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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A24D
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A24D
管理番号 1348671
審判番号 不服2017-14962  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-06 
確定日 2019-02-26 
事件の表示 特願2014-541140号「高いフィラメント当たりデニールおよび低い総デニールのトウバンドの製品」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月10日国際公開、WO2013/067511、平成27年 3月26日国内公表、特表2015-508992号、請求項の数(28)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年11月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年11月3日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年8月18日付けで拒絶理由通知がされ、平成27年11月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年3月30日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、平成28年6月9日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年11月29日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年3月3日に意見書が提出され、平成29年5月31日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年10月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、平成30年8月13日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年11月13日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?28に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明28」という。)は、平成30年11月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?28に記載された以下の事項により特定される発明である。

「 【請求項1】
フィルターであって、該フィルターが、
11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、
該フィルターが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターが17mm以下の円周を有する、
フィルター。
【請求項2】
該フィルターが、7%以下の封入圧力低下変動係数を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
該フィルターが、煙流中の5mg以上のタールを、1cm以上のフィルターロッドの長さにわたって該フィルター中を通させることができる、請求項1に記載のフィルター。
【請求項4】
該フィルターが2mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項5】
空洞、多孔性物質、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィントウ、ポリプロピレントウ、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ランダム配向したアセテート、紙、コルゲート紙、同心フィルター、カーボンオントウ、シリカ、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、モレキュラーシーブ、塩、触媒、塩化ナトリウム、ナイロン、香味料、タバコ、カプセル、セルロース、セルロース誘導体、酢酸セルロース、触媒コンバーター、ヨウ素5酸化物、粗粉体、カーボン粒子、炭素繊維、繊維、ガラスビーズ、ナノ粒子、空隙室、バッフル付空隙室、10未満のフィラメント当たりデニールを有する酢酸セルローストウおよびこれらの任意の組み合わせから成る群から選ばれた少なくとも1つを含んでいる区画
をさらに含んでいる、請求項1に記載のフィルター。
【請求項6】
ナノスケールカーボン粒子、少なくとも1つの壁を有するカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、竹状カーボンナノ構造体、フラーレン、フラーレン集合体、グラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、酸化鉄ナノ粒子、ナノ粒子、金属ナノ粒子、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、アルミナナノ粒子、磁性ナノ粒子、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、酸化ガドリニウムナノ粒子、赤鉄鉱ナノ粒子、磁鉄鉱ナノ粒子、ガドナノチューブ、エンドフラーレン、Gd@ C_(60)、コア-シェルナノ粒子、たまねぎ状ナノ粒子、ナノシェル、たまねぎ状酸化鉄ナノ粒子およびこれらの任意の組み合わせから成る群から選ばれた少なくとも1つを含んでいる活性粒子
をさらに含んでいる、請求項1に記載のフィルター。
【請求項7】
フィルターであって、該フィルターが、
複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドと、添加物と、を含んでおり
該フィルターが、3.5?20mm水/mmフィルター長さの封入圧力低下を有し、該添加物がないと該フィルターは3mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターが17mm以下の円周を有するとともに、該トウが、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する、フィルター。
【請求項8】
フィルターであって、該フィルターが、
11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドと、添加物と、を含んでおり、
該フィルターが、3.5?20mm水/mmフィルター長さの封入圧力低下を有し、該添加物がないと該フィルターは3mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターが17mm以下の円周を有する、フィルター。
【請求項9】
喫煙具フィルターであって、該喫煙具フィルターが、
第1の区画と、第2のフィルター区画と、を含んでおり、
該第1の区画が、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでいるフィルターを含んでおり、該フィルターが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターが17mm以下の円周を有する第1の区画である、喫煙具フィルター。
【請求項10】
喫煙具であって、該喫煙具が、
喫煙に適した物質と、フィルターと、を含んでおり、
該フィルターが、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該フィルターが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターが17mm以下の円周を有する、喫煙具。
【請求項11】
該喫煙に適した物質が、タバコ、茶、薬草、炭化された成分、熱分解された成分、無機フィラー成分およびこれらの任意の組み合わせから成る群から選ばれた少なくとも1つを含む、請求項10に記載の喫煙具。
【請求項12】
該喫煙に適した物質が、タバコカラムの形状をしている、請求項10に記載の喫煙具。
【請求項13】
該フィルターが複数の区画を含んでいる、請求項10に記載の喫煙具。
【請求項14】
該区画のうちの少なくとも1つが、空洞、多孔性物質、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィントウ、ポリプロピレントウ、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ランダム配向したアセテート、紙、コルゲート紙、同心フィルター、カーボンオントウ、シリカ、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、モレキュラーシーブ、塩、触媒、塩化ナトリウム、ナイロン、香味料、タバコ、カプセル、セルロース、セルロース誘導体、酢酸セルロース、触媒コンバーター、ヨウ素5酸化物、粗粉体、カーボン粒子、炭素繊維、繊維、ガラスビーズ、ナノ粒子、空隙室、バッフル付空隙室、10未満のフィラメント当たりデニールを有する酢酸セルローストウおよびこれらの任意の組み合わせから成る群から選ばれた少なくとも1つを含んでいる、請求項13に記載の喫煙具。
【請求項15】
該フィルターが、煙流中の5mg以上のタールを、1cm以上の該フィルターの長さにわたって該フィルター中を通させることができる、請求項10に記載の喫煙具。
【請求項16】
喫煙具であって、該喫煙具が、
フィルターと、ハウジングと、を含んでおり、
該フィルターは、17mm以下の円周を有し、3.5?20mm水/mmフィルター長さの封入圧力低下を達成するのに有効な量の添加物を含んでおり、該添加物がないと該フィルターは3mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、
該ハウジングは、該フィルターと流体接触している、喫煙に適した物質を保持することができるとともに、該フィルターが、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでいる、喫煙具。
【請求項17】
該ハウジングが、シガレット、シガレットホルダー、シガー、シガーホルダー、パイプ、水パイプ、水キセル、電子喫煙具、手巻きシガレット、手巻きシガーおよび紙から成る群から選ばれた少なくとも1つである、請求項16に記載の喫煙具。
【請求項18】
該フィルターが複数の区画を含んでいる、請求項16に記載の喫煙具。
【請求項19】
フィルターのパックであって、
該パックが、少なくとも複数のフィルターを含んでおり、該フィルターが17mm以下の円周を有し、該フィルターが3.5?20mm水/mmフィルターロッド長さの封入圧力低下を達成するのに有効な量の添加物を含んでおり、該添加物がないと該フィルターロッドは3mm水/mmフィルターロッド長さ以下の封入圧力低下を有するパック
を含んでいるとともに、該フィルターが、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでいる、フィルターのパック。
【請求項20】
フィルターのパックであって、
該パックが、少なくとも複数のフィルターを含んでおり、該フィルターは17mm以下の円周を有し、該フィルターは、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該フィルターが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有するパック
を含んでいるフィルターのパック。
【請求項21】
喫煙具のパックであって、
該パックが、少なくとも1つの喫煙具を含んでおり、該喫煙具はフィルターを含んでおり、該フィルターは11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以上の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該フィルターが17mm以下の円周および3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有するパック
を含んでいる、喫煙具のパック。
【請求項22】
喫煙具のパックであって、
該パックが、少なくとも1つの喫煙具を含んでおり、該喫煙具は17mm以下の円周を有するフィルターを含んでおり、該フィルターは3.5?20mm水/mmフィルターロッド長さの封入圧力低下を達成するのに有効な量の添加物を含んでおり、該添加物がないと該フィルターロッドは3mm水/mmフィルターロッド長さ以下の封入圧力低下を有するパック
を含んでいるとともに、該フィルターが、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでいる、喫煙具のパック。
【請求項23】
喫煙具パックのカートンであって、
該カートンが、少なくとも1つのパックを含んでおり、該パックは少なくとも1つの喫煙具を含んでおり、該少なくとも1つの喫煙具はフィルターを含んでおり、該フィルターはフィラメント当たり11デニール以上および20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該フィルターが17mm以下の円周および3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有するカートン
を含んでいる、喫煙具パックのカートン。
【請求項24】
11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する捲縮されたトウバンドであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいる捲縮されたトウバンドのベールを用意する工程;および
該捲縮されたトウバンドを装置に入れて、フィルターロッドを形成する工程、
を含むとともに、該フィルターロッドが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターロッドが17mm以下の円周を有する、方法。
【請求項25】
フィルターロッドを作る方法であって、該方法が、
第1のフィルター区画を用意する工程;
少なくとも1つの第2のフィルター区画を用意する工程であって、該第2のフィルター区画が11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該フィルター区画が3.5mm水/mmフィルター区画長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルター区画が17mm以下の円周を有する工程;および
該第1のフィルター区画と該少なくとも1つの第2のフィルター区画とを接合して、フィルターロッドを形成する工程、
を含む方法。
【請求項26】
喫煙具を作る方法であって、該方法が、
タバコカラムを用意する工程;および
該タバコカラムをフィルターに接合する工程であって、該フィルターが11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該フィルターが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターが17mm以下の円周を有する工程、
を含む方法。
【請求項27】
少なくとも複数の第1のフィルター区画を含んでいる容器を用意する工程;
少なくとも複数の第2のフィルター区画を含んでいる第2の容器を用意する工程であって、該第2のフィルター区画が11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該第2のフィルター区画が3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該第2のフィルター区画が17mm以下の円周を有する工程;
該第1のフィルター区画と該第2のフィルター区画とを、該第1のフィルターと該第2のフィルターとの長手方向軸に沿って端と端とを接合して、包装されていないフィルターロッドを形成する工程;および
該第1のフィルター区画と該第2のフィルター区画とを紙で包装して、フィルターロッドを形成する工程、
を含む方法。
【請求項28】
喫煙具を作る方法であって、該方法が、
少なくとも1つのフィルター区画を含んでいるフィルターロッドを用意する工程であって、該少なくとも1つのフィルター区画が、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んでおり、該フィルター区画が3.5mm水/mmフィルター区画長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルター区画が17mm以下の円周を有する工程;
タバコカラムを用意する工程;
該フィルターロッドを該フィルターロッドの長手方向軸と直角に該ロッドの中心線を通って切断して、活性粒子と結合剤粒子とを含んでいる多孔質物質を含んでいる少なくとも1つのフィルター区画を有する、少なくとも2つの喫煙具フィルターを形成する工程;および
該喫煙具フィルターのうちの少なくとも1つを該タバコカラムに、該フィルターの長手方向軸と該タバコカラムの長手方向軸とに沿って接合して、少なくとも1つの喫煙具を形成する工程、
を含む方法。」

