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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1349403
審判番号 不服2017-16028  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-30 
確定日 2019-03-19 
事件の表示 特願2012-232571「光学デバイス及び画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月12日出願公開、特開2014- 85425、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特願2012-232571号(以下「本願」という。)は、平成24年10月22日の出願であって、その手続等の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成28年 4月 5日付け:拒絶理由通知書
平成28年 6月 9日付け:意見書、手続補正書
平成28年 6月13日付け:意見書、手続補正書
平成28年11月29日付け:拒絶理由通知書
平成29年 2月 2日付け:意見書、手続補正書
平成29年 7月26日付け:補正の却下の決定(平成29年2月2日にした手続補正の却下)、拒絶査定(以下「原査定」という。)
平成29年10月30日付け:審判請求書、手続補正書
平成30年12月 5日付け:拒絶理由通知書
平成31年 1月18日付け:意見書、手続補正書

第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本願の請求項1-11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>
引用文献A:特開2012-163659号公報
引用文献B:国際公開第2006/098097号
引用文献C:特表2003-536102号公報
引用文献D:特開2012-168425号公報

第3 平成30年12月5日付け拒絶理由通知書において通知した拒絶の理由の概要
平成30年12月5日付けの拒絶理由通知書において通知した拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
理由1:本願の請求項1、2、7、8、10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2:本願の請求項1-4、7-10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2の記載事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2012-163659号公報
引用文献2:特表2003-536102号公報

第4 本願発明
本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成31年1月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるとおりの、以下の発明である。

「 【請求項1】
表示素子により形成され、投射光学系により平行な光束に変換されて射出された画像光を内部に取り込む入射部と、互いに対向して平行に延びる第1及び第2全反射面により前記画像光を導光する導光部と、導光された前記画像光を外部に射出する射出部と、を有する導光体を備え、
前記入射部は、前記第1及び第2全反射面のうち観察側に位置する面に対して傾斜した反射面を有し、
前記射出部は、前記射出部の光射出面に対して傾斜した第1光学層と、少なくとも1つの第2光学層を有し、
前記第1光学層は、
前記画像光の一部を前記光射出面に向けて反射し、他の一部を透過する第1半反射層と、
前記導光体内を導光されて前記第1半反射層に対して所定の角度よりも浅い角度で入射して平行に進まない不適正な角度成分を含む光の吸収量が、前記導光体内を導光されて前記第1半反射層に対して前記所定の角度で入射して平行に進む適正な角度成分を含む画像光の吸収量よりも大きい第1光吸収層と、を積層した積層膜であり、
前記第2光学層は、
前記第1半反射層と平行に配置され、前記第1半反射層を透過した前記画像光に対して、光学的作用をするものであり、
入射した画像光の一部を前記光射出面に向けて反射し、他の一部を透過する第2半反射層と、
前記第2半反射層に対して前記所定の角度よりも浅い角度で入射して平行に進まない不適正な角度成分を含む光の吸収量が、前記第2半反射層に対して前記所定の角度で入射して平行に進む適正な角度成分を含む画像光の吸収量よりも大きい第3光吸収層と、を積層した積層膜であることを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
前記第1光吸収層は、前記第1半反射層に対して入射した角度に応じて前記画像光が前記第1光吸収層を透過する距離が異なることにより、前記第1半反射層に対して浅い角度で入射して平行に進まない不適正な角度成分を含む光の吸収量が、前記第1半反射層に対して前記所定の角度で入射して平行に進む適正な角度成分を含む画像光の吸収量よりも大きくなることを特徴とする光学デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学デバイスにおいて、
前記第1光吸収層は、前記第1半反射層よりも前記射出部側に位置していることを特徴とする光学デバイス。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光学デバイスにおいて、
前記反射面は、
前記画像光を反射する反射層と、
前記反射面と前記反射層との間に設けられ、前記反射層に対して前記所定の角度よりも浅い角度で入射して前記導光部において平行に進まない不適正な角度成分を含む光の吸収量が、前記反射層に対して前記所定の角度で入射して前記導光部において平行に進む適正な角度成分を含む画像光の吸収量よりも大きい第2光吸収層と、を有することを特徴とする光学デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の光学デバイスにおいて、
前記第1半反射層及び前記第2半反射層は、誘電体多層膜を含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学デバイスと、
前記画像光を形成する表示素子と、
前記画像光を平行光として前記光学デバイスに射出する投射光学系と、を備えたことを特徴とする画像表示装置。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1の記載事項
平成30年12月5日付けの拒絶理由通知書において通知した拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-163659号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したものであり、引用発明の認定に活用した箇所を示す。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部に装着して使用するヘッドマウントディスプレイ等の虚像表示装置に関する。
・・・(中略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記背景技術の問題に鑑みてなされたものであり、輝度斑を抑えた虚像表示装置を提供することを目的とする。
・・・(中略)・・・
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の虚像表示装置を示す斜視図である。
【図2】(A)は、虚像表示装置を構成する第1表示装置の本体部分の平面図であり、(B)は、本体部分の正面図である。
・・・(中略)・・・
【図5】虚像表示装置の光学系における光路を具体的に説明する平面図である。
・・・(中略)・・・
【図19】(A)は、第6実施形態の虚像表示装置を構成する要部の平面図であり、(B)は、フィルター周辺の断面構造を説明する概念図である。」

