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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1350004
審判番号 不服2018-7208  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-28 
確定日 2019-03-14 
事件の表示 特願2016-253670号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月 5日出願公開、特開2018-102702号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月27日の出願であって、平成29年1月18日に手続補正書が提出され、平成29年10月31日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年1月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年2月20日付け(発送日:平成30年2月27日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年5月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年5月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年5月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
遊技者にとって有利な第1特別遊技と当該第1特別遊技よりも遊技者にとって不利な第2特別遊技とを含む複数の特別遊技の中からいずれかの特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、所定の演出を行う演出制御手段と、
前記判定手段によっていずれかの特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を行う特別遊技実行手段と、
前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われた場合に、当該第1特別遊技後に遊技者にとって有利な第1遊技状態で遊技の進行を制御することが可能であるとともに、前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われた場合に、当該第2特別遊技後に前記第1遊技状態よりも遊技者にとって不利な第2遊技状態で遊技の進行を制御することが可能な遊技状態制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記判定手段によって判定が行われると、所定の演出図柄を変動させてから前記判定手段の判定結果を示すように停止させることが可能であるとともに、前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合と、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合とで、前記演出図柄を共通の態様で停止させることが可能であり、
前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われているとき、および前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われているときに、
前記第1特別遊技が行われていることを示唆する成功演出、および前記第2特別遊技が行われている可能性があることを示唆する未成功演出のいずれかを行うことが可能な成否演出と、
前記未成功演出後に行われる演出であって、前記第1特別遊技が行われているか否かを示唆する再挑戦演出と、
前記成否演出において前記成功演出が行われる期待度を示唆する期待度示唆演出と、
を実行可能であり、
前記期待度示唆演出には、前記期待度が高いことを示唆する第1演出と、前記第1演出よりも前記期待度が低いことを示唆する第2演出と、前記成功演出が行われることを示唆する第3演出と、があり、
前記期待度示唆演出において、
前記第1演出が実行された場合と、前記第2演出が実行された場合とで、前記再挑戦演出において前記第1特別遊技が行われていることが示唆される確率が互いに異なることを特徴とする遊技機。」
(平成30年1月5日付けの手続補正)
から、
「【請求項1】
A 遊技者にとって有利な第1特別遊技と当該第1特別遊技よりも遊技者にとって不利な第2特別遊技とを含む複数の特別遊技の中からいずれかの特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段の判定結果に基づいて、所定の演出を行う演出制御手段と、
C 前記判定手段によっていずれかの特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を行う特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われた場合に、当該第1特別遊技後に遊技者にとって有利な第1遊技状態で遊技の進行を制御することが可能であるとともに、前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われた場合に、当該第2特別遊技後に前記第1遊技状態よりも遊技者にとって不利な第2遊技状態で遊技の進行を制御することが可能な遊技状態制御手段と、
を備え、
E 前記特別遊技実行手段は、
前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第1特別遊技を行うとともに、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第2特別遊技を行い、
F 前記演出制御手段は、
F1 前記判定手段によって判定が行われると、所定の演出図柄を変動させてから前記判定手段の判定結果を示すように停止させることが可能であるとともに、前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合と、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合とで、前記演出図柄を共通の態様で停止させることが可能であり、
F2 前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われているとき、および前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われているときに、
F3 前記第1特別遊技が行われていることを示唆する成功演出、および前記第2特別遊技が行われている可能性があることを示唆する未成功演出のいずれかを行うことが可能な成否演出と、
F4 前記未成功演出後に行われる演出であって、前記第1特別遊技が行われているか否かを示唆する再挑戦演出と、
F5 前記成否演出において前記成功演出が行われる期待度を示唆する期待度示唆演出と、
F6 前記成功演出が行われる可能性が相対的に高いことを示す第1ラウンド演出と、前記成功演出が行われる可能性が相対的に低いことを示す第2ラウンド演出と、
を実行可能であるとともに、
F7 前記成否演出を、前記第1特別遊技および前記第2特別遊技における2ラウンド目以降に実行し、
F8 前記成否演出として、前記成功演出を実行する場合、当該成功演出が実行される直前のラウンドでは、前記第1ラウンド演出を実行して前記第2ラウンド演出を実行せず、
G 前記期待度示唆演出には、前記期待度が高いことを示唆する第1演出と、前記第1演出よりも前記期待度が低いことを示唆する第2演出と、前記第1演出よりも前記期待度が高いことを示唆する第3演出と、があり、
H 前記期待度示唆演出において、
前記期待度が高いことが示唆された場合と、前記期待度が低いことが示唆された場合とで、前記再挑戦演出において前記第1特別遊技が行われていることが示唆される確率が互いに異なることを特徴とする遊技機。」
(平成30年5月28日付けの手続補正)
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA?Hに分説した。)。

2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特別遊技実行手段」に関して、「前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第1特別遊技を行うとともに、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第2特別遊技を行い、」とするとともに、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「演出制御手段」に関して、「前記成功演出が行われる可能性が相対的に高いことを示す第1ラウンド演出と、前記成功演出が行われる可能性が相対的に低いことを示す第2ラウンド演出と、を実行可能であるとともに、前記成否演出を、前記第1特別遊技および前記第2特別遊技における2ラウンド目以降に実行し、前記成否演出として、前記成功演出を実行する場合、当該成功演出が実行される直前のラウンドでは、前記第1ラウンド演出を実行して前記第2ラウンド演出を実行せず、」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書及び図面の段落【0364】?【0376】、【0415】、図26、27を根拠とするものであるから、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
また、本願補正発明は、上記「1 補正の内容」に(平成30年5月28日付けの手続補正)として示したとおりのものである。

(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された特許第5946941号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1-a)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術にあっては遊技者を楽しませる演出を行うことができていない場合があった。
【0005】
本発明は、従来技術による問題点を解消するため、遊技者を楽しませる演出を行うことができる遊技機を提供することを目的とする。」

(1-b)「【0070】
このため、遊技機100は、大当たり判定結果が16ラウンドの大当たりの場合には16ラウンドの大当たり遊技を行う。16ラウンドの大当たり遊技では、例えば、1ラウンド目から16ラウンド目までの各ラウンドで大入賞口109を30秒間の開放時間で1回開放する。この場合、遊技者からすれば、十分な大入賞口109の開放時間が確保されているため、大入賞口109に遊技球を入賞させることは容易である。したがって、16ラウンドの大当たり遊技の場合、遊技者は容易に多数の賞球を獲得することができる。
【0071】
また、遊技機100は、大当たり判定結果が4ラウンドの大当たりの場合には4ラウンドの大当たり遊技を行う。4ラウンドの大当たり遊技では、例えば、1ラウンド目から4ラウンド目までの各ラウンドで大入賞口109を30秒間の開放時間で1回開放する。この場合も、遊技者からすれば、十分な大入賞口109の開放時間が確保されているため、大入賞口109に遊技球を入賞させることは容易である。したがって、4ラウンドの大当たり遊技の場合も、遊技者は容易に賞球を獲得することができる。ただし、4ラウンドの大当たり遊技の場合は、16ラウンドの大当たり遊技よりもラウンド数が少ないため、16ラウンドの大当たり遊技よりは獲得できる賞球が少なくなる。
【0072】
また、遊技機100は、大当たり判定結果が2ラウンドの大当たりの場合には2ラウンドの大当たり遊技を行う。2ラウンドの大当たり遊技では、例えば、1ラウンド目から2ラウンド目までの各ラウンドで大入賞口109を0.18秒間の開放時間で1回開放する。この場合は、遊技者からすれば、十分な大入賞口109の開放時間が確保されていないため、大入賞口109に遊技球を入賞させることは困難である。したがって、2ラウンドの大当たり遊技の場合、遊技者は賞球を獲得することが困難である。すなわち、このような2ラウンドの大当たり遊技は、遊技者に賞球を獲得させるというよりは、遊技機100の遊技状態の移行契機として設けられている。」

