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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F25D 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F25D |
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管理番号 | 1348665 |
審判番号 | 不服2017-9730 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-07-03 |
確定日 | 2019-02-26 |
事件の表示 | 特願2012-281010号「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月 7日出願公開、特開2014-126219号、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成24年12月25日の出願であって、平成28年8月30日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年11月4日付けで手続補正がされ、平成29年3月30日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年7月3日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年4月27日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由1」という。)がされ、平成30年7月9日付けで手続補正がされ、平成30年7月20日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由2」という。)がされ、平成30年9月25日付けで手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成30年9月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 外箱と、前記外箱内に配置される内箱と、前記外箱と前記内箱の間に設けられる真空断熱材とを有する冷蔵庫であって、 前記外箱の一部の角部は、帯状の鋼板を折り曲げることで形成され、前記角部には、当該角部の剛性を高めるための補強部材が配置され、 前記補強部材の長手方向は、前記外箱と前記内箱の断面に垂直な方向であり、 前記補強部材の交叉する外側面の内、一方の外側面は、前記角部を構成する外箱内面の天井面部に当接し、他方の外側面は、前記外箱内面の側面部に当接しており、かつ、 前記補強部材は、少なくとも前記真空断熱材が設置されている範囲に渡って前記角部の奥行き方向に配置されていることを特徴とする冷蔵庫。」 本願発明2-8は以下のとおりである。 「【請求項2】 前記補強部材は金属製またはプラスチック製であることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。 【請求項3】 前記角部には、前記真空断熱材が設置されていない空間が存在し、当該空間には、前記角部における断熱性を保持する断熱部材が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。 【請求項4】 前記真空断熱材の外面側には、前記補強部材の一部を収容するための段差部分が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷蔵庫。 【請求項5】 前記補強部材は、前記真空断熱材と接触しない離した位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷蔵庫。 【請求項6】 前記補強部材の前記内箱側の内面は、前記真空断熱材の前記内箱側の内面よりも、前記外箱側に位置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷蔵庫。 【請求項7】 前記補強部材の厚みは、前記真空断熱材の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷蔵庫。 【請求項8】 前記補強部材は、断面矩形状に形成されており、かつ内箱に対面するコーナー部は傾斜部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。」 本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。 第3 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献A-Dに基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献 A.特開平8-61834号公報 B.特表2002-513134号公報 C.特開2011-247535号公報 D.特開平8-247636号公報 第4 当審拒絶理由1の概要 当審拒絶理由1の概要は、次のとおりである。 本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献 1.特開平2-103382号公報(当審において新たに引用した文献) 2.特開2011-247535号公報(拒絶査定時の引用文献C) 第5 当審拒絶理由2の概要 当審拒絶理由2の概要は、次のとおりである。 