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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G08B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08B
管理番号 1350214
審判番号 不服2017-16895  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-14 
確定日 2019-03-28 
事件の表示 特願2017- 279「携帯端末、携帯端末制御方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月12日出願公開、特開2018-109877〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年1月4日の出願であって、同年4月6日付けの拒絶理由の通知に対し、同年6月19日に手続補正がされ、同年9月1日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年11月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 平成29年11月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年11月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
通話を可能とする音声の入出力を行う音声入出力手段を備える携帯端末であって、
地図データを記憶する記憶手段と、
緊急速報を受信する緊急速報受信手段と、
前記緊急速報受信手段が前記緊急速報を受信すると、自己の動作モードを、自己の現在位置から予め設定された距離の範囲内に位置する推奨避難場所である最寄りの推奨避難場所を表示する避難モードに切り替えるモード切替手段と、
初期設定により、前記緊急速報の内容に応じた前記モード切替手段による動作モードの切替を行うか否かを設定する設定手段と、
現在位置検出機能を用いて前記現在位置を測位する測位手段と、
前記最寄りの推奨避難場所を特定する推奨避難場所特定手段と、
前記動作モードが前記避難モードに切り替わると、前記記憶手段から前記地図データを取得し、取得した前記地図データを用いて前記最寄りの推奨避難場所を表示する地図表示手段と、
前記緊急速報に関してユーザに通知する通知情報を生成し、生成した前記通知情報を前記地図データに対応する地図に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する通知手段と、
前記緊急速報に含まれる災害の種類、規模を示す情報に基づいて、前記現在位置が安全性に関する一定の条件を満たしているか否かにより、前記現在位置が比較的安全であるか否かを判定する安全性判定手段と、を備え、
前記通知手段は、前記安全性判定手段による判定結果に基づいて、ユーザに通知する前記通知情報を生成する、
携帯端末。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年6月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
通話を可能とする音声の入出力を行う音声入出力手段を備える携帯端末であって、
地図データを記憶する記憶手段と、
緊急速報を受信する緊急速報受信手段と、
前記緊急速報受信手段が前記緊急速報を受信すると、自己の動作モードを、自己の現在位置から予め設定された距離の範囲内に位置する推奨避難場所である最寄りの推奨避難場所を表示する避難モードに切り替えるモード切替手段と、
初期設定により、前記緊急速報の内容に応じた前記モード切替手段による動作モードの切替を行うか否かを設定する設定手段と、
現在位置検出機能を用いて前記現在位置を測位する測位手段と、
前記最寄りの推奨避難場所を特定する推奨避難場所特定手段と、
前記動作モードが前記避難モードに切り替わると、前記記憶手段から前記地図データを取得し、取得した前記地図データを用いて前記最寄りの推奨避難場所を表示する地図表示手段と、
前記緊急速報に関してユーザに通知する通知情報を生成し、生成した前記通知情報を前記地図データに対応する地図に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する通知手段と、
前記現在位置の安全性を判定する安全性判定手段と、を備え、
前記通知手段は、前記安全性判定手段による判定結果に基づいて、ユーザに通知する前記通知情報を生成する、
携帯端末。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「安全性判定手段」が判定する「現在位置の安全性」を、その一態様である「緊急速報に含まれる災害の種類、規模を示す情報に基づいて、前記現在位置が安全性に関する一定の条件を満たしているか否かにより、前記現在位置が比較的安全であるか否か」に限定するものである。そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項、引用発明及び公知技術
ア 引用文献1の記載事項及び引用発明
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1である特開2015-148582号公報(平成27年8月20日出願公開。以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

a.「【実施例】
【0020】
本発明の一実施例にかかる案内装置を図1乃至図8を参照して説明する。本発明の一実施例にかかる案内装置としてのナビゲーション装置50は、移動体に配置され、現在地等の所定の位置から目的地までのルートを探索して案内する。なお、本実施例では移動体の一例として自転車で説明するが、自動車や自動二輪車あるいは歩行者等他の移動体であってもよい。要するに利用者の移動を案内する装置であれば移動体は特に限定されない。
【0021】
ナビゲーション装置50は、図1に示したように、サーバ100と公衆回線網あるいはインターネット等のネットワーク101を介して通信可能となっている。なお、ナビゲーション装置50とネットワーク101とは、図示しない基地局やアクセスポイント等を介して無線により通信する。
【0022】
ナビゲーション装置50は、図2に示したように制御部51と、GPS受信部52と、センサ入力部53と、記憶装置54と、操作部55と、表示部56と、音声出力部57と、通信部58と、を備えている。」(5頁)

