ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
---|---|
管理番号 | 1350478 |
審判番号 | 不服2017-4467 |
総通号数 | 233 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-29 |
確定日 | 2019-04-03 |
事件の表示 | 特願2015- 40394「ネットワークを通じて作動状態変更通知の可能なデバイス及びその通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月18日出願公開、特開2015-111461〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年4月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年8月6日、韓国、2010年4月13日、米国)を国際出願日とする特許出願(特願2013-504808号)の一部を平成27年3月2日に新たな特許出願(特願2015-40394号)としたものであって、平成28年3月1日付けで拒絶理由が通知され、平成28年9月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成28年11月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年3月29日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がなされ、平成30年1月29日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年4月26日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ、平成30年6月4日付けで拒絶理由通知(最後。以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、平成30年9月3日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 平成30年9月3日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の結論] 平成30年9月3日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所である。) 「ネットワーク内の第1デバイスによって実行される、デバイスの作動状態変更の通知方法であって、 前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、ユーザによって現在使用されているデバイスを検索していることを示す検索信号を前記ネットワークの1つ以上のデバイスに伝送し、前記検索信号に応答して前記1つ以上のデバイスからユーザの現在の使用状態又は未使用状態を示す情報を受け取ることにより、前記ネットワーク内の前記ユーザによって使用可能な他のデバイスの中から前記ユーザが現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階と、 前記現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスに、前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報を伝送する段階と、 前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更に対するユーザの対応を示すユーザ応答を受け取ることにより、前記第1デバイスの作動状態における2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更を示す情報を前記少なくとも1つの第2デバイスに伝送する段階と、 を含み、 前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報は、前記少なくとも1つの第2デバイスのディスプレイ部に所定のユーザインターフェースを通じて表示され、前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態の前記2次変更を示す情報を表示するよう前記ユーザインターフェースが変更される、方法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成30年4月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「ネットワーク内の第1デバイスによって実行される、デバイスの作動状態変更の通知方法であって、 前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、前記ネットワークの1つ以上のデバイスについてユーザの現在の使用状態又は未使用状態を示す情報を、前記ネットワークの1つ以上のデバイスから受信することにより、前記ネットワーク内の前記ユーザによって使用可能な他のデバイスの中から前記ユーザが現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階と、 前記現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスに、前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報を伝送する段階と、 前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更に対するユーザの対応を示すユーザ応答を受け取ることにより、前記第1デバイスの作動状態における2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更を示す情報を前記少なくとも1つの第2デバイスに伝送する段階と、 を含み、 前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報は、前記少なくとも1つの第2デバイスのディスプレイ部に所定のユーザインターフェースを通じて表示され、前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態の前記2次変更を示す情報を表示するよう前記ユーザインターフェースが変更される、方法。」 2 補正の適否 本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2デバイスを検索する段階」について、「検索信号」の伝送と「応答」の受け取りに関して、上記のとおり「前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、ユーザによって現在使用されているデバイスを検索していることを示す検索信号を前記ネットワークの1つ以上のデバイスに伝送し、前記検索信号に応答して前記1つ以上のデバイスからユーザの現在の使用状態又は未使用状態を示す情報を受け取ることにより」実行されるとの限定を付加することを含むものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載した、特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるとおりのものである。 (2) 引用文献1の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2006-18623号公報(平成18年1月19日出願公開。以下「引用文献1」という。なお、原査定時の「引用文献2」である。)には、図面(特に、【図30】を参照。)と共に、次の事項が記載されている。(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。) ア 段落【0012】 「【0012】 本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ホームネットワークに接続されている、各種の機能を有する複数種類の装置において、ユーザの利用情報などを用いて、ユーザにとって有益な分散処理を行うことができるようにするものである。」 