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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C09D
管理番号 1348738
異議申立番号 異議2017-701204  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-20 
確定日 2019-01-31 
異議申立件数
事件の表示 特許第6150293号発明「クリヤー塗料組成物及びこれを用いた補修塗装方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6150293号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6150293号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成25年10月9日の出願であり、平成29年6月2日にその特許権の設定登録がされ、同年同月21日にその特許掲載公報が発行され、平成29年12月20日に、その特許について特許異議申立人津留寛樹(以下、「異議申立人」という。)により請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てがなされ、平成30年2月28日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年5月2日に特許権者より意見書の提出があり、同年7月31日付けで取消理由通知(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年10月2日に特許権者より意見書の提出があったものである。


第2 本件発明

本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、各請求項に係る発明を項番に対応して「本件発明1」などといい、併せて「本件発明」ということがある。)の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】
アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、セルロース誘導体、ポリイソシアネート化合物及び有機溶剤を含み、
ポリエステルポリオールが、非芳香族ポリカルボン酸と多価アルコールを製造原料とする水酸基価が50?500mgKOH/g、重量平均分子量が100?5,000の範囲内にある樹脂であって、
セルロース誘導体の数平均分子量が1000?100,000の範囲内にあり、
ポリエステルポリオール及びセルロース誘導体の量が、アクリルポリオール100質量部を基準として、ポリエステルポリオールが1?40質量部、セルロース誘導体が1?40質量部の範囲内にあることを特徴とするクリヤー塗料組成物。
【請求項2】
アクリルポリオールが、スチレン、脂環式(メタ)アクリレートおよび水酸基含有重合性不飽和モノマーを構成モノマー成分として含有する請求項1に記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項3】
ポリエステルポリオールのガラス転移温度が、-50?40℃の範囲内にある請求項1又は2に記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項4】
有機溶剤がその成分の一部としてエステル系有機溶剤と脂肪族炭化水素系有機溶剤を共に含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のクリヤー塗料組成物。」


第3 平成30年7月31日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要

標記取消理由の概要は、以下のとおりである。

「理由.本件特許の請求項1?4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証を主引用例とした発明及び甲第2?6,7-1?7-3号証に記載の周知の技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、取り消すべきものである。

甲第1号証:特表2009-504864号公報
甲第2号証:特表2004-513209号公報
甲第3号証:特開2012-162715号公報
甲第4号証:特開2011-038013号公報
甲第5号証:特開2011-105886号公報
甲第6号証:特開2008-074959号公報
甲第7-1号証:Eastman社「Technical Data Sheet(cellulose acetate butyrate,CAB-381-0.1)」
甲第7-2号証:Eastman社「Technical Data Sheet(cellulose acetate butyrate,CAB-381-20)」
甲第7-3号証:Eastman社「Technical Data Sheet(cellulose acetate butyrate,CAB-551-0.2)」

(甲第1?6号証及び甲第7-1?7-3号証は、平成29年12月20日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に添付されたものである。)」

なお、上記取消理由は、申立理由のうち、甲第1号証を主引例とし、甲第2号証?甲第6号証を周知技術の副引例とする請求項1ないし4に対する進歩性欠如に関する理由と同趣旨である。


第4 取消理由に関する当審の判断

1 甲各号証に記載の事項(以下、甲第1号証を「甲1」などという。)

(1)甲1(特表2009-504864号公報)

甲1には、次の記載がある。なお、下線は、当審が付与したものであり、以下、同様である。

(1-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) オレフィン性不飽和モノマーの重合によって得られることができるポリアクリレートポリオールであって、該モノマーの少なくとも40重量%が、少なくとも4炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキレンまたはアルケニレン基を含んでいるポリアクリレートポリオール、
b) エステル生成性官能基を有する構成ブロックのエステル化によって得られることができるポリエステルポリオールであって、該構成ブロックの少なくとも30重量%が、エステル生成性官能基の1つ当り少なくとも4炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキレンまたはアルケニレン基を含んでおり、該ポリエステルポリオールが280mgKOH/g超のヒドロキシ価および少なくとも2のヒドロキシ官能基を有するポリエステルポリオール、および
c) イソシアネート官能性架橋剤
を含んでいるコーティング組成物。
【請求項2】
クリアコート組成物であることを特徴とする、請求項1に従うコーティング組成物。
・・・
【請求項7】
(i) オレフィン性不飽和モノマーの重合によって得られることができるポリアクリレートポリオールであって、該モノマーの少なくとも40重量%が、少なくとも4炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキレンまたはアルケニレン基を含んでいるポリアクリレートポリオール、および エステル生成性官能基を有する構成ブロックのエステル化によって得られることができるポリエステルポリオールであって、該構成ブロックの少なくとも30重量%が、エステル生成性官能基の1つ当り少なくとも4炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキレンまたはアルケニレン基を含んでおり、該ポリエステルポリオールが280mgKOH/g超のヒドロキシ価および少なくとも2のヒドロキシ官能基を有するポリエステルポリオールを含んでいるバインダー成分、ならびに
(ii) イソシアネート官能性架橋剤を含んでいる架橋剤成分
から成る、請求項1?6のいずれか1項に従うコーティング組成物を調製するための部材のキット。
・・・
【請求項10】
さらに揮発性希釈剤を含んでいる希釈剤成分を含んでいることを特徴とする、請求項7に従う部材のキット。
・・・
【請求項12】
請求項1?11のいずれか1項に従うコーティング組成物が使用されることを特徴とする、コーティング組成物を基体に施与する方法。
【請求項13】
コーティング組成物が、多層ラッカーコーティングにおけるトップコートとして施与されることを特徴とする、請求項12に従う方法。
【請求項14】
基体が自動車または大型輸送乗物であることを特徴とする、請求項12に従う方法。
【請求項15】
自動車または大型輸送乗物を仕上げ塗装または再仕上げ塗装するのに使用されることを特徴とする、請求項12に従う方法。」

