得可否を判定し、当該判定結果に基づき当該各乱数を取得するための乱数取得判定実行手段1120と、変動表示中における各始動口(本最良形態では普図始動口2410のみ)への入球を保留球として上限個数以内で一時記憶するための保留制御手段1130と、後述する当選乱数(第1特別図柄当選乱数、第2特別図柄当選乱数、普通図柄当選乱数)に基づき当たりであるか否かを抽選する当否抽選手段1135と、各乱数に基づき、各図柄の停止図柄及び変動態様(変動時間等)を決定するための図柄内容決定手段1140と、各図柄の変動及び停止表示する制御を行うための表示制御手段1150と、第1特図始動口2210の第1特図始動口電動役物2212の開閉決定に直接関連する各種処理を行うための第1特図始動口電動役物開閉制御手段1160と、通常遊技よりも遊技者に有利な各特別遊技に関する制御を司る特別遊技制御手段1170と、第1遊技及び第2遊技並びに補助遊技に関し、現在の遊技状態をどの遊技状態に移行させるかの決定と、当該決定に基づき遊技状態を移行させる処理を行うための特定遊技制御手段1180と、現在の遊技状態[例えば、主遊技に関する状態{通常遊技状態、特定遊技状態(確率変動遊技状態)、特別遊技状態}、補助遊技に関する状態(易開放状態、非易開放状態)、特別図柄に係る停止図柄及び変動態様情報、各種フラグのオンオフ状況、特別遊技中の遊技状態(例えばラウンド数や入賞個数情報)]等を一時記憶するための遊技状態一時記憶手段1190とを有している。以下、各手段について詳述する。」

(ウ)「【0048】
次に、乱数取得判定実行手段1120は、第1特図始動口2210への遊技球の入球に基づき第1特別図柄用乱数を取得するか否かを判定すると共に、判定結果に応じて当該乱数(例えば、第1特別図柄当選乱数、第1特別図柄変動態様決定乱数、第1特別図柄決定乱数等)を取得する第1特図乱数取得判定実行手段1121と、第2特図始動口2110への遊技球の入球に基づき第2特別図柄用乱数を取得するか否かを判定すると共に、判定結果に応じて当該乱数(例えば、第2特別図柄当選乱数、第2特別図柄変動態様決定乱数、第2特別図柄決定乱数等)を取得する第2特図乱数取得判定実行手段1122と、普通図柄用乱数の取得の可否を判定し、当該判定結果に基づき当該乱数(例えば、普通図柄当選乱数、普通図柄変動態様決定乱数、普通図柄決定乱数等)を取得するための普図乱数取得判定実行手段1123とを有している。尚、通常の第1種遊技機とは異なり、遊技の興趣性を付与するための装飾図柄と連動する図柄は普通図柄である。そして、第1特別図柄は普通図柄が当選し易い状態に移行するか否かを決定する役割、第2特別図柄は第1特別図柄が当選した場合に普通図柄が当選し易い状態に移行するか否かの状態に移行するか否かを決定する役割であり、普通図柄と異なり装飾図柄と連動して演出的役割を持つものではない。したがって、必ずしも普通図柄のように変動態様(又は変動時間)を変える必要は無い。よって、第1特別図柄及び第2特別図柄については、変動態様(又は変動時間)を決定せず一律時間とするよう構成してもよい。
・・・中略・・・
【0051】
次に、当否抽選手段1135は、第1特別図柄当否抽選(第2特別図柄当否抽選)の結果、当たりである場合に特別遊技への移行決定をする{例えば、内部的に第1特別図柄当たりフラグ(第2特別図柄当たりフラグ)をオンにする}特別遊技移行決定手段1135aと、普通図柄の当否抽選の結果、当たりである場合に第1特図始動口電動役物2212の開放を決定する(例えば、内部的に普通図柄当たりフラグをオンにする)第1特図始動口電動役物開放決定手段1135bと、第1特別図柄の当否抽選を行う際に参照される第1特図当否抽選用テーブル1135cと、第2特別図柄の当否抽選を行う際に参照される第2特図当否抽選用テーブル1135dと、普通図柄の当否抽選を行う際に参照される普図当否抽選用テーブル1135eと、を有している。尚、各抽選テーブルは、遊技状態毎に異なるテーブルを有している。例えば、各抽選テーブルは、通常遊技状態の際に用いられる低確率抽選用テーブルと、確率変動遊技状態の際に用いられる高確率抽選用テーブルと、を有する。」

(エ)「【0056】
次に、表示制御手段1150は、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131上で、所定時間第1特別図柄を変動させた後に停止表示する制御を行う第1特図制御手段1151と、第2特別図柄表示装置2230の第2特図表示部2231上で、所定時間第2特別図柄を変動させた後に停止表示する制御を行う第2特図制御手段1152と、普通図柄表示装置2420の普図表示部2421上で、所定時間普通図柄を変動させた後に停止表示する制御を行う普図制御手段1154とを有している。」

