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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1349987 |
審判番号 | 不服2017-16460 |
総通号数 | 233 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-06 |
確定日 | 2019-03-14 |
事件の表示 | 特願2015-161440号「遊技情報分析システム、分析サーバ、および遊技情報分析方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日出願公開、特開2017- 38725号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年8月18日の出願であって、平成28年12月16日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年2月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年7月20日付け(発送日:平成29年8月8日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年11月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年7月30日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年9月21日に意見書が提出されたものである。 第2 本願請求項1に係る発明 平成29年11月6日付け手続補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、当該補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は次のとおりのものである(以下「本願発明」という。A?Dは分説のため当審にて付与した。)。 「A 分析サーバを備える遊技情報分析システムであって、 B 前記分析サーバは、 B1 投資金額および払出額に関する情報を含む遊技情報を、ゲーミングマシンから受信する遊技情報受信部と、 B2 前記遊技情報に基づいて、分析処理を行う遊技情報分析部とを含み、 C 前記遊技情報分析部は、 C1 前記遊技情報から、各ゲームの開始タイミングおよび終了タイミングを取得し、 C2 前記遊技情報から、プレーヤのゲーミングマシンに対する投資および精算に関する操作タイミングを取得し、 C3 前記開始タイミング、終了タイミング、および操作タイミングに基づいて、同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間を判定する、 D 遊技情報分析システム。」 第3 拒絶の理由 当審の平成30年7月30日付け拒絶の理由の概要は、本件出願の請求項1?4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2015-80603号公報 引用文献2:特許5712391号公報 第4 引用文献に記載された事項 1 引用文献1の記載 (1) 当審の平成30年7月30日付け拒絶の理由において上記第3で示したとおり提示され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-80603号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1の技術では、遊技機で遊技を行った遊技者の数を算出することは考慮されていない。 【0005】 本明細書では、遊技機で遊技を行った遊技者の数を正確に算出し得る遊技者数管理装置を開示する。」 イ 「【0014】 (第1実施例) (システムの概要;図1) 図1に示す管理システム2は、パチンコ店等の遊技店において、遊技機毎の遊技状況を管理するためのシステムである。図1に示すように、本実施例の管理システム2は、管理装置70と、複数の島ユニット(図1の「SU」)202と、複数の台ユニット(図1の「DU」)204と、遊技店内に設けられている複数の遊技機10と、カードユニット20と、計数機30と、景品POS40と、を備えている。図1に示すように、各遊技機10には、アウトメータ11と、呼出ランプ14と、サンド18と、が併設されている。各デバイス70、202、40、30、18は、LAN50に接続されており、LAN50を介して互いに通信可能である。」 ウ 「【0016】 (遊技機10の構成) 各遊技機10は、パチンコ玉を遊技媒体とするパチンコ機である。変形例では、各遊技機10は、メダルを遊技媒体とするスロットマシンであってもよい。各遊技機10には、遊技機ID(例えば「001」)が付与されている。各遊技機10は、自機に付与されている遊技機IDと、自機の遊技状態を示す各種信号(即ち、セーフ信号、特賞信号、高確率信号、図柄変動信号、扉開閉信号等)を、対応する台ユニット204に送信する。 【0017】 セーフ信号は、遊技機10から遊技媒体が払い出されたことを示す信号である。特賞信号は、遊技機10が特賞状態に切り換えられたことを示す信号と、遊技機10の特賞状態が終了したことを示す信号と、を含む。高確率信号は、遊技機10が高確率状態に切り換えられたことを示す信号と、遊技機10の高確率状態が終了したことを示す信号と、を含む。図柄変動信号は、遊技機10において図柄変動が行われたことを示す信号である。扉開閉信号は、遊技機10の前面扉が開かれたことを示す信号と、前面扉が閉じられたことを示す信号と、を含む。 … 【0019】 各アウトメータ11は、対応する遊技機10に遊技媒体が投入される場合に、遊技機IDとアウト信号とを、対応する台ユニット204に送信する。アウト信号は、遊技機10に遊技媒体が投入されたことを示す信号である。」 エ 「【0023】 (サンド18の構成) サンド18は、各遊技機10の間に備えられている装置である。サンド18は、遊技媒体(例えばパチンコ玉)の貸出し、会員カード処理、ビジターカード処理等、遊技者に様々なサービスを提供するための端末装置である。なお、サンド18は、台ユニット204及び島ユニット202を介さずにLAN50に直接接続されている。