• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
管理番号 1349693
異議申立番号 異議2018-700525  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-27 
確定日 2019-02-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6253372号発明「硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6253372号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第6253372号の請求項1、3ないし5及び7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨

1.本件特許の設定登録までの経緯
本件特許第6253372号(以下、単に「本件特許」という。)に係る出願(特願2013-246841号、以下「本願」という。)は、平成25年11月29日に出願人株式会社カネカ(以下「特許権者」ということがある。)によりされた特許出願であり、平成29年12月8日に特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、平成29年12月27日に特許公報の発行がされたものである。

2.本件異議申立の趣旨
本件特許につき平成30年6月27日に特許異議申立人廣瀬妙子(以下「申立人」という。)により「特許第6253372号の特許請求の範囲の請求項1、3ないし5及び7に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議申立がされた。
(よって、本件異議申立における審理では、請求項2及び6に記載された発明についての特許は、審理の対象外である。)

3.以降の手続の経緯
平成30年 9月10日付け 取消理由通知
平成30年11月12日 訂正請求書・意見書(特許権者)
平成30年11月16日付け 通知書(申立人あて)
(申立人からの意見書の提出はなかった。)

第2 申立人が主張する取消理由
申立人は、本件特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、下記甲第1号証ないし甲第7号証を提示し、概略、以下の取消理由1ないし3が存するとしているものと認められる。

取消理由1:本件発明1、3ないし5及び7は、いずれも、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
取消理由2:本件発明1、3ないし5及び7は、いずれも、甲第2号証に記載された発明に基づいて、周知技術(甲第1号証及び甲第4号証ないし甲第7号証)を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
取消理由3:本件発明1、3ないし5及び7は、いずれも、甲第3号証に記載された発明に基づいて、周知技術(甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証ないし甲第7号証)を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

・申立人提示の甲号証
甲第1号証:特開平9-165507号公報
甲第2号証:特公昭62-7210号公報
甲第3号証:特開2005-272733号公報
甲第4号証:日本接着協会誌、第19巻、第6号(1983年)、第252?259頁
甲第5号証:特開2007-35699号公報
甲第6号証:特開2013-221308号公報
甲第7号証:国際公開第2012/121288号
(以下、上記甲第1号証ないし甲第7号証につき「甲1」ないし「甲7」と略す。)

第3 当審が通知した取消理由の概要
当審が平成30年9月10日に通知した取消理由の概略は、以下のとおりである。

「当審は、
申立人が主張する上記取消理由1により、本件発明1、3ないし5及び7についての特許はいずれも取り消すべきもの、
と判断する。以下、詳述する。

●取消理由1について
・・(中略)・・
(4)検討のまとめ
以上のとおり、本件発明1、3ないし5及び7は、いずれも甲1に記載された発明であるから、本件発明1、3ないし5及び7は、いずれも特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではなく、本件の請求項1、3ないし5及び7に係る発明についての特許は、特許法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。」

第4 平成30年11月12日付け訂正請求の適否

1.訂正請求の内容
上記平成30年11月12日にされた訂正請求では、本件特許に係る特許請求の範囲を、上記訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし7について訂正することを求めるものであり、以下の(1)ないし(8)の訂正事項からなるものである。(なお、下記の訂正事項に係る下線は、当審が付したもので訂正箇所を表す。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「反応性ケイ素基を1つの末端に平均して1.0個より多く有する反応性ケイ素基含有重合体(A)」と記載されているのを、「重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する反応性ケイ素基含有重合体(A)」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体である硬化性組成物。」と記載されているのを、「前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体であり、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の前記末端部位が一般式(1):
【化1】


(式中、R^(1),R^(3)はそれぞれ独立に2価の炭素数1から6の結合基であり、隣接するそれぞれの炭素原子と結合する原子は、炭素、酸素、窒素のいずれかである。R^(2),R^(4)はそれぞれ独立に水素、または炭素数1から10の炭化水素基である。nは1から10の整数である。R^(5)はそれぞれ独立に、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。Yは水酸基または加水分解性基である。aは1、2、3のいずれかである。)で表される構造を有する硬化性組成物。」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に、「請求項1または2に記載の」と記載されているのを、「請求項1に記載の」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に、「請求項1?3のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1または3に記載の」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に、「請求項1?4のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、3または4に記載の」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項6に、「請求項1?5のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、3、4または5に記載の」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項7に、「請求項1?5のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、3、4または5に記載の」に訂正する。

2.検討
なお、以下の検討において、この訂正請求による訂正を「本件訂正」といい、本件訂正前の特許請求の範囲における請求項1ないし7を「旧請求項1」ないし「旧請求項7」、本件訂正後の特許請求の範囲における請求項1ないし7をそれぞれ「新請求項1」ないし「新請求項7」という。

(1)訂正の目的要件について
上記の各訂正事項による訂正の目的につき検討する。

ア.訂正事項1ないし3について
上記訂正事項1に係る訂正は、旧請求項1における「1つの末端」につき、本件特許に係る明細書(以下「本件特許明細書」という。)の記載(【0019】)に基づいて、原子数により定義を明確化したものであるとともに、上記訂正事項2に係る訂正は、旧請求項1につき、旧請求項2に記載されていた「末端部位」の構造に係る事項を付加することにより、「重合体(A)」を限定して、併せて新請求項1としているから、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
また、訂正事項3に係る訂正は、旧請求項2に記載された事項を全て削除するものであるから、旧請求項2の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、上記訂正事項1ないし3による各訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に規定の目的要件に適合するものである。

イ.訂正事項4ないし8について
上記訂正事項4ないし8に係る訂正は、いずれも、訂正事項3による訂正により旧請求項2の記載事項が全て削除されたことに伴い、旧請求項2を引用して記載された旧請求項3ないし7の記載の不整合を単に正したものであるから、いずれも明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
したがって、訂正事項4ないし8による各訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定の目的要件に適合するものである。

ウ.小括
よって、本件訂正は、その訂正事項1ないし8に係る訂正につき、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に規定の目的要件に適合するものである。

(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
上記(1)に示したとおり、上記訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正をすることにより、旧請求項1につき、特許請求の範囲が実質的に減縮されて新請求項1とされていることが明らかであって、上記訂正事項3に係る訂正により旧請求項2に記載された事項を全て削除しているのみである。
また、訂正事項4ないし8に係る各訂正は、訂正された特許請求の範囲の記載との対応関係が不整合となった請求項3ないし7の記載を単に正したものである。
してみると、上記訂正事項1ないし8に係る各訂正は、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであり、また、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。
してみると、上記訂正事項1ないし8に係る各訂正は、いずれも特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものである。

(3)一群の請求項等について
本件訂正前の旧請求項2ないし7は、いずれも旧請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、旧請求項1ないし7につき、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(4)独立特許要件
本件異議の申立てにおいては、旧請求項2又は6につき申立ての対象ではない。
しかるに、本件訂正における訂正事項3に係る訂正は、旧請求項2に係る事項を全て削除するものであり、上記(1)で示したとおり、旧請求項2に係る特許につき特許請求の範囲の減縮を目的とするものではあるが、当該訂正により、(旧)請求項2に記載された事項が全て削除されているから、独立して特許を受けることができるか否かを判断すべき対象が存するものではない。
したがって、請求項2については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定の独立特許要件につき検討することを要しない。
また、請求項6につき検討すると、請求項6は、直接的には上記訂正事項7に係る訂正により旧請求項6につき新請求項6に訂正されるものであるところ、旧請求項1(及び旧請求項2)並びに新請求項1の記載を引用して記載されているものであるから、上記(1)で示したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項1ないし3による訂正によって、旧請求項6から新請求項6とした場合であっても、間接的にその特許請求の範囲が減縮されるものと認められる。
しかるに、下記第6においても説示するとおり、本件訂正後の新請求項1に係る発明についての特許につき、取り消すべき理由が存するものといえないのであるから、新請求項1に記載された事項を引用する新請求項6に係る発明につき、特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき特段の理由が存するものとは認められない。
したがって、新請求項6に係る発明は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定の独立特許要件を満たしているものである。