(オ)「【0059】
次に、特別遊技制御手段1170は、特別遊技に移行するための条件を充足しているか否か、具体的には、当たりに当選している{第1特別図柄当たりフラグ(第2特別図柄当たりフラグ)}か否かを判定する条件判定手段1171と、特別遊技移行条件を充足している場合、当該特別遊技の内容(具体的には、ラウンド数、ラウンド間時間等)を特別遊技関連情報一時記憶手段1194中にセットする特別遊技内容決定手段1172と、大入賞口2120を所定条件で開状態にするという特別遊技を実行するための特別遊技実行手段1173と、特別遊技に関する各種処理の時間管理(例えば、大入賞口2120の開閉時間等)を行うための特別遊技時間管理手段1174とを有している。ここで、特別遊技時間管理手段1174は、時間を計測可能な特別遊技用タイマ1174aを更に有している。また、特別遊技内容決定手段1172は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194にセットされるべき前記特別遊技の内容を特定する際に参照される特別遊技内容参照テーブル1172aを更に有している。
【0060】
ここで、表7は、特別遊技内容参照テーブル1172aの一例である。まず、終了デモ時間が最も短い場合(4秒)には、当該特別遊技終了後、普通図柄通常遊技状態に移行する危険性が高い(後掲する表9も併せて参照のこと)。それは、当該時間が選択されるケースが、(1)100%で連チャンモードが継続する「普通図柄確率変動遊技状態・特別図柄確率変動遊技状態」である場合は80%超当該時間が選択されるものの、(2)比較的連チャンモードに移行し易い「普通図柄通常遊技状態・特別図柄確率変動遊技状態」である場合は当該時間の選択率が50%未満であることに加え、(3)最も連チャンモードに移行し難い「普通図柄通常遊技状態・特別図柄通常遊技状態」である場合は100%当該時間が選択され、(4)転落の危険性が比較的高い「普通図柄確率変動遊技状態・特別図柄通常遊技状態」である場合も100%当該時間が選択される、からである。尚、終了デモ時間が次に短い場合(9秒)及び最も長い場合(19秒)には、当該特別遊技終了後、普通図柄確率変動遊技状態(連チャンモード)に移行することが確定する。
【表7】



(カ)「【0091】
ステップ1402でYesの場合、ステップ1404で、第1特図乱数取得判定実行手段1121(第2特図乱数取得判定実行手段1122)は、第1特別図柄用乱数(第1特別図柄当選乱数、第1特別図柄変動態様決定乱数、第1特別図柄決定乱数等){第2特別図柄用乱数(第2特別図柄当選乱数、第2特別図柄変動態様決定乱数、第2特別図柄決定乱数)}を取得する。次に、ステップ1434で、第1特図内容決定手段1141(第2特図内容決定手段1142)は、第1フラグ一時記憶手段1191a(第2フラグ一時記憶手段1192a)を参照し、特図確率変動フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ1434でYesの場合、ステップ1436で、第1特図内容決定手段1141(第2特図内容決定手段1142)は、各種参照テーブルとして確率変動遊技状態用のテーブルをセットする。他方、ステップ1434でNoの場合、ステップ1438で、第1特図内容決定手段1141(第2特図内容決定手段1142)は、各種参照テーブルとして通常遊技状態用のテーブルをセットする。次に、ステップ1406で、当否抽選手段1135は、第1特別図柄用乱数(第1特別図柄当選乱数){第2特別図柄用乱数(第2特別図柄当選乱数)}及び遊技状態に基づき、第1特図当否抽選用テーブル1135c(第2特図当否抽選用テーブル1135d)を参照し、第1特別図柄当否抽選(第2特別図柄当否抽選)を実行する。次に、ステップ1408で、特別遊技移行決定手段1135aは、抽選結果が当たりか否かを判定する。ステップ1408でYesの場合、ステップ1410で、特別遊技移行決定手段1135aは、第1フラグ一時記憶手段1191a(第2フラグ一時記憶手段1192a)内の第1特別図柄当たりフラグ(第2特別図柄当たりフラグ)をオンにする。他方、ステップ1408でNoの場合には、ステップ1410をスキップする。
【0092】
そして、ステップ1412で、第1特図内容決定手段1141(第2特図内容決定手段1142)は、第1特図内容決定用抽選テーブル1141a(第2特図内容決定用抽選テーブル1142a)内の各抽選テーブルを参照し、第1特別図柄用乱数(例えば、第1特別図柄決定乱数、第1特別図柄変動態様決定乱数){第2特別図柄用乱数(例えば、第2特別図柄決定乱数、第2特別図柄変動態様決定乱数)}に基づいて第1特別図柄(第2特別図柄)に関する停止図柄及び変動態様を決定し、これらを第1特図情報一時記憶手段1191b(第2特図情報一時記憶手段1192b)に一時記憶する。尚、前記参照されるテーブルは、当否結果・遊技状態に基づいて決定される(以下も同様)。次に、ステップ1414で、情報送信手段1300は、前記ステップ1412で決定した特別図柄に関する情報(特に停止図柄情報)を演出表示制御手段2320側に送信する。次に、ステップ1416で、第1特図変動時間管理手段1151a(第2特図変動時間管理手段1152a)が、所定時間{前記ステップ1412で決定した変動態様に係る変動時間}を第1特図変動管理用タイマ1151a-1(第2特図変動管理用タイマ1152a-1)にセットする。そして、ステップ1418で、第1特図制御手段1151(第2特図制御手段1152)は、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131(第2特別図柄表示装置2230の第2特図表示部2231)上で、第1特図情報一時記憶手段1191b(第2特図情報一時記憶手段1192b)に記憶された変動態様に従い、第1特別図柄(第2特別図柄)の変動表示を開始する。次に、ステップ1420で、第1特図制御手段1151(第2特図制御手段1152)は、第1フラグ一時記憶手段1191a(第2フラグ一時記憶手段1192a)内の第1特別図柄変動中フラグ(第2特別図柄変動中フラグ)をオンする。そして、ステップ1422で、第1特図変動時間管理手段1151a(第2特図変動時間管理手段1152a)が、所定時間に到達したか否かを判定する。ここで、ステップ1422でNoの場合には、次の処理(特別遊技作動条件判定処理1500)に移行する。他方、ステップ1422でYesの場合、ステップ1426で、第1特図制御手段1151(第2特図制御手段1152)は、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131(第2特別図柄表示装置2230の第2特図表示部2231)上での第1特別図柄(第2特別図柄)の変動表示を停止し、第1特図情報一時記憶手段1191b(第2特図情報一時記憶手段1192b)に記憶されている停止図柄を確定停止図柄として表示制御する。次に、ステップ1440で、特定遊技制御手段1180は、当該特別図柄停止時(現在)の遊技状態情報(特別図柄の遊技状態が確率変動遊技状態であるか否か、普通図柄の遊技状態が確率変動遊技状態であるか否か)を特定遊技関連情報一時記憶手段1183に一時記憶する。ここで、特別図柄停止時における遊技状態を一時記憶する理由は、本最良形態に係るパチンコ遊技機においては、特別遊技終了後に普通図柄確率変動遊技状態に移行するか否かについて、当該特別遊技直前の遊技状態を踏まえて決定するためである。尚、当該一時記憶内容は、後述するステップ9000の特別遊技終了後の遊技状態決定処理において、所定条件下で用いられる。次に、ステップ1428で、第1特図制御手段1151(第2特図制御手段1152)は、ステップ1428で、第1特図制御手段1151(第2特図制御手段1152)は、第1フラグ一時記憶手段1191a(第2フラグ一時記憶手段1192a)内の第1特別図柄変動中フラグ(第2特別図柄変動中フラグ)をオフにする。そして、ステップ1430で、第1特図変動時間管理手段1151a(第2特図変動時間管理手段1152a)は、第1特図変動管理用タイマ1151a-1(第2特図変動管理用タイマ1152a-1)をリセットし、次の処理(特別遊技作動条件判定処理1500)に移行する。」