各サンド18にも、対応する遊技機10の遊技機IDと同じ遊技機ID(例えば「001」)が付与されている。なお、以下では、遊技機10と、当該遊技機10に対応するアウトメータ11と、呼出ランプ14と、サンド18と、の組合せを「遊技機類80」と呼んで説明する場合がある。」 オ 「【0034】 (管理システム2の各構成要素の動作;図2) 図2に示すように、遊技機10は、遊技機10で行われる遊技の進行に応じて、自機の遊技機IDに対応付けて、各種信号(即ち、セーフ信号、特賞信号、高確率信号、図柄変動信号、扉開閉信号等)を台ユニット204に送信する。 【0035】 アウトメータ11は、遊技機10に遊技媒体が投入される場合に、自機の遊技機IDに対応付けて、アウト信号を対応する台ユニット204に送信する。 … 【0037】 サンド18は、遊技者の操作に応じて、自機の遊技機IDに対応付けて、各種信号(即ち、入金信号、玉貸し信号)を、対応する台ユニット204に送信する。サンド18は、さらに、自機の遊技機IDに対応付けて、カード情報(即ち、ビジターカードID、会員ID)を、管理装置70に直接送信する。 【0038】 台ユニット204は、対応する遊技機10、対応するアウトメータ11、及び、対応するサンド18から送信された各種信号を受信する。台ユニット204は、受信された各種信号を、所定のタイミングで、対応する島ユニット202に送信する。 【0039】 島ユニット202は、対応する台ユニット204から送信された各種信号を受信する。島ユニット202は、受信された各種信号を、所定のタイミングで、管理装置70に送信する。 【0040】 管理装置70の制御部72は、各島ユニット202から各種信号を受信する。また、制御部72は、各サンド18から、カード情報(即ち、ビジターカードID、会員ID)を受信する。制御部72は、受信された各種信号、及び、カード情報に基づいて、複数の遊技機類80のそれぞれについて、当該遊技機類80の稼働履歴を示す履歴情報100a、100b等を生成し、メモリ78に記憶させる。履歴情報100a、100bは、それぞれ、遊技機ID「001」、「002」に対応する。制御部72は、各種信号、及び、カード情報を受信する度に、履歴情報100a、100bを生成してメモリ78に蓄積する。その結果、遊技店の営業終了時点において、1日分の履歴情報100a、100b等がメモリ78に記憶されることになる。 【0041】 1日分の履歴情報100aは、遊技機ID「001」に関連する1日分の稼働情報102、104、106等を含んでいる。ここで、稼働情報とは、遊技機類80から出力された信号の種類(例えば「入金10,000」)と、当該信号が遊技機類80から出力された時刻(例えば「10:05:50」)と、その時刻におけるカードID(例えばビジターカードID「V1」)と、が関連付けられた情報である。制御部72は、1日分の履歴情報100がメモリ78に記憶された後(即ち、当日の遊技店の営業が終了した後)に、後述の特定処理(図3参照)及び算出処理(図4参照)を行う。」 カ 「【0046】 (開始条件) 開始条件とは、1個の遊技期間が開始されるための条件である。本実施例では、開始条件は、以下の各条件(A)?(D)のいずれかが成立することによって成立する。 (A)対象遊技機に対応するサンド18(以下では「対象サンド」と呼ぶ)に対して入金が行われること、 (B)対象サンドに、会員カードが挿入されること、 (C)対象サンドに、ビジターカードが挿入されること、及び、 (D)対象遊技機に遊技媒体が投入されること。 【0047】 制御部72は、(A)?(D)のいずれかの条件が成立するか否かを、S10で特定された稼働情報を参照することによって判断可能である。」 キ 「【0050】 S14では、制御部72は、上記の(A)?(D)のいずれかが成立した時点の時刻(例えば、S12でYESと判断された際に特定されている稼働情報に含まれる時刻(即ち、信号の出力時刻)を、遊技期間の開始時点として特定する。 【0051】 次いで、S16では、制御部72は、S12で判断された際に特定されている稼働情報の次の稼働情報を特定する。次いで、S18では、制御部72は、S16で特定された稼働情報に従って、所定の終了条件が成立するか否か判断する。 【0052】 (終了条件) 終了条件とは、1個の遊技期間が終了するための条件である。本実施例では、終了条件は、以下の各条件(a)?(e)のいずれかが成立することによって場合に成立する。 (a)対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること、 (b)対象サンドに挿入されているビジターカードが、対象サンドから排出されること、 (c)対象サンドに挿入されている会員カード又はビジターカードに記憶されている金額が0になること、 (d)投入可能数が0になること、及び、 (e)対象遊技機とは異なる他の遊技機に対応するサンド18、計数機30、又は、カードユニット20等に、対象遊技機に挿入されていたビジターカード又は会員カードが挿入されること。 【0053】 制御部72は、(a)?(c)のいずれかの条件が成立するか否かを、S16で特定された稼働情報を参照することによって判断可能である。制御部72は、(d)の条件が成立するか否かを、S16で特定された稼働情報と、それ以前の稼働情報とを参照することによって判断可能である。具体的に言うと、制御部72は、過去のアウト信号の数、セーフ信号の数、貯玉引落し操作の回数、玉貸し操作の回数等を参照することにより、S16の稼働情報の時点における投入可能数が0であるか否かを判断することができる。また、制御部72は、(e)の条件が成立するか否かを、履歴情報100に含まれる他の遊技機IDに関する履歴情報100b等も含めて参照することによって判断可能である。 【0054】 S16で特定された稼働情報に従って、上記の(a)?(e)のいずれかが成立する場合、制御部72は、S18でYESと判断してS20に進む。一方、S16で特定された稼働情報に従って、上記の(a)?(e)のいずれも成立しない場合には、制御部72は、S18でNOと判断し、S16に戻る。戻った先のS16では、制御部72は、前回のS16で特定された稼働情報の次の稼働情報を新たに特定する。制御部72は、新たに特定された稼働情報に従って、S18の判断を再実行する。制御部72は、S18でYESと判断されるまで、S16、S18の処理を繰り返し実行する。 【0055】 S20では、制御部72は、上記の(a)?