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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G01N |
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管理番号 | 1348765 |
異議申立番号 | 異議2018-700958 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-11-28 |
確定日 | 2019-01-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6334221号発明「ガス検知器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6334221号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6334221号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成26年3月25日に出願され、平成30年5月11日にその特許権の設定登録がされ、同年5月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1ないし5に係る特許に対し、同年11月28日に特許異議申立人 松田 亘弘 により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第6334221号の請求項1ないし5の特許に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明5」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 (本件発明1) 「【請求項1】 被検知ガスと接触するガス感応部を有するガス検知素子を備えたガス検知器であって、 前記ガス検知素子を収容する二重の筐体を備え、 前記二重の筐体における外側の外側筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および妨害成分を吸収する第一吸着部を備え、 前記二重の筐体における内側の内側筐体は、前記妨害成分を分解する分解触媒部および前記妨害成分を吸収する第二吸着部を、被検知ガスの導入方向からこの順に備え、 前記内側筐体は、通気口を、前記第一吸着部および前記分解触媒部の間となるように備えたガス検知器。」 (本件発明2) 「【請求項2】 前記通気口は、前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口である請求項1に記載のガス検知器。」 (本件発明3) 「【請求項3】 前記内側筐体は、前記妨害成分を吸収する第三吸着部を、前記制限通気口および前記分解触媒部の間となるように備えた請求項2に記載のガス検知器。」 (本件発明4) 「【請求項4】 前記第二吸着部および前記第三吸着部は、それぞれ固体酸触媒で形成してある請求項3に記載のガス検知器。」 (本件発明5) 「【請求項5】 前記分解触媒部は、貴金属を担持したカーボン系材料で形成してある請求項1?4の何れか一項に記載のガス検知器。」 第3 申立理由の概要 特許異議申立人は、主たる証拠として下記の甲第1号証、従たる証拠として下記の甲第2号証ないし甲第15号証を提出し、本件発明1ないし5は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第15号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし5は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件発明1ないし5に係る特許は同法同条同項の規定に違反してされたものであるから同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである旨主張している。 特許異議申立人が提出した甲第1号証ないし甲第15号証 甲第1号証:特開平10-197470号公報(以下「甲1」という。) 甲第2号証:特開2004-144679号公報(以下「甲2」という。) 甲第3号証:特開2004-271436号公報(以下「甲3」という。) 甲第4号証:特開2002-257767号公報(以下「甲4」という。) 甲第5号証:国際公開第2006/090433号(以下「甲5」という。) 甲第6号証:特開平10-10067号公報(以下「甲6」という。) 甲第7号証:特開2000-187014号公報(以下「甲7」という。) 甲第8号証:特開2000-338072号公報(以下「甲8」という。) 甲第9号証:特開昭61-70448号公報(以下「甲9」という。) 甲第10号証:特開昭61-172045号公報(以下「甲10」という。) 甲第11号証:特開昭61-172047号公報(以下「甲11」という。) 甲第12号証:特開2009-103541号公報(以下「甲12」という。) 甲第13号証:特開平8-247982号公報(以下「甲13」という。) 甲第14号証:特開2012-247240号公報(以下「甲14」という。) 甲第15号証:特開平9-5275号公報(以下「甲15」という。) 第4 各証拠の記載事項 1 甲1の記載事項 (1)甲1には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同様。)。 (甲1-1)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、施設園芸、環境衛生、防災用、工業用、ビル用、住宅用などの環境を計測し制御する場所に使用される検知素子に関する。 【0002】 【従来の技術】以下、その検知素子について、加熱駆動型のガスセンサを例にとって、図10を参照しながら説明する。 【0003】図に示すように、ガス感応部101は片面下部に加熱部102を備えた基板103の片面上部に位置し、電極104a、104bからの出力取り出し用リード線105a、105bおよび、前記加熱部102から取り出したリード線106a、106bにそれぞれ接続したリードピン107a、107b、107c、107dを介して下部の台座108に固定されている。そして、きょう体109は、内包するガス感応部101、加熱部102、電極104a、104b、リード線105a、105b、106a、106bを機械的損傷から保護するとともに測定雰囲気と接触を良くするため開口部110が設けられており、台座108に固定されている。測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてシリカゲルフィルタ111はきょう体109内部に固定手段112として上下の金属メッシュにはさまれ固定されている。 【0004】上記構成においてガス感応部101を加熱部102により測定温度に加熱するとともに、電極104a、104b間に一定電圧を印加し、きょう体109の開口部110を通じてガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じてガス感応部の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができるものであった。 【0005】そして、雰囲気中の妨害成分である干渉ガスや水蒸気が開口部110を介してきょう体109内部に侵入してもシリカゲルフィルタ111に吸着され、ガス感応部101への干渉ガスの反応を低減し、誤動作を防止していた。」 (甲1-2)「【0024】 【実施例】 (実施例1)以下、本発明の第1実施例について、図1?図2を参照しながら説明する。 【0025】なお、従来例と同一部分は同一番号を付し説明を省略する。図1に示すようにシリカゲルフィルタ111と感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されている。上記構成により、シリカゲルフィルタ111は雰囲気の温度変化により吸着した水分を吸放出する。水分の吸放出は、開口部110を通じ雰囲気との間で行われるか、流入制限板1のピンホール2を通じ、きょう体109内部との間で行われる。しかし、きょう体109内部への水分の吸放出は流入制限板1によって制限されるため、シリカゲルフィルタ111は雰囲気との間で吸放出の大部分を行うこととなる。そのため、きょう体109内部の湿度変化は最小限に抑えられ、図2に示すようにガス感応部101のシリカゲルフィルタ111から吸放出する水分による誤動作を抑制することができる。 【0026】また、ピンホール2により、きょう体109内部へのガスの流入が制限されるため、シリカゲルフィルタ111で除去できない妨害ガス成分についても、急激な発生によるガス感応部101の短期的な誤動作を抑制することができる。 【0027】なお、本実施例では、流入制限板1およびピンホール2の寸法を特に限定しなかったが、流入制限板1のピンホール2は、シリカゲルフィルタ111の量、きょう体109内部の容積、ガス感応部101の水蒸気に対する感度、検知ガスに対する感度もしくは応答性によって決定される。たとえば、本実施例に使用したガスセンサの場合、ピンホール径に対する誤動作の量の関係を図3に示している。シリカゲルフィルタ111を約1g、きょう体109の容積を約1000mm^(3)とした場合、ピンホール2の穴径は3mm以上ではほとんど効果は得られない。また、2mm以下で誤差量は半分以下となる。さらに、0.1mm以下では、検知ガスの感度および応答が低下するため、1mm以下0.3mm以上の範囲が望ましい。 【0028】また、流入制限板1のピンホール2は複数でもよく、形状についても円形である必要はなく、その作用効果に差異を生じない。」 (甲1-3)「【0037】(実施例2)図5は、本発明の第2実施例の構成を示している。なお、従来例および本発明の第1実施例と同一部分は同一番号を付し説明を省略する。 【0038】図5において、シリカゲルフィルタ111と流入制限板1との間に目詰まり防止手段として金属メッシュ板4が固定手段112によって固定されている。 【0039】上記構成により、シリカゲルフィルタ111が振動や衝撃で破損した場合においても、破損片や破損粉の流入制限板1上への落下を防止し、また雰囲気からのほこり、油、ヤニ、等による汚れによるピンホール2の目詰まりを防止できる。」 (甲1-4)「【0041】(実施例3)図6は、本発明の第3実施例の構成を示している。なお、従来例および本発明の第1、第2実施例と同一部分は同一番号を付し説明を省略する。 【0042】図6において、流入制限板1の下部に妨害成分吸着手段として活性炭シート5が固定手段6によって固定されている。 【0043】上記構成により、流入制限板1を通過した妨害成分を活性炭シート5で吸着し除去することによりきょう体109内部への妨害成分の侵入を防止することができガス感応部101の妨害成分による誤動作を防止することができる。また、この効果は、シリカゲルフィルタ111から放出されるガスや水分などの妨害成分だけでなく、シリカゲルフィルタ111で除去できずに通過した妨害成分に対しても得ることができる。図7に活性炭シート5の有無によるCO2およびエタノールに対する感度を示している。図に示すとおり、アルコールに対する感度は大きく改善されている。また、シリカゲルフィルタ111および流入制限板1を通過後の微量の妨害成分を活性炭シート5で吸着するため、長期にわたり活性炭シート5の吸着性能を維持できる効果がある。 【0044】なお、本実施例では妨害成分吸着手段として活性炭シート5としたが、シリカゲル、ゼオライトなど妨害成分を吸着する材料であれば同様の効果が得られる。」 (甲1-5)【図6】 「 」 (2)甲1に記載された発明 ア (甲1-1)の「【0003】・・・測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてシリカゲルフィルタ111はきょう体109内部に固定手段112として上下の金属メッシュにはさまれ固定されている」、及び(甲1-3)の「【0038】・・・シリカゲルフィルタ111と流入制限板1との間に目詰まり防止手段として金属メッシュ板4が固定手段112によって固定されている」との記載に照らして(甲1-5)の【図6】の記載を見ると、測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111と、その下面に接する目詰まり防止手段としての金属メッシュ板4とが、きょう体109内部に固定手段112によって固定されていることが見てとれる。 イ (甲1-2)の「【0025】・・・シリカゲルフィルタ111と感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されている」との記載に照らして(甲1-5)の【図6】の記載を見ると、金属メッシュ板4と感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されていることが見てとれる。 ウ そうすると、(甲1-1)ないし(甲1-5)の記載から、甲1には、 「 ガス感応部101は片面下部に加熱部102を備えた基板103の片面上部に位置し、電極104a、104bからの出力取り出し用リード線105a、105b及び前記加熱部102から取り出したリード線106a、106bにそれぞれ接続したリードピン107a、107b、107c、107dを介して下部の台座108に固定されており、 きょう体109は、内包する前記ガス感応部101、加熱部102、電極104a、104b、リード線105a、105b、106a、106bを機械的損傷から保護するとともに測定雰囲気と接触を良くするため開口部110が設けられており、台座108に固定されており、 測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111と、その下面に接する目詰まり防止手段としての金属メッシュ板4とが、前記きょう体109内部に固定手段112によって固定されており、 前記金属メッシュ板4と前記感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されており、 前記流入制限板1の下部に妨害成分吸着手段として活性炭シート5が固定手段6によって固定されており、 前記ガス感応部101を前記加熱部102により測定温度に加熱するとともに、前記電極104a、104b間に一定電圧を印加し、前記きょう体109の開口部110を通じて前記ガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じて前記ガス感応部101の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができる、 加熱駆動型のガスセンサ。」 