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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G02F
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G02F
管理番号 1348721
異議申立番号 異議2018-700488  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-13 
確定日 2019-01-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6250324号発明「光配向膜用組成物および新規重合体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6250324号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕、7について訂正することを認める。 特許第6250324号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6250324号の請求項1ないし7に係る発明についての出願は、平成25年8月2日に特許出願され、平成29年12月1日にその特許権の設定登録がされ、同年12月20日に特許掲載公報が発行され、その後、平成30年6月13日に、異議申立人 張 迪(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立がされたものである。
特許異議の申立て後の手続の経緯は次のとおりである。

平成30年 8月30日付け 取消理由通知書
10月24日 意見書、訂正請求書
10月30日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知)
11月30日 意見書(申立人)

第2 訂正の請求について

1 訂正の内容
平成30年10月24日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、本件特許の特許請求の範囲を上記訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6、7について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「(式中、M_(a)、M_(b)およびM_(c)はコポリマーの主鎖を形成するモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつ0≦z<1であり;
S^(1)およびS^(2)は、それぞれ独立してスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-、-O-、-CONH-または-CN-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し;
・・・
nは10?300の整数を表す。)」
と記載されているのを、
「(式中、M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつz=0であり;
S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し;
・・・
M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり;
nは10?300の整数を表す。)」
に訂正する(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2ないし6も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7に、
「(式中、M_(a)、M_(b)およびM_(c)はコポリマーの主鎖を形成するモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつ0≦z<1であり;
S^(1)およびS^(2)は、それぞれ独立してスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-、-O-、-CONH-または-CN-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し;
・・・
nは10?300の整数を表す。)」
と記載されているのを、
「(式中、M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつz=0であり;
S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し;
・・・
M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり;
nは10?300の整数を表す。)」
に訂正する。

ここで、訂正前の請求項1?6について、請求項2?6は、請求項1を直接的又は間接的に引用するものであり、上記の訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?6に対応する訂正後の請求項1?6は、一群の請求項である。
よって、本件訂正請求は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定に従って、請求項1?6及び請求項7を訂正の単位として、請求項ごとないし一群の請求項ごとになされたものである。

2 訂正の適否についての当審の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の式(I)において、
ア 「M_(b)」について、「モノマー単位」を「アクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位」に限定し、
イ zについて、「0≦z<1」を「z=0」に限定し、
ウ 「S^(2)」について、「スペーサー単位」を、「共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位」に限定し、
エ 「X」について、「-COO-」に限定し、
オ 「M_(a)-S^(1)-B」が、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであると限定したしたものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲には、
上記アについて、「式(I)の重合体において、M_(a)、M_(b)およびM_(c)はコポリマーの主鎖を形成するモノマー単位であり、・・・これらの中でも、・・・アクリレート、メタクリレート・・・などのモノマー単位が好ましい。」(【0052】)と記載され、
上記ウについて、「式(I)の重合体において、S^(1)およびS^(2)はスペーサー単位であり、・・・たとえば、S^(1)およびS^(2)は、各々独立して、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択される。」(【0055】)と記載され、
上記オについて、「つぎに合成スキーム2としては、光配向性部位(A)を有するモノマーA1と、重合性部位(B)を有するモノマーB1を共重合させる方法(スキーム2-1)を使用することができる。しかしながら、たとえば、光配向性部位(A)を有するモノマーA1と、重合性部位(B)を有するモノマーB1を共重合させる場合、モノマーA1の重合性基とモノマーB1の重合性部位(B)の選択によっては同様の条件において重合されてしまい、得られる重合体に重合性部位(B)を存在させることができない。このため、このような場合には、モノマーB1の代りに、後の反応において重合性基を形成させることを可能とするグリシジル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などの特定の官能基を有するモノマーC1をモノマーA1と共重合させ、得られた共重合体に(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレート、イソシアナト(メタ)アクリレートなど、モノマーC1の官能基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位(B)を反応させて重合性部位(B)を形成する方法(スキーム2-2)をとることができる。・・・このようなモノマーC1の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシ基含有モノマー;3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(商品名:サイクロマーM-100、ダイセル化学工業社製)、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート(商品名:サイクロマーM-101、ダイセル化学工業社製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:サイクロマーA-200、ダイセル化学工業社製)、ビニルシクロヘキセンモノエポキシドなどの脂環式エポキシ基含有モノマー;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーなどが挙げられる。」(【0038】、【0039】)
と記載されている。
また、上記イについては、本件訂正前に「0≦z<1」とあったものを「z=0」に限定したのものであり、上記エについては、本件訂正前に「Xは-COO-、-O-、-CONH-または-CN-」とあったものを「Xは-COO-」としたものである。
してみると、本件訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
上記(1)で述べたものと同様の理由により、訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 まとめ
上記2のとおり、訂正事項1及び2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条9項において準用する同法126条5項及び6項に適合するものであるから、結論のとおり、本件訂正を認める。