(e)のいずれかが成立した時点の時刻(例えば、S18でYESと判断された際に特定されている稼働情報に含まれる時刻(即ち、信号の出力時刻)を、遊技期間の終了時点として特定する。S20を終えることにより、1個の遊技期間が特定される。」 【0056】 次いで、S22では、制御部72は、対象遊技機についての履歴情報100aに含まれる複数個の稼働情報の全てを特定したか否かを判断する。履歴情報100aに含まれる複数個の稼働情報の全てが特定されていない場合(即ち、未特定の稼働情報が存在する場合)、制御部72は、S22でNOと判断してS10に戻り、次の稼働情報を新たに特定する。一方、履歴情報100aに含まれる複数個の稼働情報の全てが特定されている場合、制御部72は、S22でYESと判断して図3の特定処理を終了する。図3の特定処理が終了すると、1日の間に、対象遊技機で遊技が行われた複数個の遊技期間が特定されることになる。図3の特定処理が終了すると、制御部72は、引き続いて、図4の算出処理を開始する。 【0057】 (算出処理;図4) 図4を参照して、管理装置70の制御部72によって実行される算出処理について説明する。上記の通り、特定処理(図3)が実行され、対象遊技機で遊技が行われた複数個の遊技期間が特定されると、制御部72は、図4の算出処理を開始する。」 【0058】 S30では、制御部72は、特定された複数個の遊技期間のうち、1番目の遊技期間(即ち、1日のうちの最初の遊技期間)を特定する。続くS32では、制御部72は、対象遊技機で遊技した遊技者数Uの値を1とする。 【0059】 次いで、S34では、制御部72は、次の遊技期間を特定する。初回のS34では、制御部72は、1日のうちの2番目の遊技期間を特定する。 【0060】 次いで、S36では、S30とS34で特定された2個の遊技期間(即ち、1日のうちの1番目と2番目の遊技期間)について、所定の判定条件が成立するか否か判断する。所定の判定条件とは、制御部72が、連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であると判断するための条件である。判定条件が成立していれば、制御部72は、S36でYESと判断する。所定の判定条件の内容については、後で具体的な例を示して詳細に説明する(図5?図12参照)。 【0061】 S30とS34で特定された2個の遊技期間について、判定条件が成立する場合(即ち、遊技者が同一であると判断される場合)、制御部72は、S36でYESと判断して、S38をスキップしてS40に進む。この場合、対象遊技機で遊技した遊技者数Uの値は増えない。 【0062】 一方、S30とS34で特定された2個の遊技期間について、判定条件が成立しない場合(即ち、遊技者が同一でないと判断される場合)、制御部72は、S36でNOと判断してS38に進む。S38では、制御部72は、対象遊技機で遊技した遊技者数Uの値を1増加させる。S38を終えると、S40に進む。 【0063】 S40では、制御部72は、複数個の遊技期間を全て特定したか否か判断する。複数の遊技期間の全てが特定されていない場合(即ち、未特定の遊技期間が存在する場合)、制御部72は、S40でNOと判断して、S44に進む。S44では、制御部72は、現在特定されている2個の遊技期間のうち、先の遊技期間(最初のS44では、S30で特定された1番目の遊技期間のこと)の特定を解除する。S44を終えると、前回のS34で特定された遊技期間のみが特定された状態に移行する。S44を終えると、S34に戻り、制御部72は、次の遊技期間を特定する。これにより、前回のS34で特定された遊技期間と、今回のS34で特定された遊技期間の2個の遊技期間が特定された状態に移行する。次いで、S36では、制御部72は、特定された2個の遊技期間について、判定条件が成立するか否かを判定する。 【0064】 制御部72は、S40でYES(即ち、複数個の遊技期間が全て特定された)と判断されるまで、S34?S38の各処理を繰り返し実行する。S40でYESと判断された時点における遊技者数Uの値が、対象遊技機で遊技した1日分の遊技者数の値を表すことになる。即ち、S40でYESと判断された時点で、対象遊技機で遊技した1日分の遊技者数の値の算出が完了する。S40でYESと判断されると、S42に進む。」 ク 「【0078】 (ケース5(会員カード再挿入);図9) 図9に示すケース5では、2個の遊技期間E1、E2が特定されている。第1の遊技期間E1は、対象サンドに会員カードが挿入されたことによって開始され、会員カードが排出されたことによって終了している。第2の遊技期間E2は、第1の遊技期間E1の終了後、遊技機10の非稼働状態が最大60分間継続し、かつ、排出された会員カードや他のビジターカードが挿入されることなく、第1の遊技期間E1において挿入されていた会員カードと同一の会員カードが挿入されることによって開始される。図9では、第2の遊技期間E2は、その後会員カードが排出されることによって終了しているが、第2の遊技期間E2の終了条件は任意である。 【0079】 即ち、ケース5は、会員カードが排出された後、所定の期間遊技機10が稼働されず、また同じ会員カードが再挿入されるケースである。会員である遊技者が、昼休み等の休憩を取る前に会員カードを排出し、おおよそ60分以内の休憩の後に、会員カードを再挿入して遊技を再開することは、遊技者がよく行う遊技傾向として知られている。そのため、このような場合には、2個の遊技期間E1、E2において、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと考えられる。従って、第1の遊技期間E1と第2の遊技期間E2の間にケース5のような関係がある場合、制御部72は、判定条件が成立すると判断する。 【0080】 一般的に言うと、所定の判定条件は、少なくとも2個の遊技期間のうちの第1の遊技期間が、関連機器に挿入されている会員用記憶媒体が関連機器から排出されることによって終了し、少なくとも2個の遊技期間のうち、第1の遊技期間の次の第2の遊技期間が、第1の遊技期間の終了後、所定の時間内に、会員用記憶媒体が関連機器に再び挿入されることによって開始される場合には、遊技者が同一であると判定するための条件を含んでいればよい。」 ケ 「【0102】 本実施例の管理装置70を用いて算出した遊技者数は、様々な分析に用いることができる。