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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1349991 |
審判番号 | 不服2018-861 |
総通号数 | 233 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-01-23 |
確定日 | 2019-03-14 |
事件の表示 | 特願2017- 9812「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 2日出願公開、特開2018-117712〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年1月23日に特許出願したものであって、同年6月27日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月4日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月24日付け(発送日:同年10月31日付け)で拒絶査定がなされ、これに対し平成30年1月23日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、これに対し当審において同年10月2日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願は、平成30年12月7日付け手続補正書により補正されたものであって、その請求項1に係る発明(以下本件発明という)は、同日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載される、以下の通りのものである(ただし、記号A-Fは請求項の記載を分説するために当審において便宜上付した)。 「【請求項1】 A 当否判定情報に基づき当否判定を実行する当否判定手段と、 B 当否判定結果を報知する演出が開始されていない前記当否判定情報を記憶する記憶手段と、 C 所定の対象当否判定情報に基づく対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性を、当該対象当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果を報知する演出を利用して示唆する先読み演出を制御する先読み制御手段と、 を備え、 D 前記先読み制御手段は、前記対象当否判定情報が取得されたことを契機とする第一時点と、前記第一時点以降の所定条件が成立した時点である第二時点において前記対象当否判定結果についての先読み演出を実行するか否かを判断することが可能であり、 E 前記対象当否判定結果を報知する演出に特定演出が含まれないものについて、前記第一時点において実行される第一抽選を経て先読み演出の実行が決定されることはあるものの、前記第二時点において実行される第二抽選を経て先読み演出の実行が決定されることがないように設定されることで、前記第一時点において実行される前記第一抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性よりも、前記第二時点において実行される前記第二抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性の方が低く設定されていることを特徴とする F 遊技機。」 第3 刊行物及び刊行物記載の発明 これに対して、平成29年6月27日付け拒絶理由通知において提示された引用文献1であり、当審において平成30年10月2日付けで通知した拒絶理由通知において刊行物1として提示されるべき文献と同一の文献であることが平成30年12月7日付け意見書の「1.拒絶理由の概要」の記載からみて請求人にとっても認識されているといえる、本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開2015-116216号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下、同じ。)。 (ア) 「【0002】 現在最も普及しているぱちんこ遊技機は、始動口(スタートチャッカー)に遊技球が入球したことを契機として、7セグ等の表示部上で「特別図柄」(或いは主遊技図柄)と称される図柄が変動表示され、当該特別図柄が特定態様(例えば「7」)となった場合、通常遊技状態よりも遊技者にとって利益状態の高い特別遊技状態{通常時は閉状態にある大入賞口(いわゆるアタッカー)が所定条件で開放する内容の遊技}に移行するタイプの機種(いわゆる「第一種ぱちんこ遊技機」)である。ここで、遊技者の利益に直結する特別図柄の表示制御の負担を軽減するために、前記の「特別図柄」とは別に、遊技の興趣性を高めるための演出用の「装飾図柄」と称される図柄が、前記特別図柄の変動とシンクロした形で、前記表示部よりもサイズが大きい液晶等のディスプレー上で変動表示される。そして、特別図柄の変動が開始されると装飾図柄もこれに合わせて変動を開始し、特別図柄が特定態様(例えば「7」)で停止した場合、装飾図柄もこれに合わせて所定態様(例えば「777」)で停止することとなる。そして、遊技者は、装飾図柄が所定態様で停止したことにより、特別遊技へ移行が確定したことを認識する。 【0003】 ここで、当該仕組みはこの種のぱちんこ遊技機で共通するので、他種との差別化を図るためには、前記図柄の変動態様を含めた演出全般に対し、いかに工夫を凝らし高い興趣性を付与するかということに注力されている。例えば、「特別図柄」の変動表示が開始できない状況にある場合、始動口に遊技球が入球したことを契機として、当該変動表示を保留する機能を備え、当該保留消化時における遊技内容を事前に報知又は示唆するよう構成することで遊技の興趣性を向上させる手法(いわゆる保留先読み演出)がその一つである。」 (イ) 「【0030】 次に、図3のブロック図を参照しながら、本実施形態に係るぱちんこ遊技機の電気的な概略構成を説明する。はじめに、本実施形態に係るぱちんこ遊技機は、前述したように、遊技の進行を制御する主制御基板Mと、主制御基板Mからの情報(信号、コマンド等)に基づいて遊技球の払出を制御する賞球払出制御基板KHと、主制御基板Mからの情報(信号、コマンド等)に基づいて装飾図柄の変動・停止等の演出表示装置SG上での各種演出、スピーカD24からの音響、遊技効果ランプD26の点灯、エラー報知等の実行を制御する副制御基板S(本例では、サブメイン制御部SMとサブサブ制御部SSとが一つの基板上に配置されている)と、これらの制御基板を含む遊技機全体に電源を供給する電源供給ユニットEと、を主体として構成されている。ここで、副制御基板Sは、装飾図柄の変動・停止等の演出表示装置SG上での各種演出、スピーカD24からの音響、遊技効果ランプD26の点灯、エラー報知を制御するサブメイン制御部SMと、演出表示装置SG上での装飾図柄の変動表示・停止表示及び保留表示や予告表示等の表示処理を実行するサブサブ制御部SSの2つの制御部とを備えている。尚、主制御基板M、賞球払出制御基板KH、サブメイン制御部SM及びサブサブ制御部SSには、様々な演算処理を行うCPU、CPUの演算処理を規定したプログラムを予め記憶するROM、CPUが取り扱うデータ(遊技中に発生する各種データやROMから読み出されたコンピュータプログラム等)を一時的に記憶するRAMが搭載されている。 ・・・ 【0036】 まず、主制御基板Mは、遊技用の情報の取得を制御する遊技用情報制御手段MJと、遊技の内容を決定するための遊技内容決定手段MNと、特別遊技や特定遊技等の遊技の進行を司る遊技進行手段MPと、遊技状態等に係る情報を一時記憶するための遊技状態一時記憶手段MBと、遊技周辺機器側に各種遊技情報{例えば、停止図柄情報、停止図柄の属性情報{例えば、16R大当り、8R大当り、4R大当り、ハズレ}、変動態様に関する情報(例えば、変動時間)、特別遊技の開始信号・状態情報・終了信号、保留情報等}を送信するための情報送信制御手段MT(及び未送信コマンドを蓄積するコマンド送信用バッファMT10)と、各種入賞口への遊技球の入賞に基づき所定の賞球の払出を行うように賞球払出制御基板KHを制御する賞球払出決定手段MHと、を有している。」 (ウ) 「【0044】 次に、遊技内容決定手段MNは、特別遊技の当否及び第2主遊技電動役物B11dの開放可否を抽選する当否抽選手段MN10と、各乱数に基づき、各図柄の停止図柄を決定するための図柄内容決定手段MN40と、各乱数に基づき、各図柄の変動態様(変動時間等)を決定するための変動態様決定手段MN50とを、有している。ここで、当否抽選手段MN10は、当否抽選の結果、当りである場合に特別遊技への移行決定をする(例えば、内部的に当りフラグをオンにする)特別遊技移行決定手段MN20と、第1主遊技図柄に関しての当否抽選を行う第1主遊技当否抽選手段MN11-Aと、第2主遊技図柄に関しての当否抽選を行う第2主遊技当否抽選手段MN11-Bと、補助遊技図柄に関しての当否抽選を行う補助遊技当否抽選手段MN11-Hとを、有している。ここで、第1主遊技当否抽選手段MN11-A、第2主遊技当否抽選手段MN11-B及び補助遊技当否抽選手段MN11-Hは、第1主遊技図柄に関しての当否抽選を行う際に参照される第1主遊技用当否抽選テーブルMN41ta-Aと、第2主遊技図柄に関しての当否抽選を行う際に参照される第2主遊技用当否抽選テーブルMN41ta-Bと、補助遊技図柄に関しての当否抽選を行う際に参照される補助遊技用当否抽選テーブルMN11ta-Hを夫々有している。尚、詳細なテーブル構成の一例については後述する。」 (エ) 「【0063】 次に、演出表示制御手段(サブメイン制御部)SMは、主制御基板M側からの各種情報を受信するための表示情報受信手段SM10と、演出表示に係る演出内容の決定処理及び表示制御処理を司る演出表示制御手段SM20と、サブサブ制御部SS側との情報送受信を制御する情報送受信制御手段SM40と、を有している。以下、上記各手段を詳述する。 【0064】 まず、表示情報受信手段SM10は、主制御基板M側からの第1主遊技及び第2主遊技に関する図柄情報や表示指示情報を一時記憶するためのメイン側情報一時記憶手段SM11bを有している。 【0065】 次に、演出表示制御手段SM20は、装飾図柄の変動態様や停止図柄の決定処理及び表示制御処理を司る装飾図柄表示制御手段SM21と、装飾図柄の保留個数管理や保留表示処理を司る装図保留情報表示制御手段SM22と、保留先読み演出を実行するための保留先読み演出実行制御手段SM26と、背景画像の決定処理及び表示制御処理を司る背景演出表示制御手段SM23と、予告演出内容の決定処理及び表示制御処理を司る予告演出表示制御手段SM24と、リーチ演出内容の決定処理及び表示制御処理を司るリーチ演出表示制御手段SM25と、を有している。 【0066】 ここで、装飾図柄表示制御手段SM21は、主制御基板M側からの情報に基づいて、装飾図柄の停止図柄及び変動態様を決定する装図表示内容決定手段SM21nと、装飾図柄の図柄変動に係る各種情報(変動態様情報、停止図柄情報、各種フラグ等)を一時記憶するための装図表示関連情報一時記憶手段SM21bと、装飾図柄の変動時間を計時するための装図変動時間管理タイマSM21tと、を有している。