(5)訂正に係る検討のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1ないし7について訂正を認める。

第5 本件特許に係る請求項に記載された事項
本件訂正後の本件特許に係る請求項1ないし7には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子状に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する反応性ケイ素基含有重合体(A)、
カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)、
シラノール縮合触媒(C)、
を含有し、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体であり、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の前記末端部位が一般式(1):
【化1】


(式中、R^(1),R^(3)はそれぞれ独立に2価の炭素数1から6の結合基であり、隣接するそれぞれの炭素原子と結合する原子は、炭素、酸素、窒素のいずれかである。R^(2),R^(4)はそれぞれ独立に水素、または炭素数1から10の炭化水素基である。nは1から10の整数である。R^(5)はそれぞれ独立に、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。Yは水酸基または加水分解性基である。aは1、2、3のいずれかである。)で表される構造を有する硬化性組成物。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
反応性ケイ素基含有重合体(A)の反応性ケイ素基が1つの末端に平均して2.0個以上有する請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
補強性フィラー(B)を反応性ケイ素基含有重合体(A)100重量部に対して、1?300重量部、シラノール縮合触媒(C)を反応性ケイ素基含有重合体(A)100重量部に対して、0.001?20重量部、含有する請求項1または3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
ダイレクトグレージング用であることを特徴とする、請求項1、3または4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
反応性ケイ素基含有重合体(A)を、末端に水酸基を有する重合体に、水酸基に対して0.6当量以上のアルカリ金属塩を作用させた後、炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物と反応させ、さらに、炭素-炭素不飽和結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させた後、炭素-炭素不飽和基に対し、ヒドロシリル化反応で反応性ケイ素基を導入することによって得ることと、
反応性ケイ素基含有重合体(A)、カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)、並びにシラノール縮合触媒(C)を、1成分型組成物、又は2成分型組成物として配合することと、を含む、請求項1、3、4または5に記載の硬化性組成物を製造する方法。
【請求項7】
請求項1、3、4または5に記載の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物。」
(以下、上記請求項1ないし7に係る各発明につき、項番に従い「本件発明1」ないし「本件発明7」といい、併せて「本件発明」と総称することがある。)

第6 当審の判断
当審は、
当審が通知した上記取消理由1並びに申立人が主張する上記取消理由2及び3につき、いずれも理由がなく、本件訂正後の上記本件発明1、3ないし5及び7についての特許を取り消すべきその他の理由を発見できないから、本件訂正後の上記本件発明1、3ないし5及び7についての特許は取り消すことはできず、維持すべきものである、
と判断する。以下、詳述する。

I.甲号証に記載された事項及び甲号証に記載された発明
以下、当審が通知した上記取消理由1及び申立人が主張する上記取消理由2及び3につき検討するにあたり、当該各理由はいずれも特許法第29条に係るものであるから、上記甲1ないし甲7に記載された事項を確認・摘示するとともに、甲1ないし甲3に記載された発明の認定を行う。(なお、各摘示における下線は当審が付した。)

(1)甲1

ア.甲1に記載された事項
甲1には、申立人が申立書第8頁第24行?第11頁第18行で主張するとおりの事項を含めて、以下の事項が記載されている。

(a-1)
「【請求項1】 ダイレクトグレージングによって車両にガラス部材を取り付ける方法において、シーリング材として(A)1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基を有するオキシアルキレン重合体、(B)カーボンブラック、及び(C)分子中に架橋性基を有しないオキシアルキレン重合体を含有する硬化性樹脂組成物を用いる車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項2】 (A)成分における1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基が一般式:
【化1】


(式中、R^(1)およびR^(2)はいずれも炭素数1?20のアルキル基、炭素数6?20のアリール基、炭素数7?20のアラルキル基またはR^(3)_(3)SiO-(R^(3)は炭素数1?20の1価の炭化水素基であり、3個のR^(3)は同じであってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R^(1)またはR^(2)が2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基であり、2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。aは0?3から選ばれる整数、bは0?2から選ばれる整数であり、a+Σb≧1となる整数である。また、mが2以上の場合、それぞれのbは同一である必要はない。mは0?19から選ばれる整数。)で表される基である請求項1記載の車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項3】 (A)成分における1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基が一般式:
【化2】


(式中、R^(2)、Xおよびaは前記と同じである。)で表される基である請求項1記載の車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項4】 (A)成分のオキシアルキレン重合体がオキシプロピレン重合体である請求項1記載の車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項5】 (C)成分のオキシアルキレン重合体がオキシプロピレン重合体である請求項1記載の車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項6】 (C)成分のオキシアルキレン重合体が、反応性珪素基と反応可能な官能基を有しない重合体である請求項1記載の車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項7】 硬化性樹脂組成物が1液型硬化性樹脂組成物である請求項1記載の車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項8】 硬化性樹脂組成物の硬化物が100%伸張時モジュラス1MPa以上であり、破断時強度3MPa以上であり、破断時伸び200%以上の引張特性を有するものである請求項1記載の車両へのガラス部材の取付方法。
【請求項9】 ダイレクトグレージングによって車両にガラス部材を取り付ける方法に用いるシーリング材の製造方法において、(A)1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基を有するオキシアルキレン重合体、(B)カーボンブラック、及び(C)分子中に架橋性基を有しないオキシアルキレン重合体を含有する硬化性樹脂組成物を使用する製造方法。
【請求項10】 (A)1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基を有するオキシアルキレン重合体、(B)カーボンブラック、及び(C)分子中に架橋性基を有しないオキシアルキレン重合体を含有する車両用ダイレクトグレージングに用いる硬化性樹脂組成物。」

(a-2)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なシーリング材組成物を用いるダイレクトグレージングによる車両へのガラス部材の取付方法に関する。」

(a-3)
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はウレタンシーリング材に代わる新規なシーリング材を用いたダイレクトグレージング方法を提供することにある。すなわち、本発明の目的は十分な機械強度、接着強度、ゴム弾性及び作業性を有する新規な硬化性組成物を用いたダイレクトグレージング方法を提供することにある。
【0005】本発明者等は珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基(以下、反応性珪素基という)を有するオキシアルキレン重合体を用いたシーリング材が上記の性質を有しダイレクトグレージングに用いるシーリング材として適切であり、かつ取扱の容易な1液型シーリング材にすることが容易であることを見出した。さらに、反応性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の硬化物は破断強度がやや小さいが、充填材としてカーボンブラックを使用すると、大きい破断強度が得られることが見出された。また反応性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の硬化物はゴム弾性を有しているがさらにゴム弾性を付与するには可塑剤を使用するのが好ましい。可塑剤として2-エチルヘキシルフタレート(DOP)などの低分子量可塑剤を用いると理由は不明であるがシーリング材として長期間保存しておくと架橋速度が遅くなるため作業性が低下する。ところが高分子可塑剤であるオキシアルキレン重合体を用いるとシーリング材として保存後に架橋速度を低下させないことが見出された。」

(a-4)
「【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては(A)成分として1分子中に少なくとも1個の反応性珪素基を有するオキシアルキレン重合体を用いる。オキシアルキレン重合体の主鎖は、一般式(1)で示される繰り返し単位を有する。
【0008】-R-O- (1)
(式中、Rは2価のアルキレン基)
上記式におけるRは、炭素数1?14の、さらには2?4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。
・・(中略)・・
【0011】反応性珪素基とは、例えば-Si(OCH_(3))_(3)で表される基で空気中の水分等により加水分解し、-Si(OH)_(3)等シラノールを経て他の反応性珪素基とシラノール縮合反応によりシロキサン結合(Si-O-Si)を生じる基である。
・・(中略)・・
従って反応性珪素基を有するポリマーは湿分存在下で室温の下でも架橋硬化する。反応性珪素基はよく知られた官能基であり、その代表例としては、一般式(2):
【化3】