例えば、対象遊技機において、1回の遊技が開始されてから終了するまでの毎(例えば、15分以内、30分以内、等)の遊技者数を算出し、来店した遊技者の遊技傾向を把握するための分析に利用することができる。また、遊技者数を、機種毎の遊技傾向を調べるために利用することもできる。また、1人の遊技者が複数の遊技機を移動しながら遊技を行った場合において、その1人の遊技者の遊技傾向を追跡して分析することにも利用できる。これらの分析に本実施例の管理装置70を用いて算出した遊技者数を利用することで、分析結果の信頼性を向上させることができる。」 コ 「【図4】 ![]() 」 (2) 上記記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているものと認められる。 ア 【0046】、【0047】には、開始条件が成立するか否か、すなわち、「(B)対象サンドに、会員カードが挿入されること」との条件を含む各条件(A)?(D)のいずれかが成立するか否かを、稼働情報を参照することによって判断することが記載されており、また、【0050】には、(A)?(D)のいずれかが成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の開始時点として特定することが記載されている。したがって、引用文献1には、開始条件が成立するか否か、すなわち、「対象サンドに、会員カードが挿入されること」との条件を含む複数の条件のいずれかが成立するか否かを、稼働情報を参照することによって判断し、開始条件が成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の開始時点として特定することが記載されている。 また、【0052】、【0053】には、終了条件が成立するか否か、すなわち、「(a)対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること」との条件を含む各条件(a)?(e)のいずれかが成立するか否かを、稼働情報を参照することによって判断することが記載されており、また、【0055】には、(a)?(e)のいずれかが成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の終了時点として特定することが記載されている。したがって、引用文献1には、終了条件が成立するか否か、すなわち、「対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること」との条件を含む複数の条件のいずれかが成立するか否かを、稼働情報を参照することによって判断し、終了条件が成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の終了時点として特定することが記載されている。 イ 【0034】に記載されるように、「遊技機10は、遊技機10で行われる遊技の進行に応じて、自機の遊技機IDに対応付けて、各種信号(即ち、セーフ信号、特賞信号、高確率信号、図柄変動信号、扉開閉信号等)を台ユニット204に送信する」ものであり、【0041】の「履歴情報100aは、遊技機ID「001」に関連する1日分の稼働情報102、104、106等を含んでいる。ここで、稼働情報とは、遊技機類80から出力された信号の種類(例えば「入金10,000」)と、当該信号が遊技機類80から出力された時刻(例えば「10:05:50」)と、その時刻におけるカードID(例えばビジターカードID「V1」)と、が関連付けられた情報である。」との記載から、上記【0034】の「各種信号」に含まれる「図柄変動信号」は、「稼働情報」として記憶されるものと認められる。そして、当該「図柄変動信号」は、「遊技機10で行われる遊技の進行に応じて」送信されるものであるから、「遊技期間」中に送信されるものであると認められる。 ところで、遊技者が遊技を行う「遊技期間」に、打った球が始動口に入賞したことにより行われる「図柄変動」ゲームが複数回実行されることは、普通に行われていることである。 したがって、「遊技期間」中には、複数の「図柄変動信号」に対応する複数の「稼働情報」が含まれ得ると認められる。 ウ 【0058】の記載から、「S30」は、「特定された複数個の遊技期間のうち、1番目の遊技期間を特定する」処理であること、【0059】の記載から、「S34」は、「次の遊技期間を特定する」処理であること、【0060】から、「S36」は、「連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であると判断するための条件である判定条件が成立するか否かを判断する」処理であること、【0062】から、「S38」は、「判定条件が成立しない場合に実行され、遊技者数Uの値を1増加させる」処理であること、【0063】の記載から、「S44」は、「現在特定されている2個の遊技期間のうち、先の遊技期間の特定を解除する」処理であると認められる。 エ 【0060】の「…判定条件とは、…連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であると判断するための条件である」との記載、及び【0079】の「2個の遊技期間E1、E2において、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと考えられる。従って、…判定条件が成立すると判断する。」との記載から、「判定条件」は、「連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断するための条件である」と認められる。 オ 【図4】から、「S30」を実行した後、「S34」、「S36」、「S38」及び「S44」を繰り返し実行するものと認められる。また、【0064】の記載から、これにより、「制御部72」は「対象遊技機で遊技した1日分の遊技者数の値」を「算出」するものと認められる。 カ 上記ウ?オより、引用文献1には、「特定された複数個の遊技期間のうち、1番目の遊技期間を特定するS30を実行した後、次の遊技期間を特定するS34と、特定されている2個の遊技期間について、連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断するための条件である判定条件が成立するか否かを判断するS36と、判定条件が成立しない場合に実行され、遊技者数Uの値を1増加させるS38と、現在特定されている2個の遊技期間のうち、先の遊技期間の特定を解除するS44とを繰り返し実行することにより、対象遊技機で遊技した1日分の遊技者数の値を算出すること」が記載されていると認められる。 