(2)「【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る虚像表示装置について詳細に説明する。
【0027】
〔A.虚像表示装置の外観〕
図1に示す第1実施形態の虚像表示装置100は、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この虚像表示装置100を装着した観察者に対して虚像による画像光を認識させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで観察させることができる。虚像表示装置100は、観察者の眼前を覆う光学パネル110と、光学パネル110を支持するフレーム121と、フレーム121のヨロイからテンプルにかけての部分に付加された第1及び第2駆動部131,132とを備える。ここで、光学パネル110は、第1パネル部分111と第2パネル部分112とを有し、両パネル部分111,112は、中央で一体的に連結された板状の部品となっている。図面上で左側の第1パネル部分111と第1駆動部131とを組み合わせた第1表示装置100Aは、左眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。また、図面上で右側の第2パネル部分112と第2駆動部132とを組み合わせた第2表示装置100Bは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。
【0028】
〔B.片側の表示装置の構造〕
図2(A)等に示すように、第1表示装置100Aは、画像形成装置10と、導光装置20と、フィルター50とを備える。ここで、画像形成装置10は、図1における第1駆動部131に相当し、導光装置20は、図1における第1パネル部分111に相当する。なお、図1に示す第2表示装置100Bは、第1表示装置100Aと同様の構造を有し左右を反転させただけであるので、第2表示装置100Bの詳細な説明は省略する。
【0029】
画像形成装置10は、画像表示装置11と、投射光学系12とを有する。このうち、画像表示装置11は、2次元的な照明光SLを射出する照明装置31と、透過型の空間光変調装置である液晶表示デバイス32と、照明装置31及び液晶表示デバイス32の動作を制御する駆動制御部34とを有する。
・・・(中略)・・・
【0032】
導光装置20は、導光部材21と光透過部材23とを接合したものであり、全体としてXY面に平行に延びる平板状の光学部材を構成している。
【0033】
導光装置20のうち、導光部材21は、平面視において台形のプリズム状部材であり、側面として、第1反射面21aと、第2反射面21bと、第3反射面21cと、第4反射面21dとを有する。また、導光部材21は、第1、第2、第3、及び第4反射面21a,21b,21c,21dに隣接するとともに互いに対向する上面21eと下面21fとを有する。ここで、第1及び第2反射面21a,21bは、XY面に沿って延び、導光部材21の厚みtだけ離間する。また、第3反射面21cは、XY面に対して45°以下の鋭角αで傾斜しており、第4反射面21dは、XY面に対して例えば45°以下の鋭角βで傾斜している。第3反射面21cを通る第1光軸AX1と第4反射面21dを通る第2光軸AX2とは平行に配置され距離Dだけ離間している。なお、以下に詳述するが、第1反射面21aと第3反射面21cとの間には、稜を除去するように端面21hが設けられている。導光部材21は、この端面21hも含めると、7面の多面体状の外形を有するものとなっている。
・・・(中略)・・・
【0036】
光入射部B1は、三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光入射面ISと、光入射面ISに対向する第3反射面21cとを有する。光入射面ISは、画像形成装置10からの画像光GLを取り込むための裏側又は観察者側の平面であり、投射光学系12に対向してその第1光軸AX1に垂直に延びている。第3反射面21cは、光入射面ISを通過した画像光GLを反射して導光部B2内に導くための矩形の全反射ミラーである。
【0037】