ここで、装図表示内容決定手段SM21nは、装飾図柄の停止図柄及び変動態様を決定する際に参照される装図変動内容決定用抽選(参照)テーブルSM21taを更に有している(テーブルの詳細については不図示)。 【0067】 次に、装図保留情報表示制御手段SM22は、装飾図柄に係る保留に関する情報を一時記憶するための装図保留情報一時記憶手段SM22bを有している。 【0068】 次に、保留先読み演出実行制御手段SM26は、入賞時保留先読み演出の実行可否(例えば、保留内にトリガ保留となり得る保留が存在するか否か)を判定する入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1と、変動開始時保留先読み演出の実行可否(例えば、保留内にトリガ保留となり得る保留が存在するか否か)を判定する変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2と、先読み演出を実行する際に当該先読み演出の内容を決定する先読み演出内容決定手段SM26nと、先読み演出種別を決定するための先読み演出種別決定テーブルSM26ta1と、先読み演出の演出態様である保留表示変化を実行する際の保留表示態様を決定するための保留表示態様決定テーブルSM26ta2と、を有している。」 (オ) 「【0088】 次に、図8は、図5におけるステップ1300のサブルーチンに係る、主遊技内容決定乱数取得処理のフローチャートである。まず、ステップ1302で、第1主遊技始動口入球判定手段MJ11-Aは、第1主遊技始動口A10の第1主遊技始動口入球検出装置A11sから第1主遊技始動口入球情報を受信したか否かを判定する。ステップ1302でYesの場合、ステップ1304で、第1主遊技乱数取得判定実行手段MJ21-Aは、第1主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-Aを参照し、主遊技(特に第1主遊技側)に関する保留球が上限(例えば4個)でないか否かを判定する。ステップ1304でYesの場合、ステップ1306で、第1主遊技乱数取得判定実行手段MJ21-Aは、第1主遊技内容決定乱数を取得する。尚、本実施形態では、第1主遊技内容決定乱数として、当否を決定するための当否抽選乱数、当り時の図柄を決定するための図柄抽選乱数、特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定するための変動態様抽選乱数の3つの乱数を取得している。ちなみに、これら3つの乱数は夫々更新周期・乱数範囲の異なる乱数生成手段から生成され、本タイミングで一連的に取得するようになっている。次に、ステップ1308で、第1主遊技図柄保留手段MJ32-Aは、当該取得した第1主遊技内容決定乱数を第1主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-Aに一時記憶(保留)する。次に、ステップ1312で、保留制御手段MJ30は、遊技状態及び保留情報(変動態様決定用乱数)に基づき、当該記憶した保留の保留先読みグループを事前判定する。 【0089】 ここで、保留先読みグループとは、サブメイン制御部SM側で先読み演出の実行可否を判定する際に、先読み演出を実行する対象となるか否かを区別するグループである。尚、本実施形態においてはグループ3のみで先読み演出を実行する可能性が生じるよう構成されている(保留先読みグループのテーブルについては図12の主遊技テーブル3を参照)。 【0090】 次に、ステップ1324で、保留制御手段MJ30は、新たな保留発生に係るコマンド(第1主遊技内容決定乱数の保留発生コマンド、保留先読みグループ情報に係るコマンド等)を、サブメイン制御部SMへ送信するためのコマンド送信用バッファMT10にセット(ステップ1930の制御コマンド送信処理によってサブメイン制御部SM側に送信される)する。 【0091】 次に、ステップ1326で、第2主遊技始動口入球判定手段MJ11-Bは、第2主遊技始動口B10の第2主遊技始動口入球検出装置B11sから第2主遊技始動口入球情報を受信したか否かを判定する。ステップ1326でYesの場合、ステップ1328で、第2主遊技乱数取得判定実行手段MJ21-Bは、第2主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-Bを参照し、主遊技(特に第2主遊技側)に関する保留球が上限(例えば4個)でないか否かを判定する。ステップ1328でYesの場合、ステップ1330で、第2主遊技乱数取得判定実行手段MJ21-Bは、第2主遊技内容決定乱数を取得する。なお、本実施例では、第2主遊技内容決定乱数として、第1主遊技内容決定手段と同様に当否抽選乱数、図柄抽選乱数、変動態様抽選乱数の3つの乱数を取得している。ちなみに、第1主遊技内容決定乱数の各乱数の取得範囲と第2主遊技内容決定乱数の各乱数の取得範囲(例えば第1主遊技用の当否抽選乱数と第2主遊技用の当否抽選乱数の取得範囲)を同じに設定している。次に、ステップ1332で、第2主遊技図柄保留手段MJ32-Bは、当該取得した第2主遊技内容決定乱数を第2主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-Bに一時記憶(保留)する。次に、ステップ1334で、保留制御手段MJ30は、遊技状態及び保留情報(変動態様決定用乱数)に基づき、当該記憶した保留の保留先読みグループを事前判定する。 ・・・ 【0096】 ステップ1403でYesの場合、ステップ1405及びステップ1406で、保留消化制御手段MJ31は、第1主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-A(第2主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-B)に一時記憶されている、今回の図柄変動に係る第1主遊技内容決定乱数(第2主遊技内容決定乱数)を読み出すと共に、第1主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-A(第2主遊技図柄保留情報一時記憶手段MJ32b-B)から削除し、当該一時記憶されている残りの情報をシフトする(保留消化処理)。次に、ステップ1410-1で、当否抽選手段MN10は、各遊技状態に対応する第1主遊技用当否抽選テーブルMN11ta-A(第2主遊技用当否抽選テーブルMN11ta-B)を参照し、第1主遊技内容決定乱数(第2主遊技内容決定乱数)(特に、当選抽選乱数)に基づき、主遊技図柄当否抽選を実行する。」 (カ) 「【0116】 次に、図17?図26を参照して、サブメイン制御部SM側で実行される制御処理を説明する。まず、図17は、本実施形態に係るぱちんこ遊技機における、副制御基板S側(特に、サブメイン制御部SM側)のメインフローチャートである。ここで、同図(d)の処理は、遊技機への電源投入時等のリセット後に実行されるサブメイン制御部SM側での処理である。即ち、遊技機への電源投入時において、ステップ2002で、サブメイン制御部SMは、メイン側(主制御基板M側)から受信した情報に基づき、初期処理を実行する(例えば、RAMクリア情報を受信した場合→サブ側のRAMを初期化、各種情報コマンドを受信した場合→電断時の演出関連情報をサブ側のRAMに再セット)。その後、サブメイン制御部SMの繰り返し処理ルーチンである(f)を繰り返し実行するループ処理に移行する。ここで、(f)が実行された場合、同図(f)の処理に示されるように、まず、ステップ2100で、副遊技制御手段(サブメイン制御部)SMは、後述する保留情報管理処理を実行する。次に、ステップ2300で、副遊技制御手段(サブメイン制御部)SMは、後述する装飾図柄表示内容決定処理を実行する。次に、ステップ2400で、副遊技制御手段(サブメイン制御部)SMは、後述する装飾図柄表示制御処理を実行する。次に、ステップ2500で、副遊技制御手段(サブメイン制御部)SMは、後述する特別遊技関連表示制御処理を実行する。次に、ステップ2600で、副遊技制御手段(サブメイン制御部)SMは、表示コマンド送信制御処理(これら一連のサブルーチンでセットされたコマンドをサブサブ制御部SS側に送信する)を実行し、本繰り返し処理ルーチンを終了する。 【0117】 以上のように、サブメイン制御部SMは、リセット後、サブメイン側ルーチン(S2100?S2500)をループ処理する形態を採用している。また、同図(e)の処理は、サブメイン制御部SMの割り込み処理であり、前述した主制御基板MにおけるSTB信号線からの信号がサブメイン制御部SMのCPUの一端子(本例では、NMI端子)に接続されていた場合における処理フロー(e)である。即ち、サブメイン制御部SMのCPUにおいてNMI割り込みが発生した場合(STB信号線がオンとなった場合)、ステップ2004で、サブメイン制御部SMは、主制御基板M側からのコマンド入力ポート(前述したデータ信号線の入力ポート)を確認する。そして、ステップ2006で、サブメイン制御部SMは、当該確認結果に基づき、サブメイン制御部SM側のRAM(例えば、メイン側情報一時記憶手段SM11b)に、主制御基板M側から送信されたコマンドを一時記憶し、本割り込み処理直前に実行されていた処理へ復帰する。 【0118】 次に、図18は、図17におけるステップ2100のサブルーチンに係る、保留情報管理処理のフローチャートである。まず、ステップ2102で、装図保留情報表示制御手段SM22は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、主制御基板M側から新たな保留発生に係るコマンド(第1主遊技図柄又は第2主遊技図柄に係る保留情報)を受信したか否かを判定する。ステップ2102でYesの場合、ステップ2104で、装図保留情報表示制御手段SM22は、装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタ(本例では、第1主遊技用が最大4個、第2主遊技用が最大4個)に「1」を加算する。次に、ステップ2106で、装図保留情報表示制御手段SM22は、主制御基板M側から送信された保留発生コマンドに基づき、保留情報(特に、主遊技図柄抽選に係る乱数値及び保留先読みグループ情報)を、装図保留情報一時記憶手段SM22bに一時記憶する。 【0119】 次に、ステップ2150で、装図保留情報表示制御手段SM22は、後述する入賞時先読み抽選を実行する。次に、ステップ2108で、装図保留情報表示制御手段SM22は、当該新たな保留がトリガ保留である旨の情報を有する保留であるか否か(当該新たな保留がステップ2150の入賞時先読み抽選でトリガ保留となったか否か)を判定する。ステップ2108でYesの場合、ステップ2250で、装図保留情報表示制御手段SM22は、後述する先読み演出内容決定処理を実行し、ステップ2122に移行する。他方、ステップ2108でNoの場合もステップ2122に移行する。 【0120】 他方、ステップ2102でNoの場合、ステップ2110で、装図保留情報表示制御手段SM22は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、主制御基板M側から図柄変動表示開始指示コマンドを受信したか否かを判定する。