• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1349323
審判番号 不服2018-624  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-17 
確定日 2019-02-21 
事件の表示 特願2013-173545「情報提供システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 2日出願公開、特開2015- 41351〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成25年8月23日の出願であって、平成29年4月21日付けの拒絶理由通知が通知され、平成29年7月5日付けで意見書、手続補正書が提出されたが、平成29年10月5日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して、平成30年1月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.平成30年1月17日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成30年1月17付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成30年1月17日付け手続補正によって、特許請求の範囲は、次の通り補正された。

(1-1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
「 【請求項1】
通信アダプタを搭載した家電機器と、
前記家電機器と通信可能に接続される情報端末と、
から構築され、
前記情報端末は、
外部から天気に関する天気情報を取得する天気情報取得手段と、
前記天気情報取得手段が取得した天気情報に基づいて、ユーザが前記家電機器の操作を行うときに参考にするためのサブ情報を生成するサブ情報生成手段と、
前記サブ情報生成手段が生成した前記サブ情報を前記情報端末に出力するサブ情報出力手段と、
を備え、
前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる情報提供システム。
【請求項2】
前記情報端末は、前記家電機器から当該家電機器に関する家電機器情報を取得する家電機器情報取得手段をさらに備え、
前記サブ情報生成手段は、前記天気情報取得手段が取得した天気情報および前記家電機器情報取得手段が取得した前記家電機器情報に基づいて前記サブ情報を生成する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記家電機器情報取得手段は、前記家電機器情報として、前記家電機器の過去の運転サイクルを示す運転サイクル情報を取得し、
前記サブ情報生成手段は、前記サブ情報として、前記家電機器の運転サイクルを前記運転サイクル情報が示す過去の運転サイクルに修正することを促すアドバイス情報を生成する請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記家電機器として洗濯機を備え、
前記洗濯機は、洗濯槽内の衣類の重量を計測する重量計測手段を備えており、
前記家電機器情報取得手段は、前記家電機器情報として、前記重量計測手段が計測する衣類の重量を示す重量情報を取得する請求項2または3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記家電機器として洗濯機を備え、
前記家電機器情報取得手段は、前記家電機器情報として、前記洗濯機の設定内容を示す設定内容情報を取得する請求項2から4の何れか1項に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記サブ情報出力手段は、複数の出力態様により前記サブ情報を出力する請求項1から5の何れか1項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記サブ情報出力手段は、動的な出力態様により前記サブ情報を出力する請求項6に記載の情報提供システム。」(下線部は、補正箇所である。)


(1-2)本件補正前の特許請求の範囲
平成29年7月5日付けで補正された特許請求の範囲は次の通りである。
「 【請求項1】
通信アダプタを搭載した家電機器と、
前記家電機器と通信可能に接続される情報端末と、
から構築され、
前記情報端末は、
外部から天気に関する天気情報を取得する天気情報取得手段と、
前記天気情報取得手段が取得した天気情報に基づいて、ユーザが前記家電機器の操作を行うときに参考にするためのサブ情報を生成するサブ情報生成手段と、
前記サブ情報生成手段が生成した前記サブ情報を前記情報端末に出力するサブ情報出力手段と、
を備える情報提供システム。
【請求項2】
前記情報端末は、前記家電機器から当該家電機器に関する家電機器情報を取得する家電機器情報取得手段をさらに備え、
前記サブ情報生成手段は、前記天気情報取得手段が取得した天気情報および前記家電機器情報取得手段が取得した前記家電機器情報に基づいて前記サブ情報を生成する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記家電機器情報取得手段は、前記家電機器情報として、前記家電機器の過去の運転サイクルを示す運転サイクル情報を取得し、
前記サブ情報生成手段は、前記サブ情報として、前記家電機器の運転サイクルを前記運転サイクル情報が示す過去の運転サイクルに修正することを促すアドバイス情報を生成する請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記家電機器として洗濯機を備え、
前記洗濯機は、洗濯槽内の衣類の重量を計測する重量計測手段を備えており、
前記家電機器情報取得手段は、前記家電機器情報として、前記重量計測手段が計測する衣類の重量を示す重量情報を取得する請求項2または3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記家電機器として洗濯機を備え、
前記家電機器情報取得手段は、前記家電機器情報として、前記洗濯機の設定内容を示す設定内容情報を取得する請求項2から4の何れか1項に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記サブ情報出力手段は、複数の出力態様により前記サブ情報を出力する請求項1から5の何れか1項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記サブ情報出力手段は、動的な出力態様により前記サブ情報を出力する請求項6に記載の情報提供システム。」

