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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1349331
審判番号 不服2018-4777  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-09 
確定日 2019-02-21 
事件の表示 特願2016-231747号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月7日出願公開、特開2018-86196号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月29日の出願であって、平成29年9月12日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年11月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年12月27日付け(発送日:平成30年1月9日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年4月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成29年11月15日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
発光体を組み合わせて多色で発光可能な発光部材と、
前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第1の操作手段と、
画面上で前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第2の操作手段と、
前記第1の操作手段または前記第2の操作手段の操作による前記発光部材の輝度を設定する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を前記複数段階のうちのいずれかの段階に設定し、設定された当該発光部材の輝度の段階に応じた前記発光体の輝度の比により特定される発光色で当該発光部材を発光させる発光制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成30年4月9日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
発光体を組み合わせて多色で発光可能な発光部材と、
前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第1の操作手段と、
画面上で前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第2の操作手段と、
前記第1の操作手段または前記第2の操作手段の操作による前記発光部材の輝度を設定する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、当該発光部材を構成する個々の前記発光体の輝度をそれぞれ当該第1段階のときの輝度とは異なる輝度にすると共に、当該発光部材を構成する前記発光体における輝度の比を当該第1段階における輝度の比とは異ならせることで当該発光部材の発光色を変更する発光制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した)。

2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「発光制御手段」について、「発光部材の輝度」に関し、補正前に、「当該発光部材の輝度を前記複数段階のうちのいずれかの段階に設定し、設定された当該発光部材の輝度の段階に応じた前記発光体の輝度の比により特定される発光色で当該発光部材を発光させる」とあったのを、補正後に「当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、当該発光部材を構成する個々の前記発光体の輝度をそれぞれ当該第1段階のときの輝度とは異なる輝度にすると共に、当該発光部材を構成する前記発光体における輝度の比を当該第1段階における輝度の比とは異ならせることで当該発光部材の発光色を変更する」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、当該限定した事項は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の明細書【0143】に記載された事項であるから、本件補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

3 本願補正発明の独立特許要件についての検討
(1)本願補正発明について
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要に示した次のとおりのものである(A?Fは、本願補正発明を分説するため当審にて付与した)。

「【請求項1】
A 遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
B 発光体を組み合わせて多色で発光可能な発光部材と、
C 前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第1の操作手段と、
D 画面上で前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第2の操作手段と、
E 前記第1の操作手段または前記第2の操作手段の操作による前記発光部材の輝度を設定する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、当該発光部材を構成する個々の前記発光体の輝度をそれぞれ当該第1段階のときの輝度とは異なる輝度にすると共に、当該発光部材を構成する前記発光体における輝度の比を当該第1段階における輝度の比とは異ならせることで当該発光部材の発光色を変更する発光制御手段と、
F を備えることを特徴とする、遊技機。」

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2016-64129号公報(平成28年4月28日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様)。

(ア)「【0016】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(イ)「【0024】
演出表示装置9の周囲には、図示するように、14個の多色発光体(多色発光ダイオード)で構成される装飾LED25が設けられている。装飾LED25を構成する多色発光ダイオードは、例えば、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化されたものである。遊技者は、赤色の発光素子、緑色の発光素子、青色の発光素子といったそれぞれの発光素子の点灯状況に応じて、これらが合成された色を認識する。なお、多色発光ダイオードの代わりに、赤色、緑色、青色のそれぞれで発光する3つの発光ダイオードを互いに近傍に配置するようにしてもよい。これにより、多色発光ダイオードと同様の機能を奏することが可能となる。また、それぞれの発光ダイオードを一定の距離離して配置するようにしてもよい。そのようにすれば、パチンコ遊技機1の近傍にいる遊技者に対し多色発光ダイオードとは異なる演出を提供できるとともに、パチンコ遊技機1から離れた位置にいる遊技者に対して多色発光ダイオードと同様の演出を提供することができる。なお、装飾LED25を構成する多色発光ダイオードは、それぞれ、基板ケースを有する発光体ユニット毎に遊技盤6に設置されており、発光体ユニット内に配置されている。」

(ウ)「【0052】
また、遊技領域7の外周には、遊技枠の前面枠に設けられた枠LED28が設けられている。この実施の形態では、枠LED28も、装飾LED25と同様に、多色発光体(多色発光ダイオード)で構成されている。枠LED28を構成する多色発光ダイオードは、例えば、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化されたものである。遊技者は、赤色の発光素子、緑色の発光素子、青色の発光素子といったそれぞれの発光素子の点灯状況に応じて、これらが合成された色を認識する。なお、装飾LED25と同様、多色発光ダイオードの代わりに、赤色、緑色、青色のそれぞれで発光する3つの発光ダイオードを互いに近傍に配置するようにしてもよい。これにより、多色発光ダイオードと同様の機能を奏することが可能となる。また、それぞれの発光ダイオードを一定の距離離して配置するようにしてもよい。そのようにすれば、パチンコ遊技機1の近傍にいる遊技者に対し多色発光ダイオードとは異なる演出を提供できるとともに、パチンコ遊技機1から離れた位置にいる遊技者に対して多色発光ダイオードと同様の演出を提供することができる。」

(エ)「【0232】
また、輝度設定値の初期値を固定値として設定するのではなく、例えば、遊技機への電源投入時に遊技機裏面側のスイッチを操作することによって、遊技店員が任意の値に設定可能に構成してもよい。」

(オ)「【0267】
次いで、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122による前方への傾倒操作が行われたことを示す操作検出信号を入力したか否かを確認する(ステップS829)。前方への傾倒操作が行われたことを示す操作検出信号を入力していれば、演出制御用CPU101は、輝度設定値の値を1加算する(ステップS830)。ただし、前方への傾倒操作が行われたことを示す操作検出信号を入力していても、現在の輝度設定値の値が既に最大値(例えば、輝度設定値2?10のうちの10)となっている場合には、輝度設定値の値の加算は行わない。そして、ステップS833に移行する。
【0268】
前方への傾倒操作が行われたことを示す操作検出信号を入力していなければ、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122による後方への傾倒操作が行われたことを示す操作検出信号を入力したか否かを確認する(ステップS831)。後方への傾倒操作が行われたことを示す操作検出信号を入力していれば、演出制御用CPU101は、輝度設定値の値を1減算する(ステップS832)。ただし、後方への傾倒操作が行われたことを示す操作検出信号を入力していても、現在の輝度設定値の値が既に最小値(例えば、輝度設定値2?10のうちの2)となっている場合には、輝度設定値の値の減算は行わない。そして、ステップS833に移行する。
【0269】
なお、この実施の形態では、輝度設定値の最小値が2である(従って、枠LED28や装飾LED25の輝度を完全に0とするまでは調整できない)場合を示しているが、輝度設定値として0まで調整可能として枠LED28や装飾LED25の輝度を完全に0にするまで調整可能に構成してもよい。
【0270】
ステップS833では、演出制御用CPU101は、変更後の輝度設定値に応じたレインボー演出用のプロセスデータへの切り替えを行い(ステップS833)、プロセスタイマを再スタートさせる(ステップS834)。その後、ステップS833で切り替えられたプロセスデータを用いてステップS828の処理が実行されることによって、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28および装飾LED25の輝度が変更される。
【0271】
ステップS821?S834の処理が実行されることによって、輝度調整可能期間中にスティックコントローラ122を前方または後方に傾倒操作することにより、複数の発光色で確認しながら枠LED28および装飾LED25の輝度を調整することができる。
【0272】
なお、ステップS821?S834の処理が実行されて輝度が調整されると、その後、例えば、演出図柄の変動表示が開始されるときに、後述するように演出図柄変動開始処理のステップS8003の処理において、調整後の輝度設定値が読み出され、その読み出した調整後の輝度設定値に応じたプロセスデータが選択されることによって、調整後の輝度で枠LED28および装飾LED25の発光制御が行われる。」