ステップ2110でYesの場合、ステップ2112で、装図保留情報表示制御手段SM22は、装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタから「1」を減算する。次に、ステップ2114で、装図保留情報表示制御手段SM22は、当該図柄変動に係る保留情報(特に、主遊技図柄抽選に係る乱数値及び保留先読みグループ情報)を、装図保留情報一時記憶手段SM22bから削除すると共に、残りの保留情報をシフトする。 【0121】 次に、ステップ2200で、装図保留情報表示制御手段SM22は、後述する変動開始時先読み判定処理を実行する。次に、ステップ2116で、装図保留情報表示制御手段SM22は、装図表示関連情報一時記憶手段SM21bのフラグエリアを参照し、変動開始時先読み当選フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2116でYesの場合、ステップ2118で、装図保留情報表示制御手段SM22は、装図表示関連情報一時記憶手段SM21bのフラグエリア内にある、変動開始時先読み当選フラグをオフにする。次に、ステップ2250で、装図保留情報表示制御手段SM22は、後述する、先読み演出内容決定処理を実行し、ステップ2120に移行する。他方、ステップ2116でNoの場合にもステップ2120に移行する。 【0122】 次に、ステップ2120で、装図保留情報表示制御手段SM22は、装図表示関連情報一時記憶手段SM21bのフラグエリア内にある、図柄内容決定許可フラグをオンにし、ステップ2122に移行する。尚、ステップ2110でNoの場合にもステップ2122に移行する。 【0123】 次に、ステップ2122で、装図保留情報表示制御手段SM22は、演出表示手段SSを駆使して演出表示装置SG上(特に、第1保留表示部SG12、第2保留表示部SG13)に、装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタ値と同数の保留表示ランプを点灯表示し、次の処理(ステップ2300の処理)に移行する。」 (キ) 「【0124】 次に、図19は、図18におけるステップ2150のサブルーチンに係る、入賞時先読み判定処理のフローチャートである。まず、ステップ2151で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、現在の遊技状態が時間短縮遊技状態でないか否かを判定する。ステップ2151でYesの場合、ステップ2153に移行し、後述する、先読み演出のトリガ保留となるか否かの判定処理を実行する。 【0125】 他方、ステップ2151でNoの場合、ステップ2152で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、当該新たな保留が第1主遊技側の保留であるか否かを判定する。ステップ2152でNoの場合、換言すれば、当該新たな保留が、時間短縮遊技中の第2主遊技側の保留である場合、ステップ2153に移行し、後述する、先読み演出のトリガ保留となるか否かの判定処理を実行する。尚、ステップ2152でYesの場合には、次の処理(ステップ2108の処理)に移行する。 【0126】 このように、本実施形態においては、時間短縮遊技状態である場合、第2主遊技に係る保留のみが先読み演出に係るトリガ保留となり得るよう構成されているが、あくまで一例であり、これには限定されず、時間短縮遊技状態中に発生した、第1主遊技側に係る保留をもトリガ保留となり得るようにしてもよいし、非時間短縮遊技中において、第1主遊技側の保留(又は第2主遊技側の保留)のみが先読み演出におけるトリガ保留となり得るよう構成してもよい。 【0127】 次に、ステップ2153で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、当該新たな保留の保留先読みグループが所定のグループ(本例では、グループ3)であるか否かを判定する。ステップ2153でYesの場合、ステップ2154で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを参照し、各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出する。ここで、トリガ保留とは、入賞時先読み抽選又は変動開始時先読み抽選に当選した保留であり、後述する先読み演出の契機となる保留のことである。 【0128】 次に、ステップ2156で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留が存在していないか否かを判定する。ステップ2156でYesの場合、ステップ2158で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、所定確率(本例では、1/3)で当選する入賞時先読み抽選を実行する。尚、所定確率は1/3ではなくともよく、当該所定確率を変更することで先読み演出が実行される契機となる変動にて大当りとなる期待度を調整することが可能となる。 【0129】 次に、ステップ2160で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、当該新たな保留が、前記入賞時先読み抽選に当選したか否かを判定する。ステップ2160でYesの場合、ステップ2162で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、装図保留情報一時記憶手段SM22b内にある、当該保留に係る保留情報に「トリガ保留」である旨の情報を付加して一時記憶し、次の処理(ステップ2108の処理)に移行する。尚、ステップ2152、ステップ2156又はステップ2160でNoの場合にも次の処理(ステップ2108の処理)に移行する。」 (ク) 「【0130】 次に、図20は、図18におけるステップ2200のサブルーチンに係る、入賞時先読み判定処理のフローチャートである。まず、ステップ2202で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、装図表示関連情報一時記憶手段SM21bのフラグエリアを参照し、変動開始時先読み当選フラグがオフであるか否かを判定する。ステップ2202でYesの場合、ステップ2204で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、当該変動がリガ保留に係る変動でないか否かを判定する。ステップ2204でYesの場合、ステップ2206に移行する。他方、ステップ2204でNoの場合、ステップ2224で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、装図表示関連情報一時記憶手段SM21bのフラグエリア内にある、変動開始時先読み禁止フラグをオンにし、次の処理(ステップ2116の処理)に移行する。 【0131】 次に、ステップ2206で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、保留内に保留先読みグループが所定のグループ(本例では、グループ3)である保留が存在するか否かを判定する。ステップ2206でYesの場合、ステップ2208で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを参照し、各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出する。次に、ステップ2210で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留がないか否かを判定する。 【0132】 ステップ2210でYesの場合、ステップ2212で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、現在の遊技状態が時間短縮遊技状態でないか否かを判定する。ステップ2212でYesの場合、ステップ2214で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、所定確率(本例では、1/10)で当選する変動開始時先読み抽選を所定グループであるすべての保留を対象として実行し、ステップ2218に移行する。他方、ステップ2212でNoの場合、ステップ2216で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、所定確率(本例では、1/10)で当選する変動開始時先読み抽選を、所定グループである保留のうち第2主遊技側の保留のみを対象として実行し、ステップ2218に移行する。尚、所定確率は1/10ではなくともよく、当該所定確率を変更することで先読み演出が大当りとなる期待度を調整することが可能となる。 【0133】 次に、ステップ2218で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、前記変動開始時先読み抽選に当選となった保留(グループ3の保留)があるか否かを判定する。ステップ2218でYesの場合、ステップ2220で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、当該変動開始時先読み抽選に当選した保留に「トリガ保留」である旨の情報を付加する。次に、ステップ2222で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、装図表示関連情報一時記憶手段SM21bのフラグエリア内にある、変動開始時先読み当選フラグをオンにし、次の処理(ステップ2116の処理)に移行する。 【0134】 他方、ステップ2202でNoの場合、即ち、現在の処理がトリガ保留に係る変動の次変動における処理である場合、ステップ2226で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、装図表示関連情報一時記憶手段SM21bのフラグエリア内にある、変動開始時先読み禁止フラグをオフにし、次の処理(ステップ2116の処理)に移行する。尚、ステップ2206、ステップ2210又はステップ2218でNoの場合にも、次の処理(ステップ2116の処理)に移行する。このように構成することで、トリガ保留に係る変動の次変動においては、ステップ2204?ステップ2224の処理を実行しない(変動開始時に、トリガ保留が発生するか否かの抽選に係る処理を実行しない)こととなるのである。」 (ケ) また、図12には以下の記載がある。 