b.「【0024】
制御部51は、動作制御部51aを備えている。動作制御部51aは、平時モードと有事モードの2つのモードでナビゲーション装置50の制御をする。第1の動作モードとしての平時モードはデフォルトの動作モードであり、GPS受信部52から出力された現在位置や利用者が指定した地点から、利用者が指定した目的地までのルートを探索してルートや進行方向等を表示したり、サーバ100から通信部58を介して受信したおすすめスポット情報を表示部56に表示させたりする。或いは、利用者が指定したキーワードやジャンル等に基づいてサーバ100で検索された検索結果を表示部56に表示させる。即ち、平時モードとはナビゲーション装置50が有している機能を制限なく利用できるモードである。
【0025】
第2の動作モードとしての有事モードとは、上述した緊急情報を受信した際に切り替わる動作モードである。動作制御部51aは、有事モードでは、緊急情報に基づいて利用者が至急対応する必要がある。したがって、平時モードで動作した機能の一部を制限する。即ち、平時モードが有している機能のそれぞれ一部が制限される。具体例としては、前記したおすすめスポット情報を表示せずに、避難場所等の緊急情報に関連する施設の情報を表示する。また、検索を行う際にも、おすすめスポット情報を含めずに緊急情報に関連する施設が検索結果に表示されるようにする。緊急情報に関連する施設の例としては、緊急情報の内容によるが、自治体等によって指定されている避難場所(一時避難所、広域避難所等)や、消防署や警察署、あるいはコンビニエンスストアやガソリンスタンド、公衆電話の位置などが挙げられる。
【0026】
現在位置取得部としてのGPS受信部52は、公知であるように複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信して、現在の位置情報(現在位置情報)を求めて制御部51に出力する。なお、本実施例では、GPS受信部52がナビゲーション装置50に一体に設けられている例を示すが、GPS受信部52が別体として構成され、ナビゲーション装置50と着脱自在となっていてもよい。」(5頁)

c.「【0028】
記憶装置54は、例えばハードディスクや不揮発性メモリなどで構成され、ルート探索および表示部56に表示するための地図データや、制御部51がナビゲーション装置50を制御するためのプログラムおよびデータ等が格納され、制御部51からの制御により読み書きがなされる。
【0029】・・・省略・・・
【0030】
表示部56は、液晶ディスプレイや該液晶ディスプレイを制御するドライバ回路等から構成される。表示部56は、制御部51の制御により、液晶ディスプレイに地図データや各種アイコンおよび操作用のボタン等や、目的地までのルートや進行方向等、後述するおすすめスポット情報および緊急情報に関連する施設の情報等の案内情報および施設の検索結果等が表示される。」(6頁)

d.「【0033】
通信部58は、例えばネットワーク101が携帯電話回線網の場合はLTE(Long Term Evolution)やW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の通信方式に対応した回路やアンテナ等で構成される。また、ネットワーク101がインターネットの場合はIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11シリーズなどの無線LAN(Local Area Network)規格の通信方式に対応した回路やアンテナ等で構成される。
【0034】
サーバ100は、ナビゲーション装置50とネットワーク100を介して通信する。サーバ100は、平時はナビゲーション装置50から取得する現在位置情報に基づいて取得した現在位置の周辺にある観光施設や商業施設等のおすすめスポット情報をナビゲーション装置50に送信する。おすすめスポット情報には、当該スポットの名称、スポットの概要説明あるいは外観写真等が含まれている。このおすすめスポットは、緊急情報に関連する施設には含まれない。また、サーバ100は、後述する緊急情報を取得した場合は、現在位置の周辺にある避難場所等の緊急情報に関連する施設の情報をナビゲーション装置50に送信する。また、サーバ100は、ナビゲーション装置50から取得したキーワードやジャンル情報に基づいて現在位置の周辺施設の情報を検索しナビゲーション装置50に送信する。
【0035】
また、サーバ100は、例えばナビゲーション装置50の現在位置に影響する緊急情報を外部から取得あるは入力された場合は、当該緊急情報をナビゲーション装置50に送信する。緊急情報としては、地震、津波、竜巻等の気象に関する情報の他、火災など事件事故等のナビゲーション装置50の利用者に至急通知して避難等の何らかの対応を要する必要がある情報である。緊急情報の入手先は、テレビ/ラジオ放送だけでなく、気象庁、消防/警察や自治体等の公官庁が発する情報(電話、ファクシミリ、電子メール、SNS(Social Networking Service)等)であってもよい。また、テレビ放送に含まれる緊急地震速報等の緊急情報や、電子メールやSNS等から自動的に緊急情報を抽出して送信してもよいし、人手で緊急情報を送信してもよい。」(6?7頁)