(2)補正の適否
(2-1)目的要件
補正後の請求項1に追加された「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項は、出願当初の明細書の段落0019の記載事項を根拠とするものであるが、当該記載事項は、「洗濯機11を遠隔操作するための洗濯機用画面G1」に「操作対象である洗濯機11の各種設定を遠隔から操作するための複数の操作ボタンB1?B5」などが「表示」されること、を開示するにとどまるものであるから、前記「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項の根拠にはならない。
また、出願当初の明細書のその他の記載を参酌しても、補正後の請求項1に係る情報端末が備える「サブ情報生成手段」は「天気情報取得手段が取得した天気情報に基づいて、ユーザが家電機器の操作を行うときに参考にするためのサブ情報」を「生成」するものであり、「サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」旨の情報を生成するものではなく、同「サブ情報出力手段」も「サブ情報生成手段が生成した前記サブ情報を出力」するものであり、やはり、「サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」旨の情報を出力するものではない。さらに、「家電機器を操作するための操作ボタン」は「サブ情報」の下位概念といえるものではなく、「家電機器を操作するための操作ボタン」と「サブ情報」とは別個のものである。
してみると、補正後の請求項1に追加された「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項は、情報端末が表示する表示内容を特定する事項ではあるものの、補正前の請求項1に係る情報端末が備える「サブ情報生成手段」及び「サブ情報出力手段」を限定的に減縮することを目的とした補正事項とは認められない。なお、「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項が、情報端末が備える「天気情報取得手段」を限定的に減縮する補正事項でないことは明らかである。
よって、当該「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものでない。
そして、当該「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項が、特許法第17条の2第5項第1号でいう「請求項の削除」、同第3号でいう「誤記の訂正」、同第4号でいう「明りょうでない記載の釈明」のいずれをも目的とするものでないことは明らかである。
したがって、当該補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2-2)独立特許要件
本件補正は、上記「(2-1)目的要件」において検討した通り、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが、仮に、「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項が、特許法第17条の2第5項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、とした場合には、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

ア.本件補正発明
本件補正発明は、上記(1-1)の請求項1に記載されたとおりのものである。

イ.引用文献
原査定の拒絶理由で引用文献1として引用された特開2004-325040号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(a)「【0013】
図1は、この発明の実施形態に係るサーバ装置(ホームゲートウェイ)を適用した自動運転制御システムの構成例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、家屋1には、例えばイーサネット(R)型の有線LAN、IEEE802.11a/b/gやBluetooth(R)に準拠した無線LANなどで構成されるホームネットワーク10が敷設されている。そして、このホームネットワーク10には、ホームゲートウェイ11のほか、操作表示端末12、空気調節機(以下、エアコン)13および洗濯機(以下、ランドリー)14が接続されている。
【0015】
ホームゲートウェイ11は、操作表示端末12を介してユーザとの間のインタフェースをとり、この操作表示端末12上でのユーザの操作に応じて、エアコン13およびランドリー14を運転制御する機能を有している。この操作表示端末12としては、例えばタッチパネルを有するタブレットPC(パーソナルコンピュータ)などが想定されるが、一般のPCやPDA(Personal Digital Assistant)、またはテレビジョン装置とリモートコントローラとの組み合わせによっても実現可能である。
【0016】
また、このホームゲートウェイ11は、モデム15を介してISP(Internet Service Provider)2とも接続され、このISP2を介してインターネット100との接続が行えるようになっている。つまり、ホームゲートウェイ11は、ルータ、ハブ、無線LANアクセスポイント等の機能を有している。そして、このISP2を介して接続可能なインターネット100上には、後述するサービスサイト3が接続されている。」