「 」 (コ) 上記(イ)の段落【0030】の「ぱちんこ遊技機は、・・・主制御基板Mと、・・・副制御基板S・・・と、・・・を主体として構成され・・・副制御基板Sは、・・・サブメイン制御部SMと、・・・サブサブ制御部SSの2つの制御部とを備え」という記載、段落【0036】の「主制御基板Mは、・・・遊技の内容を決定するための遊技内容決定手段MN・・・を有し」との記載、上記(ウ)の段落【0044】の「遊技内容決定手段MNは、・・・当否抽選手段MN10・・・を、有し・・・当否抽選手段MN10は、当否抽選の結果、当りである場合に特別遊技への移行決定をする特別遊技移行決定手段MN20・・・を有し」との記載、上記(オ)の段落【0088】の「第1主遊技図柄保留情報一時記憶手段・・・を参照し、主遊技・・・に関する保留球が上限・・・でないか否かを判定・・・Yesの場合、・・・第1主遊技内容決定乱数を取得」及び段落【0091】の「第2主遊技図柄保留情報一時記憶手段・・・を参照し、主遊技・・・に関する保留球が上限・・・でないか否かを判定・・・Yesの場合、・・・第2主遊技内容決定乱数を取得」との記載、段落【0096】の「当否抽選手段MN10は、・・・第1主遊技内容決定乱数(第2主遊技内容決定乱数)・・・に基づき、主遊技図柄当否抽選を実行」との記載から、 刊行物1には、「主制御基板Mと、副制御基板Sとを主体として構成され、副制御基板Sはサブメイン制御部SMと、サブサブ制御部SSの2つの制御部と備え」た「ぱちんこ遊技機」であって「主制御基板Mは、第1(第2)主遊技図柄保留情報一時記憶手段を参照し、主遊技に関する保留球が上限でないか否かを判定し、Yesの場合、第1及び第2主遊技内容決定乱数を取得し、第1及び第2主遊技内容決定乱数に基づき主遊技図柄当否抽選を実行する当否抽選手段MN10であって、当否抽選の結果、当たりである場合に特別遊技への移行決定をする特別遊技移行決定手段MN20を有する当否抽選手段MN10を有する遊技の内容を決定するための遊技内容決定手段MNとを有し」ていることが記載されていると認められる。 (サ) 上記(ア)の段落【0003】の「保留消化時における遊技内容を事前に報知又は示唆する・・・保留先読み演出」との記載、上記(エ)の段落【0063】の「演出表示制御手段(サブメイン制御部)SMは、主制御基板M側からの各種情報を受信するための表示情報受信手段SM10と、演出表示に係る演出内容の決定処理及び表示制御処理を司る演出表示制御手段SM20と、・・・を有し」との記載、段落【0065】の「演出表示制御手段SM20は、・・・装飾図柄の保留個数管理や保留表示処理を司る装図保留情報表示制御手段SM22と、保留先読み演出を実行するための保留先読み演出実行制御手段SM26・・・を有し」との記載、段落【0067】の「装図保留情報表示制御手段SM22は、・・・装図保留情報一時記憶手段SM22bを有し」との記載、段落【0068】の「保留先読み演出実行制御手段SM26は、入賞時保留先読み演出の実行可否・・・を判定する入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1と、変動開始時保留先読み演出の実行可否・・・を判定する変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2・・・を有し」との記載から、 刊行物1には、「演出表示制御手段(サブメイン制御部)SMは、主制御基板M側からの各種情報を受信するための表示情報受信手段SM10と、演出表示に係る演出内容の決定処理及び表示制御処理を司る演出表示制御手段SM20と、を有し、演出表示制御手段SM20は、装飾図柄の保留個数管理や保留表示処理を司る装図保留情報表示制御手段SM22と、保留消化時における遊技内容を事前に報知又は示唆する保留先読み演出を実行するための保留先読み演出実行制御手段SM26を有し、装図保留情報表示制御手段SM22は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを有し、保留先読み演出実行制御手段SM26は、入賞時保留先読み演出の実行可否(例えば、保留内にトリガ保留となり得る保留が存在するか否か)を判定する入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1と、変動開始時保留先読み演出の実行可否(例えば、保留内にトリガ保留となり得る保留が存在するか否か)を判定する変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2を有し」ていることが記載されていると認められる。 (シ) また、上記(カ)の段落【0116】?【0121】の「遊技機への電源投入時等のリセット後に実行されるサブメイン制御部SM側での処理で・・・遊技機への電源投入時において、・・・サブメイン制御部SMは、・・・初期処理を実行・・・その後、サブメイン制御部SMの繰り返し処理ルーチンである(f)を繰り返し実行するループ処理に移行・・・ステップ2100で、・・・保留情報管理処理を実行・・・次に、ステップ2400で、・・・装飾図柄表示制御処理を実行・・・ステップ2100のサブルーチンに係る、保留情報管理処理・・・で・・・ステップ2102で、装図保留情報表示制御手段SM22は、・・・主制御基板M側から新たな保留発生に係るコマンド・・・を受信したか否かを判定・・・Yesの場合、・・・装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタ・・・に「1」を加算・・・次に、・・・主制御基板M側から送信された保留発生コマンドに基づき、保留情報・・・を、装図保留情報一時記憶手段SM22bに一時記憶・・・次に、ステップ2150で、・・・入賞時先読み抽選を実行・・・ステップ2108で、・・・当該新たな保留がステップ2150の入賞時先読み抽選でトリガ保留となったか否か・・・を判定・・・ステップ2122に移行・・・ステップ2102でNoの場合、・・・主制御基板M側から図柄変動表示開始指示コマンドを受信したか否かを判定・・・Yesの場合、・・・装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタから「1」を減算・・・当該図柄変動に係る保留情報・・・を、装図保留情報一時記憶手段SM22bから削除すると共に、残りの保留情報をシフト・・・次に、ステップ2200で、・・・変動開始時先読み判定処理を実行・・・ステップ2116で、・・・変動開始時先読み当選フラグがオンであるか否かを判定・・・ステップ2120に移行」との記載から、 刊行物1には、「遊技機への電源投入時等のリセット後に実行されるサブメイン制御部SM側での処理で遊技機への電源投入時において、サブメイン制御部SMは、初期処理を実行し、その後、サブメイン制御部SMの繰り返し処理ルーチンである(f)を繰り返し実行するループ処理に移行し、ステップ2100で、保留情報管理処理を実行し、次に、ステップ2400で、装飾図柄表示制御処理を実行」すること、「ステップ2100のサブルーチンに係る、保留情報管理処理でステップ2102で、装図保留情報表示制御手段SM22は、主制御基板M側から新たな保留発生に係るコマンドを受信したか否かを判定し、Yesの場合、装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタに「1」を加算し、次に、主制御基板M側から送信された保留発生コマンドに基づき、保留情報を、装図保留情報一時記憶手段SM22bに一時記憶し、次に、ステップ2150で、入賞時先読み抽選を実行し、ステップ2102でNoの場合、主制御基板M側から図柄変動表示開始指示コマンドを受信したか否かを判定し、Yesの場合、装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタから「1」を減算し、当該図柄変動に係る保留情報を、装図保留情報一時記憶手段SM22bから削除すると共に、残りの保留情報をシフトし、次に、ステップ2200で、変動開始時先読み判定処理を実行し、ステップ2116で、変動開始時先読み当選フラグがオンであるか否かを判定し、ステップ2120に移行」すること、が記載されているものと認められる。 (ス) 上記(キ)の段落【0124】?【0129】の「ステップ2150のサブルーチンに係る・・・ステップ2153で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、・・・新たな保留の保留先読みグループが所定のグループ(・・・グループ3)であるか否かを判定・・・Yesの場合、ステップ2154で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、・・・各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出・・・トリガ保留とは、入賞時先読み抽選又は変動開始時先読み抽選に当選した保留であり、・・・先読み演出の契機となる保留・・・である・・・ステップ2156で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留が存在していないか否かを判定・・・Yesの場合、ステップ2158で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、所定確率(・・・1/3)で当選する入賞時先読み抽選を実行・・・ステップ2108の処理・・・に移行・・・尚、・・・ステップ2156・・・でNoの場合にもステップ2108の処理に移行」との記載から、 刊行物1には「ステップ2150のサブルーチンに係るステップ2153で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、新たな保留の保留先読みグループが所定のグループ(グループ3)であるか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2154で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出し、ステップ2156で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留が存在していないか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2158で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、所定確率(1/3)で当選する入賞時先読み抽選を実行し、ステップ2108の処理に移行し、尚、ステップ2156でNoの場合にもステップ2108の処理に移行」すること、「トリガ保留とは、入賞時先読み抽選又は変動開始時先読み抽選に当選した保留であり、先読み演出の契機となる保留である」こと、が記載されているものと認められる。 (セ) 上記(ク)の段落【0130】?