(式中、R^(1)およびR^(2)はいずれも炭素数1?20のアルキル基、炭素数6?20のアリール基、炭素数7?20のアラルキル基またはR^(3)_(3)SiO-(R^(3)は炭素数1?20の1価の炭化水素基であり、3個のR^(3)は同じであってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R^(1)またはR^(2)が2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基であり、2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。aは0?3から選ばれる整数、bは0?2から選ばれる整数であり、a+Σb≧1となる整数である。また、mが2以上の場合、それぞれのbは同一である必要はない。mは0?19から選ばれる整数。)で表される基を挙げることができる。
・・(中略)・・
【0015】反応性珪素基はオキシアルキレン重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1?5個存在するのがよい。分子中に含まれる反応性珪素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また多すぎると網目構造があまりに密となるためゴム弾性挙動など良好な機械特性を示さなくなる。
【0016】反応性珪素基は、オキシアルキレン重合体分子鎖の末端に存在していてもよく、内部に存在していてもよく、両方に存在していてもよい。特に反応性珪素基が分子鎖末端に存在する場合には、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなる等の点から好ましい。また、これら反応性珪素基を有するオキシアルキレン重合体は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0017】(A)成分の重合体は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、その数平均分子量は500?50,000程度、より好ましくは1,000?30,000である。」

(a-5)
「【0030】本発明の(B)成分であるカーボンブラックはフィラーとして機能するが、一般にカーボンブラックはゴムの補強性フィラーとして知られているものである。本発明には公知のカーボンブラック類が用いられる。(B)成分は硬化物の力学特性を改善し、弾性率(モジュラス)及び破断強度を大きくするものであり、強度が必要である自動車ガラス用シール材への適用が可能となる。
【0031】(B)成分の具体例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック等があげられる。上記(B)成分は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0032】(B)成分の使用量は(A)成分のオキシアルキレン重合体100部(重量部、以下同じ)に対して0.1部?500部、さらには10?200部の範囲が好ましい。0.1部未満の場合効果が出にくく500部を超えると作業性及び硬化物の力学特性への悪影響がでる場合があり好ましくない。」

(a-6)
「【0033】本発明の(C)成分である分子中に架橋性基を有しないオキシアルキレン重合体は主鎖が一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものであり、かつ反応性珪素基等の架橋性基を有しないものである。架橋性基とは本発明に用いる組成物の硬化に際し、架橋・硬化する基をいい典型的なものは反応性珪素基である。(C)成分は可塑剤として作用するものであるので特殊な場合以外この成分が架橋性基を有しないのは当然である。(C)成分の可塑剤を用いるとシーリング材組成物として保存した場合、貯蔵後に硬化速度の低下がないという効果がある。すなわち、可塑剤として2-エチルヘキシルフタレート(DOP)などの低分子量可塑剤を用いると理由は不明であるがシーリング材として長期間保存しておくと硬化速度が遅くなる。そのため表面硬化性の悪化や硬化初期の硬化物の強度低下が生じるので、硬化に長時間を要し作業性が低下する。ところが高分子可塑剤であるオキシアルキレン重合体を用いると、貯蔵後にシーリング材組成物を硬化させた場合、表面硬化性の悪化や硬化初期の硬化物の強度低下がない。更には、本発明に用いる組成物は(C)成分の使用により深部硬化性も優れている。(C)成分は可塑剤として作用するものであるので架橋性基を有しないことが必要であるが、さらに(A)成分の反応性珪素基と反応するような官能基を有しないことが望ましい。このような官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素を有する基やエステル基、アミド基、ウレタン基、尿素基などの反応性珪素基と反応する基があげられる。(C)成分として最も望ましい重合体は末端の水酸基がアルコキシ基やアルケニルオキシ基など活性水素を有しない基に変換された形の、水酸基が封鎖されたオキシアルキレン重合体である。(C)成分は直鎖状であっても分岐状であってもよく、その分子量は、100?50,000、より好ましくは300?30,000であって、異なる重合体を2種以上併用してもよい。(C)成分は可塑剤として作用するため(C)成分の分子量は(A)成分の分子量より1,000以上、好ましくは3,000以上小さいことが望ましい。また(C)成分の重合体は一般式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有してもよい。(C)成分の使用量は(A)成分のオキシアルキレン重合体100部に対して0.01部?600部、さらには10?100部の範囲が好ましい。0.01部未満の場合可塑化の効果が出にくく600部を超えると硬化物の力学特性への悪影響がでる場合があり好ましくない。」

(a-7)
「【0034】また本発明に用いる組成物には、更に必要に応じてシラノール硬化触媒、(B)成分以外の充填材、(C)成分以外の可塑剤、脱水剤、相溶化剤、接着性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、シラン化合物などの各種添加剤を適宜添加できる。
【0035】シラノール縮合触媒は反応性珪素基の反応を促進するものである。シラノール縮合触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずマレエート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ナフテン酸すず、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナート等の有機すず化合物類;・・(中略)・・等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されている縮合触媒を用いることができる。これらのシラノール触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。これらのシラノール縮合触媒のうち、有機金属化合物類、または有機金属化合物類とアミン系化合物の併用系が硬化性の点から好ましい。特に、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずマレエート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ナフテン酸すず、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナート等の有機すず化合物類が好ましい。
【0036】これらのシラノール縮合触媒の使用量は、反応性珪素基を有するオキシアルキレン重合体100部に対して0.01?20部程度が好ましく、0.1?10部程度が更に好ましい。オキシアルキレン重合体に対してシラノール縮合触媒の使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなるので、好ましくない。一方、オキシアルキレン重合体に対してシラノール縮合触媒の使用量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので好ましくない。」

(a-8)
「【0037】本発明に用いる硬化性樹脂組成物にはカーボンブラック以外の充填材を併用することができる。このような充填材としては、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、グラファイト、けいそう土、白土、カオリン、クレー、タルク、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、石英粉末、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維等が使用されうる。これらのカーボンブラック以外の充填材は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。カーボンブラック以外の充填剤の使用量は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体100部に対して1?200部程度が好ましく、10?150部程度が更に好ましい。本発明の用いる硬化性樹脂組成物には、本発明の目的が達成される限り、(C)成分の分子中に架橋性基を有しないオキシアルキレン重合体以外の他の可塑剤を使用することができる。このような可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどの如きフタル酸エステル類;・・(中略)・・などの可塑剤が単独または2種類以上の混合物の形で任意に使用できる。」

(a-9)
「【0042】
【実施例】
実施例1?3、比較例1?2
1分子あたり平均1.5個のメチルジメトキシシリル基
-Si(OCH_(3))_(2)CH_(3)
を末端に有する平均分子量10,000のオキシプロピレン重合体(以下「メチルジメトキシシリル基末端オキシプロピレン重合体」という)100部に対し、表1に示す配合剤を添加して硬化性樹脂組成物を得た。操作は、プラネタリーミキサーを用い、炭酸カルシウム及びカーボンブラックを加熱乾燥の後、メチルジメトキシシリル基末端オキシプロピレン重合体とその他の配合剤を加えて混練することによった。
【0043】
【表1】