この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第6 当審拒絶理由1について 1.引用文献、引用発明等 (1)引用文献1について 当審の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平2-103382号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。 「2.特許請求の範囲 片面に予じめ塗装された帯状塗装鋼板の折曲げにて形成されたキャビネットと、この前面開口縁に内側へ折曲げして形成した前面フランジと、この前面フランジの裏側に折返した裏面フランジと、この裏面フランジより連続して裏面フランジとの間に溝を形成した後フランジとで構成された二重フランジと、縦辺と横辺が前記後フランジ裏面に片面スポット溶接にて固着溶融され固定された鉄板製の補強部材により構成された外箱と、樹脂製の内箱と、この内箱の外周に形成された内箱フランジと、この内箱フランジに形成され、前記キャビネット二重フランジの溝に挿入嵌合された嵌合部と、前記内箱と外箱間に発泡充填された発泡断熱材とからなる断熱箱体。」(特許請求の範囲) 「 以下本発明の一実施例の冷蔵庫の断熱箱体について図面を参照しながら説明する。 第1図?第9図において、22は冷蔵庫の外箱23を成すキャビネットで、左側板24、右側板25及び天板26と更に前面開口縁に形成された二重フランジ27を予め塗装された一枚の帯状塗装鋼板の折曲げにて形成されている。22aはその塗装された塗膜であり、22bは鋼板本体である。キャビネット22は左右側板24、25にて下端縁に内向きの略水平なフランジ28及び後端縁と内向きの略垂直なフランジ29を折曲げ形成しており、また天板26の後端には下向きの略垂直なフランジ30を折曲形成しており図示していないがフランジ28、28にねじ等にて固定した支持材に底板31をねじ等にて固定し、またフランジ29、29、30にわたって背面板32をねじ等で固定することにより外箱23を構成している。 二重フランジ27は左右側板24、25及び天板26を折曲して前面フランジ27a及びこの前面フランジ27aと連続して前面フランジ27aの裏側へ若干の間隔を存して折返した裏面フランジ27b、さらに裏面フランジ27bとの間に溝33を形成する後フランジ27aとより形成されている。34は鉄板製の補強部材であり、キャビネット22の前面左隅部において後フランジ27c裏面に片面スポット溶接方式にて固着溶融され取付固定された縦辺34aと横辺34bとを有し、さらに横辺34bより後部に向かって形成されたヒンジ取付部34cを有している。ヒンジ取付部34cには上ヒンジ5取付用のねじ孔34dが設けてある。34eは通称プロジェクションと呼ばれる突起であり、縦辺34a及び横辺34bのそれぞれ前面に向かって凸部を形成している。この突起34eは高さ0.5?1mm、外径1?2mm程度の大きさである。尚この突起34eはヒンジ取付部34cの天板26当接方向にも設けてある。」(公報3ページ左上欄8行?左下欄4行) したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「帯状塗装鋼板の折曲げにて形成されたキャビネットと、縦辺と横辺が前記キャビネットの後フランジ裏面に片面スポット溶接にて固着溶融され固定された鉄板製の補強部材により構成された外箱と、樹脂製の内箱と、前記内箱と外箱間に発泡充填された発泡断熱材とからなる断熱箱体を備えた冷蔵庫。」 (2)引用文献2について また、当審の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2011-247535号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明の実施形態は、冷蔵庫の断熱箱体に関する。」 「【0009】 断熱箱体1は、鋼板製の外箱2と、この外箱2の内部に離間して収容された合成樹脂製の内箱3との間に、真空断熱パネル組立4(図2(b)参照)が組込まれて構成される。この真空断熱パネル組立4は、その厚み寸法が断熱箱体1を構成する周囲の壁自体の厚みと同等の厚さに設けられる。そして、これら外箱2と内箱3及び真空断熱パネル組立4とからなる断熱箱体1により、冷蔵庫本体の周囲の壁部(複数の壁部)が構成される。・・・」 したがって、上記引用文献2には、「冷蔵庫の外箱と内箱との間に真空断熱パネルを設けること。」という技術的事項が記載されていると認められる。 2.対比・判断 (1)本願発明1について ア.対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明における「外箱」は、その技術的意味等から、本願発明1における「外箱」に相当する。 同様に、「内箱」は、「内箱」に、「縦辺と横辺が前記キャビネットの後フランジ裏面に片面スポット溶接にて固着溶融され固定された鉄板製の補強部材」は、「帯状の鋼板を折り曲げることで形成され、前記角部には、当該角部の剛性を高めるための補強部材」に、「冷蔵庫」は、「冷蔵庫」に相当する。 引用発明の補強部材は、外箱の角部に設けられていると認められる。 引用発明の「内箱と外箱間に発泡充填された発泡断熱材」は、本願発明1における「真空断熱材」と「断熱材」の限りにおいて一致する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「外箱と、前記外箱内に配置される内箱と、前記外箱と前記内箱の間に設けられる断熱材とを有する冷蔵庫であって、 前記外箱の一部の角部は、帯状の鋼板を折り曲げることで形成され、前記角部には、当該角部の剛性を高めるための補強部材が配置されている冷蔵庫。」 (相違点) (相違点1)本願発明1は断熱材が「真空断熱材」であるのに対して、引用発明は「発泡断熱材」である点。 (相違点2)本願発明1は、補強部材について、「前記補強部材の長手方向は、前記外箱と前記内箱の断面に垂直な方向であり、前記補強部材の交叉する外側面の内、一方の外側面は、前記角部を構成する外箱内面の天井面部に当接し、他方の外側面は、前記外箱内面の側面部に当接しており、かつ、前記補強部材は、少なくとも前記真空断熱材が設置されている範囲に渡って前記角部の奥行き方向に配置されている」のに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。 イ.相違点についての判断 上記相違点2について検討すると、相違点2に係る本願発明1に係る構成は、上記引用文献2には記載されておらず、本件出願前に周知技術であったともいえいない。 したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本願発明2?8について 本願発明2?8も、相違点2に係る本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 当審拒絶理由2について 当審拒絶理由2については、平成30年9月25日の手続補正により解消された。 第8 原査定についての判断 1.引用文献、引用発明等 1)引用文献Aについて 平成28年8月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、外箱と内箱との間の断熱材として真空断熱パネルを用いた断熱箱体、及びこの断熱箱体を製造する製造方法に関する。【0002】 【従来の技術】従来より、例えば冷蔵庫に用いられる断熱箱体においては、鋼板製の外箱とプラスチック製の内箱とを組み合わせて外殻体を構成し、この外殻体の内部に、発泡ポリウレタン等の発泡断熱材をいわゆる現場発泡により充填して構成されている。この種の断熱箱体においては、発泡断熱材が外箱及び内箱に密着固定されているので、箱体としての剛性が確保された構造となっていた。」 「【0015】 【実施例】以下、本発明を冷蔵庫に用いられる断熱箱体に適用した第1実施例につき、図1ないし図7を参照して説明する。まず、図1及び図2において、断熱箱体1の外殻を構成する外殻体2は、鋼板製の外箱3と、プラスチック製の内箱4とを組み合わせて構成されている。 【0016】このうち、外箱3において、図4に示すように、対向する左右一対の側板部3a,3aと天板部3bとが一体に構成され、背板部3cはそれらとは別部品によって構成されている。両側板部3a及び天板部3bには、前部側及び後部側にフランジ挿入部5,6が一体に設けられていて、前部側のフランジ挿入部5に内箱4のフランジ7を挿入すると共に、後部側のフランジ挿入部6に背板部3cのフランジ8を挿入することにより、外箱3と内箱4との間に空間部9を形成する外殻体2が構成されている(図2参照)。また、天板部3bの左右両側のコーナー部に対応する部位には、注入口10が形成されている。 【0017】そして、外殻体2内の空間部9には、図3に示すような補強体11が配設されている。この補強体11は、対向する左右一対の側面部材12,12と、上面部材13とから構成されていて、これら側面部材12,12及び上面部材13は、外殻体2の各コーナー部2aに対応する部位に直角度を保持する断面L字状のコーナー支持部14を有した矩形枠状をなしている。 【0018】補強体11のうち側面部材12,12は、図2に示すように、前辺部を外箱3の側板部3aの前部側のフランジ挿入部5に、また、後辺部を側板部3aの後部側のフランジ挿入部6にそれぞれねじ止めもしくはスポット溶接により固着することによって、各側板部3aの内面側に取り付けている。また、上面部材13も、図示はしないが、側面部材12と同様に、前辺部を天板部3bの前部側のフランジ挿入部5に、また、後辺部を天板部3bの後部側のフランジ挿入部6にそれぞれねじ止めもしくはスポット溶接により固着することによって、天板部3bの内面側に取り付けている。 【0019】また、上記外殻体2内の空間部9には、真空断熱パネル15と、真空断熱パネル以外の断熱材として発泡ポリウレタンからなる発泡断熱材16が充填されている。このうち、真空断熱パネル15は、外殻体2の左右両側部、天井部、及び背部に、それぞれ外箱3と内箱4との間に挟持された状態で配設されており、また、発泡断熱材16は、外殻体2の各コーナー部2aに現場発泡によって充填されている。 【0020】ここで、斯様な構成の断熱箱体1を製造する手順を説明する。まず、外箱3における天板部3bの内面側に補強体11の上面部材13を取り付けると共に、外箱3の各側板部3aの内面側に補強体11の側面部材12をそれぞれ取り付ける。そして、外箱3の天板部3b及び各側板部3aの内面にホットメルト等の接着剤(図示せず)を塗布し、それら天板部3b及び各側板部3aの内面に真空断熱パネル15を張り付ける。また、外箱3の背板部3cの内面にも同様な接着剤を塗布し、真空断熱パネル15を張り付けけておく。【0020】ここで、斯様な構成の断熱箱体1を製造する手順を説明する。まず、外箱3における天板部3bの内面側に補強体11の上面部材13を取り付けると共に、外箱3の各側板部3aの内面側に補強体11の側面部材12をそれぞれ取り付ける。そして、外箱3の天板部3b及び各側板部3aの内面にホットメルト等の接着剤(図示せず)を塗布し、それら天板部3b及び各側板部3aの内面に真空断熱パネル15を張り付ける。また、外箱3の背板部3cの内面にも同様な接着剤を塗布し、真空断熱パネル15を張り付けけておく。 