【0134】の「ステップ2200のサブルーチンに係る・・・ステップ2206で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、・・・保留内に保留先読みグループが所定のグループ(・・・グループ3)である保留が存在するか否かを判定・・・Yesの場合、ステップ2208で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、・・・各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出・・・ステップ2210で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留がないか否かを判定・・・Yesの場合、ステップ2212で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、・・・現在の遊技状態が時間短縮遊技状態でないか否かを判定・・・Yesの場合、ステップ2214で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、所定確率(・・・1/10)で当選する変動開始時先読み抽選を所定グループであるすべての保留を対象として実行し、・・・ステップ2116の処理・・・に移行・・・尚、・・・ステップ2206・・・でNoの場合にもステップ2116の処理に移行」との記載から、 刊行物1には、「ステップ2200のサブルーチンに係るステップ2206で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、保留内に保留先読みグループが所定のグループ(グループ3)である保留が存在するか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2208で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出し、ステップ2210で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留がないか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2212で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、現在の遊技状態が時間短縮遊技状態でないか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2214で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、所定確率(1/10)で当選する変動開始時先読み抽選を所定グループであるすべての保留を対象として実行し、ステップ2116の処理に移行し、尚、ステップ2206でNoの場合にもステップ2116の処理に移行」することが記載されているものと認められる。 (ソ) 上記図12に記載の表には、「サブ側で実行される演出態様」という列において、「スーパーリーチ演出」という記載がある行には、必ず「保留先読みグループ」という列に「グループ3」という記載があり、逆に「保留先読みグループ」という列に「グループ3」という記載がある行には、必ず「サブ側で実行される演出態様」という列において「スーパーリーチ演出」という記載があることから、「保留先読みグループがグループ3である」とは、「保留先読みグループがスーパーリーチを行うグループ3である」ということができる。 (タ) 上記(ア)?(ク)の記載事項及び上記(ケ)?(ソ)の認定事項から、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 「主制御基板Mと、副制御基板Sとを主体として構成され、副制御基板Sはサブメイン制御部SMと、サブサブ制御部SSの2つの制御部と備えたぱちんこ遊技機であって、(認定事項(コ)) 主制御基板Mは、第1(第2)主遊技図柄保留情報一時記憶手段を参照し、主遊技に関する保留球が上限でないか否かを判定し、Yesの場合、第1及び第2主遊技内容決定乱数を取得し、第1及び第2主遊技内容決定乱数に基づき主遊技図柄当否抽選を実行する当否抽選手段MN10であって、当否抽選の結果、当たりである場合に特別遊技への移行決定をする特別遊技移行決定手段MN20を有する当否抽選手段MN10を有する遊技の内容を決定するための遊技内容決定手段MNとを有し、(認定事項(コ)) 演出表示制御手段(サブメイン制御部)SMは、主制御基板M側からの各種情報を受信するための表示情報受信手段SM10と、演出表示に係る演出内容の決定処理及び表示制御処理を司る演出表示制御手段SM20と、を有し、演出表示制御手段SM20は、装飾図柄の保留個数管理や保留表示処理を司る装図保留情報表示制御手段SM22と、保留消化時における遊技内容を事前に報知又は示唆する保留先読み演出を実行するための保留先読み演出実行制御手段SM26を有し、装図保留情報表示制御手段SM22は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを有し、保留先読み演出実行制御手段SM26は、入賞時保留先読み演出の実行可否を判定する入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1と、変動開始時保留先読み演出の実行可否を判定する変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2を有し、(認定事項(サ)) 遊技機への電源投入時等のリセット後に実行されるサブメイン制御部SM側での処理で遊技機への電源投入時において、サブメイン制御部SMは、初期処理を実行し、その後、サブメイン制御部SMの繰り返し処理ルーチンである(f)を繰り返し実行するループ処理に移行し、ステップ2100で、保留情報管理処理を実行し、次に、ステップ2400で、装飾図柄表示制御処理を実行し、(認定事項(シ)) ステップ2100のサブルーチンに係る、保留情報管理処理でステップ2102で、装図保留情報表示制御手段SM22は、主制御基板M側から新たな保留発生に係るコマンドを受信したか否かを判定し、Yesの場合、装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタに「1」を加算し、次に、主制御基板M側から送信された保留発生コマンドに基づき、保留情報を、装図保留情報一時記憶手段SM22bに一時記憶し、次に、ステップ2150で、入賞時先読み抽選を実行し、ステップ2108で、当該新たな保留がステップ2150の入賞時先読み抽選でトリガ保留となったか否かを判定し、ステップ2122に移行し、ステップ2102でNoの場合、主制御基板M側から図柄変動表示開始指示コマンドを受信したか否かを判定し、Yesの場合、装図保留情報一時記憶手段SM22b内の装図保留カウンタから「1」を減算し、当該図柄変動に係る保留情報を、装図保留情報一時記憶手段SM22bから削除すると共に、残りの保留情報をシフトし、次に、ステップ2200で、変動開始時先読み判定処理を実行し、ステップ2116で、変動開始時先読み当選フラグがオンであるか否かを判定し、ステップ2120に移行し、(認定事項(シ)) ステップ2150のサブルーチンに係るステップ2153で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、新たな保留の保留先読みグループが所定のグループ(スーパーリーチを行うグループ3)であるか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2154で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出し、ステップ2156で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留が存在していないか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2158で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、所定確率(1/3)で当選する入賞時先読み抽選を実行し、ステップ2108の処理に移行し、尚、ステップ2156でNoの場合にもステップ2108の処理に移行し、(認定事項(ス)、(ソ)) ステップ2200のサブルーチンに係るステップ2206で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、保留内に保留先読みグループが所定のグループ(スーパーリーチを行うグループ3)である保留が存在するか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2208で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出し、ステップ2210で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留がないか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2212で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、現在の遊技状態が時間短縮遊技状態でないか否かを判定し、Yesの場合、ステップ2214で、変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2は、所定確率(1/10)で当選する変動開始時先読み抽選を所定グループであるすべての保留を対象として実行し、ステップ2116の処理に移行し、尚、ステップ2206でNoの場合にもステップ2116の処理に移行する、(認定事項(セ)、(ソ))ものであり、 トリガ保留とは、入賞時先読み抽選又は変動時先読み抽選に当選した保留であり、先読み演出の契機となる保留である(認定事項(ス))、 ぱちんこ遊技機(認定事項(コ))。」 さらに、刊行物1には次の記載がある。 「【0192】 (変更例5) ここで、本実施形態では、ある保留の保留先読みグループが所定の先読みグループ(グループ3)の場合にのみ、当該ある保留に対して、所定の確率で当選する先読み抽選を実行し得るよう構成したが、これには限定されず、大当りとなる期待度に応じて、当選確率が異なる先読み抽選を実行し得るよう構成してもよい。そこで、そのような構成の一例を本実施形態からの変更例5とし、以下、詳述する。【0193】 まず、図35は、本実施形態からの変更例5における、図18におけるステップ2150(変5)のサブルーチンに係る、入賞時先読み判定処理のフローチャートである。まず、ステップ2151で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、メイン側情報一時記憶手段SM11bを参照し、現在の遊技状態が時間短縮遊技状態でないか否かを判定する。ステップ2151でYesの場合、ステップ2153に移行する。他方、ステップ2151でNoの場合、ステップ2152で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを参照し、当該新たな保留が第1主遊技側の保留であるか否かを判定する。ステップ2152でYesの場合には、次の処理(ステップ2108の処理)に移行し、Noの場合にはステップ2153に移行する。 【0194】 次に、ステップ2153で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを参照し、各保留がトリガ保留であるか否かに係る情報を読出する。次に、ステップ2154で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、前記読出した情報に基づき、主遊技保留内にトリガ保留が存在しないか否かを判定する。ステップ2154でYesの場合、ステップ2156で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを参照し、当該新たな保留の保留先読みグループがグループ3であるか否かを判定する。