(b)「【0018】
また、エアコン13およびランドリー14は、ホームネットワーク10への接続機能と、ホームゲートウェイ11からの機器制御情報を受信し、その内容に基づいて運転する機能と、自機の状況をホームネットワーク10を介してホームゲートウェイ11へ送信する機能とを有する。このエアコン13およびランドリー14のそれぞれには、LCDやLED等の表示装置とマニュアル操作も可能なボタン型スイッチ等が設置されているものとする。
【0019】
図2は、前述したサービスサイト3の概略構成を示す図である。
【0020】
このサービスサイト3は、ホームゲートウェイ11に適切な気象情報を提供するものであり、図2に示すように、登録ユーザ情報を管理するユーザ管理DBサーバ31、サービス利用に対する課金管理を行う課金管理サーバ32、ユーザ管理DBサーバ31が接続されるLANへのアクセスを制御するファイアーウォール33、インターネット100を介してホームゲートウェイ11等がアクセスしてくるWebサーバ34、気象情報を格納する気象情報DB35およびWebサーバ34が接続されるLANへのアクセスをWebサーバ34へのアクセスのみに制限するファイアーウォール36を備えている。ここでは、本システムのユーザに関する登録ユーザ情報が、ユーザ管理DBサーバ31に既に管理されているものとする」

(c)「【0029】
続いて、ホームゲートウェイ11は、気象情報要求のメッセージをサービスサイト3に送信する(図10の(S5))。一方、サービスサイト3は、その応答メッセージとして気象情報を送信する(図10の(S6))。そして、この気象情報を受信したホームゲートウェイ11は、気象情報表示のためのデータを操作表示端末等へ送信する(図10の(S7))。
【0030】
次に、ホームゲートウェイ11は、この気象情報を前述の運転条件データ1251と照らし合わせ、最適な機器制御情報を作成する(図10の(S8))。そして、ホームゲートウェイ11は、ユーザに運転前に確認を求めるかどうかの設定に基づき、操作表示端末12等に表示を行わせる(図10の(S9))。ここで、ユーザに運転前の確認を求めた場合には、ユーザによる運転内容の変更も可能である。一方、ユーザの確認入力がなされた場合(図10の(S10))、ホームゲートウェイ11は、先に作成した機器制御情報を各機器に送信する(図10の(S11))。そして、この機器制御情報を受信した各機器は、実際の運転を開始する(図10の(S12),(S13))。」

(d)「【0039】
次に、ホームゲートウェイ11は、機器制御情報の作成、具体的には、脱水後に乾燥まで実行するかどうかの制御情報を作成する処理を行う。このために、ホームゲートウェイ11は、まず、ユーザの天気に応じた運転条件が、予め運転条件設定/記憶部125によって設定されているかどうかを確認する(ステップC4)。もし、登録されていれば(ステップC4のYES)、ホームゲートウェイ11は、気象情報中の天気IDをキーにして一意に機器制御情報を作成することが可能である(ステップC5)。一方、登録されていない場合には(ステップC4のNO)、例えば気象情報中の天気、降水確率、洗濯指数を使用して機器制御情報を作成する(ステップC6,C7)。この場合におけるアルゴリズムの一例を示すと、天気に「雨or雪」が含まれており(天気ID:1-7,11,12のいずれか)、かつ、現在の時間帯の降水確率が70%以上であり、かつ、洗濯指数が30%以下の場合は乾燥を行うといった条件で処理する。つまり、ユーザによる設定が行われていない場合には、その気象状況に予め割り当てられた標準動作が選択されることになる。
【0040】
次に、ホームゲートウェイ11は、運転前に、ユーザに確認を求める設定になっているかどうかを確認する(ステップC8)。ここで、ユーザの確認が必要であれば(ステップC8のYES)、ホームゲートウェイ11は、乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのためのデータを運転ガイドとして操作表示端末12またはランドリー14に送信する(ステップC9)。その後、その操作表示端末12またはランドリー14のボタン等からユーザの確認入力が得られたら(ステップC10のYES)、先に作成した機器制御情報をランドリー14へ送信する(ステップC11)。これにより、ランドリー14は、運転を開始する。なお、ユーザ確認入力待ち(ステップC10)で入力がないままタイムアウトした場合は、機器制御情報は送信されずに終了する。また、エアコン13の場合についても同様の処理フローとなる。」

