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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B65D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B65D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
管理番号 1350630
異議申立番号 異議2018-700618  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-26 
確定日 2019-02-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6268873号発明「包装用積層小袋材及びそれを用いた小袋並びに包装用小袋レーザー印字体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6268873号の明細書、特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。 特許第6268873号の請求項1?4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6268873号(以下「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成25年9月27日の出願であって、平成30年1月12日にその特許権の設定登録がされ(特許掲載公報 平成30年1月31日発行)、その後、特許異議の申立て期間内である平成30年7月26日に特許異議申立人白澤榮樹(以下「申立人」という。)により請求項1?4に係る特許について特許異議の申立てがされ、平成30年9月19日付けで取消理由が通知され、平成30年11月19日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたものである。
なお、特許権者による訂正の請求について、申立人に意見を提出する機会を与えたが、申立人から意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求は、「特許第6268873号の明細書、特許請求の範囲及び図面を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項1?4について訂正する」ことを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、訂正箇所を下線を付して示すと、以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な下地白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する包装用積層小袋材において、
樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく、視認側となる該基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる包装用積層小袋材。」と記載されているのを、
「樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用白色インキ下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、印刷層が絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する包装用積層小袋材において、
樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく、視認側となる該樹脂フィルム基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる包装用積層小袋材。」に訂正する(請求項1を引用する請求項2?4についても同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に、
「請求項1または2に記載の包装用積層小袋材あるいは請求項3に記載の小袋に、YAGまたはYVO_(4)レーザー光を樹脂フィルム基材側から照射することにより、炭化した白色インキの変色域が前記基材及び前記印刷用下地層の境界に広がり、レーザー印字画像を有するレーザー印字小袋体。」と記載されているのを、
「請求項1または2に記載の包装用積層小袋材あるいは請求項3に記載の小袋に、YAGまたはYVO_(4)レーザー光を樹脂フィルム基材側から照射することにより、炭化した白色インキの変色域が前記樹脂フィルム基材及び前記印刷用白色インキ下地層の境界に広がり、レーザー印字画像を有するレーザー印字小袋体。」と訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0018】?【0020】及び【0056】の記載並びに【図1】及び【図2】を削除する。

2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
上記訂正事項1は、請求項1において、「印刷用下地層」を「印刷用白色インキ下地層」に訂正し(訂正事項1-1)、最初の「絵柄印刷層」の前に「印刷層が」を挿入し(訂正事項1-2)、「下地白色インキ」を「白色インキ」に訂正し(訂正事項1-3)、「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」を「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」に訂正し(訂正事項1-4)、「該基材」を「該樹脂フィルム基材」に訂正(訂正事項1-5)するものである。
訂正事項1-1、訂正事項1-3及び訂正事項1-5は、使用する用語を統一することによって、「印刷用下地層」が「印刷用白色インキ下地層」であることを、「下地白色インキ」が「白色インキ」であることを、「該基材」が「該樹脂フィルム基材」であることをそれぞれ明確にするための訂正である。
また、訂正事項1-2は、ふたつの領域を有するのが「印刷層」であることを、明確にするための訂正である。
さらに訂正事項1-4は、「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」という記載では、「該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度」及び「絵柄印刷層とのラミネート強度」がそれぞれいかなる部材とのラミネート強度を指しているのかが明確でなかったものを、当該部材がいずれもが「樹脂フィルム基材」であることを明確にしたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項1は、用語を統一し、ふたつの領域が印刷層であることを明確にし、ラミネートの相手側を特定することにより、明瞭でない記載の釈明をするものであって、当該訂正により訂正前の請求項に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1のうち、訂正事項1-1、1-3及び1-5は、用語を統一するものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、訂正事項1-2は、本件特許明細書の「そして、本発明は、包装用積層小袋材及び包装用積層小袋において、以下の点によりレーザー印字を可能にしたものである。
1.基材層、絵柄印刷層と印刷用下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、絵柄印刷層とレーザー印字層となる印刷用下地層とが重なりあった領域と印刷用下地層のみの領域を有する包装用積層小袋材において、印刷用下地層は、レーザー光により印字可能な白色インキ層であり、印刷用下地層のみの領域をレーザー印字用領域とする包装用積層小袋材としたものである。・・・」(段落【0013】)との記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、訂正事項1-4は、本件特許明細書の「本発明において、基材層は、その使用目的、用途等に応じた樹脂フィルムであって、且つ、印刷層を積層した際に、該印刷下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より幾分小さい任意の樹脂フィルムを使用することができる。・・・」(段落【0021】)、「・・・本発明において、印刷層は、それぞれ同じかまたは異なるインキからなる印刷層を、2層またはそれ以上積層した構成であってもよい。ここで、基材層と接する側の印刷層を形成する印刷下地インキは、該基材層との間のラミネート強度が、包装用積層小袋材を構成する印刷層中で最も弱くなるように、例えば、1.8?3.5N/15mmの範囲となるように、バインダ樹脂の種類、含有量、積層方法等を選択する。・・・」(段落【0033】)との記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
上記訂正事項2は、請求項4において、使用する用語を統一することによって、「前記基材」が「前記樹脂フィルム基材」であり、「前記印刷用下地層」が「前記印刷用白色インキ下地層」であること明確にするための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項2は、使用する用語を統一し、明瞭でない記載の釈明をするものであって、当該訂正により訂正前の請求項に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、使用する用語を統一し、明瞭でない記載の釈明をするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
上記訂正事項3は、明細書の段落【0018】?【0020】及び【0056】段落の記載並びに【図1】及び【図2】の記載が、本件発明1?4を正確に理解する妨げになっていることを解消するため、これらの記載を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項3は、明細書中の記載及び図面を削除する訂正であって、当該訂正により訂正前の請求項に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項3は、明細書中の記載及び図面を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(4)一群の請求項及び明細書の訂正に係る請求項について
訂正前の請求項2?4は、訂正前の請求項1を引用するものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対して請求されたものである。
また、訂正事項3に係る明細書及び図面の訂正は、請求項1?4について行われたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