ステップ2156でYesの場合、ステップ2158で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、所定確率A(本例では、1/3)で当選する入賞時先読み抽選を実行し、ステップ2166に移行する。他方、ステップ2156でNoの場合、ステップ2160で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、装図保留情報一時記憶手段SM22bを参照し、当該新たな保留の保留先読みグループがグループ2であるか否かを判定する。ステップ2160でYesの場合、ステップ2162で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、所定確率B(本例では、1/10)で当選する入賞時先読み抽選を実行し、ステップ2166に移行する。他方、ステップ2160でNoの場合、即ち、当該新たな保留の保留先読みグループがグループ1である場合、ステップ2164で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、所定確率C(本例では、1/50)で当選する入賞時先読み抽選を実行し、ステップ2166に移行する。 【0195】 次に、ステップ2166で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、入賞時先読み抽選に当選したか否かを判定する。ステップ2166でYesの場合、ステップ2168で、入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1は、装図保留情報一時記憶手段SM22b内にある保留情報を参照し、当該入賞時先読み抽選に当選した新たな保留に係る保留情報に「トリガ保留」である旨の情報を付加して一時記憶し、次の処理(ステップ2108の処理)に移行する。尚、ステップ2154又はステップ2166でNoの場合にも次の処理(ステップ2108の処理)に移行する。 【0196】 以上のように変更することで、本実施形態からの変更例5に係る遊技機においては、すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させることで、変動時間に拘らず先読み演出を実行することが可能となり先読み演出のバリエーションが広がると共に遊技の興趣性が高まることとなる。」(下線部は合議体が付した。以下同じ) また、上記図12に記載の表には、「サブ側で実行される演出態様」という列において、「スーパーリーチ演出」という記載がある行には、「保留先読みグループ」という列に「グループ3」という記載があり、「サブ側で実行される演出態様」という列において「ノーマルリーチ(ショート)演出」または「ノーマルリーチ(ロング)演出」という記載がある行には「保留先読みグループ」という列に「グループ2」という記載があり、「サブ側で実行される演出態様」という列において「非リーチ演出」という記載がある行には「保留先読みグループ」という列に「グループ1」という記載があること、逆に「保留先読みグループ」という列に「グループ3」という記載がある行には「サブ側で実行される演出態様」という列において「スーパーリーチ演出」という記載があり、「保留先読みグループ」という列に「グループ2」という記載がある行には「サブ側で実行される演出態様」という列において「ノーマルリーチ(ショート)演出」または「ノーマルリーチ(ロング)演出」という記載があることから、「保留先読みグループがグループ1である」とは、「保留先読みグループが非リーチ演出を行うを行うグループ1である」ということ、及び「保留先読みグループがグループ2である」とは、「保留先読みグループがノーマルリーチ演出を行うを行うグループ2である」ということができる。 以上の記載からすると、刊行物1には以下の事項が記載されていると認められる(以下、刊行物1記載の事項という)。 「大当りとなる期待度に応じて、当選確率が異なる先読み抽選を実行し得る変形例5として、 入賞時先読み演出判定手段SM26k1は、新たな保留の保留先読みグループがスーパーリーチ演出を行うグループ3である場合、1/3の確率で当選する入賞時先読み抽選を実行し、 新たな保留の保留先読みグループがノーマルリーチ演出を行うグループ2である場合、1/5の確率で当選する入賞時先読み抽選を実行し、 新たな保留の保留先読みグループが非リーチ演出を行うグループ1である場合、1/50の確率で当選する入賞時先読み抽選を実行し、すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させることで、先読み演出のバリエーションが広がること」 第4 対比・判断 1.対比 本件発明と刊行物1発明とを対比する。 (A)刊行物1発明における「主遊技に関する保留球」の判定を行う場合に、「主遊技図柄保留情報一時記憶手段を参照」していることから、主遊技図柄保留情報一時記憶手段に記憶されているのは、「保留情報」ということもできるが、これは本件発明の「当否判定情報」に相当する。 そして、該「主遊技図柄保留情報一時記憶手段を参照し」「主遊技内容決定乱数を取得し」「主遊技内容決定乱数に基づき主遊技図柄当否抽選を実行」し、「当否抽選の結果、当たりである場合に特別遊技への移行決定をする特別遊技以降決定手段MN20を有する当否抽選手段MN10」が本件発明の「当否判定情報に基づき当否判定を実行する当否判定手段」に相当する。 (B)刊行物1発明における「装図保留情報一時記憶手段SM22b」について、装図保留情報一時記憶手段SM22bに保留情報が一時記憶されるのは、ステップ2100のサブルーチンに係る、保留情報管理処理であるが、この処理はステップ2400の表示図柄表示制御処理の前に行われることは明らかであり、「当否判定結果を報知する演出が開始されていない」時点であるといえるから、刊行物1における該「装図保留情報一時記憶手段SM22b」は本件発明における「当否判定結果を報知する演出が開始されていない前記当否判定情報を記憶する記憶手段」に相当する。 (C)刊行物1発明における「当該保留消化時における遊技内容を事前に報知または示唆する保留先読み演出を実行するための保留先読み演出実行制御手段SM26」について、「当該保留消化時における遊技内容を事前に報知または示唆する」「保留先読み演出」は、本件発明の「所定の対象当否判定情報に基づく対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性を」「示唆する」「先読み演出」に相当することから、刊行物1発明における上記「保留先読み演出制御手段26」と本件発明の「先読み制御手段」とは、「当該対象当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果を報知する演出を利用して示唆する」点で異なるものの、「所定の対象当否判定情報に基づく対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する先読み演出を制御する」点で共通する。 (D)刊行物1発明における「保留先読み演出実行制御手段SM26」は、「入賞時先読み演出の実行可否を判定する入賞時保留先読み演出判定手段SM26k1」と、「変動開始時保留先読み演出の実行可否を判定する変動開始時保留先読み演出判定手段SM26k2」と、を有することから、「入賞時」と「変動開始時」の2つの時点で先読み演出を実行するかどうかを判断することが可能であるということができる。また、ある保留球についての「入賞時」よりも、当該保留球の「変動開始時」の方が後の時点であることは明らかであるが、これらがそれぞれ本件発明における「対象当否判定情報が取得されたことを契機とする第一時点」と、「第一時点以降の所定条件が成立した時点である第二時点」に相当する。 そうすると、刊行物1発明における「保留先読み演出制御実行手段SM26」は、本件発明における「先読み制御手段」同様に「対象当否判定情報が取得されたことを契機とする第一時点と、前記第一時点以降の所定条件が成立した時点である第二時点において前記対象当否判定結果についての先読み演出を実行するか否かを判断することが可能であ」るといえる。 (E) また、刊行物1発明における「入賞時先読み演出判定手段SM26k1」が行う「入賞時先読み抽選処理」は、新たな保留の保留先読みグループがスーパーリーチを行うグループ3である場合、1/3の確率で当選し、「変動開始先読み演出判定手段SM26k2」が行う「変動開始時先読み抽選」は、保留内に保留先読みグループがグループ3である保留が存在する場合、1/10の確率で当選することから、本件発明同様に「第一時点において実行される第一抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性よりも、第二時点において実行される第二抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性の方が低く設定されている」といえる。 (F)刊行物1発明における「ぱちんこ遊技機」は本件発明における「ぱちんこ遊技機」に相当する。 (A)?(F)から、本件発明と刊行物1発明とを対比すると、両者は以下の点で一致する。 (一致点) A 当否判定情報に基づき当否判定を実行する当否判定手段と、 B 当否判定結果を報知する演出が開始されていない前記当否判定情報を記憶する記憶手段と、 C’ 所定の対象当否判定情報に基づく対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する先読み演出を制御する先読み制御手段と、 を備え、 D 前記先読み制御手段は、前記対象当否判定情報が取得されたことを契機とする第一時点と、前記第一時点以降の所定条件が成立した時点である第二時点において前記対象当否判定結果についての先読み演出を実行するか否かを判断することが可能であり、 E’ 前記第一時点において実行される第一抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性よりも、前記第二時点において実行される第二抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性の方が低く設定されている F 遊技機。 一方、両者は以下の点で相違する。 (相違点1) 所定の対象当否判定情報に基づく対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する先読み演出を制御する先読み制御手段について、本件発明は「当該対象当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果を報知する演出を利用して示唆する」のに対して、刊行物1発明はこのような事項についての特定がない点。 (相違点2) 第一時点において実行される第一抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性よりも、第二時点において実行される第二抽選を経て先読み演出の実行が決定される蓋然性の方が低く設定されていることを実現するにあたって、本件発明は「対象当否判定結果を報知する演出に特定演出が含まれないものについて、前記第一時点において実行される前記第一抽選を経て先読み演出の実行が決定されることはあるものの、前記第二時点において実行される前記第二抽選を経て先読み演出の実行が決定されることがないように設定される」ことで実現するのに対して、刊行物1発明は上記の事項について特定されていない点。 