(キ)「【0094】
次に、図11は、図9におけるステップ1500のサブルーチンに係る、特別遊技作動条件判定処理のフローチャートである。まず、ステップ1502で、条件判定手段1171は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194を参照し、第1特別図柄当たりフラグ(第2特別図柄当たりフラグ)がオンであるか否かを判定する。ステップ1502でYesの場合、ステップ1504で、条件判定手段1171は、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131(第2特別図柄表示装置2230の第2特図表示部2231)上に表示された第1特別図柄(第2特別図柄)が所定態様で停止したか否かを判定する。ステップ1504でYesの場合、ステップ1506で、特図特定遊技制御手段1181は、第1フラグ一時記憶手段1191a(第2フラグ一時記憶手段1192a)内の特図確率変動フラグを一旦オフにする。次に、ステップ1508で、普図特定遊技制御手段1182は、補助遊技関連情報一時記憶手段1193a内の普図確率変動フラグを一旦オフにする。そして、ステップ1510及びステップ1512で、条件判定手段1171は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内の第1特別図柄当たりフラグ(第2特別図柄当たりフラグ)をオフにすると共に特別遊技移行許可フラグをオンにし、次の処理(賞球払出処理5000)に移行する。尚、ステップ1502及びステップ1504でNoの場合にも、次の処理(賞球払出処理5000)に移行する。
【0095】
次に、図12は、図4におけるステップ1600のサブルーチンに係る、特別遊技制御処理のフローチャートである。まず、ステップ1602で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194を参照し、特別遊技移行許可フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ1602でYesの場合、ステップ1604及びステップ1606で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内の特別遊技移行許可フラグをオフにすると共に特別遊技実行フラグをオンにし、ステップ1612に移行する。他方、ステップ1602でNoの場合、ステップ1610で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194を参照し、特別遊技実行フラグがオンであるか否かを判定する。そして、ステップ1610でYesの場合には、ステップ1612に移行する。尚、ステップ1610でNoの場合には、特別遊技実行手段1173は、特別遊技の許可が下りていないと判定し、次の処理(賞球払出処理5000)に移行する。」

(ク)「【0098】
次に、ステップ1630で、特別遊技実行手段1173は、大入賞口2120の大入賞口電動役物2122の駆動を停止して、大入賞口2120を閉鎖する。そして、ステップ1632で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技用タイマ1174a(特に開放時間タイマ)をリセットする。次に、ステップ1634で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内のラウンド継続フラグをオフにする。次に、ステップ1636で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194を参照して、当該ラウンドが最終ラウンド(例えば2ラウンド)であるか否かを判定する。ステップ1636でYesの場合、ステップ1640で、特別遊技内容決定手段1172は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄と遊技状態とに基づき、特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、当該特別遊技終了後の終了デモ時間を決定すると共に、当該決定情報(終了デモ時間)を特別遊技用タイマ1174a(特別遊技終了デモ用)にセットする。次に、ステップ1642で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内の特別遊技終了デモフラグをオンにする。次に、ステップ1644で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技用タイマ1174aを参照し、所定時間(前記決定した終了デモ時間)が経過したか否かを判定する。ステップ1644でYesの場合、ステップ1646で、情報送信手段1300は、特別遊技終了信号を演出表示制御手段2320側に送信する。次に、ステップ1648で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内の特別遊技終了デモフラグをオフにする。次に、ステップ1638で、特別遊技実行手段1173は、特別遊技関連情報一時記憶手段1194内の特別遊技実行フラグをオフにする。次に、ステップ9000で、遊技制御手段1100は、後述の特別遊技終了後の遊技状態決定処理を実行する。そして、ステップ1650で、特別遊技実行手段1173は、現在(当該特別遊技終了後)の遊技状態情報を演出表示制御手段2320側に送信し、次の処理(賞球払出処理5000)に移行する。尚、ステップ1636でNoの場合にも、次の処理(賞球払出処理5000)に移行する。」