(カ)「【0279】
次いで、演出制御用CPU101は、RAMに格納されている輝度設定値を読み出し、現在の輝度設定値、変動パターンおよび予告演出を実行する場合にはその予告演出に応じたプロセステーブルを選択する(ステップS8003)。そして、選択したプロセステーブルのプロセスデータ1におけるプロセスタイマをスタートさせる(ステップS8004)。」

(キ)「【0284】
また、演出制御用CPU101は、プロセスデータ1の内容(表示制御実行データ1、ランプ制御実行データ1、音番号データ1)に従って演出装置(演出用部品としての演出表示装置9、演出用部品としての各種ランプおよび演出用部品としてのスピーカ27)の制御を実行する(ステップS8005)。例えば、演出表示装置9において変動パターンに応じた画像を表示させるために、VDP109に指令を出力する。また、各種ランプを点灯/消灯制御を行わせるために、ランプドライバ基板35に対して制御信号(ランプ制御実行データ)を出力する。また、スピーカ27からの音声出力を行わせるために、音声出力基板70に対して制御信号(音番号データ)を出力する。」

(ク)「【0297】
次に、輝度調整可能期間に実行される演出の演出態様について説明する。図33は、輝度調整可能期間に実行される演出の演出態様の具体例を示す説明図である。なお、図33において、(1)(2)(3)・・・の順に演出画面の態様が遷移する。
【0298】
図33(1)に示すように、演出図柄の変動表示が実行されている場合には、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が表示されるととともに、枠LED28および装飾LED25は演出図柄の変動表示に応じたパターンで発光制御される。また、スピーカ27からは演出図柄の変動表示に応じた演出音が出力される(ステップS8005,S8105参照)。」

(ケ)「【0302】
また、図33(3)に示すように、客待ちデモンストレーション表示200の表示およびレインボー演出が開始されると、例えば、演出表示装置9において輝度設定値を示すゲージ表示201などが表示され、輝度設定可能期間に移行する。そして、例えば、図33(4)に示すように、スティックコントローラ122を用いて前方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が高い値に変更され、ゲージ表示201が変更後の輝度設定値に応じた表示に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が上昇する(ステップS829、S830,S833参照)。一方、例えば、図33(5)に示すように、スティックコントローラ122を用いて後方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が低い値に変更され、ゲージ表示201が変更後の輝度設定値に応じた表示に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が低下する(ステップS831、S832,S833参照)。」