(1-c)「【0090】
<1.成否演出>
まず、成否演出について説明する。図4に示すように、成否演出には、成功演出および未成功演出がある。遊技機100は、大当たり判定結果が確変大当たりであることに基づいて成否演出を行う場合、この成否演出として成功演出を行うことも未成功演出を行うこともある。一方、遊技機100は、大当たり判定結果が通常大当たりやハズレであることに基づいて成否演出を行う場合、この成否演出として成功演出を行うことはない。このため、成功演出は、大当たり判定結果が確変大当たりであることを示唆する演出、すなわち、大当たり判定結果が確変大当たりであることに基づく大当たり遊技(以下「確変大当たり遊技」という)が行われて確変遊技状態となることを示唆する演出となっている。
【0091】
また、遊技機100は、大当たり判定結果が確変大当たりであることに基づいて成否演出を行う場合、この成否演出として未成功演出を行うこともあるが、未成功演出を行う確率は低確率である。すなわち、遊技機100は、大当たり判定結果が確変大当たりであることに基づいて成否演出を行う場合、この成否演出として高確率で成功演出を行う。一方、遊技機100は、大当たり判定結果が通常大当たりやハズレであることに基づいて成否演出を行う場合、この成否演出として必ず未成功演出を行う。このため、未成功演出は、大当たり判定結果が確変大当たりである可能性が低いことを示唆する演出となっている。
【0092】
さらに、遊技機100は、確変遊技状態において大当たり判定結果が通常大当たりの場合、高確率で(例えば必ず)未成功演出を行う。一方、遊技機100は、確変遊技状態において大当たり判定結果がハズレの場合、未成功演出を行うこともあるが、未成功演出を行う確率は低確率である。例えば、遊技機100は、確変遊技状態において大当たり判定結果がハズレの場合には、未成功演出よりも高確率で他の演出(例えば後述のハズレ演出)を行う。このため、未成功演出は、大当たり判定結果が通常大当たりである可能性が高いことを示唆する演出、すなわち、大当たり判定結果が通常大当たりであることに基づく大当たり遊技(以下「通常大当たり遊技」という)が行われて時短遊技状態となる可能性が高いことを示唆する演出となっている。
【0093】
<2.再挑戦演出>
次に、再挑戦演出について説明する。図4に示すように、遊技機100は、未成功演出を行った場合、この未成功演出後に再挑戦演出を行うことが可能である。図4に示すように、再挑戦演出には、復活成功演出および継続演出がある。遊技機100は、大当たり判定結果が確変大当たりであって未成功演出を行った場合、この未成功演出後に再挑戦演出として復活成功演出を行う。一方、遊技機100は、大当たり判定結果が通常大当たりやハズレであって未成功演出を行った場合、この未成功演出後には復活成功演出を行うことはない。このため、復活成功演出は、成功演出と同様、大当たり判定結果が確変大当たりであることを示唆する演出、すなわち、確変大当たり遊技が行われて確変遊技状態となることを示唆する演出となっている。」
・・・
【0098】
<3.期待度示唆演出>
次に、期待度示唆演出について説明する。図4に示すように、遊技機100は、成否演出を行う場合、この成否演出前に期待度示唆演出を行うことが可能である。期待度示唆演出は、成否演出において成功演出が行われる期待度をあらわす演出である。例えば、遊技機100は、図4に示すように、「0」から「5」までの6段階で期待度をあらわすことが可能なテンションメータTmを表示する。そして、遊技機100は、期待度示唆演出の際にはこのテンションメータTmを用いて、成功演出が行われる期待度を遊技者に示唆する。」

(1-d)「【0112】
図5-2は、本実施の形態の遊技機が確変遊技状態において行う演出の具体的な一例を示す説明図(その2)である。図5-2には、大当たり判定結果が確変大当たりであって、成否演出において未成功演出を行った後に再挑戦演出において復活成功演出を行う場合の例を示した。本実施の形態では、この場合、期待度「4」をあらわす期待度示唆演出が最も行われ易くなっている。このため、図5-2には、期待度「4」をあらわす期待度示唆演出が行われる場合の例を示した。なお、図5-2に示す例の場合、演出図柄Ez1?Ez3をリーチ状態とするところまでは図5-1に示した例と共通であるので、この間の詳細な説明および図示は省略する。
・・・
【0117】
図5-3は、本実施の形態の遊技機が確変遊技状態において行う演出の具体的な一例を示す説明図(その3)である。図5-3には、大当たり判定結果が通常大当たりであって、成否演出において未成功演出を行った後に再挑戦演出を行わない場合の例を示した。本実施の形態では、この場合、期待度「3」をあらわす期待度示唆演出が最も行われ易くなっている。このため、図5-3には、期待度「3」をあらわす期待度示唆演出が行われる場合の例を示した。なお、図5-3に示す例の場合、演出図柄Ez1?Ez3をリーチ状態とするところまでは図5-1に示した例と共通であるので、この間の詳細な説明および図示は省略する。
・・・
【0126】
また、判定部610は、第1特別遊技および第2特別遊技を含む複数の特別遊技のうちのいずれかの特別遊技を行うか否かを判定する。ここで、第1特別遊技は、第2特別遊技よりも遊技者にとって有利な特別遊技である。特別遊技を大当たり遊技とした場合、例えば、第1特別遊技を確変大当たり遊技、第2特別遊技を通常大当たり遊技とすることができる。この場合、大当たり遊技後の遊技状態の差から、確変大当たり遊技は通常大当たり遊技よりも遊技者にとって有利なものとなっている。なお、このようにした場合、遊技機100は、例えば後述の遊技状態制御部640を含んで構成される。」

(1-e)「【0144】
遊技状態制御部640は、第1特別遊技後には特定遊技状態で遊技の進行を制御し、第2特別遊技が行われた後には特定遊技状態よりも不利な非特定遊技状態で遊技の進行を制御する。前述のように、本実施の形態では、第1特別遊技を確変大当たり遊技、第2特別遊技を通常大当たり遊技とすることができる。この場合、遊技状態制御部640は、確変大当たり遊技後には確変遊技状態で制御し、通常大当たり遊技後には時短遊技状態で制御する。確変遊技状態は高確率遊技状態且つ補助遊技状態であるため、低確率遊技状態且つ補助遊技状態の時短遊技状態よりも大当たり判定において大当たりと判定され易く、これによって、確変遊技状態は時短遊技状態よりも有利になっている。」

(1-f)「【0190】
<大当たり図柄判定>
次に、大当たり図柄判定について説明する。図12-3は、大当たり図柄判定について示す説明図である。本実施の形態では、大当たりとして、16ラウンドの確変大当たり(以下「16R確変大当たり」)、4ラウンドの確変大当たり(以下「4R確変大当たり」)、2ラウンドの確変大当たり(以下「2R確変大当たり」)、4ラウンドの通常大当たり(以下「4R通常大当たり」)、2ラウンドの通常大当たり(以下「2R通常大当たり」)を設けた。このため、主制御部201は、大当たり図柄判定において、これらのいずれの大当たりとするかを判定する。
・・・
【0201】
<変動パターン判定>
次に、変動パターン判定について説明する。図12-4は、変動パターン判定について示す説明図である。変動パターン判定において、主制御部201は、変動パターン判定時の遊技状態、大当たり判定結果、保留数、および判定対象の変動パターン判定乱数に基づいて、遊技機100の製造者によって予めROM212に記憶された複数の変動パターンのうちから一の変動パターンを判定(特定)する。」