表1中の可塑剤で、オキシアルキレン重合体○1(当審注:丸数字は表現できないのでこのような表記に代える。)は、アリルオキシ基末端(CH_(2)=CHCH_(2)O-)、平均分子量5000のオキシプロピレン重合体である。
【0044】硬化性樹脂組成物の性質あるいは硬化物の物性の測定は次のようにして行った。
【0045】(1)表面硬化性
得られた硬化性樹脂組成物を上面開放の容器に充填し、23℃、60%RHの雰囲気下で硬化させ組成物表面での糸引き現象の消失する時間(皮張り時間)を測定した。
【0046】(2)力学特性
硬化性樹脂組成物をポリエチレンフィルム上に3mmの厚みに延ばし、23℃、60%RHの雰囲気下で一定時間放置した。これをJIS K 6301に従って、3号ダンベルを作成し、引張速度=200mm/分で引張特性(100%モジュラス(M100)、破断強度(TB)、破断時伸び(EB))を測定した。
【0047】(3)深部硬化性
硬化性樹脂組成物を上面開放の容器に充填し、23℃、60%RHの雰囲気下で一定時間放置した後、硬化層を取り出し、この中央部の厚さを硬化厚さとして測定した。厚さが大きいほど深部硬化性が優れる。
【0048】(4)貯蔵安定性
硬化性樹脂組成物が充填された密閉容器を、50℃で28日間放置した後、上記(1)?(3)の測定を行った。貯蔵前後で上記(1)?(3)の測定値に変化がない場合、貯蔵安定性が優れる。
【0049】測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】


表2より、本発明に用いる硬化性樹脂組成物の硬化物は車両に用いるダイレクトグレージング用シーリング材として十分な破断強度や破断時伸び(ゴム弾性)を有することがわかる。また、本発明に用いる硬化性樹脂組成物はダイレクトグレージング用シーリング材として十分大きい硬化速度を有している。さらに組成物を貯蔵した後も皮張り時間の遅延や硬化初期の破断強度の低下がなく、深部硬化性が変わらないことから本発明に用いる硬化性樹脂組成物は十分な貯蔵安定性を有することがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明のダイレクトグレージングによる車両へのガラス部材の取付方法は新規な硬化性樹脂組成物を用いるものであり、十分な破断強度や破断時伸びをもってダイレクトグレージングを行うことができる。また、本発明に用いる硬化性樹脂組成物はダイレクトグレージング用シーリング材として十分大きい硬化速度を有しており、さらに十分な貯蔵安定性も有する。」

イ.甲1に記載された発明
上記ア.の(a-1)ないし(a-9)の記載事項(特に下線部の記載)からみて、甲1には、
「(A)下記一般式(2)で表される1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基を有するオキシアルキレン重合体100重量部、(B)補強性フィラーとしてのカーボンブラック0.1?500重量部、(C)分子中に架橋性基を有しない可塑剤としてのオキシアルキレン重合体0.01?600重量部及びシラノール硬化触媒0.01?20重量部を含有するダイレクトグレージング用シーリング材として有用な硬化性樹脂組成物。


(式中、R^(1)およびR^(2)はいずれも炭素数1?20のアルキル基、炭素数6?20のアリール基、炭素数7?20のアラルキル基またはR^(3)_(3)SiO-(R^(3)は炭素数1?20の1価の炭化水素基であり、3個のR^(3)は同じであってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R^(1)またはR^(2)が2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基であり、2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。aは0?3から選ばれる整数、bは0?2から選ばれる整数であり、a+Σb≧1となる整数である。また、mが2以上の場合、それぞれのbは同一である必要はない。mは0?19から選ばれる整数。)」
に係る発明(以下「甲1発明」という。)及び
「甲1発明の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。」
に係る発明がそれぞれ記載されているものといえる。

(2)甲2

ア.甲2に記載された事項
甲2には、申立人が申立書第11頁第20行?第15頁第2行で主張するとおりの事項を含めて、以下の事項が記載されている。

(b-1)
「1 重合体1分子当り少くとも二つのウレタン結合を有するイソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーとビスシランとの反応生成物を含有してなり、そして該反応生成物が約750乃至約20000の数平均分子量を有しそして
・・(中略)・・
(2)


式中、Rは1乃至6個の炭素を有する低級アルキル基であり、
R^(1)は1乃至4個の炭素を有する低級アルキル基であり、R^(2)及びR^(3)の各々は2乃至18個の炭素を有するアルキレン基または6乃至18個の炭素を有するアリーレン基であり、
そして
aは0乃至2の値を有する整数である、
・・(中略)・・
から成る群から選ばれた官能基を平均分子量当り2乃至約9個を有するものであり、但し、該官能基(1)、(2)、(3)および(4)の合計の少くとも0.1パーセントが(2)、(3)または(4)の少くとも一つである、ことを特徴とする硬化性組成物。
2 官能基(2)を約0.1乃至約100パーセント含む、特許請求の範囲第1項記載の組成物。
・・(中略)・・
5 官能基(2)が
(式は省略)
である、特許請求の範囲第2項記載の組成物。
・・(中略)・・
8 ポリウレタンプレポレマーがポリオキシアルキレンポリオールと芳香族ジイソシアネートとの反応生成物である、特許請求の範囲第1項記載の組成物。」
(特許請求の範囲第1項ないし第8項)

(b-2)
「本発明は、末端イソシアネート基の少くとも一部を2個のトリアルコキシシラン基を有する第二級アミン含有シラン単量体と反応させて得られる硬化性のイソシアネートを末端基とするポリウレタンプレポリマーに関する。更に特定的には、本発明はポリウレタンの望ましい特性組合せられた向上した湿潤付着性(Wet adhesion)を有する硬化性密閉剤(sealant)組成物に関する。」
(第4欄第4行?第11行)

(b-3)
「本発明の硬化組成物は引裂き強度、伸張性、弾性回復および同様の特性のごとき従来の方法によるポリウレタン重合体の望ましい特性の偶然的組合わせを提供し、他方その弱点、即ち弱い湿潤付着性または劣つた貯蔵寿命または組成物製造の際の適応性および同様の欠点を克服するものである。」
(第13欄第10行?第16行)

(b-4)
「主成分としてIに示す構造を有するN-N-ビス〔(3-トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(BTMSPA)を攪拌しつつプレポリマーに加えNCO基をエンド・キヤツピングした。シランの添加は水分を排除するためにグローブ・ボツクス中で行つた。


・・(中略)・・
実施例 4
本実施例は水分硬化性被覆または密閉剤に用いる完全にエンド・キヤツピングされたポリウレタンプレポリマーの製造に対するBTMSPAの効用を例示する。
トリオールおよび2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)を1/3モル比にて、攪拌機、温度計、窒素ブランケツトおよび加熱マントルを備えた3リツトル容反応フラスコに投入した。反応物を60℃に加熱しそして理論的NCO濃度に達するまでその状態に保つた。
下記のものを反応器に投入した。
TDI435.0g
58の酸価を有するグリセリンのプロピレンオキシド付加物を基底とするトリオール2500g。
60℃にて8時間、室温にて16時間たつたのち、オリゴマーのNCO濃度は3.62重量%であつた。
該ウレタンオリゴマーを窒素雰囲気下でフラスコ中に貯蔵しそして大気中の水分に曝されるのを避けるために吸引機を用いて密閉系にて必要に応じて小さいフラスコに移した。
全エンド・キヤツピング
オリゴマー135.8gを温度計、攪拌機、窒素ブランケツトおよび加熱マントルを備えた乾燥して窒素パージした500mlフラスコに移した。反応混合物を60℃に加熱しそしてBTMSPA40.0gを攪拌しながら滴下しつつ添加した。NCO/NHのモル比は1/1であつた。シランの添加は1時間で完了した。赤外スペクトルは遊離のNCO基が残留していないことを示した。
硬化速度の測定
ガラス板3インチ×11/2インチをアルコノツクス(Alconox)溶液(洗剤)中で洗浄し、そのあと水およびアセトンでゆすいだ。該板を秤量し、#70線巻き棒を用いてシランでエンド・キヤツピングしたプレポリマーで被覆し(塗膜の厚さ5ミル)そして再び秤量した。次に被覆した試料を72°F、50%RHの定温定湿室中に置いた。次に、定められた曝霧間隔にて、試料をソツクスレー(Soxhlet)抽出器に入れそして加熱したメチルエチルケトン溶液で1時間抽出した。次に該ガラス板を100℃の強制風乾炉中で15分間乾燥し、室温に冷却し、秤量した。次に塗膜保持パーセントを硬化時間の関数としてプロツトした。
上記の硬化条件下で、完全にエンド・キヤツピングされたオリゴマー試料は約24時間にて50%の不溶解度に達した。」
(第14欄第21行?第20欄第13行)