第3 本件発明
前記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1?7に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下それぞれ「本件発明1」等という。本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。

【請求項1】
光配向性部位(A)および重合性部位(B)を有する重合体からなる光配向膜用組成物であって、
光配向性部位(A)および重合性部位(B)を有する重合体が、一般式(I):
【化1】

(式中、M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつz=0であり;
S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し; 【化2】

(式中、R_(1)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化3】

(式中、R_(3)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化4】

(式中、R_(4)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり;
nは10?300の整数を表す。)
で表される重合体である光配向膜用組成物。
【請求項2】
さらに、有機溶媒、架橋剤および光・熱重合開始剤を含む請求項1記載の光配向膜用組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の光配向膜用組成物から形成される光配向膜。
【請求項4】
請求項1または2記載の光配向膜用組成物を基板表面に塗布し、硬化させてなる光配向膜を備えた基板。
【請求項5】
請求項3記載の光配向膜上にさらに重合性液晶性化合物を積層した光学異方性フィルム。
【請求項6】
一対の請求項4記載の基板を、配向膜層を内側にして対向させ、該対向させた配向膜層のあいだに液晶化合物を充填した液晶セル。
【請求項7】
一般式(I):
【化5】

式中、M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつz=0であり;
S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し、 【化6】

(式中、R_(1)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化7】

(式中、R_(3)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化8】

(式中、R_(4)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり;
nは10?300の整数を表す。)
で表される重合体。

第4 取消理由の概要
1 特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由

本件訂正前の請求項1?7に係る発明は、下記(1)及び(2)のとおりの取消理由があるから、本件特許の請求項1?7に係る特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。証拠方法として、甲第1号証?甲第3号証(以下、単に「甲1」等という。)を提出する。

(1)取消理由1(新規性)
本件訂正前の請求項1?7に係る発明は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
(2)取消理由2(進歩性)
本件訂正前の請求項1?7に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲1に記載された発明及び甲2及び甲3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

証拠方法
甲1 特開2009-193014号公報
甲2 特表2006-511686号公報
甲3 特開2014-123091号公報

2 取消理由通知書に記載した取消理由
(1)取消理由3(新規性)
本件訂正前の請求項1、3?5及び7に係る発明は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
(2)取消理由4(進歩性)
本件訂正前の請求項1?7に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(3)拒絶理由5(サポート要件)
本件訂正前の請求項1?7に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。
(4)拒絶理由6(実施可能要件)
本件請求項1?7については、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

第5 当審の判断
以下に述べるように、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。

1 取消理由通知書に記載した取消理由
(1)取消理由3(新規性)、取消理由4(進歩性)について

ア 甲1に記載された発明
甲1には、請求項6及び【0072】?【0075】から、以下の発明が記載されていると認められる。
「支持体上に塗布して乾燥し偏光紫外線のパターン露光を行って配向層を作製するための光配向材料を含む組成物であって、光配向材料が、以下の、P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、P-33、又は、P-34で表される光配向材料である組成物。
P-5