(コ)「【0342】
実施の形態3.
第1の実施の形態では、図33に示すように、枠LED28および装飾LED25全体を同じ発光色で発光させながら、例えば、赤→橙→黄→緑→青→青紫→赤紫の発光色の順で枠LED28および装飾LED25を発光させる態様でレインボー演出を実行する場合を示したが、レインボー演出の演出態様は、そのような態様にかぎられない。例えば、枠LED28および装飾LED25全体を同じ発光色で発光させるのではなく、同じタイミングでも枠LED28や装飾LED25を構成する各多色発光体(多色発光ダイオード)の発光色が相互に異なる態様で発光させてレインボー演出を実行するように構成してもよい。以下、枠LED28や装飾LED25を構成する各多色発光体(多色発光ダイオード)の発光色が相互に異なる態様で発光させてレインボー演出を実行する第3の実施の形態について説明する。
【0343】
なお、この実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成および処理をなす部分についてはその詳細な説明を省略し、主として第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0344】
この実施の形態では、飾り図柄の可変表示の開始時やリーチ演出の開始時に、それぞれの多色発光ダイオードの発光色を次々に異なる色へ点灯させていく、レインボー演出が実行されることがある。一般的に、レインボー演出では、各多色発光ダイオードに含まれる赤色の発光素子、緑色の発光素子、青色の発光素子のうち、発光させる発光素子の組合せを変更しながら、多色発光ダイオードの発光色を遷移させていく演出である。具体的には、赤色、緑色、青色それぞれの発光素子(それぞれを(r,g,b)で示し、1が発光、0が消灯とする)のうち、赤色の発光素子のみ発光させて((r,g,b)=(1,0,0))赤色とした後、赤色と緑色の発光素子を発光させて((r,g,b)=(1,1,0))黄色とし、続いて緑色の発光素子のみ発光させて((r,g,b)=(0,1,0))緑色とした後、緑色と青色の発光素子を発光させて((r,g,b)=(0,1,1))は水色とし、その後、青色の発光素子のみ発光させて((r,g,b)=(0,0,1))緑色とした後、赤色と青色の発光素子を発光させて((r,g,b)=(1,0,1))赤紫色とする演出である。すなわち、一般的なレインボー演出では、発光させる発光素子と消灯させる発光素子との組合せを変更することにより発光色を遷移させる。しかしながら、赤色は人間の目に強く印象を与える色であるため、単に発光させる発光素子と消灯させる発光素子との組合せを変更することで発光色を遷移させるだけでは、赤色が他の色より目立ってしまい、赤色発光の変化が唐突にみえてしまう。また、青色発光についての変化が暗くなってしまう。そのため、この実施の形態におけるレインボー演出では、発光色の変化をより滑らかに、かつ明確に遊技者に視認可能とするため、発光させる発光素子の輝度を調整し、各多色発光ダイオードを、赤、橙、黄、緑、青、青紫、赤紫、の順に発光色を変化させる(遷移させる)。赤紫の後には、再び赤に戻って上記発光色の変化を繰り返す。具体的にこの実施の形態におけるレインボー演出では、0?15までの16段階の輝度(16進数において0?Fで示し、1?Fが発光、0が消灯)を設け、赤色の発光素子のみ最大輝度で発光させて((r,g,b)=(F,0,0))赤色とした後、赤色の発光素子を最大輝度で、緑色の発光素子を中間輝度で発光させて((r,g,b)=(F,7,0))橙色としてから、赤色と緑色の発光素子を最大輝度で発光させて((r,g,b)=(F,F,0))黄色とする。その後、緑色の発光素子のみ最大輝度で発光させて((r,g,b)=(0,F,0))緑色とした後、緑色の発光素子と青色の発光素子とを最大輝度で発光させる((r,g,b)=(0,F,F))水色とせずに、青色の発光素子のみ最大輝度で発光させて((r,g,b)=(0,0,F))青色とし、続いて赤色の発光素子を中間輝度で、青色の発光素子を最大輝度で発光させて((r,g,b)=(7,0,F))青紫色とした後に、赤色の発光素子と青色の発光素子とを最大輝度で発光させて((r,g,b)=(F,0,F))赤紫色とする。これによれば、多色発光ダイオードを赤色に発光させた後、多色発光ダイオードに含まれる発光素子の輝度を調節して橙色に発光させてから黄色の発光色に変化させるため、赤色発光の変化が唐突に見えることを防止でき、多色発光ダイオードの発光色の切り替えを滑らかにすることができる。さらに、多色発光ダイオードを緑色に発光させた後、水色に発光させてから青色に変化させるのではなく、青色に変化させるため、青色発光についての変化が暗くなってしまうことを防止でき、多色発光ダイオードの発光色の切り替えを滑らかにすることができる。また、この実施の形態におけるレインボー演出では、詳しくは後述するが、レインボー演出の開始時の発光色をそれぞれの多色発光ダイオードで異ならせておき(例えば、1?14の多色発光ダイオードの発光色をそれぞれ、赤、赤紫、青紫、青、緑、黄、橙、赤、赤紫、青紫、青、緑、黄、橙としておき)、順次それぞれの発光色を変化させる(例えば、1?14の多色発光ダイオードの発光色をそれぞれ、橙、赤、赤紫、青紫、青、緑、黄、橙、赤、赤紫、青紫、青、緑、黄に変化させ、その後、黄、橙、赤、赤紫、青紫、青、緑、黄、橙、赤、赤紫、青紫、青、緑に変化させる)。これによれば、隣合う位置に配置された多色発光ダイオードそれぞれが、同じ発光色に遷移するタイミングが異なるため、遊技者側から見ると、発光色が動いているように見せることができ、遊技興趣を向上させることができる。また、この実施の形態では、詳しくは後述するが、可変表示結果が「大当り」となる場合に、当該レインボー演出が実行されうる。なお、多色発光ダイオードの発光色の変化の順番は、上記の順番と逆(赤紫、青紫、青、緑、黄、橙、赤、の順)であってもよい。また、中間輝度が0?15までの16段階のうち「7」である例を示したが、例えば、橙色の場合には、緑色の発光素子の輝度を「3」にするなど((r,g,b)=(F,3,0))、発光色によって変更してもよい。」

(サ)「【0353】
また、この実施の形態で示した構成についても、第1の実施の形態における枠LED28および装飾LED25の輝度調整を行う構成や、第2の実施の形態におけるスピーカ27の音量調整を行う構成を組み合わせて構成しても構わない。」

(シ)【図33】に関し、図33(3)には輝度設定値を示すゲージ表示201が表示され、図33(4)には、図33(3)のゲージ表示201より高い輝度設定値を示すゲージ表示が表示され、図33(5)には、図33(3)のゲージ表示201より低い輝度設定値を示すゲージ表示が表示されることが、示されている。

【図33】



以上の記載事項(ア)?(シ)から、引用文献1には、「第1の実施の形態」を中心に、次の技術的事項が記載されているものと認められる(a?fは、本願補正発明の分説A?Fに対応させている)。

(a、f)記載事項(ア)から、パチンコ遊技機1が記載されている。
また、記載事項(ク)(【0298】)に、枠LED28および装飾LED25は演出図柄の変動表示に応じたパターンで発光制御されることが記載されている。
そうすると、引用文献1には、演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1が記載されている。

(d)記載事項(ケ)から、演出表示装置9において輝度設定値を示すゲージ表示201などが表示され、スティックコントローラ122を用いて前方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が高い値に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が上昇すること、スティックコントローラ122を用いて後方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が低い値に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が低下することが記載されている。また、輝度調整可能期間に実行される演出の演出態様の具体例を示す説明図である図33(記載事項(ク)【0297】)には、記載事項(シ)から、輝度設定値を示すゲージ表示201が表示され(図33(3))、図33(3)のゲージ表示201より、高い輝度設定値を示すゲージ表示(図33(4))、低い輝度設定値を示すゲージ表示(図33(5))が表示されることが示されている。
これらのことから、引用文献1には、演出表示装置9に表示される輝度設定値を、操作により、表示された輝度設定値より高い輝度設定値又は低い輝度設定値に変更するスティックコントローラ122が記載されている。

(e)記載事項(カ)、(キ)から、演出制御用CPU101は、輝度設定値を読み出し、現在の輝度設定値に応じたプロセステーブルを選択し、選択したプロセステーブルのプロセスデータ1の内容に従って各種ランプの制御を実行することが記載されている。また、記載事項(オ)(【0267】、【0268】、【0270】)から、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122により、前方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1加算し、後方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1減算し、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更することが記載されており、記載事項(ケ)から輝度設定値が高い値に変更されると、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が上昇し、輝度設定値が低い値に変更されると発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が低下することが記載されている。これらのことから、引用文献1には、輝度設定値に応じて各種ランプの制御を実行するとともに、スティックコントローラ122により、前方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1加算し、後方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1減算し、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更し、枠LED28及び装飾LED25の輝度を上昇又は低下させる演出制御用CPU101が記載されている。

以上の記載事項(ア)?(シ)及び認定事項(a)?(f)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a?fは、本願補正発明の分説A?Fに対応させて付与した)。

「a 演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1であって、
b 赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成され、それぞれの発光素子の点灯状況に応じてこれらが合成された色が認識される装飾LED25及び枠LED28(記載事項(イ)【0024】、記載事項(ウ)【0052】)と、
c 輝度設定値の初期値を任意の値に設定可能な遊技機裏面側のスイッチ(記載事項(エ)【0232】)と、
d 演出表示装置9に表示される輝度設定値を、操作により、表示された輝度設定値より高い輝度設定値又は低い輝度設定値に変更するスティックコントローラ122と、
e 輝度設定値に応じて各種ランプの制御を実行するとともに、スティックコントローラ122により、前方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1加算し、後方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1減算し、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更し、枠LED28及び装飾LED25の輝度を上昇又は低下させる演出制御用CPU101と、
f を備えた、パチンコ遊技機1。」