(e)「【0043】
また、前述した実施形態では、ユーザが操作表示端末12を操作した際、対象の機器を適切に運転制御すべく気象情報を取得する例を説明したが、ホームゲートウェイ11では、各機器のON/OFF等の履歴情報を機器運転履歴記憶部124が運転履歴データ1241として記憶するので、例えばランドリー14に関して言えば、気象情報が示す気象状況がいわゆる洗濯日和であって、かつ、前回の運転から所定の日数が経過しているような場合に、ユーザに洗濯を勧める等のガイドを提示することも可能である。さらに、気象情報が週間予想等の長期的な情報を含む場合には、洗濯に適した日を提示しても良い。」

(なお、下線は当審により付加したものである。)

してみると、上記(a)?(e)の記載事項から、引用文献1には、

「 ホームゲートウェイ11を適用した自動運転制御システムであって、(【0013】)
前記自動運転制御システムはホームネットワーク10を構成要件として備え、
当該ホームネットワーク10には、前記ホームゲートウェイ11のほか、操作表示端末12、ランドリー14が接続され、(【0014】)
前記ランドリー14は、ホームネットワーク10への接続機能と、ホームゲートウェイ11からの機器制御情報を受信し、その内容に基づいて運転する機能と、自機の状況をホームネットワーク10を介してホームゲートウェイ11へ送信する機能とを有し、(【0018】)
前記ホームゲートウェイ11は、モデム15を介してISP2とも接続され、このISP2を介してインターネット100との接続が行えるようになっており、前記インターネット100上にはサービスサイト3が接続されており、(【0016】)
前記サービスサイト3は、ホームゲートウェイ11に適切な気象情報を提供するものであり、(【0020】)
前記ホームゲートウェイ11は、気象情報を受信し、この気象情報を運転条件データ1251と照らし合わせ、最適な機器制御情報を作成し、ユーザに運転前に確認を求めるかどうかの設定に基づき、操作表示端末12等に表示を行わせ、ユーザに運転前の確認を求めた場合には、ユーザによる運転内容の変更も可能であり、(【0029】、【0030】)
また、前記ホームゲートウェイ11は、気象情報中の天気IDをキーにして一意に機器制御情報を作成することも可能であり、運転前に、ユーザに確認を求める設定になっているかどうかを確認し、ユーザの確認が必要であれば、乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータを運転ガイドとして操作表示端末12に送信し、その後、その操作表示端末12のボタン等からユーザの確認入力が得られたら、先に作成した機器制御情報をランドリー14へ送信し、(【0039】、【0040】)
さらに、前記ホームゲートウェイ11は、気象情報が示す気象状況がいわゆる洗濯日和であって、かつ、前回の運転から所定の日数が経過しているような場合に、ユーザに洗濯を勧める等のガイドを提示することも可能である、(【0043】)
自動運転制御システム。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

ウ.対比

本件補正発明と引用発明を対比する。

(a)引用発明の「ランドリー14」は、「ホームネットワーク10への接続機能と、ホームゲートウェイ11からの機器制御情報を受信」する機能を有するのであるから、通信機能を有する家電機器といえるものであるから、本件補正発明の『通信アダプタを搭載した家電機器』に相当する。