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物であって、原査定の拒絶の理由に引用された特表2011-509682号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、当審において付したものである。
ア 「【0005】
シガレットフィルターに使用される通常のフィルター素材は、フィラメント状セルロースアセテートの連続トウであり、これをトリアセチンで可塑化し、ロッド形状に巻き上げてフィルター又フィルター要素を形成する。このような連続トウ(および該連続トウより形成されるフィルターおよびフィルター要素)において、セルロースアセテートトウのフィラメントは、その大部分が長手方向に整列される。セルロースアセテートがフェノール化合物に対する選択濾過作用を示すことはよく知られている。“スリム”シガレット用のフィルターは、当然のことながら、標準フィルターに比べてセルロースアセテートフィルター素材の包含量が少ない。すなわち、同量の煙に有効に作用する素材がより少なく、選択濾過効果は低下する。故に、スリムシガレットの喫煙者に提供されるフェノール化合物の量を潜在的に選択減少する、スリムフィルターを提供することが望ましい。
【0006】
フィルタートウの仕様は、フィラメント当たりの繊度(dpf)、総繊度、および繊維断面形状に関して説明される。フィラメント繊度は、単一フィラメント9000メートルあたりのグラム重量として定義され、総繊度は、単純にdpfにトウ内のフィラメント数を乗じたものである。従って、例えば、5Y30,000のトウとは、dpfが9000メートル当たり5グラムであるY形状のフィラメント6000本からなり、総繊度が9000メートル長さ当たり30,000グラムである素材を表す。円周が小さい、一般的なセルロースアセテート(“モノアセテート”)シガレットフィルター(例えばスリムモノアセテートフィルター)を製造するには、総繊度の小さいセルロースアセテートトウを使用する必要がある。なぜなら、スリム製品に充填できる素材の量には制限があるからである。総繊度の小さいトウは、総繊度がより大きなトウよりも(単位重量当たりの)費用が高いことに加え、総繊度の小さいトウの市販での入手可能性が限られていることは、当該産業において広く知られている。そのため、従来のスリムまたはスーパースリムモノアセテートフィルターよりも、より広範囲な総繊度を有するセルロースアセテートトウから製造することができる、スリムフィルターを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、円周14.0?23.2mm(例えば、16?23.2mm)の実質的に均質なフィルター素材からなる円柱形プラグを有するタバコ煙フィルターまたはフィルター要素を提供し、該実質的に均質なフィルター素材は、複数の不規則に配向されたステープルファイバーを有する。」