(1-g)「【0225】
つづいて、主制御部201は、特別図柄をいずれかの大当たり図柄で停止表示したか否かを判定する(ステップS1309)。大当たり図柄で停止表示していない、すなわちハズレ図柄で停止表示したと判定すると(ステップS1309:No)、停止中処理を終了する。大当たり図柄で停止表示したと判定すると(ステップS1309:Yes)、この大当たり図柄に応じた大当たり遊技フラグをONに設定する(ステップS1310)。」
・・・
【0230】
<大当たり遊技処理>
図14は、大当たり遊技処理の一例を示すフローチャートである。大当たり遊技処理において、主制御部201は、いずれかの大当たり遊技フラグがONであるか否かを判定する(ステップS1401)。主制御部201は、大当たり遊技フラグがOFFであると判定すると(ステップS1401:No)、大当たり遊技処理を終了する。
【0231】
主制御部201は、大当たり遊技フラグがONであると判定すると(ステップS1401:Yes)、オープニング中であるか否かを判定する(ステップS1402)。例えば、主制御部201は、オープニングを開始する処理(ステップS1313の処理)の後にオープニングを終了する処理(ステップS1502の処理)を行っていなければ、オープニング中と判定する。
・・・
【0241】
<ラウンド処理>
図16は、ラウンド処理の一例を示すフローチャートである。ラウンド処理において、まず、主制御部201は、大入賞口109の開放を開始する所定のタイミングであるか否かを判定する(ステップS1601)。大入賞口109の開放を開始するタイミングであると判定すると(ステップS1601:Yes)、大入賞口109の開放を開始して(ステップS1602)、ステップS1603へ移行する。大入賞口109の開放を開始する所定のタイミングでないと判定すると(ステップS1601:No)、そのままステップS1603へ移行する。」

(1-h)「【0263】
つづいて、演出統括部202aは、主制御部201から変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS2104)。変動開始コマンドを受信したと判定すると(ステップS2104:Yes)、演出図柄Ez1?Ez3の変動表示などを開始させる変動演出開始処理を行って(ステップS2105)、ステップS2106へ移行する。変動演出開始処理については後述する。変動開始コマンドを受信していないと判定すると(ステップS2104:No)、そのままステップS2106へ移行する。
【0264】
つづいて、演出統括部202aは、主制御部201から変動停止コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS2106)。演出統括部202aは、変動停止コマンドを受信したと判定すると(ステップS2106:Yes)、変動表示中の演出図柄Ez1?Ez3の停止表示などを行わせる変動演出終了処理を行って(ステップS2107)、ステップS2108へ移行する。変動停止コマンドを受信していないと判定すると(ステップS2106:No)、そのままステップS2108へ移行する。」

(1-i)「【0280】
本実施の形態では、変動パターンとして、変動パターンHp1?Hp26が設けられている。このため、図22-2に示すように、変動パターンHp1?Hp26のそれぞれに変動演出パターンEp1?Ep26が対応付けられた状態で、遊技機100の製造者によってROM242に予め記憶されている。変動パターン判定に際し、演出統括部202aは、主制御部201から取得した変動パターンに対応付けられた変動演出パターンを判定する。
・・・
【0284】
さらに、変動パターンHp23に対応付けられた変動演出パターンEp23は未成功演出後に継続演出を行わせる変動演出を定めたものである。変動演出パターン判定結果が変動演出パターンEp23であった場合には、図5-4に示した変動演出が行われる。変動パターンHp24に対応付けられた変動演出パターンEp24は成功演出を行わせる変動演出を定めたものである。変動演出パターン判定結果が変動演出パターンEp24であった場合には、図5-1に示した変動演出が行われる。
【0285】
また、変動パターンHp25に対応付けられた変動演出パターンEp25は未成功演出後に復活成功演出を行わせる変動演出を定めたものである。変動演出パターン判定結果が変動演出パターンEp25であった場合には、図5-2に示した変動演出が行われる。変動パターンHp26に対応付けられた変動演出パターンEp26は未成功演出を行わせる変動演出を定めたものである。変動演出パターン判定結果が変動演出パターンEp26であった場合には、図5-3に示した変動演出が行われる。
・・・
【0320】
また、前述の例では、期待度示唆演出、成否演出、および再挑戦演出を図柄変動中に行うようにしたがこれに限らない。例えば、遊技機100は、大当たり判定結果が大当たりであることに基づく成否演出や再挑戦演出を大当たり遊技中に行うようにし、これに伴って期待度示唆演出も大当たり遊技中に行うようにしてもよい。
【0321】
この場合、遊技機100は、確変大当たり遊技中には、成功演出を行ったり、未成功演出を行ってから復活成功演出を行ったりする。一方、遊技機100は、通常大当たり遊技中には未成功演出を行い、復活成功演出は行わない。また、この場合、遊技機100は、成功演出、未成功演出、または復活成功演出が完了するまで期待度示唆演出を行う。なお、この場合の期待度示唆演出の開始時期は、大当たりとなる図柄変動時であってもよいし、大当たりとなる図柄変動が行われるよりも前の図柄変動時に事前判定結果に基づいて開始してもよい。」

(1-j)段落【0190】には、「大当たりとして、16ラウンドの確変大当たり(以下「16R確変大当たり」)、4ラウンドの確変大当たり(以下「4R確変大当たり」)、2ラウンドの確変大当たり(以下「2R確変大当たり」)、4ラウンドの通常大当たり(以下「4R通常大当たり」)、2ラウンドの通常大当たり(以下「2R通常大当たり」)を設けた。このため、主制御部201は、大当たり図柄判定において、これらのいずれの大当たりとするかを判定する。」と記載され、また、16ラウンド、4ラウンド、2ラウンドの確変大当たりでは、確変大当たり遊技を行い、4ラウンド、2ラウンドの通常大当たりでは通常大当たり遊技を行うことは、自明な事項であるから、大当たり図柄判定では、確変大当たり遊技を行うか、通常大当たり遊技を行うかを判定しているといえる。
また、段落【0126】には、「大当たり遊技後の遊技状態の差から、確変大当たり遊技は通常大当たり遊技よりも遊技者にとって有利なものとなっている」と記載されている。
よって、引用発明の主制御部201は、遊技者にとって有利な確変大当たり遊技と確変大当たり遊技よりも遊技者にとって不利な通常大当たり遊技のいずれを行う大当たりか否かを判定するといえる。

(1-k)段落【0070】には、「大当たり判定結果が16ラウンドの大当たりの場合には16ラウンドの大当たり遊技を行う。」と記載され、段落【0071】には、「大当たり判定結果が4ラウンドの大当たりの場合には4ラウンドの大当たり遊技を行う。」と記載され、段落【0072】には、「大当たり判定結果が2ラウンドの大当たりの場合には2ラウンドの大当たり遊技を行う。」と記載されている。
また、段落【0190】から、確変大当たりには、16ラウンド、4ラウンド、2ラウンドがあり、通常大当たりには、4ラウンド、2ラウンドがあるから、確変大当たり、通常大当たりのいずれの場合でも複数ラウンドの大当たり遊技を行うといえる。
よって、引用発明の主制御部201は、確変大当たり遊技を行う場合は、複数ラウンドの大当たり遊技を行うとともに、通常大当たり遊技を行う場合は複数ラウンドの大当たり遊技を行うといえる。