e.「【0037】
次に、上述した構成のナビゲーション装置50の平時モードと有事モードにおける動作を図3および図4フローチャートを参照して説明する。図3および図4に示したフローチャートは制御部51で実行される。これらのフローチャートは制御部51を構成するCPU上で動作するソフトウェア(コンピュータプログラム)として構成してもよいし、ハードウェアとして構成してもよい。
【0038】
まず、図3に示した表示部56への表示動作のフローチャートを説明する。図3のステップS11において、緊急情報を通信部58を介して受信したか否かを判断し、受信した場合(YESの場合)はステップS14に進み、受信していない場合(NOの場合)はステップS12に進む。即ち、本ステップが受信工程として機能する。
【0039】
次に、ステップS12において、GPS受信部52が出力した現在位置情報に基づいて、サーバ100から送信されたおすすめスポット情報を表示部56に表示してステップS13に進む。つまり、サーバ100は、現在位置がおすすめスポットとなっている施設から所定の範囲まで接近すると当該施設に関するおすすめスポット情報を送信する。ナビゲーション装置50では、通信部58が受信したおすすめスポット情報を動作制御部51aの制御により表示部56に表示される。即ち、おすすめスポット情報が施設案内情報に相当する。
【0040】
本ステップにおける表示例を図5に示す。図5において表示部56には地図およびポップアップPが表示されている。地図上には略矢印状のアイコンで現在位置Cが表示され、矢印の頂点が進行方向を示している。そして、現在位置Cがおすすめスポットに接近すると、サーバ100からおすすめスポット情報を受信して、そのスポットの名称(XX神宮)がポップアップPに表示される。ユーザがポップアップPをタッチするなど選択操作すると、当該スポットの概要説明や外観写真等が表示されてもよい。また、概要説明や外観写真に当該スポットを目的地に設定するようなボタンやアイコン等を設けてもよい。
【0041】
次に、ステップS13において、ナビゲーション装置50の使用を終了するか否かを判断し、電源ボタン等を操作されてことにより終了する場合(YESの場合)は終了し、終了しない場合(NOの場合)はステップS16に進む。
【0042】
一方、ステップS14においては、ステップS11において緊急情報を受信したと判断されたので、有事モードに切り替えてステップS15に進む。
【0043】
次に、ステップS15において、GPS受信部52が出力した現在位置情報に基づいて、サーバ100から送信された現在位置周辺の避難場所を表示部56に表示させる。本ステップにおける表示例を図6に示す。図6においては現在位置Cの周辺(例えば最も近い)にある避難場所の名称等の情報がポップアップPに表示される。ユーザがポップアップPをタッチするなど選択操作すると、当該避難場所の所在地や電話番号等が表示されてもよい。また、当該避難場所を目的地に設定するようなボタンやアイコン等を設けてもよい。また、ポップアップPではなく地図上に直接避難場所として表示してもよい(避難場所として認識できるアイコン等でもよい)。なお、図6では避難場所で示したが、それに限らず上述したように、消防署や警察署、コンビニエンスストアやガソリンスタンド、公衆電話の位置などとしてもよい。あるいは、緊急情報の内容に応じて適宜選択するようにしてもよい。」 (7?8頁)

f.「【0058】
本実施例によれば、ナビゲーション装置50は、平時モードと、平時モードが有している機能のそれぞれ一部が制限される有事モードと、のいずれかのモードで動作させる動作制御部51aと、緊急情報を受信する通信部58と、を備えている。そして、動作制御部51aは、通信部58が緊急情報を受信した場合に、平時モードから有事モードに切り替える。このようにすることにより、緊急情報を受信した場合は、緊急情報に関連する動作のみに制限することが可能となる。したがって、例えば、地震や津波などに関する緊急情報を受信した際に、観光地への案内を制限して、避難場所への案内など、その状況に適した案内が可能となる。」(9頁)

g.「【0062】
なお、上述した実施例では、ナビゲーション装置50はサーバ100と通信して、おすすめスポット情報や避難場所および検索結果等を取得していたが、記憶装置54に予めおすすめスポット情報や避難場所等をサーバやメモリカード等からダウンロードするなどして記憶させておき、記憶装置54に記憶されている情報に基づいておすすめスポット情報や避難場所を表示させたり、検索したりしてもよい。」(10頁)