イ 「【0009】
本明細書において、“ステープルファイバー”という用語は、特定の長さを有する個別の不連続な繊維を意味する。ステープルファイバーは、相互に不規則に配向させてもよい。実質的に均質なフィルター素材は、複数の不規則に配向されたステープルファイバーを有してもよく、不規則に配向されたステープルファイバーの一部は、概して円柱形プラグの長手軸線に対して横方向に延びる。実質的に均質なフィルター素材は、その重量の少なくとも10%(例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%)が円柱形プラグの長手軸線に対して実質的に横方向に延びる複数の不規則に配向されたステープルファイバーを有してもよい。
【0010】
不規則に配向されたステープルファイバーという用語は、(フィルターまたはフィルター要素内において)三次元的に不規則に配向されたステープルファイバーを意味する。不規則に配向されたステープルファイバーという用語は、本明細書では、その個々の繊維の大半が長手方向に整列された、連続するセルロースアセテートトウを意味することを意図しない(また、意味もしない)。(しかしながら、以下に述べるように、ステープルファイバーは、このようなトウから形成することができることが理解されるであろう。)不規則に配向されたステープルファイバーという用語は、本明細書では、(例えばパルプおよび/または繊維から)形成され、その後(例えば巻き上げにより)ウェブまたはシートの全体または略全体がロッド状に成形されるウェブまたはシート状のフィルター素材を意味することを意図しない(また、意味もしない)。不規則に配向されたステープルファイバーという用語は、ロール状に巻き取られる二次元の紙状加工物を意味しない。不規則に配向されたステープルファイバーという用語は、本明細書では、(例えばパルプおよび/または繊維から)形成され、その後細断されてからロッド状に成形されるウェブまたはシート状のフィルター素材を意味することを意図しない(また、意味もしない)。シートまたはウェブは、二次元的に不規則な配向を有することができるが、フィルター製造装置内で引っ張られる際にその特性を保つように(細断される場合でも)いくつかの工程(エンボス加工等)を経る。かくして、シートまたはウェブ(細断されたシートまたはウェブであっても)から作製されるフィルターまたはフィルター要素内の繊維は、その大部分がフィルターまたはフィルター要素の長手軸線に沿って並ぶので、これらは(三次元において)不規則に配向されるステープルファイバーではない。
【0011】
複数の不規則に配向されるステープルファイバーは、複雑に入り組んだ通路を提供する多孔質マトリックスを形成してもよく、これらの通路は、シガレットフィルターとして利用される場合に煙の通り道として機能する。本発明のフィルターまたはフィルター要素の性能は、既存の製品(例えば、長手方向に配向されたセルロースアセテートのフィラメントからなる連続トウをトリアセチンで可塑化し、ロッド形状に巻き上げて形成される“モノアセテート”製品)と同等であることを本出願人は知った。ところが、不規則に配向されるステープルファイバーの形状で使用すれば、必要とされるフィルター素材(セルロースアセテート等)の量が、20?30%少なくて済むということを本出願人は発見した。これにはフィルター当たりのフィルター素材の必要量が減少することに加えて、従来のスーパースリム製品に使用されるものよりも総繊度の大きなセルロースアセテートトウを使用することができるというもう一つの利点がある。従って、本出願人の発明によって(必要とされるフィルター素材の量が減少するので)重量を削減できたことによる費用節約効果に加えて、(高価で入手しづらい)総繊度の小さいトウを使用する必要性がもはやないことから、使用するトウ自体の単価を下げることもできる。
【0012】
本発明のタバコ煙フィルターまたはフィルター要素は、例えば、(不規則に配向されるステープルファイバーを有しない)標準のモノアセテートフィルターまたはフィルター要素に比べて、(スリムシガレットにおける)タバコの煙に含まれるフェノール類の除去性が向上していることを、本出願人は思いがけず発見した。この予期せず発見された、本発明のフィルターおよびフィルター要素によるフェノール化合物の減少性は、フィルター素材(セルロースアセテート)の重量が少ないことを考慮すると、よりいっそう顕著である。本出願人はまた、本発明のタバコ煙フィルターまたはフィルター要素は、標準のモノアセテートフィルターまたはフィルター要素等と比べて、例えば自然環境条件下においてより容易かつ速やかに分解され得ることを思いがけず発見した。
【0013】
ステープルファイバーは、フィラメント材料から作ってもよい。当技術分野で周知のように、ステープルファイバーは捲縮してもよい。ステープルファイバーは、例えば、セルロースアセテート繊維またはポリプロピレン繊維であってもよい。ステープルファイバーは、例えばセルロースアセテートトウやポリプロピレントウ等の繊維トウから製造(形成)してもよい。ステープルファイバーは、例えば、天然繊維および/または合成繊維、天然植物材料から形成される繊維等であってもよい。ステープルファイバーは、(例えば、ハンマーミルによって繊維化された)セルロースパルプ繊維であってもよい。ステープルファイバーは、切断されたハーブ(例えば刻まれたタバコの葉)であっても、再生タバコシートから得てもよい。ステープルファイバーは、最終製品に香料および/または濾過特性を付与するものであってもよい。ステープルファイバーは、実質的に同じ長さ(実質的に均一の長さ)であってもよい。ステープルファイバーは、様々に異なる長さであっても
よい。ステープルファイバーの長さは、例えば4mm?20mmにすることができ、例えば5mm?19mm、例えば6mm?18mm、例えば7mm?16mmにしてもよい。ステープルファイバーは、その総繊度が9000m長さ当たり14,000g?55,000gであるセルロースアセテートトウ等の繊維トウから製造または形成することができ、その総繊度は例えば、9000m長さ当たり20,000g?50,000g、例えば9000m長さ当たり23,000g?45,000g、例えば9000m長さ当たり25,000g?40,000gであってもよい。
【0014】
実質的に均質なフィルター素材は、例えば、(メントール溶液等の香料(flavourant)といった)液体添加剤等の他の素材を随意に含んでもよい。不規則に配向される複数のステープルファイバーを有する実質的に均質なフィルター素材は、複数のステープルファイバーから形成してもよく、また、例えば、可塑剤、バインダー材料その他添加剤等の他の素材を随意に含んでもよい。ステープルファイバーは、(例えば可塑剤の作用により)非常に多数の接触点において互いに結合させてもよい。」