また、引用文献1には、「実施の形態3.」(記載事項(コ)【0342】)として、次の技術的事項(以下、「引用文献1に記載された技術的事項1」という。)が記載されており、第1の実施の形態における枠LED28および装飾LED25の輝度調整を行う構成と組み合わせてよいことも記載されている(記載事項(サ))。

「レインボー演出の際に、0?15までの16段階の輝度(16進数において0?Fで示し、1?Fが発光、0が消灯)を設け、赤色の発光素子を最大輝度で、緑色の発光素子を中間輝度で発光させて((r,g,b)=(F,7,0))橙色とすることや、赤色の発光素子を中間輝度で、青色の発光素子を最大輝度で発光させて((r,g,b)=(7,0,F))青紫色とすること」(記載事項(コ)【0344】)。

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で周知技術の例として引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2016-195926号公報(平成28年11月24日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「【0206】
操作ボタン516の長押し操作が無い場合は(ステップSh4;No)、ステップSh17に進み、操作ボタン516の長押し操作が有る場合は(ステップSh4;Yes)、ユーザー調整可能設定有り否か、つまり、設定切替スイッチ300のチャンネルが遊技者により音量の設定値を調整可能な0?5のいずれかに設定されているか否かを判定する(ステップSh5)。尚、ステップSh4において一度操作ボタン516の長押し操作が有ると判定された場合(ステップSh4;Yes)には、次回のサブCPUタイマ割込処理内で実行される演出設定調整処理でのステップSh4の判定においても、操作ボタン516の長押し操作有り(ステップSh4;Yes)と判定する。このようにステップSh4の処理を実行することで、複数回のサブCPUタイマ割込処理に亘って実行される演出設定調整処理において、操作ボタン516の長押し操作を継続して判定することができる。ユーザー調整可能設定無しの場合は(ステップSh5;No)、ステップSh13に進み、ユーザー調整可能設定有りの場合は(ステップSh5;Yes)、演出表示装置9に図25(A)に示すように、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量及び装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530等の各種発光手段の光量を調整可能な設定調整画面を表示し(ステップSh6)、遊技者による操作レバー600及び操作ボタン516の操作により音量・光量の調整操作を受付ける第1設定操作受付処理を実行する(ステップSh7)。
【0207】
尚、本実施の形態における音量のレベル(選択数値)は、設定切替スイッチ300のチャンネル0?Bと同様にレベル1からレベル6までの6段階に設定されており、光量のレベルは、レベル1?レベル4までの4段階に設定されている。また、光量のレベルはレベル1が最も小さく、レベル4が最も大きく設定されている。このステップSh6及びステップSh7の設定調整画面では、具体的には、図25(A)に示すように、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量のレベル1?6までを操作レバー600によって選択可能なダイアログと、各種発光手段の光量のレベル1?4までを操作レバー600によって選択可能なダイアログとが表示されている。遊技者は、操作レバー600を前後に傾動させることで両ダイアログの内から1のダイアログを選択可能となっているとともに、操作レバー600を左右に移動させることで、選択したダイアログにおける音量または光量のレベルを変更可能となっている。そして、遊技者は、最後に操作ボタン516を操作することで、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量及び各種発光手段の光量の決定操作を実行可能となっている。」

ウ 引用文献3
原査定の拒絶の理由で周知技術の例として引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2016-172072号公報(平成28年9月29日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「【0135】
次に、設定切替スイッチ300について説明する。図6に示すように、設定切替スイッチ300は、0?Fまでの計16個のチャンネルを備えており、これらチャンネルをツマミ301を回動操作することで切り替えるセレクタスイッチである。本実施例では、図7に示すように、ホール(遊技場)の店員等が設定切替スイッチ300のツマミ301をチャンネル0?Fのいずれかに切り替えた後にパチンコ遊技機1の電源を入れることで、パチンコ遊技機1の遊技においてスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量の初期値と、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光の光量(輝度)の初期値と、遊技者が調整可能な音量及び光量の調整範囲とを設定することが可能となっている。本実施例では、該設定切替スイッチ300のつまみ301を切り替えることで設定される音量の初期値と光量の初期値及び各チャンネルにおける遊技者が調整可能な音量及び光量の調整範囲とを、ホール設定値と定義する。
【0136】
具体的には、図7に示すように、光量(輝度)の初期値としては、チャンネル0?2及びチャンネルB?Fは、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dにて出力される光量が通常量である『100%』に割り当てられており、チャンネル3は、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dにて出力される光量が通常量に対する『10%』に割り当てられており、チャンネル4?7は、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dにて出力される光量が通常量に対する『30%』に割り当てられており、チャンネル8?Aは、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dにて出力される光量が通常量に対する『65%』に割り当てられている。尚、本実施例では、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dの全てを等しく光量を調整する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dの一部のみの光量が調整されるようにしても良い。」

(イ)「【0247】
設定切替スイッチ300により設定されているチャンネルがチャンネル5?チャンネルAのいずれでもない場合は(ステップSh8;No)演出表示装置9の画面に、音量を『0?1』の範囲で調整可能且つ、光量を『100%』、『65%』、『30%』のから調整可能な設定調整画面を表示し(ステップSh10)、ステップSh11に進む。
【0248】
尚、これらステップSh7、ステップSh9及びステップSh10における設定調整画面では、具体的には、図27に示すように、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量を各ステップにおいて定められた範囲で操作レバー600によって選択可能なダイアログと、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dの光量を各ステップにおいて定められた範囲で操作レバー600によって選択可能なダイアログとが表示されている。遊技者は、操作レバー600を前後に傾動させることで両ダイアログの内から1のダイアログを選択可能となっているとともに、操作レバー600を左右に傾動させることで、選択したダイアログにおける音量または光量を変更可能となっている。そして、遊技者は、最後に操作ボタン516を操作することで、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量及び装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、バックライト9dの光量の設定操作を実行することで、該設定操作における音量及び光量を遊技者設定値として設定可能となっている。つまり、遊技者は、操作レバー600を上下に傾動させることで、音量と光量とから変更を所望する設定を選択し、該選択の後に操作レバー600の左右への傾動と操作ボタン516の操作により、音量と光量とを独立して設定することが可能となっている。」