図3(A)は、第3反射面21cを説明する図であり、光入射部B1における表面部分P1の部分拡大断面図である。第3反射面21cは、ミラー層25を有し保護層26で被覆されている。このミラー層25は、全反射のコーティングであり、導光部材21の斜面RS上にアルミ等の蒸着によって成膜を施すことにより形成される。第3反射面21cは、投射光学系12の第1光軸AX1又はXY面に対して例えば鋭角α=25°?27°で傾斜しており、光入射面ISから入射し全体として+Z方向に向かう画像光GLを、全体として-Z方向寄りの-X方向に向かわせるように折り曲げることで、画像光GLを導光部B2内に確実に結合させる。
【0038】
図2(A)等に戻って、導光部B2は、互いに対向しXY面に平行に延びる2平面として、光入射部B1で折り曲げられた画像光をそれぞれ全反射させる第1反射面21aと第2反射面21bとを有している。第1及び第2反射面21a,21bの間隔すなわち導光部材21の厚みtは、例えば9mm程度とされている。ここでは、第1反射面21aが画像形成装置10に近い裏側又は観察者側にあるものとし、第2反射面21bが画像形成装置10から遠い表側又は外界側にあるものとする。この場合、第1反射面21aは、上記の光入射面ISや後述する光射出面OSと共通の面部分となっている。第1及び第2反射面21a,21bは、屈折率差を利用する全反射面であり、ミラー層等の反射コートが施されていない。
・・・(中略)・・・
【0041】
図2(A)等に戻って、光射出部B3は、三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光射出面OSと、光射出面OSに対向する第4反射面21dとを有する。光射出面OSは、画像光GLを観察者の眼EYに向けて射出するための裏側の平面であり、光入射面ISと同様に第1反射面21aの一部となっており、第2光軸AX2に垂直に延びている。光射出部B3を通る第2光軸AX2と光入射部B1を通る第1光軸AX1との距離Dは、観察者の頭部の幅等を考慮して例えば50mmに設定されている。第4反射面21dは、第1及び第2反射面21a,21bを経て入射してきた画像光GLを反射して光射出部B3外に射出させるための矩形の平坦面であり、ハーフミラー層28を有している。このハーフミラー層28は、光透過性を有する反射膜(すなわち半透過反射膜)であり、その表面は半透過反射面となっている。
・・・(中略)・・・
【0043】
第4反射面21dは、第1反射面21aに垂直な第2光軸AX2又はXY面に対して例えば鋭角α=25°?27°で傾斜しており、上記ハーフミラー層28により、導光部B2の第1及び第2反射面21a,21bを経て入射してきた画像光GLを部分的に反射して全体として-Z方向に向かわせるように折り曲げることで、光射出面OSを通過させる。なお、第4反射面21dを透過した画像光GLは、光透過部材23に入射し、映像の形成には利用されない。
・・・(中略)・・・
【0054】
〔D.横方向に関する画像光の光路〕
図5は、第1表示装置100Aにおける具体的な光路を説明する断面図である。投射光学系12は、3つのレンズL1,L2,L3を有している。
【0055】
液晶表示デバイス32の右側の第1表示点P1からの画像光GL11,GL12は、投射光学系12のレンズL1,L2,L3を通過することで平行光束化され、導光部材21の光入射面ISに入射する。導光部材21内に導かれた画像光GL11,GL12は、第1及び第2反射面21a,21bにおいて等しい角度で全反射を繰り返して、最終的に光射出面OSから平行光束として射出される。具体的には、画像光GL11,GL12は、平行光束として導光部材21の第3反射面21cで反射された後、第1反射角γ1で導光部材21の第1反射面21aに入射し、全反射される(第1回目の全反射)。その後、画像光GL11,GL12は、第1反射角γ1を保った状態で、第2反射面21bに入射して全反射され(第2回目の全反射)、次いで再度第1反射面21aに入射して全反射される(第3回目の全反射)。結果的に、画像光GL11,GL12は、第1反射角γ1を保った状態で、第1及び第2反射面21a,21bで全反射を繰り返す。画像光GL11,GL12は、第1及び第2反射面21a,21bにおいて計3回全反射され、第4反射面21dに入射する。画像光GL11,GL12は、この第4反射面21dで第3反射面21cと同一の角度で反射され、光射出面OSからこの光射出面OSに垂直な第2光軸AX2方向に対して角度θ1の傾きで平行光束として射出される。」