イ 段落【0023】 「【0023】 請求項1に記載の情報処理システムは、ネットワーク(例えば、図14のホームネットワーク251)に複数の情報処理装置が接続されて、情報を相互に授受可能なようになされている情報処理システムであって、ネットワークに接続されている情報処理装置は、ネットワークに接続されている複数の情報処理装置の利用に関する第1の情報(例えば、利用統計情報)を記憶する記憶手段(例えば、図15の全利用統計情報記憶部308)と、自分自身の動作(例えば、スイッチオン、扉の開閉、位置情報の取得結果など)に関する情報を取得する動作情報取得手段(例えば、図15の動作情報取得部312)と、動作情報取得手段により所定の動作に関する情報(処理開始トリガ入力に対応する動作情報)が取得された場合、記憶手段により記憶されている第1の情報を基に、ネットワークに接続されている複数の情報処理のうちの少なくとも1つに処理の実行を要求するための第2の情報(例えば、処理実行リクエストコマンド)を生成する生成手段(例えば、図15の処理要求生成部309、予約処理決定部310、および、ソフトウェアセル生成部305)と、生成手段により生成された第2の情報の、ネットワークに接続されている複数の情報処理のうちのいずれかへの送信、および、ネットワークに接続されている複数の他の情報処理において生成されて送信された第2の情報の受信を制御する送受信制御手段(例えば、図15のソフトウェアセル送受信制御部306)と、送受信制御手段により受信が制御された第2の情報を基に、動作を制御する動作制御部(例えば、図15の動作制御部311)とを備えることを特徴とする。」 ウ 段落【0031】 「【0031】 情報処理装置1-1は、複数の情報処理装置による分散処理の実行を指示されると、要求された処理を実行するために必要なデータおよびプログラムを含むソフトウェアセルを生成し、生成したソフトウェアセルを、ネットワーク2を介して、情報処理装置1-2乃至情報処理装置1-nのうちのいずれかの装置あてに送信する。」 エ 段落【0160】-【0166】 「【0160】 次に、複数の装置において分散処理を実行することが可能な情報処理コントローラ11を有する、各種の機能を有する装置が、ホームネットワークに接続されている場合の処理の具体的な例について、以下に説明する。 【0161】 図14は、本発明を適用したホームネットワークシステムの構成を示す図である。 【0162】 ホームネットワーク251には、パーソナルコンピュータ261、デジタルスチルカメラ262、PDA263,携帯電話機264、ロケーションフリーTV265、デジタルビデオカメラ266、ICカード267、携帯型プレーヤ268、電子辞書269、カーナビゲーションシステム270、ICレコーダ271、電気スイッチ(リビング)272、電気スイッチ(玄関)273、電子レンジ274、洗濯機275、冷蔵庫276、プリンタ277、プロジェクタ278、ディスプレイ279、テレビジョン受像機280、および、ラジオ281が、有線、または、無線で接続されているものとする。 ・・・(中略)・・・ 【0166】 すなわち、ホームネットワーク251に接続されているいずれの装置からであっても、情報処理コントローラ11を有し、分散処理の実行が可能な機器を捜索することが可能なようになされており、利用統計情報を交換する機器を選択することができるようになされている。また、情報処理コントローラ11を有し、分散処理が実行可能な機器を、あとでホームネットワーク251に追加して接続することも可能であり、その場合も、ホームネットワーク251に接続されているいずれの装置からであっても、分散処理を実行させる機器が捜索可能なようになされており、利用統計情報を交換する機器を選択することができるようになされている。」 オ 段落【0182】 「【0182】 情報処理コントローラ11を有するそれぞれの機器は、機能プロファイルテーブル359および所有機器IDテーブル361を基に、他の機器において利用できる機能を選択することが可能である。例えば、洗濯機275の処理が終了したとき、常にユーザは洗濯機275のそばにいるわけではなく、どこか異なる場所にいる可能性があるため、洗濯機275の終了通知を他の機器を用いて行う場合について説明する。洗濯機275、または、そのときのマスタ装置は、利用統計情報を参照し、その時間帯にユーザが近傍に存在する可能性が最も高い機器で、かつ、音声または映像出力の機能のある機器を、通知処理の実行要求を送信する機器として選択することができる。例えば、洗濯機275の終了通知を行う機器として選択された機器が、ロケーションフリーTV265である場合、ロケーションフリーTV265のスピーカから終了通知が出力されるか、表示部に、洗濯機275の処理が終了したことをユーザに通知するためのメッセージが表示される。ユーザは、ロケーションフリーTV265に対して、終了通知を確認したことを操作入力するか、または、洗濯機275の扉を開けて洗濯物を取り出すことにより、終了通知を確認したことを洗濯機275に認識させることができる。洗濯機275、または、そのときのマスタ装置は、ユーザが終了通知を確認したことを認識することができなかった場合、次にその時間帯にユーザが近傍に存在する可能性が高い機器で、かつ、音声または映像出力の機能のある機器を選択し、終了通知を実行させることができる。」 カ 段落【0196】-【0200】 「【0196】 例えば、ホームネットワーク251に接続されている他の装置と連携して処理を実行する場合に先立ち、他の装置が保有する利用統計情報が取得される場合、ソフトウェアセル生成部305は、図19に示される、実行セクションのDMAコマンドが利用統計情報リクエストコマンドであるソフトウェアセルを生成し、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給し、送信させる。 ・・・(中略)・・・ 【0199】 ソフトウェアセル生成部305は、利用統計情報記憶部304に記憶されている利用統計情報を参照して、図21に示される実行セクションのDMAコマンドが利用統計情報レスポンスコマンドおよび利用統計情報受け入れフラグであるソフトウェアセルを生成し、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給し、送信させる。 【0200】 図19を用いて説明した利用統計情報リクエストコマンドに対する利用統計情報レスポンスコマンドのデータには、例えば、全録画予約情報、機器情報、および、利用統計情報が含まれる。利用統計情報受け入れフラグとは、このソフトウェアセルを取得したソフトウェアセル解析部307による利用統計情報の読み込みを受け入れるか否かを示すフラグである。すなわち、このソフトウェアセルを取得したソフトウェアセル解析部307は、利用統計受け入れフラグを参照し、読み込みが許可されているソフトウェアセルのデータに含まれる利用統計情報利用統計情報のみを読み込み、全利用統計情報記憶部308に供給して記憶させる。」 キ 段落【0252】-【0269】 「【0252】 次に、図30乃至図34を参照して、図29を用いて説明した、他の装置に処理の実行を要求する処理の具体的な例について説明する。 【0253】 例えば、洗濯機275の処理が終了したとき、洗濯機275は、ピープ音を発生してユーザに洗濯動作の終了を通知するが、ユーザが洗濯機275のそばにいない場合、ユーザには、ピープ音が聞こえないので、洗濯動作の終了の通知を受けることができない場合がある。そこで、本発明を適用することにより、洗濯機275による洗濯動作の終了時に、ユーザが洗濯機275とは異なる場所にいても、ユーザに洗濯動作の終了を通知するようにすることができる。 【0254】 図30を参照して、洗濯機275の処理(洗濯動作)の終了を、他の装置を用いて、ユーザに通知する場合の処理について説明する。 【0255】 ステップS51において、洗濯機275の処理要求生成部309は、動作情報取得部312により取得された洗濯終了を示す動作情報の供給を受ける。ここでは、洗濯終了を示す動作情報の供給が処理開始トリガ入力である。 【0256】 ステップS52において、洗濯機275の処理要求生成部309は、全利用統計情報記憶部308に記憶されている利用統計情報を参照して、ユーザへの洗濯終了通知処理実行を指令する装置の優先順位を決定する。 【0257】 具体的には、洗濯機275の処理要求生成部309は、ユーザに対して、例えば、音声、または、表示などを用いて、洗濯機275の終了を通知する機能を有する装置であって、現在の時刻に、洗濯機275を使用しているユーザが利用している可能性の高い装置、洗濯機275を使用しているユーザが利用している可能性の高い装置の近傍に設置されている装置、または、洗濯機275を使用しているユーザがいる可能性の高い場所の近傍に設置されている装置を、優先順位の高い装置として選択する。 【0258】 ステップS53において、洗濯機275の処理要求生成部309は、ユーザに洗濯機275の処理の終了を通知させる処理を他の装置に実行させるためのコマンドの生成と出力を、ソフトウェアセル生成部305に要求する。ソフトウェアセル生成部305は、図24を用いて説明した処理実行リクエストコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給する。ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行リクエストコマンドを、ホームネットワーク251を介して、ステップS52の処理により優先順位が上位であるとされた装置に送信する。 【0259】 ここでは、優先順位の高い装置として、携帯電話機264、および、ラジオ281が選択されたものとして説明する。 【0260】 ステップS54において、携帯電話機264のソフトウェアセル送受信制御部306は、ステップS53においてパーソナルコンピュータ261(当審注:「洗濯機275」の誤記と認める。)