3.小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1.本件発明
上記のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下「本件発明1?4」という。また、本件発明1?4をまとめて「本件発明」ということもある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用白色インキ下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、印刷層が絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する包装用積層小袋材において、
樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく、視認側となる該樹脂フィルム基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層ルム基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる包装用積層小袋材。
【請求項2】
前記白色インキが、少なくともチタン酸化物を含む樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の包装用積層小袋材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装用積層小袋材を用いた小袋。
【請求項4】
請求項1または2に記載の包装用積層小袋材あるいは請求項3に記載の小袋に、YAGまたはYVO_(4)レーザー光を樹脂フィルム基材側から照射することにより、炭化した白色インキの変色域が前記樹脂フィルム基材及び前記印刷用白色インキ下地層の境界に広がり、レーザー印字画像を有するレーザー印字小袋体。」

2.取消理由の概要
本件発明1?4に対して平成30年9月19日付けで通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。

[理由1] 本件特許は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)特許請求の範囲の請求項1?4で、用語が統一されていない。また、明細書に記載された用語との対応関係も不明りょうである。
「印刷用下地層」(請求項1、4)と「印刷用白色インキ下地層」(請求項1)と「印刷下地層」(段落【0043】等)
「下地白色インキ」(請求項1)と「白色インキ」(請求項2)
「基材」(請求項1、4)と「樹脂フィルム基材」(請求項1、4)と「基材層」(段落【0021】等)

(2)請求項1の「樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な下地白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する」の記載は、以下のア、イの点で、不明りょうで、包装用積層小袋材の層構造が不明である。(請求項1を引用する請求項2?4についても同様。)
ア (「印刷用白色インキ下地層」が「印刷下地層」と違う層を指す場合)「印刷用白色インキ下地層」と「印刷層」(絵柄印刷層と印刷下地層からなる)と関係(層構成や位置)が不明である。
イ 「絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な下地白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する」の記載が、どういう構成を特定しようとしているのかが不明である。

(3)請求項1の「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく、視認側となる該基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる」の記載は、以下のア、イの点で、不明りょうで、どういう構成を特定しようとしているのかが不明である。(請求項1を引用する請求項2?4についても同様。)
ア 「該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度」、「絵柄印刷層とのラミネート強度」が、それぞれ相手側が特定されていないので、「該印刷用白色インキ下地層」とどの層とのラミネート強度、「絵柄印刷層」とどの層とのラミネート強度、を指しているかが不明である。
イ 「視認側となる該基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる」の「該基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面」の記載について、「印刷用白色インキ下地層」が「印刷用下地層」と同じ層を指す場合は、「印刷用白色インキ下地層」は「絵柄印刷層」とともに「印刷層」を構成するから、「印刷用白色インキ下地層」は基材と印刷層との間にないといえるし、「印刷用白色インキ下地層」が「印刷用下地層」と違う層を指す場合は、「印刷用白色インキ下地層」は「印刷層」とは別の構成となるが、「印刷用白色インキ下地層」により絵柄印刷層が視認できなくなってしまうから、いずれの場合にも、当該記載は、不明りょうな記載である。