の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 2 甲2の記載事項 (1)甲2には、以下の記載がある。 (甲2-1)「【0030】 【発明の実施の形態】 先ず、図1に示す実施の形態の例から述べる。円盤状のベース2には検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置してあり、このベース2には有底筒状の第1ハウジング5を被せて装着してあり、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装してある。この第1ハウジング5は金属板を有底筒状に成形して形成されている。第2ハウジング6は樹脂等で有底筒状に形成されており、第1ハウジング5の上に第2ハウジング6を被せるように装着してある。第2ハウジング6と第1ハウジング5との間には中間室7を形成してある。第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造材としての金属メッシュ板10を装着してある。第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してある。第2ハウジング6には点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させるように設けてある。この点検ガス導入孔4は本例では第1通気孔8に向かうように指向性を持たせてある。このように構成せるガスセンサーは、金属にて形成せる第1ハウジング6と第1通気孔8に装着した金属メッシュ板10で防爆を図るものであるため第2ハウジング6の外径が6?8mm程度と小型化できる。 【0031】 ガスセンサーの点検を行う際には点検ガス導入孔4から点検ガスを中間室7内に注入するが、点検ガス導入孔4に指向性を持たせてあるため点検ガス導入孔4から点検ガスを第1通気孔8に誘導されるように注入できる。これにより、第2ハウジング6内に点検ガスを充満させなくても第1ハウジング5内に点検ガスを入れてガス検知素子1に接触させることができる。これによりガスセンサーの点検をする場合に規定の感度になるまでの時間を短縮できると共に規定感度になった後に点検ガスの圧入を停止した後、注入している点検ガスの量も少ないので規定の感度以下になる時間を短縮することができる。 【0032】 また、金属メッシュ板10は、ガス流通制限手段を兼用しており、点検ガスを注入した際は、点検ガスが第1通気孔8を移動可能であるが、普段の検知時は対流による第1通気孔8の移動は制限し、拡散による検知対象ガスの移動は可能である。」 (甲2-2)【図1】 「 」 (2)甲2に記載された技術事項 (甲2-1)及び(甲2-2)の記載から、甲2には、 「 円盤状のベース2に検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置し、 このベース2に金属板を有底筒状に成形して形成されている第1ハウジング5を被せて装着して、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装し、 第1ハウジング5の上に樹脂等で有底筒状に形成されている第2ハウジング6を被せるように装着して、第2ハウジング6と第1ハウジング5との間に中間室7を形成してあり、 第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造材としての金属メッシュ板10を装着してあり、 第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してあり、 第2ハウジング6には点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を、第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させるように、かつ、第1通気孔8に向かうように指向性を持たせて設けてある、 ガスセンサーであって、 金属にて形成せる第1ハウジング6と第1通気孔8に装着した金属メッシュ板10で防爆を図るものであるため第2ハウジング6の外径が6?8mm程度と小型化できる、ガスセンサー。」 の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 3 甲3の記載事項 (1)甲3には、以下の記載がある。 (甲3-1)「【0025】 (実施形態1) 先ず、図1に示す実施形態の例から述べる。円盤状のベース2には検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置してあり、このベース2には有底筒状の第1ハウジング5を被せて装着してあり、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装してある。この第1ハウジング5は金属板を有底筒状に成形して形成してある。 【0026】 上記有底筒状をした第1ハウジング5の底でない側の周縁部は外方に向けて折り曲げ曲げて(当審注:「折り曲げ曲げて」は「折り曲げて」の誤記と認める。)あって第1筒開口側縁部21となっている。 【0027】 第1ハウジング5の外周にはバネ20が第1ハウジング5を周回するように配置してあり、該バネ20の一端が第1筒開口側縁部21に溶接または接着してある。 【0028】 第2ハウジング6は樹脂等で有底筒状に形成してあり、第1ハウジング5の上に第2ハウジング6を被せるように装着してある。第2ハウジング6の底でない側の縁部である第2筒開口側縁部22に上記バネ20の他端が溶接または接着してある。 【0029】 第2ハウジング6と第1ハウジング5との間には中間室7が形成してある。第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造としての金属メッシュ板10を装着してある。 【0030】 第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してある。 【0031】 第2ハウジング6は、第1ハウジング5の外面に沿って、筒の軸方向に移動が可能であるが、第1ハウジング5と第2ハウジング6の接触面(以下、第1接触面23という)は、通気が無い程度の密着性を保持している。 【0032】 外力がかからない状態では、図1(b)に示すようにバネ20によって、第2ハウジング6の位置は、バネ20の強度により保持されているが、外力が第2ハウジング6に、例えば、図1(a)の矢印イに示すように鉛直方向に下側にかかれば第2ハウジング6は外力の方向(矢印イ方向)に移動し、外力が解消されると、図1(b)に示すようにバネ20の強度により保持される位置に戻るように構成してある。 【0033】 第2ハウジング6には第2通気孔9とは別に、点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を第2ハウジング6の外部と内部とを連通させるように設けてある。この点検ガス導入孔4の第2ハウジング6における位置は、第2ハウジング6に外力がかからず、バネ20の強度により保持される位置にある場合においては、図1(b)に示すように中間室7と面するが、第2ハウジング6に外力がかかり、第2ハウジング6が、バネ20が規定の位置まで縮小されている状態の位置にある場合においては、図1(a)に示すように第1ハウジング5の外面と面する位置となるように設定してある。 【0034】 このように、本実施形態においては、外力により第2ハウジング6の位置を変えることによって、点検ガス導入孔4のガスの流通が可能な状態とガスの流通を阻止する状態とを切替えることが可能な構造となっている。 【0035】 上記のような構成のガスセンサーAの点検を行う際には、図1(b)に示すように、第2ハウジング6に外力をかけず、点検ガス導入孔4が、中間室7に面する状態で、点検ガス導入孔4から点検ガスを中間室7内に注入する。中間室7に注入された点検ガスは、さらに第1通気孔8を通して第1ハウジング5内に入り、ガス検知素子1に接触し、ガス検知素子1が点検ガスに対する感度を持つことで点検ができる。 【0036】 ガスセンサーの点検が終わり、通常の使用状態とするときには、第2ハウジング6に外力をかけて図1(a)のように、点検ガス導入孔4が、第1ハウジングの外面と面する状態とする。 【0037】 仮にこの図1(a)の状態で、点検ガス導入孔4に点検ガスを注入しても、中間室7には点検ガスは入らず、第1ハウジング5内に入ることもなく、ガス検知素子1が点検ガスに対する感度を持つことはない。 【0038】 また、周囲空気が何らかの原因により運動エネルギーを得て移動した場合であっても、周囲空気が、点検ガス導入孔4を通して、中間室7に流入することは無いため、周囲空気にガス検知素子1が感度を持つ雑ガスが存在しても、ガス検知素子1が反応することはない。 【0039】 以上により、本実施形態においては、点検ガス導入孔4が、ガスの流通が可能な状態とガスの流通を阻止する状態とを切替可能な構造としたガスセンサーAを実現できる。」 (甲3-2)【図1】 「 」 (2)甲3に記載された技術事項 (甲3-1)及び(甲3-2)の記載から、甲3には、 「 円盤状のベース2に検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置し、このベース2に金属板を有底筒状に成形して形成してある第1ハウジング5を被せて装着して、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装し、 第1ハウジング5の上に樹脂等で有底筒状に形成してある第2ハウジング6を被せるように装着して、第2ハウジング6と第1ハウジング5との間には中間室7が形成してあり、 第1ハウジング5の底でない側の周縁部は外方に向けて折り曲げてあって第1筒開口側縁部21となっており、 第1ハウジング5の外周にはバネ20が第1ハウジング5を周回するように配置してあり、該バネ20の一端が第1筒開口側縁部21に溶接または接着してあり、 第2ハウジング6の底でない側の縁部である第2筒開口側縁部22に上記バネ20の他端が溶接または接着してあり、 第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造としての金属メッシュ板10を装着してあり、 第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してあり、 第2ハウジング6は、第1ハウジング5の外面に沿って、筒の軸方向に移動が可能であるが、第1ハウジング5と第2ハウジング6の接触面は、通気がない程度の密着性を保持しており、 第2ハウジング6には第2通気孔9とは別に、点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を第2ハウジング6の外部と内部とを連通させるように設けてあり、この点検ガス導入孔4の第2ハウジング6における位置は、第2ハウジング6に外力がかからず、バネ20の強度により保持される位置にある場合においては、中間室7と面するが、第2ハウジング6に外力がかかり、第2ハウジング6が、バネ20が規定の位置まで縮小されている状態の位置にある場合においては、第1ハウジング5の外面と面する位置となるように設定してあり、 外力により第2ハウジング6の位置を変えることによって、点検ガス導入孔4のガスの流通が可能な状態とガスの流通を阻止する状態とを切替えることが可能な構造となっている、ガスセンサー。」 の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 4 甲4の記載事項 (1)甲4には以下の記載がある。 (甲4-1)「【0023】図1に示すように、ガスセンサ1は、半導体式ガスセンサ1Aで構成され、基板4上にガス検知部5を備える半導体式検知素子3を囲うハウジング2の側面に支持された金網9が、前記ガス検知部5の上方に配置され、同じく側面に、前記金網9とは別にガスフィルタ8がガス導入部7内に保持されている。前記半導体式検知素子3は、例えば図2に示すように、基板4の上面に前記ガス検知部5が形成され、その基板4には、前記ガス検知部5の下側にヒータ6を付設してある。」 (甲4-2)「【0027】〔別実施形態〕上記実施の形態においては、金網9とガスフィルタ8とを、支持体10を形成する同一のハウジング2に支持させた例を図1に示して説明したが、例えば図3に示すように、前記ハウジング2を二重構成として、前記金網9は金属製の第一支持体11で支持し、前記ガスフィルタ8を、前記第一支持体11とは別体で、熱伝導が起こりにくい非熱良導体である樹脂製の第二支持体12により支持し、前記金網9との間を熱的に絶縁してもよい。これは、上記実施の形態に示した構成よりも望ましい構成で、前記ガスフィルタ8が、熱伝導による支持体10を熱伝達経路とする熱伝達によって加熱されることを抑制し、さらにガスセンサを小型化することが可能となる。」 (甲4-3)「【0029】図1に示したように、ガス検知部5とガスフィルタ8の下面との間に、金網9を設け、この金網9と、ガスフィルタ8の下面との間には空隙Gを設けた。ガスフィルタとしては、厚さ5.5mmの活性炭フィルタを用いた。本実施例では活性炭を用いたが、ゼオライトやシリカゲル等のをガスフィルタとして用いた場合にも適用可能である。本実施例では、金網は、防爆キャップを兼ねており、センサキャップ全体が一体もの(金属製)である。」 (甲4-4)「【0034】[第二実施例]本実施例では、さらなるコンパクト化を図るため、活性炭フィルタキャップと金網との間との空隙を、樹脂により支持することにより設けた素子について調べた。その概略構成を図3に示す。つまり、支持体10を第一支持体11と第二支持部とで構成し、半導体式検知素子3を囲う第一支持体11を熱良導体である金属で形成して、これに金網9を支持させ、その第一支持体11に被せて熱非良導体である樹脂製の第二支持体12を設け、その第二支持体12にガスフィルタ8を支持させた。樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を使用したが、ポリカーボネートのほか、汎用のプラスチックを使用できる。ここでも、ガス検知部5と金網9との間の距離は4mmと一定にし、この金網9と、ガスフィルタ8の下面との間の距離、即ち空隙Gの厚さを異ならせた場合について、感ガス層5aの抵抗値の時間的変化を調べ、1?2分で抵抗値の安定化が得られる距離Lについて検討した。