P-15


P-18


P-20


P-21


P-22


P-26


P-27


P-28


P-31


P-33


P-34


」(以下、「甲1発明」という。)
また、甲1には、【0072】?【0075】から、以下の発明が記載されていると認められる。
「P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、P-33、又は、P-34の重合体。」(式は省略。以下「甲1’発明」という。)

イ 対比・判断
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「支持体上に塗布して乾燥し偏光紫外線のパターン露光を行って配向層を作製するための」「組成物」は、本件発明1の「光配向膜用組成物」に相当する。
してみると、本件発明1と甲1発明とは、
「光配向膜用組成物」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件発明1では、光配向膜用組成物が、光配向性部位(A)および重合性部位(B)を有する重合体からなり、当該重合体が一般式(I)で表される重合体であるのに対して、甲1発明では、P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、P-33、又は、P-34(式は省略)を含む点。

上記相違点1について検討する。
a 本件発明1の式(I)において、「M_(a)-S^(1)-B」は、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位(以下「本件の官能基を有するモノマー単位」という。)に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものである。
これに対して、甲1発明の、P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、及び、P-34は、CH_(2)CW-X-(WはH、Xは-COO-)である重合性基を有する構造単位をもち、P-33は、CH_(2)CW-(WはH)である重合性基を有する構造単位をもつものの、これらの重合単位はいずれも、本件の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものにあたらない。
そうすると、上記相違点1は実質的な相違点である。

b 甲1には、P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、P-33、及び、P-34の重合体において、重合性基を有する構造単位を、重合性基は変えずに、ポリマー主鎖への結合構造を別のものに替えることは何ら記載も示唆もされておらず、ましてや、当該構造単位を、本件の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものとすることについては、何らの記載も示唆もない。
してみれば、上記相違点1に係る事項は、甲1発明に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(イ)本件発明2ないし6について
本件発明2ないし6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものである。
してみると、これらについても、上記(ア)に述べたものと同様の理由により、甲1発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(ウ)本件発明7について
本件発明7と甲1’発明とを対比すると、両者は
「重合体」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点2)本件発明1では、重合体が、一般式(I)で表される重合体であるのに対して、甲1’発明では、P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、P-33、又は、P-34(式は省略)を含む点。

上記相違点2について、上記(ア)の相違点1についての検討で述べたものと同様にして、相違点2は実質的な相違点であり、当該相違点2に係る事項は、甲1’発明の基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、本件発明7は、甲1’発明ではなく、甲1’発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)拒絶理由5(サポート要件)
取消理由通知では、本件発明7について、光配向性を有する新規な重合体を提供するという課題が解決されることが理解できるのは、一般式(I)で表される重合体において、
・M_(b)-S^(2)-AにおけるM_(b)がアクリレートあるいはメタクリレートのモノマー単位であり、S^(2)が、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるものであり、Aが式(1)、(3)または(4)で表されるものであり、
・M_(a)-S^(1)-Bが、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、又はメタクリル酸であるグリシジル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基の特定の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレート、イソシアナト(メタ)アクリレートである、上記特定の官能基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり、
・Mc単位を含まないもの
のみであり、これらと構造が異なるものについても上記課題が解決できるとは認識できないから、本件発明7は発明の詳細な説明に記載したものではない旨、通知した。
また、本件発明1の光配向膜用組成物は、本件発明7と同じ一般式(I)で表される重合体を用いるものであって、当該重合体は、発明の詳細な説明の記載を超えるものであるから、このような重合体を用いる本件発明1についても、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない旨通知し、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2?6に係る発明も同様である旨、通知した。
これに対して、前記第2のとおり、本件訂正により、請求項1及び7において、式(I)について、
・M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表すこと、
・z=0であること、
・S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位であること、
・M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであること
が特定された。
また、Aは、式(1)、(3)または(4)で表される配向性部位を表す。
したがって、取消理由通知書に記載した取消理由5(サポート要件)は解消した。
よって、取消理由5(サポート要件)によっては、本件特許の本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。