から送信された処理実行リクエストコマンドを受信し、ソフトウェアセル解析部307に供給する。 【0261】 ステップS55において、携帯電話機264のソフトウェアセル解析部307は、供給された処理実行リクエストコマンドを解析して、解析結果を、動作制御部311に供給し、動作制御部311は、供給された解析結果に含まれる利用統計情報を参照して、例えば、音声出力や、メッセージの表示、または、バイブレーションの実行などの、ユーザへの洗濯終了通知処理を実行する。 【0262】 ステップS56において、洗濯機275の処理要求生成部309は、動作情報取得部312から供給される、洗濯機275の扉の開閉を示す情報を基に、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けたか否かを判断する。 【0263】 ステップS56において、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けていないと判断された場合、処理は、ステップS53戻り、ステップS56において、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けたと判断されるまで、ステップS53の処理が繰り返され、処理要求生成部309は、ソフトウェアセル生成部305を制御して、これまでの処理実行リクエストコマンドとは異なる送信先が指定された処理実行リクエストコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給する。ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行リクエストコマンドを、ホームネットワーク251を介して、指定された装置に送信する。ここでは、2番目の装置として、ラジオ281に処理実行リクエストコマンドが送信されるものとして説明する。 【0264】 ステップS57において、ラジオ281のソフトウェアセル送受信制御部306は、ステップS53においてパーソナルコンピュータ261(当審注:「洗濯機275」の誤記と認める。)から送信された処理実行リクエストコマンドを受信し、ソフトウェアセル解析部307に供給する。 【0265】 ステップS58において、ラジオ281のソフトウェアセル解析部307は、供給された処理実行リクエストコマンドを解析して、解析結果を、動作制御部311に供給し、動作制御部311は、供給された解析結果に含まれる利用統計情報を参照して、例えば、音声出力などの、ユーザへの洗濯終了通知処理を実行する。 【0266】 ステップS56において、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けたと判断された場合、ステップS59において、洗濯機275の処理要求生成部309は、処理が終了したことを認識し、ソフトウェアセル生成部305に処理実行キャンセルリクエストコマンドを生成させ、ソフトウェアセル送受信制御部306に、ホームネットワーク251を介して、処理実行リクエストコマンドの送信先となったすべての装置に対して、処理実行キャンセルリクエストコマンドを送信する。 【0267】 ステップS60において、携帯電話機264のソフトウェアセル送受信制御部306は、ステップS59においてパーソナルコンピュータ261(当審注:「洗濯機275」の誤記と認める。)から送信された処理実行キャンセルリクエストコマンドを受信し、ソフトウェアセル解析部307に供給する。ソフトウェアセル解析部307は、処理実行キャンセルリクエストコマンドの解析結果をソフトウェアセル生成部305に供給するので、ソフトウェアセル生成部305は、処理実行キャンセルリクエストコマンドの受信を通知するための処理実行キャンセルレスポンスコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給する。ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行キャンセルレスポンスコマンドを、ホームネットワーク251を介して、洗濯機275に送信する。 【0268】 また、ステップS61において、ステップS60において携帯電話機264が実行した処理と基本的に同様の処理が、ラジオ281において実行されて、処理が終了される。 【0269】 このような処理により、洗濯機275の処理が終了したとき、ユーザが洗濯機275のそばにいないで、どこか異なる場所にいたとしても、利用統計情報が参照されて、その時間帯にユーザが利用している、または、近傍に存在する可能性が高い機器で、かつ、音声または映像出力の機能のある機器が選択されて、洗濯機275の終了を通知することができる。」 ク 段落【0287】-【0288】 「【0287】 ステップS112において、洗濯機275の処理要求生成部309は、全利用統計情報記憶部308に記憶されている利用統計情報を参照して、ユーザがこの時間に頻繁に利用している音声再生機能を有する装置を選択する。 【0288】 ステップS113において、洗濯機275の処理要求生成部309は、ユーザがこの時間に頻繁に利用している音声再生機能を有する装置である、ラジオ281およびロケーションフリーTV265に、音声データの再生中であるか否かを判断させ、音声データの再生中である場合は、再生中の音声データをPDA263に送信させるためのコマンド、および、PDA263に、送信された音声データを再生させるためのコマンドの生成と出力を、ソフトウェアセル生成部305に要求する。ソフトウェアセル生成部305は、図24を用いて説明した処理実行リクエストコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給する。ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行リクエストコマンドを、ホームネットワーク251を介して、PDA263、ラジオ281、および、ロケーションフリーTV265に送信する。」 よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「ホームネットワーク251には、携帯電話機264、ロケーションフリーTV265、洗濯機275、および、ラジオ281などが、有線、または、無線で接続され、 例えば、洗濯機275の終了通知を他の機器を用いて行う場合に、洗濯機275は、利用統計情報を参照し、その時間帯にユーザが近傍に存在する可能性が最も高い機器で、かつ、音声または映像出力の機能のある機器を、通知処理の実行要求を送信する機器として選択することができ、洗濯機275の終了通知を行う機器として選択された機器が、ロケーションフリーTV265である場合、表示部に、洗濯機275の処理が終了したことをユーザに通知するためのメッセージが表示され、ユーザは、洗濯機275の扉を開けて洗濯物を取り出すことにより、終了通知を確認したことを洗濯機275に認識させることができ、洗濯機275は、ユーザが終了通知を確認したことを認識することができなかった場合、次にその時間帯にユーザが近傍に存在する可能性が高い機器で、かつ、音声または映像出力の機能のある機器を選択し、終了通知を実行させることができる方法であって、 ステップS51において、洗濯機275の処理要求生成部309は、動作情報取得部312により取得された洗濯終了を示す動作情報の供給を受け、 ステップS52において、洗濯機275の処理要求生成部309は、全利用統計情報記憶部308に記憶されている利用統計情報を参照して、ユーザへの洗濯終了通知処理実行を指令する装置の優先順位を決定し、具体的には、ユーザに対して、表示などを用いて、洗濯機275の終了を通知する機能を有する装置であって、現在の時刻に、洗濯機275を使用しているユーザが利用している可能性の高い装置を、優先順位の高い装置として選択し、 ステップS53において、洗濯機275の処理要求生成部309は、ユーザに洗濯機275の処理の終了を通知させる処理を他の装置に実行させるためのコマンドの生成と出力を、ソフトウェアセル生成部305に要求し、ソフトウェアセル生成部305は、処理実行リクエストコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給し、ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行リクエストコマンドを、ホームネットワーク251を介して、ステップS52の処理により優先順位が上位であるとされた装置に送信し、 優先順位の高い装置として、携帯電話機264、および、ラジオ281が選択された場合、 ステップS54において、携帯電話機264のソフトウェアセル送受信制御部306は、ステップS53において洗濯機275から送信された処理実行リクエストコマンドを受信し、ソフトウェアセル解析部307に供給し、 ステップS55において、携帯電話機264のソフトウェアセル解析部307は、供給された処理実行リクエストコマンドを解析して、解析結果を、動作制御部311に供給し、動作制御部311は、供給された解析結果に含まれる利用統計情報を参照して、例えば、音声出力や、メッセージの表示、または、バイブレーションの実行などの、ユーザへの洗濯終了通知処理を実行し、 