【0021】次に、図4に示すように、外箱3の両側板部3a,3aを外側へ開いた状態で、補強体11及び真空断熱パネル15の内側へ内箱4を挿入し、この後、両側板部3a,3aを閉じ、内箱4のフランジ7を外箱3の前部側のフランジ挿入部5に挿入する。また、真空断熱パネル15を張り付けた背板部3cのフランジ8を外箱3の後部側のフランジ挿入部6に挿入して、その背板部3cをねじ止めもしくは溶接により固着する。 したがって、上記引用文献Aには次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 「断熱箱体1の外殻を構成する外殻体2は、鋼板製の外箱3と、プラスチック製の内箱4とを組み合わせて構成され、外箱3において、対向する左右一対の側板部3a,3aと天板部3bとが一体に構成され、外箱3と内箱4との間に空間部9を形成する外殻体2とされ、外箱3の両側板部3a,3aを外側へ開いた状態で、補強体11及び真空断熱パネル15の内側へ内箱4を挿入している冷蔵庫。」 2)引用文献B、C及びDについて 平成28年8月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献B及びC並びに平成29年3月30日付けの拒絶査定に周知技術として引用された引用文献Dは、次の技術的事項が記載されている。 a.引用文献B 「冷蔵庫の外箱と内箱との間に真空断熱パネルを設けること。」 b.引用文献C 「外箱と、内箱と、それらの間に設けられる真空断熱パネルとを備え、冷蔵庫本体の複数の壁部を構成する冷蔵庫の断熱箱体であって、前記真空断熱パネルは、少なくとも前記壁部毎に分割された複数枚を組合せた形態で、前記内箱と外箱との間に設けられると共に、それら複数枚の真空断熱パネルの隣合う部分に形成される隙間部分には、取付可能な外気侵入防止用のシール部材が該隙間を塞ぐように設けられている冷蔵庫の断熱箱体。」 c.引用文献D 「断熱箱体が鋼板を折曲げ加工した外箱とプラスチック製の内箱と両箱間で形成される箱殻に充填させた硬質ウレタンフォーム4から構成されている冷蔵庫。」 2.対比・判断 (1)本願発明1について ア.対比 本願発明1と引用発明Aとを対比すると、次のことがいえる。 引用発明Aにおける「外箱3」は、その技術的意味等から、本願発明1における「外箱」に相当する。 同様に「内箱4」は、「内箱」に、「角部を構成する外箱内面の天井面部」は、「天板部3b」に、「真空断熱パネル15」は、「真空断熱材」に、「冷蔵庫」は、「冷蔵庫」にそれぞれ相当する。 引用発明Aにおける「補強体11」は、本願発明1における「帯状の鋼板を折り曲げることで形成され、前記角部には、当該角部の剛性を高めるための」「補強部材」であって、「長手方向は、前記外箱と前記内箱の断面に垂直な方向であり」、「交叉する外側面の内、一方の外側面は、前記角部おり」、かつ、「少なくとも前記真空断熱材が設置されている範囲に渡って前記角部の奥行き方向に配置されている」「補強部材」と、「外箱と内箱との間に設けられる補強部材」の限りにおいて一致する。 したがって、本願発明1と引用発明Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「外箱と、前記外箱内に配置される内箱と、前記外箱と前記内箱の間に設けられる真空断熱材及び補強部材とを有する冷蔵庫。」 (相違点) (相違点3)本願発明1は、「外箱の一部の角部は、帯状の鋼板を折り曲げることで形成され」ているのに対し、引用発明Aはそのような構成を備えているか不明である点。 (相違点4)補強部材について、本願発明1は「帯状の鋼板を折り曲げることで形成され、前記角部には、当該角部の剛性を高めるための」「補強部材」であって、「長手方向は、前記外箱と前記内箱の断面に垂直な方向であり」、「交叉する外側面の内、一方の外側面は、前記角部おり」、かつ、「少なくとも前記真空断熱材が設置されている範囲に渡って前記角部の奥行き方向に配置されている」という構成を備えるのに対し、引用発明Aはそのような構成を備えていない点。 イ.相違点についての判断 上記相違点4について検討すると、相違点4に係る本願発明1に係る構成は、上記引用文献A?Dには記載されておらず、本件出願前に周知技術であったともいえいない。 したがって、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明A、引用文献A?Dに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本願発明2-8について 本願発明2-8も、相違点4に係る本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明A、引用文献A?Dに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第9 むすび 以上のとおり、本願発明1-8は、当業者が引用発明A、引用文献A?Dに記載された技術的事項に基いて容易に発明することができたものであるとはいえない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-02-12 |
出願番号 | 特願2012-281010(P2012-281010) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(F25D)
P 1 8・ 121- WY (F25D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 金丸 治之、横溝 顕範 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
莊司 英史 窪田 治彦 |
発明の名称 | 冷蔵庫 |
代理人 | 三好 秀和 |