キ 上記(1)の記載事項、及び、上記(2)ア?カの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?dは、本願発明の記号A?Dに対応させて付した。( )内は引用文献1の対応箇所を示している。)。 「a 管理装置70を備える管理システム2であって(【0014】)、 b 管理装置70の制御部72は、島ユニット202から各種信号を受信し、サンド18からカード情報を受信し、各種信号及びカード情報に基づいて、遊技機10とアウトメータ11と呼出しランプ14とサンド18との組合せである遊技機類80の稼働履歴を示す履歴情報100a、100bを生成するものであり(【0023】、【0040】)、履歴情報100aは稼働情報102、104、106等を含を含み、前記稼働情報とは、遊技機類80から出力された信号の種類と、当該信号が遊技機類80から出力された時刻と、その時刻におけるカードIDと、が関連付けられた情報であり(【0041】)、 島ユニット202は、対応する台ユニット204から送信された各種信号を受信し、受信された各種信号を対応する管理装置70に送信するものであり(【0039】)、 台ユニット204は、対応する遊技機10、対応するアウトメータ11、及び、対応するサンド18から送信された各種信号を受信し、受信された各種信号を対応する島ユニット202に送信するものであり(【0038】)、 遊技機10は、遊技機10から遊技媒体が払い出されたことを示す信号であるセーフ信号を含む各種信号を台ユニット204に送信し(【0017】、【0034】)、アウトメータ11は、遊技機10に遊技媒体が投入されたことを示す信号であるアウト信号を対応する台ユニット204に送信し(【0019】、【0035】)、サンド18は、入金信号を含む各種信号を対応する台ユニット204に送信し、さらに、自機の遊技機IDに対応付けてカード情報を管理装置70に直接送信するものであり(【0037】)、 遊技機10はパチンコ機であるが、スロットマシンであってもよく(【0016】)、 c 制御部72は、 c2、c3 開始条件が成立するか否か、すなわち、「対象サンドに、会員カードが挿入されること」との条件を含む複数の条件のいずれかが成立するか否かを、稼働情報を参照することによって判断し、開始条件が成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の開始時点として特定し、また、終了条件が成立するか否か、すなわち、「対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること」との条件を含む複数の条件のいずれかが成立するか否かを、稼働情報を参照することによって判断し、終了条件が成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の終了時点として特定すること(上記(2)ア)により、複数の図柄変動信号に対応する複数の稼働情報が含まれ得る1個の遊技期間を特定し(【0055】、上記(2)イ)、 複数個の遊技期間が特定されると(【0057】)、 1番目の遊技期間を特定するS30を実行した後、次の遊技期間を特定するS34と、特定されている2個の遊技期間について、連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断するための条件である判定条件が成立するか否かを判断するS36と、判定条件が成立しない場合に実行され、遊技者数Uの値を1増加させるS38と、現在特定されている2個の遊技期間のうち、先の遊技期間の特定を解除するS44と、を繰り返し実行することにより、対象遊技機で遊技した1日分の遊技者数の値を算出する(上記(2)カ)、 d 管理システム。」 2 引用文献2の記載 (1) 当審の平成30年7月30日付け拒絶の理由において上記第3で示したとおり提示され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許5712391号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 「【0069】 次に、ステップS505へ進み、遊技機の「無操作時間」と上記インターバル時間Tを比較することにより遊技者が交代したかどうかを判断する。本発明はこれらに限定されるものではないが、この無操作時間は、(A)前回の遊技ゲームでのスタートレバー操作時刻と今回の遊技ゲームでのスタートレバー操作時刻との間の時間間隔、もしくは、(B)前回の遊技ゲームでの全リール停止時刻と今回の遊技ゲームでのスタートレバー操作時刻との間の時間間隔である。例えば、上記(A)が採用される場合には、スタートレバー操作時に、前回のスタートレバー操作時刻(最終のスタートレバー操作時刻)と今回のスタートレバー操作時刻との間の時間間隔が「無操作時間」として算出され、今回のスタートレバー操作時刻が最終のスタートレバー操作時刻として更新される。また、上記(B)が採用される場合には、全リール停止するごとに全リール停止の最終時刻が更新記録され、スタートレバー操作時に、全リール停止の最終時刻との時間間隔から「無操作時間」が算出される。 ステップS505においては、遊技機の無操作時間がインターバル時間Tよりも長いか等しければ、遊技者交代(Yes)と判断され、ステップS506へ進み、そうでなければ(ステップS505において、No)、ステップS507へ進む。」 (2) 上記(1)の記載事項から、引用文献2には、次の技術事項が記載されているものと認められる。 「前回の遊技ゲームでの全リール停止時刻と今回の遊技ゲームでのスタートレバー操作時刻との間の時間間隔と、インターバル時間Tとを比較することにより遊技者が交代したかどうかを判断すること。」(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。) 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A?Fと引用発明の構成a?dについて、それぞれ(a)?(d)の見出しを付して行った。)。 (b1) 引用発明の「遊技機類80」の「アウトメータ11」が「送信」する「遊技機10に遊技媒体が投入されたことを示す信号であるアウト信号」及び「遊技機類80」の「遊技機10」が「送信」する「遊技機10から遊技媒体が払い出されたことを示す信号であるセーフ信号」は、それぞれ本願発明の「投資金額」「に関する情報」及び「払出額に関する情報」に相当する。また、引用発明における、「遊技機類80」の「遊技機10」が「送信」する「遊技機10から遊技媒体が払い出されたことを示す信号であるセーフ信号を含む各種信号」、「遊技機類80」の「アウトメータ11」が「送信」する「遊技機10に遊技媒体が投入されたことを示す信号であるアウト信号」、及び、「遊技機類80」の「サンド18」が「送信」する「入金信号を含む各種信号」と「カード情報」は、遊技者が遊技を行う際に送信される「信号」または「情報」であるから、本願発明の「投資金額および払出額に関する情報を含む遊技情報」に相当する。 また、引用発明の「遊技機10とアウトメータ11と呼出しランプ14とサンド18との組合わせである遊技機類80」は、本願発明の「ゲーミングマシン」に相当する。 そして、引用発明の「管理装置70の制御部72」は、上記遊技者が遊技を行う際に送信される「信号」または「情報」を、「台ユニット204」と「島ユニット202」を介して、または、直接、「受信し」ているから、本願発明の「遊技情報受信部」に相当する。 したがって、引用発明の構成bは、本願発明の構成B1に相当する。 (c2) 引用発明は、「「対象サンドに、会員カードが挿入されること」との条件」が「成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の開始時点として特定」するものである。ここで、「開始時点として特定」される「時刻」を含む「稼働情報」は、「各種信号及びカード情報」(上記(b1)に記載したとおり、本願発明の「遊技情報」に相当する)から「生成」されるものである。また、引用発明の「対象サンドに、会員カードが挿入されること」は、本願発明の「プレーヤのゲーミングマシンに対する投資」「に関する操作」に相当する(本願明細書の【0016】に、「プレーヤのゲーミングマシンに対する投資および精算に関する操作タイミング(例えば、会員カードの挿入、イジェクト、非会員カード(ICカードやICチケット)の挿入、イジェクト、紙幣挿入、キャッシュアウト等のプレーヤの操作タイミング)」と記載があるように、「会員カード」の「挿入」「の操作タイミング」は「プレーヤのゲーミングマシンに対する投資」「に関する操作タイミング」であると認められる。)。したがって、引用発明において、「「対象サンドに、会員カードが挿入されること」との条件」が「成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の開始時点として特定」することは、本願発明において、「前記遊技情報から、プレーヤのゲーミングマシンに対する投資」「に関する操作タイミングを取得」することに相当する。 また、引用発明は、「「対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること」との条件」が「成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の終了時点として特定する」ものである。ここで、「終了時点として特定」される「時刻」を含む「稼働情報」は、「各種信号及びカード情報」(上記(b1)に記載したとおり、本願発明の「遊技情報」に相当する)から「生成」されるものである。また、引用発明の「対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること」は、本願発明の「プレーヤのゲーミングマシンに対する」「精算に関する操作」に相当する(本願明細書の上記【0016】の記載から、「会員カード」の「排出」「の操作タイミング」は「プレーヤのゲーミングマシンに対する」「精算に関する操作タイミング」であると認められる。)。したがって、引用発明において、「「対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること」との条件」が「成立した時点の時刻(稼働情報に含まれる時刻)を遊技期間の終了時点として特定すること」は、本願発明において、「前記遊技情報から、プレーヤのゲーミングマシンに対する」「精算に関する操作タイミングを取得」することに相当する。 よって、引用発明の構成c2、c3は、本願発明の構成C2に相当する。 (c3) 引用発明の「制御部72」は、「遊技期間の開始時点」及び「遊技期間の終了時点」を「特定することにより、1個の遊技期間を特定し」、「複数個の遊技期間が特定されると」、「連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断するための条件である判定条件が成立するか否か」の「判断」を、「繰り返し実行する」ものである。ここで、上記「判定条件が成立」したとの「判断」が1回継続され、2回目に上記「判定条件が成立」しなかったと「判断」された場合には、「2個の遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断」したことになる。そうすると、引用発明において、上記「判定条件が成立」したとの「判断」がN回継続され、N+1回目に上記「判定条件が成立」しなかったと「判断」された場合には、N+1個の「遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断」したことになる。引用発明における上記「遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行った」期間は、この期間に複数の図柄変動信号に対応する複数の稼働情報が含まれる場合には複数の「図柄変動」ゲームが実行されたことになるから、本願発明の「同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間」に相当する。そして、引用発明において、「N+1個の「遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断」」することは、「N+1個の「遊技期間」」を、「遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行った」期間と「判断」することに他ならないから、本願発明において、「同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間を判定する」ことに相当する。 