(3)拒絶理由6(実施可能要件)
取消理由通知では、本件発明7の一般式(I)で表される重合体について、発明の詳細な説明に、具体的に重合体が製造できることが記載されているか、技術常識に鑑みて重合体を製造できるといえるのは、
・M_(b)-S^(2)-AにおけるM_(b)がアクリレートあるいはメタクリレートのモノマー単位であり、S^(2)が、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるものであり、Aが式(1)、(3)または(4)で表されるものであり、
・M_(a)-S^(1)-Bが、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、又はメタクリル酸であるグリシジル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基の特定の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレート、イソシアナト(メタ)アクリレートである、上記特定の官能基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり、
・M_(c)単位を含まないもの
のみであり、これらと構造が異なるものについても、同様に製造することができるとは認識できないから、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明7に係る発明を、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨、通知した。
また、本件発明1の光配向膜用組成物は、本件発明7と同じ一般式(I)で表される重合体を用いるものであって、当該重合体について、本件明細書の発明の詳細な説明には、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから、このような重合体を用いる本件発明1に係る発明についても、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨、通知し、本件発明2ないし6についても同様である旨、通知した。
これに対して、前記第2のとおり、本件訂正により、請求項1及び7において、式(I)について、
・M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表すこと、
・z=0であること、
・S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位であること、
・M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであること
が特定された。
また、Aは、式(1)、(3)または(4)で表される配向性部位を表す。
したがって、取消理由通知書に記載した取消理由6(実施可能要件)は解消した。
よって、取消理由6(実施可能要件)によっては、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。

2 異議申立書の取消理由
(1)取消理由1(新規性)、及び、取消理由2(進歩性)のうち甲1に記載された発明に基く進歩性について
上記1(1)に述べたものと同様により、本件発明1ないし7は、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)取消理由2(進歩性)のうち、甲1に記載された発明並びに甲2及び甲3に記載された事項に基く進歩性について
ア 甲3について
甲3は平成26年7月3日に公開された刊行物であるから、本件特許の出願日(平成25年8月2日)より後に公開された刊行物である。
してみると、甲3は、特許法第29条第2項の証拠として採用できない。

イ そこで、本件発明1ないし7が、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて検討する。
(ア)本件発明1について
上記1(1)イ(ア)で述べたとおり、本件発明1と甲1発明とは、以下の相違点1で相違する。

(相違点1)本件発明1では、光配向膜用組成物が、光配向性部位(A)および重合性部位(B)を有する重合体からなり、当該重合体が一般式(I)で表される重合体であるのに対して、甲1発明では、P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、P-33、又は、P-34(式は省略)を含む点。

上記相違点1について検討する。
甲2には、ポリマー性配向層におけるポリマーにおいて、光活性基を有するモノマーに加えて、ポリオキシアルキレン基を有するコモノマーを有するコポリマーを使用することが記載されている(【0007】、【0008】)。また、ポリエチレングリコールメタクリレート及び光活性基を有するモノマーAのコポリマーをメタクリレート化したコポリマーは、メタクリレート化しないものに比して接着性が優れていたことが記載されている(【0072】、【0078】、表1)。
しかしながら、上記1(1)イ(ア)で述べたとおり、甲1には、重合性基を有する構造単位を、重合性基はそのままで、ポリマー主鎖への結合構造を別のものに替えることは何ら記載も示唆もされておらず、ましてや、当該構造単位を、本件の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものとすることには、何らの記載も示唆もない。
また、これら甲1発明のポリマーはいずれも、ポリオキシアルキレン基を有するコモノマーを用いるものではない。
そうであれば、甲1発明において、甲2に記載された事項を採用することについて何らの動機付けも見出せない。
また、仮に動機付けられたとしても、それにより、本件の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものに到達するものでもない。
以上のとおりであるから、上記相違点1にかかる事項は、甲1発明に、甲2に記載された事項を併せ考えても、当業者が容易に想到しうるものではない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件発明2ないし6について
本件発明2ないし6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものである。
してみると、これらについても、上記(ア)に述べたものと同様の理由により、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(ウ)本件発明7について
上記1(1)イ(ウ)で述べたとおり、本件発明7と甲1’発明とを対比すると、両者は以下の点で相違する。