(1-2)「【0021】
本発明のコーティング組成物は、エステル生成性官能基を有する構成ブロックのエステル化によって得られることができるポリエステルポリオールを含んでおり、該構成ブロックの少なくとも30重量%が、エステル生成性官能基につき少なくとも4炭素原子、エステル生成性官能基につき好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基を有し、該ポリエステルポリオールは280mgKOH/g超のヒドロキシ価および少なくとも2のヒドロキシ官能基を有する。上述のように、当該エステル生成性官能基につき少なくとも4炭素原子を有するアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基は、直鎖または分枝鎖でなければならない。環式のアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基は、上記の利点をもたらさない。
【0022】
エステル生成性官能基を有する構成ブロックの公知の縮合および/または付加反応によって、ポリエステルポリオールは調製されることができる。エステル生成性官能基の例は、カルボン酸基、(環式)酸無水物基、カルボン酸エステル基、ヒドロキシ基、エポキシド基、オキセタン基、およびラクトン基である。ポリエステルを生成するために、使用される構成ブロックの少なくとも一部は、少なくとも2の官能基を有さなければならない。しかし、単官能性および3以上の官能性構成ブロックも同様に使用されることができる。
・・・
【0025】
同様に好適なのは、ジカルボン酸、たとえばセバシン酸、ドデカン二酸、オクテニルコハク酸、ドデシルコハク酸(任意の異性体または異性体の混合物)、ならびに脂肪酸2量体である。エステル生成性官能基につき少なくとも4炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基を有するカルボン酸無水物の例は、無水デカン酸、無水ドデカン酸、無水ドデシルコハク酸、および無水ドデセニルコハク酸である。
・・・
【0030】
脂環式ポリオールの例は、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビスヒドロキシメチルトリシクロデカン、およびこれらの混合物を含む。脂肪族ポリオールの例は、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、プロポキシル化ペンタエリスリトール、エトキシル化トリメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、およびこれらの混合物を含む。
・・・
【0032】
好適な環式ポリカルボン酸は、芳香族ポリカルボン酸および脂環式ポリカルボン酸を包含する。芳香族ポリカルボン酸の例は、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、およびこれらの混合物を含む。同様に含まれるのは、これらのエステルまたは酸無水物、たとえば無水フタル酸、無水トリメリット酸、およびこれらの混合物である。脂環式ポリカルボン酸の例は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、およびこれらの混合物を含む。同様に含まれるのは、これらのエステルまたは酸無水物、たとえば無水テトラヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、およびこれらの混合物である。
【0033】
非環式ポリカルボン酸の例は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、およびこれらの混合物を含む。同様に含まれるのは、これらのエステルまたは酸無水物、たとえばマロン酸のジメチルエステルおよびジエチルエステル、無水コハク酸、およびこれらの混合物である。
【0034】
上述のように、ポリエステルポリオールのヒドロキシ価は280mgKOH/g超であり、ヒドロキシ官能基数は少なくとも2である。所望のヒドロキシ価およびヒドロキシ官能基数を得るために、過剰のヒドロキシ官能性構成ブロックがポリエステルポリオールの調製に好適に用いられる。ポリエステルポリオールが、分枝鎖のまたはデンドリマー性のポリエステルであることも好まれる。分子当たり3以上のエステル生成性官能基を有する構成ブロックによって、分枝は得られる。
【0035】
ヒドロキシ価の好適な上限は380mgKOH/g、好ましくは350mgKOH/gである。好ましくは、ヒドロキシ官能基数は2?4、より好ましくは2?3.5の範囲にある。
・・・
【0037】
施与粘度におけるコーティング組成物中の揮発性有機希釈剤の低い含有量を得るために、ポリエステルポリオールは好適には4,000未満、好ましくは2,000未満、より好ましくは1,600未満、最も好ましくは500?1,200の数平均分子量Mnを有する。ポリエステルポリオールの多分散度(Mw/Mn)は好適には2.5未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.7未満である。」

(1-3)「【0039】
コーティング組成物への使用に適したイソシアネート官能性架橋剤は、少なくとも2のイソシアネート基を含んでいるイソシアネート官能性化合物である。好ましくは、イソシアネート官能性架橋剤はポリイソシアネート、たとえば脂肪族、脂環式または芳香族のジ、トリもしくはテトライソシアネートである。ジイソシアネートの例は、1,2-プロピレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ω,ω’-ジプロピルエーテルジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4-メチル-1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、トランスビニリデンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(商標)W)、トルエンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI(商標))、1,5-ジメチル-2,4-ビス(2-イソシアナトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、4,4’-ジイソシアナトジフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジイソシアナトジフェニル、3,3’-ジフェニル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジイソシアナトジフェニル、4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、およびジイソシアナトナフタレンを含む。トリイソシアネートの例は、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、およびリシントリイソシアネートを含む。ポリイソシアネートの付加物およびオリゴマー、たとえばビウレット、イソシアヌレート、アロファネート、ウレトジオン、ウレタン、およびこれらの混合物も包含される。このようなオリゴマーおよび付加物の例は、ジイソシアネート、たとえばヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートの2分子とジオール、たとえばエチレングリコールとの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートの3分子と水1分子との付加物(Bayer社からDesmodur Nの商標下に入手可能)、トリメチロールプロパンの1分子とトルエンジイソシアネートの3分子との付加物(Bayer社からDesmodur Lの商標下に入手可能)、トリメチロールプロパンの1分子とイソホロンジイソシアネートの3分子との付加物、ペンタエリスリトールの1分子とトルエンジイソシアネートの4分子との付加物、m-α,α,α’,α’-テトラメチルキシレンジイソシアネートの3モルとトリメチロールプロパンの1モルとの付加物、1,6-ジイソシアナトヘキサンのイソシアヌレート3量体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体、1,6-ジイソシアナトヘキサンのウレトジオン2量体、1,6-ジイソシアナトヘキサンのビウレット、1,6-ジイソシアナトヘキサンのアロファネート、およびこれらの混合物である。さらにその上、イソシアネート官能性モノマー、たとえばα,α’-ジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートの(コ)ポリマーは使用に適している。
【0040】
コーティング組成物は、特に低分子量バインダーが任意的に1以上の反応性希釈剤と組み合わされて使用されるときは、揮発性希釈剤なしに使用され施与されることができる。あるいは、コーティング組成物は任意的に揮発性希釈剤を含んでいてもよい。好ましくは全組成物当たり揮発性有機溶媒500g/l未満、より好ましくは480g/l未満、最も好ましくは420g/l以下を、コーティング組成物は含んでいる。該組成物の非揮発性含有量は、通常、固形含有量と呼ばれ、好ましくは全組成物当たり50重量%超、より好ましくは54重量%超、最も好ましくは60重量%超である。
【0041】
好適な揮発性有機希釈剤の例は、炭化水素、たとえばトルエン、キシレン、Solvesso 100、ケトン、テルペン、たとえばジペンテンもしくは松根油、ハロゲン化炭化水素、たとえばジクロロメタン、エーテル、たとえばエチレングリコールジメチルエーテル、エステル、たとえばエチルアセテート、エチルプロピオネート、またはエーテルエステル、たとえばメトキシプロピルアセテートもしくはエトキシエチルプロピオネートである。また、これらの化合物の混合物が使用されることもできる。
【0042】
希釈剤は、少なくとも4炭素原子を有するアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基を含んでいることが好まれる。好ましくは、揮発性希釈剤の少なくとも60重量%、より好ましくは80重量%、最も好ましくは90重量%超が、少なくとも4炭素原子を有するアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基を含んでいる。少なくとも4炭素原子を有するアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基を含んでいる揮発性希釈剤の例は、エステル、たとえばn-ブチルフォーメート、n-ブチルアセテート、n-ブチルプロピオネート、n-ブチルブチレート、これに対応するt-ブチル、sec-ブチル、およびイソブチルのエステル、直鎖または分枝鎖のペンタノール、ヘキサノール、もしくはオクタノール、たとえば2-エチルヘキサノールのエステル、ケトン、たとえばメチルアミルケトンもしくはメチルイソアミルケトン、4超の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、少なくとも4炭素原子を有するアルキル(アルケニル)またはアルキレン(アルケニレン)基を含んでいる置換基を有する芳香族炭化水素、エーテル、たとえばジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジオクチルエーテル、ならびにアルコール、たとえば直鎖または分枝鎖のブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびオクタノールである。アルコールは、イソシアネート官能性架橋剤とのその反応性の故に、揮発性希釈剤として低度に好まれる。」