ここでも、前記ガス検知部5の基底部からの距離は4.0mmとした。」 (甲4-5)【図3】 「 」 (2)甲4に記載された技術事項 (甲4-1)ないし(甲4-5)の記載から、甲4には、 「 基板4上にガス検知部5を備える半導体式検知素子3を囲うハウジング2を有し、金網9とガスフィルタ8とを、支持体10を形成するハウジング2に支持させたガスセンサにおいて、 ハウジング2を二重構成として、支持体10を第一支持体11と第二支持部とで構成し、半導体式検知素子3を囲う第一支持体11を熱良導体である金属で形成して、これに金網9を支持させ、その第一支持体11に被せて熱非良導体である樹脂製の第二支持体12を設け、その第二支持体12にガスフィルタ8を支持させることにより、 ガスフィルタ8が、熱伝導による支持体10を熱伝達経路とする熱伝達によって加熱されることを抑制し、小型化することを可能とした、ガスセンサ。」 の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 5 甲5の記載事項 (1)甲5には以下の記載がある。 (甲5-1)「[0021] (第1の実施形態) 本発明に係る第1の実施形態について添付図面を参照して説明する。尚、以下の説明では特に断りがない限り、図1に示す向きにおいて上下左右の方向を規定する。 [0022] 図1は本実施形態の水素ガスセンサ1の構造を模式的に示した図、図2は外観斜視図、図3は断面図であり、この水素ガスセンサ1は発熱抵抗体2とステム 3a,3bとべース4と保護キャップ5とを備える。 [0023] 発熱抵抗体2は、従来のガスセンサにおける燃焼体21と発熱抵抗体22の両方の機能を備えており、表面の組成をパラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、コバルトの内の少なくとも1種と白金との合金とした白金線をコイル状に卷回して形成されており、その両端がステム3a,3bに電気的且つ機械的に接続されている。本実施形態では発熱抵抗体2として例えば線径が約20μmのものを用い、コイル径を約210μm、線間を約20μmとして10ターン卷回しており、コイルの全長を 360?400μmとしている。なお本実施形態では発熱抵抗体2として白金線を用いているが、白金系の抵抗線であれば純白金以外の材料を用いても良く、例えばジルコニア安定化白金などでも良い。なお本実施形態では白金系の抵抗線の表面を、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、コバルトの内の少なくとも1種と合金化して発熱抵抗体2を形成しているが、最初から合金化された白金系抵抗性を使用しても良い。 [0024] ベース4は合成樹脂により円盤状に形成され、3本のステム3a,3b,3cはベース4を上下方向に貫通するようにベース4にインサート成形されている。3本のステム3a?3cの内、中央のステム3cは他の2本のステム3a,3bに比べて上面からの突出量が 短くなつており、両端にある 2本のステム3a,3bにおいてベース4の上面から突出する部位に発熱抵抗体2の両端部2a,2bが溶接などの方法で固着されている。なお中央のステム3cは、後述の実施形態2で説明するように発熱抵抗体2と補償抵抗8の両方共に取り付ける場合に使用するものであり、発熱抵抗体2だけの場合にはステム3cは使用しない。 [0025] 保護キャップ5は下面側の端部が開口した略円筒状であって、開口部から発熱抵抗体2を内部に納めるようにしてベース4が圧入固定されている。保護キャップ5の天井面には丸孔状の通気孔6が中央に貫設され、通気孔6には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網7が装着されている。なお保護キャップ5は金属製のものでも、樹脂製のものでも良い。」 (甲5-2)「[0038] (第2の実施形態) 本発明に係る第2の実施形態について図6を参照して説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明したガスセンサ1において、発熱抵抗体2と同一の材料から形成され、水素ガスに対する活性を無くした補償抵抗8を備えている。尚、補償抵抗8以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。 ・・・ [0041] ベース4は合成樹脂により円盤状に形成され、3本のステム3a,3b,3cがベース4を上下方向に貫通するようにインサート成形されている。3本のステム3a,3b,3cは同一平面内に一列に並ぶように設けられ、中央のステム3cは他の2本のステム3a,3bに比べて上面からの突出量が短くなつている。そして、左側の2本のステム3a,3cには、ベース4の上面から突出する部位に発熱抵抗体2の両端部が溶接などの方法で固着され、右側の2本のステム3b,3cには、ベース4の上面から突出する部位に補償抵抗8の両端部が溶接などの方法で固着されている。ここで、3本のステム3a?3c は同一平面内に並んでいるので、ステム3a?3cに発熱抵抗体2および補償抵抗 8をレーザ溶接する場合は溶接作業を一度に行うことができ、作業性が向上するという利点がある。」 (甲5-3)「[0044] (第3の実施形態) 本発明に係る第3の実施形態について図7および図8を参照して説明する。本実施形態では、第2の実施形態で説明したガスセンサ1において、保護キャップ5の上側にフィルタ12を保持したフィルタキャップ9を被せてある。尚、フィルタキャップ9やフィルタ12以外の構成は第2の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。 [0045] フィルタキャップ9は合成樹脂製であって、上面側の端部が閉塞された略円筒状に形成されている。フィルタキャップ9の上面には丸孔状の通気孔10が貫設されており、この通気孔10には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網11が装着されている。またフィルタキャップ9の筒内には、通気孔10を通って内部に侵入するガス中の被毒物質を吸着するフィルタ12が装着されている。このフィルタ12は、活性炭、シリカゲル、又はゼオライトのような吸着性多孔質体、或いは、有機または無機の多孔質体に化学物質捕捉性液体成分を含浸させた吸着剤からなり、ガス中の被毒物質(例えばシリコンなど)を吸着する機能を有している。なお上記の化学物質捕捉液体成分としては、例えば酸化性ガスを取り除くために担持されるKOHやアンモニア、アミン等を取り除くために担持される燐酸等があり、特定の被毒物質を吸着するために適宜の成分の液体を有機無機多孔質体に含浸させて使用すれば良い。 [0046] ここにベース4と保護キャップ5とフィルタキャップ9とで、発熱抵抗体2および補償抵抗8を内部に収納するケースが構成され、ケース(フィルタキャップ9)に設けた通気孔10と発熱抵抗体2および補償抵抗8との間のガス流路に被毒物質を吸着するフィルタ12を設けているので、通気孔10を通って内部に侵入するガス中の被毒物質を吸着でき、被毒物質による発熱抵抗体2および補償抵抗8の被毒が抑制されて、感度の劣化を低減できる。」 (甲5-4)[図7] 「 」 (甲5-5)[図8] 「 」 (2)甲5に記載された技術事項 (甲5-1)ないし(甲5-5)の記載から、甲5には、 「 3本のステム3a,3b,3cが合成樹脂により円盤状に形成されたベース4を上下方向に貫通するようにインサート成形されており、 左側の2本のステム3a,3cには、ベース4の上面から突出する部位に白金線を用いた発熱抵抗体2の両端部が溶接などの方法で固着され、右側の2本のステム3b,3cには、ベース4の上面から突出する部位に、発熱抵抗体2と同一の材料から形成され水素ガスに対する活性を無くした補償抵抗8の両端部が溶接などの方法で固着されており、 保護キャップ5は下面側の端部が開口した金属製又は樹脂製の略円筒状であり、天井面には丸孔状の通気孔6が中央に貫設され、通気孔6には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網7が装着されており、開口部から発熱抵抗体2を内部に納めるようにしてベース4が圧入固定されている、水素ガスセンサにおいて、 上面側の端部が閉塞された略円筒状に形成され、上面には丸孔状の通気孔10が貫設されており、この通気孔10には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網11が装着されており、筒内には、通気孔10を通って内部に侵入するガス中の被毒物質を吸着するフィルタ12が装着されている合成樹脂製のフィルタキャップ9を、保護キャップ5の上側に被せてあり、 ベース4と保護キャップ5とフィルタキャップ9とで、発熱抵抗体2及び補償抵抗8を内部に収納するケースが構成されている、水素ガスセンサ。」 の技術事項(以下「甲5技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 6 甲6の記載事項 (1)甲6には以下の記載がある。 (甲6-1)「【0008】 【発明の実施の形態】まず、本発明のガスセンサにより説明する。図1(a)は本発明のガスセンサの一部破断せる斜視図であり、センサ筐体1は略直径が23mmの合成樹脂製の有底筒体からなり、底部にセンサ部2を配設し、開口部1a近傍内にフィルター3を配置し、開口部1aにステンレス製のキャップ4を被着してある。 【0009】センサ部2はセンサ筐体1の底部を兼ねたセンサーベース5と、このセンサーベース5を貫通してセンサ筐体1内外に突出せる4本の電極ピン6と、これらの電極ピン6に電極線を接続固定して支持された金属酸化物半導体からなる感ガス体7と、この感ガス体7を囲む金属製カバー8とで構成され、センサ筐体1の開口部1aから感ガス体7に至るまでの空間でガス流路を構成するために金属製カバー8の一端は開口している。 【0010】フィルター3は、ウレタン樹脂に活性炭を混入させて発泡成形して形成されたシート状の多孔性樹脂体を、センサ筐体1の開口部1a近傍内周に形成せる広径部9と略同径に打抜いて円盤状となったもので、その厚さ寸法を広径部9の高さ寸法より大きくしてある。このフィルター3をセンサ筐体1内に配置するに当たって、まずフィルター3をセンサ筐体1の開口部1aより広径部9に落とし込み、次にフィルター3を圧縮しながらキャップ4をセンサ筐体1の開口部に被せてセンサ筐体1に固定するのである。このときフィルター3はセンサ筐体1内の広径部9と狭径部10との境界となる段部により構成される支承部11とキャップ4との間で挟持されて、上記ガス流路に介在することになる。 【0011】キャップ4は3個の孔4aを開口するとともに裏面側にメッシュ体4bを貼り付けたもので、孔4aとメッシュ体4bの網目を介してセンサ筐体1外からセンサ筐体1内のガス流路に導入するになっている。感ガス体7は、検知対象ガスによって組成が異なるものであって、本発明ガスセンサでは一酸化炭素又は水素を検知対象とし、SnO_(2)を基材として用いるとともに、SnO_(2)1g当たり、貴金属触媒を例えばPd或いはPtを混合焼成した金属酸化物半導体からなり、図1(b)に示すように埋設した加熱用ヒータ12a,12aの両端を対となる電極ピン6,6間に接続してある。」 (甲6-2)「【0016】図4は合成樹脂成形品からなる約8mmのセンサ筐体1を用いた小型のガスセンサを構成する実施形態を示しており、この実施形態では、センサ筐体1の底部に収納せる金属製カバー13内に金属酸化物半導体からなる感ガス体を収納したセンサ部2を配置するとともに金属製カバー13の開口よりセンサ筐体1の開口との間にフィルター3を圧縮収納し、フイィルター3(当審注:「フイィルター3」は「フィルター3」の誤記と認める。)をセンサ筐体1の開口から金属製カバー13の開口内の底部付近の感ガス体に至るガス流路内に介在させている。」 (甲6-3)【図1】 「 」 (甲6-4)【図4】 「 」 (2)甲6に記載された技術事項 (甲6-1)ないし(甲6-4)の記載から、甲6には、 「 合成樹脂成形品からなるセンサ筐体1の底部に収納せる金属製カバー13内に金属酸化物半導体からなる感ガス体を収納したセンサ部2を配置するとともに、金属製カバー13の開口とセンサ筐体1の開口との間に、ウレタン樹脂に活性炭を混入させて発泡成形して形成された多孔性樹脂体からなるフィルター3を圧縮収納した、ガスセンサ。」 の技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 7 甲7の記載事項 (1)甲7には、以下の記載がある。 (甲7-1)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、防水型ガスセンサに関するものである。」 (甲7-2)「【0008】図1?図3は本実施形態の構造を示すものであり、図示するように合成樹脂製のキャップ1は円筒状に形成されたもので、一端開口部には内向き突片2を一体形成して、この内向き突片2で囲繞される開口をガス流入口3としている。 【0009】ガス流入口3は透気性防水膜4(例えば、延伸多孔質ポリテトラフロロエチレン<ゴアテックス(ジャパンゴアテックス株式会社の商品名)>)により塞がれている。この透気性防水膜4は周辺部を全周に亘って、上記内向き突片2の内側面(下面)に接着して固定されている。 【0010】キャップ1内に収納させるセンサ本体5は、リードフレームから形成された3本の端子6a?6cをインサート成形により貫設した樹脂製ベース9と、該ベース9の上方に突出した上記端子6a?6cの一端(上端)部にワイヤー7a?7cにより接続されて保持された感ガス体8と、感ガス体8を覆うようにベース9の上面側に被着された金属製カバー10とで構成される。 【0011】金属製カバー10は天井部中央に開口窓10aを開口したもので、下側の開口部にベース9を嵌合して開口部下端をベース9の周部の下端に形成した突部11上に載置することでベース9に保持されるようになっている。また開口窓10(当審注:「開口窓10」は「開口窓10a」の誤記と認める。)は開口窓10(当審注:「開口窓10」は「開口窓10a」の誤記と認める。)の周囲の天井部内面に周辺部を接着固定した網体12により塞がれている。 【0012】而してセンサ本体5をキャップ1内に収納するに当たっては、円盤状のシリカフィルター13とこのシリカフィルター13の外径より内径がやや小さく、外径がほぼキャップ1の内径と等しいゴム製の弾性環状リング(Oリング)14とを、弾性環状リング14をシリカフィルター13の周部に嵌着した状態でキャップ1内に先に収納し、この収納後に、センサ本体5をキャップ1内に収納するのである。」 (甲7-3)【図1】 「 」 (2)甲7に記載された技術事項 (甲7-1)ないし(甲7-3)の記載から、甲7には、 「 センサ本体5は、リードフレームから形成された3本の端子6a?6cをインサート成形により貫設した樹脂製ベース9と、該ベース9の上方に突出した端子6a?6cの一端(上端)部にワイヤー7a?7cにより接続されて保持された感ガス体8と、感ガス体8を覆うようにベース9の上面側に被着された金属製カバー10とで構成され、 金属製カバー10は天井部中央に開口窓10aを開口したもので、開口窓10aは開口窓10aの周囲の天井部内面に周辺部を接着固定した網体12により塞がれており、 合成樹脂製のキャップ1は円筒状に形成されたもので、一端開口部には内向き突片2を一体形成して、この内向き突片2で囲繞される開口をガス流入口3としていて、ガス流入口3は透気性防水膜4により塞がれており、 円盤状のシリカフィルター13とこのシリカフィルター13の外径より内径がやや小さく、外径がほぼキャップ1の内径と等しいゴム製の弾性環状リング(Oリング)14とを、弾性環状リング14をシリカフィルター13の周部に嵌着した状態でキャップ1内に先に収納し、この収納後に、センサ本体5をキャップ1内に収納した、防水型ガスセンサ。」 の技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 8 甲8の記載事項 (1)甲8には以下の記載がある。 (甲8-1)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、CuOを主成分とするガスセンサを厚膜構造として、一般ガス器具に使用できる実用的なセンサ構造を開発するために、多数のサンプルを体系的にかつ繰り返し試験した。その試験の過程でアルカリ金属化合物を添加したCuOは、CO選択性の良好となるいくつかの製作条件で得られた。そのうち先願記載のセンサの例では、COの選択性は良好であるが、その検出感度がしばしば不安定になる現象に気づいた。そしてさらにその現象をくわしく追求した結果、前記のアルカリ金属化合物を添加したCuOをガスセンサ素子として利用すると、COに対する感度が被検出気体中に共存するNO,NO_(2) ,SO_(2) ガスに依存することがわかった。 【0004】本発明は、このような背景に行われたものであって、NO,NO_(2) ,SO_(2) ガスの共存下であっても、COガスを選択的にかつ安定に検出することができる一酸化炭素ガスセンサを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明のガスセンサは、酸化銅を主成分とするp型金属酸化物半導体を検出素子とするガスセンサにおいて、その検出素子に被検出気体を導入する通路に、NO,NO_(2) ,SO_(2)を吸収し一酸化炭素を通過させるフィルタを配置したことを特徴とする。 【0006】このようなフィルタを配置することにより、検出素子に接触するNO,NO_(2),SO_(2) などが少なくなり、その影響を低減することができる。 【0007】このフィルタとしては活性炭を含むものが適している。またアルカリ(水溶液としたときアルカリ性を示す物質)を含むものが適している。このフィルタは活性炭およびアルカリの層構造とすることができる。前記アルカリはアルカリ金属炭酸塩水溶液を含み、そのアルカリ金属炭酸塩水溶液はフィルタ母材に含浸する形態とすることができる。」 (甲8-2)「【0010】本発明実施例の構造は、この検出素子1の表面をフィルタハウジング12で覆う。このフィルタハウジングはその頂点に開口13が設けられ、この開口13から被検出気体が導入される。この開口13と検出素子1との間には、二層構造のフィルタ7、および8が設けられる。フィルタ8は活性炭粉末で構成され、フィルタ7はアルカリ金属炭酸塩水溶液をフィルタ母材に含浸させ水分を乾燥させてとばして形成され、上下に層構造をなすように配置される。 【0011】(作用)被検出気体は開口13から二層構造のフィルタ7、8を拡散により透過して検出素子1の表面に到達する。このとき、NO,NO_(2) ,SO_(2) は活性炭に吸着され、あるいはアルカリ金属炭酸塩と検出気体中に含まれる水分とともに反応して、検出素子1の表面に到達する量が低減される。これに対して一酸化炭素は、活性炭に吸着される量はわずかであり、アルカリ金属炭酸塩などに反応しない。したがって検出素子1のこれらNO,NO_(2) ,SO_(2)などの影響が低減され一酸化炭素に対する検出感度が安定するとともに、一酸化炭素を選択的に検出することができる。」 (甲8-3)「【0018】(実施例試験結果の第一)実施例一酸化炭素センサは、酸化銅にナトリウム化合物をナトリウム換算で1.6重量%添加したペーストを印刷して、最高焼成温度700°Cで焼成した検出素子を図2ないし図4の構造に形成し、これを図1に示すようなフィルタ・ハウジングを設けた構造のものである。アルカリ・フィルタは炭酸カリウムの10重量%水溶液をガラスフィルタに含浸させ、80°Cで乾燥させて製作した。活性炭フィルタは市販されている活性炭フィルタ(ADVANTEC製、CP-20)を用いたサンプル(センサ1と表記)および活性炭粉末により製作したサンプル(センサ2と表記)およびフィルタを設けなかったサンプル(センサ5と表記)を用意した。」 (甲8-4)「【0025】 【第2の実施例】図10は本発明第2の実施例構造図である。(a)は平面図、(b)はCC断面図である。 【0026】本実施例は、第1の実施例に対して、フィルタ9を追加し、フィルタを三層構造としてある。フィルタ7および9は、アルカリを含んでいる。アルカリの種類は、フィルタ7、9とも同じ場合とそれぞれ異なる場合について試験した。フィルタ8は活性炭である。市販の活性炭フィルタを用いても良いし、活性炭粉末を利用しても良い。その他の部分は、第1の実施例と同じである。検出素子1は、第1の実施例試験結果の第一で用いた素子と同じ仕様の物を用いた。」 (甲8-5)【図1】 「 」 (甲8-6)【図10】 「 」 (2)甲8に記載された技術事項 (甲8-1)ないし(甲8-6)の記載から、甲8には、 「 一酸化炭素ガスセンサにおける、NO,NO_(2),SO_(2)を吸収し一酸化炭素を通過させるフィルタであって、 アルカリ金属炭酸塩水溶液をフィルタ母材に含浸させ水分を乾燥させてとばして形成されたフィルタ7と、活性炭粉末で構成されたフィルタ8を、上下に層構造をなすように配置した二層構造のフィルタ、又は、アルカリを含んでいるフィルタ9を追加して三層構造としたフィルタであり、 NO,NO_(2),SO_(2) を活性炭で吸着、あるいはアルカリ金属炭酸塩と検出気体中に含まれる水分とともに反応させる、フィルタ。」 の技術事項(以下「甲8技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 9 甲9の記載事項 (1)甲9には以下の記載がある。 (甲9-1)第2頁左上欄11行?右上欄9行 「 したがって、ガス検知素子の感度の経時的変化を防止するには検知対象となる気体のみを選択的に通過させ、不要な気体に対して感応しないようにする選択フィルタで素子本体のガス検知面を覆うことが考えられる。選択フィルタとしては、不要な気体を吸着除去する吸着型フィルタと、不要な気体を触媒によって燃焼させる燃焼型フィルタとが知られており、吸着型フィルタとしてはゼオライト、硅藻土、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭等が用いられ、また燃焼型フィルタとしては白金、バラジューム、ロジュームのような燃焼触媒が担持されたものがある。しかしなから、ガス検知素子に経時的変化をもたらす原因については、今までに明らかにされていないものであったから、こうした選択フィルタを一時的に発生するアルコールや煙を除去するようには設定できるものの、経時的な感度の変化に対してその原因となる成分を除去するようには設定できず、経時的変化を免れないものであった。」 (甲9-2)第2頁右上欄下から5行?左下欄下から3行 「[発明の開示] 本発明においては、選択フィルタとして硫化物を除去する選択フィルタを用いて検知面を覆うことにより、経時変化を少なくしたガス検知素子が開示される。 まず、従来不明であった経時変化の原因を把握することが必要であるから、本発明者等は地下食堂街におけるガス成分の分析を行なうとともに、各ガスが素子本体に対して経時変化を引き起こすかどうかについて実験を行なった。その結果、経時変化の第1位の原因がSO_(2)であり、第2位の原因が(CH_(3))_(2)Sであるという知見が得られた。 したがって、これらのガスを除去するように選択フィルタを構成すればよいと考え、特定のガスに対して選択的に吸着性を有するように活性炭に化学処理を施したものを選択フィルタとして用いることにした。この要求を満たす活性炭としては武田薬品工業社製の粒状白鷺Gxと粒状白鷺GS_(2)xを用いた。前者は中性ガス用であってSO_(2)の吸着力に優れ、後者は両性ガス用であって(CH_(3))_(2)Sの吸着力に優れているものである。これらの活性炭を粉砕し、100?300メツシユ程度の粒度として選択フィルタを構成した。」 (甲9-3)第2頁右下欄下から6行?第3頁左上欄6行 「(実施例1) 上述のSO_(2)を除去する活性炭1と、(CH_(3))_(2)Sを除去する活性炭2とを第1図に示すように、ペーパフィルタ3を介在させた形で一対のガラスフィルタ4、5間に挟持して選択フィルタ6を構成した。各活性炭1、2は同量(例えば260mg)ずつ用いる。この選択フィルタ6をガラス管で形成した保持筒8の軸方向の一端部に装着し、他端部に素子本体7を固着した。選択フィルタ6は中性ガス用の活性炭2が素子本体7のガス検知面9側となるように取り付け、素子本体7のガス検知面9を覆った。」 (甲9-4)第1図 「 」 (2)甲9に記載された技術事項 (甲9-1)ないし(甲9-4)の記載から、甲9には、 「 ガス検知素子における、検知対象となる気体のみを選択的に通過させ、不要な気体に対して感応しないようにする選択フィルタ6であって、 SO_(2)の吸着力に優れSO_(2)を除去する活性炭1と、(CH_(3))_(2)Sの吸着力に優れ(CH_(3))_(2)Sを除去する活性炭2とを、ペーパフィルタ3を介在させた形で一対のガラスフィルタ4、5間に挟持して構成し、 中性ガス用の活性炭2が素子本体7のガス検知面9側となるように取り付ける、選択フィルタ6。」 の技術事項(以下「甲9技術事項A」という。)、及び、 「 ガス検知素子における、検知対象となる気体のみを選択的に通過させ、不要な気体に対して感応しないようにする選択フィルタであって、 不要な気体を触媒によって燃焼させる燃焼型フィルタであり、 白金、バラジューム、ロジュームのような燃焼触媒が担持された、燃焼型フィルタ。」 の技術事項(以下「甲9技術事項B」という。)が記載されているものと認められる。 10 甲10の記載事項 (1)甲10には以下の記載がある。 (甲10-1)第2頁左下欄下から3行?右下欄下から3行 「 ゼオライトは、最初のうちは孔径3?10ÅのミクロボアでSO_(2),H_(2)Sを吸着するが、その吸蔵量が少なく、短期間でミクロポアが飽和するため、しかる後はマクロポアを通してガス感応体にSO_(2),H_(2)Sが到達してしまう。シリカゲルも、SO_(2),H_(2)Sに対し物理吸着を行うが、平衡状態になつたところからは、もはやガスがフイルタを通過してガス感応体に到達してしまう。活性アルミナは、SO_(2)に対して不可逆な吸着を示すが、H_(2)Sに対しては、その能力が小さい。活性炭は、SO_(2),H_(2)Sの両者を吸着するが、SO_(2)に対してはその能力が弱い。 一方、SO_(2)またはH_(2)Sに対して高い吸着能力を有するものは種々知られている。その中で、H_(2)Sに対して高い吸着能力を有するものに活性酸化亜鉛がある。 そこで、発明者らは、活性酸化亜鉛と活性アルミナを併用し、フイルタとして用いると、SO_(2)およびH_(2)Sの両者を除去できるため、ガス感応体の特性を安定に保持できると考えて、この発明を完成させた。」 (甲10-2)第3頁右上欄5行?左下欄下から6行 「(実施例1) 第1図にみるようなフイルタ付ガス検知素子を作製した。 図にみるように、4本の電極ピン1を備えた基体2に、ガス感応体3,コイル状ヒータ4および防爆用ネツト5がそれぞれ配置されている。電極ピン1はニツケルからなり、基体2はアルミナからなる。ガス感応体3の2本の電極は4本の電極ピン1のうちの2本に接続されている。コイル状ヒータ4はガス感応体3を囲むように配置され、その両端が残りの2本の電極ピン1に接続されている。防爆用ネツト5は、ガス感応体3およびコイル状ヒータ4を覆つている。基体2には、パイプ状のパイレツクスガラス6の一端が接着されている。パイレツクスガラス6の他端開口部6aは、フイルタ7によつて塞がれており、ガスがフイルタ7を通ることなしにガス感応体3に達することができないようになっている。フイルタ7は、ガラスフイルタ層8,活性アルミナのフイルタ層9,活性酸化亜鉛のフイルタ層10を備えている。これらのフイルタ層は、内側からガラスフイルタ層8,活性アルミナのフイルタ層9,ガラスフイルタ層8,活性酸化亜鉛のフイルタ層10,ガラスフイルタ層8の順に積層されている。 活性アルミナのフイルタ層9は、住友アルミニウム精練(株)製の活性アルミナを粉砕,整粒して得た活性アルミナの粉末で形成した。活性酸化亜鉛のフイルタ層10は、日産ガードラ(株)製の活性酸化亜鉛を粉砕,整粒して得た活性アルミナの粉末で形成した。それぞれの粉末はともに0.1gずつ使用した。」 (甲10-3)第1図 「 」 (2)甲10に記載された技術事項 (甲10-1)ないし(甲10-3)の記載から、甲10には、 「 フィルタ付ガス検知素子のフィルタ7であって、 H_(2)Sに対して高い吸着能力を有する活性酸化亜鉛と、SO_(2)に対して不可逆な吸着を示す活性アルミナを併用したフィルタ7であり、 ガラスフィルタ層8,活性アルミナのフィルタ層9,活性酸化亜鉛のフィルタ層10を備え、これらのフィルタ層は、内側からガラスフィルタ層8,活性アルミナのフィルタ層9,ガラスフィルタ層8,活性酸化亜鉛のフィルタ層10,ガラスフィルタ層8の順に積層されており、 SO_(2)及びH_(2)Sの両者を除去できる、フィルタ7。」 の技術事項(以下「甲10技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 11 甲11の記載事項 (1)甲11には以下の記載がある。 (甲11-1)第2頁右上欄8?16行 「 前記のように、活性アルミナはSO_(2)に対する除去能力が高い。また、活性炭はH_(2)Sを除去する能力が高い。活性炭はH_(2)Sを吸着除去すると考えられる。したがつて、活性アルミナと活性炭をフイルタ材として併用したフイルタをガス検知素子に設けるようにすると、SO_(2)およびH_(2)Sが共存するような過酷な雰囲気にあつても、SO_(2)やH_(2)Sはフイルタにより除去されるので、ガス検知素子の特性が安定するのである。」 (甲11-2)第2頁右下欄末行?第3頁左下欄3行 「 第2図および第3図は、それぞれ、この発明にかかるフイルタ付ガス検知素子の別の実施例をあられす。両フイルタ付ガス検知素子はいずれも、ガス検知素子8を備えている。このガス検知素子8は、形は多少異なるが第1図のガス検知素子1と同じ構造をしている。図中、16は基体,17は電極ビン,11は防爆用ネツトであつて、防爆用ネット11内にはガス感応体およびコイル状ヒータが配置されている。第2図のフイルタ付ガス検知素子ではフイルタ9が、第3図のフイルタ付ガス検知素子ではフイルタ10が、それぞれ、ガス検知素子8に設けられている。フイルタ9,10は、いずれも被検ガスが通過しうるよう全体的に多孔質となつたキヤツプ形体であつて、フイルタ9では外側に活性炭層12、内側に活性アルミナ層13がそれぞれ設けられ、フイルタ10では外側に活性アルミナ層14、内側に活性炭層15がそれぞれ設けられて、いずれも、2重構造となつている。フイルタ9,10は、たとえば、活性アルミナからなる多孔質キヤツプ形体および活性炭からなる多孔質キヤツプ形体を大きさを変えるようにして別々につくり、両者を重ねて一体化することによりつくることができる。活性アルミナあるいは活性炭を用いてキヤツプ形体をつくる場合は必要に応じてバインダを用いる。また、活性アルミナを用いてつくつた多孔質キヤツプ形体の内面あるいは外面に、活性炭が固定(担持)された多孔質ウレタン樹脂シートを固定して、両者を一体化することによりつくることもできる。フイルタ9,10は、いずれも、逆さにされて基体16に被せられている。フイルタ9,10と基体16とは必要に応じて接着剤により接着される等して互いに固定される。 これらのフイルタ付ガス検知素子においても、被検ガス中のSO_(2)やH_(2)Sはフイルタにより除去されるので、SO_(2)やH_(2)Sはガス感応体に達しない。そのため、SO_(2)およびH_(2)Sが共存するような過酷な雰囲気にあつても特性が安定する。 ここで説明したフイルタ付ガス検知素子のフイルタのように、活性アルミナ層と活性炭層を設ける場合は、活性炭層を内側にするのが好ましい。逆にしたときよりも、ガス検知素子の特性が長期間安定するからである。」 (甲11-3)第2図 「 」 (甲11-4)第3図 「 」 (2)甲11に記載された技術事項 (甲11-1)ないし(甲11-4)の記載から、甲11には、 「 フィルタ付ガス検知素子のフィルタであって、 SO_(2)に対する除去能力が高い活性アルミナとH_(2)Sを除去する能力が高い活性炭をフィルタ材として併用したフィルタであり、 被検ガスが通過しうるよう全体的に多孔質となつたキヤツプ形体であつて、外側に活性炭層12、内側に活性アルミナ層13がそれぞれ設けられて2重構造となつているフィルタ9、又は、外側に活性アルミナ層14、内側に活性炭層15がそれぞれ設けられて2重構造となつているフィルタ10。」 の技術事項(以下「甲11技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 12 甲12の記載事項 (1)甲12には以下の記載がある。 (甲12-1)「【0026】 大気中に混入する可能性のある様々な有害ガス、干渉ガスを共存させてその影響を調べたところ、酸性ガスの影響が大きいことが明確になってきた。以下、説明の都合上、酸性ガスを除く有害ガス、干渉ガスをまとめて雑ガスといい、酸性ガスと区別して説明する。 【0027】 更に、この酸性ガスの中でも特にSO_(2)が低濃度でもセンサ特性を変化させ誤検出、劣化を引き起こすことが本発明者の研究により明らかになった。薄膜ガスセンサ10は、上記のように間欠駆動を行っているが、センサ温度を常時検出温度(?400℃)に加熱しておくことで共存SO_(2)によるセンサ特性の変化が無いという実験結果が知られている。換言すれば、間欠駆動では周期的にガス感応層152が室温になり室温状態時間が圧倒的に多く、またガス感応層152が高温になる時間は<1秒というものであって、間欠駆動のOFF状態による常温状態が長いため、共存SO_(2)により影響を受けて劣化する。」 (甲12-2)「【0080】 無機化合物フィルタ60は、検出空間212とほぼ同じ径を有する円板状の形状を有し、流入口211の下流に配置され、流入口211からの検出対象ガスを通過させてそのうちの酸性ガスを吸着する。酸性ガスは、具体的にはSO_(2)であり、無機化合物フィルタ60は、詳しくはSO_(2)と容易に反応する固体塩基性無機化合物を主成分とする。この固体塩基性無機化合物は、更に好ましくはCaO,MgO,ZnOの何れかによる酸化物である。無機化合物フィルタ60はその厚みを1mm?3mm程度として、応答速度を確保している。 【0081】 固体塩基性無機化合物は塩基性活性点を無数に有している。塩基とは広義に定義すれば、酸と反応して塩を作る物質といえる。塩基とはプロトンを受け取る物質であり電子対を与える物質である。 塩基性物質であるCao,MgO,ZnOの酸化物は酸性ガスであるSO_(2)と容易に反応し、それぞれ以下の反応式で硫酸塩を生成する(上記物質に吸着される)。 【0082】 CaO+SO_(2)+1/2O_(2)⇒CaSO_(4) MgO+SO_(2)+1/2O_(2)⇒MgSO_(4) ZnO+SO_(2)+1/2O_(2)⇒ZnSO_(4) 【0083】 無機化合物フィルタ60は、このような固体塩基性無機化合物を採用することで達成される。 【0084】 また、他の無機化合物フィルタ60として、詳しくはSO_(2)と容易に反応する固体塩基性無機炭酸塩を主成分とする炭酸塩フィルタを採用する。炭酸塩フィルタは、詳しくはK_(2)CO_(3),Na_(2)CO_(3),CaCO_(3),BaCO_(3),SrCO_(3)のいずれかによる炭酸塩である。 SO2の吸着をK2CO3の例で説明する。K_(2)CO_(3)はSO_(2)と以下の反応によりK_(2)SO_(4)を生成しSO_(2)を固定化する(反応からK_(2)CO_(3)はSO_(2)の吸着剤ではなく吸収剤といったほうが正確である)。 【0085】 K_(2)CO_(3)+SO_(2)+1/2O_(2)⇒K_(2)SO_(4)+CO_(2) 【0086】 同様にNa_(2)CO_(3),CaCO_(3),BaCO_(3),SrCO_(3)に対し、SO_(2)はそれぞれ以下の反応により吸着される。 【0087】 Na_(2)CO_(3)+SO_(2)+1/2O_(2)⇒NaSO_(4)+CO_(2) CaCO_(3)+SO_(2)+1/2O_(2)⇒CaSO_(4)+CO_(2) BaCO_(3)+SO_(2)+1/2O_(2)⇒BaSO_(4)+CO_(2) SrCO_(3)+SO_(2)+1/2O_(2)⇒SrSO_(4)+CO_(2) 【0088】 無機化合物フィルタ60は、このような炭酸塩を採用することでも達成される。」 (甲12-3)「【0090】 活性炭フィルタ30は、検出空間212とほぼ同じ径を有する円板状の形状を有し、無機化合物フィルタ60の下流に配置され、無機化合物フィルタ60からの検出対象ガスを通過させてさらに酸性ガスを吸着する。活性炭におけるSO2の吸着反応は以下と推定されており、生成したH_(2)SO_(4)を活性炭内の細孔に吸着するものである。 【0091】 SO_(2)+1/2O_(2)+H_(2)O⇒H_(2)SO_(4)」 (甲12-4)「【0116】 続いて他の形態の可燃性ガス検出装置について図を参照しつつ説明する。図3は他の形態の可燃性ガス検出装置の構成図である。この可燃性ガス検出装置3は、薄膜ガスセンサ10(図6参照)、ケース体20、中間層の活性炭フィルタ30、ワイヤ40、リード端子50、上下二層の無機化合物フィルタ60を備える。 先に図1を用いて説明した可燃性ガス検出装置1と比較すると、薄膜ガスセンサ10(図6参照)、ケース体20、ワイヤ40、リード端子50は同じであるが、上側の無機化合物フィルタ60が流入口側に配置され、この上側の無機化合物フィルタ60の下流に中間の活性炭フィルタ30が配置され、この中間の活性炭フィルタ30の下流に下側の無機化合物フィルタ60が順次配置されて本発明の一具体例のフィルタを構成している点が相違する。薄膜ガスセンサ10(図6参照)、ケース体20、ワイヤ40、リード端子50については構成・機能が先に説明した図1の可燃性ガス検出装置1と同じ構成・機能を有するものであり、同じ番号を付すとともに重複する説明を省略する。また、活性炭フィルタ30および無機化合物フィルタ60自体も構成・機能は先に説明した図1の可燃性ガス検出装置1と同じ構成・機能を有するものであり、これら構成・機能について重複する説明を省略する。 【0117】 このような可燃性ガス検出装置3を動作させると上側の無機化合物フィルタ60が酸性ガスを吸着し、中間の活性炭フィルタ30が雑ガスおよび酸性ガスを吸着し、さらに上側の無機化合物フィルタ60や活性炭フィルタ30で吸着できなかった酸性ガスを下側の無機化合物フィルタ60が吸着することになるため、特に酸性ガスが確実に吸着され、高い応答性を実現した可燃性ガス検出装置3とする。このような可燃性ガス検出装置3としても良い。 【0118】 続いて他の形態の可燃性ガス検出装置について図を参照しつつ説明する。図4は他の形態の可燃性ガス検出装置の構成図である。この可燃性ガス検出装置4は、薄膜ガスセンサ10(図6参照)、ケース体20、上下二層の活性炭フィルタ30、ワイヤ40、リード端子50、中間層の無機化合物フィルタ60を備える。 先に図1を用いて説明した可燃性ガス検出装置1と比較すると、薄膜ガスセンサ10(図6参照)、ケース体20、ワイヤ40、リード端子50は同じであるが、上側の活性炭フィルタ30が流入口側に配置され、中間の無機化合物フィルタ60が上側の活性炭フィルタ30の下流に配置され、下側の活性炭フィルタ30が中間の無機化合物フィルタ60の下流側に順次配置されて本発明の一具体例のフィルタを構成している点が相違する。薄膜ガスセンサ10(図6参照)、ケース体20、ワイヤ40、リード端子50については構成・機能が先に説明した図1の可燃性ガス検出装置1と同じ構成・機能を有するものであり、同じ番号を付すとともに重複する説明を省略する。また、活性炭フィルタ30および無機化合物フィルタ60自体も構成・機能は先に説明した図1の可燃性ガス検出装置1と同じ構成・機能を有するものであり、これら構成・機能について重複する説明を省略する。 【0119】 このような可燃性ガス検出装置4を動作させると上側の活性炭フィルタ30が雑ガスおよび酸性ガスを吸着し、上側の活性炭フィルタ30で吸着できなかった酸性ガスを中間の無機化合物フィルタ60が吸着し、さらに上側の活性炭フィルタ30で吸着できなかった雑ガスや酸性ガス、および、中間の無機化合物フィルタ60で吸着できなかった酸性ガスを下側の活性炭フィルタ30が吸着することになるため、特に酸性ガスが確実に吸着され、高い応答性を実現した可燃性ガス検出装置4とする。このような可燃性ガス検出装置4としても良い。」 (甲12-5)【図3】 「 」 (甲12-6)【図4】 「 」 (2)甲12に記載された技術事項 (甲12-1)ないし(甲12-3)の記載から、甲12には、 「 薄膜ガスセンサ10を備えた可燃性ガス検出装置3のフィルタであって、 上側の無機化合物フィルタ60が流入口側に配置され、この上側の無機化合物フィルタ60の下流に中間の活性炭フィルタ30が配置され、この中間の活性炭フィルタ30の下流に下側の無機化合物フィルタ60が順次配置されて構成されたフィルタ、 又は、上側の活性炭フィルタ30が流入口側に配置され、中間の無機化合物フィルタ60が上側の活性炭フィルタ30の下流に配置され、下側の活性炭フィルタ30が中間の無機化合物フィルタ60の下流側に順次配置されて構成されたフィルタであり、 無機化合物フィルタ60が酸性ガスを吸着し、活性炭フィルタ30が雑ガス及び酸性ガスを吸着する、フィルタ。」 の技術事項(以下「甲12技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 13 甲13の記載事項 (1)甲13には以下の記載がある。 (甲13-1)「【0008】 【作用】つまり、検出ガスを外部空間からガス検出素子へ導くガス誘導路に、前記外部空間から前記ガス検出素子を隔離するガスフィルタを設けたから、前記検出ガスは、前記ガスフィルタを通過して前記ガス検出素子に達する。このとき、前記ガスフィルタには、有機シリコーンガス吸着用のケイ酸成分粒子又はアルミノケイ酸成分粒子(以下、有機シリコーンガス吸着用粒子と称する)を保持させてあるから、前記検出ガス中に有機シリコーンガスが含まれていたとしても、前記検出ガスには、前記ガスフィルタに吸着されるなどの不都合をきたすことなく、前記有機シリコーンガスが、前記ガスフィルタに吸着されて、前記検出ガス中から除去され、前記有機シリコーンガスはガス検出素子に達しにくい。そのため、前記ガス検出素子にシリコーン成分が付着してガス検知特性を変化させてしまうという不都合を抑制することが出来る。また、前記ガスフィルタとしては、一対の通気性多孔質シート間にガス吸着用粒子を介在させてなるものであれば、前記有機シリコーンガス吸着用粒子を高密度に保持された状態に、かつ表面積の大きい状態に保持出来、しかも、検知ガスの通気性を高く維持できるので前記ガス吸着用粒子のガス吸着性能を高くできる。」 (甲13-2)「【0012】 【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図2に示すように、ガスセンサは、ガス検出素子Aを設け、検出ガスを外部空間Bからガス検出素子Aへ導くガス誘導路を設け、前記外部空間Bから前記ガス検出素子Aを隔離するガスフィルタCを、前記ガス誘導路を形成する通気口D1に設け、前記ガスフィルタCにシリカアルミナ微粒子2(13%アルミナ)を保持させてある。前記ガス検出素子Aは貴金属コイルに金属酸化物半導体を塗布焼結した、いわゆる熱線型半導体センサであり、円筒形状のハウジングDの内部に備えて構成してある。また、前記ハウシングDの頂部部位において、外部空間BとハウジングDの内部との間でガスが流通可能なガス誘導路を形成する通気口D1を設けててある。