上記(1-a)?(1-i)の記載事項及び(1-j)、(1-k)の認定事項を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。

「a 遊技者にとって有利な確変大当たり遊技と確変大当たり遊技よりも遊技者にとって不利な通常大当たり遊技のいずれを行う大当たりか否かを判定し、遊技状態、大当たり判定結果等に基づいて変動パターンを判定する主制御部201と(認定事項(1-j)、段落【0201】)、
b 主制御部201から取得した変動パターンに対応付けられた変動演出パターンを判定し、変動演出を行う演出統括部202aと(段落【0280】、【0284】)、
c 大当たりの図柄で停止表示したと判定すると、大当たり図柄に応じた大当たり遊技フラグをONに設定し、オープニングを開始する処理を行い、その後、大入賞口109を開放しラウンド処理を開始する主制御部201と(段落【0225】、【0231】、【0241】)、
d 確変大当たり遊技後には確変遊技状態で制御し、通常大当たり遊技後には時短遊技状態で制御する遊技状態制御部640と(段落【0144】)、
を備え、
e 主制御部201は、確変大当たり遊技を行う場合は、複数ラウンドの大当たり遊技を行うとともに、通常大当たり遊技を行う場合は、複数ラウンドの大当たり遊技を行い(認定事項(1-k))、
f 前記演出統括部202aは、
f1’ 主制御部201から変動開始コマンドを受信したと判定すると、演出図柄Ez1?Ez3の変動表示などを開始させ、変動停止コマンドを受信したと判定すると、変動表示中の演出図柄Ez1?Ez3の停止表示などを行わせ(段落【0263】、【0264】)、
f2 確変大当たり遊技中および通常大当たり遊技中に(段落【0321】)、
f3 確変大当たり遊技が行われて確変遊技状態となることを示唆する成功演出、および通常大当たり遊技が行われて時短遊技状態となる可能性が高いことを示唆する未成功演出からなる成否演出と(段落【0090】、【0092】、【0321】)、
f4 未成功演出後に行われる演出であって、確変大当たり遊技が行われて確変遊技状態となることを示唆する再挑戦演出と(段落【0098】、【0321】)、
f5 前記成否演出において前記成功演出が行われる期待度を示唆する期待度示唆演出と(段落【0098】、【0321】)、
を実行可能であり、
g 期待度示唆演出の際にはテンションメータTmを用いて、成功演出が行われる期待度を「0」から「5」までの6段階で遊技者に示唆し(段落【0098】)、
h 大当たり判定結果が確変大当たりであって、成否演出において未成功演出を行った後に再挑戦演出において復活成功演出を行う場合には、期待度「4」をあらわす期待度示唆演出が最も行われ易くなっており、大当たり判定結果が通常大当たりであって、成否演出において未成功演出を行った後に再挑戦演出を行わない場合には、期待度「3」をあらわす期待度示唆演出が最も行われ易くなっている遊技機(段落【0112】、【0117】)。」

(2)引用例2
同じく本願の出願前に頒布された特開2013-243号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に係り、詳しくは、所定遊技と、該所定遊技よりも遊技者にとって有利な有利遊技とを実行可能な遊技機に関する。
・・・
【0006】
この発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、演出による遊技興趣の低下を軽減する遊技機の提供を目的とする。」

(2-b)「【0266】
図26は、大当り中演出処理として、図23のステップS174にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図26に示す大当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、まず、大当り遊技状態にて実行されているラウンドが、第1ラウンド(1回目のラウンド)?第5ラウンド(5回目のラウンド)のいずれかであるか、それら以外のラウンドであるかを判定する(ステップS541)。大当り遊技状態にて実行されているラウンドの回数は、例えば大入賞口開放中通知コマンドや大入賞口開放後通知コマンドのEXTデータなどから特定すればよい。
【0267】
ステップS541にて第1ラウンド?第5ラウンドのいずれかであると判定された場合には(ステップS541;Yes)、図24に示すステップS530の処理で決定されたバトル演出パターンSPA?SPDのいずれかに応じたバトル中演出を実行するための演出動作制御を行ってから(ステップS542)、大当り中演出処理を終了する。ステップS542の処理では、バトル演出パターンに対応して予め用意された演出制御パターンから読み出した演出制御実行データ(例えば表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、操作検出制御データなど)に応じて、演出画像の表示や効果音の出力、ランプの点灯、演出用模型の動作などのうち、一部または全部を含めた各種の演出動作を行うために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに対して伝送させればよい。
【0268】
ステップS541にて第1ラウンド?第5ラウンドのいずれでもないと判定された場合には(ステップS541;No)、第6ラウンドであるか否かを判定する(ステップSステップS543)。そして、第6ラウンドであると判定されたときには(ステップS543;Yes)、バトル結果報知演出を実行するための演出動作制御を行う(ステップS544)。このときには、例えば第6ラウンドに対応した大入賞口開放後通知コマンドを受信したか否かに応じて、第6ラウンドが終了するか否かを判定する(ステップS545)。第6ラウンドが終了しないのであれば、大当り中演出処理を終了する。」

(2-c)「【0272】
このような大当り中演出処理を実行することにより、例えば図27に示すように、大当り遊技状態となった後には、第1ラウンド?第5ラウンドにおける遊技が行われるときに、バトル中演出が実行される。バトル中演出における演出態様は、図24に示すステップS530の処理により決定されたバトル演出パターンに応じて異ならせる。
【0273】
バトル中演出の実行に続き、第6ラウンドにおける遊技が行われるときには、バトル結果報知演出が実行される。バトル結果報知演出における演出態様は、図24に示すステップS531の処理により設定されたバトル結果報知内容に応じて異ならせる。この実施の形態では、大当り種別が「第1大当り」に対応して6R大当り状態に制御されることで、大当り遊技状態における総ラウンド数が6ラウンドとなる場合に、バトル中演出での対戦に負けたことを、バトル結果報知演出での演出態様により遊技者が認識可能に報知する。その後、大当り遊技状態の終了に対応したエンディング演出が行われる。一方、大当り種別が「第2大当り」に対応して16R大当り状態に制御されることで、大当り遊技状態における総ラウンド数が16ラウンドとなる場合には、バトル中演出での対戦に勝ったことを、バトル結果報知演出での演出態様により遊技者が認識可能に報知する。その後、大当り遊技状態の終了に対応したエンディング演出が行われる。」