2.相違点に対する判断 上記相違点について検討する。 相違点1について、所定の対象当否判定情報に基づく対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する先読み演出制御において、当該対象当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果を報知する演出を利用して示唆することは周知技術(例えば、特開2010-162289号公報の【要約】には、「始動入賞時に、保留記憶により行われる変動表示の表示結果が大当りとなるか否かを判定し、その入賞時判定の対象となった変動表示が開始されるまでに、複数の変動表示にわたって連続してチャンス目図柄を表示させることによって先読み予告(連続予告演出)を実行する」という記載が、特開2014-155604号公報の【0186】には、「なお、「先読み予告演出」とは、予告演出の対象となる変動表示が開始されるよりも前に実行される予告演出のことである。・・・例えば、先読み予告演出として、・・・複数変動にわたって連続してチャンス目図柄などの特殊表示結果を停止表示させる演出を実行したり、・・・するなど、様々な態様が考えられる。」と記載されており、「対象となる変動表示が開始されるまでに連続してチャンス目図柄を表示させる先読み予告演出」とは、「当該対象当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果を報知する演出」の1つである。)にすぎず、刊行物1発明における先読み演出制御として上記の周知技術を適用することで相違点1の構成とすることは当業者ならば容易になし得たものである。 また、相違点2について、刊行物1発明はスーパーリーチ演出を行うグループ3の場合入賞時先読み抽選や変動時先読み抽選を行い、それ以外の場合では先読み抽選を行わないことから、スーパーリーチ演出を行うグループ3でのみ入賞時先読み演出や変動時先読み演出を実行する可能性が生じるものであり、グループ1、グループ2の場合には入賞時先読み演出及び変動時先読み演出のいずれも実行されないことは明らかである。 ところで、刊行物1記載の事項には、「大当りとなる期待度に応じて、当選確率が異なる先読み抽選を実行し得る変形例5として、入賞時先読み演出判定手段SM26k1は、新たな保留の保留先読みグループがスーパーリーチ演出を行うグループ3である場合、1/3の確率で当選する入賞時先読み抽選を実行し、新たな保留の保留先読みグループがノーマルリーチ演出を行うグループ2である場合、1/5の確率で当選する入賞時先読み抽選を実行し、新たな保留の保留先読みグループが非リーチ演出を行うグループ1である場合、1/50の確率で当選する入賞時先読み抽選を実行」することが示されており、刊行物1発明の変形例として、入賞時先読み演出判定手段SM26k1は、スーパーリーチ演出を行うグループ3において入賞時先読み演出抽選を実行することに加えて、スーパーリーチ演出を行わないグループ1,2についても、入賞時先読み演出抽選については実行することが記載されているといえる。 また、刊行物1記載の事項には、変動開始時先読み抽選についての言及がないことから、グループ1、2については入賞時先読み抽選処理のみを実行すると解することができる。 そうすると、刊行物1発明に刊行物1記載の事項を適用し、入賞時先読み演出判定手段SM26k1において、新たな保留の保留先読みグループがスーパーリーチ演出を行うグループ3である場合、1/3の確率で当選する入賞時先読み抽選を実行することに加えて、スーパーリーチ演出を行わないグループ1,2についても、入賞時先読み抽選を行うようにする一方、変動開始先読み演出判定手段SM26k2は保留内に保留先読みグループがグループ3である保留が存在する場合、1/10の確率で当選する変動開始時先読み抽選を実行する構成のままとして、スーパーリーチ演出を伴わないグループ1,2については、変動開始時先読み抽選を実行しない(先読み抽選をしないので先読み演出の実行が決定されることはない)ようにする構成をとることで、上記相違点2の構成とすることは当業者ならば容易になし得たものである。 そして、刊行物1記載の事項に示される変形例5は、グループ1,2において入賞時先読み演出抽選処理を実行することに加え、変動時先読み演出抽選処理を実行する場合の説明が省略されている場合を含んでいるとしても、刊行物1発明は元々グループ1,2において変動時先読み演出抽選処理を行うことがないことは上記のとおりである以上、刊行物1発明において刊行物1記載の事項を適用するにあたり、グループ1、2において変動時先読み演出抽選処理を実行するか実行しないかは当業者が必要に応じてなし得る設計的選択事項にすぎない。 また、本件発明の効果は、刊行物1記載の発明から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものではない。 3. 請求人の主張について 請求人は平成29年9月4日付け審判請求書の(3-2)、(3-3)において、以下のように主張している。 (ア) 「3-2) 引用文献1に記載される変更例5について 引用文献1における変更例5に関する記載は、以下の通り解釈されるべきものである。 ・・・ ロ) また、変更例5について、先読みを実行するか否かを決定するものとして、入賞時先読み判定処理(図35)の具体例が開示されていると認められる。つまり、グループ1?3のそれぞれについて、入賞時先読み判定処理が実行されるということについて異論はない。 一方、変更例5は、入賞時先読み判定処理のみが実行され、変動開始時先読み判定処理が実行されないものであるとする根拠はない。確かに、変更例5に開示される具体例(フローチャート)は、入賞時先読み判定処理(図35)のみであって、変動開始時先読み判定処理については具体例の開示がない。 しかし、変更例5の説明として引用文献1の段落0198には、「本例においては、変動開始時先読み抽選を当該変動の終了後に消化されることとなる保留に対して実行し得るよう構成したが、これには限定されず、変動時先読み抽選を当該変動に対しても実行し得る(当該変動がトリガ保留に係る変動となり得る)よう構成してもよい。」とする記載がある。つまり、変更例5に関し、変動開始時先読み抽選(変動開始時先読み処理)が実行されることを前提とした記載がある。」 (イ) 「また、引用文献1の段落0196には、「本実施形態からの変更例5に係る遊技機においては、すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させることで、変動時間に拘らず先読み演出を実行することが可能となり先読み演出のバリエーションが広がると共に遊技の興趣性が高まることとなる。」とする、変更例5の効果が記載されていると認められる。当該記載は、メインの実施形態においてはグループ3のみが先読み演出の対象であったのに対する、変更例5のように全てのグループ(グループ1?3)を先読み対象としたことによる効果についてのものであると捉えることしかできない。先読み演出の実行の有無を決定するに際し、変動開始時先読み処理を実行せずに、入賞時先読み判定処理のみを実行することによる効果についての記載であるとは認められない。その他の段落にも、変動開始時先読み処理を実行せずに、入賞時先読み判定処理のみを実行することによる効果等が記載されているとは認められない。」 (ウ) 「ハ) このように、引用文献1において、 ・変更例5として、変動開始時先読み抽選(変動開始時先読み処理)を実行することを前提とする内容の記載がある。 ・変更例5の効果に関する記載として、変動開始時先読み処理を実行せずに、入賞時先読み判定処理のみを実行したことに関するものはない。 ・引用文献1に記載される発明の趣旨(目的)に照らせば、複数のタイミングで先読み演出の実行の有無を決定することが前提となっている。 ことが認められる。 つまり、変更例5にかかる発明は、グループ3だけでなく、グループ1?3の全てについて先読み演出の対象とする点が、メインの実施形態と異なるという発明(技術思想)であって、変動開始時先読み処理を実行せずに、入賞時先読み判定処理のみを実行するようにしたという発明(技術思想)であるとは認められない。具体例(フローチャート)として入賞時先読み判定処理(図35)のみを記載しているのは、同じような記載の繰り返しを避けるために、変動開始時先読み処理に関する具体例(フローチャート)を省略したに過ぎないと解釈されるべきである。」 (エ) 「3-3) 本願発明と引用文献1に記載される発明の比較 上記の通り、引用文献1に記載される変更例5に関する内容を解釈すれば、引用文献1には、 ・グループ3について入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理を実行する発明(メインの実施形態) ・グループ1?3の全てについて入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理を実行する発明(変更例5) が開示されていると認められる。 これらの記載に基づけば、先読み演出の対象となるグループ(保留)を種々変化させることは容易になし得ることかもしれないが、あるグループについては入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の両方を行い、別のグループについては入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の一方のみを行うといったものを得ることは不可能である。 つまり、引用文献1に開示されるメインの実施形態と変更例5に関する内容を自在に組み合わせることができると仮定しても、その組み合わせによって得られるものが、本願発明が特定する「前記対象当否判定結果を報知する演出に特定演出が含まれないものについて、前記第一時点において実行される前記第一抽選を経て先読み演出の実行が決定されることはあるものの、前記第二時点において実行される前記第二抽選を経て先読み演出の実行が決定されることがないように設定される」とした事項を充足するものとなることはない。」 そこで上記主張(ア)?(エ)について検討するに、 (ア)の主張については、刊行物1の【0198】には、「本例においては、変動開始時先読み抽選を当該変動の終了後に消化されることとなる保留に対して実行し得るよう構成したが、これには限定されず、変動時先読み抽選を当該変動に対しても実行し得る(当該変動がトリガ保留に係る変動となり得る)よう構成してもよい。」とする記載があるが、刊行物1発明に刊行物1記載の事項を適用した場合の「変動開始先読み演出判定手段SM26k2は保留内に保留先読みグループがグループ3である保留が存在する場合、1/10の確率で当選する変動開始時先読み抽選を実行する構成のままとして、スーパーリーチ演出を伴わないグループ1,2については、変動開始時先読み抽選を実行しない(先読み抽選をしないので先読み演出の実行が決定されることはない)ようにする構成」においても当該記載は矛盾なく理解でき、変更例5は、変動開始時先読み抽選(変動開始時先読み処理)が実行されることを前提とした記載ではない。 