(3)「【0090】
〔第6実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の第6実施形態に係る虚像表示装置について詳細に説明する。なお、第6実施形態の虚像表示装置は、第1又は第2実施形態の虚像表示装置100を部分的に変更したものであり、特に説明しない部分は第1実施形態等の虚像表示装置100と同様であるものとする。
【0091】
図19(A)に示すように、本実施形態の場合、光射出部B3の第4反射面21dにフィルター650を設けている。図19(B)に示すように、フィルター650は、光射出部B3の第4反射面21dに付随させたハーフミラー層28の内側に挿入されており、斜面RSとハーフミラー層28との間に挟まれており、ハーフミラー層28は、接着材層29を介して光透過部材23に接合されている。フィルター650は、第1実施形態におけるフィルター50と同様に2次元的な吸収率分布をするNDフィルターとすることができ、例えば斜面RSに接着される。また、フィルター650は、減衰型の反射膜とすることもできる。
本実施形態の場合、ハーフミラー層28で反射される画像光GLは、光射出部B3においてフィルター650を往復することで輝度斑補正される。なお、ハーフミラー層28自体の反射率分布を持たせることによっても、同様の輝度斑補正が可能になり、この場合、ハーフミラー層28がフィルターとして機能している。」

(4)「【図1】

【図2】

・・・(中略)・・・
【図5】

・・・(中略)・・・
【図19】



2 引用発明
(1)引用発明
上記1より、引用文献1には、第6実施形態として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 導光部材21と光透過部材23とを接合した、全体としてXY面に平行に延びる平板状の光学部材を構成している、導光装置であって、
導光部材21は、XZ面視において台形のプリズム状部材であり、側面として、第1反射面21aと、第2反射面21bと、第3反射面21cと、第4反射面21dとを有し、
第1及び第2反射面21a,21bは、XY面に沿って延び、導光部材21の厚みtだけ離間し、また、第3反射面21cは、XY面に対して45°以下の鋭角αで傾斜しており、第4反射面21dは、XY面に対して例えば45°以下の鋭角βで傾斜し、第3反射面21cを通る第1光軸AX1と第4反射面21dを通る第2光軸AX2とは平行に配置され距離Dだけ離間し、
光入射部B1は、三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光入射面ISと、光入射面ISに対向する第3反射面21cとを有し、
光入射面ISは、画像形成装置10からの画像光GLを取り込むための裏側又は観察者側の平面であり、投射光学系12に対向してその第1光軸AX1に垂直に延び、第3反射面21cは、光入射面ISを通過した画像光GLを反射して導光部B2内に導くための矩形の全反射ミラーであり、
導光部B2は、互いに対向しXY面に平行に延びる2平面として、光入射部B1で折り曲げられた画像光をそれぞれ全反射させる第1反射面21aと第2反射面21bとを有し、
光射出部B3は、三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光射出面OSと、光射出面OSに対向する第4反射面21dとを有し、
光射出面OSは、画像光GLを観察者の眼EYに向けて射出するための裏側の平面であり、光入射面ISと同様に第1反射面21aの一部となっており、第2光軸AX2に垂直に延び、
第4反射面21dは、第1及び第2反射面21a,21bを経て入射してきた画像光を反射して光射出部B3外に射出させるための矩形の平坦面であり、ハーフミラー層28を有し、
液晶表示デバイス32の表示点からの画像光は、投射光学系12を通過することで平行光束化され、導光部材21の光入射面ISに入射し、導光部材21内に導かれた画像光は、第1及び第2反射面21a,21bにおいて等しい角度で全反射を繰り返して、最終的に光射出面OSから平行光束として射出され、
第3反射面21cは、投射光学系12の第1光軸AX1又はXY面に対して傾斜しており、
第4反射面21dは、第1反射面21aに垂直な第2光軸AX2又はXY面に対して傾斜しており、
光射出部B3の第4反射面21dに、2次元的な吸収率分布をするNDフィルターである、フィルター650を設けた、
導光装置。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア 導光体
引用発明の「光入射部B1」、「導光部B2」、「光射出部B3」及び「導光部材21」は、技術的にみて、それぞれ本願発明1の「光入射部」、「導光部」、「光射出部」及び「導光体」に相当する。
そうしてみると、引用発明の「導光部材21」は、本願発明1の「導光体」における「光入射部」と、「導光部」と、「光射出部」と、を有するという要件を満たすものである。