(ケ)「【図1】



イ 認定事項
刊行物1の上記記載事項(ア)ないし(ケ)から、以下の事項が認定できる。

(コ)上記(イ)【0043】に「パチンコ遊技機は…主制御装置(メイン基板)1000…が…設けられている。」と記載され、(イ)【0045】に「…主制御装置1000は…遊技制御手段1100…を有している。」と記載され、(イ)【0046】に「…遊技制御手段1100は…特別遊技制御手段1170と…を有している。」と記載されているから、(a)パチンコ遊技機は、遊技制御手段1100と特別遊技制御手段1170とを有しているといえる。

(サ)上記(ア)【0024】に「…図1…パチンコ遊技機の前面側…」と記載され、(ア)【0026】に「…遊技領域120には…第1特別図柄表示装置2130…が設置されている。」と記載されていることに照らして、(ケ)【図1】を参照すれば、「パチンコ遊技機の前面側の遊技領域120に第1特別図柄表示装置2130が設置されている」ことが読み取れるから、(b)パチンコ遊技機は、第1特別図柄表示装置2130を有しているといえる。

(シ)上記(オ)【0059】に「特別遊技制御手段1170は…特別遊技内容決定手段1172…を有している。…特別遊技内容決定手段1172は…特別遊技内容参照テーブル1172aを更に有している。」と記載されているから、上記(a)より、(c)特別遊技制御手段1170を有するパチンコ遊技機は、特別遊技内容決定手段1172と特別遊技内容参照テーブル1172aとを有しているといえる。

(ス)上記(オ)【0059】に「特別遊技制御手段1170は、特別遊技に移行するための条件を充足しているか否か、具体的には、当たりに当選している{第1特別図柄当たりフラグ…}か否かを判定する条件判定手段1171と、特別遊技移行条件を充足している場合、当該特別遊技の内容…を特別遊技関連情報一時記憶手段1194中にセットする特別遊技内容決定手段1172と、大入賞口2120を所定条件で開状態にするという特別遊技を実行するための特別遊技実行手段1173と、特別遊技に関する各種処理の時間管理(例えば、大入賞口2120の開閉時間等)を行うための特別遊技時間管理手段1174とを有している。」と記載されているので、特別遊技制御手段1170は、特別遊技に移行するための条件を充足している場合、当該特別遊技の内容をセットして、特別遊技に関する各種処理の時間管理を行って、大入賞口2120を所定条件で開状態にするという特別遊技を実行するといえる。
そして、上記特別遊技に移行するための条件に関して、上記(ウ)【0051】に「…第1特別図柄当否抽選…の結果、当たりである場合に…内部的に第1特別図柄当たりフラグ…をオンにする…」と記載され、(オ)【0059】に「特別遊技制御手段1170は、特別遊技に移行するための条件を充足しているか否か、具体的には、当たりに当選している{第1特別図柄当たりフラグ…}か否かを判定する。」と記載され、(キ)【0094】に「…条件判定手段1171は…第1特別図柄当たりフラグ…がオンであるか否かを判定する。…Yesの場合…第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131…上に表示された第1特別図柄…が所定態様で停止したか否かを判定する。…Yesの場合…特別遊技移行許可フラグをオンにし…」と記載され、(キ)【0095】に「…特別遊技実行手段1173は…特別遊技移行許可フラグがオンであるか否かを判定する。…Yesの場合…特別遊技実行フラグをオンにし…特別遊技実行フラグがオンであるか否かを判定する。…Noの場合には…特別遊技の許可が下りていないと判定し…」と記載されているので、特別遊技の許可は、第1特別図柄当否抽選の結果、当たりである場合、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131上に表示された第1特別図柄が所定態様で停止すると下りるといえる。
したがって、(d)特別遊技制御手段1170は、第1特別図柄当否抽選の結果、当たりである場合、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131上に表示された第1特別図柄が所定態様で停止すると、大入賞口2120を所定条件で開状態にするという特別遊技を実行するといえる。

(セ)上記(ク)【0098】には「…大入賞口2120を閉鎖する。…ラウンドが最終ラウンド…であると判定する。…Yesの場合…終了デモ時間を決定すると共に、当該決定情報(終了デモ時間)を…セットする。次に…特別遊技終了デモフラグをオンにする。次に…所定時間(前記決定した終了デモ時間)が経過したか否かを判定する。…Yesの場合…特別遊技終了デモフラグをオフにする。次に…特別遊技実行フラグをオフにする」と記載されているので、(e)終了デモ時間は、最終ラウンド後から特別遊技実行フラグがオフにされるまでであるといえる。

(ソ)上記(ク)【0098】に「…特別遊技実行手段1173は…大入賞口2120を閉鎖する。…特別遊技実行手段1173は…当該ラウンドが最終ラウンド…であるか否かを判定する。…Yesの場合…特別遊技内容決定手段1172は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄と遊技状態とに基づき、特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、当該特別遊技終了後の終了デモ時間を決定すると共に、当該決定情報(終了デモ時間)を…セットする。」と記載され、(オ)【0060】に「…表7は、特別遊技内容参照テーブル1172aの一例である。」と記載されていることに照らすと、(オ)【0060】の【表7】から、「特別遊技内容参照テーブル1172aは、遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄通常遊技状態>である場合は第1特別図柄a1?p1のいずれにも基づいても終了デモ時間を4秒と規定し、遊技状態が<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄通常遊技状態>である場合は第1特別図柄a1?p1のいずれに基づいても終了デモ時間を4秒と規定し、遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合は第1特別図柄a1?c1、i1?l1に基づき終了デモ時間を14秒と規定し、第1特別図柄d1に基づき終了デモ時間を19秒と規定し、第1特別図柄e1?g1、m1?p1に基づき終了デモ時間を4秒と規定し、第1特別図柄h1に基づき終了デモ時間を9秒と規定し、遊技状態が<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合は第1特別図柄a1?i1、l1?o1に基づき終了デモ時間を4秒と規定し、第1特別図柄j1、p1に基づき終了デモ時間を9秒と規定する」ことが読み取れる。
そうすると、(f)特別遊技内容参照テーブル1172aは、終了デモ時間を、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄と遊技状態とに基づき、4秒、9秒、14秒又は19秒の終了デモ時間のいずれかに規定するといえる。
また、(g)特別遊技内容決定手段1172は、特別遊技実行手段1173が大入賞口2120を閉鎖し、最終ラウンドであると判定する場合に、特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄通常遊技状態>又は<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄通常遊技状態>である場合は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄の第1特別図柄a1?p1のいずれに基づいても終了デモ時間を4秒に決定し、遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄に基づき4秒、9秒、14秒又は19秒の終了デモ時間を決定し、遊技状態が<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄に基づき4秒又は9秒の終了デモ時間を決定するといえる。