(2-d)「【0277】
例えば大当り遊技状態における第1ラウンドの開始に対応して、図26に示すステップS542の処理による演出制御が開始されることで、バトル中演出の実行が開始される。これにより、図28(B)に示すような自キャラクタの演出画像CHAと敵キャラクタの演出画像CHBとが表示された後、図28(C)に示すように対戦の開始が報知される。その後、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様として、例えば図28(D)?(F)に示すような敵キャラクタが必殺技を使う場面に応じた演出画像の表示が行われる。
【0278】
図28(F)に示す演出画像の表示に続き、例えば大当り遊技状態における第6ラウンドの開始に対応して、図26に示すステップS544の処理による演出制御が行われることで、バトル結果報知演出が実行される。このときには、図28(G)に示すように、バトル結果報知内容が「バトル負け」に対応した演出画像の表示などが行われる。また、図26に示すステップS546の処理にて総ラウンド数が6ラウンドであると判定されることから、ステップS548の処理により演出プロセスフラグの値が「5」に更新される。こうして、6R大当り遊技状態の終了に対応して、図23に示すステップS175のエンディング演出処理が実行される。これにより、例えば図28(H)に示すような演出画像を表示するエンディング演出が実行される。
・・・
【0282】
こうした決定や設定に基づいて、図28(B)および(C)と同様に、図29(B)および(C)に示すような演出画像の表示が行われる。その後、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様として、例えば図29(D)?(F)に示すような敵キャラクタが必殺技(図28(D)?(F)参照)とは異なる攻撃技(通常技)を使う場面に応じた演出画像の表示が行われる。
【0283】
図29(F)に示す演出画像の表示に続き、例えば大当り遊技状態における第6ラウンドの開始に対応して、バトル結果報知演出が実行される。このときには、図29(G)に示すように、バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示などが行われる。その後、16R大当り状態に対応して第7ラウンド以降のラウンドが実行されるときには、図26に示すステップS549の処理による演出制御が行われることで、例えば図29(H)に示すような演出画像の表示といった、バトル勝利時演出が実行される。このような16R大当り状態の終了に対応して、例えば図29(I)に示すような演出画像を表示するエンディング演出が実行される。
【0284】
以上のように、大当り遊技状態におけるラウンドの進行に応じて、少なくともバトル中演出とバトル結果報知演出を含むバトル演出(16R大当り状態の場合にはバトル勝利時演出を含む)が実行される。このうち、バトル結果報知演出では、バトル結果報知内容が「バトル負け」と「バトル勝ち」のいずれかとなることにより、6R大当り状態における所定遊技(総ラウンド数が6ラウンド)と、16R大当り状態における有利遊技(総ラウンド数が16ラウンド)とのうち、いずれの遊技が実行されるかを報知可能にする。また、バトル中演出における演出態様として、バトル演出パターンSPAの演出態様が出現したときには、6R大当り状態となる可能性が高く、16R大当り状態となる可能性は低い。一方、第2始動入賞時コマンドバッファ194Bにおける記憶内容のチェック結果に基づいて、保留内大当り判定ありの判定結果が得られたときには、保留内大当り判定なしの判定結果であるときよりも高い割合で、バトル演出パターンSPAに決定される。これにより、バトル演出パターンSPAの演出態様が出現したときには、16R大当り状態となる期待度は低いものの、可変表示結果が「大当り」となる保留データに基づいて、大当り遊技状態が終了してから短期間のうちに再び大当り遊技状態に制御されるという、所定の遊技価値が付与されることへの期待度が高められる。」

(2-e)「【0293】
図30(D)に示す決定割合の設定では、総ラウンド数が16ラウンドである場合や、総ラウンド数が6ラウンドで保留記憶に可変表示結果が「大当り」となるものがない場合に、バトル演出パターンSPAに決定されることがない。一方、総ラウンド数が6ラウンドで保留内大当り種別が「第1大当り」または「第2大当り」である場合には、バトル演出パターンSPAに決定される割合が最も高くなる。また、図30(D)に示す決定割合の設定では、総ラウンド数が6ラウンドとなる場合のうち、保留内大当り種別が「第2大当り」である場合には、保留内大当り種別が「第1大当り」である場合よりも高い割合で、バトル演出パターンSPAに決定される。したがって、バトル演出パターンSPAの演出態様となったときには、6R大当り状態となることが確定的に報知される一方で、保留記憶されている特図ゲームのうちに可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」で大当り種別が「第2大当り」となるものが含まれている可能性が高くなる。」

(2-f)段落【0266】には、「図26に示す大当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、・・・判定する」と記載され、段落【0267】には、「バトル演出パターンSPA?SPDのいずれかに応じたバトル中演出を実行するための演出動作制御を行ってから(ステップS542)」と記載され、段落【0268】には、「バトル結果報知演出を実行するための演出動作制御を行う(ステップS544)」と記載されているから、演出制御用CPU120が、バトル中演出及びバトル結果報知演出を実行するといえる。
また、段落【0272】には、「大当り遊技状態となった後には、第1ラウンド?第5ラウンドにおける遊技が行われるときに、バトル中演出が実行される」と記載され、段落【0273】には、「バトル中演出の実行に続き、第6ラウンドにおける遊技が行われるときには、バトル結果報知演出が実行される」と記載されている。
よって、引用例2には、大当り遊技状態となった後には、第1ラウンド?第5ラウンドにおける遊技が行われるときに、バトル中演出を実行し、バトル中演出の実行に続き、第6ラウンドにおける遊技が行われるときには、バトル結果報知演出を実行する演出制御用CPU120が記載されているといえる。

(2-g)段落【0277】には、「バトル演出パターンSPAに対応する演出態様として、例えば図28(D)?(F)に示すような敵キャラクタが必殺技を使う場面に応じた演出画像の表示が行われる。」と記載され、段落【0278】には、「図28(F)に示す演出画像の表示に続き、例えば大当り遊技状態における第6ラウンドの開始に対応して、図26に示すステップS544の処理による演出制御が行われることで、バトル結果報知演出が実行される。このときには、図28(G)に示すように、バトル結果報知内容が「バトル負け」に対応した演出画像の表示などが行われる。」と記載されているから、バトル結果報知内容が「バトル負け」に対応した演出画像の表示が行われる直前のラウンドではバトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されるといえる。
よって、引用例2には、バトル結果報知内容が「バトル負け」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル負け」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されることが記載されているといえる。

(2-h)段落【0282】には、「バトル演出パターンSPDに対応する演出態様として、例えば図29(D)?(F)に示すような敵キャラクタが必殺技(図28(D)?(F)参照)とは異なる攻撃技(通常技)を使う場面に応じた演出画像の表示が行われる。」と記載され、段落【0283】には、「図29(F)に示す演出画像の表示に続き、例えば大当り遊技状態における第6ラウンドの開始に対応して、バトル結果報知演出が実行される。このときには、図29(G)に示すように、バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示などが行われる。」と記載されているから、バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示が行われる直前のラウンドではバトル演出パターンSPDに対応する演出態様が実行されるといえる。
一方、段落【0293】には、「総ラウンド数が16ラウンドである場合や、総ラウンド数が6ラウンドで保留記憶に可変表示結果が「大当り」となるものがない場合に、バトル演出パターンSPAに決定されることがない。」と記載されているから、総ラウンド数が16ラウンドである場合、すなわち、バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されないといえる。
よって、引用例2には、バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様が実行され、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されないことが記載されているといえる。

上記(2-a)?(2-e)の記載事項及び(2-f)?(2-h)の認定事項を総合すると、引用例2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「引用例2記載の事項」という。)。
「大当り遊技状態となった後には、第1ラウンド?第5ラウンドにおける遊技が行われるときに、バトル中演出を実行し、バトル中演出の実行に続き、第6ラウンドにおける遊技が行われるときには、バトル結果報知演出を実行する演出制御用CPU120を備え(認定事項(2-f))、
バトル結果報知演出では、バトル結果報知内容が「バトル負け」と「バトル勝ち」のいずれかとなることにより、6R大当り状態における所定遊技(総ラウンド数が6ラウンド)と、16R大当り状態における有利遊技(総ラウンド数が16ラウンド)とのうち、いずれの遊技が実行されるかを報知可能にし(段落【0284】)、
バトル中演出は、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様として、例えば敵キャラクタが必殺技を使う場面に応じた演出画像の表示が行われ、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様として、敵キャラクタが必殺技とは異なる攻撃技(通常技)を使う場面に応じた演出画像の表示が行われ(段落【0277】、【0282】)、
バトル結果報知内容が「バトル負け」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル負け」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行され(認定事項(2-g))、
バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様が実行され、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されない遊技機(認定事項(2-h)、段落【0006】)。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(下記の見出しの(a)?(h)は、引用発明の構成に対応している。)。