ウ 「 【0030】
図1に示すフィルター1は、円周16.9mm、長さ27mmの細長い円柱形の多孔質プラグ2を含み、該プラグは、トリアセチンで可塑化された5Y30,000のセルロースアセテートトウから形成される、複数の不規則に配向された個々のステープルファイバー3を有する。図1および図2に示すように、ステープルファイバー3は、概して該要素の長手軸線に対して横方向に延び僅かに結びつくことで、多数の接触点が生じ、この接触点においてステープルファイバー3は、相互に結合する。結合したファイバーは、プラグ2を形成する実質的に均質なフィルター素材を提供する。このようにして形成される実質的に均質なフィルター素材は、多孔質マトリックスと称され、シガレットフィルターとして使用される場合には複雑に入り組んだ煙の通り道となる。フィルター要素1は、断面全体にわたって実質的に均一な物理的性質を有する。
【0031】
フィルターは、例えば、特許文献2に開示される方法等の、既知の方法によって製造される。これによると、未処理のセルロースアセテートトウは、従来のバンディング装置に通されて個々のフィラメントに分離され、別の従来のバンディング装置において、トウは比較的薄いフィラメントの層へと広げられる。次にこのフィラメント層は、従来の可塑化装置に通され、そこで適切な可塑剤(本実施例ではトリアセチン)をフィラメント層の片側もしくは両側に適切な噴射により噴霧され、可塑化されたトウを形成する。一対のローラー等の従来の供給手段によって、可塑化されたトウは、ステープルファイバーを製造しこれらを連続ロッド状に成形する加工装置へと搬送される。適切な装置が、特許文献2に詳細に説明され、同明細書の図1に示されている。・・・」

エ 「【0032】
実施例2 フェノール除去性
下記の表1において、特許文献2の方法に基づいて製造されたフィルターであり、可塑化されたセルロースアセテートの不規則に配向された複数のステープルファイバーから形成されるフィルター素材を含むサンプルAを、同一寸法を有する従来技術のモノアセテートフィルターと比較する。硬さ値(最初のロッド径のパーセント値で表されるフィルターロッドの圧縮直径として定義される。ロッドの圧縮は、一定時間、円形脚部を通して既知の重りを加えることにより行われる。)および圧力損失(PD)(mmWGで表される)をこれらのサンプルについて計測した。・・・」

オ 「【0036】
実施例3 分解性
様々な種類のシガレットフィルターを屋上の金網ケージ内に配置して、それらの重量を12ヶ月間にわたって定期的に測定した。12ヶ月後、一般的なモノアセテートフィルターの重量は、23?30%減少していたのに対し、可塑化されたセルロースアセテートからなる複数の不規則に配向されたステープルファイバーより形成されるフィルター素材を含む同等寸法のフィルターの重量は、46%減少した。同等の重量損失が生じることが予想されていたので、このことは意外である。
【0037】
実施例3 トウの種類
二つのスーパースリム多重フィルターロッドAおよびB(各々のロッドは、図1および図2の実施形態と同様の構造を有する本発明の27mm長のフィルターを4つ有する)、並びに比較される一般的なモノアセテートスーパースリム製品“コントロール(Control)”の特性を以下に示す。
【0038】

【0039】
サンプルAおよびBに使用されるトウは、標準の(円周24.5mm)円周の製品に使用されるものと同一であるのに対して、上記モノアセテートコントロールスーパースリムのサンプルは、より高価な総繊度の小さいトウを必要とする。本発明のフィルターは、従来のスーパースリム製品のためのトウよりもずっと総繊度の大きいセルローストウを使用して許容し得る特性を提供することを、本実施例は示している。」

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
上記(1)オの段落【0038】において、‘コントロール’の製品について、トウ品目が「6Y17,000」となっており、当該製品が、6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するトウを含んでいることが分かる。
また、27mmチップ圧力損失(mm)が 「115」となっており、1mm当たりのチップ圧力損失は115/27=4.26であることが分かる。ここで、上記(1)エの段落【0032】において、「圧力損失(PD)(mmWGで表される)」との記載によれば、圧力損失は水位計で計ったものであり、「mm水/mmフィルター長さ」ということができる。

(3)引用文献1に記載された発明
ア 引用発明1A
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1A」
という。)が記載されていると認められる。
「フィルターであって、該フィルターが、
6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウであって、複数のセルロースアセテートからなるフィラメントを長手方向に整列させたセルロースアセテートトウより形成され、
該フィルターが4.26mm水/mmフィルター長さの圧力損失を有し、該フィルターが16.8mmの円周を有する、
フィルター。」