ウ 引用発明
刊行物1の記載事項(ア)から(ケ)及び認定事項(a)から(g)を総合すると、刊行物1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(本件補正発明の構成AからFに対応させて、当審にて記号aからfを付した。)。

「a 第1特図始動口2210への遊技球の入球に基づき取得される第1特別図柄用乱数に基づき、当たりであるか否かを抽選する第1特別図柄当否抽選を実行する当否抽選手段1135と、第1特別図柄用乱数に基づいて第1特別図柄に関する停止図柄及び変動態様を決定し、これらを第1特図情報一時記憶手段1191bに一時記憶する第1特図内容決定手段1141とを有している遊技制御手段1100と(【0046】、【0048】、【0091】、【0092】、認定事項(a))、
b 第1特図情報一時記憶手段1191bに記憶された変動態様に従い、第1特図表示部2131上で、所定時間第1特別図柄を変動表示させた後に、第1特図情報一時記憶手段1191bに記憶されている停止図柄が確定停止図柄として停止表示される第1特別図柄表示装置2130と(【0056】、【0092】、認定事項(b))、
c 第1特別図柄当否抽選の結果、当たりである場合、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131上に表示された第1特別図柄が所定態様で停止すると、大入賞口2120を所定条件で開状態にするという特別遊技を実行する特別遊技制御手段1170と(認定事項(d))、
d 最終ラウンド後から特別遊技実行フラグがオフにされるまでの終了デモ時間を、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄と遊技状態とに基づき、4秒、9秒、14秒又は19秒の終了デモ時間のいずれかに規定する特別遊技内容参照テーブル1172aと(認定事項(c)、(e)、(f))、
e 特別遊技実行手段1173が大入賞口2120を閉鎖し、最終ラウンドであると判定する場合に、特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄通常遊技状態>又は<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄通常遊技状態>である場合は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄の第1特別図柄a1?p1のいずれに基づいても終了デモ時間を4秒に決定し、遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄に基づき4秒、9秒、14秒又は19秒の終了デモ時間を決定し、遊技状態が<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合は、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄に基づき4秒又は9秒の終了デモ時間を決定する特別遊技内容決定手段1172と(認定事項(c)、(g))
f を有しているパチンコ遊技機。(【0043】)」

(3)刊行物2に記載された技術事項
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-178258号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。

「【0018】
まず、図1を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の前面側の基本構造を説明する。パチンコ遊技機は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。以下、これらを順に説明する。」

「【0041】
ここで、第1特図内容決定手段1141は、第1特別図柄に係る停止図柄や変動態様を決定する際に参照される第1特図内容決定用抽選テーブル1141aを有しており、当該第1特図内容決定用抽選テーブル1141aは、当否結果・遊技状態・保留球数に応じて異なる各種抽選テーブルを備えている(例えば、遊技状態に関しては、通常遊技→第1特図通常遊技状態用抽選テーブル1141a-1、確率変動遊技→第1特図確率変動遊技状態用抽選テーブル1141a-2、時間短縮遊技→第1特図時間短縮遊技状態用抽選テーブル1141a-3)。また、第2特図内容決定手段1142は、第2特別図柄に係る停止図柄や変動態様を決定する際に参照される第2特図内容決定用抽選テーブル1142aを有しており、当該第2特図内容決定用抽選テーブル1142aは、当否結果・遊技状態・保留球数に応じて異なる各種抽選テーブルを備えている(例えば、遊技状態に関しては、通常遊技→第2特図通常遊技状態用抽選テーブル1142a-1、確率変動遊技→第2特図確率変動遊技状態用抽選テーブル1142a-2、時間短縮遊技→第2特図時間短縮遊技状態用抽選テーブル1142a-3)。更に、普図内容決定手段1143は、普通図柄に係る停止図柄を決定する際に参照される普図内容決定用抽選テーブル1143aを有しており、当該普図内容決定用抽選テーブル1143aは、遊技状態に応じて異なる各種当選テーブルを備えている(通常遊技→普図通常用抽選テーブル1143a-1、確率変動遊技及び時間短縮遊技→普図時間短縮用抽選テーブル1143a-2)。
【0042】
ここで、第2特図内容決定用抽選テーブル1142aは、第1特図内容決定用抽選テーブル1141aと異なり、前記第二乱数の遊技状態、保留数及び当否結果にかかわらず、略同一の変動時間(例えば5秒)である変動内容が高頻度で選択されるよう構成されている。このように構成することにより、後で詳述する、サブ側での第1装飾図柄のスーパーリーチ(ハズレ)後の第2装飾図柄の継続演出(煽り演出)に関連して、煽り演出のパターン(例えばノーマル煽り、回転煽り)のそれぞれに対して一つの変動時間に係る煽り演出用データを保持するだけで済む、という利点がある。或いは、第2特図内容決定用抽選テーブル1142aなど持たずに、第2特別図柄の変動態様(変動時間)を一律としてもよい。」