(a)引用発明において「確変大当たり遊技」、「通常大当たり遊技」は、それぞれ、本願補正発明の「第1特別遊技」、「第2特別遊技」に相当する。
よって、引用発明の「遊技者にとって有利な確変大当たり遊技と確変大当たり遊技よりも遊技者にとって不利な通常大当たり遊技のいずれを行う大当たりか否かを判定」する「主制御部201」は、本願補正発明の「遊技者にとって有利な第1特別遊技と当該第1特別遊技よりも遊技者にとって不利な第2特別遊技とを含む複数の特別遊技の中からいずれかの特別遊技を行うか否かを判定する判定手段」に相当する。

(b)引用発明の構成aより、主制御部201は、「遊技状態、大当たり判定結果等に基づいて変動パターンを判定」している。そして、演出統括部202aは、「主制御部201から取得した変動パターンに対応付けられた変動演出パターンを判定し、変動演出を行う」から、演出統括部202aは、主制御部201での大当たり判定結果に基づいて変動演出を行っているといえる。
よって、引用発明の「主制御部201から取得した変動パターンに対応付けられた変動演出パターンを判定し、変動演出を行う演出統括部202a」は、本願補正発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、所定の演出を行う演出制御手段」に相当する。

(c)引用発明の構成aより、主制御部201では、確変大当たり遊技を行う大当たりか、通常大当たり遊技を行う大当たりか否かを判定しており、「大当たり図柄」は、当該判定に基づいて決定されることは明らかである。そして、引用発明は、「大当たり図柄に応じた大当たり遊技フラグをONに設定し」ているから、主制御部201は、確変大当たり遊技を行う大当たりか、通常大当たり遊技を行う大当たりかを判定された場合に、大当たり遊技フラグをONに設定するといえる。
また、引用発明の「大当たり遊技フラグをONに設定し、オープニングを開始する処理を行い、その後、大入賞口109を開放しラウンド処理を開始する」ことは、大当たり遊技を行うことであり、本願補正発明の「特別遊技を行う」ことに相当する。
よって、引用発明の「大当たりの図柄で停止表示したと判定すると、大当たり図柄に応じた大当たり遊技フラグをONに設定し、オープニングを開始する処理を行い、その後、大入賞口109を開放しラウンド処理を開始する主制御部201」は、本願補正発明の「前記判定手段によっていずれかの特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を行う特別遊技実行手段」に相当する。

(d)引用発明の構成cより、大当たり遊技を行うのは主制御部201であるから、引用発明の「確変大当たり遊技」(第1特別遊技)、「通常大当たり遊技」(第2特別遊技)は、主制御部201(特別遊技実行手段)によって行われたものといえる。
また、引用発明の「確変遊技状態」、「時短遊技状態」は、それぞれ、本願補正発明の「第1遊技状態」、「第2遊技状態」に相当し、前者が、遊技者にとって有利な遊技状態であり、後者が、遊技者にとって、前者よりも不利な遊技状態であることは、自明な事項である。
よって、引用発明の「確変大当たり遊技後には確変遊技状態で制御し、通常大当たり遊技後には時短遊技状態で制御する遊技状態制御部640」は、本願補正発明の「前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われた場合に、当該第1特別遊技後に遊技者にとって有利な第1遊技状態で遊技の進行を制御することが可能であるとともに、前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われた場合に、当該第2特別遊技後に前記第1遊技状態よりも遊技者にとって不利な第2遊技状態で遊技の進行を制御することが可能な遊技状態制御手段」に相当する。

(e)引用発明の構成aより、主制御部201は、確変大当たり遊技と通常大当たり遊技のいずれを行う大当たりか否かを判定している。そして、引用発明の「確変大当たり遊技を行う場合」とは、主制御部201により確変大当たり遊技を行う大当たりであると判定された場合であり、引用発明の「通常大当たり遊技を行う場合」とは、主制御部201により通常大当たり遊技を行う大当たりであると判定された場合であることは明らかである。
よって、引用発明の「主制御部201は、確変大当たり遊技を行う場合は、複数ラウンドの大当たり遊技を行うとともに、通常大当たり遊技を行う場合は、複数ラウンドの大当たり遊技を行」う点は、本願補正発明の「前記特別遊技実行手段は、前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第1特別遊技を行うとともに、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第2特別遊技を行」う点に相当する。

(f1)引用発明における「演出図柄Ez1?Ez3の変動表示」は、引用発明の構成aの主制御部201での判定が行われると実行されるものであり、「演出図柄Ez1?Ez3の停止表示」は、引用発明の構成aの主制御部201での判定結果を示すものであることは明らかである。
よって、引用発明の「主制御部201から変動開始コマンドを受信したと判定すると、演出図柄Ez1?Ez3の変動表示などを開始させ、変動停止コマンドを受信したと判定すると、変動表示中の演出図柄Ez1?Ez3の停止表示などを行わせ」る点と、本願補正発明の「前記判定手段によって判定が行われると、所定の演出図柄を変動させてから前記判定手段の判定結果を示すように停止させることが可能である」点に相当する。
そして、引用発明は、本願補正発明の「前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合と、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合とで、前記演出図柄を共通の態様で停止させることが可能であ」るとの構成を備えていない。

(f2)上記(d)で検討したとおり、引用発明の「確変大当たり遊技」(第1特別遊技)、「通常大当たり遊技」(第2特別遊技)は、主制御部201(特別遊技実行手段)によって行われたものといえる。
よって、引用発明の「確変大当たり遊技中および通常大当たり遊技中」は、本願補正発明の「前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われているとき、および前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われているとき」に相当する。

(f3)引用発明において「成否演出」は、引用発明の構成f2により、「確変大当たり遊技中および通常大当たり遊技中」に行うものであるから、「成否演出」のうち「成功演出」は、確変大当たり遊技が行われていること示唆することを含み、「未成功演出」は、通常大当たり遊技が行われていることを示唆することを含むことは明らかである。
よって、引用発明の「確変大当たり遊技が行われて確変遊技状態となることを示唆する成功演出、および通常大当たり遊技が行われて時短遊技状態となる可能性が高いことを示唆する未成功演出からなる成否演出」は、本願補正発明の「前記第1特別遊技が行われていることを示唆する成功演出、および前記第2特別遊技が行われている可能性があることを示唆する未成功演出のいずれかを行うことが可能な成否演出」に相当する。

(f4)上記(f3)での検討を踏まえると、同様に「再挑戦演出」は、確変大当たり遊技が行われているか否かを示唆することを含むことは明らかである。
よって、引用発明の「未成功演出後に行われる演出であって、確変大当たり遊技が行われて確変遊技状態となることを示唆する再挑戦演出」は、本願補正発明の「前記未成功演出後に行われる演出であって、前記第1特別遊技が行われているか否かを示唆する再挑戦演出」に相当する。

(f5)引用発明の「前記成否演出において前記成功演出が行われる期待度を示唆する期待度示唆演出」は、本願補正発明の「前記成否演出において前記成功演出が行われる期待度を示唆する期待度示唆演出」に相当することは明らかである。

(g)引用発明のテンションメータTmを用いた期待度示唆演出について、例えば、期待度「4」の演出が、本願補正発明の「第1演出」に相当し、期待度「3」の演出が、本願補正発明の「第2演出」に相当し、期待度「5」の演出が本願補正発明の「第3演出」に相当する。
よって、引用発明の「期待度示唆演出の際にはテンションメータTmを用いて、成功演出が行われる期待度を「0」から「5」までの6段階で遊技者に示唆」する点は、本願補正発明の「前記期待度示唆演出には、前記期待度が高いことを示唆する第1演出と、前記第1演出よりも前記期待度が低いことを示唆する第2演出と、前記第1演出よりも前記期待度が高いことを示唆する第3演出と、があ」る点に相当する。