(4)請求項4の「前記基材及び前記印刷用下地層の境界」が、どの部分を指しているのかが不明である。

(5)本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下のア、イの点で、本件発明1?4について当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
ア 本件発明1?4の「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」は、上記(3)で示したように不明りょうであり、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1?4を正確に理解し、その実施ができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
イ 発明の詳細な説明には、本件発明1?4のレーザーによる印字のしくみが記載されておらず、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1?4を正確に理解し、その実施ができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。

(6)図1、図2及び【0018】?【0020】には、図1及び図2に示される包装用積層小袋材が、「絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な下地白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する」要件を満たしている説明がされていないので、本件発明1?4の実施例とは認められず、当該記載は、当業者が本件発明1?4を正確に理解する妨げとなっている。

(7)本件特許明細書【0020】に「図3に示されるように、」とあるが、図3は願書に添付されていないので、当該記載は不明りょうである。

2 取消理由についての判断
(1) 理由1(特許法第36条第4項第1号及び同条第6項2号)について
ア 理由1の(1)について
本件訂正により、特許請求の範囲の請求項1?4で、「印刷用下地層」と「印刷用白色インキ下地層」は「印刷用白色インキ下地層」に統一され、「下地白色インキ」と「白色インキ」は「白色インキ」に統一され、「基材」と「樹脂フィルム基材」は「樹脂フィルム基材」に統一されたので、用語が統一されてないとの記載不備は解消された。
また、明細書の「印刷下地層」(段落【0043】等)について、段落【0043】には「(ラミネート強度)本発明の包装用積層小袋材において、基材層と印刷層との間のラミネート強度は・・・であり、且つ、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度が基材層と印刷下地層との間のラミネート強度より大きい必要があり、・・・」と記載されており、この記載から、「印刷下地層」が、請求項1の「印刷用白色インキ下地層」と同じ層を指していることは、当業者は明りょうに理解できるものとなった。
また、「基材層」(段落【0021】等)については、段落【0026】には「本発明において、基材層を形成する樹脂フィルムとしては、・・・」と記載されており、段落【0021】には「(基材層)本発明において、基材層は、その使用目的、用途等に応じた樹脂フィルムであって、且つ、印刷層を積層した際に、該印刷下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より幾分小さい任意の樹脂フィルムを使用することができる。 ・・・」と記載されており、これらの記載から、「基材層」が、請求項1の「樹脂フィルム基材」の層を指していることは、当業者は明りょうに理解できるものとなった。
よって、理由1の(1)の記載不備は、解消された。

イ 理由1の(2)について
本件訂正により、請求項1の「樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な下地白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する」との記載は、「樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用白色インキ下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、印刷層が絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する」に訂正された。それによって、「印刷用白色インキ下地層」と「印刷下地層」が、同じ「印刷用白色インキ下地層」を指すことが明確になった。また、「絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する」のは、「印刷層」であることが明確になった。
よって、理由1の(2)の記載不備は解消された。

ウ 理由1の(3)について
本件訂正により、請求項1の「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく、視認側となる該樹脂フィルム基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる」との記載は、「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく、視認側となる該樹脂フィルム基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる」に訂正された。
それにより、「該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度」、「絵柄印刷層とのラミネート強度」のそれぞれの相手方が、「樹脂フィルム基材」であることが明確になった。
また、「印刷用白色インキ下地層」と「印刷用下地層」が、同じ「印刷用白色インキ下地層」を指すことが明確になったので、請求項1の印刷層は「絵柄印刷層と印刷用白色インキ下地層」からなっているものであり、「印刷用白色インキ下地層」は「印刷層」の一部であるから、「樹脂フィルム基材と印刷層との間」にあるのは「印刷用白色インキ下地層の表面」であることが明確になった。そして、この「印刷用白色インキ下地層の表面」にのみ「レーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる」ことが明確になった。
よって、理由1の(3)の記載不備は、解消された。