(b-5)
「本発明の重合体はまた従来のエラストマー充填剤(当審注:原文では「充填」につき旧字体で表現されているが、この決定文において表現できないので、以下、新字体で表す。)の如何なるもの、例えば煙霧シリカ(fume silica)シリカ・エアロゲル及び高表面積沈殿シリカのごとき強化充填材を配合することにより変性することができる。また非強化充填材、例えば珪藻土、粉砕石英のごとき粗シリカまたはチタニア、酸化第二鉄、酸化亜鉛、タルクおよび同様のもののごとき金属酸化物を用いることもできる。更に、アスベストまたはガラス繊維もしくはフイラメントのごとき繊維充填材を用いることもできる。すべての場合において、充填材は重合体と混合する前に事実上乾燥していることが望ましい。充填材は一般に物理的特性を向上させるためおよび未硬化重合体の流動特性を修正するために用いられる。本発明の重合体はまた、可塑剤としてのまたは重合体をよりゴム糊状およびより低弾性にするための樹脂状シロキサン変性剤のごとき変性剤、並びに顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤および同様のもののまたは黒鉛およびカーボン・ブラツクのごとき電媒体のごとき添加剤を含むこともできる。これらの充填材、変性剤または添加剤および同様のものが本発明の重合体に本明細書に記載された製法の間に加えられても、その後に加えられても問題ではない。然しながら、それらは事実上無水の状態で加えられることが最も好ましい。
本発明の加硫できる重合体は、建物、航空機、浴室設備、自動車装置および同様のものに対する被覆用途および間隙づめおよび密閉の用途および包み込みおよびポツテイング(potting)用物質として有用である。一つの望ましい特徴は、本発明の重合体が湿つたまたはぬれた表面に施して悪い効果なく硬化して交差結合エラストマーになることができ、そして硬化した生成物が比較的短時間に粘着性のないものとなることである。
更に、本発明の硬化重合体は単独でまたはプライマーを用いてガラス、陶磁器、木材、金属、重合体材料および同様のもののごとき多種の基材に強く付着し、如何なる型の間隙づめ、接着または積層の用途に特に適したものである。
本発明は如何なる理論または説明に限定されるものではないが、本発明によつて得られる硬化重合体はその中に含まれるビスシラン構造により与えられる加水分解し得る-Si(OR)_(3)基が多数あることにより従来の方法によるポリウレタンより優れているものと信じられる。これにより、ヒドロキシル基による基材への結合および2個またはそれ以上の-Si(OR)_(3)基の架橋による強化された結合のための場が多数与えられる。」
(第23欄第3行?第24欄第23行)

イ.甲2に記載された発明
上記ア.の(b-1)ないし(b-5)の記載事項(特に下線部の記載)からみて、甲2には、
「ポリオキシアルキレンポリオールと芳香族ジイソシアネートとの反応生成物である重合体1分子当り少くとも二つのウレタン結合を有するイソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーとビスシランとの反応生成物である式(2)で表される官能基を平均分子量当り2乃至約9個を有する反応生成物を含有する硬化性組成物。」
に係る発明(以下「甲2発明」という。)及び
「甲2発明の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。」
に係る発明がそれぞれ記載されているものといえる。

(3)甲3

ア.甲3に記載された事項
甲3には、申立人が申立書第15頁第4行?第18頁第18行で主張するとおりの事項を含めて、以下の事項が記載されている。

(c-1)
「【請求項3】
一般式(v)、(vi)、(vii)、(viii)に示す何れかの官能基を含有する架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体
(式中、R^(1)はアルカン、アルケン、アルキン、エーテル、エステル、ケトン、アミド、芳香族から選ばれる一種以上の任意の組み合わせで構成される構造である。Xはハロゲン、アルコキシ基、アシロキシ基または水酸基を表し、jが2以上の場合にはXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R^(2)は炭素数1?20のアルキル基、アリール基またはトリオルガノシロキシ基であり、kが2以上の場合R^(2)はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。iとkは0?2の整数であり、jは1?3の整数を表す。ただしi+j+k=3を満たす。nは0以上の任意の整数である。)。
【化5】


【化6】


【化7】


【化8】




(c-2)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和基又は架橋性ケイ素基を有する官能基含有ポリオキシアルキレン系重合体及びその製造方法に関する。詳しくは、末端に不飽和基が高効率に且つ均一に導入されたポリオキシアルキレン系重合体と、左記ポリオキシアルキレン系重合体の不飽和基にシリル基を導入した重合体に関する。更には、反応時の無機塩の発生を抑制し、不純物が少なく精製工程を簡略化することが可能な不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末端に架橋性の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、反応硬化性の液体状樹脂として、シーリング剤、接着剤、コーティング剤、塗料等の多くの工業製品に利用される。特に、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体は光硬化性、ヒドロシリル化反応による硬化性を有する樹脂であり、架橋性ケイ素基を含有するポリオキシアルキレン系重合体は湿気硬化性樹脂であることから、使用用途は多岐にわたる。
・・(中略)・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
・・(中略)・・
【0008】
不飽和基含有のポリオキシアルキレン系重合体は、不飽和基を架橋性ケイ素基に変換されて使用されることが多い。エポキシドの開環重合では、重合体の末端には必ず水酸基が生成するのであるが、不飽和基に架橋性ケイ素基を導入する際に、水酸基が残存していると、水酸基と架橋性ケイ素化合物が副反応を起こしてしまう。特許文献3や特許文献4に記載された方法では、不飽和基を導入した後の重合体中に水酸基が残存しているので、水酸基と架橋性ケイ素化合物の副反応により反応中に重合体が増粘したり、硬化したりしてしまう。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述の問題を解決し、不純物塩の混入が少なく、不飽和基が分子内に均一に導入されたポリオキシアルキレン系重合体、及び、左記の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の不飽和基を架橋性ケイ素に変換したポリオキシアルキレン系重合体、並びに、その製造方法を提供することにある。」