(h)引用発明において、期待度「4」をあらわす期待度示唆演出が行われるのは、未成功演出を行った後に再挑戦演出において復活成功演出を行う場合であり、これは、本願補正発明における期待度示唆演出において、期待度が高いことが示唆された場合に、再挑戦演出において前記第1特別遊技が行われていることが示唆されることに対応する。
また、引用発明において、期待度「3」をあらわす期待度示唆演出が行われるのは、未成功演出を行った後に再挑戦演出を行わない場合であり、これは、本願補正発明における期待度示唆演出において、期待度が低いことが示唆された場合に、再挑戦演出において前記第1特別遊技が行われていることは示唆されないことに対応する。
そして、前者の期待度「4」をあらわす期待度示唆演出が行われるときと、後者の期待度「3」をあらわす期待度示唆演出が行われるときとは、復活成功演出が行われる確率(再挑戦演出において第1特別遊技が行われていることが示唆される確率)が互いに異なることは明らかである。
よって、引用発明の「大当たり判定結果が確変大当たりであって、成否演出において未成功演出を行った後に再挑戦演出において復活成功演出を行う場合には、期待度「4」をあらわす期待度示唆演出が最も行われ易くなっており、大当たり判定結果が通常大当たりであって、成否演出において未成功演出を行った後に再挑戦演出を行わない場合には、期待度「3」をあらわす期待度示唆演出が最も行われ易くなっている」ことは、本願補正発明は、「前記期待度示唆演出において、前記期待度が高いことが示唆された場合と、前記期待度が低いことが示唆された場合とで、前記再挑戦演出において前記第1特別遊技が行われていることが示唆される確率が互いに異なること」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技者にとって有利な第1特別遊技と当該第1特別遊技よりも遊技者にとって不利な第2特別遊技とを含む複数の特別遊技の中からいずれかの特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段の判定結果に基づいて、所定の演出を行う演出制御手段と、
C 前記判定手段によっていずれかの特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を行う特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われた場合に、当該第1特別遊技後に遊技者にとって有利な第1遊技状態で遊技の進行を制御することが可能であるとともに、前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われた場合に、当該第2特別遊技後に前記第1遊技状態よりも遊技者にとって不利な第2遊技状態で遊技の進行を制御することが可能な遊技状態制御手段と、
を備え、
E 前記特別遊技実行手段は、
前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第1特別遊技を行うとともに、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第2特別遊技を行い、
F 前記演出制御手段は、
F1’ 前記判定手段によって判定が行われると、所定の演出図柄を変動させてから前記判定手段の判定結果を示すように停止させることが可能であり、
F2 前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われているとき、および前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われているときに、
F3 前記第1特別遊技が行われていることを示唆する成功演出、および前記第2特別遊技が行われている可能性があることを示唆する未成功演出のいずれかを行うことが可能な成否演出と、
F4 前記未成功演出後に行われる演出であって、前記第1特別遊技が行われているか否かを示唆する再挑戦演出と、
F5 前記成否演出において前記成功演出が行われる期待度を示唆する期待度示唆演出と、
を実行可能であり、
G 前記期待度示唆演出には、前記期待度が高いことを示唆する第1演出と、前記第1演出よりも前記期待度が低いことを示唆する第2演出と、前記第1演出よりも前記期待度が高いことを示唆する第3演出と、があり、
H 前記期待度示唆演出において、
前記期待度が高いことが示唆された場合と、前記期待度が低いことが示唆された場合とで、前記再挑戦演出において前記第1特別遊技が行われていることが示唆される確率が互いに異なることを特徴とする遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
演出制御手段に関して、本願補正発明は、「前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合と、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合とで、前記演出図柄を共通の態様で停止させることが可能であ」るのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点(構成F1)。

[相違点2]
演出制御手段に関して、本願補正発明は、「前記成功演出が行われる可能性が相対的に高いことを示す第1ラウンド演出と、前記成功演出が行われる可能性が相対的に低いことを示す第2ラウンド演出と、を実行可能であるとともに、前記成否演出を、前記第1特別遊技および前記第2特別遊技における2ラウンド目以降に実行し、前記成否演出として、前記成功演出を実行する場合、当該成功演出が実行される直前のラウンドでは、前記第1ラウンド演出を実行して前記第2ラウンド演出を実行」しないのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点(構成F6、F7、F8)。

(4)判断
ア 上記[相違点1]について検討する。
遊技機の技術分野において、確変大当たりと判定された場合と、通常大当たりと判定された場合における大当たり図柄を共通の態様で停止させることを可能とする点は、周知の技術である。(例えば、原査定において引用文献2として引用した特開2015-221125号公報の段落【0284】の「1」、「2」、「4」、「5」、「6」は確変大当たりおよび通常大当たりのいずれであっても大当たり図柄として決定される構成である点、原査定において引用文献3として引用した特開2011-206563号公報の【0177】の昇格演出が行われる場合は、内部抽選で通常当たりと確変当たりとで図柄変動後の停止図柄が共通となっている点を参照のこと。)
そして、上記周知の技術において、「確変大当たり」は確変大当たり遊技(第1特別遊技)を行い、「通常大当たり」は通常大当たり遊技(第2特別遊技)を行うものであることは明らかである。
引用発明と周知の技術とは、確変大当たりと通常大当たりとを有する遊技機である点で共通するから、引用発明に周知の技術を適用し、確変大当たり遊技を行うと判定された場合と通常大当たり遊技を行うと判定された場合とで演出図柄を共通の態様で停止させることを可能に構成し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 上記[相違点2]について検討する。
引用例2記載の事項は、上記「第2 3(2)」に示した次のとおりのものである。
「大当り遊技状態となった後には、第1ラウンド?第5ラウンドにおける遊技が行われるときに、バトル中演出を実行し、バトル中演出の実行に続き、第6ラウンドにおける遊技が行われるときには、バトル結果報知演出を実行する演出制御用CPU120を備え、
バトル結果報知演出では、バトル結果報知内容が「バトル負け」と「バトル勝ち」のいずれかとなることにより、6R大当り状態における所定遊技(総ラウンド数が6ラウンド)と、16R大当り状態における有利遊技(総ラウンド数が16ラウンド)とのうち、いずれの遊技が実行されるかを報知可能にし、
バトル中演出は、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様として、例えば敵キャラクタが必殺技を使う場面に応じた演出画像の表示が行われ、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様として、敵キャラクタが必殺技とは異なる攻撃技(通常技)を使う場面に応じた演出画像の表示が行われ、
バトル結果報知内容が「バトル負け」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル負け」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行され、
バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様が実行され、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されない遊技機。」

上記引用例2記載の事項の「「バトル勝ち」のバトル報知演出」は、本願補正発明の「成功演出」に対応する。
また、引用例2記載の事項においては、「バトル結果報知内容が「バトル負け」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル負け」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行され」、「バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様が実行され」るから、「バトル演出パターンSPD」は「バトル勝ち」のバトル報知演出が行われる可能性が相対的に高く、「バトル演出パターンSPA」は、「バトル勝ち」のバトル報知演出が行われる可能性が相対的に低いといえる。
よって、引用例2記載の事項の「バトル演出パターンSPD」、「バトル演出パターンSPA」は、それぞれ、本願補正発明の「第1ラウンド演出」、「第2ラウンド演出」に対応する。
そして、引用例2記載の事項において、「バトル演出パターンSPD」、「バトル演出パターンSPA」といったバトル中演出は、第1ラウンド?第5ラウンドにおける遊技が行われるときに、実行されるものである。
以上のことから、引用例2記載の事項における「演出制御用CPU120」は、第1ラウンド?第5ラウンドにおける遊技が行われるときに、「バトル勝ち」のバトル報知演出が行われる可能性が相対的に高い「バトル演出パターンSPD」と「バトル勝ち」のバトル報知演出が行われる可能性が相対的に低い「バトル演出パターンSPA」を実行可能といえるから、本願補正発明の構成F6に関連する構成を有している。