エ 引用文献4
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2010-232839号公報(平成22年10月14日出願公開。以下「引用文献4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「【0022】
音響調整卓1の操作パネル上に配置された複数の操作子のうちには、LED(発光ダイオード(Light Emitting Diode))が組み込まれたLED操作子が含まれる。「多色LEDユニットが組み込まれたLED操作子」とは、その操作子の操作状態や、その操作子に関連するパラメータの状態等を発光により表示する多色LEDユニットが、その操作子に対応して設けられているものをいう。
【0023】
LED操作子の形態は、スライド式に操作されるレベル操作子、回転操作式のノブ型操作子、あるいは、押しボタンスイッチなど、色々な形態が可能である。
本実施例では、一例として、LED操作子が押しボタンスイッチにより構成される例について説明する。以下、本明細書において、多色LEDユニットが組み込まれたLED操作子を「LEDボタン」という。図1においては、例えば、チャンネルストリップセクション3の各チャンネルストリップに含まれる押しボタンスイッチ6や、コントロールセクション7のチャンネル選択ボタン8などがLEDボタンにより構成される。この場合、LEDボタンの発光機能は、例えば、点灯することにより、そのLEDボタンに割り当てられたパラメータのオン・オフ状態をユーザに視認させることや、或いは、発光色により、そのLEDボタンに割り当てられたパラメータの種類をユーザに視認させること等、色々な用途に用いることができる。
【0024】
図2は、LEDボタンの構成を説明するための概略斜視図である。図2において、網掛けで示す部分は操作パネルの表面であり、符号9はLEDボタンを示し、符号9aはLEDボタン9のキートップ部を示す。1つのLEDボタン9には、それぞれ異なる色で発光する複数のLEDを1組にユニット化した多色LEDユニット10が組み込まれている。多色LEDユニット10は、具体的には色の三原色である赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の各色毎の3つのLED11,12及び13からなる。」

(イ)「【0040】
表示制御回路24は、CPU21から与えられる命令に基づき、従来から知られるダイナミック点灯という点灯制御方式により各多色LEDユニット10(LEDボタン9)を構成する各LEDを個別に点灯制御する。図5(a),(b)は、ダイナミック点灯方式による多色LEDユニット10(LEDボタン9)の点灯動作を説明する図であって、横軸は時間を示す。(a)は、ダイナミック点灯方式により、所定の点灯周期(図の例では12ミリ秒(12ms))毎に、所定の複数個(図の例では8個)の多色LEDユニット10を順次点灯させる様子を示す。」

(ウ)「【0046】
ところで、点灯時間の制御という観点からすれば、1.5msの期間内におけるLEDのオン・オフのタイミグが異なるだけで、同じ点灯時間を持つオン・オフタイミングのパターンについては、それらの区別をする必要は無い。そこで、本実施例では、図6に示すように、それぞれ点灯時間が異なる6通りの時間パターンを予め決めておき、各LEDに対する点灯制御データとして、図6に示す6通りの時間パターンのいずれかの時間パターンが設定されるものとする。
【0047】
図6において、「パターン6」は6ビットの全てのビットがオンに設定される時間パターン、「パターン5」は6ビットのうち5ビットがオンに設定される時間パターン、「パターン4」は6ビットのうち4ビットがオンに設定される時間パターン、「パターン3」は6ビットのうち3ビットがオンに設定される時間パターン、「パターン2」は6ビットのうち2ビットがオンに設定される時間パターン、及び「パターン1」は6ビットのうち1ビットがオンに設定される時間パターンである。これら6通りの時間パターン「パターン6」?「パターン1」は、「パターン6」が最も輝度が高い(明るい)パターンであり、以下、番号順に点灯時間が1段階ずつ短くなるにつれ、輝度が1段階ずつ低くなる。「パターン1」が最も輝度が低い(暗い)パターンである。」

(エ)「【0054】
《輝度調整モード》
LEDボタン9の輝度(明るさ)を調整する場合には、ユーザは、先ず、輝度調整モード選択ボタン(Brightness)15を操作して、上記図7の処理により輝度調整モードをオンにする。そして、調整対象指定ボタン17,18,19及び20を用いて、調整対象の色(LED)を指定し、LEDボタン9を操作して、該操作したLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10中の調整対象の色(LED)について輝度を調整する。」

(オ)「【0061】
また、指定された調整対象が全色(3つのLED)の場合、CPU21は、操作されたLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10を構成する3つのLEDに対する点灯制御データを、ROM22又はRAM23から取得する(ステップS10)。そして、CPU21は、前記ステップS10で取得した各LED毎の各点灯制御データの値を、それぞれ、1段階輝度の高い(明るい)パターンに変更する(ステップS11)。CPU21は、ROM22又はRAM23の記憶内容を、前記点灯制御データの値の変更に応じて書き換える。これにより、操作されたLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10の3つのLEDに対する点灯制御データの値が一斉に変更されて、その多色LEDユニット10の輝度(明るさ)が一段階増す。すなわち、ステップS10及びステップS11と、前記ステップS8及びステップS9との違いは、調整対象に指定された1色分の点灯制御データについて処理するか、全色分(3つのLED分)の点灯制御データについて処理するか、という点である。」

(カ)「【0064】
また、調整対象として全色を指定した場合(調整対象指定ボタン20をオンにした場合)には、LEDボタン9を1回操作するごとに、CPU21がステップS10及びS11を実行することで、そのLEDボタン9に組み込まれた多色LEDユニット10の全てのLEDの明るさが1段階ずつ増す。したがって、この場合、ユーザは、多色LEDユニット10全体の輝度を調整して、その多色LEDユニット10の明るさを変更できる。そのLEDボタン9が所望の明るさになったら、そのLEDボタン9の操作を終了する。この作業を複数のLEDボタン9について行うことで、各LEDボタン9毎にユーザの好みの明るさを得ることができる。複数LEDボタン9の間での多色LEDユニット10全体の輝度のバラツキを補正したい場合には、この方法が適している。」

(キ)「【0071】
色合調整モードでは、LEDボタン9の操作に応じて、当該LEDボタン9に対応する多色LEDユニット10中の調整対象に指定された色(LED)の輝度を高くするとともに、他の色(LED)の輝度を低くすることで、多色LEDユニット10のRGBバランスを変更し、それにより多色LEDユニット10(LEDボタン9)の発光色の色合を調整する。図10は、色合調整モードにおいて、多色LEDユニット10の発光色の色合を変更するときの、RGBバランスの変化の様子を説明する図である。」

(ク)「【0074】
調整対象を1色ずつ指定した場合(調整対象指定ボタン17,18又は19をオンにした場合)には、CPU21は、操作されたLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10中の調整対象の色(LED)に対する点灯制御データの値を、1段階輝度の高いパターンに変更するとともに(ステップS13)、調整対象以外の色(LED)に対する点灯制御データの値を、1段階輝度の低いパターンに変更する(ステップS14)。CPU21は、ROM22又はRAM23の記憶内容を、前記点灯制御データの値の変更に応じて書き換える。すなわち、LEDボタン9が1回ずつ操作される毎に、CPU21は、ステップS13及びS14を実行することにより、ユーザによって操作されたLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10において、調整対象に指定された色(LED)の輝度が相対的に高くなるよう、該多色LEDユニット10を構成する複数のLEDの輝度の比率を変更する(図10参照)。」