(相違点2)本件発明1では、重合体が、一般式(I)で表される重合体であるのに対して、甲1’発明では、P-5、P-15、P-18、P-20、P-21、P-22、P-26、P-27、P-28、P-31、P-33、又は、P-34(式は省略)を含む点。

上記相違点2について、上記(ア)で述べたものと同様にして、相違点2に係る事項は、甲1’発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、本件発明7は、甲1’発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 その他の申立人の主張について
申立人は、平成30年11月30日に提出された意見書において以下の主張をする。また、当該意見書には、参照文献1ないし4が添付されている。

(1)液晶層との密着性や露光感度の向上を図る、という課題は、従来周知であり、当該周知の課題と、甲2記載事項に基づき、液晶相との密着性や露光感度の向上を図ることを期待して、桂皮酸を有する側鎖部分に他のモノマーを重合させてメタクリル側鎖を導入しようとすることは、当業者であれば容易に想到し得る(以下「主張1」という)。

(2)「スキーム2-2」及び「スキーム2-3」のように、「前駆体となるポリマーを重合した後に、形成する」という方法は、本件特許出願日前に広く知られた周知技術であり(参照文献1ないし4)、甲1において、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて、「M_(a)-S^(1)-B」を形成することは、当業者であれば容易に想到し得ることである(以下「主張2」という)。

(3)参照文献4は、シンナモイル基が逆である以外は、本件発明1ないし7の重合体と同一の発明が開示されており、当該シンナモイル基が逆である部分は、甲1に記載の光配向性基に容易に置換可能であるから、本件発明1ないし7は参照文献4に甲1を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下「主張3」という)。

参照文献1 特開昭53-1284号公報
参照文献2 特開2001-281853号公報
参照文献3 特開2008-256974号公報
参照文献4 特開2005-326439号公報

上記主張について検討する。
(1)主張1について
仮に、液晶層との密着性や露光感度の向上を図る、という課題が従来周知であったとしても、甲1発明において、甲2に記載された事項を採用することについて何らの動機付けも見出せないこと、仮に動機づけられたとしても、それにより、本件の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものに到達するものでもないことは上記2(1)イ(ア)に述べたとおりである。
よって、上記主張1は採用できない。

(2)主張2について
仮に、前駆体となるポリマーを重合した後に、形成するという方法が、本件特許出願日前に広く知られた周知技術であったとしても、甲1発明において、本件の官能基を有するモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成された構造を導入することについての、何らの動機付けも見出せないから、甲1発明に、上記周知技術を採用する動機付けは見出せない。
よって、上記主張2は採用できない。

(3)主張3について
参照文献4には、少なくとも一種の光官能性基を有する重合体からなる光官能性配向膜を有する位相差板材料が記載されており(請求項1)、上記光官能性基を有する重合体が、一般式(I)(【0019】)で表される構成単位を少なくとも一種有すること、架橋性基を有する構成単位を含んでもよく、架橋性基としてはエチレン性不飽和値が最も好ましいこと(【0032】)、一般式(I)で表される構成単位が、式(I-1)ないし(I-16)で表されるものであること(【0025】)及び架橋性基を有する構成単位が、式(A-1)ないし(A-51)で表されるものであること(【0034】ないし【0039】)が記載されている。
ここで、一般式(I)及び式(I-1)ないし(I-16)をみると、これらはいずれもシンナモイル基を有する。また、式(A-1)ないし(A-51)のうち、例えば(A-1)の構造は、ヒドロキシエチルメタクリレート由来のモノマー単位のヒドロキシル基にアクリル酸が反応して形成された構造であり、本件発明1及び7で規定される、M_(a)-S^(1)-Bの構造にあたる。
しかしながら、上記一般式(I)においても、式(I-1)ないし(I-16)のいずれにおいても、シンナモイル基の、重合体主鎖への結合構造は、本件発明1の一般式(1)のものとは逆向きであり、これは申立人も認めるところである。そして、参照文献4のいずれの箇所にも、当該一般式(I)の構造あるいは式(I-1)ないし(I-16)の構造を、シンナモイル基を逆向きの構造に変えることについては何ら記載も示唆もされていない。 そうであれば、たとえ甲1に、本件発明1の一般式(1)のものと同一の構造が記載されていたとしても、参照文献4においてこれを採用することは何ら動機づけられない。
よって上記主張3は採用できない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光配向性部位(A)および重合性部位(B)を有する重合体からなる光配向膜用組成物であって、
光配向性部位(A)および重合性部位(B)を有する重合体が、一般式(I):
【化1】