イ 引用発明1B
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1B」という。)が記載されていると認められる。
「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウであって、複数のセルロースアセテートからなるフィラメントを長手方向に整列させたセルロースアセテートトウを用意する工程;および
該セルロースアセテートトウを装置に入れて、ロッド形状のフィルターを形成する工程、
を含むとともに、該ロッド形状のフィルターが4.26mm水/mmフィルター長さの圧力損失を有し、該ロッド形状のフィルターが16.8mmの円周を有する、方法。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物であって、原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-159043号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、当審において付したものである。
「【0010】このようなフィルター100を設計する際の重要な因子として通気抵抗がある。通気抵抗とは、フィルタープラグ、フィルター、たばこ巻き、シガレットなど、円棒状物の軸方向に17.5ml/secの空気を流したときの円棒状物の両端の差圧であり、コレスタ(CORESTA)推奨法No.41に定められている。シガレットの通気抵抗は、シガレットを人間が喫煙するという観点から、適正な範囲がある。例えば、1400Paを超える通気抵抗では人が吸引することができず、600Paに満たない通気抵抗では吸いごたえがない。
【0011】そして、フィルタープラグの通気抵抗は、用いるトウの品種と、フィルタープラグに巻上げるときのトウの詰め込み量、フィルタープラグの長さ、円周によって定まる。トウ品種は、単繊維の繊度とトウの総繊度によって表され、単繊維の繊度が細く総繊度が太いものほど通気抵抗が高くなる。同じトウ品種でも、フィルタープラグに巻上げるときのトウの詰め込み量を調整することができ、詰め込み量を多くするほど通気抵抗が高くなる。また、フィルタープラグの長さが長く円周が細いほど通気抵抗が高くなる。フィルタープラグを切断してフィルターにしたときの通気抵抗は、次の関係にある。
フィルターの通気抵抗=フィルタープラグの通気抵抗
×フィルターの長さ/フィルタープラグの長さ …(1)
(1)式からわかるように、フィルター付きシガレットのフィルター仕様を変更するとフィルターの通気抵抗が変わり、シガレットの通気抵抗が変化する。」

(2)引用文献2記載の技術的事項
上記(1)によれば、上記引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「トウの単繊維の繊度を細く総繊度を太くするほど、フィルターの通気抵抗は高くなる(逆に、トウの単繊維の繊度を太く総繊度を細くするほど、通気抵抗が低くなる)こと。」

3 引用文献3について
(1)引用文献3の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物であって、原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第2940456号明細書(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「EXAMPLE 1.-MAGNESIUM CARBONATE
A partially opened tow of a crimped, regular crosssection cellulose acetate yarn (39.2% acetyl) having about eight crimps per inch and containing approximately 10,000 filaments of 8 denier per filament was slowly pulled over a compressed air banding device as disclosed in the aforementioned Crawford and Stevens patents and in Jackson, U.S. Patent 2,737,688, which spread out the filaments to a width of about twelve inches. While the tow was in this spread condition it was sprayed (using a conventional point spray gun) uniformly with finely divided droplets of di(rnethoxyethyl) phthalate plasticizer in order to make numerous portions of the sur faces of the filaments soft and tacky. The spread tow was then passed through a dusting chamber which dusted the fibers uniformly with a finely divided (325 mesh) powder of magnesium carbonate (MgCO_(3)) of a type commercially available from Baker Chemical Co. and designated as analytical grade. On leaving the dusting chamber the tow contained 14% plasticizer and 18% magnesium carbonate, based on the total weight of tow, carbonate and plasticizer. After this spreading, spraying, and dusting, the treated tow was pulled back to its original shape of a compact bundle, i.e. cord, and fed into a conventional cigarette filter plug making machine which formed it cylindrically, wrapped it with paper, and cut it into rods 78 mm. in length and 7.5 mm. in diameter. The rods were then given a heat treatment for one hour at 80℃. to cause partial solvation of the acetate filaments by the plasticizer and thereby bond the carbonate particles to the filaments and the filaments to each other, imparting firmness to the rods. Thereupon the rods were readily cut into 13 mm. filter tip lengths and attached to king size (85 mm) cigarettes of a standard brand available on the retail market in the U.S. The cigarettes were first shortened by 13mm. and the 13mm. rods then affixed to the shortened cigarettes by means of an adhesive tape. These filter cigarettes were smoked to a total butt length of 35 mm. on a smoking machine in design and operation to the smoking machine described by J. A. Bradford, W. R. Harlan and H. R. Hanmer in lndustrial and Engineering Chemistry, vol. 28, pp. 836-9 (1936). The smoke which passed through the cigarettes was collected and analyzed for nicotine and tar content.
Control filters without a powdered additive were also prepared from the same sellulose acetate tow containing the same amount of di(methoxyethyl) phthalate plasticizer. These filters were attached to the same brand of standard king size cigarettes shortened by 13 mm. These cigarettes were also smoked to a total butt length of 35 mm. by means of the smoking machine. The smoke which passed through the cigarettes was collected and analyzed for nicotine and tar content.
Ten unfiltered king size cigarettes (same brand) which were not shortened by 13 mm. were smoked to a butt length of 35 mm. by means of the smoking machine. The smoke which passed through the cigarettes was collected and analyzed for nicotine and tar content.
The results obtained from the three sets of cigarettes are listed in Table I.