エ 理由1の(4)について
本件訂正により、請求項4の「前記樹脂基材及び前記印刷用下地層の境界」との記載は、「前記樹脂フィルム基材及び前記印刷用白色インキ下地層の境界」に訂正された。
上記「前記樹脂フィルム基材及び前記印刷用白色インキ下地層の境界」との記載は、印刷層において、「印刷用白色インキ下地層のみの領域」、すなわち「樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とが直接接している」部分において、「樹脂フィルム基材及び印刷用白色インキ下地層」の間、言い換えれば、印刷用白色インキ下地層の表面の部分、を意味していることは、当業者に明確に理解できるものとなった。
よって、理由1の(4)の記載不備は解消された。

オ 理由1の(5)について
本件訂正により、本件発明1?4の「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」との記載は、「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」に訂正された。
本願明細書の段落【0021】の「(基材層)
本発明において、基材層は、その使用目的、用途等に応じた樹脂フィルムであって、且つ、印刷層を積層した際に、該印刷下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より幾分小さい任意の樹脂フィルムを使用することができる。・・・」との記載、段落【0029】?【0030】の「本発明の印刷下地層の白色インキを、必要に応じて慣用の溶剤で希釈し、基材層上に印刷または塗布することにより、印刷層を形成することができる。・・・
インキを構成するバインダ樹脂としては、従来公知のものであって、基材層上に積層した際に、該基材層とのラミネート強度が比較的小さい、1.8?3.5N/15mmとなる任意のバインダ樹脂を使用することができる。
具体的には、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。・・・」との記載、及び段落【0033】の「本発明において、印刷層は、それぞれ同じかまたは異なるインキからなる印刷層を、2層またはそれ以上積層した構成であってもよい。ここで、基材層と接する側の印刷層を形成する印刷下地インキは、該基材層との間のラミネート強度が、包装用積層小袋材を構成する印刷層中で最も弱くなるように、例えば、1.8?3.5N/15mmの範囲となるように、バインダ樹脂の種類、含有量、積層方法等を選択する。・・・」との記載によれば、発明の詳細な説明には、本件発明1?4の「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」について、当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。 (なお、取消理由通知で指摘した、明細書の段落【0041】?【0044】や段落【0050】?【0052】の記載は、印刷層とシーラント層とのラミネート強度等に関する記載であるところ、同記載は、本件訂正により訂正された本件発明1?4の「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく」なる記載とは無関係なものとなった。)
また、本件発明1?4のレーザーによる印字のしくみについては、本願明細書の段落【0045】?【0047】の「(レーザー光による印字)
本発明において、印字は、YAG(イットリウム(Y)・アルミニウム(A)・ガーネット(G))レーザー光線(波長=1.064μm)、または、YVO_(4)(イットリウム・バナデート)レーザー光線(波長=1.064μm)を用いて行うことが好ましい。・・・
これらのレーザーを、包装用積層小袋材の基材層側から照射することにより、包装用積層小袋材において低出力で、フィルムに与えるダメージを最小限に抑えつつ、印刷層のインキ成分をガス化及び炭化させて、基材層と印刷層との間に変色域を形成し、印刷層表面に、レーザー印字画像を効率よく形成することができるものが得られる。
そして、レーザー印字画像が、白色インキの印刷下地層表面に形成されることにより、基材層側からの視認性に優れたものが得られる。
本発明において、このような印字を行うパルス条件としては、例えば、YVO_(4)レーザー機(キーエンス製MD-V9600)にて平均出力0.8?5W、より好ましくは2?4W、Qスイッチ周波数10?30KHz、スキャンスピード300?4000mm/s、より好ましくは1500?2500mm/sのパルス条件が使用される。この条件下で印字を行うことにより、レーザー印字用多層積層フィルムに穴をあけることなく、高速印字が可能であり、且つ、明瞭な印字画像が得られる。
(レーザー光による印字体)
本発明のレーザー印字用多層積層フィルムへの印字工程において、レーザーの平均出力を低く設定しても、または、スキャンスピードを速く設定しても、鮮明な印字画像、例えば太くて明瞭な文字を印字することができる。
本発明の印字体において、レーザーのスポット照射により、基材層と印刷層との間に形成される空隙の直径は、望ましくは40μm?1mm、より好ましくは400?700μmである。この空隙に炭化したインキ成分が広がって、印刷下地層の白色インキを背景とすることで鮮明な印字画像が得られる。空隙の直径がこれよりも小さいと、印字画像の欠損や、線幅の細りが発生し、視認性を欠く。逆にこれよりも大きいと、画像がつぶれる等のため好ましくない。・・・」との記載、及び、レーザー印字がインキ成分をガス化及び炭化させて印字すること、酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物を主成分とする白色インキを使用した場合にガス化及び炭化するインキ成分が、有機化合物であるバインダ樹脂であることは、特許権者が提出した参考資料1(特開2010-47681号公報、段落【0015】参照)にも記載されているとおり、当業者の技術常識であることを踏まえれば、発明の詳細な説明には、本件発明1?4のレーザーによる印字のしくみについて、当業者がその実施ができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
よって、理由1の(5)の記載不備は、解消された。