ステップS56において、洗濯機275の処理要求生成部309は、動作情報取得部312から供給される、洗濯機275の扉の開閉を示す情報を基に、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けたか否かを判断し、 ステップS56において、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けていないと判断された場合、処理は、ステップS53戻り、処理要求生成部309は、ソフトウェアセル生成部305を制御して、これまでの処理実行リクエストコマンドとは異なる送信先が指定された処理実行リクエストコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給し、ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行リクエストコマンドを、ホームネットワーク251を介して、指定された、2番目の装置として、ラジオ281に処理実行リクエストコマンドが送信され、 ステップS58において、ラジオ281のソフトウェアセル解析部307は、供給された処理実行リクエストコマンドを解析して、解析結果を、動作制御部311に供給し、動作制御部311は、供給された解析結果に含まれる利用統計情報を参照して、音声出力などの、ユーザへの洗濯終了通知処理を実行し、 ステップS56において、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けたと判断された場合、ステップS59において、洗濯機275の処理要求生成部309は、処理が終了したことを認識し、ソフトウェアセル生成部305に処理実行キャンセルリクエストコマンドを生成させ、ソフトウェアセル送受信制御部306に、ホームネットワーク251を介して、処理実行リクエストコマンドの送信先となったすべての装置に対して、処理実行キャンセルリクエストコマンドを送信し、 ステップS60において、携帯電話機264のソフトウェアセル送受信制御部306は、ステップS59において洗濯機275から送信された処理実行キャンセルリクエストコマンドを受信し、ソフトウェアセル解析部307に供給し、ソフトウェアセル解析部307は、処理実行キャンセルリクエストコマンドの解析結果をソフトウェアセル生成部305に供給するので、ソフトウェアセル生成部305は、処理実行キャンセルリクエストコマンドの受信を通知するための処理実行キャンセルレスポンスコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給し、ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行キャンセルレスポンスコマンドを、ホームネットワーク251を介して、洗濯機275に送信し、 ステップS61において、ステップS60において携帯電話機264が実行した処理と基本的に同様の処理が、ラジオ281において実行されて、処理が終了され、 このような処理により、洗濯機275の処理が終了したとき、ユーザが洗濯機275のそばにいないで、どこか異なる場所にいたとしても、利用統計情報が参照されて、その時間帯にユーザが利用している、または、近傍に存在する可能性が高い機器で、かつ、音声または映像出力の機能のある機器が選択されて、洗濯機275の終了を通知することができる、方法。」 (3) 引用文献2-4の記載事項 ア 引用文献2 当審拒絶理由通知で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2002-369257号公報(平成14年12月20日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面(特に、【図1】、【図3】、【図4】を参照。)と共に、次の事項が記載されている。 (ア) 段落【0028】-【0034】 「【0028】上記のような構成の携帯電話機に着信がなされた場合、例えば、図3に示す手順に従って処理が行われる。 【0029】図3において、携帯電話機100に公衆網からの着信がなされると、公衆無線制御部103は着信信号を制御部120に出力する(1)。その着信信号を取得した制御部120は、着信通知の出力が可能な外部機器の探索を要求するための機器要求情報を機器発見部115に出力する(2)。すると、機器発見部115は外部機器を探索するための処理を行う。 【0030】この処理により、短距離無線制御部110及び発信器111を介して機器問い合わせ情報が、例えば、Bluetoothのプロトコルに従って当該携帯電話機100の周囲に送信される(3)。この携帯電話機100の周囲に存在するステレオ装置201及びテレビ装置202(実際にはそれらのオーディオ装置に搭載された無線機器)がその機器問い合わせ情報を受信すると、それらのオーディオ装置201、202は、Bluetoothのプロトコルに従って機器応答情報を携帯電話機100に送信する(4)。 【0031】この機器応答情報には、例えば、そのオーディオ機器が出力可能なメディアの種類(画像、映像、音声、文字、光、振動等)に関する情報、そのオーディオ機器の現在の動作状態(オン状態、オフ状態、再生中、停止中など)に関する情報、及びそのオーディオ機器で再生されるメディアの品質(低品質、中品質、高品質)に関する情報が含まれる。 【0032】このようにステレオ装置201及びテレビ装置202からの機器応答情報を受信器112が受信すると、その機器応答情報は短距離無線制御部110及び機器発見部115を介して制御部120に供給される(5)。制御部120は、各オーディオ装置(ステレオ装置201、テレビ装置202)からの機器応答情報に基づいて着信通知を出力するための機器を選択する(6)。この機器選択のための処理は、例えば、図4に示す手順に従って行われる。 【0033】図4において、まず、各オーディオ装置から送信された機器応答情報に含まれる動作状態に関する情報に基づいて、メディア(音楽、映像など)の再生状態(オン状態で、再生中)にある機器が選択される(S61)。次に、このように選択された各機器のうちから、機器応答情報に含まれるメディアの種類に関する情報に基づいて、ユーザプロファイル123に設定されたメディアの優先度に従って、より優先度の高いメディアの出力が可能となる機器が選択される(S62)。更に、上記のようにして選択された機器のうちから、機器応答情報に含まれるメディアの品質に関する情報に基づいて、メディアの再生品質のより良好な機器が選択される(S63)。 【0034】なお、上記のように異なった基準に従って3段階の外部機器選択の処理(S61、S62、S63)が行われるが、その途中で選択された外部機器が1つとなったときには、その時点でその選択の処理は終了される。また、3段階の外部機器選択の処理が終了した時点で選択された外部機器が複数ある場合、更に、その中から、任意の1つが選択される。」 (イ) 段落【0039】 「【0039】更に、着信通知の出力機器として図1に示すテレビ装置202が選択されると、携帯電話機100から、例えば、発信者の電話番号、発信者の名前、発信者の写真が着信データとしてそのテレビ装置202に送信される。この場合、テレビ装置202は、その着信データを受信すると、表示中の映像に重畳させて、発信者の電話番号、発信者の名前、発信者の写真を表示する(図1参照)。これにより、テレビ装置202の映像を観ていたユーザは、その表示情報により携帯電話機100への着信を知ることができる。」 イ 引用文献3 当審拒絶理由通知で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2004-15169号公報(平成16年1月15日出願公開。以下、「引用文献3」という。)には、図面(特に、【図6】、【図9】を参照。)と共に、次の事項が記載されている。 (ア) 段落【0072】-【0076】 「【0072】 動作状況送信部113は、動作状況取得部112で所定の動作状況が取得された場合に、検出信号受信部111で検出信号が受信されたことを条件に、取得された所定の動作状況を、通信部130および家庭内LAN400を介して、テレビ200に送信する。所定の動作状況は、予め定められた動作状況であって、たとえば、「洗濯開始」、「洗い終了」、「すすぎ終了」および「乾燥終了」などである。所定の動作状況は、運転制御部160から取得することが可能な動作状況すべてであってもよいし、制御部110のROMに予め記憶された動作状況であってもよい。 【0073】 テレビ200は、テレビ200の情報伝達機能を制御する制御部210と、テレビ200を家庭内LAN400と接続するためのインタフェイスである通信部230と、所定の情報を出力するための出力部250とを含む。 ・・・(中略)・・・ 【0076】 情報出力部212は、動作状況受信部211で受信された動作状況を出力部250に出力する。」 (イ) 段落【0084】 「【0084】 以上、説明したように、第1の実施の形態におけるネット家電システムにおいて、洗濯機100は、所定の動作状況を取得した場合、センサ300から人が近傍にいることを示す検出信号を受信したことを条件に、所定の動作状況をセンサ300と同じ部屋に設置されたテレビ200に送信する。