h.図3及び図6は次のとおりである。

【図3】



【図6】


(イ)上記記載から、引用例1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a.段落【0020】及び【0022】の記載によれば、「歩行者等」の「移動体に配置され」る「ナビゲーション装置50」は、「制御部51」、「GPS受信部52」、「記憶装置54」、「表示部56」、「通信部58」を含む。
b.段落【0028】の記載によれば、「記憶装置54」は、「ルート探索および表示部56に表示するための地図データや、制御部51がナビゲーション装置50を制御するためのプログラムおよびデータ等が格納され、制御部51からの制御により読み書きがなされ」、段落【0062】には、「記憶装置54」には、「予め」「避難場所等をサーバやメモリカード等からダウンロードするなどして記憶させておき、記憶装置54に記憶されている情報に基づいて」「避難場所を表示させ」てもよいことが記載されている。
c.段落【0033】及び【0058】の記載によれば、「通信部58」は、「ネットワーク101が携帯電話回線網の場合はLTEやW-CDMA等の通信方式に対応した回路やアンテナ等で構成され」、「緊急情報を受信」する。ここで、段落【0035】の記載によれば、「緊急情報」は、「地震、津波、竜巻等の気象に関する情報の他、火災など事件事故等のナビゲーション装置50の利用者に至急通知して避難等の何らかの対応を要する必要がある情報」である。
d.段落【0026】の記載によれば、「現在位置取得部としてのGPS受信部52」は、「現在の位置情報(現在位置情報)を求めて制御部51に出力」する。
e.段落【0030】の記載によれば、「表示部56は、制御部51の制御により、液晶ディスプレイに地図データや各種アイコンおよび操作用のボタン等や、目的地までのルートや進行方向等」、「緊急情報に関連する施設の情報等の案内情報等」を「表示」する。
f.段落【0024】?【0025】、段落【0037】?【0043】及び段落【0058】の記載によれば、「制御部51」は、「緊急情報を通信部58を介して」「受信した場合」に、「動作モード」を「平時モードから有事モードに切り替え」る。ここで、上記b及び段落【0043】の記載によれば、「記憶装置54」に、「予め」「避難場所等をサーバやメモリカード等からダウンロードするなどして記憶させておき、記憶装置54に記憶されている情報に基づいて」「避難場所を表示させ」る場合、「有事モード」では、「GPS受信部52が出力した現在位置情報に基づいて」、「現在位置周辺の避難場所を表示部56に表示させる」といえる。そして、「現在位置Cの周辺(例えば最も近い)にある避難場所の名称等の情報」は、「ポップアップPに表示」しても、「地図上に直接避難場所として表示してもよい」といえる。また、図6によれば、「ポップアップPに表示」する場合には、「ポップアップPを地図上に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する」ことが見て取れる。

(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「歩行者等の移動体に配置されるナビゲーション装置50であって、
制御部51、GPS受信部52、記憶装置54、表示部56及び通信部58を含み、
記憶装置54は、ルート探索および表示部56に表示するための地図データや、制御部51がナビゲーション装置50を制御するためのプログラムおよびデータ等が格納され、制御部51からの制御により読み書きがなされ、
記憶装置54に予め避難場所等をサーバやメモリカード等からダウンロードするなどして記憶させておき、記憶装置54に記憶されている情報に基づいて避難場所を表示させてもよく、
通信部58は、ネットワーク101が携帯電話回線網の場合はLTEやW-CDMA等の通信方式に対応した回路やアンテナ等で構成され、緊急情報を受信し、ここで、緊急情報は、地震、津波、竜巻等の気象に関する情報の他、火災など事件事故等のナビゲーション装置50の利用者に至急通知して避難等の何らかの対応を要する必要がある情報であり、
現在位置取得部としてのGPS受信部52は、現在の位置情報(現在位置情報)を求めて制御部51に出力し、
表示部56は、制御部51の制御により、液晶ディスプレイに地図データや各種アイコンおよび操作用のボタン等や、目的地までのルートや進行方向等、緊急情報に関連する施設の情報等の案内情報等を表示し
制御部51は、緊急情報を通信部58を介して受信した場合に、動作モードを平時モードから有事モードに切り替え、有事モードでは、GPS受信部52が出力した現在位置情報に基づいて、現在位置周辺の避難場所を表示部56に表示させ、現在位置Cの周辺(例えば最も近い)にある避難場所の名称等の情報を、ポップアップPに表示しても、地図上に直接避難場所として表示してもよく、
ポップアップPに表示する場合には、ポップアップPを地図上に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する、
ナビゲーション装置50。」