From the results listed above it can be seen that the filter containing the combination of acetate fibers and magnesium carbonate reduced the amount of tar collected by 43.6% and the amount of nicotine collected by 44%. The control filter reduced the amount of tars collected by 9.2% and the amount of nicotine collected by 8%. The increase in pressure drop of the filtered cigarette due to the addition of the carbonate to the filter was only about 5%.」(4欄35行?5欄46行)
<当審仮訳>
「実施例1.-炭酸マグネシウム
1インチ当たり約8の捲縮を有しかつ1フィラメント当たり8デニールのおよそ10,000フィラメントを含有する、捲縮した規則的な断面のセルロースアセテート糸(39.2%アセチル)の部分的に開いたトウは、前述のCrawfordおよびStevensの特許およびJacksonの米国特許第2,737,688号に開示されているように圧縮空気バンディング装置上でゆっくり引っ張られ、フィラメントを約12インチの幅に広げられる。トウがこの展延状態にある間に、フィラメントの表面の多数の部分を柔らかくそして粘着性にするためにジ(メトキシエチル)フタレート可塑剤の細かく分割された液滴を均一にスプレーした(従来の点スプレーガンを使用)。次いで、広げたトウをダスティングチャンバーに通過させ、ここで、Baker Chemical Co.から市販されており、分析用グレードとして指定されている種類の炭酸マグネシウム(MgCO_(3))の微粉(325メッシュ)粉末を均一に散布した。ダスティングチャンバーを出るときに、トウは、トウ、カーボネートおよび可塑剤の総重量に基づいて14%の可塑剤および18%の炭酸マグネシウムを含有していた。この展延、噴霧およびダスティングの後、処理されたトウは、コンパクトな束、すなわちコードという元の形状に引き戻され、そして、従来のシガレットフィルタープラグ製造機に供給され、それを円筒状に形成し、紙で包み、そして長さ78mm、直径7.5mmのロッドに切断した。その後、ロッドを80℃で1時間熱処理して、可塑剤によるアセテートフィラメントの部分的な溶媒和を引き起こし、それによってカーボネート粒子をフィラメントおよびフィラメントに互いに結合させ、ロッドに堅さを与える。その結果、ロッドは13mmのフィルターチップの長さに容易に切断され、米国の小売市場で入手可能な標準的なブランドのキングサイズ(85mm)のシガレットに取り付けられた。紙巻きタバコは最初に13mm短縮され、次いで13mmのロッドが接着テープによって短縮された紙巻きタバコに固定された。これらのフィルター付き紙巻きタバコは、 A.Bradford、W.R.Harlan及びH.R.HanmerによってIndustrial and Engineering Chemistry、28巻、836-9頁(1936年)に記載された喫煙機に設計上および操作上同類の喫煙機上で、総バット長35mmまで喫煙された。
紙巻きタバコを通過した煙を集め、そしてニコチンおよびタール含有量について分析した。
粉末添加剤を含まない対照フィルターも、同量のジ(メトキシエチル)フタレート可塑剤を含有する同じセルロースアセテートトウから調製した。これらのフィルターは、13mm短くした同じブランドの標準的なキングサイズの紙巻きタバコに取り付けられました。これらの紙巻きタバコもまた、喫煙機によって総バット長35mmまで喫煙された。紙巻きタバコを通過した煙を集め、そしてニコチンおよびタール含有量について分析した。
13mm短縮されていない10個のフィルターなしのキングサイズの紙巻きタバコ(同じブランド)を喫煙機によってバット長35mmまで喫煙された。紙巻きタバコを通過した煙を集め、そしてニコチンおよびタール含有量について分析した。
3組の紙巻きタバコから得られた結果を表Iに列挙する。
・・・表I・・・
上に挙げた結果から、アセテート繊維と炭酸マグネシウムの組み合わせを含むフィルターは、収集されたタールの量を43.6%、そしてニコチンの収集量を44%減少させたことが分かる。対照フィルターは、収集されたタールの量を9.2%、そしてニコチンの収集量を8%減少させた。炭酸塩をフィルターに添加することによるフィルター付き紙巻きタバコの圧力降下の増加は、わずか約5%であった。」

イ 「EXAMPLE 3.-CALCIUM CARBONATE
The procedures described in Example 1 were repeated using a tow of cellulose acetate yarn containing 5,000 filaments of 16 denier per filament, a plasticizer consisting of triethyl citrate, and a powder consisting of calcium carbonate (CaCO_(3)) with an average particle size of 0.1 micron (Multifex MM, Daiamond Alkali Company). The treated tow contained 60% cellulose acetate, 30% calcium carbonate, and 10% plasticizer. A control tow of cellulose acetate yarn of 5,000 filaments, 16 denier per filament, and containing 14% triethyl citrate, was also prepared. Both treated tow samples were processed into filter rods and the rods were heated at 60℃. for one hour. Filter tips of 13 mm. in length were prepared from both sets of rods and placed on the standard king size cigarettes which had been shortened by 13 mm. Ten cigarettes containing the calcium carbonate filters and 10 cigarettes containing the control filters were smoked to butt lengths of 35 mm. on the smoking machine. The smoke which passed through the cigarettes was collected and analyzed for nicotine and tar content.

From the values listed above and in Example 1 it can be seen that the filter containing the combination of acetate fibers and calcium carbonate reduced the amount of tars collected by 29.4% and the amount of nicotine collected by 28.0%. The control filter reduced the amount of tars collected by 4.9% and the amount of nicotine collected by 4.0%. The increase in pressure drop of the filtered cigarette due to the addition of the calcium carbonate to the filter was only about 5%. 」(5欄72行?6欄40行)

<当審仮訳>
「実施例3.-炭酸カルシウム
実施例1に記載した手順を、フィラメント当たり16デニールの5000本のフィラメント、クエン酸トリエチルからなる可塑剤、および0.1ミクロンの平均粒径を有する炭酸カルシウム(CaCO_(3))からなる粉末(Multifex MM、Daiamond Alkali Company)を含有するセルロースアセテート糸のトウを用いて繰り返した。 処理したトウは60%のセルロースアセテート、30%の炭酸カルシウム、および10%の可塑剤を含有していた。5,000フィラメント、1フィラメント当たり16デニール、および14%クエン酸トリエチルを含むセルロースアセテートヤーンの対照トウも調製した。両方の処理したトウサンプルをフィルターロッドに加工し、ロッドを60℃で1時間加熱した。長さ13mmのフィルタチップを両方のロッドセットから調製し、13mm短くされた標準的なキングサイズの紙巻きタバコの上に配置した。炭酸カルシウムフィルターを含む10本の紙巻きタバコと対照フィルターを含む10本の紙巻きタバコを、喫煙機上で35mmのバット長さに喫煙した。紙巻きタバコを通過した煙を集め、そしてニコチンおよびタール含有量について分析した。
・・・表・・・
上に挙げた値および実施例1に示した値から、アセテート繊維と炭酸カルシウムとの組み合わせを含むフィルターは、収集されたタールの量を29.4%およびニコチンの収集量を28.0%減少させたことが分かる。対照フィルターは、収集されたタールの量を4.9%減少させ、ニコチンの量を4.0%減少させた。炭酸カルシウムをフィルターに添加することによるフィルター付き紙巻きタバコの圧力降下の増加は、わずか約5%であった。」

(2)引用文献3記載の技術的事項
上記(1)とその表内のデータによれば、上記引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「直径7.5mm(円周が約24mm)のフィルターのトウにおいて、16のフィラメント当たりデニールおよび5000の総デニールを有し、13mmのフィルターが3.8インチ(96.5mm)の圧力低下(1mmあたり3.8インチ/13=96.5mm/13=約7.42mm)を有すること。」