(c-3)
「【0052】
本発明において、一般式(ix)の化合物のエポキシ基の開環付加反応、及び/又は(メタ)アクリル酸エステルのエステル交換反応により導入された不飽和基は、一分子中にヒドロシリル基と架橋性ケイ素基を含有する化合物とヒドロシリル化反応させることにより、架橋性ケイ素基に変換することが可能である。得られる重合体は、湿気硬化性であり、硬化物のゴム的性質の良好な架橋性ケイ素基含有のポリオキシアルキレン系重合体となる。
・・(中略)・・
【実施例】
【0059】
以下に、本発明の方法の実施例をあげて具体的に説明するが、本実施例は本発明を限定するものではない。
【0060】
(実施例1)
分子中に3つの水酸基を有する分子量500のポリプロピレンオキシドを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用い、プロピレンオキシドの重合を行い、分子量7,200の水酸基末端ポリプロピレンオキシドを得た。左記ポリプロピレンオキシドの末端には、分子中に3つの水酸基を含有しており、単位重量当りの水酸基の含有量は0.14mmol/gである。
【0061】
300mLのガラス製の反応容器に、上記の水酸基末端ポリプロピレンオキシド100gとヘキサン3mlとを充填して攪拌し、反応容器を80℃に加温して1時間真空状態に減圧することにより、反応容器内の水分とプロピレンオキシドを除去した。反応容器内部を窒素置換した後、ナトリウムメトキシドを28重量%含有するメタノール溶液を260μL添加して10分間攪拌し、反応容器を真空ポンプで減圧した。メタノールの沸騰状態が落ち着いたら、反応温度を120℃に上昇させ、更に1時間真空ポンプで減圧を続けた。この操作により、水酸基末端ポリプロピレンオキシド内にナトリウムが溶解し、系内からメタノールが完全に除去される。
【0062】
反応容器内部を窒素置換した後、モレキュラーシーブで脱水処理を施したアリルグリシジルエーテルを8mL添加し、反応容器を密閉した。2時間反応を継続した後に、反応容器を減圧し、未反応のアリルグリシジルエーテルを反応液から除去した。アリルグリシジルエーテルを除去した後の反応液をNMRを用いて分析したところ、一分子当りにアリル基が0.17mmol/gの割合で導入されていることが確認された。更に、0.5gの反応液をヘキサン1mLに溶解した溶液に、珪酸アルミニウム系吸着剤(キョーワードKW700PEL)を1.5g添加し1時間攪拌した後、分離径0.1μmのフィルターで濾過した。濾液からヘキサンを蒸発させ、NMRで分析したところ、一分子当りのアリル基が0.14mmol/gに減少していた。これは、約80%のアリル基が高分子量体に、約20%のアリル基が低分子量体に導入されていることを示している。
【0063】
反応液を室温まで冷却し、塩化アリルを0.22mL添加して攪拌しながら、80℃まで昇温することでアルカリ性触媒を失活させ、反応容器を1時間真空状態に減圧して過剰量の塩化アリルを反応液から除去した。0.6重量%の白金を含有する白金ビニルシロキサンのキシレン溶液100μLを反応液に添加した後、ジメトキシメチルシランを3.8mL添加して2時間反応させた。反応後の反応液をNMRを用いて分析したところ、一分子当りに架橋性ケイ素基が0.14mmol/gの割合で導入されていることが確認された。得られた架橋性ケイ素含有のポリプロピレンオキシド系重合体は、粘性と流動性のある液体であった。
【0064】
得られた反応液100重量部に対し、硬化促進剤としてジブチルスズジアセチルアセテート(日東化成製:U220)を2重量部の割合で混合し、1日放置するとゴム弾性を有する硬化物が得られた。
・・(中略)・・
【0075】
(実施例4)
300mLのガラス製の反応容器に、実施例1で合成した水酸基末端ポリプロピレンオキシド100gとヘキサン3mlとを充填して攪拌し、反応容器を80℃に加温して1時間真空状態に減圧することにより、反応容器内の水分とプロピレンオキシドを除去した。反応容器内部を窒素置換した後、ナトリウムメトキシドを28重量%含有するメタノール溶液を260μL添加して10分間攪拌し、反応容器を真空ポンプで減圧した。メタノールの沸騰状態が落ち着いたら、反応温度を120℃に上昇させ、更に1時間真空ポンプで減圧を続けた。この操作により、水酸基末端ポリプロピレンオキシド内にナトリウムが溶解し、系内からメタノールが完全に除去される。
【0076】
反応容器内部を窒素置換した後、モレキュラーシーブで脱水処理を施したアリルグリシジルエーテルを8mL添加し、反応容器を密閉した。5時間反応を継続した後に、反応容器を減圧し、未反応のアリルグリシジルエーテルを反応液から除去した。アリルグリシジルエーテルを除去した後の反応液をNMRを用いて分析したところ、一分子当りにアリル基が0.28mmol/gの割合で導入されていることが確認された。更に、0.5gの反応液をヘキサン1mLに溶解した溶液に、珪酸アルミニウム系吸着剤(キョーワードKW700PEL)を1.5g添加し1時間攪拌した後、分離径0.1μmのフィルターで濾過した。濾液からヘキサンを蒸発させ、NMRで分析したところ、一分子当りのアリル基が0.22mmol/gに減少していた。これは、約80%のアリル基が高分子量体に、約20%のアリル基が低分子量体に導入されていることを示している。
【0077】
反応容器を120℃に保ったまま、窒素を流通させ、アリル基含有ポリプロピレンオキシドに5.1mLのアセト酢酸メチルを添加し、反応容器内に窒素を流通させながら3時間攪拌することで、エステル交換反応を実施した。得られた反応液をNMRを用いて分析したところ、約90%の水酸基がアセト酢酸エステル基に変換されていることが確認された。
【0078】
反応液を室温まで冷却し、塩化アリルを0.22mL添加して攪拌しながら、80℃まで昇温することでアルカリ性触媒を失活させ、反応容器を1時間真空状態に減圧して過剰量の塩化アリルを反応液から除去した。0.6重量%の白金を含有する白金ビニルシロキサンのキシレン溶液200μLを反応液に添加した後、ジメトキシメチルシランを4.0mL添加して2時間反応させた。反応後の反応液をNMRを用いて分析したところ、一分子当りに架橋性ケイ素基が0.22mmol/gの割合で導入されていることが確認された。得られた架橋性ケイ素含有のポリプロピレンオキシド系重合体は、粘性と流動性のある液体であった。
【0079】
得られた反応液100重量部に対し、硬化促進剤としてジブチルスズジアセチルアセテート(日東化成製:U220)を2重量部の割合で混合し、1日放置するとゴム弾性を有する硬化物が得られた。
【0080】
(実施例5)
300mLのガラス製の反応容器に、実施例1で合成した水酸基末端ポリプロピレンオキシド100gとヘキサン3mlとを充填して攪拌し、反応容器を80℃に加温して1時間真空状態に減圧することにより、反応容器内の水分とプロピレンオキシドを除去した。反応容器内部を窒素置換した後、ナトリウムメトキシドを28重量%含有するメタノール溶液を260μL添加して10分間攪拌し、反応容器を真空ポンプで減圧した。メタノールの沸騰状態が落ち着いたら、反応温度を120℃に上昇させ、更に1時間真空ポンプで減圧を続けた。この操作により、水酸基末端ポリプロピレンオキシド内にナトリウムが溶解し、系内からメタノールが完全に除去される。
【0081】
反応容器内部を窒素置換した後、モレキュラーシーブで脱水処理を施したアリルグリシジルエーテルを8mL添加し、反応容器を密閉した。5時間反応を継続した後に、反応容器を減圧し、未反応のアリルグリシジルエーテルを反応液から除去した。アリルグリシジルエーテルを除去した後の反応液をNMRを用いて分析したところ、一分子当りにアリル基が0.28mmol/gの割合で導入されていることが確認された。更に、0.5gの反応液をヘキサン1mLに溶解した溶液に、珪酸アルミニウム系吸着剤(キョーワードKW700PEL)を1.5g添加し1時間攪拌した後、分離径0.1μmのフィルターで濾過した。濾液からヘキサンを蒸発させ、NMRで分析したところ、一分子当りのアリル基が0.22mmol/gに減少していた。これは、約80%のアリル基が高分子量体に、約20%のアリル基が低分子量体に導入されていることを示している。
【0082】
反応容器を120℃に保ったまま、窒素を流通させ、アリル基含有ポリプロピレンオキシドに11.6mLのアクリル酸メチルを添加し、反応容器内に窒素を流通させながら3時間攪拌することで、エステル交換反応を実施した。得られた反応液をNMRを用いて分析したところ、約50%の水酸基がアクリル基に変換され、一分子当りにアクリル基が0.07mmol/gの割合で導入されていることが確認された。
【0083】
反応液を室温まで冷却し、塩化アリルを0.22mL添加して攪拌しながら、80℃まで昇温することでアルカリ性触媒を失活させ、反応容器を1時間真空状態に減圧して過剰量の塩化アリルを反応液から除去した。0.6重量%の白金を含有する白金ビニルシロキサンのキシレン溶液200μLを反応液に添加した後、ジメトキシメチルシランを5.0mL添加して1時間反応させた。反応後の反応液をNMRを用いて分析したところ、一分子当りに架橋性ケイ素基が0.28mmol/gの割合で導入されていることが確認された。得られた架橋性ケイ素含有のポリプロピレンオキシド系重合体は、粘性と流動性のある液体であった。
【0084】
得られた反応液100重量部に対し、硬化促進剤としてジブチルスズジアセチルアセテート(日東化成製:U220)を2重量部の割合で混合し、1日放置するとゴム弾性を有する硬化物が得られた。」