また、(イ)の主張については、変更例5に係る遊技機においては、上記【0196】に記載のとおり、すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させることで、先読み演出のバリエーションが広がるようにするものであるが、これは、先読み演出の実行の有無を決定するに際し、様々な形態の先読み演出を提供することが含まれるものであって、入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の両者を実行することに限るのではなく、むしろ、どちらかを実行することも許容するものといえ、(ウ)の主張のような、「具体例(フローチャート)として入賞時先読み判定処理(図35)のみを記載しているのは、同じような記載の繰り返しを避けるために、変動開始時先読み処理に関する具体例(フローチャート)を省略したに過ぎない」とは必ずしもいえない。 さらに、(エ)の主張についても、刊行物1記載の事項は「グループ1?3の全てについて入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理を実行する発明」だけにとどまらず、入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の一方のみを行うといったものを含むといえる。 そして、仮に変形例5が入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の両方を行うものであったとしても、上記「2 相違点に対する判断」での相違点2についての判断において検討したとおり、入賞時先読み判定処理のみを刊行物1発明に適用することは、当業者が必要に応じてなし得る設計的選択事項にすぎない。 請求人は、さらに平成30年10月2日付け拒絶理由通知に対する平成30年12月7日付け意見書の「3.拒絶理由に対する反論」において、以下のように主張している。 「本願出願人は、今般の拒絶理由通知においてなされた判断は少なくとも以下に示す点で妥当性を欠くものであると思料するところである。 すなわち、以下に(A)?(C)として記載する点のいずれもが根拠のない主張であるとする明確な理由が示されない限り、今般通知された拒絶理由により本願発明が拒絶されるとする結論を導くことはできない。 (A)以下の判断の妥当性について検討する(下線は出願人が付した)。 〇『刊行物1記載の事項に「すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させることで、先読み演出のバリエーションが広がる」とあるように、変形例5は先読み演出のバリエーションを広げることを目的としたものであるから、入賞時先読み判定処理のみを実行することも、示唆しているといえる。』 〇『【0196】に記載のとおり、すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させることで、先読み演出のバリエーションが広がるようにするものである。 ところで、先読み演出のバリエーションが広がるようにするとは、先読み演出の実行の有無を決定するに際し、・・・入賞時先読み判定処理のみを実行すること・・・が含まれるものである。 すなわち、刊行物1記載の事項における「先読み演出のバリエーションを広げる」とは、入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の・・・どちらかを実行することも許容することを示唆するものといえ、・・・』 上記判断は、刊行物1の段落0196の記載(上記下線部の記載)に基づくものであることは明らかである。 ここで、日本語として「ことで」を用いた文章は、「ことで」よりも前の記載である前段部分が「原因(理由)」を、後段部分が前段部分を受けての「結果(効果)」を表すものであるといえる。 ・原因「すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させる」 ・結果「変動時間に拘らず先読み演出を実行することが可能となり先読み演出のバリエーションが広がる」 つまり、「バリエーションが広がる」のは、前段部分に原因として記載する事項を受けてのものであると捉えるのは日本語の解釈として自然であり、後段部分の「バリエーションが広がる」という点のみを抽出し(前段部分の記載を無視し)、バリエーションが広がる操作であれば何でもよい(前段部分に記載される操作以外の操作によるものであってもよい)と判断し、「入賞時先読み判定処理のみを実行することも、示唆している」とするのは日本語の解釈として極めて不自然であるというべきである。 (B)以下の判断の妥当性について検討する(下線部は出願人が付した)。 〇・・・そして、仮に変形例5が入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の両方を行うものであったとしても、先読み予告のバリエーションを広げるために、入賞時先読み判定処理のみを刊行物1発明に適用し、請求項1記載の発明とすることは当業者ならば容易になし得たものである。』 ・・・(・・・構成X・・・)に比して、・・・(・・・構成Y・・・)方が、バリエーションが広がると断定することはできないはずである。 構成Xは全グループについて入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理を行う一方、構成Yは一部のグループについて一方の判定処理を行わないのであるから、その分(判定処理の回数が減る分)、構成Yの方が「先読み演出を行うと決定するに至る回数」が減るはずである。そうすると、むしろ構成Xよりも構成Yの方が先読み予告の「バリエーションに劣る」というべきである。・・・ (C)以下の判断の妥当性について検討する。 〇『刊行物1の【0198】には、「本例においては、変動開始時先読み抽選を当該変動の終了後に消化されることとなる保留に対して実行し得るよう構成したが、これには限定されず、変動時先読み抽選を当該変動に対しても実行し得る(当該変動がトリガ保留に係る変動となり得る)よう構成してもよい。」とする記載がある。 そうすると、上記【0198】の記載については、変動開始時先読み抽選(変動開始時先読み処理)が実行され得る(すなわち、実行されるかもしれないし、実行されないかもしれない)ことを前提としているにすぎないものであり、変形例5を変動開始時先読み抽選処理が行うことを前提とする旨示唆するものではない。』 刊行物1には、・・・例えば、争点となっている段落0198の一つ前の段落である段落0197には『トリガ保留に係る変動中にも入賞時先読み抽選を実行し得るよう構成したが、トリガ保留に係る変動中には入賞時先読み抽選を実行しないよう構成してもよい。』とする文章がある。 当該記載における『実行し得る』を、『実行されるかもしれないし、実行されないかもしれない』と置き換えると、 『トリガ保留に係る変動中にも入賞時先読み抽選が実行されるかもしれないし、実行されないかもしれないよう構成したが、トリガ保留に係る変動中には入賞時先読み抽選を実行しないよう構成してもよい。』 という極めて不自然な文章になる。・・・ このように、刊行物1には、「実行し得る」とする文言について『実行されるかもしれないし、実行されないかもしれない』と解釈すると意味が通らない箇所が多数存在する。・・・段落0198に記載の「実行し得る」ついてのみ『実行されるかもしれないし、実行されないかもしれない』と解釈することは相当の理由が無い限り合理性を欠くものであるというべきである。・・・」 そこで上記主張(A)?(C)について検討するに、 (A)の主張については、 「あるグループについては入賞時先読み判定処理のみを実行する」ことは、「ある先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るように、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させる」という、請求人が「原因」と称する事項の一形態にすぎない。そして、「入賞時先読み判定処理と変動開始時先読み処理」の両方を行う場合に加えて、「入賞時先読み判定処理」のみを実行することや、「変動開始時先読み処理」のみを実行することで「先読みグループ毎に先読み抽選の当選確率を相違する」ことが実現されることが含まれることは明らかであって、「前段部分に記載される操作以外の操作によるものである」との主張には根拠はない。 なお、請求人が指摘している、「変形例5は先読み演出のバリエーションを広げることを目的としたものであるから、入賞時先読み判定処理のみを実行することも、示唆しているといえる。」とするのが日本語の解釈として不自然であるという点については、上記「2.相違点に対する判断」の相違点2に対する判断において示したとおり、「刊行物1発明の変形例として、・・・スーパーリーチ演出を行わないグループ1,2についても、入賞時先読み演出抽選については実行することが記載されているといえる。また、刊行物1記載の事項には、変動開始時先読み抽選についての言及がないことから、グループ1、2については入賞時先読み抽選処理のみを実行すると解することができる。」ものであるとした。 (B)の主張については、刊行物1発明における「グループ3の場合のみ入賞時先読み判定処理と変動時先読み判定処理の両方を行う」ことに比較して、刊行物1発明に刊行物1記載の事項を加味して「グループ1またはグループ2の場合にも入賞時先読み抽選を実行する」方がバリエーションが広がっていることは自明である。そして、刊行物1の【0196】における「すべての先読みグループにおいて先読み抽選に当選し得るようにし、先読みグループ毎に当該先読み抽選の当選確率を相違させることで、・・・先読み演出のバリエーションが広がる」とはこのような場合をも含んでいることは明らかである。 なお、請求人が主張する、構成Xと構成Yとを対比して、構成Xまたは構成Yのいずれかが他方よりもバリエーションが広がっているかどうかを論じることは、刊行物1の【0196】における上記下線の事項と関係するものではなく、両者のバリエーションの広がりを比較することは無意味である。 (C)の主張については、「実行し得る」という記載を全て機械的に「実行するかもしれないし実行しないかもしれない」と解釈したのでは不自然な記載が多くなるのであれば、文脈に即して解釈すべき事項であるにすぎない。 そして、刊行物1の段落【0198】の記載は刊行物1発明及び刊行物1記載の事項の認定に用いたものではなく、その解釈がこれらを用いた進歩性の判断を左右するものでもない。 以上のとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件発明は刊行物1発明及び刊行物1記載の事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-01-11 |
結審通知日 | 2019-01-15 |
審決日 | 2019-01-29 |
出願番号 | 特願2017-9812(P2017-9812) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野田 華代 |
特許庁審判長 |
平城 俊雅 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 川崎 優 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人上野特許事務所 |