上記記載事項アより、刊行物2には次の技術事項(以下「刊行物2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「パチンコ遊技機において、第2特別図柄に係る停止図柄や変動態様を決定する際に参照される第2特図内容決定用抽選テーブル1142aが、略同一の変動時間(例えば5秒)である変動内容が高頻度で選択されるよう構成される際には、第2特図内容決定用抽選テーブル1142aなど持たずに、第2特別図柄の変動態様(変動時間)を一律とすること。」

(4)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する(本件補正発明の構成AからFに対応して、見出し(A)から(F)を付した。)。

(A)
引用発明における「第1特図始動口2210への遊技球の入球」は、技術常識に照らして、遊技中に発生することは明らかであるから、引用発明において、「第1特図始動口2210への遊技球の入球に基づき取得される第1特別図柄用乱数に基づき、当たりであるか否かを抽選する第1特別図柄当否抽選を実行する」こと及び「第1特別図柄用乱数に基づいて第1特別図柄に関する停止図柄及び変動態様を決定」することは、本件補正発明において、「遊技中に抽選契機が発生すると、内部抽選を実行する」ことに相当する。
そして、引用発明の「遊技制御手段1100」は、上記抽選を実行する「当否抽選手段1135」と「第1特図内容決定手段1141」とを有しているので、本件補正発明の「内部抽選実行手段」に相当する。

(B)
引用発明では、「決定」された「第1特別図柄に関する停止図柄及び変動態様」は、「第1特図情報一時記憶手段1191bに一時記憶」されるので、引用発明において「第1特図情報一時記憶手段1191bに記憶された変動態様に従」うことは、本件補正発明において「前記内部抽選が実行されると、これを契機として」いることに相当する。
そして、引用発明において「第1特図表示部2131上で、所定時間第1特別図柄を変動表示させた後に、第1特図情報一時記憶手段1191bに記憶されている停止図柄が確定停止図柄として停止表示される」ことは、本件補正発明において「図柄を所定の変動時間にわたって変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる」ことに相当する。
したがって、引用発明の「第1特別図柄表示装置2130」は、本件補正発明の「図柄表示手段」に相当する。

(C)
引用発明においては、「当たりであるか否かを抽選する」ので、抽選の結果は、当たりか当たりでない(ハズレ)かのいずれかであり、引用発明の「当たり」は、本件補正発明の「非当選以外」に相当する。
したがって、引用発明において「第1特別図柄当否抽選の結果、当たりである場合、第1特別図柄表示装置2130の第1特図表示部2131上に表示された第1特別図柄が所定態様で停止する」ことは、本件補正発明において「前記内部抽選の結果に応じて前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示される」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「大入賞口2120を所定条件で開状態にするという特別遊技を実行する特別遊技制御手段1170」は、本件補正発明の「特別遊技を実行する特別遊技実行手段」に相当する。

(D)
引用発明の「最終ラウンド後から特別遊技実行フラグがオフにされるまでの終了デモ時間」は、「特別遊技実行フラグがオフにされるまで」は制御上は「特別遊技」であるから、本件補正発明の「特別遊技の一部を構成する特別遊技時間」に相当する。
そして、引用発明において、「当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄」「に基づき」、「4秒、9秒、14秒又は19秒の終了デモ時間のいずれかに規定する」ことは、本件補正発明において、「前記図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に対応して」、「予め複数種類の特別遊技時間を規定する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「特別遊技内容参照テーブル1172a」は、本件補正発明の「特別遊技時間規定手段」に相当する。

(E)
引用発明において、「最終ラウンド後から特別遊技実行フラグがオフにされるまで」は制御上は「特別遊技」であるので、「特別遊技実行手段1173が大入賞口2120を閉鎖し、最終ラウンドであると判定する場合」は、「特別遊技」が実行されているときであるから、本件補正発明において、「前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して」いる場合に相当する。
そうすると、引用発明において、「特別遊技実行手段1173が大入賞口2120を閉鎖し、最終ラウンドであると判定する場合に」、「遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄通常遊技状態>又は<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄通常遊技状態>である場合」は、本件補正発明において、「前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して、遊技状態に基づいて決定される特別な条件を満たす場合」に相当する。
他方、引用発明において、「特別遊技実行手段1173が大入賞口2120を閉鎖し、最終ラウンドであると判定する場合に」、「遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合」及び「遊技状態が<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄確率変動遊技状態>である場合」は、本件補正発明において、「前記特別な条件を満たさない場合」に相当する。
そして、引用発明において、「特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し」、「当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄の第1特別図柄a1?p1のいずれに基づいても終了デモ時間を4秒に決定」することは、「予め規定された特別遊技時間を選択する」点で本件補正発明と共通する。
また、引用発明において、「特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し」、「当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄に基づき4秒、9秒、14秒又は19秒の終了デモ時間を決定」すること、及び「特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し」、「当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄に基づき4秒又は9秒の終了デモ時間を決定する」ことは、本件補正発明において、「前記特別遊技時間規定手段に規定された複数種類の特別遊技時間の中から前記図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する」ことに相当する。