(b)本件補正発明の『情報端末』は、明細書の段落【0007】の「図1に示す情報提供システム10は、家電機器の一例として、例えば、ドラム式の洗濯乾燥機11(以下、単に「洗濯機11」と称する)、その他の家電機器12、家庭内電力消費計測部13などを備える。そして、これら家電機器11,12および家庭内電力消費計測部13が、情報端末の一例であるホームゲートウェイ14を介して相互に通信可能に接続され、これにより、家庭内ネットワーク15が構築されている。」や同段落【0014】の「次に、ホームゲートウェイ14の構成について説明する。例えば図3に示すように、ホームゲートウェイ14には、制御プログラムに基づいて当該ホームゲートウェイ14の動作全般を制御する制御装置30が備えられている。この制御装置30には、操作入力部31、表示出力部32、外部通信アダプタ33、内部通信アダプタ34などが接続されている。操作入力部31は、例えば、表示出力部32の画面上に設けられたタッチパネルスイッチ、表示出力部32の周辺に設けられた機械的な操作スイッチなどで構成される。表示出力部32は、例えば液晶からなる表示パネルなどで構成される。」の記載を参酌するに、制御装置30の他、操作入力部31や表示出力部32等を備えたものと解される。
一方、引用文献1の段落【0022】から【0026】の記載や【図1】、【図6】、【図7】、【図14】等の記載から明らかな様に、引用発明の「ホームゲートウェイ11」には、本件補正発明の『情報端末』が備える操作入力部や表示出力部に対応するものが備わっていないものの、引用発明の「ホームゲートウェイ11」と本件補正発明の『情報端末』は、いずれも、「家電機器と通信可能に接続されるホームゲートウェイ」という点で共通している。

(c)引用発明の「ホームゲートウェイ11」は、「モデム15を介してISP2とも接続され、このISP2を介してインターネット100との接続が行えるようになっており、前記インターネット100上にはサービスサイト3が接続されており、前記サービスサイト3は、ホームゲートウェイ11に適切な気象情報を提供するものであり、前記ホームゲートウェイ11は、気象情報を受信」するのであるから、「インターネット100上のサービスサイト3」は、本件補正発明でいう『外部』に相当し、前記「気象情報」は、本件補正発明でいう『天気情報』に相当する。そして、前記「ホームゲートウェイ11」は、「気象情報を受信」するのであるから、本件補正発明でいう『天気情報を取得する天気情報取得手段』に対応する構成を備えていることは明らかである。

(d)本件補正発明でいう『ユーザが家電機器の操作を行うときに参考にするためのサブ情報』は、『天気情報に基づいて生成』されるものであり、明細書の段落【0037】に記載されている「天気情報に基づいて生成したサブ情報に基づいて家電機器の運転を自動的に設定あるいは制御するのではなく、天気情報に基づいて生成したサブ情報を情報端末であるホームゲートウェイ14に出力する構成とした。これにより、ユーザは、ホームゲートウェイ14から提供されるサブ情報を参考にしながら家電機器の設定操作や運転操作を適宜行うことができる。従って、天気情報に基づいて制御内容が自動的に設定されてしまう従来技術とは異なり、ユーザの意思が反映された制御内容で家電機器を運転することができる。」ものであり、そして、その具体的内容は、明細書の段落【0023】の「「しかし、今日は雨模様です。お洗濯は明日以降にしましょう。または、お洗濯は乾燥までしましょう。」は、降水確率が高いことに対応して生成された否定的なアドバイス情報」、同段落【0025】の「「今日はお洗濯日和です。そろそろお洗濯しませんか。」は、降水確率が低いことに対応して生成された肯定的なアドバイス情報」、同段落【0031】の「「今日はお洗濯日和です。」は、天気情報に含まれる降水確率が所定値以下であることに対応して生成された肯定的なアドバイス情報」、同段落【0034】の「「今日は雨模様です。お洗濯は乾燥までしましょう。」という文字情報が出力されている。即ち、この否定的サブ情報J7は、降水確率が高いにも関わらず洗濯機11に乾燥行程を含む運転コースが設定されていないことに対応して生成されたアドバイス情報であり、降水確率が高いので洗濯機11により洗濯物の乾燥まで行うことを促すアドバイス情報」、同段落【0036】の「「今日はお洗濯日和です。乾燥はやめて戸外に干しましょう。」という文字情報が出力されている。即ち、この肯定的サブ情報J8のうち「乾燥はやめて戸外に干しましょう。」は、洗濯機11に乾燥行程を含む運転コースが設定されていること、および、降水確率が低いことに対応して生成されたアドバイス情報であり、降水確率が低いので洗濯物を戸外に干すことを促すアドバイス情報となっている。また、「今日はお洗濯日和です。」は、降水確率が低いことに対応して生成されたアドバイス情報」に示されるものである。
一方、引用発明の「ホームゲートウェイ11」は、「気象情報中の天気IDをキーにして一意に機器制御情報を作成することも可能であり、運転前に、ユーザに確認を求める設定になっているかどうかを確認し、ユーザの確認が必要であれば、乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータを運転ガイドとして操作表示端末12に送信」したり、「気象情報が示す気象状況がいわゆる洗濯日和であって、かつ、前回の運転から所定の日数が経過しているような場合に、ユーザに洗濯を勧める等のガイドを提示することも可能」とする機能を備えているものである。
ここで、操作表示端末12に「運転ガイド」として送信する上記「乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータ」や上記「ユーザに洗濯を勧める等のガイド」は、気象情報に基づいてホームゲートウェイ11が作成したものであり、その内容からみて、「家電機器の運転を自動的に設定あるいは制御するもの」ではないから、本件補正発明でいう、『天気情報に基づいて生成』された『ユーザが家電機器の操作を行うときに参考にするためのサブ情報』に相当するものである。
してみると、引用発明の「ホームゲートウェイ11」は、本件補正発明でいう『天気情報取得手段が取得した天気情報に基づいて、ユーザが家電機器の操作を行うときに参考にするためのサブ情報を生成するサブ情報生成手段』に相当する手段を備えているといえる。