そして、テレビ200は、洗濯機100の所定の動作状況を受信し、出力する。このため、テレビ200の近傍に人がいる場合に、洗濯機100の動作状況をテレビ200で出力することができる。その結果、必要に応じて情報を伝達することが可能なネット家電システムを提供することができる。 (ウ) 段落【0087】-【0093】 「【0087】 (第1の実施の形態の第1の変形例) 第1の実施の形態の第1の変形例においては、第1の実施の形態の洗濯機100に検出信号送信要求部114を追加した洗濯機100Aが、センサ300に検出信号の送信を要求して、センサ300から検出信号を受信する場合について説明する。 【0088】 図5は、第1の実施の形態の第1の変形例におけるネット家電システムの洗濯機100Aの情報伝達機能を示す機能ブロック図である。図5を参照して、ネット家電システムは、洗濯機100Aと、テレビ200と、センサ300とを含む。テレビ200と、センサ300とについては、図2で説明したので、説明は繰返さない。 【0089】 洗濯機100Aは、洗濯機100Aの情報伝達機能を制御する制御部110Aと、洗濯機100Aを家庭内LAN400と接続するためのインタフェイスである通信部130と、洗濯機100Aの運転を制御する運転制御部160とを含む。 【0090】 洗濯機100Aの制御部110Aは、検出信号受信部111と、動作状況取得部112と、動作状況送信部113と、検出信号送信要求部114とを含む。検出信号受信部111と、動作状況取得部112と、動作状況送信部113とについては、図2で説明したので、説明は繰返さない。 【0091】 検出信号送信要求部114は、検出信号の送信をセンサ300に要求する。センサ300は、この要求に従って、検出信号を洗濯機100Aに送信する。 【0092】 図6は、第1の実施の形態の第1の変形例におけるネット家電システムの洗濯機100Aで行なわれる情報伝達処理の流れを示すフローチャートである。図6を参照して、まず、動作状況取得部111により、洗濯機100Aの所定の動作状況が、運転制御部160から取得される(ステップS14)。そして、検出信号送信要求部114により、検出信号の送信がセンサ300に要求される(ステップS19)。次に、検出信号受信部111により、センサ300から検出信号が受信されたか否かが判断され、検出信号が受信された場合は、ステップS16に進み、所定の時間、検出信号が受信されない場合は、ステップS14に戻る(ステップS15)。最後に、取得された所定の動作状況が、検出信号を送信したセンサ300と同じ部屋に設置されたテレビ200に送信され(ステップS16)、ステップS14に戻る。 【0093】 以上、説明したように、第1の実施の形態の第1の変形例において、洗濯機100Aは、センサ300に検出信号の送信を要求して、センサ300から検出信号を受信する。このため、必要に応じて、検出信号を受信することができる。」 (エ) 段落【0113】-【0122】 「【0113】 (第1の実施の形態の第3の変形例) 第1の実施の形態の第3の変形例においては、第1の実施の形態におけるセンサ300Bが、テレビ200に備えられる場合について説明する。 【0114】 図9は、第1の実施の形態の第3の変形例におけるネット家電システムの情報伝達機能を示す機能ブロック図である。図9を参照して、ネット家電システムは、洗濯機100Cとテレビ200Aとを含む。 【0115】 テレビ200Aは、テレビ200Aの情報伝達機能を制御する制御部210Aと、テレビ200Aを家庭内LAN400と接続するためのインタフェイスである通信部230と、所定の情報を出力するための出力部250と、テレビ200Aの運転を制御する運転制御部260と、センサ300Bとを含む。 【0116】 センサ300Bは、操作検出部370と、検出信号送信部312Bとを含む。 テレビ200Aの制御部210Aは、動作状況受信部211と、情報出力部212とを含む。 【0117】 洗濯機100Cは、洗濯機100Cの情報伝達機能を制御する制御部110Cと、洗濯機100Cを家庭内LAN400と接続するためのインタフェイスである通信部130と、洗濯機100Cの運転を制御する運転制御部160とを含む。 【0118】 洗濯機100Cの制御部110Cは、検出信号受信部111Bと、動作状況取得部112と、動作状況送信部113とを含む。 【0119】 センサ300Bの操作検出部370は、テレビ200Aの運転制御部260から、テレビ200Aが人に操作されているか否かを検出する。たとえば、テレビ200Aのリモコンが操作されると、運転制御部260にリモコンからの操作信号が入力される。操作検出部370は、入力された操作信号を検出することにより、テレビ200Aが人に操作されているか否かを検出することができる。 【0120】 センサ300Bの検出信号送信部312Bは、操作検出部370で人による操作が検出された場合、人に操作されていることを示す検出信号を、テレビ200Aの通信部230および家庭内LAN400を介して、洗濯機100Cに送信する。また、検出信号送信部312Bは、操作検出部370で人による操作が検出されない場合、人に操作されていないことを示す不検出信号を、洗濯機100Cに送信するようにしてもよい。 【0121】 洗濯機100Cの検出信号受信部111Bは、テレビ200Aに備えられたセンサ300Bから家庭内LAN400および通信部130を介して、検出信号を受信したか否かを判断する。そして、検出信号受信部111Bは、所定の時間、検出信号が受信されない場合は、受信していないと判断する。所定の時間とは、検出信号を受信し始めてから、受信していないと判断するまでの時間であり、たとえば、1分間である。また、検出信号送信部312Bが検出信号あるいは不検出信号を送信するようにした場合、検出信号受信部111Bは、検出信号あるいは不検出信号のいずれを受信したかを判断するようにしてもよい。 【0122】 洗濯機100Cの動作状況取得部112と動作状況送信部113との機能、および、テレビ200Aの動作状況受信部211と情報出力部212の機能については、図2で説明したので、説明は繰返さない。」 (オ) 段落【0129】-【0140】 「【0129】 (第1の実施の形態の具体例) 図11は、第1の実施の形態の具体例におけるネット家電システムの概略を示す図である。図11を参照して、ネット家電システムは、ネット家電システムは、洗濯機501と、電子レンジ502と、テレビ503と、DVDプレーヤ504と、モニタ505と、ゲーム機506と、センサ601,602とを含む。部屋1には、洗濯機501が設置される。部屋2には、電子レンジ502が設置される。部屋3には、テレビ503と、DVDプレーヤ504と、センサ601とが設置される。部屋4には、モニタ505と、ゲーム機506と、センサ602とが設置される。また、図には記載していないが、各機器は、家庭内LAN400に接続されており、互いに情報を送受信することが可能である。 【0130】 第1の実施の形態の具体例においては、それぞれの家電501?506が、以下のように使用されている時を例に説明する。 【0131】 洗濯機501は、母親によって使用中であり、脱水運転中である。 電子レンジ502は、母親によって使用中であり、パンの発酵処理運転中である。 【0132】 DVDプレーヤ504は、映画を再生中であり、テレビ503は、DVDプレーヤ504で再生された映画を出力している。母親は、洗濯機501で洗濯を開始させ、電子レンジ502でパンの発酵処理を開始させた後、部屋3で、テレビ503およびDVDプレーヤ504で再生されている映画を鑑賞している。 【0133】 ゲーム機506は、ゲームソフトを実行中であり、モニタ505は、ゲーム機506で実行されているゲームを出力している。子供は、部屋4にいて、モニタ505およびゲーム機506を用いてゲームをしている。 【0134】 動作状況送信側の家電である洗濯機501と電子レンジ502とでは、まず、所定の動作状況が取得される。ここでは、所定の動作状況は、洗濯機501については、「脱水終了」であり、電子レンジ502については、「パン発酵終了」である。 【0135】 そして、所定の人が近傍にいることを示す検出信号の送信をセンサ601,602に要求する。ここでは、所定の人は、洗濯機501および電子レンジ502を使用している母親である。 【0136】 次に、所定の人を検出したセンサ601から検出信号が受信される。ここでは、母親が部屋3にいるので、部屋3に設置されたセンサ601から検出信号が受信される。 【0137】 最後に、検出信号を送信したセンサ601と同じ部屋の家電に所定の動作状況が送信される。ここでは、センサ601と同じ部屋の家電であるテレビ503およびDVDプレーヤ504に、洗濯機501の「脱水終了」と電子レンジ502の「パン発酵終了」とが送信される。 【0138】 動作状況受信側の家電では、まず、動作状況送信側の家電から所定の動作状況が受信されたか否かが判断される。ここでは、動作状況受信側の家電は、テレビ503およびDVDプレーヤ504である。