イ.甲3に記載された発明
上記ア.の(c-1)ないし(c-3)の記載事項(特に下線部の記載)からみて、甲3には、
「一般式(v)、(vi)、(vii)、(viii)に示す何れかの官能基を含有する架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体を含有する硬化性組成物。
(式中、R^(1)はアルカン、アルケン、アルキン、エーテル、エステル、ケトン、アミド、芳香族から選ばれる一種以上の任意の組み合わせで構成される構造である。Xはハロゲン、アルコキシ基、アシロキシ基または水酸基を表し、jが2以上の場合にはXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R^(2)は炭素数1?20のアルキル基、アリール基またはトリオルガノシロキシ基であり、kが2以上の場合R^(2)はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。iとkは0?2の整数であり、jは1?3の整数を表す。ただしi+j+k=3を満たす。nは0以上の任意の整数である。)
【化5】


【化6】


【化7】


【化8】



に係る発明(以下「甲3発明」という。)及び
「甲3発明の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。」
に係る発明がそれぞれ記載されているものといえる。

(4)甲4ないし甲7に記載された事項

ア.甲4の記載事項
甲4には、申立人が申立書第18頁第23行?第20頁第6行で主張するとおりの事項が記載され、当該記載に基づき要約すると、メチルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシドとシリカなどの添加剤を含む弾性シーリング材としての硬化性組成物及びその硬化物の基本的な物性等につき記載されているものといえる。

イ.甲5の記載事項
甲5には、申立人が申立書第20頁第10行?第21頁第19行で主張するとおりの事項(【0008】、【0025】、【0027】、【0030】及び【0031】)が記載され、当該記載に基づき要約すると、「MSポリマーS810」なる商品名の加水分解性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系樹脂とシリカを含む室温硬化性の電磁波吸収体用硬化性組成物につき記載されているものといえる。

ウ.甲6の記載事項
甲6には、申立人が申立書第21頁第23行?第23頁第2行で主張するとおりの事項(【0045】、【0046】、【0056】及び【0057】)が記載され、当該記載に基づき要約すると、メチルジメトキシシリル基末端ポリオキシプロピレン系重合体である変成シリコーン樹脂とカーボンブラック及びスズ系硬化触媒などの添加剤とを含む目地材としての硬化性組成物につき記載されているものといえる。

エ.甲7の記載事項
甲7には、申立人が申立書第23頁第6行?第25頁第1行で主張するとおりの事項([0042]、[0096]、[0097]、[0106]、[0173]、[0175]、[0185]ないし[0187]及び[0190])が記載され、当該記載に基づき要約すると、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、反応性シリル基含有ポリオキシプロピレン系重合体及びシリカなどの添加剤を含む車両用シーリング剤として有用な室温硬化性組成物につき記載されているものといえる。

II.検討
以下、本件の各発明について、上記取消理由1ないし3につきそれぞれ検討を行う。

1.本件発明1について

(1)取消理由1

ア.対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基を有する・・重合体」は、本件発明1における「反応性ケイ素基含有重合体」に相当し、甲1発明における「オキシアルキレン重合体」は、本件発明1における「ポリオキシアルキレン系重合体」に相当する。
そして、甲1発明における「補強性フィラーとしてのカーボンブラック」及び「シラノール硬化触媒」は、それぞれ、本件発明1における「カーボンブラック・・の補強性フィラー」及び「シラノール縮合触媒」に相当し、甲1発明における「硬化性樹脂組成物」は、本件発明1における「硬化性組成物」に相当する。
してみると、本件発明1と甲1発明とは、
「反応性ケイ素基含有重合体(A)、
カーボンブラックの補強性フィラー(B)、
シラノール縮合触媒(C)、
を含有し、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体である硬化性組成物。」
の点で一致し、下記の2点で相違する。

相違点1:「反応性ケイ素基含有重合体(A)」につき、本件発明1では「重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する」ものであり、さらに「末端部位が一般式(1):(式及びその説明は省略)で表される構造を有する」のに対して、甲1発明では「一般式(2)で表される1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基を有する」点
相違点2:本件発明1では「分子中に架橋性基を有しない可塑剤としてのオキシアルキレン重合体」を含有することが特定されていないのに対して、甲1発明では「(C)分子中に架橋性基を有しない可塑剤としてのオキシアルキレン重合体0.01?600重量部」を含有する点

イ.検討
上記相違点1につき検討すると、甲1発明における「一般式(2)で表される・・珪素含有基」は、mが1以上である場合、「Si-X」という水酸基あるいは加水分解性基が結合した珪素原子を2個以上有する珪素含有基であり、全体として、本件発明1でいう「重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する」官能基であるものと解することができるが、甲1発明における上記「一般式(2)で表される・・珪素含有基」が、重合体鎖中の末端部位のポリオキシアルキレン単位の側鎖部に加水分解性珪素含有基が存する本件発明1における「一般式(1):(式及びその説明は省略)で表される構造を有する」ものであるとは認めることはできない。
してみると、甲1発明における「(A)下記一般式(2)で表される1分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水酸基あるいは加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋しうる珪素含有基を有するオキシアルキレン重合体」は、末端部位の構造の点で本件発明1における「反応性ケイ素基含有重合体(A)」とは実質的に異なるものと認められる。
したがって、上記相違点1は、実質的な相違点である。

ウ.小括
よって、本件発明1は、上記相違点2につき検討するまでもなく、甲1発明、すなわち甲1に記載された発明であるということはできず、本件発明1につき、取消理由1は理由がない。

(2)取消理由2

ア.対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明における「ポリオキシアルキレンポリオールと芳香族ジイソシアネートとの反応生成物である重合体1分子当り少くとも二つのウレタン結合を有するイソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーとビスシランとの反応生成物」は、本件発明1における「反応性ケイ素基含有重合体」に相当し、甲2発明における「ポリオキシアルキレンポリオール」は、上記「反応生成物」の主鎖を構成することが当業者に自明であるから、本件発明1における「反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体であり」に相当する。
そして、甲2発明における「硬化性組成物」は、本件発明1における「硬化性組成物」に相当する。
してみると、本件発明1と甲2発明とは、
「反応性ケイ素基含有重合体(A)を含有し、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体である硬化性組成物。」
の点で一致し、下記の2点で相違する。

相違点1’:「反応性ケイ素基含有重合体(A)」につき、本件発明1では「重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する」ものであり、さらに「末端部位が一般式(1):(式及びその説明は省略)で表される構造を有する」のに対して、甲2発明では「式(2)で表される官能基を平均分子量当り2乃至約9個を有する」点
相違点3:本件発明1では「カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)」及び「シラノール縮合触媒(C)」を含有するのに対して、甲2発明では上記「カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)」及び「シラノール縮合触媒(C)」を含有することが特定されていない点