イ 引用文献3の記載事項及び公知技術
(ア)同じく原査定に引用された引用文献3である特開2016-184286号公報(平成28年10月20日出願公開。以下、「引用例2」という。)には、次の記載がある。

a.「【0001】
この発明は、例えば、地震、津波、水害、火災、台風、竜巻等の災害(以下、避難誘導対象災害という)に遭遇した際に利用可能な避難誘導のための避難誘導ナビゲーション装置に関する。」(3頁)

b.「【0038】
[避難誘導管理部111の処理動作の例]
図2?図6は、避難誘導管理部111の処理動作の流れの例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら、避難誘導管理部111の処理動作の流れの例について説明する。
【0039】
避難誘導管理部111は、まず、携帯電話通信部101を通じて緊急速報を受信したか否か判別し(ステップS101)、緊急通報を受信してはいないと判別したときには、利用者による操作入力部122を通じた避難誘導ナビアプリの立ち上げ操作がなされたか否か判別する(ステップS102)。このステップS102で、利用者により避難誘導ナビアプリの立ち上げ操作がなされてはいないと判別したときには、避難誘導管理部111は、その他の処理を行った後、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0040】
ステップS101で、緊急速報を受信したと判別したときには、避難誘導管理部111は、避難誘導ナビアプリを立ち上げると共に、避難誘導ナビゲーション装置1を節電モードに自動設定する(ステップS104)。次に、避難誘導管理部111は、緊急速報の種別から、避難誘導対象災害の種別を判別することで、複数の避難誘導対象災害の種類の中から一つの避難誘導対象災害の種類の選択指定を受け付ける(ステップS105)。この実施形態では、避難誘導対象災害の種類は、例えば、地震、津波、水害、火災、台風、竜巻とされている。」(8頁)

c.「【0042】
避難誘導管理部111は、ステップS105またはステップS106の次には、現在位置検出部104で検出された現在位置の位置情報に基づいて、地図データ格納部107を参照すると共に、現在位置検出部104で検出された現在位置の位置情報の時間軸変化をも参照して、現在地の場所を検知すると共に、歩行中か、車に乗っているか、電車やバスに乗車中か、建物の中に居るか、などの現在の場所の状況を検知する。さらに、現在時点の月、日及び時刻を時計部106から取得する(ステップS108)。
【0043】
次に、避難誘導管理部111は、利用者に、自力移動の可否に関わる情報の選択画面、例えば自力移動が可能か、自力移動が不可か、負傷者を同伴しているか、寝たきり老人と同居か、幼児を連れているか、などの選択画面を表示部121の表示画面に表示して、その中から、自力移動の可否に関わる情報の利用者からの選択設定を受け付ける(ステップS109)。
【0044】
そして、避難誘導管理部111は、ステップS105またはステップS107で受け付けた避難誘導対象災害の種類と、利用者属性記憶部105から読み出した利用者の属性情報と、ステップS109で受け付けた、選択設定された自力移動の可否に関わる情報と、ステップS108で検知した場所(TPOのP)や時間(TPOのT)及び歩行中、電車の中などの状況(TPOのO)の情報とを総合的に斟酌して、利用者に対する初期誘導の種別を判定して決定する(ステップS110)。この実施形態では、初期誘導の種別は、「その場待機」、「避難所へ誘導」、安全な場所への「避難経路探索誘導」の3種とされている。
【0045】
例えば、利用者属性が寝たきり老人で、ステップS109で受け付けられた自力移動の可否に関わる情報が自力移動不可であり、ステップS108で検知された場所が建物内である場合には、避難誘導対象災害の種類がいずれの種類であっても、初期誘導は「その場待機」」とする。また、例えば避難誘導対象災害が地震であって、利用者属性が成人の男性あるいは成人の女性であり、ステップS109で受け付けられた自力移動の可否に関わる情報が自力移動可であり、また、ステップS108で検知された場所が職場のある高層ビル内である場合には、すぐに避難所などに移動しない方が良いと考えられるので、初期誘導は「その場待機」とする。
【0046】
また、避難誘導対象災害の種類が「水害」であって、利用者属性が女性の高齢者であり、ステップS108で検知された場所が、高台にある建物(自宅)であり、例えば携帯電話通信部101を通じて気象情報の提供サイトから取得した当該時点の、当該場所における気象が豪雨であるときには、ステップS109で受け付けられた自力移動の可否に関わる情報が自力移動可であっても、避難による移動が危険であって、自宅で待機していた方が安全と判断できるので、初期誘導は「その場待機」とする。
【0047】
また、避難誘導対象災害の種類が「津波」であって、利用者属性が若い男性であり、ステップS108で検知された場所が、海岸の近くであって、歩行中である場合には、初期誘導は「避難所へ誘導」とする。
【0048】
また、避難誘導対象災害の種類が「地震」であって、利用者属性が妊婦であり、ステップS108で検知された場所が、買い物のために出かけた途中の場所であって歩行中で、時間が午後2時頃の場合には、遠くの避難所に移動するよりも、近くの安全な場所に避難する方が安全であると判断し、初期誘導は「避難経路探索避誘導」とする。また、近くに避難所がある場合には、初期誘導は「避難所へ誘導」とする。
【0049】
避難誘導管理部111は、決定した初期誘導を表示部121の表示画面に表示して利用者に通知する(ステップS111)。そして、避難誘導管理部111は、初期誘導は「その場待機」であるか否か判別し、「その場待機」であると判別したときには、避難誘導対象災害の種類と、利用者の属性情報と、選択設定された自力移動の可否に関わる情報と、ステップS108で検知した場所や時間及び歩行中、電車の中などの状況の情報とに基づいて、救助要請が必要であるか否か判別する(ステップS122)。」(8?9頁)