また、引用例2記載の事項において、バトル結果報知内容が「バトル負け」と「バトル勝ち」のいずれかとなる「バトル結果報知演出」は、本願補正発明の「成否演出」に対応する。
そして、引用例2記載の事項の「バトル結果報知演出」は、第6ラウンドにおける遊技が行われるときに実行されるものであり、2ラウンド目以降に実行されるといえるから、本願補正発明のF7に関連する構成を有している。
さらに、引用例2記載の事項において、バトル結果報知内容が「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示が行われる場合に、「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様が実行され、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されないから、本願補正発明のF8に関連する構成を有している。

ここで、引用発明と引用例2記載の事項とは、遊技者の興趣を向上させるために、遊技者にとって有利な大当たり遊技、又は有利者にとって不利な大当たり遊技を実行可能な遊技機において、大当たり遊技中に行うバトル演出の結果により、どちらの大当たり遊技を実行するかを遊技者に報知する点において、共通するものである。
よって、引用発明における「確変大当たり遊技が行われて確変遊技状態となることを示唆する成功演出、および通常大当たり遊技が行われて時短遊技状態となる可能性が高いことを示唆する未成功演出」に、引用例2記載の事項を適用し、確変大当たり遊技又は通常大当たり遊技が行われているときに、「バトル演出パターンSPD」(第1ラウンド演出)又は「バトル演出パターンSPA」(第2ラウンド演出)を実行可能とし(構成F6)、「バトル結果報知演出」(成否演出)を、確変大当たり遊技又は通常大当たり遊技における2ラウンド目以降に実行し(構成F7)、さらに、「バトル勝ち」に対応した演出画像の表示の直前のラウンドでは、バトル演出パターンSPDに対応する演出態様が実行され、バトル演出パターンSPAに対応する演出態様が実行されないように構成し(構成F8)、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

ウ そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2記載の事項及び周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「(拒絶査定の理由について)」において、「今般の補正により明確にしたように、補正後の請求項1にかかる発明は、特別遊技実行手段により「前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第1特別遊技を行うとともに、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第2特別遊技を行い」、演出制御手段により「前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われているとき、および前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われているときに、前記第1特別遊技が行われていることを示唆する成功演出、および前記第2特別遊技が行われている可能性があることを示唆する未成功演出のいずれかを行うことが可能な成否演出と、(中略)前記成功演出が行われる可能性が相対的に高いことを示す第1ラウンド演出と、前記成功演出が行われる可能性が相対的に低いことを示す第2ラウンド演出と、を実行可能であるとともに、前記成否演出を、前記第1特別遊技および前記第2特別遊技における2ラウンド目以降に実行し、前記成否演出として、前記成功演出を実行する場合、当該成功演出が実行される直前のラウンドでは、前記第1ラウンド演出を実行して前記第2ラウンド演出を実行」しないという特徴を有しております。
・・・
補正後の請求項1にかかる発明は、上記特徴を有するため、例えば、段落番号[0415]に記載しましたように、第2ラウンド演出直後に成功演出が行われて、遊技者に違和感を与えてしまい、演出の興趣が低下することを抑制することができます。
補正後の請求項1にかかる発明が有する上記特徴については、引用文献1?3には記載されておりません。したがいまして、補正後の請求項1にかかる発明は、引用文献1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できるものではないと思量いたします。」と主張する。
しかしながら、上記特徴は、上記イで検討したとおり、主に引用例2記載の事項に開示されているものである。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(5)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明、引用例2記載の事項及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年1月5日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
A 遊技者にとって有利な第1特別遊技と当該第1特別遊技よりも遊技者にとって不利な第2特別遊技とを含む複数の特別遊技の中からいずれかの特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段の判定結果に基づいて、所定の演出を行う演出制御手段と、
C 前記判定手段によっていずれかの特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を行う特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われた場合に、当該第1特別遊技後に遊技者にとって有利な第1遊技状態で遊技の進行を制御することが可能であるとともに、前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われた場合に、当該第2特別遊技後に前記第1遊技状態よりも遊技者にとって不利な第2遊技状態で遊技の進行を制御することが可能な遊技状態制御手段と、
を備え、
F 前記演出制御手段は、
F1 前記判定手段によって判定が行われると、所定の演出図柄を変動させてから前記判定手段の判定結果を示すように停止させることが可能であるとともに、前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合と、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合とで、前記演出図柄を共通の態様で停止させることが可能であり、
F2 前記特別遊技実行手段によって前記第1特別遊技が行われているとき、および前記特別遊技実行手段によって前記第2特別遊技が行われているときに、
F3 前記第1特別遊技が行われていることを示唆する成功演出、および前記第2特別遊技が行われている可能性があることを示唆する未成功演出のいずれかを行うことが可能な成否演出と、
F4 前記未成功演出後に行われる演出であって、前記第1特別遊技が行われている否かを示唆する再挑戦演出と、
F5 前記成否演出において前記成功演出が行われる期待度を示唆する期待度示唆演出と、
を実行可能であり、
G 前記期待度示唆演出には、前記期待度が高いことを示唆する第1演出と、前記第1演出よりも前記期待度が低いことを示唆する第2演出と、前記第1演出よりも前記期待度が高いことを示唆する第3演出と、があり、
H 前記期待度示唆演出において、
前記期待度が高いことが示唆された場合と、前記期待度が低いことが示唆された場合とで、前記再挑戦演出において前記第1特別遊技が行われていることが示唆される確率が互いに異なることを特徴とする遊技機。」
(当審においてA?Hに分説した。)。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特許第5946941号公報

3 刊行物
引用文献1(上記引用例1)及びその記載事項、並びに引用発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「特別遊技実行手段」に関して、「前記判定手段によって前記第1特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第1特別遊技を行うとともに、前記判定手段によって前記第2特別遊技を行うと判定された場合は複数ラウンドの前記第2特別遊技を行い、」との限定を省くとともに、本願補正発明を特定するために必要な事項である「演出制御手段」に関して、「前記成功演出が行われる可能性が相対的に高いことを示す第1ラウンド演出と、前記成功演出が行われる可能性が相対的に低いことを示す第2ラウンド演出と、を実行可能であるとともに、前記成否演出を、前記第1特別遊技および前記第2特別遊技における2ラウンド目以降に実行し、前記成否演出として、前記成功演出を実行する場合、当該成功演出が実行される直前のラウンドでは、前記第1ラウンド演出を実行して前記第2ラウンド演出を実行せず、」との限定を省くものである。
そして、本願発明と引用発明とを対比すると、相違点は、上記「第2 3(3)」で検討した相違点1(構成F1)と同様のものとなるから、上記「第2 3(4)」で検討したとおり、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-01-09 
結審通知日 2019-01-15 
審決日 2019-01-29 
出願番号 特願2016-253670(P2016-253670)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 辻野 安人  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 平城 俊雅
田付 徳雄
発明の名称 遊技機  
代理人 酒井 昭徳  

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