モニタ505およびゲーム機506の近傍には、所定の人である母親がいないために、動作状況は送信されない。また、洗濯機501から所定の動作状況である「脱水終了」が受信され、電子レンジ502から「パン発酵終了」が受信される。 【0139】 そして、受信された所定の動作状況がテレビ503およびDVDプレーヤ504の出力部に出力される。 【0140】 以上、説明したように、第1の実施の形態の具体例におけるネット家電システムでは、動作状況送信側の家電である洗濯機501および電子レンジ502は、所定の人である母親が近傍にいる動作状況受信側の家電であるテレビ503およびDVDプレーヤ504に、所定の動作状況である「脱水終了」および「パン発酵終了」をそれぞれ送信する。また、動作状況受信側の家電であるテレビ503およびDVDプレーヤ504は、受信した動作状況である「脱水終了」および「パン発酵終了」を出力する。このため、母親は、テレビ503およびDVDプレーヤ504で、洗濯機501の「脱水終了」および電子レンジ502の「パン発酵終了」を知ることができる。また、子供は、動作状況の出力に邪魔をされずに、ゲームを楽しむことができる。その結果、所定の人にのみ、必要に応じて情報を伝達することが可能な情報伝達システムを提供することができる。」 ウ 引用文献4 当審拒絶理由通知で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2008-135935号公報(平成20年6月12日出願公開。以下、「引用文献4」という。)には、図面(特に、【図2】、【図3】、【図6】の記載を参照。)と共に、次の事項が記載されている。 (ア) 段落【0055】-【0067】 「【0055】 次に、図6及び7に基づいて、本実施形態にかかるテレビ電話システム100により実行される処理の一例を説明する。ここで、図6は、本実施形態にかかるテレビ電話システム100により実行される、テレビ電話機120への着信時の処理の流れを示すシーケンス図であり、図7は上記処理の流れを示すフローチャートである。 【0056】 図6及び7を参照すると、まず、ステップS200で、テレビ電話機120に対し着信があったことを、テレビ電話サーバ110が検出する。 【0057】 次いで、ステップS202で、テレビ電話サーバ110は、AV機器サーバ130に対し、着信があったことを通知するための着信通知を送信する。テレビ電話サーバ110は、着信通知と同時に、テレビ電話機120のナンバーディスプレイ機能等により取得された発信者番号や、発信者番号に対応付けて登録された発信者名等の発信者情報を取得し、AV機器サーバ130に通知するようにしてもよい。 【0058】 AV機器サーバ130は、ステップS204で着信通知を受信すると、ステップS206で現在テレビ受像機140において表示中のコンテンツの一部を上書きして、図2に示すように、着信を通知する表示が行われるように合成映像を生成する。また、テレビ電話サーバ110から、着信通知と同時に発信者情報が通知された場合は、図3に示すように、着信通知と共に発信者情報が画面に表示されるように合成映像を生成する。 【0059】 ここで、テレビ受像機140において、例えば電源がオフになっている等で、コンテンツが表示されていない場合は、映像の合成を行わないようにしてもよい。あるいは、テレビ制御部134によってテレビ受像機140の電源状態を調べ、電源状態がオフの場合は、自動的にオンに切り替える等して、受信されたテレビ番組等のコンテンツを用いて合成映像を生成するようにしてもよい。 【0060】 次いで、ステップS208で、AV機器サーバ130は、合成映像をテレビ受像機140に送信し、図2または図3に示す例のように、テレビ受像機140の画面に着信通知を含む合成映像を表示させる。 【0061】 さらに、テレビ電話機120において着信に対する応答がなされた場合、ステップS210で、テレビ電話サーバ110は、テレビ電話機120から応答通知を受信する。次いで、ステップS212で、テレビ電話サーバ110は、通話が開始されたことを通知する通話開始通知をAV機器サーバ130に送信する。通話開始通知を受信したAV機器サーバ130は、ステップS214で、通話が開始された旨をテレビ受像機140に表示する。また、テレビ電話サーバ110は、着信中の呼の発信元に対し通話開始を通知し、電話回線を通じて通話路が形成される。 【0062】 テレビ電話機120において通話が開始されるとテレビ電話サーバ110は、電話回線を通じて発信元の電話機から音声信号と映像信号とを受信する。音声信号はテレビ電話機120に送信され、ユーザは、テレビ電話機120に設けられた受話器等により、相手と通話を行う。また、映像信号はテレビ電話サーバ110に送信される。ステップS216において、テレビ電話サーバ110は、受信した映像信号を映像デコード部に渡して映像をデコードする。 【0063】 デコードされた映像信号は、通信映像送信部114によってAV機器サーバ130に送信され、ステップS218において、AV機器サーバ130に受信される。ステップS220で、AV機器サーバ130は、受信した映像信号と現在テレビ受像機140に表示中のコンテンツとを合成する。次いで、ステップS222で合成された合成映像をテレビ受像機140に送信し、例えば、図4または図5に示す例のように、合成映像をテレビ受像機140の画面上に表示させる。 【0064】 このようにして、通話中、通話相手のテレビ電話から送信される映像を、テレビ電話サーバ110がAV機器サーバ130に送信し、AV機器サーバ130は、映像合成を行ってテレビ受像機140に表示させるという処理が繰り返し行われる。 【0065】 その後、テレビ電話機120あるいは通話相手のテレビ電話機において、呼が切断されたとする。すると、ステップS224において、テレビ電話サーバ110は、通話が終了した旨の通知を受信する。 【0066】 テレビ電話サーバ110は、通話終了の通知を受信すると、ステップS226で、通話終了通知をAV機器サーバ130に対して送信する。 【0067】 ステップS228で、AV機器サーバ130は、テレビ電話サーバ110から通話終了通知を受信すると、ステップS230で、テレビ受像機140の画面に通話終了を通知する表示が行われるように、映像合成を行って、テレビ受像機140に表示する。その後、通話終了の合成映像を所定の時間表示したら、合成映像の表示を終了し、元のコンテンツのみの表示に切り替える等してもよい。あるいは、ユーザの操作によって合成映像の表示を終了するようにしてもよい。また、ステップS206において、テレビ受像機140の電源を自動的にオンに切り替えた場合は、電源を自動的にオフにして元の状態に戻す等の処理を行ってもよい。」 (4) 他の周知文献 原査定時の「引用文献4」である、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2007-173920号公報(平成19年7月5日出願公開。以下、「周知文献1」という。)には、図面(特に、【図2】、【図6】を参照。)と共に、次の事項が記載されている。 ア 段落【0010】-【0011】 「【0010】 また、本発明の通信端末装置は、前記イベント通知制御手段が、前記複数の前記外部装置の中から、前記電源状態がオンである外部装置を選定する構成を有する。 【0011】 この構成により、複数の外部装置の中から、使用中である外部装置を選定するため、イベントが発生したことをユーザに認識させる可能性を高めることができる。」 イ 段落【0026】-【0028】 「【0026】 (実施の形態1) 図2は、本発明の実施の形態1における通信システムの概略構成を示す図である。 【0027】 通信システム1は、通信端末装置である携帯電話機10と、外部装置である携帯ゲーム機20、音楽プレイヤ30、カーナビゲーション40、テレビ50及び腕時計60とから構成されている。 【0028】 携帯電話機10は、無線通信等によって音声着信又はメール着信等の外部イベントが発生したことや、目覚ましアラーム又はスケジュールアラーム等の内部イベントが発生したことを周辺に存在する携帯ゲーム機20、音楽プレイヤ30、カーナビゲーション40、テレビ50又は時計60の中から、適切な通知対象を選定して通知することができる。」 ウ 段落【0086】 「【0086】 次に、外部装置管理手段16は、予め登録されている各外部装置の電源状態を全て「OFF」に初期化する。また、予め登録されている識別情報を含む電源状態取得要求信号を外部装置用通信手段17に対して送出し、計時手段(図示せず)による一定時間(例えば、5秒とする)の計時を開始させる。外部装置用通信手段17は、識別情報に基づき、各外部装置の通信端末装置用通信手段に対して、通信要求信号(通信種別:電源状態取得)を送出し(ステップS3)、通信応答信号(通信種別:電源状態取得)を受信したか否かを判定する(ステップS4)。」 (5) 引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明の「洗濯機275」は、有線又は無線で「ホームネットワーク251」に接続されているから、本件補正発明の「ネットワーク内の第1デバイス」に相当する。 