イ.検討
上記相違点1’につき検討すると、甲2発明における「式(2)で表される官能基」は、「Si-(OR)」という加水分解性基が結合した珪素原子を2個以上有する珪素含有基である末端基であるから、本件発明1でいう「重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する」官能基であるものと解することができるが、甲2発明における上記「式(2)で表される官能基」が、重合体鎖中の末端部位のポリオキシアルキレン単位の側鎖部に加水分解性珪素含有基が存する本件発明1における「一般式(1):(式及びその説明は省略)で表される構造を有する」ものであるとは認めることはできない。
してみると、甲2発明における「ポリオキシアルキレンポリオールと芳香族ジイソシアネートとの反応生成物である重合体1分子当り少くとも二つのウレタン結合を有するイソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーとビスシランとの反応生成物」は、末端部位の構造の点で本件発明1における「反応性ケイ素基含有重合体(A)」とは実質的に異なるものと認められる。
したがって、上記相違点1’は、実質的な相違点である。
そして、甲2には、甲2発明に係る「硬化性組成物」につき、ガラス、金属などの基材に強く付着し、間隙づめ、接着又は積層等の用途に有用なものであることが開示されている(摘示(b-5))から、甲2発明における「ポリオキシアルキレンポリオールと芳香族ジイソシアネートとの反応生成物である重合体1分子当り少くとも二つのウレタン結合を有するイソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーとビスシランとの反応生成物」を、他の技術における「反応性ケイ素基含有重合体」(例えば甲3発明に係る「架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体」等)に代えるべき動機となる事項が存するものとも認められない。
してみると、上記相違点1’に係る事項は、甲2発明に基づき、他の技術を組み合わせて、当業者が適宜なし得ることということはできない。

ウ.小括
よって、本件発明1は、上記相違点3につき検討するまでもなく(必要ならば下記(3)参照)、甲2発明、すなわち甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできず、本件発明1につき、取消理由2は理由がない。

(3)取消理由3

ア.対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明における「一般式(v)、(vi)、(vii)、(viii)に示す何れかの官能基を含有する架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体」は、ポリオキシアルキレン重合体分子鎖において当該重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたるものと認められる末端部位の末端部とポリオキシアルキレン単位の側鎖部に連結基を介して加水分解性珪素含有基が存するものであるから、本件発明1における「重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する」ものであり、さらに「末端部位が一般式(1):(式及びその説明は省略)で表される構造を有する」「反応性ケイ素基含有重合体」に相当し、甲3発明における「ポリオキシアルキレン重合体」は、ポリオキシアルキレン主鎖を有することが当業者に自明であるから、本件発明1における「反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体であり」に相当する。
そして、甲3発明における「硬化性組成物」は、本件発明1における「硬化性組成物」に相当する。
してみると、本件発明1と甲3発明とは、
「重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する反応性ケイ素基含有重合体(A)を含有し、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体であり、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の前記末端部位が一般式(1):(式及びその説明は省略)で表される構造を有する硬化性組成物反応性ケイ素基含有重合体(A)を含有する硬化性組成物。」
の点で一致し、下記の点で相違する。

相違点3’:本件発明1では「カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)」及び「シラノール縮合触媒(C)」を含有するのに対して、甲3発明では上記「カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)」及び「シラノール縮合触媒(C)」を含有することが特定されていない点

イ.検討
上記相違点3’につき検討すると、甲3には、従来技術(背景技術)として「末端に架橋性の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、反応硬化性の液体状樹脂として、シーリング剤、接着剤、コーティング剤、塗料等の多くの工業製品に利用される」ことが開示され、「特に、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体は光硬化性、ヒドロシリル化反応による硬化性を有する樹脂であり、架橋性ケイ素基を含有するポリオキシアルキレン系重合体は湿気硬化性樹脂であることから、使用用途は多岐にわたる」ことも開示されている(摘示(c-2))。
しかしながら、甲3には、実施例において、架橋性ケイ素基含有のポリオキシアルキレン重合体に対して、ジブチルスズジアセチルアセテートなどのシラノール硬化触媒を添加して1日放置して硬化させ、ゴム弾性を有する硬化物が得られたことについては開示されている(摘示(c-3))ものの、甲3発明の「硬化性組成物」につき、本件発明において指向する「ダイレクトグレージング用途」に有用な物性(接着性、硬化速度など)を有することを認識できる記載又は示唆がなく、補強性フィラーを添加使用することについても例示的にさえ開示されていない。
してみると、甲3発明において、甲3の記載に照らして、シラノール縮合触媒を添加使用することはともかく、補強性フィラーを添加使用すべき動機となる事項が存するものとは認められず、他の技術(例えば甲1、甲2、甲4ないし甲7)を組み合わせるべき動機となる事項も存するものとはいえない。
したがって、上記相違点3’は、甲3発明において、当業者が適宜なし得ることということができない。

ウ.小括
よって、本件発明1は、甲3発明、すなわち甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできず、本件発明1につき、取消理由3は理由がない。

(4)本件発明1についての検討のまとめ
以上のとおり、本件発明1につき、上記取消理由1ないし3はいずれも理由がなく、また、本件発明1に係る特許を取り消すべき他の理由も発見しない。

2.本件発明3ないし5及び7について
本件発明3ないし5及び7は、いずれも本件発明1を引用するものであるところ、上記1.で説示したとおりの理由により、本件発明1につき、上記取消理由1ないし3はいずれも理由がなく、また、本件発明1に係る特許を取り消すべき他の理由も発見しないのであるから、本件発明3ないし5及び7についても、上記取消理由1ないし3につき理由がなく、また、本件発明3ないし5及び7に係る特許を取り消すべき他の理由も発見しない。

3.検討のまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1、3ないし5及び7につき、上記取消理由1ないし3はいずれも理由がなく、また、本件発明1、3ないし5及び7に係る特許を取り消すべき他の理由も発見しない。

第7 むすび
以上のとおり、本件特許第6253372号につき平成30年11月12日付けでされた訂正請求は適法であるから認める。
そして、上記訂正後の本件の請求項1、3ないし5及び7に係る発明についての特許は、当審が通知した取消理由並びに申立人が主張する取消理由及び証拠によっては、取り消すことができない。
また、ほかに、上記訂正後の本件の請求項1、3ないし5及び7に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見できない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体分子鎖を構成する結合原子のうち末端から20%にあたる個数の原子上に置換する基に反応性ケイ素基を平均して1.0個より多く有する反応性ケイ素基含有重合体(A)、
カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)、
シラノール縮合触媒(C)、
を含有し、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体であり、
前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の前記末端部位が、一般式(1):
【化1】

(式中、R^(1),R^(3)はそれぞれ独立に2価の炭素数1から6の結合基であり、隣接するそれぞれの炭素原子と結合する原子は、炭素、酸素、窒素のいずれかである。R^(2),R^(4)はそれぞれ独立に水素、または炭素数1から10の炭化水素基である。nは1から10の整数である。R^(5)はそれぞれ独立に、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。Yは水酸基または加水分解性基である。aは1、2、3のいずれかである。)で表される構造を有する硬化性組成物。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
反応性ケイ素基含有重合体(A)の反応性ケイ素基が1つの末端に平均して2.0個以上有する請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
補強性フィラー(B)を反応性ケイ素基含有重合体(A)100重量部に対して、1?300重量部、シラノール縮合触媒(C)を反応性ケイ素基含有重合体(A)100重量部に対して、0.001?20重量部、含有する請求項1または3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
ダイレクトグレージング用であることを特徴とする、請求項1、3または4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
反応性ケイ素基含有重合体(A)を、末端に水酸基を有する重合体に、水酸基に対して0.6当量以上のアルカリ金属塩を作用させた後、炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物と反応させ、さらに、炭素-炭素不飽和結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させた後、炭素-炭素不飽和基に対し、ヒドロシリル化反応で反応性ケイ素基を導入することによって得ることと、
反応性ケイ素基含有重合体(A)、カーボンブラックおよびシリカから選択される少なくとも1種の補強性フィラー(B)、並びにシラノール縮合触媒(C)を、1成分型組成物、又は2成分型組成物として配合することと、を含む、請求項1、3、4または5に記載の硬化性組成物を製造する方法。
【請求項7】
請求項1、3、4または5に記載の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-01-28 
出願番号 特願2013-246841(P2013-246841)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C08L)
P 1 651・ 113- YAA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 靖恵  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 海老原 えい子
橋本 栄和
登録日 2017-12-08 
登録番号 特許第6253372号(P6253372)
権利者 株式会社カネカ
発明の名称 硬化性組成物  
代理人 新山 雄一  
代理人 新山 雄一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