また、上記「連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断するための条件である判定条件が成立するか否か」の「判断」は、「対象サンドに、会員カードが挿入されること」との条件が成立した「遊技期間の開始時点」と、「対象サンドに挿入されている会員カードが、対象サンドから排出されること」との条件が成立した「遊技期間の終了時点」とを特定した上で、これらの「遊技期間の開始時点」及び「遊技期間の終了時点」に基づいて行われるものである。 したがって、引用発明の構成c2、c3と本願発明の構成C3とは、「操作タイミングに基づいて、同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間を判定する」点で共通する。 (b2) 上記(c3)に記載のとおり、引用発明の「制御部72」が、「N+1個の「遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったと判断」」することは、遊技情報である、「セーフ信号を含む各種信号」、「アウト信号」、及び、「入金信号を含む各種信号」と「カード情報」に基づいて、遊技者に関する分析を行うことであるから、本願発明の「遊技情報に基づいて、分析処理を行う」ことに相当する。したがって、引用発明の「制御部72」は、本願発明の「前記遊技情報に基づいて、分析処理を行う遊技情報分析部」に相当する。 (c) 上記(b2)で検討したとおり、引用発明の「制御部72」は、本願発明の「遊技情報分析部」に相当する。 (b)引用発明の「管理装置70」は、「制御部72」(上記(b2)で検討したとおり、本願発明の「遊技情報分析部」に相当する。)を備えるから、本願発明の「分析サーバ」に相当する。 (a) 引用発明の「管理システム2」は、「管理装置70」(上記(b)で検討したとおり、本願発明の「分析サーバ」に相当)を備えるから、本願発明の「遊技情報分析システム」に相当する。 (d)引用発明の「管理システム2」は、上記(a)で検討したとおり、本願発明の「遊技情報分析システム」に相当する。 上記(a)?(d)の検討により、本願発明と引用発明とは、 [一致点] 「A 分析サーバを備える遊技情報分析システムであって、 B 前記分析サーバは、 B1 投資金額および払出額に関する情報を含む遊技情報を、ゲーミングマシンから受信する遊技情報受信部と、 B2 前記遊技情報に基づいて、分析処理を行う遊技情報分析部とを含み、 C 前記遊技情報分析部は、 C2 前記遊技情報から、プレーヤのゲーミングマシンに対する投資および精算に関する操作タイミングを取得し、 C3’ 前記操作タイミングに基づいて、同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間を判定する、 D 遊技情報分析システム。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点](構成C1、C3) 本願発明は、「前記遊技情報から、各ゲームの開始タイミングおよび終了タイミングを取得し」、「前記開始タイミング、終了タイミング、および操作タイミングに基づいて、同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間を判定する」との構成を備えるのに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 第6 当審における判断 1 相違点について 「第4 2(2)」に記載のとおり、引用文献2には、「前回の遊技ゲームでの全リール停止時刻と今回の遊技ゲームでのスタートレバー操作時刻との間の時間間隔と、インターバル時間Tとを比較することにより遊技者が交代したかどうかを判断すること。」(引用文献2記載の技術事項)が記載されている。ここで、「前回の遊技ゲームでの全リール停止時刻」と「スタートレバー操作時刻」は、それぞれ、「遊技ゲーム」が終了した時刻と「遊技ゲーム」が開始された時刻であるから、それぞれ、本願発明の「ゲームの」「終了タイミング」、「ゲームの開始タイミング」に相当する。また、引用文献2記載の技術事項において、「前回の遊技ゲーム」と「今回の遊技ゲーム」とで「遊技者が交代したかどうかを判断すること」と、「前回の遊技ゲーム」と「今回の遊技ゲーム」とで遊技者が同一であるか否かを判断することとは、技術的にみて等しい事項であるといえる。 そして、引用発明と引用文献2記載の技術事項とは、遊技機という同一の技術分野に属し、また、遊技者が同一であるか否か判定するという点で同様の課題または作用・機能を有している。さらに、引用文献1の【0119】には、構成c2、c3の「判定条件」に関し、「判定条件も、上記の各ケースで例示したものに限られず、他の判定条件を含んでいてもよい。」との記載がある。また、引用発明における「図柄変動」ゲームと、引用文献2記載の技術事項における「遊技ゲーム」とは、遊技期間に複数含まれ得る「ゲーム」という点で共通するものである。 したがって、引用発明の判定条件に、つまり、連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であり、同一の遊技者が続けて遊技を行ったか否かを判定するための条件に、引用文献2に記載の技術事項を適用し、「前回の遊技ゲーム」の終了タイミングと「今回の遊技ゲーム」の開始タイミングとの時間間隔と、所定時間とを比較することにより、遊技者が同一である否か判定するという「他の判定条件」を追加することとし、「会員カード」の挿入、排出(本願発明の「操作タイミング」に相当)に基づき遊技期間を特定し、「前回の遊技ゲーム」の終了タイミングと「今回の遊技ゲーム」の開始タイミングに基づき上記「判定」を行うことにより、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 2 請求人の主張について (ア) 請求人は、平成30年9月21日付け意見書において、 「しかしながら、引用文献1の遊技者数管理装置は、上記のように、所定の期間内に遊技機で遊技を行った遊技者の数を算出することを目的としており、そのために、複数個の遊技期間が特定された場合に、それらの遊技期間の遊技者が同一かどうかを判断する必要が生じることになります。 