d.「【0067】
ステップS161で検索する最寄りの安全な場所は、避難誘導対象災害の種別に応じて異なる場所とする。例えば、避難誘導対象災害の種別が地震であれば、地盤が堅牢である墓地、寺、神社、学校、市役所、消防署等が安全な場所として検索し、また、避難誘導対象災害の種別が津波であれば、津波の緊急速報で予想される津波の高さよりも高い高台を安全な場所として検索し、また、避難誘導対象災害の種別が水害であれば、水害発生地点から離れた最寄りの高台を検索するようにする。」(12頁)

(イ)上記段落【0001】、【0039】?【0040】、【0044】、【0049】の記載によれば、「地震、津波、水害、火災、台風、竜巻等の災害(以下、避難誘導対象災害という)に遭遇した際に利用可能な避難誘導のための避難誘導ナビゲーション装置」において、「避難誘導管理部111」は、「携帯電話通信部101を通じて緊急速報を受信した」ときには、「緊急速報の種別から、避難誘導対象災害の種別を判別」して「選択指定」される「避難誘導対象災害の種類」等を総合的に斟酌して、「利用者に対する初期誘導の種別」(「その場待機」、「避難所へ誘導」、安全な場所への「避難経路探索誘導」)を「判定して決定」し(ステップS110)、「決定した初期誘導を表示部121の表示画面に表示して利用者に通知する(ステップS111)。
そして、上記「利用者に対する初期誘導の種別を判定して決定」する例として、段落【0047】には、「避難誘導対象災害の種類が「津波」であって、利用者属性が若い男性であり、ステップS108で検知された場所が、海岸の近くであって、歩行中である場合には、初期誘導は「避難所へ誘導」とする」との記載がある。ここで、段落【0067】の「避難誘導対象災害の種別が津波であれば、津波の緊急速報で予想される津波の高さよりも高い高台を安全な場所」とすることの記載や、引用例2の出願当時、災害に遭遇した際、「津波の高さ」等の災害の規模を考慮して避難の要否を判断することが常識であったことを考慮すると、上記「利用者に対する初期誘導の種別を判定して決定」することは、緊急速報に含まれる避難誘導対象災害の種別や災害の規模を示す情報に基づいて、「その場」が「安全な場所」であるか否かを判定することにより行われると解するのが相当である。

そうすると、引用例2には、「地震、津波、水害、火災、台風、竜巻等の災害(以下、避難誘導対象災害という)に遭遇した際に利用可能な避難誘導のための避難誘導ナビゲーション装置」における、次の公知技術が記載されていると認められる。
「避難誘導管理部が、携帯電話通信部を通じて緊急速報を受信したとき、緊急速報に含まれる避難誘導対象災害の種別や災害の規模を示す情報に基づいて、その場が安全な場所であるか否かを判定することにより利用者に対する初期誘導の種別(「その場待機」、「避難所へ誘導」、安全な場所への「避難経路探索誘導」)を判定して決定し、決定した初期誘導を表示部の表示画面に表示して利用者に通知すること。」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ナビゲーション装置50」は、「歩行者等の移動体に配置され」、「LTEやW-CDMA等の通信方式に対応した回路やアンテナ等で構成され」た「通信部58」を含むから、本件補正発明の「携帯端末」とは、「携帯端末」といえる点で共通する。

(イ)引用発明の「ルート検索および表示部に表示するための地図データ」が格納された「記憶装置54」は、本件補正発明の「地図データを記憶する記憶手段」に含まれる。

(ウ)引用発明の「通信部58」は、「ネットワーク101が携帯電話回線網の場合はLTEやW-CDMA等の通信方式に対応した回路やアンテナ等で構成され」、「地震、津波、竜巻等の気象に関する情報の他、火災など事件事故等のナビゲーション装置50の利用者に至急通知して避難等の何らかの対応を要する必要がある情報」である「緊急情報を受信」するから、本件補正発明の「緊急速報を受信する緊急速報受信手段」に含まれる。