(式中、M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつz=0であり;
S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し;
【化2】

(式中、R_(1)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化3】

(式中、R_(3)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化4】

(式中、R_(4)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり;
nは10?300の整数を表す。)
で表される重合体である光配向膜用組成物。
【請求項2】
さらに、有機溶媒、架橋剤および光・熱重合開始剤を含む請求項1記載の光配向膜用組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の光配向膜用組成物から形成される光配向膜。
【請求項4】
請求項1または2記載の光配向膜用組成物を基板表面に塗布し、硬化させてなる光配向膜を備えた基板。
【請求項5】
請求項3記載の光配向膜上にさらに重合性液晶性化合物を積層した光学異方性フィルム。
【請求項6】
一対の請求項4記載の基板を、配向膜層を内側にして対向させ、該対向させた配向膜層のあいだに液晶化合物を充填した液晶セル。
【請求項7】
一般式(I):
【化5】

(式中、M_(b)は、コポリマーの主鎖を形成するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位を表し;
x、yおよびzは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<x<1かつ0<y<1かつz=0であり;
S^(2)は、共有単結合;水酸基、カルボニル基によって置換されていてもよい1?20個の炭素原子を有するアルキレン鎖;水酸基によって置換されていてもよい3?8個の炭素原子を有するシクロアルキレン鎖;C_(1)?C_(6)の低級アルキル、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ、-CN、-NO_(2)、ハロゲンによって置換されていてもよいフェニレン;-O-;-COO-;-NH-;-CONH-;およびそれらの組合せからなる群より選択されるスペーサー単位を表し;
Bは、CH_(2)=CW-、CH_(2)=CW-X-(式中、Wは水素、メチルであり、Xは-COO-である)で表される重合性基を表し;
Aは、一般式(1)、(3)または(4)で表される光配向性単位を表し;
【化6】

(式中、R_(1)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化7】

(式中、R_(3)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
【化8】

(式中、R_(4)は、水素、C_(1)?C_(6)の低級アルキル基、ヒドロキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシ基、C_(1)?C_(6)の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジヒドロベンゾトリアゾール基またはシアノ基である。)
M_(a)-S^(1)-Bは、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、イタコン酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸から選択されるモノマー単位に、(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレートまたはイソシアナト(メタ)アクリレートから選択される、前記モノマー単位のグリシジル基、ヒドロキシル基またはカルボキシ基と反応して結合することができる官能基を付与した重合性部位を反応させて形成されたものであり;
nは10?300の整数を表す。)
で表される重合体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-12-25 
出願番号 特願2013-161300(P2013-161300)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (G02F)
P 1 651・ 537- YAA (G02F)
P 1 651・ 121- YAA (G02F)
P 1 651・ 113- YAA (G02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 廣田 かおり  
特許庁審判長 岡崎 美穂
特許庁審判官 野村 伸雄
海老原 えい子
登録日 2017-12-01 
登録番号 特許第6250324号(P6250324)
権利者 大阪有機化学工業株式会社
発明の名称 光配向膜用組成物および新規重合体  
代理人 特許業務法人朝日奈特許事務所  
代理人 藤森 洋介  
代理人 特許業務法人朝日奈特許事務所  
代理人 三嶋 眞弘  
代理人 河村 洌  
代理人 河村 洌  
代理人 三嶋 眞弘  
代理人 藤森 洋介  

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