したがって、引用文献1の遊技者数管理装置は、本願のような、「同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間を判定する」という発想はなく、また、引用文献1の記載にも、プレーヤの数を把握するための処理はあっても、プレーヤに関して、セッションの区間を求めるといった処理やその概念は開示されていません。すなわち、上述した引用文献1の目的に鑑みれば、プレーヤについてのセッションの区間を求める必要は全くないのです。」 と主張する。 しかしながら、「第5(c3)」において検討したとおり、引用発明(引用文献1の遊技者数管理装置)は、「対象遊技機で遊技した1日分の遊技者数の値を算出」する過程において、「同じプレーヤが同じゲーミングマシンで行う一連の複数のゲームであるセッションの区間を判定」する処理を行っていると認められるから、請求人の主張は採用できない。 (イ) 請求人は、同意見書において、 「また、本願では、このようなセッションの区間を判定することにより、ゲーミングマシンで行われる各ゲームにおける1勝負の区切りを判定することができるため、このようなセッションの区間に基づいて、プレーヤの心理状態を効果的に評価することができますが、引用文献1、引用文献2、及びこれらの組合せでは、プレーヤごとのセッションの区間(「1勝負」の区切り)を判定する構成をとりえず、本願の上記効果を奏することができません。」 と主張する。 しかしながら、引用文献1には、「本実施例の管理装置70を用いて算出した遊技者数は、様々な分析に用いることができる。例えば、…来店した遊技者の遊技傾向を把握するための分析に利用することができる。」(【0102】)と記載されており、「遊技者の遊技傾向」は「プレーヤの心理状態」を反映するものであるから、引用発明においても、「プレーヤの心理状態を効果的に評価すること」は可能である。したがって、請求人の主張する効果は、引用発明自体が奏する効果であるか、引用発明から当業者が予測し得た効果であるから、請求人の主張は採用できない。 (ウ) 請求人は、同意見書において、 「さらに、拒絶理由では、「引用発明と引用文献2に記載の事項とは、遊技機という同一の技術分野に属し、また、遊技者が同一であるか否か判定するという点で同様の作用・機能を有している。」としていますが、上述のように、引用文献1の課題(目的)は、所定の期間内に遊技機で遊技を行った遊技者の数を適切に算出することであり、これに対し、引用文献2の課題(目的)は、引用文献2に対応する公開公報から明らかなように、初めてその遊技機を遊技する遊技者に対して適切な演出を行うことであり、両者の課題はまったく異なっており、単に「遊技者が同一であるか否か判定する」という処理だけを取りだして、引用文献1と引用文献2の作用・機能が同様であるということはできません。したがって、引用文献1に引用文献2を適用すべき動機付けが存在しないというべきものです。また、こうした引用文献1と引用文献2の課題は、いずれも、本願の課題とは全く異るものです。」 との主張をする。 請求人の主張するとおり、課題のうちの1つにおいては、「引用文献1の課題(目的)は、所定の期間内に遊技機で遊技を行った遊技者の数を適切に算出することであり、これに対し、引用文献2の課題(目的)は、引用文献2に対応する公開公報から明らかなように、初めてその遊技機を遊技する遊技者に対して適切な演出を行うことであり、両者の課題はまったく異なって」いる点が仮にあるとしても、引用文献1の例えば【0060】の「次いで、S36では、S30とS34で特定された2個の遊技期間(即ち、1日のうちの1番目と2番目の遊技期間)について、所定の判定条件が成立するか否か判断する。所定の判定条件とは、制御部72が、連続する2個の遊技期間における遊技者が同一であると判断するための条件である。」との記載、引用文献2の【0069】の「次に、ステップS505へ進み、遊技機の「無操作時間」と上記インターバル時間Tを比較することにより遊技者が交代したかどうかを判断する。」等の記載から、引用文献1と引用文献2との間に、「遊技者が同一であるか否か判定する」という点で、課題の共通性があることは当業者にとって自明なことであり、上記課題(目的)の相違が、このような共通性を見出すことを困難にするものとは認められない。そして、上記課題の共通性に基づき、引用文献1に引用文献2を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、引用文献1と引用文献2の「遊技者が同一であるか否か判定する」という点が、課題の共通性とはいえず、作用・機能の共通性に過ぎないとしても、引用文献1に引用文献2を適用する動機付けがあるか否かは、技術分野の関連性、課題の共通性、作用・機能の共通性、引用発明の内容中の示唆等の観点から総合的に判断すべきものであり、課題の共通性がなければ動機付けがないというものではない。本件については、「遊技者が同一であるか否か判定する」という処理について作用・機能の共通性を見出すことに困難はないこと、技術分野に共通性が見られること、及び、引用文献1の【0119】に他の「判定条件」を含ませることについて記載があることから総合的に判断すれば、引用文献1に引用文献2を適用する動機付けはあるといえる。 よって、請求人の主張は採用できない。 3 小括 本願発明により奏される効果は、引用発明自体が奏するものであるか、引用発明及び引用文献2記載の技術事項から当業者が予測できる範囲内のものであり、格別顕著なものとは言えない。 そうすると、上記「1 相違点について」において検討したとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-01-09 |
結審通知日 | 2019-01-15 |
審決日 | 2019-01-29 |
出願番号 | 特願2015-161440(P2015-161440) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井海田 隆 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
荒井 誠 川崎 優 |
発明の名称 | 遊技情報分析システム、分析サーバ、および遊技情報分析方法 |
代理人 | 特許業務法人タス・マイスター |