(エ)引用発明は、「緊急情報を通信部58を介して受信した場合に、動作モードを平時モードから有事モードに切り替え、有事モードでは、GPS受信部52が出力した現在位置情報に基づいて、現在位置周辺の避難場所を表示部56に表示させ」るから、本件補正発明の「前記緊急速報受信手段が前記緊急速報を受信すると、自己の動作モードを、自己の現在位置から予め設定された距離の範囲内に位置する推奨避難場所である最寄りの推奨避難場所を表示する避難モードに切り替えるモード切替手段」及び「前記最寄りの推奨避難場所を特定する推奨避難場所特定手段」に相当する構成を有するといえる。

(オ)引用発明の「現在位置取得部としてのGPS受信部52」は、「現在の位置情報(現在位置情報)を求めて制御部51に出力」するから、本件補正発明の「現在位置検出機能を用いて前記現在位置を測位する測位手段」に含まれる。

(カ)引用発明の「表示部56」は、「制御部51の制御により、液晶ディスプレイに地図データや各種アイコンおよび操作用のボタン等や、目的地までのルートや進行方向等、緊急情報に関連する施設の情報等の案内情報等を表示」するものであり、「有事モード」に切り替わると「現在位置周辺の避難場所」を表示するものであり、「現在位置Cの周辺(例えば最も近い)にある避難場所の名称等の情報を」、「地図上に直接避難場所として表示」してもよいものであるから、本件補正発明の「前記動作モードが前記避難モードに切り替わると、前記記憶手段から前記地図データを取得し、取得した前記地図データを用いて前記最寄りの推奨避難場所を表示する地図表示手段」に相当するといえる。

(キ)引用発明は、「現在位置Cの周辺(例えば最も近い)にある避難場所の名称等の情報を、ポップアップPに表示」してもよく、「ポップアップPに表示する場合には、ポップアップPを地図上に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する」から、当該情報は、ポップアップPに表示することによって通知される「通知情報」といえ、本件補正発明と引用発明とは、「通知情報を生成し、生成した前記通知情報を前記地図データに対応する地図に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する通知手段」を備えるといえる点で共通する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「携帯端末であって、
地図データを記憶する記憶手段と、
緊急速報を受信する緊急速報受信手段と、
前記緊急速報受信手段が前記緊急速報を受信すると、自己の動作モードを、自己の現在位置から予め設定された距離の範囲内に位置する推奨避難場所である最寄りの推奨避難場所を表示する避難モードに切り替えるモード切替手段と、
現在位置検出機能を用いて前記現在位置を測位する測位手段と、
前記最寄りの推奨避難場所を特定する推奨避難場所特定手段と、
前記動作モードが前記避難モードに切り替わると、前記記憶手段から前記地図データを取得し、取得した前記地図データを用いて前記最寄りの推奨避難場所を表示する地図表示手段と、
通知情報を生成し、生成した前記通知情報を前記地図データに対応する地図に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する通知手段と、を備えた、
携帯端末。」

(相違点1)
「携帯端末」が、本件補正発明では、「通話を可能とする音声の入出力を行う音声入出力手段を備える」のに対し、引用発明では、「通話を可能とする音声の入出力を行う音声入出力手段を備える」ことの特定がない点。

(相違点2)
本件補正発明では、「初期設定により、前記緊急速報の内容に応じた前記モード切替手段による動作モードの切替を行うか否かを設定する設定手段」を備えるのに対し、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

(相違点3)
本件補正発明では、「前記緊急速報に含まれる災害の種類、規模を示す情報に基づいて、前記現在位置が安全性に関する一定の条件を満たしているか否かにより、前記現在位置が比較的安全であるか否かを判定する安全性判定手段」を備え、通知手段が、「前記安全性判定手段による判定結果に基づいて」、「緊急速報に関してユーザに通知する通知情報」を生成し、生成した「前記通知情報」を地図データに対応する地図に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示するのに対し、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

(4)判断
ア 相違点1について
引用発明は、「歩行者等の移動体に配置されるナビゲーション装置50」であって、「通信部58は、ネットワーク101が携帯電話回線網の場合はLTEやW-CDMA等の通信方式に対応した回路やアンテナ等で構成」されるものであるから、これを相違点1に係る「通話を可能とする音声の入出力を行う音声入出力手段を備える」構成とすることは、当業者が容易になし得る。