イ 入射部
引用発明の「光入射部B1」は、「三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光入射面ISと、光入射面ISに対向する第3反射面21cとを有」するものである。
また、引用発明の「導光装置」において、「液晶表示デバイス32の表示点からの画像光は、投射光学系12を通過することで平行光束化され、導光部材21の光入射面ISに入射」するものである。
そうしてみると、引用発明の「導光装置」は、「液晶表示デバイス32の表示点からの画像光」が「投射光学系12を通過することで平行光束化され」、「光入射部B1」の「光入射面IS」に「入射」するものである。ここで、引用発明の「液晶表示デバイス32」、「投射光学系12」及び「画像光」は、技術的にみて、それぞれ本願発明1の「表示装置」、「投射光学系」及び「画像光」に相当する。
以上のことから、引用発明の「光入射部B1」は、本願発明1の「入射部」における「表示素子により形成され、投射光学系により平行な光束に変換されて射出された画像光を内部に取り込む」という要件を満たすものであるといえる。
加えて、引用発明の「第3反射面21c」は、「投射光学系12の第1光軸AX1又はXY面に対して傾斜して」いるものである。また、引用発明の「第1及び第2反射面21a,21bは、XY面に沿って延び」、「光入射面IS」は、「第1反射面21aの一部」である。
そうしてみると、引用発明の「光入射部B1」は、本願発明1の「入射部」における「前記第1及び第2全反射面のうち観察側に位置する面に対して傾斜した反射面を有」するという要件を満たすものであるといえる。

ウ 導光部
引用発明の「導光部B2」は、「互いに対向しXY面に平行に延びる2平面として、光入射部B1で折り曲げられた画像光をそれぞれ全反射させる第1反射面21aと第2反射面21bとを有」するものである。
ここで、上記「第1反射面21aと第2反射面21b」は、技術的にみて、本願発明1の「第1及び第2全反射面」に相当する。
また、引用発明の「導光部材21内に導かれた画像光」は、「第1及び第2反射面21a,21bにおいて等しい角度で全反射を繰り返して、最終的に光射出面OSから平行光束として射出され」るものである。
そうしてみると、引用発明の「導光部B2」は、本願発明1の「導光部」における「互いに対向して平行に延びる第1及び第2全反射面により前記画像光を導光する」という要件を満たすものである。

エ 射出部
引用発明の「ハーフミラー層28」は、技術的にみて、本願発明1の「前記画像光の一部を前記光射出面に向けて反射し、他の一部を透過する第1半反射層」に相当する。
また、一般にNDフィルターは、光吸収性を有するものである。そうしてみると、引用発明の「2次元的な吸収率分布をするNDフィルターである、フィルター650」は、本願発明1の「第1光吸収層」に相当し、引用発明の「ハーフミラー層28」と「フィルター650」を併せたものは、本願発明1の「第1光学層」に相当するといえる。また、引用発明の「光射出部B3」は、本願発明1の「光射出部」における「第1光学層」を有するという要件を満たすといえる。
さらに、「光射出部B3」は、「三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光射出面OSと、光射出面OSに対向する第4反射面21dとを有し」、「第4反射面21d」は、「第1反射面21aに垂直な第2光軸AX2又はXY面に対して傾斜して」いるものである。
そうしてみると、上述の引用発明の「ハーフミラー層28」と「フィルター650」を併せたものは、本願発明1の「第1光学層」における「前記射出部の光射出面に対して傾斜した」という要件を満たすものである。