(e)上記(d)で言及した様に、引用発明の「ホームゲートウェイ11」は、「乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータ」を「運転ガイド」として操作表示端末12に送信したり、「ユーザに洗濯を勧める等のガイド」を提示することが可能である一方、これらの情報の出力先は本件補正発明のそれとは異なるものの、引用発明の「ホームゲートウェイ11」は、本件補正発明でいう『サブ情報生成手段が生成したサブ情報を出力するサブ情報出力手段』に相当する手段を備えているといえる。

(f)上記(b)から(e)で言及した様に、引用発明の「ホームゲートウェイ11」は、「運転ガイド」である「乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータ」や「ユーザに洗濯を勧める等のガイド」等の情報を提供しているのであるから、「ホームゲートウェイ11のほか、操作表示端末12、ランドリー14が接続されたホームネットワーク10を構成要件として備える」引用発明の「自動運転制御システム」は、本件補正発明でいう『情報提供システム』といえる。

したがって、本件補正発明と引用発明とは、

「 通信アダプタを搭載した家電機器と、
前記家電機器と通信可能に接続されるホームゲートウェイと、
から構築され、
前記ホームゲートウェイは、
外部から天気に関する天気情報を取得する天気情報取得手段と、
前記天気情報取得手段が取得した天気情報に基づいて、ユーザが前記家電機器の操作を行うときに参考にするためのサブ情報を生成するサブ情報生成手段と、
前記サブ情報生成手段が生成した前記サブ情報を出力するサブ情報出力手段と、
を備える、
情報提供システム。」

で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件補正発明における『情報端末』は、上記(b)で言及した様に、「制御装置30の他、操作入力部31や表示出力部32等を備えた」ものと解され、当該解釈は、本件補正発明の『前記サブ情報生成手段が生成した前記サブ情報を前記情報端末に出力するサブ情報出力手段と、』という発明特定事項と整合する。
一方、引用発明の「ホームゲートウェイ11」には、本件補正発明の『情報端末』が備える操作入力部や表示出力部に対応するものが備わっていないのであるから、本件補正発明における『情報端末』と引用発明の「ホームゲートウェイ11」とは、かかる点において相違している。

<相違点2>
本件補正発明においては、『サブ情報生成手段が生成した前記サブ情報を出力』する出力先は、『情報端末』であるのに対し、引用発明においては、「運転ガイド」である「乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータ」や「ユーザに洗濯を勧める等のガイド」を出力する出力先が「操作表示端末12」である点。

<相違点3>
本件補正発明においては、『前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる』との事項が特定されているのに対し、引用発明においては、「運転ガイド」である「乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータ」とともにユーザによる確認入力のための「ボタン等」は設けられているものの、「家電機器を操作するためのボタン」ではない点。