イ 相違点2について
初期設定時に任意の機能手段を動作させるか否かを設定することは常套であり、引用発明において、「緊急情報を通信部58を介して受信した場合に、動作モードを平時モードから有事モードに切り替え」るか否かを初期設定時に設定する設定手段(本件補正発明の「初期設定により、前記緊急速報の内容に応じた前記モード切替手段による動作モードの切替を行うか否かを設定する設定手段」に相当。)を設けることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 相違点3について
上記(2)イのとおり、「避難誘導管理部が、携帯電話通信部を通じて緊急速報を受信したとき、緊急速報に含まれる避難誘導対象災害の種別や災害の規模を示す情報に基づいて、その場が安全な場所であるか否かを判定することにより利用者に対する初期誘導の種別(「その場待機」、「避難所へ誘導」、安全な場所への「避難経路探索誘導」)を判定して決定」(本件補正発明の「前記緊急速報に含まれる災害の種類、規模を示す情報に基づいて、前記現在位置が安全性に関する一定の条件を満たしているか否かにより、前記現在位置が比較的安全であるか否かを判定する安全性判定手段」による「判定」に相当。)し、「決定した初期誘導を表示部の表示画面に表示して利用者に通知する」(本件補正発明の「前記安全性判定手段による判定結果に基づいて」、「緊急速報に関してユーザに通知する通知情報」を生成して表示することに相当。)ことは、公知技術である。

そして上記公知技術は、「避難誘導ナビゲーション装置」における「地震、津波、水害、火災、台風、竜巻等の災害(以下、「避難誘導対象災害」という。)に遭遇した際に利用可能な避難誘導のための」技術であるから、引用発明に上記公知技術を適用する動機があるといえ、引用発明に上記公知技術を適用するにあたり、「現在位置周辺の避難場所」を「地図上に」表示させるとともに、「決定した初期誘導」を「ポップアップP」として「地図上に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する」(本件補正発明の「生成した前記通知情報を前記地図データに対応する地図に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する」に相当。)ことは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎないから、引用発明に上記公知技術を適用して相違点3に係る構成を備えるものとすることは、当業者が容易になし得る。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用例2に記載された公知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された公知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 小括
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年11月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年6月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
以下に、再掲する。

(本願発明)
「【請求項1】
通話を可能とする音声の入出力を行う音声入出力手段を備える携帯端末であって、
地図データを記憶する記憶手段と、
緊急速報を受信する緊急速報受信手段と、
前記緊急速報受信手段が前記緊急速報を受信すると、自己の動作モードを、自己の現在位置から予め設定された距離の範囲内に位置する推奨避難場所である最寄りの推奨避難場所を表示する避難モードに切り替えるモード切替手段と、
初期設定により、前記緊急速報の内容に応じた前記モード切替手段による動作モードの切替を行うか否かを設定する設定手段と、
現在位置検出機能を用いて前記現在位置を測位する測位手段と、
前記最寄りの推奨避難場所を特定する推奨避難場所特定手段と、
前記動作モードが前記避難モードに切り替わると、前記記憶手段から前記地図データを取得し、取得した前記地図データを用いて前記最寄りの推奨避難場所を表示する地図表示手段と、
前記緊急速報に関してユーザに通知する通知情報を生成し、生成した前記通知情報を前記地図データに対応する地図に、当該地図の一部が見える状態でかつ当該地図が表示された画面の一部を覆うように重ねて表示する通知手段と、
前記現在位置の安全性を判定する安全性判定手段と、を備え、
前記通知手段は、前記安全性判定手段による判定結果に基づいて、ユーザに通知する前記通知情報を生成する、
携帯端末。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2015-148582号公報
引用文献2:特開2013-005165号公報
引用文献3:特開2016-184286号公報
引用文献4:(省略)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献3の記載事項、引用発明並びに公知技術は、前記第2の[理由]2(2)のとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の「緊急速報に含まれる災害の種類、規模を示す情報に基づいて、前記現在位置が安全性に関する一定の条件を満たしているか否か」を「現在位置の安全性」としたものであって「緊急速報に含まれる災害の種類、規模を示す情報に基づいて、前記現在位置が安全性に関する一定の条件を満たしているか否か」は、「現在位置の安全性」に含まれるから、本件補正発明は本願発明に含まれるといえる。
そうすると、本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献3(引用例2)に記載された公知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正発明を含む本願発明も、引用発明及び引用文献3(引用例2)に記載された公知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-01-18 
結審通知日 2019-01-22 
審決日 2019-02-08 
出願番号 特願2017-279(P2017-279)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G08B)
P 1 8・ 121- Z (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺谷 大亮藤江 大望  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 中野 浩昌
山中 実
発明の名称 携帯端末、携帯端末制御方法およびプログラム  
代理人 龍竹 史朗  
代理人 渡邉 幸男  
代理人 木村 満  

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