(1-4)「【0044】
本発明に従うコーティング組成物中には、上記の成分に加えて他の成分が存在することができる。このような化合物は、主成分のバインダーおよび/または反応性希釈剤であることができ、任意的に前述のヒドロキシ官能性化合物および/またはイソシアネート官能性架橋剤と架橋されることができる反応性基を含んでいてもよい。その例は、ヒドロキシ官能性バインダー、たとえばポリエーテルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、セルロースアセトブチレート、ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂、アルキド、およびデンドリマー性ポリオール、たとえば国際特許出願公開第93/17060号に記載されたものを含む。また、ヒドロキシ官能性オリゴマーおよびモノマー、たとえばヒマシ油、トリメチロールプロパン、およびジオールが存在してもよい。国際公開第98/053013号に記載されたような分枝鎖ジオール、たとえば2-ブチルエチル-1,3-プロパンジオールが特に挙げられることができる。潜在的なヒドロキシ官能性化合物、たとえば二環式オルトエステル、スピロオルトエステル、またはスピロオルトシリケートの基を含んでいる化合物を、コーティング組成物は含んでいることもできる。これらの化合物およびその使用方法は国際公開第97/31073号および国際公開第2004/031256号に記載されている。」

(1-5)「【0062】
実施例
【0063】
使用された原料物質および略語

【0064】
全般の方法
【0065】
サンプルを125℃まで60分間加熱した後の重量損失を測定することによって、組成物の固形分含有量は測定された。
【0066】
標準物としてポリスチレンを使用するサイズ排除クロマトグラフィーによって、分子量は測定された。
【0067】
ポリアクリレートポリオールの調製
【0068】
加熱および冷却手段、撹拌機、ならびに配量ポンプ付きのオートクレーブ中で、重合が実施された。溶媒の全量の約50?70重量%がオートクレーブ中に入れられた。該溶媒が160℃まで加熱され、この温度で表1に示された重量比のモノマーの混合物および該モノマーの全重量当たり4.6重量%の重合開始剤(表1の開始剤1)が、配量ポンプによって4時間にわたって添加された。該ポンプおよび配管が溶媒(溶媒の全量の約1?5重量%)ですすがれ、温度が125℃まで下げられた。溶媒(溶媒の全量の約2?10重量%)とモノマーの重量当たり0.3重量%のさらなる開始剤(表1の開始剤2)との混合物が添加され、この反応混合物がさらに125℃に1時間保持された。ポリマーは最終固形分含有量まで溶媒で希釈され、室温まで冷却された。キシレンとn-ブチルアセテートとの60:40混合物が使用された比較例AAを除いて、溶媒はn-ブチルアセテートであった。
【0069】
表1および表2に示された酸価およびOH価は、それぞれのポリマーの非揮発性含有量当たりで、すなわち溶媒を除いて計算された。理論的ガラス転移温度(Tg)は℃単位で示される。固形分含有量は、ポリマー溶液の重量%単位で示される。ポリオールの平均ヒドロキシ官能基数はf(OH)として表1および表2に示される。実施例および比較例に使用されたポリアクリレートポリオールのモノマー組成および特性が、以下の表1にまとめられる。 【表1】

【0070】
ポリエステルポリオールの調製
【0071】
撹拌機、加熱装置、熱電対、充填カラム、凝縮器および水分離器を備えた反応容器中で、表2に示された重量割合のポリエステル構成ブロックが加熱された。さらに、該構成ブロック当たりで計算されて1重量%の量の85重量%水性リン酸が触媒として添加された。不活性ガス下に温度が徐々に240℃まで上げられた。カラムの頂部温度が102℃を超えないような速度で、反応水が留去された。表2に列挙されたパラメータに到達するまで、反応は行われた。溶媒を含んでいない得られたポリエステルポリオールの特性が表2に提示される。TMPとエプシロンカプロラクトンとに基づいた、市販の低分子量3官能性ポリオールであるCAPA 3031が、比較の目的のために表2に入れられた。
【表2】

【0072】
コーティング組成物の調製
【0073】
表3に示された重量割合の成分を混合することによって、クリアコート組成物の最初の一組が調製された。ヒドロキシ基とイソシアネート基とのモル比は全ての場合に1:1であった。表3に挙げられた成分に加えて、全てのクリアコート組成物は以下の添加剤を含有していた。
安息香酸1.5重量部
ジブチルスズジラウレート0.021?0.030重量部
BYK 331の0.1重量部
ヒンダードアミン光安定剤1重量部、および
Tinuvin 1130の0.6重量部。
組成物の全樹脂固形分当たりで、添加剤の量は計算された。
【表3】

1)規制免除溶媒は、米国法下のVOC含有量の計算のために考慮に入れられない溶媒である。実施例3の規制免除溶媒は、2-エチルヘキシルアセテート14.4g、2-メトキシプロピルアセテート13.7g、パラクロロベンゾトリフルオリド16.1g、およびアセトン18.1gからなっていた。
2)実施例3のVOC値は、揮発性有機化合物として規制免除溶媒を考慮に入れないで追加的に計算された。」

(2)甲2(特表2004-513209号公報)
甲2には、次の記載がある。

(2-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)アクリルポリオール、セルロース樹脂、ポリエステルポリオール及び顔料を含む、少なくとも1つのトナーベース、
B)トナーベースA)において挙げられた樹脂と相溶性のある樹脂を少なくとも1つ含む、少なくとも1つのコネクターベース、及び
C)樹脂及び顔料を含まない、少なくとも1つの希釈剤ベース
を含む溶剤系コーティング組成物。
【請求項2】コネクターベース(B)における相溶性樹脂が、アクリルポリオール、セルロース樹脂、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ビニル樹脂、ポリイソシアネート及び/又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。」

(2-2)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶剤系コーティング組成物及び車の補修用途におけるそれの使用に関する。」

(2-3)「【0008】
【発明の実施の形態】
コネクターベース(B)において使用される相溶性のある樹脂は、好適にはアクリルポリオール、セルロース樹脂、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ビニル樹脂、ポリイソシアネート及び/又はそれらの混合物から選択される。
【0009】
トナーベース(A)及びコネクターベース(B)が合計で以下の樹脂:
固形分に基づいて10?40重量%のセルロース樹脂、
固形分に基づいて25?60重量%のアクリルポリオール、
固形分に基づいて15?45重量%のポリエステルポリオール、及び
固形分に基づいて0?20重量%の相溶性樹脂、
を含み、樹脂類に基づいて示された重量%の合計は常に100重量%であることもまた好適である。
・・・
【0012】
あるいは、種々の樹脂をコネクターベース(B)において使用することにより、種々の性質を有するコーティング組成物が製造されることができる。コネクターベース(B)内におけるセルロース樹脂の存在は、本発明のベースコート組成物に速い乾燥時間を与える。そのようなベースコートはすると、有利にストライピング又は装飾において使用されることができる。
【0013】
コネクターベース(B)におけるポリエステルポリオールの存在は、プラスチック表面のための、より緩慢である(sluggish)が、ずっと柔軟性のあるベースコート組成物をもたらすだろう。
・・・
【0019】
セルロース樹脂は、少なくとも1つのモノカルボン酸によりエステル化されたセルロース化合物である。適切なモノカルボン酸の例は、2?5の炭素原子を含むモノカルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸を含む。もちろん、種々のカルボン酸基を有するセルロール樹脂又は種々のセルロースエステル類の物理的混合物もまた利用されてもよい。一般的に、実用において使用されるセルロース樹脂は、少量、例えば数重量%の水酸基もまた含む。セルロースアセトブチレートが利用されることが好適である。市販品はEastman KodakからのCAB381-0.1、CAB381-20、CAB551-0.2、及びCAB553-0.4及びそれらの混合物を含む。
【0020】
ポリエステルポリオールは、好適には分岐状ポリエステルポリオールである。より好適には、分岐状ポリエステルポリオールは
(a)少なくとも1つの環式脂肪族及び/又は芳香族ポリカルボン酸又はその誘導体、
(b)少なくとも1つのC_(3)?_(12)トリオール、及び
(c)随意的に、一つ又はより多いモノアルコール類、ポリオール類、芳香族ポリカルボン酸類、非環式脂肪族ポリカルボン酸類、モノカルボン酸類又はモノカルボン酸類のグリシジルエステル類、
の反応生成物である。
【0021】
本発明のフィルム形成性樹脂及びコーティング組成物のために特に適切なポリエステルポリオール類は、標準としてポリスチレン又はポリプロピレングリコールを用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されて、500?5,000、好適には750?4,000の範囲にわたる分子量(Mn)を有する。分子分散度、即ちMw対Mnの比は好適には1.1?1.0の範囲であり、1.5?6の範囲は特に好適である。該ポリエステルポリオールの酸価は好適には30より低く、最も好適には20より低い。適切な水酸基価は50?300mgKOH/g固形樹脂、好適には75?250mgKOH/g固形樹脂の範囲である。ガラス転移温度は25℃より低くてよく、好適には15℃と-50℃の間である。」

(3)甲3(特開2012-162715号公報)
甲3には、次の記載がある。

(3-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)及び多糖誘導体(B)を含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
多糖誘導体(B)が、セルロース誘導体であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
多糖誘導体(B)の数平均分子量が、1万?10万であることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。」

(3-2)「【0016】
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)〕
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)、多価イソシアネート系化合物(a2)及びポリオール系化合物(a3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A1)、または、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)及び多価イソシアネート系化合物(a2)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A2)が挙げられ、これらの中から1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
・・・
【0022】
多価イソシアネート系化合物(a2)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」「アクアネート210」等)、等が挙げられる。
これらの中でも、黄変が少ない点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ジイソシアネートが、好ましく用いられ、特に好ましくは硬化収縮が小さい点でイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネートが用いられ、更に好ましくは、反応性および汎用性に優れる点でイソホロンジイソシアネートが用いられる。
【0023】
ポリオール系化合物(a3)としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等が挙げられる。
・・・
【0025】
上記ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
【0026】
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
【0027】
前記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
・・・
【0037】
上記ポリオール系化合物(a3)の重量平均分子量としては、500?8000が好ましく、特に好ましくは550?5000、更に好ましくは600?3000である。ポリオール系化合物(a3)の分子量が大きすぎると、硬化時に塗膜硬度等の機械的物性が低下する傾向があり、小さすぎると硬化収縮が大きく安定性が低下する傾向がある。」

(3-3)「【0063】
また、多糖誘導体(B)としては、塗料中に内在する微粒子や異物などに起因する凹凸が隠蔽できる点で数平均分子量(Mn)が5,000?200,000のものが好ましく、特に好ましくは7,500?150,000であり、更に好ましくは10,000?100,000である。かかる数平均分子量が小さすぎると微粒子や混入する異物の浮き上がりを抑制することにより凹凸を隠蔽することができないため、表面平滑性および透明性を持つ薄膜硬化塗膜が得られにくくなる傾向があり、大きすぎると溶剤に対する溶解性や他の成分との相溶性が低下する傾向がある。
・・・
【0065】
本発明においては、上記の中でも、好適な多糖誘導体(B)としては、例えば、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等のセルロースアセテートアルキレート樹脂、セルロースアセテート樹脂等を挙げることができる。
また、上記の多糖誘導体(B)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
本発明において、多糖誘導体(B)の含有量としては、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して、3重量部以上であることが好ましく、特に好ましくは3?1000重量部、更に好ましくは5?500重量部、殊に好ましくは8?100重量部であることが好ましい。多糖誘導体(B)の含有量が多すぎると硬化塗膜のレベリング性を低下させたり、金属蒸着のアンダーコート用途で使用する際に硬化塗膜と金属蒸着層との接着性を低下させたり、活性エネルギー線硬化性成分割合が低下することとなるため充分な塗膜表面硬度が得難くなる傾向がある。
一方、多糖誘導体(B)の含有量が少なすぎると、塗料中に内在する微粒子や異物などに起因する凹凸の隠蔽効果が低下する傾向がある。」

(3-4)「【0085】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を配合し、粘度を調整して使用することも可能である。かかる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、トルエン、キシレン等の芳香族類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら上記の有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。」

(3-5)「【0089】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種基材へのトップコート剤やアンカーコート剤など、塗膜形成用の硬化性樹脂組成物として有効に用いられるものであり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を基材に塗工した後(有機溶剤で希釈した組成物を塗工した場合には、さらに乾燥させた後)、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。」

(3-6)「【実施例】
・・・
【0100】
・ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)として以下のものを調製した。
(A-1):温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート16.1g(0.07モル)、2官能ポリエステルポリオール(水酸基価54mgKOH/g)75.2g(0.04モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、2-ヒドロキシエチルアクリレート8.6g(0.07モル)、を仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、2官能ウレタンアクリレート(A-1)(重量平均分子量10,000、60℃粘度15,000mPa・s)を得た。
【0101】
・多糖誘導体(B)として、以下のものを用意した。
(B-1):セルロースアセテートブチレート系樹脂(イーストマン ケミカル ジャパン株式会社製、商品名「CAB551-0.01」:数平均分子量16,000)
(B-2):セルロースアセテートブチレート系樹脂(イーストマン ケミカル ジャパン株式会社製、商品名「CAB551-0.2」:数平均分子量30,000)
(B-3):セルロースアセテートブチレート系樹脂(イーストマン ケミカル ジャパン株式会社製、商品名「CAB500-5」:数平均分子量57,000)
(B-4):セルロースアセテートブチレート系樹脂(イーストマン ケミカル ジャパン株式会社製、商品名「CAB381-20」:数平均分子量70,000)
(B-5):セルロースアセテートプロピオネート系樹脂(イーストマン ケミカル ジャパン株式会社製、商品名「CAB504-0.2」:数平均分子量15,000)
・・・
【0105】
〔実施例1?11〕
上記のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、多糖誘導体(B)、エチレン性不飽和モノマー(C)、光重合開始剤(D)を固形分換算で表1に示す割合で配合した後、光重合開始剤を除いた固形分が30%になるように酢酸エチルで希釈し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
・・・
【0108】
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について、以下の評価を行った。
評価結果は表1に示す。
・・・
【0114】
【表1】

【0115】
上記評価結果より、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)及び多糖誘導体(B)を含有してなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られる実施例1?11の硬化塗膜は微粒子を含有するにも関わらず、平滑性に優れ、透明性に優れた硬化塗膜が得られることが分かる。
一方、多糖誘導体(B)を含有しない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られる比較例1の硬化塗膜は、表面平滑性、透明性に劣るものであった。
また、多糖誘導体(B)の代わりにアクリル系樹脂(B’)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られる比較例2の硬化塗膜は、透明性は優れるが平滑性に劣るものであり、凹凸を隠蔽する効果は有しないものであった。」

(4)甲4(特開2011-038013号公報)
甲4には、次の記載がある。

(4-1)「【0035】
本発明の二液硬化型塗料組成物(以下、単に「塗料組成物」と称することもある)は、上述した本発明のビニル変性ポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、イソシアネート化合物を含むポリイソシアネート成分とからなる。これらポリオール成分とポリイソシアネート成分とは、使用時(硬化物形成時)には混合して用いられるが、通常、使用直前までは混合せずに別々に保管される。
・・・
【0038】
本発明の塗料組成物(ポリオール成分および/またはポリイソシアネート成分)は、それぞれ、前記ビニル変性ポリエステルポリオールや前記イソシアネート化合物を溶解もしくは分散させるための溶剤を適宜含有していてもよい。溶剤は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分のいずれか一方に含有させてもよいし、両方に含有させてもよい。また、溶剤を、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合した後に適当な粘度になるよう希釈する目的で用いることもできる。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;等が挙げられる。溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、ポリオール成分に用いる溶剤とポリイソシアネート成分に用いる溶剤は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、天然色素、有機合成色素、顔料、無機顔料または光輝材(塗膜にキラキラとした光輝感または光干渉性を付与するりん片状顔料)等の着色成分を含有させることができる。これら着色成分は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分のどちらに含有させてもよいが、ポリオール成分に含有させるのが好ましい。着色成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、本発明の塗料組成物は、着色成分を含有しないクリヤー塗料であってもよいことは言うまでもない。」

(4-2)「【0043】
本発明の塗料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の天然物由来樹脂が含有されていてもよい。その場合、その他の天然物由来樹脂は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分のどちらに含有させてもよいが、ポリオール成分に含有させるのが好ましい。その他の天然物由来樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0044】
その他の天然物由来樹脂としては、特に制限されないが、例えば、植物性繊維、セルロース樹脂、ポリ乳酸に代表されるポリヒドロキシカルボン酸、ポリカプロラクタム、変性ポリビニルアルコールなどのほか、ポリカプロラクトンに代表される生分解性脂肪族ポリエステル等が挙げられる。その他の天然物由来樹脂としては、特に、上述した溶剤に可溶であるものが好ましく、なかでもセルロース由来の樹脂が好適である。例えば、セロース、ニトロセルロース、およびセルロースアセテートブチレートから選ばれる1種以上を少量含有させることにより、得られる硬化塗膜の表面硬度等の物性をより向上させることができる。その他の天然物由来樹脂として用いることのできる好ましい市販品としては、ニトロセルロースでは、仏国ベルジュラックNC社製の工業用硝化綿「BNC-HIG-2」、韓国CNC社製の工業用硝化綿「RS1-4」、(株)協鮮洋行製の「スワンセルHM1-4」、旭化成ケミカルズ(株)製の「セルノバBTH1-4」)等が挙げられ、セルロースアセテートブチレートでは、米国イーストマンケミカルプロダクツ社製の「CAB381-0.1」、「CAB381-0.5」、「CAB381-2」、「CAB531-1」、「CAB551-0.01」、「CAB551-0.2」等が挙げられる。」

(5)甲5(特開2011-105886号公報)
甲5には、次の記載がある。

(5-1)「【特許請求の範囲】
・・・
【請求項2】
(イ)水酸基価が5?200mgKOH/gであるポリオールを含有する主剤と、
(ロ)(A)脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート、及び(B)2?3価のアルコールとε-カプロラクトンから誘導される数平均分子量が250?2000のポリエステル系ポリオールから得られ、実質的にイソシアヌレート基を含まず、アロファネート基を含有するポリイソシアネート組成物を含有する硬化剤、
からなる二液型ポリウレタン組成物。
・・・
【請求項4】
請求項2に記載の二液型ポリウレタン組成物からなる、自動車車体あるいは自動車用金属部品あるいは自動車用プラスチック部品あるいは情報家電製品用金属部品あるいは情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー用途である塗料組成物。」

(5-2)「【0026】
主剤で用いるポリオールとしては、例えばアクリルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィン系ポリオール類、含ケイ素系ポリオール類、含フッ素ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹脂類、及びアルキドポリオール類等の中の1種類またはその混合物などが挙げられる。また、ポリオールには、アクリルポリオールやポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどを、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートあるいはこれらから得られるポリイソシアネート組成物で変成した、ウレタン変成アクリルポリオールやウレタン変成ポリエステルポリオールやウレタン変成ポリエーテルポリオールなどを用いることもできる。
【0027】
ポリオールは公知の技術で製造することができるが、以下、代表的なアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの製造方法について述べる。
アクリルポリオールの製造方法としては、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、これに共重合可能な他のモノマーを共重合させることによって得ることができる。例えば、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類、またはメタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-4-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類、またはグリセリンやトリメチロールプロパンなどのトリオールのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p-tert-ブチル安息香酸などの一塩基酸との付加物、あるいは上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にε-カプロラクタム、γ-バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合させることにより得られる付加物の群から選ばれた単独または混合物を必須成分として、必要に応じてアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、またはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類、またはビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独、又は混合物を、常法により共重合させて得ることができる。例えば、上記の単量体成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合することによって得ることができる。
・・・
【0034】
シリケート化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、およびこれらの縮合物等があげられる。このなかで、テトラメトキシシランの縮合物、テトラエトキシシランの縮合物は、塗膜を作製した場合、塗膜表面が親水性になり易く、好ましい。
硬化促進用の触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等のジアルキルスズジカルボキシレートや、ジブチルスズオキサイド等のスズオキサイド化合物、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等の金属カルボン酸塩、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、及びN,N’-ジメチルピペラジンのような3級アミン類等が挙げられる。
乾燥性改良剤としては、CAB(セルロースアセテートブトレート)、NC(ニトロセルロース)等が挙げられる。」

(6)甲6(特開2008-074959号公報)
甲6には、次の記載がある。

(6-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の主剤(a)と硬化剤(b)からなる2液型中塗り塗料組成物。
主剤(a):1分子中に2個以上の末端水酸基を有するポリエステル樹脂、水酸基含有アクリル系モノマーを含むアクリル樹脂、顔料、及びセルロース誘導体を含有し、前記ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が900?3000、全酸成分中の芳香族ポリカルボン酸成分及び/又は脂環式ポリカルボン酸成分の割合が80質量%以上であり、前記アクリル樹脂は、数平均分子量(Mn)が2000?10000、炭素数4以上のアルキル側鎖を有するアクリル系モノマー単位を40?80質量%含有し、ガラス転移温度(Tg)が30℃以下である;
硬化剤(b):1分子中に2個以上の遊離のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物からなる。」

(6-2)「【技術分野】
【0001】
本発明は自動車外板塗装等に用いられる中塗り塗料組成物に関し、特に低温・短時間硬化型の中塗り塗料組成物であって、好ましくは、中塗り塗装、ベース塗装及びクリヤー塗装をウエット・オン・ウエット法で行う3コート1ベーク法において好適に用いられる中塗り塗料組成物に関する。」

(6-3)「【0013】
本発明の中塗り塗料組成物の主剤(a)に含まれるポリエステル樹脂は、既知の方法で、多塩基酸と多価アルコールとをエステル化反応させることによって合成することができる。ポリエステル樹脂は1分子中に2個以上の末端水酸基を有し、外観向上の点から分子量は比較的低分子量であることが好ましく、数平均分子量(Mn)は900?3000、好ましくは1000?2500である。数平均分子量(Mn)が900を下回ると、十分な硬化性が得られず、上塗り溶剤による膨潤が起こり、上塗り塗膜形成後の外観が低下する。一方、数平均分子量(Mn)が3000を超えると、塗料粘度が上がり良好なレベリング性を確保できない。なお、本明細書における数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン分子量を標準として換算した値である。また上記ポリエステル樹脂は水酸基価及び酸価を有することが好ましい。当該水酸基価は、好ましくは100?250mgKOH/g、特に好ましくは120?240mgKOH/gである。250mgKOH/gを上回ると塗膜にした場合の耐水性が低下し、100mgKOH/gを下回ると塗膜の硬化性が低下する。当該酸価は、好ましくは2?14mgKOH/g、特に好ましくは3?12mgKOH/gである。14mgKOH/gを上回ると塗膜の耐水性が低下し、2mgKOH/gを下回ると塗膜の硬化性が低下する。
・・・
【0023】
本発明の中塗り塗料組成物の主剤(a)に含まれる顔料としては、着色顔料及び/又は体質顔料が用いられる。着色顔料としては、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、金属錯体顔料等の有機顔料類、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料類が挙げられ、体質顔料としては硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ等が挙げられる。
【0024】
本発明の中塗り塗料組成物の主剤(a)に含まれるセルロース誘導体としては、例えばセルロースアルキルエーテル、セルロースヒドロキシエーテル、セルロースヒドロキシエチルエーテル、セルロースアセテートブチレートが挙げられ、これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。この中でセルロースアセテートブチレートを使用するのが最も好ましい。セルロース誘導体の含有量は塗料固形分に対して、好ましくは0.1?5質量%、より好ましくは0.2?4質量%である。5質量%を上回ると外観が低下し、0.1質量%を下回ると塗装作業性が低下する。
・・・
【0031】
本発明の中塗り塗料組成物は、上記構成成分を、通常、溶剤に溶解又は分散した態様で提供される。溶剤としては、ビヒクルを溶解又は分散するものであればよく、塗料分野において通常用いられる有機溶剤を挙げることができる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ等のエステル類、アルコール類を例示することができる。」

(7)甲7-1(Eastman社「Technical Data Sheet(cellulose acetate butyrate,CAB-381-0.1)」)
参考文献の甲7-1には、次の記載がある。

イーストマン社のテクニカルデータシート(セルロースアセトブチレート、商品名:「CAB-381-0.1」)には、数平均分子量が20000であることが記載されている。

(8)甲7-2(Eastman社「Technical Data Sheet(cellulose acetate butyrate,CAB-381-20)」)
参考文献の甲7-2には、次の記載がある。

イーストマン社のテクニカルデータシート(セルロースアセトブチレート、商品名:「CAB-381-20」)には、数平均分子量が70000であることが記載されている。

(9)甲7-3(Eastman社「Technical Data Sheet(cellulose acetate butyrate,CAB-551-0.2)」)
参考文献の甲7-3には、次の記載がある。

イーストマン社のテクニカルデータシート(セルロースアセトブチレート、商品名:「CAB-551-0.2」)には、数平均分子量が30000であることが記載されている。


2 甲1に記載の発明

甲1の上記1(1)(1-5)の段落【0073】【表3】には、実施例2として、ポリアクリレートポリオールA4、ポリエステルE1、Desmodur3600、VestanatT1890E及びブチルアセテートを含むクリアコート組成物が記載されている。
ここで、当該「ポリアクリレートポリオールA4」、「ポリエステルE1」、「Desmodur3600」、「VestanatT1890E」とは、同【0069】【表1】、【0071】【表2】、【0063】のとおり、「ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、ブチルアクリレート(BA)、メチルメタクリレート(MMA)、メタクリル酸(MAA)及びスチレン(ST)を共重合させて得られたもの」、「トリメチロールプロパン(TMP)、無水ヘキサヒドロフタル酸(HHPA)及び直鎖C_(8)及びC_(10)脂肪酸の混合物(EdenorV85)を重合させて得られたもの」、「ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体」、「イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体」である。また、当該ポリエステルE1は、同【表2】のとおり、OH価(水酸基価)が306である。
そして、同【表3】のとおり、当該ポリエステルE1の量は、ポリアクリレートポリオール44重量部に対し、16重量部であることから、これをポリアクリレートポリオール100質量部を基準として換算すると、36質量部であるといえる。
そうすると、甲1には、「ポリアクリレートポリオール、ポリエステル、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体及びブチルアセテートを含み、
ポリエステルが、無水ヘキサヒドロフタル酸とトリメチロールプロパンを製造原料とする水酸基価306mgKOH/gである樹脂であって、
ポリエステルの量が、ポリアクリレートポリオール100質量部を基準として、36質量部であるクリアコート組成物。」(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

3 本件発明と甲1発明との対比・判断

(1)本件発明1について

ア 本件発明1と甲1発明との一致点・相違点

本件発明1と甲1発明を対比する。

甲1発明の「ポリアクリレートポリオール」は、上記(1-5)の表1のA4の製造原料からみて、ヒドロキシエチルメタクリレートを使用したものであることから、本件発明1の「アクリルポリオール」に相当し、引用発明の「ポリエステル」は、上記(1-5)の表2のE1の無水ヘキサヒドロフタル酸及びトリメチロールプロパンを含む製造原料からみて、本件発明1の「ポリエステルポリオール」に相当するといえる。また、甲1発明の「ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体」、「ブチルアセテート」、「無水ヘキサヒドロフタル酸」、「トリメチロールプロパン」は、本願明細書の段落【0051】、【0041】、【0027】、【0029】の記載からみて、本件発明1の「ポリイソシアネート化合物」、「有機溶剤」、「非芳香族ポリカルボン酸」、「多価アルコール」に相当するといえる。さらに、甲1発明の「クリアコート組成物」は、上記(1-1)より、自動車の仕上げ塗装に使用されるものであることから、本件発明1の「クリヤー塗料組成物」に相当するといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、
「アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート化合物及び有機溶剤を含み、
ポリエステルポリオールが、非芳香族ポリカルボン酸と多価アルコールを製造原料とする水酸基価306mgKOH/gである樹脂であって、
ポリエステルポリオールの量が、アクリルポリオール100質量部を基準として、36質量部であるクリア塗料組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)ポリエステルポリオールにおいて、本件発明1は、重量平均分子量が100?5000であるのに対して、甲1発明は、そのように明示されていない点。

(相違点2)本件発明1は、数平均分子量が1000?100000の範囲内にあるセルロース誘導体を、アクリルポリオール100質量部を基準として、1?40質量部含むのに対し、甲1発明は、そのように明示されていない点。

イ 相違点に関する判断

事案に鑑みて、はじめに、(相違点2)について検討する。

甲1の上記1(1)(1-4)には、甲1発明の成分に加えることができる他の成分について、「主成分のバインダーおよび/または反応性希釈剤であることができ、任意的に前述のヒドロキシ官能性化合物および/またはイソシアネート官能性架橋剤と架橋されることができる反応性基を含んでもよい」こと、及びヒドロキシ官能性バインダーの例示として、「ポリエーテルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、セルロースアセトブチレート、ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂、アルキドおよびデンドリマー性ポリオール」等が記載されている。
また、ポリオール、ポリイソシアネート化合物及び有機溶剤を使用する一般的な塗料組成物において、セルロースアセトブチレートのようなセルロース誘導体を添加すると、塗装作業性、速乾性、表面平滑性、透明性及び表面硬度等の物性を向上させることは当業者に公知である(甲2の上記1(2)(2-1)?(2-3)、甲3の上記1(3)(3-1)?(3-6)、甲4の上記1(4)(4-1)?(4-2)、甲5の上記1(5)(5-1)?(5-2)、甲6の上記1(6)(6-1)?(6-3)参照)。さらに、当該セルロースアセトブチレートとして、本件発明1の数平均分子量を有するセルロース誘導体もよく知られた化合物である(甲2の上記(2-3)の段落【0019】に記載の「CAB381-0.1」、「CAB381-20」、「CAB551-0.2」は、甲7-1、甲7-2、甲7-3を参照するに、数平均分子量がそれぞれ20000、70000、30000であり、甲3の上記(3-6)の段落【0101】には、数平均分子量がそれぞれ15000?70000のものが記載され、甲4の上記(4-2)の段落【0044】記載の「CAB381-0.1」、「CAB551-0.2」、「CAB551-0.01」は、甲7-1、甲7-3、甲3の段落【0101】を参照するに、数平均分子量がそれぞれ20000、30000、16000である。)。

しかしながら、甲1の当該記載は、当該他の成分として、イソシアネート官能性架橋剤と架橋されることができる反応性基を含む、セルロースアセトブチレートを例示しているにすぎず、所定の数平均分子量を有するセルロースアセトブチレートを配合することやそれによる具体的な特性の改善を教示するものではない。
また、甲2?6の記載から看取できる公知技術は、確かに、ポリオール、ポリイソシアネート及び有機溶剤を含む塗料組成物において、セルロース誘導体を配合する点を開示しているものの、これらは、甲1発明とは、塗料組成物の用途(技術分野)において異なるもの、又は、主となるポリオール等の樹脂構成成分においても異なるものである。
したがって、所定の数平均分子量を有するセルロース誘導体をアクリルポリオールを基準として特定の範囲の量で、甲1発明のクリア塗料組成物に添加することの動機付けとなるような事実を、甲1の記載又は甲2?甲6に記載された技術的事項から導き出すことはできない。

そして、効果の点においても、本件発明1は、当該所定の数平均分子量のセルロース誘導体を本件発明1に規定されるような量で配合することにより、本件明細書の【表1】及び【表2】に記載される評価結果から看取できる、塗装作業性、仕上がり性及びミガキ性の改善という効果を奏するものである(同表中の実施例10と比較例4、実施例4,7と比較例10の結果を対比して判断した。)。
確かに、上記甲2?6にみられる公知技術からみて、セルロースアセトブチレートをポリオール、ポリイソシアネート化合物及び有機溶剤を使用する塗料組成物に添加した際に、塗装作業性、速乾性、表面平滑性、透明性及び表面硬度等の物性を向上させることは、一応の予測ができる範囲の効果であるとはいえる。
しかしながら、上記本件発明1の「ミガキ性」の改善という効果までが予測の範疇のものとはいえない。なぜなら、本件明細書の段落【0072】を参酌するに、当該「ミガキ性」とは、各クリヤー塗料をスプレー塗装し、乾燥後、耐水研磨紙を用いて水研ぎした後、粗磨き用バフに粗磨き用コンパウンドを使用し、ポリッシングし、耐水研磨紙によるペーパーキズの取れ具合を目視評価し、さらに、仕上げ用バフに仕上げ用コンパウンドを使用してポリッシングを行うことにより、ペーパーキズを目視して評定されるもので、ペーパーキズの取れ具合を評価するものであり、一見、上記公知技術から予測される効果のうちの「表面硬度(の向上)」と関わるようにみえるが、「表面硬度(の向上)」は、キズの付きづらさに関連するもので、これらは異質の特性であるからである。すなわち、平成30年10月2日付け意見書の8頁27行?10頁12行の実験結果(下記表1参照)及び乙第1号証(特開2000-303016号公報)の表2(下記参照)を参酌するに、前者には、セルロース誘導体を実施例よりも多く添加した比較例8は、硬度が他の例に比べて高いにもかかわらず、ミガキ性が不十分であることが示され、後者には、比較例2,3において、鉛筆硬度が高いにもかかわらず、磨き仕上り性が不十分であることが示されているから、硬度とミガキ性に相関関係はなく、表面硬度が向上すれば、「ミガキ性」も向上するというものではない。
そうすると、上記本件発明1の「ミガキ性」の改善という効果は、甲1の記載からも、甲2?6の公知技術からも予測し得ないものであって、甲1発明に対する有利な効果と解するのが相当である。

したがって、本件発明1の上記(相違点2)に係る技術的事項を容易想到の事項ということはできない。

よって、(相違点1)について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲1に記載の事項及び甲2?6,7-1?7-3に記載の周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

<平成30年10月2日付け意見書に記載された表1>

<乙第1号証の表2>


(2)本件発明2?4について

本件発明2?4は、本件発明1を引用し、本件発明1のアクリルポリオール、ポリエステルポリオール及び有機溶剤をそれぞれさらに特定したものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2?4は、甲1発明、甲1に記載の事項及び甲2?6,7-1?7-3に記載の周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。



第5 取消理由で採用しなかった申立理由

異議申立人は、申立理由として、以下のとおり、特許法第29条第2項違反であることを主張する。

1 本件発明1について
甲1に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであることから、特許法第29条第2項違反であること

2 本件発明2について
甲1に記載された発明により、当業者が容易に発明できたものであること

しかしながら、上記第4 3(1)でも検討したとおり、本件発明1は、甲1発明及び甲2?6に記載の技術的事項をどのように組み合わせたとしても当業者が容易に発明できたものとはいえず、本件発明1を引用する本件発明2も、本件発明1と同様に当業者が容易に発明できたものとはいえないから、ましてや甲1に記載された発明からは本件発明1,2を当業者が容易に発明できたものではいえない。

したがって、異議申立人の主張は採用できない。


第6 むすび

上記「第4」及び「第5」で検討したとおり、本件特許1ないし4は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、上記取消理由及び上記申立理由によっては、本件特許1ないし4を取り消すことはできない。
また、他に本件特許1ないし4を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり、決定する。
 
異議決定日 2019-01-22 
出願番号 特願2013-211949(P2013-211949)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅野 芳男  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 日比野 隆治
阪▲崎▼ 裕美
登録日 2017-06-02 
登録番号 特許第6150293号(P6150293)
権利者 関西ペイント株式会社
発明の名称 クリヤー塗料組成物及びこれを用いた補修塗装方法  
代理人 青木 篤  
代理人 三橋 真二  
代理人 高橋 正俊  
代理人 出野 知  
代理人 胡田 尚則  
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