引用発明の「洗濯機275の終了通知」(「洗濯終了通知」)は、本件補正発明の「デバイスの作動状態変更の通知」に相当する。 よって、引用発明の「洗濯機275の終了通知を他の機器を用いて行う」、一連のステップからなる方法は、本件補正発明の「ネットワーク内の第1デバイスによって実行される、デバイスの作動状態変更の通知方法」に相当する。 イ 引用発明の「洗濯機275」が「洗濯終了」することは、本件補正発明の「前記第1デバイスの作動状態における1次変更」に相当する。 引用発明の「ユーザが利用している可能性の高い装置を、優先順位の高い装置として選択し」、「優先順位の高い装置として、携帯電話機264、および、ラジオ281が選択された場合」における「携帯電話機264、および、ラジオ281」は、本件補正発明の「前記ユーザが現在使用中の少なくとも1つの第2デバイス」と、「前記ユーザの使用可能性に基づいて」検索された「少なくとも1つの第2デバイス」である点で共通するといえる。 よって、引用発明において「ユーザが近傍に存在する可能性が最も高い機器」を選択するために、「ステップS51において、洗濯機275の処理要求生成部309は、動作情報取得部312により取得された洗濯終了を示す動作情報の供給を受け」た場合に、「ステップS52において、洗濯機275の処理要求生成部309は、全利用統計情報記憶部308に記憶されている利用統計情報を参照して、ユーザへの洗濯終了通知処理実行を指令する装置の優先順位を決定し」、「優先順位の高い装置として、携帯電話機264、および、ラジオ281が選択され」る、引用発明の「ステップS52」は、本件補正発明の「前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、ユーザによって現在使用されているデバイスを検索していることを示す検索信号を前記ネットワークの1つ以上のデバイスに伝送し、前記検索信号に応答して前記1つ以上のデバイスからユーザの現在の使用状態又は未使用状態を示す情報を受け取ることにより、前記ネットワーク内の前記ユーザによって使用可能な他のデバイスの中から前記ユーザが現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」と、「前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、前記ネットワーク内の前記ユーザによって使用可能な他のデバイスの中から前記ユーザの使用可能性に基づいて少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」である点で共通するといえる。 ウ 引用発明の「ステップS53において、洗濯機275の処理要求生成部309は、ユーザに洗濯機275の処理の終了を通知させる処理を他の装置に実行させるためのコマンドの生成と出力を、ソフトウェアセル生成部305に要求し、ソフトウェアセル生成部305は、処理実行リクエストコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給し、ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行リクエストコマンドを、ホームネットワーク251を介して、ステップS52の処理により優先順位が上位であるとされた装置に送信し」ている、引用発明の「ステップS53」は、本件補正発明の「前記現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスに、前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報を伝送する段階」と、「前記少なくとも1つの第2デバイスに、前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報を伝送する段階」である点で共通するといえる。 エ 引用発明における「洗濯終了」後の「ユーザの操作(洗濯物の取り出し)」を示す「洗濯機275の扉の開閉を示す情報」は、本件補正発明の「前記1次変更に対するユーザの対応を示すユーザ応答」に相当する。 引用発明の「洗濯機275」が「ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けた」ことは、本件補正発明の「前記第1デバイスの作動状態における2次変更」に相当する。 よって、引用発明の「ステップS56において、洗濯機275の処理要求生成部309は、動作情報取得部312から供給される、洗濯機275の扉の開閉を示す情報を基に、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けたか否かを判断し ・・・(中略)・・・ ステップS56において、ユーザへの洗濯終了通知処理の実行から所定時間のうちに、ユーザの操作(洗濯物の取り出し)を受けたと判断された場合、ステップS59において、洗濯機275の処理要求生成部309は、処理が終了したことを認識し、ソフトウェアセル生成部305に処理実行キャンセルリクエストコマンドを生成させ、ソフトウェアセル送受信制御部306に、ホームネットワーク251を介して、処理実行リクエストコマンドの送信先となったすべての装置に対して、処理実行キャンセルリクエストコマンドを送信し」、「ステップS60において、携帯電話機264のソフトウェアセル送受信制御部306は、ステップS59において洗濯機275から送信された処理実行キャンセルリクエストコマンドを受信し、ソフトウェアセル解析部307に供給し、ソフトウェアセル解析部307は、処理実行キャンセルリクエストコマンドの解析結果をソフトウェアセル生成部305に供給するので、ソフトウェアセル生成部305は、処理実行キャンセルリクエストコマンドの受信を通知するための処理実行キャンセルレスポンスコマンドを生成して、ソフトウェアセル送受信制御部306に供給し、ソフトウェアセル送受信制御部306は、供給された処理実行キャンセルレスポンスコマンドを、ホームネットワーク251を介して、洗濯機275に送信し」ている、引用発明の「ステップS56」、「ステップS59」、「ステップS60」は、本件補正発明の「前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更に対するユーザの対応を示すユーザ応答を受け取ることにより、前記第1デバイスの作動状態における2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更を示す情報を前記少なくとも1つの第2デバイスに伝送する段階」に相当する。 オ 引用発明の「ステップS55において、携帯電話機264のソフトウェアセル解析部307は、供給された処理実行リクエストコマンドを解析して、解析結果を、動作制御部311に供給し、動作制御部311は、供給された解析結果に含まれる利用統計情報を参照して、例えば、音声出力や、メッセージの表示、または、バイブレーションの実行などの、ユーザへの洗濯終了通知処理を実行し」ている、引用発明の「ステップS55」は、本件補正発明の「前記1次変更を示す情報は、前記少なくとも1つの第2デバイスのディスプレイ部に所定のユーザインターフェースを通じて表示され」ることに相当する。 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「ネットワーク内の第1デバイスによって実行される、デバイスの作動状態変更の通知方法であって、 前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、前記ネットワーク内の前記ユーザによって使用可能な他のデバイスの中から前記ユーザの使用可能性に基づいて少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階と、 前記少なくとも1つの第2デバイスに、前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報を伝送する段階と、 前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更に対するユーザの対応を示すユーザ応答を受け取ることにより、前記第1デバイスの作動状態における2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更を示す情報を前記少なくとも1つの第2デバイスに伝送する段階と、 を含み、 前記第1デバイスの前記作動状態における前記1次変更を示す情報は、前記少なくとも1つの第2デバイスのディスプレイ部に所定のユーザインターフェースを通じて表示される、方法。」 [相違点1] 「少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」について、本件補正発明では、前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、「ユーザによって現在使用されているデバイスを検索していることを示す検索信号を前記ネットワークの1つ以上のデバイスに伝送し、前記検索信号に応答して前記1つ以上のデバイスからユーザの現在の使用状態又は未使用状態を示す情報を受け取ることにより」、「ユーザが現在使用中の」少なくとも1つの第2デバイスを検索して、「前記現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスに」1次変更を示す情報を伝送するのに対して、引用発明の「ステップS52」は、「利用統計情報を参照して」、「現在の時刻に、洗濯機275を使用しているユーザが利用している可能性の高い装置」を検索して、一次変更を示す情報を伝送するものであって、「ユーザによって現在使用されているデバイスを検索していることを示す検索信号を前記ネットワークの1つ以上のデバイスに伝送し、前記検索信号に応答して前記1つ以上のデバイスからユーザの現在の使用状態又は未使用状態を示す情報を受け取ることにより」、「ユーザが現在使用中の」デバイスを検索して1次変更を示す情報を伝送していない点。 [相違点2] 本件補正発明では、「前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態の前記2次変更を示す情報を表示するよう前記ユーザインターフェースが変更される」のに対して、引用発明の「ステップS60」、「ステップS61」では、「処理実行キャンセルリクエストコマンド」を受信した際に、「携帯電話機264」などが、具体的にどのような内容のユーザインタフェースを提示するのかが特定されていない点。 (6) 判断 [相違点1]について 引用文献1の段落【0012】には「本発明は …… ユーザの利用情報などを用いて、ユーザにとって有益な分散処理を行うことができるようにするものである。」と記載され、段落【0023】には「ネットワークに接続されている複数の情報処理装置の利用に関する第1の情報(例えば、利用統計情報)」と記載されるように(上記「(2)ア」、「(2)イ」を参照。)、「ステップS52」で、引用発明が「利用統計情報が参照されて、その時間帯にユーザが利用している、または、近傍に存在する可能性が高い機器」を選択しているのは、「装置の利用に関する情報」の一例にすぎないものと解される。 また、引用文献1の段落【0288】(上記「(2)ク」を参照。)には、洗濯中は、ラジオの音声データを、ユーザが保持する他の機器(PDA)に転送するという、別の実施例についての記載であるが、「洗濯機275」が、「ラジオ281およびロケーションフリーTV265に、音声データの再生中であるか否かを判断させ、音声データの再生中である場合は、再生中の音声データをPDA263に送信させる」ことが記載されるから、引用発明においても、利用統計情報を参照して選択された各デバイスに対して、装置の使用状態を受け取ることで、ユーザにより使用されているデバイスを検索するようにすることは可能であるといえる。 一般に、複数のデバイスを連携して動作させる際、各々のデバイスから動作状態等の情報を受け取ることによって、ユーザが使用中のデバイスを検索することは、引用文献2(上記「(3)ア(ア) 段落【0028】-【0034】」の下線部を参照。)、引用文献3(上記「(3)イ(ウ) 段落【0087】-【0093】」、及び、「(エ) 段落【0113】-【0122】」の下線部を参照。)、周知文献1(上記「(4)アーウの下線部を参照。)に記載されるように周知技術である。 また、各デバイスから情報を受け取るための手順として、一般に「コマンド/レスポンス方式」として知られるように、情報を受け取る側のデバイスからの所定の情報の「要求」に対する「応答」として、所定の情報を受け取る方法は、引用文献2(上記「(3)ア(ア) 段落【0028】-【0034】」の下線部を参照。)、引用文献3(上記「(3)イ(ウ) 段落【0087】-【0091】」、及び、「(オ) 段落【0129】-【0140】」の下線部を参照。)、周知文献1(上記「(4)ウの下線部を参照。)に記載されるように、さらに、引用文献1(上記「(2)カ 段落【0196】-【0200】」の「利用統計情報リクエストコマンド」と「利用統計情報レスポンスコマンド」の記載を参照。)にも記載されるように周知技術である。 よって、引用発明の機器の選択において、「装置の利用に関する情報」として、各々のデバイスから動作状態等の情報を受信することによって、ユーザが使用中の機器を検索する周知技術を採用するとともに、この際、各デバイスから情報を受け取るための手順として、一般に「コマンド/レスポンス方式」として知られる、情報を受け取る側のデバイスからの「要求」に対する「応答」として、情報を受け取る周知技術を採用することによって、前記第1デバイスの作動状態における1次変更が生じると、「ユーザによって現在使用されているデバイスを検索していることを示す検索信号を前記ネットワークの1つ以上のデバイスに伝送し、前記検索信号に応答して前記1つ以上のデバイスからユーザの現在の使用状態又は未使用状態を示す情報を受け取ることにより」、「ユーザが現在使用中の」少なくとも1つの第2デバイスを検索して、「前記現在使用中の少なくとも1つの第2デバイスに」1次変更を示す情報を伝送するように構成することによって、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 [相違点2]について 一般に、機器の動作中、ユーザインタフェースに、どのような内容を表示させるかは、ユーザの使い勝手や、装置が実行している具体的な処理内容などを考慮して、適宜選択すべき設計的事項であるといえる。 所定の動作の開始や終了などの機器の状態の変化に応じて、ユーザインタフェースの表示内容を随時変更することは、引用文献3(上記「(3)イ(ア) 段落【0072】-【0076】」の下線部を参照。)、引用文献4(上記「(3)ウ(ア) 段落【0055】-【0067】」の下線部を参照。)に記載されるように周知技術である。 よって、引用発明の「ステップS60」で「携帯電話機264」が「処理実行キャンセルリクエストコマンド」を受信した際、例えば、「処理実行がキャンセルされました。」と表示するなど、機器の状態の変化に応じて、ユーザインタフェースの表示内容を随時変更する周知技術を採用することによって、「前記第1デバイスの前記作動状態における前記2次変更が生じると、前記第1デバイスの前記作動状態の前記2次変更を示す情報を表示するよう前記ユーザインターフェースが変更される」上記相違点2の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (7) 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年9月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年4月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2、1(2)に記載した、その請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 拒絶の理由 平成30年6月4日付けの当審拒絶理由通知の理由は、次のとおりのものである。 この出願の請求項1-15に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された引用文献1-6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2006-018623号公報 引用文献2:特開2002-369257号公報 引用文献3:特開2004-015169号公報 引用文献4:特開2008-135935号公報 引用文献5:国際公開第2009/016760号 引用文献6:特開2004-70701号公報 3 引用文献 当審拒絶理由通知で引用された引用文献1-6のうち引用文献1-4及びその記載事項は、前記第2[理由]2の「(2) 引用文献1の記載事項」、及び、「(3) 引用文献2-4の記載事項」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から「第2デバイスを検索する段階」に係る限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(5)、(6)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2018-11-05 |
結審通知日 | 2018-11-06 |
審決日 | 2018-11-19 |
出願番号 | 特願2015-40394(P2015-40394) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
WZ
(G06F)
P 1 8・ 121- WZ (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮久保 博幸 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
山田 正文 稲葉 和生 |
発明の名称 | ネットワークを通じて作動状態変更通知の可能なデバイス及びその通信方法 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |