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審決分類 審判 全部申し立て 1項2号公然実施  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1349675
異議申立番号 異議2018-700194  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-02 
確定日 2019-01-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6204429号発明「サーバ装置の制御方法、サーバ装置、及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6204429号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5、6について訂正することを認める。 特許第6204429号の請求項1ないし3、5、6に係る特許を維持する。 特許第6204429号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6204429号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成25年5月27日の出願(特願2014-212846号)の一部を新たな特許出願としたものであり、平成29年9月8日にその特許権の設定登録がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行された。
これに対し、平成30年3月2日に特許異議申立人上杉則亮(以下、単に「特許異議申立人」という。)により請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てがなされた。
その後の経緯は、次のとおりである。

平成30年 5月30日付け: 取消理由通知書
平成30年 8月 3日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
平成30年 9月 6日 : 特許異議申立人による意見書の提出
平成30年11月 2日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
平成30年12月28日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書(本件訂正請求)の提出
(本件訂正請求により、先になされた訂正の請求(平成30年8月3日に提出された訂正請求書による訂正の請求)は取り下げられたものとみなされた。)

2 訂正の適否についての判断
(1)本件訂正請求による訂正の内容(訂正箇所を下線で示す。)
ア 請求項1ないし4について
(ア)請求項1ないし3について
特許請求の範囲の請求項1に「前記複数の第1のゲームのプレイ履歴に関連付けられた第2のゲーム」と記載されているのを、「前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲーム」に、また、「ステップと、を含む、サーバ装置の制御方法。」と記載されているのを、「ステップと、を含み、前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、サーバ装置の制御方法。」に、訂正する。(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2及び3も同様に訂正する。)
(イ)請求項4について
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

イ 請求項5について
特許請求の範囲の請求項5に「前記複数の第1のゲームのプレイ履歴に関連付けられた第2のゲーム」と記載されているのを、「前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲーム」に、また、「を備える、サーバ装置。」と記載されているのを、「備え、前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、サーバ装置。」に、訂正する。

ウ 請求項6について
特許請求の範囲の請求項6に「前記複数の第1のゲームのプレイ履歴に関連付けられた第2のゲーム」と記載されているのを、「前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲーム」に、また、「ステップと、を実行させる、プログラム。」と記載されているのを、「ステップと、を実行させ、前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、プログラム。」に、訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 請求項1ないし4について
請求項1ないし3についての訂正は、「第2のゲーム」に関連付けられらた「複数の第1のゲームのプレイ履歴」を「複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数」である旨、及び、「第2のゲーム」を「前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない」ものである旨の限定事項を直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、請求項4の削除も特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。そして、これらの訂正は、一群の請求項ごとになされたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 請求項5について
請求項5についての訂正は、特許請求の範囲の請求項5について、アで上述した限定事項を直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 請求項6について
請求項6についての訂正は、特許請求の範囲の請求項6について、アで上述した限定事項を直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)小括
上記のとおり、請求項[1-4]、5、6についての訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-4]、5、6について訂正することを認める。

3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし6に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】(本件発明1)
プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置の制御方法であって、
複数の第1のゲームで、各第1のゲームにおける第1の条件が達成された場合に前記プレイヤに第1の報酬を付与するステップと、
前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲームで、前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与するステップと、を含み、
前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、
前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、
前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、サーバ装置の制御方法。
【請求項2】(本件発明2)
請求項1に記載のサーバ装置の制御方法であって、
前記第2のゲームで前記第2の条件が達成されたか否かの判定は、前記複数の第1のゲームで達成された第1の条件の組み合わせに基づいて行われる、サーバ装置の制御方法。
【請求項3】(本件発明3)
請求項2に記載のサーバ装置の制御方法であって、
前記第2のゲームにおける前記第2の条件の達成に必要な、前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件をそれぞれ含む1以上の組み合わせを設定するステップと、
前記1以上の組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせに含まれる第1の条件が前記複数の第1のゲームで達成された場合に、前記第2のゲームで前記第2の条件が達成されたと判定するステップと、
を更に含む、サーバ装置の制御方法。
【請求項4】(削除)
【請求項5】(本件発明5)
プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置であって、
複数の第1のゲームで、各第1のゲームにおける第1の条件が達成された場合に前記プレイヤに第1の報酬を付与し、前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲームで、前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与する制御部を備え、
前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、
前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、
前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、 サーバ装置。
【請求項6】(本件発明6)
プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置に、
複数の第1のゲームで、各第1のゲームにおける第1の条件が達成された場合に前記プレイヤに第1の報酬を付与するステップと、
前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲームで、前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与するステップと、を実行させ、
前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、
前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、
前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、プログラム。」

4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
請求項1ないし6に係る特許に対して、平成30年5月30日付けの取消理由通知及び平成30年11月2日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア 請求項1ないし6に係る発明は、甲第1号証等が示す公然実施発明に記載された発明と同一のものであり、特許法第29条第1項第2号に該当し、同項の規定に違反して特許がなされたものである。(取消理由1)
イ 請求項1ないし6に係る発明は、甲第1号証等が示す公然実施発明に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許がなされたものであるから、取り消されるべきものである。(取消理由2)

(2)公然実施発明等について
ア 引用発明(甲第1号証等が示す公然実施発明)について
(ア)引用発明の出願前公然実施について
・甲第1号証
株式会社サミーネットワークス,”ニュース|パチスロ・パチンコ777TOWN.net”[online]https://www.777town.net/news/news_details_all_conts.jsp?NEWS_ID=7199(甲第1号証の1及び甲第1号証の2:甲第1号証で示すWebページのソース)
・甲第3号証
[online]https://web.archive.org/web/20120530224424/https:/www.777town.net/devdiary/pop/20120524anz_k_list.html
・甲第3号証の2
[online]https://web.archive.org/web/20120616123909/https:/www.777town.net/explanation/explanation_20.jsp

甲第1号証は、その体裁と内容からみて、「https://www.777town.net」というURLにより示されるインターネット上のゲームサイト(以下、「甲1サイト」という。)における「https://www.777town.net/news/news_details_all_conts.jsp?NEWS_ID=7199」というURLによって示されるページの内容を示すものであって、具体的には、「【開催】<スロパチ>「狙ってBINGO!『極』」」というタイトルで「2012年5月24日」に配信されたニュース記事の内容を示すものである。このような過去に開催されたイベントについてのニュース記事は、イベントのタイトルや期日等について実際に開催されたイベントと異なる内容を掲載する可能性は極めて低いところ、ここでは、甲1サイト上での「狙ってBINGO!『極』」というビンゴイベント(以下、「甲1イベント」)の対象店舗(開催期間)が「5/25(金)17:00」から「6/1(金)16:30」であった旨が示されており、甲1サイトにおいて甲1イベントがこの期間中開催されたことを推認させるものである。
また、甲第3号証は、その体裁と内容からみて、甲1サイトにおける、「https://www.777town.net/devdiary/pop/20120524anz_k_list.html」、というURLにより示されるホームページの内容を、上記した甲1イベントの対象店舗(開催期間)(「5/25(金)17:00」から「6/1(金)16:30」の期間)に含まれる2012年5月30日に保存したインターネットアーカイブのアーカイブ記事の内容を示すものである。
甲第3号証のURLは、甲第1号証のニュース記事においてリンク先として示されたURLにリンク先ページを示すものと含まれているものであり(甲第1号証の2、(2)ア(キ)において後述。)、甲第3号証は、甲第1号証とともに、甲1イベントの具体的な内容を示すものである。さらに、甲第3号証は、その保存日を明示するものとなっており、その保存日の前後に甲1イベントが開催されていたことを示すものであるから、甲1イベントが上記期間中開催されたという推認の裏付けともなっているものである。
以上によれば、特許異議申立人が示した甲第1号証及び甲第3号証によりその内容が示されている甲1イベントが、2012年(平成24年)5月25日から6月1日までの間(少なくとも、甲第3号証がアクセスされ得る状態となった2012年5月30日の前後の期間)において、甲1サイト上で開催されていたことが明らかであるから、甲1イベントに関連して甲1サイト上でのプログラムの実行において使用された方法である(2)において後述する引用発明は、本件特許の出願の日とみなされたその親出願の出願の日(平成25年5月27日)の前、すなわち、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施されたものであると認められる。

なお、甲第3号証の2は、その体裁と内容からみて、本件特許の出願の日とみなされたその親出願の出願の日(平成25年5月27日)の前である2012年(平成24年)6月16日に、甲1サイトの内容の一部を保存したインターネットアーカイブのアーカイブ記事の内容を示すものである。

(イ)引用発明の認定
A 甲第1号証
(A)「【開催】<スロパチ>「狙ってBINGO!『極』」 2012/5/24 17:00」(1頁)

(B)「狙ってBINGO!『極』」(1頁、タイトル画像中の記載)

(C)「そして今回は、Rio2プレミアムの極搭載記念イベント!
ミントとリナが極アバターとなって登場!
ぜひ一度遊んでみてくださいね!

ビンゴイベントが少しわかりやすくなりました!
ぜひ参加してみてくださいね!」(1頁)

(D)「狙ってBINGO!『極』
対象店舗 5/25(金)17:00開店店舗?6/1(金)16:30開店店舗
対象機種
【パチスロ】Rio2プレミアム スーパーブラックジャック 十字架 ネオプラネット 猛獣王
【パチンコ】ぱちんこCR北斗の拳 剛掌 CR伝説の巫女MTZ ぱちんこCR北斗の拳 百裂
対象会員 有料会員の方(パチパチ、パチスロ、パチンココース)」(1頁 「狙ってBINGO!『極』」の表中の記載)

(E)「⇒『極みってなに?』という方はこちら」(1頁 甲第3号証の2へのリンク)

(F)「プレゼント【1】 配布日:6/15(金)17:00以降
☆BINGO☆
対象機種で極を達成、勲章を指定数獲得すると、対応番号に応じたアイテムが即時でもらえます。
※アイテムは「NO,○○(狙って)」になります。
所持しているアイテムでBINGOラインが成立すると、アイテム・アバターがもらえます。

また「NO,13(狙って)」のアイテムはトレード可です。

◆ビンゴライン◆
各ビンゴの番号をクリックして対象ミッションをチェック!




※ 各ビンゴ番号の対象ミッションうち、1つでも達成すれば、獲得となります。
※ 同じ色のラインはどちらか片方を達成していれば達成となります。
両方達成してもプレゼントは1つしかもらえません。

■プレゼント詳細■
(青線)ラインを達成
1,2,3,4,5
or
21,22,23,24,25




極コンちゃん(アバター)
・・(略)・・」(1?2頁 (プレゼント【1】の欄中の記載)

(G)(F)の「ビンゴの図」中の「1、6、11、16、21」、「2・・・」、「3・・」、「4・・」、「5・・25」の各数字は、「http://www.777town.net/devdiary/pop/20120524anz_k_list.html」のページ中の「「http://www.777town.net/devdiary/pop/20120524anz_k_list.html#no01」(単に「#no01」と略し、以下同様とする。)、「#no06」、「#no11」、「#no16」、「#no21」」、「「#no02」・・」、「「#no03」・・」、「「#no04」・・」、「「#no05」・・「#no25」」の箇所にリンクされている。(甲第1号証の2)

B 甲第3号証
「プレゼント【1】獲得条件 ビンゴの条件一覧
※パチスロ・パチンコ、どちらの極ミッションを達成しても、ビンゴマスを埋められます。

NO,1(狙って)獲得条件
機種 ミッションID ミッション内容
Rio2 75 リオカットインピース
十字架 29 ドラキュラミッション中に絨毯が赤に変化
猛獣王 17 ライオンルーレット演出でライオンが肉を3つ食べる
百裂 57 ザコ奇襲SU予告からトキ登場
剛掌 55 パドルモードで敵の強攻撃をくらって勝利

NO,2(狙って)獲得条件
機種 ミッションID ミッション内容
Rio2 80 BB中赤7揃い
十字架 64 BB中に魔法玉5個獲得
猛獣王 3 プレミアスタート音発生
百裂 54 闘気SU予告で緑オーラ
剛掌 37 回想擬似連が3回連続

NO,3(狙って)獲得条件
機種 ミッションID ミッション内容
Rio2 9 Rio Time中ティファニーが揃う
十字架 84 ドラキュラミッション中に十字架図柄が揃う
猛獣王 96 ライオン サバンナチャンスで50G終了
百裂 15 ラオウステージで大当り
剛掌 21 SU予告でリンがおびえる

NO,4(狙って)獲得条件
機種 ミッションID ミッション内容
Rio2 2 BB演出スパイ
十字架 24 城に霧がかかる
猛獣王 47 ヌー演出で3停止
百裂 98 大当り中に北斗百裂カットイン発生
剛掌 60 バトルモードで秘孔逆転演出発生

機種 ミッションID ミッション内容
Rio2 4 Rio Time突入
十字架 58 ドラキュラバトルでセーラ復活
猛獣王 39 ゴリラステージのカゴアクションでメロン出現
百裂 38 リーチ後強敵群
剛掌 48 バトルモードでケンシロウがファルコに勝利

NO,6(狙って)獲得条件
・・(略)・・」 (1頁?2頁)

C 甲第3号証の2
(A)「遊び方説明 極」(1頁)

(B)「「極」とは
「極」(きわみ)とは、それぞれのパチスロ・パチンコアプリに設定されている、各達成条件をクリアしていく遊びです。
各「極」対応アプリには、演出や記録など、様々な「極」が設定されています。
また、「極」達成状況はアプリのメニューや、マイページから閲覧できます。

「極み」の達成率が100%になった機種着席すると・・・
・パチスロ:常に最高設定状態でプレイできます。
・パチンコ:常に激甘ぐるぐる状態でプレイできます。」(1頁 「「極」とは」の欄)

(C)「「極」を遊ぶには
「極」に対応した下記パチスロ・パチンコアプリを起動してください。
対応機種
パチスロ
北斗の拳 スーパーブラックジャック、ドラゴンギャル、ギンギン丸、猛獣王、回胴黙示録カイジ
KOFプレミアムエディション 鬼浜爆走紅蓮隊爆音烈士編、十字架 アントニオ猪木自身パチスロ機 パチスロサクラ大戦3 ネオプラネット ラブゲッCHU?ミラクル声優白書? Rio2プレミアム

パチンコ
ぱちんこCR北斗の拳剛掌 CR忍術決戦月影RK.X CR弾球黙示録カイジ鉄槌XR2 CR伝説の巫女MTZ ぱちんこCR北斗の拳百裂
「極」は、有料会員の方のみプレイ可能です。無料会員およびネットカフェ会員の方はプレイできません。

「極」対象エリア
・・(略)・・

アプリ遊技中に「極」をクリアすると右上に達成の画像が表示されます。
(図・・・略)
1.「極」難易度
「極」の難易度です。難易度は、★★★>★★>★>★なしの順になっています。

2.「極」番号
達成した「極」の番号が表示されます。

3.達成した「極」の内容
どのような演出を見たのか、どのような記録を達成したのかが、この部分に表示されます。

4.「極」達成状況の確認
遊技中の機種の極達成状況を確認できます。

・・(略)・・」(1?2ページ 「「極」を遊ぶには」の欄)

D 引用発明の認定
(A) 甲1サイトにおける、パチスロアプリとパチンコアプリ(スロパチ)の「対象機種」の遊技者に向けて開催された甲1イベントにおいては、遊技者は、「対象機種」での「極」の達成又は勲章の指定数獲得によって、「対応番号に応じたアイテム」が即時に「もらえ」、さらに、「所持しているアイテムでBINGOラインが成立」することによって「アイテム・アバター」が「もらえ」るものであり、インターネット上のゲームサイトである甲1サイトの計算機において、このような甲1イベントのためのプログラムが実行されていたものである。(上記A)

(B) 甲第1号証では「極」の内容は、「⇒『極みってなに?』という方はこちら」というリンクのみが示されているところ、このリンク先の内容(上記ウ)によれば、「極」とは、「対象機種」の「パチスロ・パチンコアプリ」に設定された「達成条件をクリア」していく遊びにおいて設定された「演出」や「記録」である「ミッション」である。
例えば、パチスロアプリである「Rio2プレミアム」の「極」の「ミッション」には、「リオカットインピース」、「BB中赤7揃い」、「Rio Time中ティファニーが揃う」、「BB演出スパイ」、「Rio Time突入」等があり、同様に、パチスロアプリである「十字架」の「極」の「ミッション」には、「ドラキュラミッション中に絨毯が赤に変化」、「BB中に魔法玉5個獲得」、「ドラキュラミッション中に十字架図柄が揃う」、「城に霧がかかる」、「ドラキュラバトルでセーラ復活」等がある。(上記イ)
これらの「極」の「ミッション」の「達成率」が「100%」になった場合、「パチスロ」機種では、「常に最高設定状態でプレイでき」、「パチンコ」機種では、「常に激甘ぐるぐる状態でプレイでき」、また、「極」の「ミッション」は、「対応番号に応じたアイテム」である「NO,○○(狙って)」の獲得条件となっており、例えば、「Rio2プレミアム」の「リオカットインピース」と「十字架」の「ドラキュラミッション中に絨毯が赤に変化」は、いずれも、「NO,1(狙って)」のアイテムの獲得条件となっている。
なお、(Bでは摘記を省略したが)「NO,18(狙って)」と「NO,19(狙って)」は、「極」の「ミッション」ではなく、勲章の所定数獲得を条件とするものとなっている。(上記A(F)、B)

(C) この(ビンゴの図)における色のラインの達成によって遊技者はプレゼントがもらえることになる。(上記A(F))
例えば、上述した「十字架」の「ドラキュラミッション中に絨毯が赤に変化」という「極」は、1の番号に対応する「NO,1(狙って)」の「アイテム」の獲得条件とされており、「Rio2プレミアム」における「BB中赤7揃い」、「Rio Time中ティファニーが揃う」、「BB演出スパイ」、「Rio Time突入」という「極」は、それぞれ2、3、4、5の番号に対応する「NO,2(狙って)」、「NO,3(狙って)」、「NO,4(狙って)」、「NO,5(狙って)」の「アイテム」の獲得条件とされているから、これらの「極」の達成によって、「1,2,3,4,5」の組合せを含む青色のビンゴラインが成立し、遊技者において「極コンちゃん(アバター)」がもらえることになるものである。(上記A(F)、B)

(D) 引用発明の認定についての平成30年8月3日付意見書における特許権者の主張のうち、「遊技者において「極」の達成又は勲章の指定数獲得によってもらったアイテムでビンゴラインが成立することによってアイテム・アバターがもらえる」場合の例として示した「「1,2,3,4,5」の組合せを含む青色のビンゴライン」の「成立」に係る「1の番号に対応する「NO,1(狙って)」の「アイテム」の獲得」は、「十字架」の「ドラキュラミッション中に絨毯が赤に変化」のみならず「Rio2プレミアム」の「リオカットインピース」によっても可能である点を明示すべき旨の主張は、甲第1号証及び甲第3号証の記載から認定可能であるので、採用する。
また、同意見書における特許権者の主張のうち、ビンゴゲームを構成する番号1?25に対応する「NO,1(狙って)」?「NO,25(狙って)」の「アイテム」のそれぞれは、「Rio2プレミアム」における「極」の達成又は勲章の所定数獲得を条件として獲得可能である点を明示すべき旨の主張、及び、同年9月5日付意見書における異議申立人の、「甲第3号証の記載」から「ぱちんこCR北斗の拳 百裂」のみをプレイすることによっても「NO,1(狙って)」?「NO,25(狙って)」を獲得することができる旨の主張についても、甲第1号証及び甲第3号証の記載から認定可能であるので、採用する。
(なお、これらの点についての、甲第3号証(上記B)の「NO,6(狙って)獲得条件」?「NO,25(狙って)獲得条件」の摘記は、省略する。)

してみると、甲1サイト上で甲1イベントのためのプログラムの実行により、下記に示す方法の発明(公然実施発明)が使用されたものと認められる。

(公然実施発明(引用発明))
プログラムの実行によってインターネット上のゲームサイトの計算機が実行する方法であって、
対象機種である複数のパチスロアプリやパチンコアプリにおいて設定された演出等であって、その達成率が100%になるとパチスロアプリであれば常に最高設定状態でプレイできることになるようなミッションである、「極」の達成又は勲章の指定数獲得により遊技者において対応番号に応じたアイテムである「NO,○○(狙って)」が即時にもらえるようにし、
さらに、例えば、パチスロアプリである「Rio2プレミアム」の「リオカットインピース」や、他のパチスロアプリである「十字架」の「ドラキュラミッション中に絨毯が赤に変化」という「極」の達成による1の番号に対応する「NO,1(狙って)」の「アイテム」の獲得と、「Rio2プレミアム」における「BB中赤7揃い」、「Rio Time中ティファニーが揃う」、「BB演出スパイ」、「Rio Time突入4」という「極」の達成による、それぞれ2、3、4、5の番号に対応する「NO,2(狙って)」、「NO,3(狙って)」、「NO,4(狙って)」、「NO,5(狙って)」の「アイテム」の獲得とによって、「1,2,3,4,5」の組合せを含む青色のビンゴラインが成立し、遊技者において「極コンちゃん(アバター)」がもらえるようにする等、上記遊技者において「極」の達成又は勲章の指定数獲得によってもらったアイテムでビンゴラインが成立することによってアイテム・アバターがもらえるようにし、
ビンゴゲームを構成する番号1?25に対応する、 「NO,1(狙って)」?「NO,25(狙って)」の「アイテム」のそれぞれは、「Rio2プレミアム」における「極」の達成又は勲章の所定数獲得、または、「ぱちんこCR北斗の拳 百裂」における「極」の達成又は勲章の所定数獲得、を条件として、獲得可能である、
方法。

(E) 引用発明の認定について、平成30年8月3日付意見書及び同年12月28日付意見書において、特許権者は、インターネット上のゲームサイトの計算機の実行に係る「プログラム」は「パチスロアプリである「Rio2プレミアム」のプロモーションイベント用の」ものである旨を明示すべき旨を主張している。
しかし、引用発明は、甲1イベントを「対象機種である複数のパチスロアプリやパチンコアプリにおいて設定された演出等であって、その達成率が100%になるとパチスロアプリであれば常に最高設定状態でプレイできることになるようなミッションである、「極」の達成又は勲章の指定数獲得により遊技者において対応番号に応じたアイテムである「NO,○○(狙って)」が即時にもらえるようにし」、さらに「上記遊技者において「極」の達成又は勲章の指定数獲得によってもらったアイテムでビンゴラインが成立することによってアイテム・アバターがもらえるように」する甲1サイトの計算機が実行する方法が実施されたことを踏まえて認定されたものである。そして、この実行に係る「プログラム」における「極」や「ビンゴラインの成立」という仕組みは、対象機種が「Rio2プレミアム」以外の「極」搭載機種であり得ることを前提としたものとなっており、実際、甲1イベントの対処機種は、パチスロについて「Rio2プレミアム」を含む5機種、パチンコについて「ぱちんこCR北斗の拳 百裂」を含む3機種の8機種である旨が明示されている((1)ア(イ)A(D)を参照)。また、(D)で上述したとおり、ビンゴゲームを構成する番号1?25に対応する、 「NO,1(狙って)」?「NO,25(狙って)」の「アイテム」のそれぞれは、「Rio2プレミアム」における「極」の達成又は勲章の所定数獲得に対応していると同時に、「ぱちんこCR北斗の拳 百裂」における「極」の達成又は勲章の所定数獲得にも対応しており、「Rio2プレミアム」のみならず「ぱちんこCR北斗の拳 百裂」についても、全てのビンゴマスに「極」(ないし「勲章の所定数獲得」)の条件が割り当てられている。
このことに照らせば、甲1イベントは、「Rio2プレミアムの極搭載記念イベント」であるから「Rio2プレミアム」のプロモーションのためのものではあるものの、そのことは、「Rio2プレミアム」以外の他の7つの対象機種(「極」搭載機種)のプロモーションと無関係であることを意味するのではない。むしろ、8つの「極」搭載機種を対象機種としている以上は、対象機種とされた8つの「極」搭載機種のプロモーションのためのイベントであるといわざるを得ないし、また、「Rio2プレミアム」のみならず「ぱちんこCR北斗の拳 百裂」について全てのビンゴマスに「極」(ないし「勲章の所定数獲得」)の条件が割り当てられている以上は、「ぱちんこCR北斗の拳 百裂」のプロモーションも「Rio2プレミアム」のプロモーションと同程度に意図されたイベントであったといわざるを得ない。いずれにしても、甲1イベントが「Rio2プレミアムの極搭載記念イベント」であるとされていることは、甲1サイトでの計算機の実行に係るプログラムが「Rio2プレミアム」以外の機種のプロモーションの意味をもたない専用プログラムであることを意味しない。
なお、この点、同じ甲1サイトにおいて「Rio2プレミアム」でない機種を対象とした後述する甲第11イベントが実施されていることに照らしても、「極」や「ビンゴラインの成立」を用いた仕組みが「Rio2プレミアム」のプロモーションイベント用に特化したプログラムにのみ存在するとはいえない。特許権者は、平成30年12月28日付意見書において、甲1イベントから公然実施発明としての引用発明を認定するにあたって甲11イベントを考慮するのは適切でない等とも主張しているが、甲1サイトにおける甲11イベントの存在は、甲1イベントのビンゴゲームの仕組みが他のイベントに流用され得ることの証左であり、これを考慮することができない理由はない。
以上を踏まえれば、引用発明を認定するにあたって、インターネット上のゲームサイトの計算機の実行に係る「プログラム」が「パチスロアプリである「Rio2プレミアム」のプロモーションイベント用の」ものである旨を明示すべきとはいえない。この点についての特許権者の主張には理由がなく、採用することができない。

イ 甲第11号証等が示すイベント(以下、「甲11イベント」)について
(ア)甲11イベントが出願前に開催されたことについて
甲第11号証は、その体裁と内容からみて、上述した「甲1サイト」における「https://www.777town.net/news/news_details_all_conts.jsp?NEWS_ID=5543」というURLによって示されるページの内容を示すものであって、具体的には、「【極でビンゴ】イベント開催!!」というタイトルで「2011年2月8日」に配信されたニュース記事の内容を示すものである。そして、ここでは、甲1サイト上での「【極でビンゴ】イベント開催!!」というビンゴイベント(以下、「甲11イベント」)の対象店舗(開催期間)が「2/8(火)17時」から「2/18(金)メンテナンス開始」までであった旨が示されており、甲1サイトにおいて甲11イベントがこの期間中開催されたことを推認させるものである。
また、甲第12号証及び甲第13号証は、その体裁と内容からみて、それぞれ、甲1サイトにおける、「https://www.777town.net/news/news_list_conts.jsp」及び「https://www.777town.net:80/news/data/list/news_list_0.jsp」というURLにより示されるホームページ及びホームページの一部の内容を、上記した甲1イベントの対象店舗(開催期間)(「2/8(火)17時」から「2/18(金)メンテナンス開始」までの期間)後の2011年7月13日及び同月16日に保存したインターネットアーカイブのアーカイブ記事の内容を示すものであるところ、甲第13号証は、甲第12号証のホームページの一部であり(甲第12号証の1)、甲第13号証は、甲第11号証のニュース記事のURLを含む(甲第13号証の1)から、これらは、保存に先立つ上述した期間において、甲1サイトにおける甲11イベントが開催されたという上述した推認の裏付けとなっているものである。
これらによれば、甲1イベントが、本件特許の出願の日とみなされたその親出願の出願の日(平成25年5月27日)の前、すなわち、本件特許の出願前に日本国内又は外国において開催されたことは、明らかである。

(イ)甲11イベントの内容
A 甲第11号証
(A)「【極でビンゴ】イベント開催!! 2011/02/08 17:00」(1頁)

(B)「極でビンゴイベント開催 2/8(水)?2/18(金)・・・」(1頁、タイトル画像中の記載)

(C)「みなさんこんばんは。極担当「カメ」です。
突然ですが、「極」の機能を使ったイベントを開催しまっす!

対象機種は最近導入された3機種
ギンギン丸・猛獣王・回胴黙示録 カイジでっす。
それぞれのミッションをクリアすると
アバターやアイテムをプレゼントしちゃいます!」(1頁)

(D)「【極でビンゴ】
開催期間
2/8(火)17時開店店舗の開店から、2/18(金)メンテナンス開始まで
メンテナンスの予定については、ニュースをご確認ください。
プレゼントの配布日時
3/11(金)メンテナンス(予定)中にプレゼントします。
対象会員
有料会員の方(パチパチ、パチスロコース)
対象エリア
CENTRALエリア・NORTHエリア・WESTエリア・ISLANDエリア・BIGINNER’Sエリア
対象機種
【パチスロ】
ギンギン丸
猛獣王
回胴黙示録 カイジ
プレゼント【1】獲得条件
イベント対象機種で「極」達成条件をクリアし、指定ライン数を揃えることが出来た場合、アバターやアイテムをプレゼント!



⇒達成状況の確認の仕方はこちら
【ビンゴルール】
1.それぞれのマスに記載されている「各対象機種」の「極」を達成すると、そのマスをクリアしたことになります。
2.縦・横・斜めの3機種、3条件を達成すると、1ラインを揃えたことになります。
例:
ギンギン丸の其ノ七、回胴黙示録、カイジの其ノ五、猛獣王の其ノ八拾八を達成すると1ライン揃えたことになります。
同一ラインを重複して揃えても複数ライン数としてのカウントにはなりませんのでご注意ください。

1ライン以上獲得 3-5枚最高・激甘袋(極でビンゴ)(図は省略)
+
2ライン以上獲得 極ギンちゃん(アバター)


+
・・・・・」
(1頁?3頁、「【極でビンゴ】」の表中の記載)

B 甲11イベントについて
Aの記載によれば、甲11イベントは、甲1サイトにおいて、「ギンギン丸」、「猛獣王」、「回胴黙示録 カイジ」の3つの機種を対象機種として、これらの機種における「極」の達成とそれによるビンゴラインの成立を用いたビンゴイベントである。
また、ビンゴのルールとしては、ビンゴのそれぞれのマスが示す1の対象機種における1の「極」が達成されることによってそのマスがクリアされたことになると共に、縦・横・斜めの1ラインをなすマスが示す対象機種の「極」の全てが達成されることでこの1ラインを揃えたことになるものの、同一ラインの対象機種の「極」の組合せを重複して達成しても複数ラインとしてのカウントにならないから、ビンゴの図中の縦の1ラインは1の対象機種のみによって達成可能であるものの、縦の2ライン以上や横又は斜めの1ラインを含む2ライン以上を達成するためには、複数の対象機種での「極」の達成が必要となるものである。
さらに、「1ライン以上獲得」と「2ライン以上獲得」の場合では、プレゼントされるアイテムないしアバターが異なり、「2ライン以上獲得」の場合には、「極ギンちゃん(アバター)」がプレゼントされるから、2ライン以上を獲得して「極ギンちゃん(アバター)」を得るためには、複数の対象機種での「極」の達成が必要となる。
してみると、甲11イベントにおいては、甲1サイトにおける「極」の達成とそれによるビンゴラインの成立を用いて、3つの対象機種のうち1の対象機種のみによっては満たされない条件である「2ライン以上」のビンゴラインが成立した場合に「極ギンちゃん(アバター)」という報酬を付与しているものである。

(3)当審の判断
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と(2)アにおいて上述した甲第1号証等が示す公然実施発明(以下、「引用発明」という。)とを対比する。

A 引用発明における「インターネット上のゲームサイト」は、本件発明1の「端末装置と通信可能なサーバ装置」に相当する。引用発明における「遊技者」は、本件発明1の「プレイヤ」に相当するから、両者は、いずれも「プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置の制御方法」であるといえる。

B 引用発明の「パチスロアプリやパチンコアプリ」は、本件発明1の「第1のゲーム」に相当する。
引用発明の「「極」」は、「第1のゲーム」において設定された演出等のミッションであり、第1のゲームのプレイヤの状態を変化させる条件であるから、本件発明1の「第1のゲームにおける第1の条件」に相当する。また、引用発明の「対応番号に応じたアイテムである「NO,○○(狙って)」」は、第1のゲームにおける第1の条件の達成後のプレイヤの状態であり、プレイヤは、第1の条件の達成によって、「対応番号に応じたアイテムである「NO,○○(狙って)」」をもらい、また、これによって同時に、パチスロアプリであれば「常に最高設定状態でプレイできることになる」方向により有利な状態ともなっており、いずれの観点からみてもプレイヤに報酬が付与されているといえるから、引用発明の「対応番号に応じたアイテムである「NO,○○(狙って)」が即時にもらえるように」することは、本件発明1の「第1の報酬を付与する」ことに相当する。

C 引用発明の「遊技者において「極コンちゃん(アバター)」がもらえる」ことは、「第1の報酬」と異なる報酬を付与することであるから、本件発明1の「プレイヤに第2の報酬を付与する」ことに相当する。
そして、そのための条件について、引用発明は、「パチスロアプリである「Rio2プレミアム」の「リオカットインピース」や、他のパチスロアプリである「十字架」の「ドラキュラミッション中に絨毯が赤に変化」という「極」の達成による1の番号に対応する「NO,1(狙って)」の「アイテム」の獲得と、「Rio2プレミアム」における「BB中赤7揃い」、「Rio Time中ティファニーが揃う」、「BB演出スパイ」、「Rio Time突入4」という「極」の達成による、それぞれ2、3、4、5の番号に対応する「NO,2(狙って)」、「NO,3(狙って)」、「NO,4(狙って)」、「NO,5(狙って)」の「アイテム」の獲得とによって、「1,2,3,4,5」の組合せを含む青色のビンゴラインが成立」するものであるところ、引用発明における、第2の報酬を付与するために、第1の報酬に対応するアイテムによる「ビンゴライン」を「成立」させることは、本件発明1における、「複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲーム」である「第2のゲーム」に対応しており、引用発明における青色のビンゴラインによって示される「極」の組合せは、「十字架」と「Rio2プレミアム」という複数のパチスロアプリである「複数の第1のゲーム」において相異なる複数の「第1条件」が達成されるまでこれらのパチスロアプリがプレイされたことを示し得る情報であって、「プレイ回数」ではないものの、本件発明の「プレイ履歴」に対応する。
そして、引用発明の青色のビンゴラインの「成立」は、「Rio2プレミアム」という1の第1のゲームのみによって成立可能な1である所定数のビンゴラインの成立であって、「複数の第1のゲームのプレイ履歴に関連付けられた第2のゲーム」における「プレイ履歴」について「第2の報酬を付与する」ために満たすべき「第2の条件」であるから、引用発明の、青色のビンゴラインの成立によって「極コンちゃん(アバター)」がもらえるようにすることは、ビンゴゲームのいずれのラインも1の第1のゲームによっては揃わないような条件ではないものの、本件発明1の、「前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与する」ことに対応している。

してみると、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置の制御方法であって、
複数の第1のゲームで、各第1のゲームにおける第1の条件が達成された場合に前記プレイヤに第1の報酬を付与するステップと、
前記複数の第1のゲームのプレイ履歴に関連付けられた第2のゲームで、前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与するステップと、を含み、
第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、
前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことである、
サーバ装置の制御方法。

<相違点>
第2の報酬を付与するために満たすべき「第2の条件」に係る「第2のゲーム」である「ビンゴゲーム」について、本件発明1では「複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた」ものであるとともに「いずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない」ものであるのに対し、引用発明では、第1のゲームのプレイ回数に関連付けられてたものでなく、1の第1のゲームによって揃わないものでない点。

(イ)取消理由1について
上記のとおり、本件発明1と引用発明との間には相違点があり、この相違点は実質的なものでないといえないから、両者を同一とすることはできない。
よって、本件発明1について、取消理由1は解消している。

(ウ)取消理由2について
上記相違点について検討する。
引用発明として認定した甲1イベントと甲11イベントのいずれのビンゴゲームにおいても、1の第1のゲームによって成立し得るビンゴラインが存在するものとなっており、「いずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない」ものとはなっていないところ、このような「第1のゲームのプレイ履歴」に関連付けられた「第2のゲーム」である「ビンゴゲーム」において「いずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない」ものとすることが公知技術乃至周知技術であることを示す文献等は見当たらない。
また、引用発明において、複数回の「極」の達成を条件とするにあたっては、複数回の「極」の達成を条件とした「アイテム」の獲得そのものを第1のゲームとするように変更する方法(以下、「前者」という。)と、「極」の達成による「アイテム」の獲得が複数回生じたことを(第1のゲームとするのではなく)第2のゲームにおける第2の条件の一部とするように変更する方法(以下、「後者」という。)とがあり得、このうちの後者は、引用発明を本件発明1のように「第2のゲーム」に関連付けられた「第1のゲームのプレイ履歴」を「第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数」とする変更に対応するものであるといえる。そして、引用発明を複数回の「極」の達成を条件とするものに変更するにあたっては、前者による変更がより自然であって、後者による変更が公知技術乃至周知技術であることを示す文献等も見当たらない。
さらには、これらの各々やこれらの組合せが周知技術であることを示す文献等が見当たらないことに照らせば、相違点に係る変更が単なる設計事項であるともいえない。
してみると、上記相違点について、容易想到であるということはできない。よって、本件発明1について、取消理由2も解消している。

イ 請求項2、3、5、6について
本件発明2、本件発明3、本件発明5及び本件発明6についても、これらを引用発明と対比すると、ア(イ)で述べた相違点と同様の点が相違点となり、これらと引用発明とは同一でなく、また、この相違点について容易想到とすることができないことは、ア(ウ)において述べたとおりである。
よって、本件発明2、本件発明3、本件発明5及び本件発明6についても、取消理由1及び2は解消している。

ウ 小括
以上のとおり、訂正後の請求項1ないし3、5、6について、取消理由1及び2は、いずれも解消している。
なお、すでに特許異議申立人に対し意見書提出の機会が与えられており、訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮されている等に鑑みて、特許異議申立人に再度の意見提出を求めなかった。(審判便覧67-05.5の「4.」)

5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、本件発明1ないし6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた旨(以下、「特許異議申立理由1」という。)、及び、本件発明1ないし6は、甲第5号証に記載された発明及び甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた旨(以下、「特許異議申立理由2」という。)を申立てている。
特許異議申立理由1の主引用文献として示された甲第1号証(インターネット上のゲームサイトにおける特定のURLにより示されるWebページのプリントアウト)は、いつどのような技術内容が公表されたかを確定できる内容のものでなく、これに基づいて特許法第29条第1項第3号に掲げる発明としてのサーバ装置に係る方法発明、装置発明又はプログラム発明の認定が可能であるような証拠方法でない。特許異議申立理由2の主引用文献として示された甲第5号証(インターネット上のブログ記事のプリントアウト)も、同様である。
よって、いずれの特許異議申立理由も取消理由として採用しない。
なお、4で上述したとおり、甲第1号証及び甲第3号証によって当該インターネット上のゲームサイトに係る公然実施発明を認定することができるから、この公然実施発明に基づく新規性及び進歩性の欠如を取消理由として通知し、検討した。

6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由又は特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし3、5、6に係る特許を取り消すことはできず、他に本件請求項1ないし3、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項4に対する特許異議の申立ては、本件訂正請求によって請求項4が削除されたことによってその対象が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置の制御方法であって、
複数の第1のゲームで、各第1のゲームにおける第1の条件が達成された場合に前記プレイヤに第1の報酬を付与するステップと、
前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲームで、前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与するステップと、を含み、
前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、
前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、
前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、サーバ装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバ装置の制御方法であって、
前記第2のゲームで前記第2の条件が達成されたか否かの判定は、前記複数の第1のゲームで達成された第1の条件の組み合わせに基づいて行われる、サーバ装置の制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載のサーバ装置の制御方法であって、
前記第2のゲームにおける前記第2の条件の達成に必要な、前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件をそれぞれ含む1以上の組み合わせを設定するステップと、
前記1以上の組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせに含まれる第1の条件が前記複数の第1のゲームで達成された場合に、前記第2のゲームで前記第2の条件が達成されたと判定するステップと、
を更に含む、サーバ装置の制御方法。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置であって、
複数の第1のゲームで、各第1のゲームにおける第1の条件が達成された場合に前記プレイヤに第1の報酬を付与し、前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲームで、前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与する制御部を備え、
前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、
前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、
前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、サーバ装置。
【請求項6】
プレイヤの端末装置と通信可能なサーバ装置に、
複数の第1のゲームで、各第1のゲームにおける第1の条件が達成された場合に前記プレイヤに第1の報酬を付与するステップと、
前記複数の第1のゲームのプレイ履歴におけるプレイ回数に関連付けられた第2のゲームで、前記プレイ履歴が第2の条件を満たした場合に前記プレイヤに第2の報酬を付与するステップと、を実行させ、
前記第2のゲームは前記複数の第1のゲームにおける複数の第1の条件を配列されたビンゴゲームであり、
前記第2の条件は、前記ビンゴゲームにおける所定数のラインが揃うことであり、
前記ビンゴゲームのいずれのラインも、1の前記第1のゲームによっては揃わない、プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-01-17 
出願番号 特願2015-184382(P2015-184382)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G06Q)
P 1 651・ 112- YAA (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 牧 裕子  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 田中 秀樹
相崎 裕恒
登録日 2017-09-08 
登録番号 特許第6204429号(P6204429)
権利者 グリー株式会社
発明の名称 サーバ装置の制御方法、サーバ装置、及びプログラム  
代理人 河野 英仁  
代理人 松野 知紘  
代理人 大野 浩之  
代理人 大野 浩之  
代理人 大野 聖二  
代理人 田中 伸次  
代理人 小林 英了  
代理人 松野 知紘  
代理人 大野 聖二  
代理人 小林 英了  

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