4 引用文献4について
(1)引用文献4の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物であって、原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第3272638号明細書(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「This invention relates to ester additives for fibrous material and the employment thereof in spinning solutions. More particularly, it relates to filaments, yarns, tows and filters containing certain sugar esters and preparation of same.」(1欄15?19行)
<当審仮訳>
「本発明は繊維材料用のエステル添加剤およびそれを紡糸溶液に使用することに関する。より具体的には、本発明は、特定の糖エステルを含有するフィラメント、ヤーン、トウおよびフィルター、ならびにそれらの調製に関する。」

イ 「EXAMPLE 1
A solution consisting of 300 pounds of cellulose acetate (40 percent acetyl) and 900 pounds of acetone was divided into 6 equal parts. Varying amounts of a sucrose acetate isobutyrate, containing an average of 2 acetyl groups and 6 isobutyryl groups per sucrose molecule, were added to five of these solution examples, then all six samples were spun using a conventional spinning cabinet. In all cases, the denier of the yarn was held constant at 16 denier/filament, 4,000 total denier and the spinning rate was adjusted so that 300 grams/min. of acetone were removed from the spun yarn by evaporation. Table I illustrates the increase in spinning rates obtained by the addition of the extender. The properties of the spun yarn are also listed in Table I.

」(3欄10?24行)
<当審仮訳>
「実施例1
300ポンドの酢酸セルロース(40%アセチル)および900ポンドのアセトンからなる溶液を6等分した。スクロース1分子当たり平均2個のアセチル基および6個のイソブチリル基を含有する、様々な量のスクロースアセテートイソブチレートをこれら溶液の実施例の5つに添加し、次いで6つのサンプルすべてを従来の回転キャビネットを用いて回転させた。すべての場合において、ヤーンのデニールは16デニール/フィラメント、4,000総デニールで一定に保たれ、紡糸速度は、蒸発によりヤーンから300g/分のアセトンが除去されるように調整された。表1は増量剤の添加により得られる紡糸速度の増加を示す。紡績ヤーンの特性も表1に記載されている。
・・・表1・・・」

(2)引用文献4記載の技術的事項
上記(1)によれば、上記引用文献4には、次の技術的事項(以下、「引用文献4記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「フィルターに用いるヤーンが、16のフィラメント当たりデニールおよび4000の総デニールを有すること。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1Aとを対比する。
・引用発明1Aにおける「セルロースアセテートトウ」は、本願発明1における「トウ」に相当し、以下同様に、「セルロースアセテートからなるフィラメント」は「酢酸セルロースフィラメント」に、「圧力損失」は「封入圧力低下」に、それぞれ相当する。
・引用発明1Aにおける「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウ」は、本願発明1における「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」に、「所定数のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」という限りにおいて一致する。
・引用発明1Aにおける「複数のセルロースアセテートからなるフィラメントを長手方向に整列させたセルロースアセテートトウより形成され」ることは、本願発明1における「複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んで」いることに、「複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んで」いるという限りにおいて一致する。
・引用発明1Aにおける「該フィルターが4.26mm水/mmフィルター長さの圧力損失を有し」ていることは、本願発明1における「該フィルターが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し」ていることに、「該フィルターが所定値のmm水/mmフィルター長さの封入圧力低下を有し」ているという限りにおいて一致する。
・引用発明1Aにおける「該フィルターが16.8mmの円周を有する」ことは、本願発明1における「該フィルターが17mm以下の円周を有する」ことに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「フィルターであって、該フィルターが、
所定数のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでおり、
該フィルターが所定値のmm水/mmフィルター長さの封入圧力低下を有し、該フィルターが17mm以下の円周を有する、
フィルター。」

[相違点]
[相違点1-1]
「トウ」に関し、本願発明1は、「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」であるのに対して、引用発明1Aは、「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウ」である点。

[相違点1-2]
本願発明1は、「複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを含んでいる捲縮されたトウバンドを含んで」いるのに対して、引用発明1Aは、「複数のセルロースアセテートからなるフィラメントを長手方向に整列させたセルロースアセテートトウより形成され」ている点。

[相違点1-3]
本願発明1は、「フィルターが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し」ているのに対して、引用発明1Aは、「フィルターが4.26mm水/mmフィルター長さの圧力損失を有し」ている点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1-1について検討する。
引用文献1には、上記第3の(1)イ及びオ(特に、下線部)の記載によれば、総繊度の小さいトウ(フィラメント当たりの繊度(dpf)は、総繊度が大きなトウよりも大きいもの)は、総繊度がより大きなトウよりも(単位重量当たりの)費用が高いことに加え、市販での入手可能性が限られていることが示されている。
また、引用文献3記載の技術的事項及び引用文献4記載の技術的事項は、17mm以下の円周を有するフィルターに関するものではない。
そうすると、引用発明1Aにおいて、引用文献2?4記載の技術的事項を考慮したとしても、「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウ」を、フィラメント当たりデニールを大きく、総デニールを小さいものとする動機付けはないというべきであり、上記相違点1-1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そして、本願発明1は、上記相違点1-1に係る本願発明1の発明特定事項を備えることにより、「喫煙者の共感を得る吸引特性を維持しながら、より小さい直径、たとえば約17mm以下の円周のシガレットを求める市場動向および行政管轄機関の強化される規制に対応することができるフィルターを製造することができる」(本願明細書の段落【0005】)という所期の効果を奏するものである。
したがって、上記相違点1-2及び1-3について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1A及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?23について
本願発明2?23は、本願発明1の「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」と同一の構成を備えるものであるから(本願発明7においては、「トウが、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する」という表現上の違いがあるが、同一の構成を備えている。)、本願発明1と同様の理由により、引用発明1A及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明24について
(1)対比
本願発明24と引用発明1Bとを対比する。
・引用発明1Bにおける「セルロースアセテートからなるフィラメント」は、本願発明24における「酢酸セルロースフィラメント」に相当し、以下同様に、「ロッド形状のフィルター」は「フィルターロッド」に、「圧力損失」は「封入圧力低下」に、それぞれ相当する。
・本願発明24における「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する捲縮されたトウバンド」は「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」を含んでいることは明らかである。
そうすると、引用発明1Bにおける「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウであって、複数のセルロースアセテートからなるフィラメントを長手方向に整列させたセルロースアセテートトウを用意する工程」は、本願発明24における「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する捲縮されたトウバンドであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいる捲縮されたトウバンドのベールを用意する工程」に、「所定数のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを用意する工程」という限りにおいて一致する。
・引用発明1Bにおける「該セルロースアセテートトウを装置に入れて、ロッド形状のフィルターを形成する工程」は、本願発明24における「該捲縮されたトウバンドを装置に入れて、フィルターロッドを形成する工程」に、「トウを装置に入れて、フィルターロッドを形成する工程」という限りにおいて一致する。
・引用発明1Bにおける「該ロッド形状のフィルターが4.26mm水/mmフィルター長さの圧力損失を有し」ていることは、本願発明24における「該フィルターロッドが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し」ていることに、「フィルターロッドが所定値のmm水/mmフィルター長さの封入圧力低下を有し」ているという限りにおいて一致する。
・引用発明1Bにおける「該ロッド形状のフィルターが16.8mmの円周を有する」ことは、本願発明24における「該フィルターロッドが17mm以下の円周を有する」ことに相当する。