(ケ)「【0088】
また、上記実施例では、調整対象指定ボタン17,18,19及び20は、いずれか1つのみが排他的にオン状態となるものとして説明したが、各色毎に調整対象を指定する調整対象指定ボタン17,18及び19については、1以上の複数を同時にオンにすることができてもよい。つまり、2つの色を調整対象に指定することができてもよい。この場合、CPU21は、前記ステップS5において該指定された2つの色に対応するLEDを調整対象にセットし、輝度調整モードの場合には前記ステップS8及びS9において該指定された2つの色に対する各点灯制御データを輝度が高いものに変更する。また、色合調整モードの場合には、CPU21は、前記ステップS13及びS14において、指定された2つの色について各点灯制御データの輝度を上げるとともに、指定された色以外の色に対応するLEDについて点灯制御データが表す輝度を下げる。」

以上の記載事項(ア)?(カ)から、引用文献4には、以下の技術的事項(以下、「引用文献4に記載された技術的事項1」という。)が記載されている。

「音響調整卓1として、それぞれ異なる色で発光する複数のLEDを1組にユニット化した多色LEDユニット10が組み込まれているLEDボタン9を複数備えたものであり(記載事項(ア))、表示制御回路24はLEDボタン9を構成する各LEDを個別に点灯制御し(記載事項(イ))、各LEDに対する点灯制御データとして輝度が異なる6通りの時間パターンがあり(記載事項(ウ))、LEDボタン9の輝度(明るさ)を調整する場合には、調整対象の色(LED)を指定し(記載事項(エ))、指定された調整対象が全色(3つのLED)の場合、各LED毎の各点灯制御データの値を、それぞれ、1段階輝度の高い(明るい)パターンに変更することで、その多色LEDユニット10の輝度(明るさ)が一段階増すこと(記載事項(オ)、(カ))。」

また、以上の記載事項(ア)?(ウ)、(キ)?(ケ)から、引用文献4には、以下の技術的事項(以下、「引用文献4に記載された技術的事項2」という。)が記載されている。

「音響調整卓1として、それぞれ異なる色で発光する複数のLEDを1組にユニット化した多色LEDユニット10が組み込まれているLEDボタン9を複数備えたものであり(記載事項(ア))、表示制御回路24はLEDボタン9を構成する各LEDを個別に点灯制御し(記載事項(イ))、各LEDに対する点灯制御データとして輝度が異なる6通りの時間パターンがあり(記載事項(ウ))、色合調整モードで(記載事項(キ))、調整対象を1色ずつ指定した場合には、操作されたLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10中の調整対象の色(LED)に対する点灯制御データの値を、1段階輝度の高いパターンに変更するとともに、調整対象以外の色(LED)に対する点灯制御データの値を、1段階輝度の低いパターンに変更することで、該多色LEDユニット10を構成する複数のLEDの輝度の比率を変更し(記載事項(ク))、2つの色を調整対象に指定することで、指定された2つの色について各点灯制御データの輝度を上げるとともに、指定された色以外の色に対応するLEDについて点灯制御データが表す輝度を下げることで(記載事項(ケ))、多色LEDユニット10のRGBバランスを変更し、多色LEDユニット10の発光色の色合を調整すること(記載事項(キ))。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(見出しa?fは、本願補正発明の分説A?Fに対応させて付与した)。

a、f 引用発明の「a 演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1」について、「演出図柄の変動表示」が行われることは、遊技が行われることであり、「パターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御される」ことは、枠LED28及び装飾LED25が発光する演出が行われることであるから、引用発明の「a 演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1」及び「f パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「A 遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機」及び「F 遊技機」に相当する。

b 引用発明の「赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオード」の「発光素子」は、本願補正発明の「発光体」に相当する。そして、引用発明の「b 赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成され、それぞれの発光素子の点灯状況に応じてこれらが合成された色が認識される装飾LED25及び枠LED28」は、本願補正発明の「B 発光体を組み合わせて多色で発光可能な発光部材」に相当する。

c 引用発明の「c 輝度設定値の初期値を任意の値に設定可能な遊技機裏面側のスイッチ」について、輝度設定値の初期値は、装飾LED25及び枠LED28の輝度を設定するために操作されるものであるから、本願補正発明の「C 前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第1の操作手段」と、「C’ 発光部材の輝度を設定するための値を変更するために操作される第1の操作手段」である点で共通する。

d 引用発明の「スティックコントローラ122」は、「枠LED28及び装飾LED25」の輝度を設定する輝度設定値を変更するために操作されるものであり、輝度設定値は演出表示装置9に表示されるものであるから、引用発明の「d 操作により、演出表示装置9に表示される輝度設定値を高い輝度設定値又は低い輝度設定値に変更するスティックコントローラ122」は、本願補正発明の「D 画面上で前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第2の操作手段」と、「D’ 画面上で発光部材の輝度を設定するための値を変更するために操作される第2の操作手段」である点で共通する。

e 引用発明の「演出制御用CPU101」は、スティックコントローラ122の前方への傾倒操作又は後方への傾倒操作により、枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更するものであり、「スティックコントローラ122の前方への傾倒操作又は後方への傾倒操作」は、枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更する指示であると言える。また、枠LED28及び装飾LED25の変更前の輝度を第1段階の輝度、変更後の輝度を第2段階の輝度と言うことができる。
そうすると、引用発明の「e 輝度設定値に応じて各種ランプの制御を実行するとともに、スティックコントローラ122により、前方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1加算し、後方への傾倒操作が行われたことで輝度設定値の値を1減算し、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更し、枠LED28及び装飾LED25の輝度を上昇又は低下させる演出制御用CPU101」は、本願補正発明の「E 前記第1の操作手段または前記第2の操作手段の操作による前記発光部材の輝度を設定する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、当該発光部材を構成する個々の前記発光体の輝度をそれぞれ当該第1段階のときの輝度とは異なる輝度にすると共に、当該発光部材を構成する前記発光体における輝度の比を当該第1段階における輝度の比とは異ならせることで当該発光部材の発光色を変更する発光制御手段」と、「E’ 操作手段の操作による前記発光部材の輝度を変更する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更する発光制御手段」である点で共通する。

上記a?fによれば、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
B 発光体を組み合わせて多色で発光可能な発光部材と、
C’ 発光部材の輝度を設定するための値を変更するために操作される第1の操作手段と、
D’ 画面上で発光部材の輝度を設定するための値を変更するために操作される第2の操作手段と、
E’ 操作手段の操作による前記発光部材の輝度を変更する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更する発光制御手段と、
F を備える、遊技機」
である点で一致し、次の3点で相違する。

相違点1 「C’ 発光部材の輝度を設定するための値を変更するために操作される第1の操作手段」について、本願補正発明では、「発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する」ものであるのに対し、引用発明では、「輝度設定値の初期値を任意の値に設定可能」なものである点で一応相違する。

相違点2 「D’ 画面上で発光部材の輝度を設定するための値を変更するために操作される第2の操作手段」について、本願補正発明では、「発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する」ものであるのに対し、引用発明では、「表示された輝度設定値より輝度設定値を高い輝度設定値又は低い輝度設定値に変更する」ものである点で一応相違する。

相違点3 「E’ 操作手段の操作による前記発光部材の輝度を変更する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更する発光制御手段」について、本願補正発明では、「当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、当該発光部材を構成する個々の前記発光体の輝度をそれぞれ当該第1段階のときの輝度とは異なる輝度にすると共に、当該発光部材を構成する前記発光体における輝度の比を当該第1段階における輝度の比とは異ならせることで当該発光部材の発光色を変更する」のに対し、引用発明ではそのような特定について明らかではない点で相違する。

(4)判断
以下、相違点について検討する。

ア 相違点1について
引用発明の「遊技機裏面側のスイッチ」は、「輝度設定値の初期値」を設定するものであるが、引用発明では、「演出制御用CPU101」が「輝度設定値に応じて各種ランプの制御を実行」しており、「遊技機裏面側のスイッチ」を操作することにより、「枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更」すると言える。そして、「スイッチ」が切替を行うものであることは当業者における技術常識であり、引用発明において、「任意の値に設定可能な」「スイッチ」は、複数の「任意の値」に切替えて「設定可能な」「スイッチ」である。そうすると、引用発明の「遊技機裏面側のスイッチ」は、枠LED28及び装飾LED25の輝度を、複数の任意の値に切替えて設定するものであり、本願補正発明の「前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第1の操作手段」と相違するものではない。
してみると、上記一応の相違点1は、実質的に相違するものではない。
よって、相違点1は、一致点であり、相違点ではない。
ここでは、仮に、相違点1で相違するものであるとして検討する。
設定切替スイッチをいずれかのチャンネルに切り替えることで、ステージ装飾LEDや枠LED等から出力される光の光量(輝度)の初期値を複数段階のうちのいずれかの段階に設定することは、上記引用文献3の記載事項(ア)に記載されるように、当業者に周知の技術である(以下、「周知技術1」という)。
引用発明では、遊技機裏面側のスイッチにより、輝度設定値の初期値を変更しているが、上記周知技術1を参照し、設定切替スイッチにより光の光量(輝度)を複数段階のうちのいずれかの段階に設定し、輝度を変更するようなものとすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。
してみれば、引用発明において、上記周知技術1を参照し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。

イ 相違点2について
引用発明の「スティックコントローラ122」は、「輝度設定値」を変更するものであるが、引用発明では、「演出制御用CPU101」が「変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更」しており、「スティックコントローラ122」を操作することにより、「枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更」すると言える。また、引用発明の「スティックコントローラ122」は、「表示された輝度設定値より輝度設定値を高い輝度設定値又は低い輝度設定値に変更する」ものであり、操作しないことにより輝度設定値を変更しないことを考えると、表示された輝度設定値、表示された輝度設定値より高い輝度設定値及び表示された輝度設定値より低い輝度設定値の、3つの値、すなわち複数段階のうちのいずれかの段階に設定するものである。
してみると、上記一応の相違点2は、実質的に相違するものではない。
よって、相違点2は、一致点であり、相違点ではない。
ここでは、仮に、相違点2で相違するものであるとして検討する。
演出表示装置にステージ装飾LEDや枠LED等の各種発光手段の光量を調整可能な設定調整画面を表示し、その画面上で、遊技者による操作レバーの操作により光量を複数段階のうちのいずれかの段階に設定することは、上記引用文献2の記載事項(ア)や引用文献3の記載事項(イ)にそれぞれ記載されるように、当業者に周知の技術である(以下、「周知技術2」という)。
引用発明では、演出表示装置9に表示される輝度設定値を、スティックコントローラ122の操作により、高い輝度設定値又は低い輝度設定値に変更しているが、上記周知技術2を参照し、スティックコントローラ122の操作により、演出表示装置9に表示される輝度設定値を複数段階のうちのいずれかの段階に設定することで、枠LED28及び装飾LED25の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定するようなものとすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。
してみれば、引用発明において、上記周知技術2を参照し、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。

ウ 相違点3について
まず、引用発明において、操作手段の操作により枠LED28及び装飾LED25の輝度を設定した場合に、枠LED28及び装飾LED25を構成する多色発光ダイオードの各発光素子の輝度がどのようになるかについて、検討する。
引用文献1には、輝度設定値を変更すると、「変更後の輝度設定値に応じたレインボー演出用のプロセスデータへの切り替えを行い」、「変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28および装飾LED25の輝度が変更される」こと(記載事項(オ)【0270】)や、「調整後の輝度設定値が読み出され、その読み出した調整後の輝度設定値に応じたプロセスデータが選択されることによって、調整後の輝度で枠LED28および装飾LED25の発光制御が行われる」こと(記載事項(オ)【0272】)は記載されているものの、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度がどのように変更されるかについて特に記載されていない。