(2)一致点及び相違点
ア 本願発明1と引用発明は、次の構成で一致する。
(一致点)
「 表示素子により形成され、投射光学系により平行な光束に変換されて射出された画像光を内部に取り込む入射部と、互いに対向して平行に延びる第1及び第2全反射面により前記画像光を導光する導光部と、導光された前記画像光を外部に射出する射出部と、を有する導光体を備え、
前記入射部は、前記第1及び第2全反射面のうち観察側に位置する面に対して傾斜した反射面を有し、
前記射出部は、前記射出部の光射出面に対して傾斜した第1光学層を有し、
前記第1光学層は、
前記画像光の一部を前記光射出面に向けて反射し、他の一部を透過する第1半反射層と、
第1光吸収層と、を積層した積層膜である、
光学デバイス。」

イ 本願発明1と引用発明は、次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1の「第1光吸収層」は、「前記導光体内を導光されて前記第1半反射層に対して所定の角度よりも浅い角度で入射して平行に進まない不適正な角度成分を含む光の吸収量が、前記導光体内を導光されて前記第1半反射層に対して前記所定の角度で入射して平行に進む適正な角度成分を含む画像光の吸収量よりも大きい」のに対して、引用発明の「第1光吸収層」に相当する「フィルター650」は、このように特定されたものではない点。
(相違点2)
本願発明1の「射出部」は、「前記射出部の光射出面に対して傾斜した」「少なくとも1つの第2光学層を有し」、「前記第2光学層は、前記第1半反射層と平行に配置され、前記第1半反射層を透過した前記画像光に対して、光学的作用をするものであり、入射した画像光の一部を前記光射出面に向けて反射し、他の一部を透過する第2半反射層と、前記第2半反射層に対して前記所定の角度よりも浅い角度で入射して平行に進まない不適正な角度成分を含む光の吸収量が、前記第2半反射層に対して前記所定の角度で入射して平行に進む適正な角度成分を含む画像光の吸収量よりも大きい第3光吸収層と、を積層した積層膜である」のに対して、引用発明は、「第2光学層」を有していない点。

(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
引用文献1には、「第2光学層」を設けることは記載も示唆もされていない。
また、他に、「第2半反射層」と「第3光吸収層」を積層した「第2光学層」を設けることを記載乃至示唆する文献はなく、「第2半反射層」と「第3光吸収層」を有する「第2光学層」を設けることが公知の技術的事項であるとはいえない。
他方、本願発明1は、「第2半反射層」と「第3光吸収層」を積層した「第2光学層」を設けた構成とすることによって、「第2半反射層に入射する角度の浅い画像光を吸収できるので、ゴーストを抑制することが可能となる」(【0012】)という効果を奏するものである。そうしてみると、「第2光学層」を設けることが設計変更等であるともいえない。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、たとえ当業者といえども、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2-本願発明6について
本願発明2-本願発明6は、本願発明1の「光学デバイス」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
原査定の拒絶の理由において引用文献A?Dとして引用された各文献には、「第2半反射層」と「第3光吸収層」を有する「第2光学層」を設けることは記載も示唆もされていない。
そして、平成31年1月18日付けの手続補正により、本願発明1-本願発明6は、「第2半反射層」と「第3光吸収層」を積層した「第2光学層」を設けた構成となっている。そうしてみると、当業者であっても、原査定において引用された引用文献A?Dに基づいて、容易に発明できたとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由もない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-03-04 
出願番号 特願2012-232571(P2012-232571)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤岡 善行  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 関根 洋之
川村 大輔
発明の名称 光学デバイス及び画像表示装置  
代理人 鈴野 幹夫  
代理人 仲井 智至  
代理人 渡辺 和昭  
代理人 西田 圭介  
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