したがって、本願発明24と引用発明1Bとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「所定数のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいるトウを用意する工程;および
該トウを装置に入れて、フィルターロッドを形成する工程、
を含むとともに、該フィルターロッドが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し、該フィルターロッドが17mm以下の円周を有する、方法。」

[相違点]
[相違点24-1]
本願発明24は、「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する捲縮されたトウバンドであって、複数の酢酸セルロースフィラメントを含んでいる捲縮されたトウバンドのベールを用意する工程」を含むのに対して、引用発明1Bは、「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウであって、複数のセルロースアセテートからなるフィラメントを長手方向に整列させたセルロースアセテートトウを用意する工程」を含む点。

[相違点24-2]
本願発明24は、「捲縮されたトウバンドを装置に入れて、フィルターロッドを形成する工程」を含むのに対して、引用発明1Bは、「セルロースアセテートトウを装置に入れて、ロッド形状のフィルターを形成する工程」を含む点。

[相違点24-3]
本願発明24は、「フィルターロッドが3.5mm水/mmフィルター長さ以下の封入圧力低下を有し」ているのに対して、引用発明1Bは、「ロッド形状のフィルターが4.26mm水/mmフィルター長さの圧力損失を有し」ている点。

(2)相違点についての判断
上記相違点24-1について検討する。
本願発明24における「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する捲縮されたトウバンド」は、「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」を含むことは明らかであり、引用発明1Bにおける「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウ」を、本願発明24のようなトウとすることができるかについて、先ず検討する。
上記1(2)の検討を踏まえると、引用発明1Bにおいて、引用文献2?4記載の技術的事項を考慮したとしても、「6のフィラメント当たりデニールおよび17,000の総デニールを有するセルロースアセテートトウ」を、フィラメント当たりデニールを大きく、総デニールを小さいものにする動機付けはないというべきであり、本願発明24のようなトウとすることは、当業者が想到し得たことではない。
そうすると、引用発明1Bにおいて、引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、上記相違点24-1に係る本願発明24の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
そして、本願発明24は、上記相違点24-1に係る本願発明24の発明特定事項を備えることにより、「喫煙者の共感を得る吸引特性を維持しながら、より小さい直径、たとえば約17mm以下の円周のシガレットを求める市場動向および行政管轄機関の強化される規制に対応することができるフィルターを製造することができる」(本願明細書の段落【0005】)という所期の効果を奏するものである。
したがって、上記相違点24-2及び24-3について判断するまでもなく、本願発明24は、引用発明1B及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本件発明25?28について
本願発明25?28は、本願発明24における「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する捲縮されたトウバンド」が含む、「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明24と同じ理由により、引用発明1B及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1?29について上記引用文献1?4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成30年11月13日に提出された手続補正書により補正された請求項1?28は、それぞれ「11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有するトウ」という事項(請求項7においては、「トウが、11以上のフィラメント当たりデニールおよび20,000以下の総デニールを有する」という事項)を有するものとなっており、上記第4で説示したとおり、本願発明1?23は、引用発明1A及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、また、本願発明24?28は、引用発明1B及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第1号について
当審では、「請求項1ないし23及び25ないし29に係る発明」は、「喫煙者の共感を得る吸引特性を維持しながら、より小さい直径、たとえば約17mm以下の円周のシガレットを求める市場動向に対応することができるとはいえるが、行政管轄機関の高められたろ過効能を要求する規制に対応することができるとは認められない。」とし、請求項1ないし23及び25ないし29において、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものとなっており、「本願の請求項1ないし23及び25ないし29に係る発明は、本願の明細書における発明の詳細な説明に記載したものではない。」という旨の拒絶の理由を通知しているが、平成30年11月13日に提出された手続補正書による補正より、請求項1、7?10、16、19?23、25?28において、フィルター(フィルター区画)が含む「トウ」について、「トウを含んでいる捲縮されたトウバンド」と補正され、また、請求項29が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、請求項2の「圧力低下変動係数」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年11月13日に提出された手続補正書による補正より、「封入圧力低下変動係数」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2)当審では、請求項27の「該フィルター」(5行)の指示対象が不明であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年11月13日に提出された手続補正書による補正より、「該第2のフィルター区画」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(3)当審では、請求項29に係る発明が、どのようなものか全く理解できない旨の拒絶の理由を通知しているが、平成30年11月13日に提出された手続補正書による補正より、請求項29は削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1?23は、引用発明1A及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、本願発明24?29は、引用発明1B及び引用文献2?4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-12 
出願番号 特願2014-541140(P2014-541140)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A24D)
P 1 8・ 121- WY (A24D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 豊島 ひろみ  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 槙原 進
宮崎 賢司
発明の名称 高いフィラメント当たりデニールおよび低い総デニールのトウバンドの製品  
代理人 山崎 行造  
代理人 赤松 利昭  
代理人 今井 千裕  
代理人 内藤 忠雄  
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