(F)
引用発明の「パチンコ遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。

(A)から(F)より、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「 遊技中に抽選契機が発生すると、内部抽選を実行する内部抽選実行手段と、
前記内部抽選が実行されると、これを契機として図柄を所定の変動時間にわたって変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、
前記内部抽選の結果に応じて前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技の一部を構成する特別遊技時間について、前記図柄表示手段により停止表示された図柄の態様に対応して予め複数種類の特別遊技時間を規定する特別遊技時間規定手段と、
前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して、遊技状態に基づいて決定される特別な条件を満たす場合、予め規定された特別遊技時間を選択する一方、前記特別な条件を満たさない場合、前記特別遊技時間規定手段に規定された複数種類の特別遊技時間の中から前記図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する特別遊技時間選択手段と
を備えた遊技機。」

[相違点]
「前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して、遊技状態に基づいて決定される特別な条件を満たす場合」に「選択する」「予め規定された特別遊技時間」が、本願発明では、「前記特別遊技時間規定手段とは別に」規定されたものであるのに対し、引用発明では、そのように規定されたものでない点。

(5)判断
ア 相違点について
上記相違点について検討する。
引用発明と刊行物2に記載された技術事項とは、「パチンコ遊技機」という共通の技術分野に属している。
また、引用発明において、「特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し」て、「終了デモ時間」を「決定」することと、刊行物2に記載された技術事項において、「第2特図内容決定用抽選テーブル1142a」が「参照され」、「変動時間」が「選択される」こととは、いずれもテーブルを参照して、遊技に関連する時間を選択している点で共通の作用を有している。
してみると、引用発明における「特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄が第1特別図柄a1?p1のいずれであっても終了デモ時間を4秒に決定」する構成を、刊行物2に記載された技術事項における「略同一の」「時間」が「選択されるよう構成される際には」、「テーブル」「など持たずに」、「時間」「を一律とする」構成に変更することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、そのように構成すると、遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄通常遊技状態>又は<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄通常遊技状態>である場合の終了デモ時間が、特別遊技内容参照テーブル1172aとは別に規定されるのは明らかであるから、上記相違点に係る構成を備えることになる。

(6)本件補正発明の効果及び審判請求人の主張について
ア 本件補正発明の効果について
刊行物2に記載された技術事項における「テーブル」「など持たずに」、「時間」「を一律とする」構成に変更することにより、テーブルを持つよりもデータを少なくすることができることは、当業者にとって自明であるから、本件補正発明が有する効果は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項が有する各効果から当業者が予測し得るものであって、格別のものということはできない。

イ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、平成30年3月9日提出の審判請求書の請求の理由中、「〔4〕本願発明と引用文献に記載された発明との対比」及び「〔5〕本願発明の特許性」において、本件補正発明について概ね以下の主張をしている。

(i)刊行物1(段落〔0098〕)にある本来の「当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄と遊技状態とに基づき、特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、当該特別遊技終了後の終了デモ時間を決定する」との記載を出発点として考えるならば、刊行物1の表7にある4つの各表は、いずれも「特別図柄の停止特別図柄が何であったかの基準」と「遊技状態が何であったかの基準」をセットで規定したものであり、「表7中、左上と左下の表だけは『特別図柄の停止特別図柄が何であったかの基準』について規定しておらず、『遊技状態が何であったかの基準』だけを規定したものである」と当業者が理解しなければならないとする根拠はないから、<普通図柄通常遊技状態、特別図柄通常遊技状態>又は<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄通常遊技状態>である場合が本願の発明でいう「特別な条件を満たす場合」に相当するという認定は、本願の発明を先に知った上で引用文献1の記載を後付けで自己に都合よく解釈したものである。
上記のように、刊行物1記載の発明に、「終了デモ時間の決定に際して『特別な条件を満たす場合』のような判断の基準は存在しない」から、刊行物1記載の発明は、「特別な条件を満たす場合、特別遊技時間規定手段とは別に予め規定された特別遊技時間を選択する」という構成を有しないことは明らかである。そして、その逆の「終了デモ時間の決定に際して『特別な条件を満たさない場合』のような判断の基準も存在しない」ことは明らかであるから、当然に刊行物1記載の発明は、「特別な条件を満たさない場合、特別遊技時間規定手段に規定された複数種類の特別遊技時間の中から図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する」に相当する構成をも有していない。

(ii)刊行物2(段落〔0042〕)に記載されているものは、要するに「変動の対象が第1特別図柄である場合は第1特図内容決定用抽選テーブル1141aを参照し、第2特別図柄である場合は第2特図内容決定用抽選テーブル1142aを参照する」という程度の当業者にとっては極めてありふれた内容に過ぎず、取り立てて「第2特別図柄の変動は『遊技状態に基づいて決定される特別な条件を満たす場合』に該当する」などとわざわざ当業者が解釈しなければならないとする根拠はない。
そもそも、上記(i)のように刊行物1記載の発明には、「終了デモ時間の決定に際して『特別な条件を満たす場合』のような判断の基準」は存在しないのであり、そこでは常に「当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄と遊技状態とに基づき、特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、当該特別遊技終了後の終了デモ時間を決定する」としているのだから、刊行物2の上記内容が果たして、刊行物1記載の発明に接した当業者にいかなる動機付けを与えるというのか全く不明である。

(iii)刊行物1記載の発明は、少なくとも本願の発明の構成Eを有しておらず、かかる構成は、単に刊行物2の「変動する対象の特別図柄に応じたテーブルを適宜参照する」といった程度のことで容易に埋め合わせすることはできない。