エ.判断

上記相違点について検討する。

(a)<相違点1>及び<相違点2>について
引用発明においては、「ホームゲートウェイ11」に対する操作入力部や「ホームゲートウェイ11」から送信される「運転ガイド」等の情報を表示する表示出力部は、「ホームゲートウェイ11」とは別の「操作表示端末12」に備わっているものの、「入力部や表示部を備えるホームゲートウェイ」自体は、本願の出願前において周知のものである。(必要ならば、特開2003-198552号公報、特開2004-318881号公報を参照。)
してみると、引用発明において、「ホームゲートウェイ11」と「操作表示端末12」とを統合して一体のものとすることは、上記周知の事項を鑑みれば、当業者が容易になし得るものである。

そして、「サブ情報の出力先」に係る<相違点2>については、「ホームゲートウェイ11」と「操作表示端末12」とを統合して一体のものとすることで、「サブ情報の出力先」は、必然的に「ホームゲートウェイ11」となるので、<相違点1>と同様に、上記周知の事項を鑑みれば、当業者が容易になし得るものである。

(b)<相違点3>について
引用発明は、「前記ホームゲートウェイ11は、気象情報中の天気IDをキーにして一意に機器制御情報を作成することも可能であり、運転前に、ユーザに確認を求める設定になっているかどうかを確認し、ユーザの確認が必要であれば、乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータを運転ガイドとして操作表示端末12に送信し、その後、その操作表示端末12のボタン等からユーザの確認入力が得られたら、先に作成した機器制御情報をランドリー14へ送信」する機能を備えているのであるから、引用発明においては、「運転ガイド」である「乾燥まで行うかどうか、その運転内容を表示するためのデータ」とともにユーザによる確認入力のための「ボタン等」が設けられていると解される。
また、引用発明は、「ホームゲートウェイ11は、気象情報を受信し、この気象情報を運転条件データ1251と照らし合わせ、最適な機器制御情報を作成し、ユーザに運転前に確認を求めるかどうかの設定に基づき、操作表示端末12等に表示を行わせ、ユーザに運転前の確認を求めた場合には、ユーザによる運転内容の変更も可能であり、」との機能も備えるものである。そして、前記「運転内容の変更」は、「家電機器を操作する」ためになされる事項であることは明らかである。
そして、コンピュータにユーザが何かしらの情報を入力する際、その利用性の向上を考慮して設計することは、たとえ、明細書中に明示的に開示されていないとしても、当業者にとっては普通に考慮すべき一般的な技術的課題である。
してみると、家電機器の運転内容の変更が可能な引用発明において、確認入力のための「ボタン等」を「家電機器を操作するための操作ボタン」に変更すること、又は、確認入力のための「ボタン等」に「家電を操作するための操作ボタン」を追加することは、ユーザによる利用性の向上という一般的な技術的課題を鑑みれば、当業者であれば容易になし得るものである。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する作用効果は、引用発明および周知事項から当業者が予測される範囲内のものであって格別顕著なものとはいうことはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)本件補正についてのむすび

以上の通りであるから、補正後の請求項1に追加された「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」との補正事項は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。また、仮に、特許法第17条の2第5項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとしても、当該補正事項を含む本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)平成30年1月17日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年7月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「2.(1)の(1-2)」に記載のとおりのものである。

(2)原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし3に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2004-325040号公報

(3)引用文献
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1およびその記載事項は、前記「2.(2)の(2-2)イ」に記載したとおりのものである。

(4)対比、判断
本願発明は、本件補正発明から、「前記サブ情報出力手段が出力する前記サブ情報とともに、前記家電機器を操作するための操作ボタンが設けられる」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本件補正発明が前記「2.(2)の(2-2)」に記載したとおり、引用発明および周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明および周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用発明および周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-20 
結審通知日 2018-12-25 
審決日 2019-01-08 
出願番号 特願2013-173545(P2013-173545)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 石川 正二
宮久保 博幸
発明の名称 情報提供システム  
代理人 特許業務法人 サトー国際特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