そして、このハウジングDに対して下部よりガス検出素子Aを備えたセンサ基台D2を挿入することによりガスセンサが組立てられる。ここで、ハウジングD自体は気密性の材料で構成されており、通気口D1には、全面に渡ってガスフィルタCと防爆用金網D3とを設けてあり、前記ガスフィルタCを介して外部空間Bと前記ハウジング内のガス検出素子Aの近傍とに渡ってガスが流通する。」 (甲13-3)「【0014】前記ガスフィルタCは、図1に示すように、一対のガラス繊維不織布1の間にシリカアルミナ微粒子(13%アルミナ)を分散介在させた状態で、前記ガラス繊維不織布1同士をシリカゾルバインダを用いて、振動を与えても前記シリカ・アルミナ微粒子が自由に流動しない程度に、約0.1g/cm^(2)の割合で含浸接着して形成してある。」 (甲13-4)【図2】 「 」 (2)甲13に記載された技術事項 (甲13-1)ないし(甲13-4)の記載から、甲13には、 「 ガスセンサのガスフィルタCであって、 一対のガラス繊維不織布1の間に有機シリコーンガス吸着用のシリカアルミナ微粒子(13%アルミナ)を分散介在させた状態で、前記ガラス繊維不織布1同士をシリカゾルバインダを用いて、振動を与えても前記シリカアルミナ微粒子が自由に流動しない程度に、約0.1g/cm^(2)の割合で含浸接着して形成したガスフィルタC。」 の技術事項(以下「甲13技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 14 甲14の記載事項 (1)甲14には以下の記載がある。 (甲14-1)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 この発明の課題は、有機溶媒等によるガスセンサの被毒を、簡単な構成により防止することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 この発明は、シリコン基板表面の絶縁膜にヒータを備えるガス検知部が設けられ、ガス検知部の周囲で絶縁膜の底部に空洞が設けられ、シリコン基板がハウジングに収容されているガスセンサにおいて、 前記ハウジングに有機溶媒の吸着剤と有機溶媒の酸化触媒とが、ハウジングの外側から内側へ吸着剤、酸化触媒の順に設けられ、被検出雰囲気を前記吸着剤と前記酸化触媒とを介してガス検知部へ導くようにされていることを特徴とする。 【0008】 好ましくは、吸着剤が活性炭で、酸化触媒が貴金属担持の活性炭である。 特に好ましくは、ガス検知部がSnO2膜とSnO2膜に接続されている電極とを備えている。 【0009】 活性炭-Pt、活性炭-Pd、活性炭-RuO2、カーボンブラック-Pt、Fe2O3-Au、LaCoO3-Pt、LaCrO3-Pt、MnO2-CuO-Pt等の酸化触媒は、室温でもエタノール酸化活性を有している。そこでこれらの酸化触媒をハウジングに設けることにより、エタノール等の有機溶媒を除去し、ガス検知部の被毒を防止できる。 酸化触媒の前段に吸着剤を設けることにより、吸着剤、酸化触媒、ガス検知部の順に被検出雰囲気が導入されるようにすると、吸着剤で処理できなかった少量の有機溶媒を酸化触媒で処理すればよいので、酸化触媒の負担が軽くなる。従ってPt等の貴金属担持の酸化触媒を効率的に利用できる。 特に活性炭と貴金属担持の活性炭とを組み合わせると、フィルタの基本材料を活性炭に統一できる。 またSnO2膜と電極とをヒータで加熱するガス検知部の場合、γアルミナ等にPt等を担持した触媒に比べ、SnO2が温和な酸化触媒であるため、エタノール等による被毒の影響が特に著しい。このため酸化触媒により被毒を防止する意義が大きい。」 (甲14-2)「【実施例】 【0014】 図1?図9に実施例とその特性を示す。図において、2はガスセンサで、MEMSタイプのセンサ本体4をベースに固着し、センサ本体4の図示しないパッドをピン13にリード線11により接続してある。そしてキャップ12とベース10で囲まれたスペースに、センサ本体4が配置されている。14は粒状、シート状等の活性炭から成る吸着剤、16は例えば粒状あるいはシート状の活性炭-Ptから成る酸化触媒、18は吸着剤14と酸化触媒16を固定するための不織布で、紙あるいは多孔質の合成樹脂フィルム等でも良く、吸着剤14と酸化触媒16とがシート状の場合は不織布18は不要である。19は図1での下側の不織布18を押さえる押さえリングである。ガスセンサ2の構造、形状、材料は、MEMSタイプのガスセンサで、外部からセンサ本体4へ至る通気路の外側に吸着剤14が、中間に酸化触媒16が、内側にセンサ本体4が置かれている点が重要で、他の点は任意である。 【0015】 吸着剤14はここでは粒状活性炭であるが、シリカゲル、ゼオライト、特にエタノール吸着能に優れたハイシリカゼオライト、等任意で、形状は粒状でもシート状でも良い。酸化触媒16はここでは粒状の活性炭-Ptであるが、シート状の活性炭にPtを担持しても、ゼオライト、シリカゲル等の吸着剤にPtを担持しても良く、また活性炭-Pd、活性炭-RuO2、カーボンブラック-Pt、Fe2O3-Au、LaCoO3-Pt、LaCrO3-Pt、MnO2-CuO-Pt,MnO2-Pt等の酸化触媒でも良く、室温でエタノール酸化活性を有する酸化触媒であればよい。室温でエタノール等の有機溶媒を酸化するため、酸化触媒16はPt,Au,Pd,Rh,RuO2等の貴金属を担体に担持した触媒が好ましい。吸着剤14を前段に配置することにより、酸化触媒の負担を軽減し、その必要量を少なくできる。また吸着剤14の材料を酸化触媒16の担体とすることにより、材料を統一できる。」 (甲14-3)「【0019】 吸着剤14はエタノール等の有機溶媒とシリコーン蒸気等の他の被毒ガスを吸着する。吸着剤14を通過するほど高濃度の被毒ガスが長時間存在することが考えられるのは、エタノール等の有機溶媒の場合である。有機溶媒が吸着剤14を通過すると、低濃度の有機溶媒が長時間、酸化触媒16へ到達する。酸化触媒16は有機溶媒を酸化し、センサ本体へ到達する有機溶媒の量を少なくする。低レベルへの加熱でセンサは例えば100℃に加熱される。エタノール等の有機溶媒は沸点が一般に100℃弱なので、有機溶媒は100℃でセンサ本体4から蒸発し、あるいは貴金属を担持したSnO2により酸化される。このため有機溶媒が、縮合等によりセンサ本体から脱離が困難な物質に変化することを、防止できる。」 (甲14-4)【図1】 「 」 (2)甲14に記載された技術事項 (甲14-1)ないし(甲14-4)の記載から、甲14には、 「 外部からセンサ本体4へ至る通気路の外側に吸着剤14が、中間に酸化触媒16が、内側にセンサ本体4が置かれているガスセンサ2であって、 吸着剤14は粒状活性炭であり、酸化触媒16はシート状の活性炭にPtを担持したものであり、 吸着剤14はエタノール等の有機溶媒とシリコーン蒸気等の他の被毒ガスを吸着し、酸化触媒16は有機溶媒を酸化し、センサ本体へ到達する有機溶媒の量を少なくする、ガスセンサ2。」 の技術事項(以下「甲14技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 15 甲15の記載事項 (1)甲15には以下の記載がある。 (甲15-1)「【0021】 【作用】本発明の複合ガスセンサは、ガス検知素子とフィルタとを組み合わせたガス検知部を構成し、さらにこれらガス検知部を複数個組み合わせて構成されるので、先ず、ガス検知素子とフィルタの個別の作用を説明し、次にガス検知部、複合ガスセンサの作用を説明する。 【0022】第1のガス検知素子 (以下、E1と記す) に担持されているパラジウムはメタン、CO、水素およびエタノールに対して酸化活性を持つ。第2のガス検知素子 (以下、E2と記す) に担持されている白金はCO、水素およびエタノールに対して酸化活性を持つ。第1のフィルタ (以下、F1と記す) は活性炭よりなり、活性炭はエタノールを物理吸着するので、フィルタはエタノール以外のメタン、COおよび水素は透過させる。 【0023】第2のフィルタ (以下、F2と記す) は貴金属触媒を担持した活性炭よりなり、貴金属触媒はCOおよび水素に対し常温近傍で酸化活性を持つ。活性炭の作用と重畳するのでこのフィルタはF2はメタンのみを透過させる。第3のフィルタ (以下、F3と記す) は金触媒を担持した酸化鉄よりなり、COに対し酸化活性を持つので、メタン、水素およびエタノールを透過させる。」 (甲15-2)「【0030】 【実施例】 実施例1 図1は本発明の実施例の複合ガスセンサの図であり、(a)はガス検知部の断面図、(b)は対となる検知部の断面図である。ガス検知素子11は線径50μm の白金コイルに焼結させた比表面積150 m^(2)/gr の活性アルミナ担体にパラジウムを5 wt% 担持してなる。白金コイルの両端は、絶縁性のベース3aに立てられた2 本の金属製ピン4 に溶接されている。また、ベース3aには、ガス検知素子11を覆うように2 枚の100 メッシュの金網からなる防爆用金網20a が設けられている。 【0031】一方、金網20a の外側には活性炭からなるフィルタ21a が円筒状に装着されて、ガス検知部S11 とされる。この活性炭フィルタ21a は、クラレケミカル製の繊維状活性炭FR-15 の円筒状成型体であり、その外側のキャップ21k の内側円筒面に接して支持され、キャップ21k は、側壁部が50メッシュの金属製金網と天井部が気密性の天板とからなる。 【0032】ガス検知素子12はガス検知素子11と同様の担体に、白金触媒が5 wt% 担持されてなる。このガス検知部S22 の構成はガス検知部11と同様であるが、異なるところはフィルタ22a の材質であり、フィルタ22a には、前記活性炭フィルタ21a に白金触媒を7 wt% 担持した活性炭の成型体22f が充填されている。ガス検知部S22 はメタン、CO、水素およびエタノールに対して感度を持たないので、実質的には補償部である( 作用項参照) 。 【0033】上記のガス検知部S11 とガス検知部S22 とをブリッジ回路に組み込み、メタン、CO、水素、エタノールの各ガス成分に対する出力を評価した。図2はこの1実施例の複合ガスセンサのブリッジ出力のグラフである。1M、1C、 1H および1Eはそれぞれメタン、CO、水素およびエタノールに対するブリッジ出力である。図2から、本発明の複合ガスセンサは、メタン、CO、水素の3成分のガスに対して感度を持ち、酒の燗や、味醂などの調理時に発生するエタノールに対しては全く感度を持たないことが判る。 実施例2 この複合ガスセンサは4つのガス検知部からなる。図3は本発明の他の実施例の複合ガスセンサの図であり、(a)はメタン検知部S1の断面図、(b)はこれと対となるガス検知部S2の断面図、(c)はCOおよび水素検知部S21xの断面図、(d)これと対となるガス検知部S22xの断面図である。 【0034】この実施例では、ガス検知出力のバランスをとるため、メタン検知部S1および対のガス検知部S2のガス検知素子11、12には線径50μm の白金線からなるコイルを用いた。一方、CO、水素検知部対のガス検知素子12x には線径15μm の白金線からなるコイルを用い、コイルの巻き数をメタン検知部のガス検知素子のコイルより多くして、コイルの電気抵抗値をメタン検知部の素子よりも約7 倍大きくしたものを用いた。なお、本発明のガス検知機能を全体に統一して理解し易いように、ガス検知部が同じ構成の場合には同じ符号をもちいる。 【0035】メタン検知部S1および対のガス検知部S2は、個別のベース3aのピン4 にそれぞれガス検知素子11、12が溶接され、金網20a が被せられるだけであり、フィルタは被せられない。CO、水素検知部S21xはベース3aのピン4 に高抵抗の白金コイルのガス検知素子12x が溶接され、金網20a が被せられさらに、実施例1 における活性炭フィルタ21a が被せられる。CO、水素検知部S21xと対となるガス検知部は前記S22xである。」 (甲15-3)「【0037】・・・ 実施例3 この複合ガスセンサは機能上は4つのガス検知部からなるが、3 つのガス検知素子には同種のフィルタが被せられるものを1 つのフィルタに納め、全体で2個のガス検知部とした場合である。 【0038】図6は本発明の別の実施例の複合ガスセンサの図であり、(a)は3素子のガス検知部(S11+S11x+S21)の断面図、(b)は3素子のガス検知部(S11+S11x+S21)の平面図、(c)は1素子のガス検知部S12xの断面図である。3素子のガス検知部(S11+S11x+S21)は、実施例2における、ガス検知素子11、ガス検知素子11x およびガス検知素子12を6 本ピンを備えたベース3cの各2 本ずつに溶接し、活性炭フィルタ21c を被せたものである。各素子が熱的に独立であるように、熱遮蔽板5を素子の間に設けた。 【0039】1素子のガス検知部S12xは、ガス検知素子11x に貴金属触媒を担持した活性炭のフィルタ22a を被せたものである。メタン検知対である、フィルタ21c中のガス検知素子11 (ガス検知部S11)とガス検知素子12 (ガス検知部S21)とをそれぞれブリッジ回路に組み込み、実施例1と同様にブリッジ出力を調べた。図7はこの実施例のメタン検知対のメタン、CO、水素およびエタノールに対するブリッジ出力のグラフである。31M 、31C 、31H および31E はメタン、CO、水素、エタノールに対するブリッジ出力である。」 (甲15-4)「【0045】・・・ 実施例5 この複合ガスセンサは4つのガス検知部からなる。図12は本発明の別の実施例の複合ガスセンサの図であり、(a)はメタン検知部S1の断面図、(b)はこれと対となるガス検知部S2の断面図、(c)はCO検知部S1x の断面図、(d)これと対となるガス検知部S13xの断面図である。 【0046】この実施例でも、ガス検知出力のバランスをとるため、実施例2と同様のガス検知素子を用いた。メタン検知部S1、対のガス検知部S2およびCO検知部S1x は、個別のベース3aのピン4 にそれぞれガス検知素子11、12、および11x が溶接され、金網20a が被せられるだけであり、フィルタは被せられない。 【0047】CO検知部S1x と対となるガス検知部S13xはベース3aのピン4 にガス検知素子11x が溶接され、金網20a が被せられさらに、金触媒を担持したα-酸化鉄フィルタ23a が被せられる。メタン検知対である、ガス検知素子11 (ガス検知部S1) とガス検知素子12 (ガス検知部S2) とをそれぞれブリッジ回路に組み込み、実施例1と同様にブリッジ出力を調べた。図13はこの実施例のメタン検知対のメタン、CO、水素およびエタノールに対するブリッジ出力のグラフである。51M 、51C 、51H および51E はメタン、CO、水素、エタノールに対するブリッジ出力である。」 (甲15-5)「【0049】・・・ 実施例6 この複合ガスセンサは4つのガス検知部からなり、メタン検知対は実施例5と同じであり、CO検知対が異なるものである。 【0050】図15は本発明の他の複合ガスセンサのCO検知対の図であり、(a)CO検知部S11xの断面図、(b)これと対となるガス検知部S113x の断面図である。この実施例でも、ガス検知出力のバランスをとるため、実施例2と同様のガス検知素子を用いた。CO検知部S11xは実施例3のガス検知部S11xに同じである。これと対となるガス検知部S113x はベース3aのピン4 にガス検知素子11x が溶接され、金網20a が被せられ、その上に金触媒を担持したα-酸化鉄フィルタ23a が被せられ、さらに活性炭フィルタ21a が被せられたものである。 【0051】CO検知対としてCO検知部S11xおよび対のガス検知部S113x をブリッジ回路にそれぞれ組み込み、実施例1と同様にメタン、CO、水素、エタノールの各ガス成分に対する出力を評価した。図16はCO検知対のメタン、CO、水素、エタノールに対するブリッジ出力のグラフである。62M 、62C 、62H および62E はメタン、CO、水素、エタノールに対するブリッジ出力である。図16よりCOに対してのみ感度があることが判る。 【0052】メタン検知対は実施例5とおなじなので、本発明の4つのガス検知部からなる複合ガスセンサを用いれば、ガス漏れと、不完全燃焼を分別して検知することができる。次に、この実施例のCO検知対のブリッジ出力の経時安定性を評価するため、検知対をブリッジ回路に組み込み大気中で通電状態で保持し一定期間ごとにガス検知素子出力を測定した。図17は、この実施例のCO検知対のブリッジ出力の経時安定性のグラフである。図17には比較のため実施例5の金触媒を担持したα-酸化鉄フィルタのみが被せられたCO検知対の経時安定性も示した。実施例6のメタン検知対はカーブ63、実施例5のメタン検知対はカーブ53である。 【0053】図17から、実施例5のCO検知対ではCO出力が僅かに低下する傾向があるのに対し、この実施例のCO検知対のように、活性炭フィルタを追加した場合にはCO出力の低下は全く認められないことが判る。実施例5のCO検知対のCO出力が低下するのは、ガス検知部S113x(実質は温度補償部)の金/酸化鉄触媒のCO酸化活性が経時的に低下し、一部のCOが素子部の内部に浸透し、素子の表面で酸化することによる。 【0054】金/酸化鉄触媒のCO酸化活性が低下する理由、および活性炭フィルタと組み合わせると安定性が改善される理由は現時点では不明である。以上のように、この実施例の複合ガスセンサを用いることによって、ガス漏れと不完全燃焼の分別検知が可能で、しかも長期信頼性に優れた複合検知器が得られる。」 (甲15-6)【図1】 「 」 (甲15-7)【図15】 「 」 (2)甲15に記載された技術事項 (甲15-1)ないし(甲15-7)の特に実施例1及び6の記載から、甲15には、 「 ガス検知素子とフィルタとを組み合わせたガス検知部を構成し、さらにこれらガス検知部を複数個組み合わせて構成される複合ガスセンサであって、 メタン、CO、水素及びエタノールに対して酸化活性を持つパラジウムを担持している第1のガス検知素子E1、 CO、水素及びエタノールに対して酸化活性を持つ白金を担持している第2のガス検知素子E2、 エタノールを物理吸着し、エタノール以外のメタン、CO及び水素は透過させる活性炭よりなる第1のフィルタF1、 CO及び水素に対し常温近傍で酸化活性を持つ貴金属触媒を担持した活性炭よりなり、メタンのみを透過させる第2のフィルタF2、 及び、COに対し酸化活性を持つ金触媒を担持した酸化鉄よりなり、メタン、水素及びエタノールを透過させる第3のフィルタF3、 を選択的に組み合わせてなり、 線径50μmの白金コイルに焼結させた比表面積150m^(2)/grの活性アルミナ担体にパラジウムを5wt%担持してなるガス検知素子11であるE1に、活性炭からなるフィルタ21aであるF1が円筒状に装着されたガス検知部S11と、 ガス検知素子11と同様の担体に、白金触媒が5wt%担持されてなるガス検知素子12であるE2に、活性炭フィルタ21aに白金触媒を7wt%担持した活性炭の成型体22fが充填されているフィルタ22aであるF2が円筒状に装着されたガス検知部S22と をブリッジ回路に組み込んだ、メタン、CO、水素の3成分のガスに対して感度を持ち、エタノールに対しては全く感度を持たない、複合ガスセンサ、 又は、 線径50μmの白金線からなるコイルを用いパラジウムを担持してなるガス検知素子11であるE1を備え、フィルタは被せられないメタン検知部S1と、 線径50μmの白金線からなるコイルを用い白金触媒を担持してなるガス検知素子12であるE2を備え、フィルタは被せられないガス検知部S2と をブリッジ回路に組み込んだメタン検知対、及び、 線径15μmの白金線からなるコイルの巻き数をメタン検知部のガス検知素子のコイルより多くして、コイルの電気抵抗値をメタン検知部の素子よりも約7倍大きくし、パラジウムを担持してなるガス検知素子11xであるE1に、活性炭フィルタ21aであるF1を被せたCO検知部S11xと、 同じくパラジウムを担持してなるガス検知素子11xであるE1に、金触媒を担持したα-酸化鉄フィルタ23aであるF3が被せられ、さらに活性炭フィルタ21aであるF1が被せられたガス検知部S113xと をブリッジ回路に組み込んだCO検知対 を備えた、複合ガスセンサ。」 の技術事項(以下「甲15技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 第5 判断 1 本件発明1について (1)本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア (ア)甲1発明の「検知対象ガス」、「ガス感応部101」及び「加熱駆動型のガスセンサ」は、それぞれ本件発明1の「被検知ガス」、「ガス感応部」及び「ガス検知器」に相当する。 (イ)甲1発明の「ガス感応部101」及び「電極104a、104b」は、併せて本件発明1の「ガス検知素子」に相当する。 (ウ)甲1発明は、「前記ガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じて前記ガス感応部101の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができる」ものであるから、「前記ガス感応部101」が「検知対象ガス」と接触することによりその抵抗値が変化することは明らかである。 (エ)上記(ア)ないし(ウ)を踏まえると、甲1発明の「ガス感応部101」及び「電極104a、104b」を有し、「前記ガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じて前記ガス感応部101の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができる」、「加熱駆動型のガスセンサ」は、本件発明1の「被検知ガスと接触するガス感応部を有するガス検知素子を備えたガス検知器」に相当する。 イ (ア)甲1発明の「きょう体109」と、本件発明1の「二重の筐体における外側の外側筐体」とは、「本体筐体」の点で共通する。 (イ)甲1発明の「内包する」は、本件発明1の「収容する」に相当する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)並びにア(イ)を踏まえると、甲1発明の「きょう体109」が「前記ガス感応部101」及び「電極104a、104b」を「内包」していることと、本件発明1の「前記ガス検知素子を収容する二重の筐体を備え」ていることとは、「前記ガス検知素子を収容する本体筐体を備え」ている点で共通する。 ウ (ア)甲1発明の「測定雰囲気と接触を良くするため」の「開口部110」は、本件発明1の「被検知ガスを導入するガス導入口」に相当する。 (イ)シリカゲルフィルタがガスを吸収するフィルタであることは明らかであるから、甲1発明の「測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111」は、本件発明1の「妨害成分を吸収する第一吸着部」に相当する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)並びにイ(ア)を踏まえると、甲1発明の「きょう体109」に「測定雰囲気と接触を良くするため」の「開口部110が設けられており」、「測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111」が「前記きょう体109内部に固定手段112によって固定されて」いることと、本件発明1の「前記二重の筐体における外側の外側筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および妨害成分を吸収する第一吸着部を備え」ていることとは、「前記本体筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および妨害成分を吸収する第一吸着部を備え」ている点で共通する。 エ (ア)甲1発明の「流入制限板1」と、本件発明1の「前記二重の筐体における内側の内側筐体」とは、「本体筐体内部の構造体」の点で共通する。 (イ)甲1発明の「妨害成分吸着手段として」の「活性炭シート5」は、本件発明1の「前記妨害成分を吸収する第二吸着部」に相当する。 (ウ)甲1発明の「妨害成分流入制限手段として」の「ピンホール2」は、本件発明1の「通気口」に相当する。 (エ)本件発明1の「内側筐体」は、「通気口を」、「外側筐体」が「備え」る「第一吸着部および」内側筐体自身が備える「分解触媒部の間となるように備え」ているところ、「内側筐体は、前記妨害成分を分解する分解触媒部および前記妨害成分を吸収する第二吸着部を、被検知ガスの導入方向からこの順に備え」ていることから、本件発明1の「内側筐体」が「備え」る「通気口」は、「前記第一吸着部」と「前記第二吸着部」との間に位置しているといえる。 (オ)上記(ア)ないし(エ)、イ(ア)及びウ(イ)を踏まえると、甲1発明の「測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111と、その下面に接する目詰まり防止手段としての金属メッシュ板4とが、前記きょう体109内部に固定手段112によって固定されており、前記金属メッシュ板4と前記感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されており、前記流入制限板1の下部に妨害成分吸着手段として活性炭シート5が固定手段6によって固定されて」いることと、本件発明1の「前記二重の筐体における内側の内側筐体は、前記妨害成分を分解する分解触媒部および前記妨害成分を吸収する第二吸着部を、被検知ガスの導入方向からこの順に備え」、「前記内側筐体は、通気口を、前記第一吸着部および前記分解触媒部の間となるように備え」ていることとは、「前記本体筐体は、内部に前記妨害成分を吸収する第二吸着部を備え、本体筐体内部の構造体は、通気口を、前記第一吸着部および前記第二吸着部の間となるように備え」ている点で共通する。 (2)一致点及び相違点 したがって、本件発明1と甲1発明とは、 「 被検知ガスと接触するガス感応部を有するガス検知素子を備えたガス検知器であって、 前記ガス検知素子を収容する本体筐体を備え、 前記本体筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および妨害成分を吸収する第一吸着部を備え、 前記本体筐体は、内部に前記妨害成分を吸収する第二吸着部を備え、 本体筐体内部の構造体は、通気口を、前記第一吸着部および前記第二吸着部の間となるように備えたガス検知器。」 の発明である点において一致し、以下の2点において相違する。 (相違点1) 本件発明1は、「通気口を」「備え」る「本体筐体内部の構造体」が、「前記ガス検知素子を収容する二重の筐体」「における内側の内側筐体」であり、「前記妨害成分を吸収する第二吸着部」が、「内側筐体」に「備え」られているのに対し、甲1発明は、「通気口を」「備え」る「本体筐体内部の構造体」が、「前記きょう体109内部に」「固定され」た「流入制限板1」であり、「前記妨害成分を吸収する第二吸着部」(「妨害成分吸着手段として」の「活性炭シート5」)が、「前記きょう体109内部に」「固定され」ており、「内側筐体」を有していない点。 (相違点2) 本件発明1は、内側筐体が「前記妨害成分を分解する分解触媒部」を備え、「前記妨害成分を分解する分解触媒部および前記妨害成分を吸収する第二吸着部」が「被検知ガスの導入方向からこの順に」なるように、かつ、「前記内側筐体」の「通気口」が「前記第一吸着部および前記分解触媒部の間となるように」配置されているのに対し、甲1発明は、「前記妨害成分を分解する分解触媒部」を備えていない点。 (3)上記各相違点について検討する。 ア 相違点1について (ア)異議申立人は、甲2ないし甲7の記載から、ガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器は、本件特許に係る出願前において周知技術である旨主張している。 そこで検討するに、甲2ないし甲7には、それぞれ甲2技術事項ないし甲7技術事項が記載されている。 甲2技術事項は、「金属板を有底筒状に成形して形成され」、「第1通気孔8には防爆構造材としての金属メッシュ板10を装着してあり」、「ガス検知素子1を内装」する「第1ハウジング5」及び「第1ハウジング5の上に」「被せるように装着し」、「バネ20」で連結した「樹脂等で有底筒状に形成されている第2ハウジング6」を有しているが、甲2には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。 甲3技術事項は、「金属板を有底筒状に成形して形成し」、「第1通気孔8には防爆構造としての金属メッシュ板10を装着してあり」、「ガス検知素子1を内装」する「第1ハウジング5」及び「第1ハウジング5の上に」「被せるように装着し」た「樹脂等で有底筒状に形成してある第2ハウジング6」を有しているが、甲3には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。 甲4技術事項は、「半導体式検知素子3を囲うハウジング2」であって「支持体10を形成する」「ハウジング2を二重構成とし」、「支持体10を第一支持体11と第二支持部とで構成し」ているが、「金網9とガスフィルタ8とを」支持するための支持体を二重構成にしようとするものであり、甲4には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。 甲5技術事項は、「発熱抵抗体2を内部に納める」「保護キャップ5」及び「保護キャップ5の上側に被せ」た「フィルタキャップ9」を有し、「ベース4と保護キャップ5とフィルタキャップ9とで、発熱抵抗体2及び補償抵抗8を内部に収納するケースが構成されている」が、(甲5-3)の段落[0044]の「 本実施形態では、第2の実施形態で説明したガスセンサ1において、保護キャップ5の上側にフィルタ12を保持したフィルタキャップ9を被せてある。尚、フィルタキャップ9やフィルタ12以外の構成は第2の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。」との記載によれば、甲5技術事項はフィルタを有していないガスセンサにフィルタを装着するために、保護キャップに被せるフィルタキャップを採用したものと認められ、甲5には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。 甲6技術事項は、「金属製カバー13内に」「感ガス体を収納したセンサ部2」及び「金属製カバー13」を「底部に収納」した「センサ筐体1」を有しているが、甲6には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。 甲7技術事項は、「開口窓10a」が「網体12により塞がれており」、「感ガス体8を覆う」「金属製カバー10」を有する「センサ本体5」及び「センサ本体5を」「内に収納した」「キャップ1」を有しているが、甲7には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。 そうすると、甲2ないし甲7の記載から、甲2技術事項ないし甲7技術事項を上位概念化したガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器が、周知技術であると認定することはできない。 仮に、ガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器が周知技術(以下、当該技術を「技術事項A」という。)であると認定することができたとしても、その技術的意義は明らかではないから、甲1発明に技術事項Aを採用する動機付けがあるとは認められない。 さらに、仮に、甲1発明に技術事項Aを採用したとしても、技術事項Aは、甲1発明の「流入制限板1」に相当する部材を構成するための技術ではなく、甲1発明を具体的にどのように二重の筐体を備えた構成にするのかを示唆するものではないから、当業者といえども、甲1発明の「流入制限板1」を天板とする内側筐体とすることを容易に想到できるとはいえない。 また、甲1発明に甲2技術事項ないし甲7技術事項をそれぞれ採用したとしても、甲2技術事項ないし甲7技術事項から把握される内側筐体は、いずれも「妨害成分を吸収する第二吸着部」を備えておらず、「ガス検知素子」のみを収容するものであるから、「活性炭シート5」の下方に「ガス感応部101、電極104a、104b」等を収容する金網を備えた「内側筐体」が得られるのみであり、当業者といえども、甲1発明の「流入制限板1」を天板とする内側筐体とすることを容易に想到できるとはいえない。 (イ)上記「第4の8ないし15」によれば、甲8ないし甲15は、ガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器を開示するものではない。 イ 相違点2について (ア)異議申立人は、甲8ないし甲11の記載から、妨害成分を分解する分解触媒部と妨害成分を吸収する第二吸着部を組み合わせた二層のフィルタは、本件特許に係る出願前において周知技術である旨主張している。 そこで検討するに、甲8ないし甲11には、それぞれ甲8技術事項ないし甲11技術事項が記載されている。 甲8技術事項は、「アルカリ金属炭酸塩水溶液をフィルタ母材に含浸させ水分を乾燥させてとばして形成されたフィルタ7と、活性炭粉末で構成されたフィルタ8を、上下に層構造をなすように配置した二層構造のフィルタ、又は、アルカリを含んでいるフィルタ9を追加して三層構造としたフィルタ」に関するものであるが、「活性炭粉末で構成されたフィルタ8」は「NO,NO_(2),SO_(2) を活性炭で吸着」するものであり、「アルカリ金属炭酸塩水溶液をフィルタ母材に含浸させ水分を乾燥させてとばして形成されたフィルタ7」及び「フィルタ9」は「NO,NO_(2),SO_(2) を」「アルカリ金属炭酸塩と検出気体中に含まれる水分とともに反応させる」ものであって、「妨害成分を分解する分解触媒部」を備えていない。 甲9技術事項Aは、「SO_(2)の吸着力に優れSO_(2)を除去する活性炭1と、(CH_(3))_(2)Sの吸着力に優れ(CH_(3))_(2)Sを除去する活性炭2とを、ペーパフィルタ3を介在させた形で一対のガラスフィルタ4、5間に挟持して構成し」た「選択フィルタ6」に関するものであるが、「吸着」により「SO_(2)」及び「(CH_(3))_(2)Sを除去する」ものであって、「妨害成分を分解する分解触媒部」を備えていない。 甲9技術事項Bは、「白金、バラジューム、ロジュームのような燃焼触媒が担持された、燃焼型フィルタ」に関するものであって、層構造を備えていない。また、「不要な気体を触媒によって燃焼させる」ものの、甲9には、不要な気体(妨害成分)を分解することは明記されていない。 甲10技術事項は、「ガラスフィルタ層8,活性アルミナのフィルタ層9,ガラスフィルタ層8,活性酸化亜鉛のフィルタ層10,ガラスフィルタ層8の順に積層され」た「フィルタ7」に関するものであるが、「活性アルミナのフィルタ層9」は「吸着」により「SO_(2)」を、「活性酸化亜鉛のフィルタ層10」は「吸着」により「H_(2)S」をそれぞれ「除去」するものであって、「妨害成分を分解する分解触媒部」を備えていない。 甲11技術事項は、「外側に活性炭層12、内側に活性アルミナ層13がそれぞれ設けられて2重構造となつているフィルタ9、又は、外側に活性アルミナ層14、内側に活性炭層15がそれぞれ設けられて2重構造となつているフィルタ10」に関するものであるが、「活性アルミナ」により「SO_(2)」を「除去」し、「活性炭」により「H_(2)S」を「除去」するものであって、「妨害成分を分解する分解触媒部」を備えていない。 そうすると、甲8ないし甲11の記載から、妨害成分を分解する分解触媒部と妨害成分を吸収する第二吸着部を組み合わせた二層のフィルタが、周知技術であると認定することはできない。 (イ)次に、他の甲号証の記載事項について検討する。 甲12技術事項は、「上側の無機化合物フィルタ60が流入口側に配置され、この上側の無機化合物フィルタ60の下流に中間の活性炭フィルタ30が配置され、この中間の活性炭フィルタ30の下流に下側の無機化合物フィルタ60が順次配置されて構成されたフィルタ、又は、上側の活性炭フィルタ30が流入口側に配置され、中間の無機化合物フィルタ60が上側の活性炭フィルタ30の下流に配置され、下側の活性炭フィルタ30が中間の無機化合物フィルタ60の下流側に順次配置されて構成されたフィルタ」に関するものであるが、「無機化合物フィルタ60が酸性ガスを吸着し、活性炭フィルタ30が雑ガス及び酸性ガスを吸着する」ものであって、「妨害成分を分解する分解触媒部」を備えていない。 甲13技術事項は、「一対のガラス繊維不織布1の間に有機シリコーンガス吸着用のシリカアルミナ微粒子(13%アルミナ)を分散介在させた状態で、前記ガラス繊維不織布1同士をシリカゾルバインダを用いて、振動を与えても前記シリカアルミナ微粒子が自由に流動しない程度に、約0.1g/cm^(2)の割合で含浸接着して形成したガスフィルタC」に関するものであって、複数のフィルタを重ねた層構造を備えていない。また、「シリカアルミナ微粒子」が「有機シリコーンガス」を「吸着」するものであって、「妨害成分を分解する分解触媒部」を備えていない。 甲14技術事項は、「通気路の外側に吸着剤14が、中間に酸化触媒16が」「置かれている」構成を備えている。しかしながら、「吸着剤14はエタノール等の有機溶媒とシリコーン蒸気等の他の被毒ガスを吸着」するものであり、「妨害成分を分解する分解触媒部」ではない。また、「シート状の活性炭にPtを担持したものであ」る「酸化触媒16は有機溶媒を酸化」するものであるが、甲14には、有機溶媒(妨害成分)を分解することは明記されていない。 甲15技術事項は、「活性炭フィルタ21aに白金触媒を7wt%担持した活性炭の成型体22fが充填されているフィルタ22aであるF2」、及び、「金触媒を担持したα-酸化鉄フィルタ23aであるF3が被せられ、さらに活性炭フィルタ21aであるF1が被せられた」構成を備えている。しかしながら、「フィルタ22aであるF2」は、「CO及び水素に対し常温近傍で酸化活性を持つ」「白金触媒」と「エタノールを物理吸着」する「活性炭」を組み合わせたものであり、甲15には、「フィルタ22aであるF2」が妨害成分を分解することは明記されていない。また、「金触媒を担持したα-酸化鉄フィルタ23aであるF3」は、「COに対し酸化活性を持つ金触媒」を用いたものであり、甲15には、「α-酸化鉄フィルタ23aであるF3」が妨害成分を分解することは明記されていない。 また、上記「第4の2ないし7」によれば、甲2ないし甲7は、「妨害成分を分解する分解触媒部」を含む二層のフィルタを備えていない。 そうすると、甲2ないし甲7及び甲12ないし甲15の記載を参酌しても、妨害成分を分解する分解触媒部と妨害成分を吸収する第二吸着部を組み合わせた二層のフィルタが、周知技術であると認定することはできない。 (ウ)さらに、甲2ないし甲15は、「妨害成分を分解する分解触媒部」を開示するものではない。 ここで、本件特許に係る出願の明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0051】ないし【0058】の記載を参酌すると、本件発明1の実施例に相当すると認められる「本発明例1」において、「分解触媒部」として「白金担持活性炭粉末」が使用されている。 そうすると、甲14技術事項の「シート状の活性炭にPtを担持したものであ」る「酸化触媒16」、及び、甲15技術事項の「活性炭フィルタ21aに白金触媒を7wt%担持した活性炭の成型体22fが充填されているフィルタ22aであるF2」は、「白金及び活性炭」からなる点で、「本発明例1」の「分解触媒部」と共通している。 仮に、構成成分の共通点から、甲14技術事項の「酸化触媒16」及び甲15技術事項の「フィルタ22aであるF2」が、それぞれ本件発明1の「妨害成分を分解する分解触媒部」に相当するとしても、甲14技術事項は「通気路の外側に吸着剤14が、中間に酸化触媒16が」「置かれている」構成であり、甲15技術事項は「フィルタ22aであるF2」単層の構成であり、いずれも上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項に係る「前記妨害成分を分解する分解触媒部および前記妨害成分を吸収する第二吸着部」が「被検知ガスの導入方向からこの順に」なるように、かつ、「前記内側筐体」の「通気口」が「前記第一吸着部および前記分解触媒部の間となるように」配置されている構成を備えていない。 そして、本件明細書の段落【0058】には「従って、比較例1,2のように分解触媒部(白金担持活性炭)なしとした場合、比較例3のように分解触媒部のみとした場合、比較例4のように分解触媒部およびシリカアルミナの混合粉とした場合、比較例5のように分解触媒部の上流にシリカアルミナ層を配置した場合よりも、本発明例1?3においては、シロキサン化合物耐久性が著しく向上したと認められた。 即ち、本願のように分解触媒部34および第二吸着部32を別異の層で形成し、少なくとも分解触媒部34の下流に第二吸着部32を配置することで、ガス検知器Xをシロキサン化合物などの種々の妨害成分が存在する台所などで使用したとしても、種々の妨害成分の影響をより一層受け難くすることができると認められた。」と記載されており、分解触媒部34の下流に第二吸着部32を配置することで、分解触媒部のみとした場合や分解触媒部の上流にシリカアルミナ層(第二吸着部)を配置した場合よりも、妨害成分の影響をより一層受け難くすることができるという格別な効果を奏し得るものと認められる。 すると、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項に係る「前記妨害成分を分解する分解触媒部および前記妨害成分を吸収する第二吸着部」が「被検知ガスの導入方向からこの順に」なるように、かつ、「前記内側筐体」の「通気口」が「前記第一吸着部および前記分解触媒部の間となるように」配置することは、甲14技術事項及び甲15技術事項を参照しても、当業者が適宜設計し得たものとはいえない。 よって、甲1ないし甲15に接した当業者といえども、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を容易に想到できるとはいえない。 (4)したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲15の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、本件発明1についての特許異議申立人の申立理由には理由がない。 2 本件発明2ないし5について 本件発明2ないし5は、本件発明1を更に減縮したものであるところ、本件発明1についての特許異議申立人の申立理由に理由がないことは、上記「1 本件発明1について」で検討したとおりであるから、本件発明2ないし5についての特許異議申立人の申立理由も同様に理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-01-17 |
出願番号 | 特願2014-62424(P2014-62424) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(G01N)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小澤 瞬 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 ▲高▼見 重雄 |
登録日 | 2018-05-11 |
登録番号 | 特許第6334221号(P6334221) |
権利者 | 新コスモス電機株式会社 |
発明の名称 | ガス検知器 |
代理人 | 特許業務法人R&C |