(iv)刊行物1は、「特別図柄の停止特別図柄と遊技状態」という2つの基準を足し合わせて終了デモ時間を決定しているが、結局は「特別図柄の停止特別図柄が『所定態様a1?p1』のいずれであるかに基づき」という基準から離れることはできず、刊行物1の表7のようにかえって「第1特別図柄の態様×遊技状態」といった煩雑なテーブル構成となってしまう。
これに対し、本願の発明では、遊技状態に基づいて決定される特別な条件を満たす場合、わざわざ停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する必要がなく、別に規定された特別遊技時間を選択しているので、この場合にテーブルを別途設ける必要がなく、プログラム作成に際してデータ領域が圧迫されることを防止することができる点で格別に優位である。

(イ)上記主張(i)については、本件補正後の請求項1には、「遊技状態に基づいて決定される特別な条件」と記載され、特別な条件が遊技状態のみに基づいて決定されるとは記載されていないから、刊行物1の「特別図柄の停止特別図柄が何であったかの基準」と「遊技状態が何であったかの基準」をセットで規定したものを排除するものでなく、審判請求人の主張は特許請求の範囲の記載に基づいたものでない。
また、本願の発明の詳細な説明を参照すると、【0393】に「…遊技状態が高確率非時間短縮状態(高確率かつ電サポ無し状態)である場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5714を実行する。」と記載され、【0394】に「ステップS5714:主制御CPU72は、大当り時の図柄オフセット値を確認する。…図柄オフセット番号は、1?12までの値が当選図柄(又は小当り図柄)に対応して設定されている。」と記載され、【0395】に「…主制御CPU72は図柄オフセット値が当選図柄の種類である「4ラウンド確変図柄1」や「2ラウンド確変図柄1」に対応する4又は5であるか否かを確認する。この確認の結果、図柄オフセット値が4又は5である場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS5730を実行する。」と記載され、【0402】に「ステップS5730:主制御CPU72は、エンディング時間として10,600ms(10.6秒)を設定する。」と記載されている。
これらの記載を考慮すると、発明の詳細な説明に記載の実施態様においても、主制御CPU72は、遊技状態が高確率非時間短縮状態(高確率かつ電サポ無し状態)である場合、当選図柄の種類である「4ラウンド確変図柄1」や「2ラウンド確変図柄1」であることを条件に、エンディング時間として10,600ms(10.6秒)を設定するといえるから、審判請求人が、「特別図柄の停止特別図柄が何であったかの基準」と「遊技状態が何であったかの基準」をセットで規定していると主張する引用発明と異なるところはない。
さらに本件補正発明において仮に、特別な条件が遊技状態のみに基づいて決定されるとしても、上記(5)において説示したように、引用発明における「特別遊技内容参照テーブル1172aを参照し、当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄が第1特別図柄a1?p1のいずれであっても終了デモ時間を4秒に決定」する構成を、刊行物2に記載された技術事項における「略同一の」「時間」が「選択されるよう構成される際には」、「テーブル」「など持たずに」、「時間」「を一律とする」構成に変更すれば、その結果として「当該特別遊技の契機となった特別図柄の停止特別図柄」には基づかずに「終了デモ時間」が決定されることになるため、「終了デモ時間」を決定するための条件は、実質的に遊技状態が<普通図柄通常遊技状態、特別図柄通常遊技状態>又は<普通図柄確率変動遊技状態、特別図柄通常遊技状態>であることのみとなる。

次に上記主張(ii)及び(iii)については、刊行物2には上記(3)に記載したとおりの技術事項が記載されている。そして、組み合わせの動機付け及び構成の埋め合わせについては上記(5)で説示したとおりである。

上記主張(iv)については、上記(6)アで説示したとおりである。

以上のとおりであるから、審判請求人の主張を採用することはできない。

(7)小括
したがって、上記(5)及び(6)において検討したように、本件補正発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 本件補正についてのむすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成29年7月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1において本件補正前の請求項1として記載した、次のとおりのものである(当審にて分説のため記号を付した。本件補正発明と共通の記号は、両発明間で実質的に共通する構成に対応する。)

「 【請求項1】
A 遊技中に抽選契機が発生すると、内部抽選を実行する内部抽選実行手段と、
B 前記内部抽選が実行されると、これを契機として図柄を所定の変動時間にわたって変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、
C 前記内部抽選の結果に応じて前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技の一部を構成する特別遊技時間について、前記図柄表示手段により停止表示された図柄の態様に対応して予め複数種類の特別遊技時間を規定する特別遊技時間規定手段と、
E’前記特別遊技実行手段により前記特別遊技が実行されるに際して、特別な条件を満たす場合、前記特別遊技時間規定手段とは別に予め規定された特別遊技時間を選択する一方、前記特別な条件を満たさない場合、前記特別遊技時間規定手段に規定された複数種類の特別遊技時間の中なら前記図柄表示手段により停止表示された際の図柄の態様に基づいて特別遊技時間を選択する特別遊技時間選択手段と
F を備えた遊技機。」

2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は概略、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2010-233985号公報(当審註:上記刊行物1と同じ)
引用文献2.特開2009-178258号公報(当審註:上記刊行物2と同じ)

3 原査定の理由について
(1)刊行物の記載事項
拒絶の理由に引用された刊行物1及び2の記載事項はそれぞれ、上記第2の3(2)及び(3)に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本件補正発明は、上記第2の2に記載したとおり、本願発明における「特別な条件」について、「遊技状態に基づいて決定される」という限定事項を付加したものである。
そうすると、本願発明を特定するために必要な事項をすべて含み、さらに特定するために必要な事項を付加した本件補正発明が、上記第2の3に記載したとおり、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるのだから、上記限定事項を付加していない本願発明も引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。

第4 むすび
上記第3より、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-19 
結審通知日 2018-11-27 
審決日 2018-12-10 
出願番号 特願2013-241643(P2013-241643)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 倉持 俊輔
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 山崎 崇裕  

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