(ア)「引用文献4に記載された技術的事項1」に基づいて
引用文献4には、上記「引用文献4に記載された技術的事項1」として摘記したとおり、LEDボタン9の輝度(明るさ)を調整する場合に、全色が調整対象の場合、各LED毎の各点灯制御データの値を、それぞれ、1段階輝度の高い(明るい)パターンに変更することで、その多色LEDユニット10の輝度(明るさ)が一段階増すことが記載されている。
引用発明及び引用文献4に記載された技術的事項1のいずれも、多色発光ダイオードを用いて多色の発光を行うという点で技術分野が共通するものであり、また、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度を制御することで発光色の調整を行うと共に、多色発光ダイオードで構成される装飾LED25及び枠LED28(LEDボタン9)の輝度を調整するという課題も共通するものである。
そして、引用文献1には、「引用文献1に記載された技術的事項1」として摘記したとおり、0?15までの16段階の輝度(16進数において0?Fで示し、1?Fが発光、0が消灯)を設け、赤色の発光素子を最大輝度で、緑色の発光素子を中間輝度で発光させて((r,g,b)=(F,7,0))橙色とすることや、赤色の発光素子を中間輝度で、青色の発光素子を最大輝度で発光させて((r,g,b)=(7,0,F))青紫色とすることが記載されており、上記「引用文献4に記載された技術的事項1」のように、装飾LED25及び枠LED28(LEDボタン9)の輝度を1段階輝度を高くするとした場合、0?15までの16段階の輝度(16進数において0?F)であることを踏まえると、Fの輝度はそれ以上高くならないことから、橙色は、(r,g,b)=(F,8,1)のような発光となり、青紫色は(r,g,b)=(8,1,F)のような発光となり、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比は、輝度を高くする前と後とで、異なるものとなる。また、例えば、(r,g,b)=(4,5,3)のような発光を考えたとき、1段階輝度を高くするとした場合には(r,g,b)=(5,6,4)のような発光と、1段階輝度を低くするとした場合には(r,g,b)=(3,4,2)のような発光となり、いずれの場合にも多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比は、輝度を高く又は低くする前と後とで、異なるものとなる。このことは、輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定した上で輝度を高く又は低くした場合でも、同様である。
さらに、このように多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比が異なるものとなることは、引用発明において、スティックコントローラ122の操作により輝度が設定された場合でも、遊技機裏面側のスイッチの操作により輝度が設定された場合でも、同様である。
そうすると、引用発明に、引用文献4に記載された技術的事項1を適用して、操作手段の操作により枠LED28及び装飾LED25の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定することで、枠LED28及び装飾LED25の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、枠LED28及び装飾LED25を構成する多色発光ダイオードの各発光素子の輝度をそれぞれ1段階ずつ高く又は低くしようとすることで、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度を第1段階の輝度とは異なる輝度にすること、そのことにより多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比が、第1段階の輝度の比と異なることになり発光色が変更されることで、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。

(イ)「引用文献4に記載された技術的事項2」に基づいて
引用文献4には、上記「引用文献4に記載された技術的事項2」として摘記したとおり、多色LEDユニット10中の調整対象の色(LED)に対する点灯制御データの値を、指定された2つの色について各点灯制御データの輝度を上げるとともに、指定された色以外の色に対応するLEDについて点灯制御データが表す輝度を下げることで、該多色LEDユニット10を構成する複数のLEDの輝度の比率を変更し、多色LEDユニット10の発光色の色合を調整することが記載されている。このように、多色LEDユニット10を構成する複数のLEDの輝度を変更することで、多色LEDユニット10全体の輝度が変更されることも当業者には明らかである。
引用発明及び引用文献4に記載された技術的事項2のいずれも、多色発光ダイオードを用いて多色の発光を行うという点で技術分野が共通するものであり、また、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度を制御することで発光色の調整を行うと共に、多色発光ダイオードで構成される装飾LED25及び枠LED28(LEDボタン9)の輝度を調整するという課題も共通するものである。また、このように多色発光ダイオードの各発光素子の輝度を調整することは、引用発明において、スティックコントローラ122の操作により輝度が設定された場合でも、遊技機裏面側のスイッチの操作により輝度が設定された場合でも、同様である。
そうすると、引用発明に、引用文献4に記載された技術的事項2を適用して、操作手段の操作により枠LED28及び装飾LED25の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定することで、枠LED28及び装飾LED25の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、枠LED28及び装飾LED25を構成する多色発光ダイオードの各発光素子の輝度について、ある2つの色について各点灯制御データの輝度を上げるとともに、2つの色以外の色に対応するLEDについて点灯制御データが表す輝度を下げることで、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度を第1段階の輝度とは異なる輝度にすると共に、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比が、第1段階の輝度の比と異なることになり発光色が変更されることで、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2に基づいて、若しくは、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2並びに周知技術1及び周知技術2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2に基づいて、若しくは、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書において、引用文献のいずれにも「発光部材の輝度を変更した場合に発光部材を構成する個々の発光体の輝度を変えると共に各発光体の輝度の比を変えることについては開示も示唆もされていない」と主張している。
しかし、この点については、上記(4)判断ウ で示したとおり、引用発明に、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2を適用することで、枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更した場合に、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度を異なる輝度にすると共に、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比が異なることになるものであり、請求人の主張は採用できない。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2に基づいて、若しくは、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正の却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成30年4月9日付け手続補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年11月15日付け手続補正書により補正された、上記第2[理由]1で示した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
発光体を組み合わせて多色で発光可能な発光部材と、
前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第1の操作手段と、
画面上で前記発光部材の輝度を複数段階のうちのいずれかの段階に設定する第2の操作手段と、
前記第1の操作手段または前記第2の操作手段の操作による前記発光部材の輝度を設定する指示を受け付け、受け付けた指示に応じて当該発光部材の輝度を前記複数段階のうちのいずれかの段階に設定し、設定された当該発光部材の輝度の段階に応じた前記発光体の輝度の比により特定される発光色で当該発光部材を発光させる発光制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概略


2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由2.(特許法第29条第2項)
・請求項1
・引用文献等1または2、および、3、4

<引用文献等一覧>
1.特開2016-064129号公報
2.特開2010-042062号公報
3.特開2016-195926号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2016-172072号公報(周知技術を示す文献)


3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1、引用文献3及び引用文献4の記載事項は、上記第2[理由]3(2)ア、イ及びウに、引用文献1、引用文献2及び引用文献3として記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、上記第2[理由]2で示したとおり、本願発明の「発光制御手段」について、「発光部材の輝度」に関し、補正前に、「当該発光部材の輝度を前記複数段階のうちのいずれかの段階に設定し、設定された当該発光部材の輝度の段階に応じた前記発光体の輝度の比により特定される発光色で当該発光部材を発光させる」とあったのを、補正後に「当該発光部材の輝度を第1段階から第2段階に変更した場合に、当該発光部材を構成する個々の前記発光体の輝度をそれぞれ当該第1段階のときの輝度とは異なる輝度にすると共に、当該発光部材を構成する前記発光体における輝度の比を当該第1段階における輝度の比とは異ならせることで当該発光部材の発光色を変更する」と限定したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]3(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2に基づいて、若しくは、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであり、上記限定に対して、上記第2[理由]3(4)ウに示したとおり引用文献4に記載された技術的事項1又は引用文献4に記載された技術的事項2を適用したものであるから、本願発明は、引用発明に基づいて、又は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-18 
結審通知日 2018-12-25 
審決日 2019-01-07 
出願番号 特願2016-231747(P2016-231747)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有賀 綾子  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 田邉 英治
濱野 隆
発明の名称 遊技機  
代理人 伊與田 幸穂  
代理人 古部 次郎  
代理人 尾形 文雄  

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