カ 理由1の(6)について
本件訂正により、段落【0018】?【0020】の記載、図1及び図2は削除されたので、理由1の(6)の記載不備は、解消された。

キ 理由1の(7)について
本件訂正により、段落【0020】の記載は削除されたので、理由1の(7)の記載不備は、解消された。

ク 小括
以上のとおり、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1?4について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。
また、本件発明1?4に係る請求項1?4の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるといえるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。
よって、本件発明1?4に係る特許は、特許法第113条第4号に該当することを理由に取り消されるべきものとすることはできない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要
(1)[理由2]特許法第29条第1項第3号
本件発明1?4は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)[理由3]特許法第29条第2項
本件発明1?4は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

以下、甲第1号証等を、以下「甲1」等という。また、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項を、以下それぞれ、「甲1発明」、「甲2記載事項」という。
<刊行物等一覧>
甲1:特開2013-146880号公報
甲2:特許第4905612号公報

[理由2]
本件発明1?4は、甲1発明である。

[理由3]
本件発明1?4は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に想到し得た発明である。

2 上記特許異議申立理由についての判断
(1)刊行物記載事項及び刊行物発明
ア 甲1
甲1(特に、【請求項1】、【0001】、【0004】、【0010】、【0012】?【0016】、【0020】、【0022】、【0027】?【0028】、図1?図4))には、以下の甲1発明が記載されている。
「表層、絵柄等の印刷層と白色インキ層からなる印刷層、及びシール層を備える、食品等を包装する包装フィルムを用いた包装体であって、
グラビア印刷などによる絵柄、文字情報の印刷層が形成され、さらにその上に白インキによる白色インキ層が形成されて見栄えを良くしている領域と、個別情報の印刷を読みやすくする為、レーザマーキング用に白色インキ層のみの領域を有すること、
白色インキ層の成分を黒色変化させることで白地に黒色のマーキングが可能であり、白色インキ層の一部にレーザーマーキング方法による印字を行うことができ、表層越しにマーキングを視認できること、
当該包装体を用いて筒状に成形された個別の包装体を製造すること、
白色の印刷層としては、酸化チタンを含有する白色インキを用いること、
YAGレーザ、YVO4レーザ等を表層側から照射することにより、レーザ光が表面の表層を透過して、白色のインキ層の成分を黒色変化させ、レーザーマーキングされた、包装体。」

イ 甲2
甲2(特に、【請求項1】、【請求項4】、【0001】、【0009】、【0016】、【0020】?【0021】、【0026】?【0029】、【0033】?【0034】、【0036】?【0038】、【0045】?【0047】、【0053】の[実施例1]、図1)には、以下の甲2記載事項が記載されている。
「基材フィルム、白色の下地層、レーザーマーキング用インキ層、透明乃至半透明の保護層の順序に積層されたレーザーマーキングフィルムをヒートシールすることにより、貼り合わせた袋状容器からなる包装体であって、
保護層7上のレーザーマーキング像を形成する部分以外の場所に、インキジェット印刷等により、加飾性を高めるための印刷像を形成することができること、
白色の下地層が、酸化チタンを含有するウレタン系樹脂から成ること、
レーザーマーキング用インキに使用される樹脂バインダーには、白色下地層との接着性を考慮して、下地層用のインキに使用される樹脂バインダーと同種のものを使用することがよく、実験例1には、ウレタン系樹脂を含有するレーザーマーク用インキを用いた、包装体。」

(2)[理由2](特許法第29条第1項第3号)について
ア 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「包装体」、「表層、絵柄等の印刷層と白色インキ層からなる印刷層、及びシール層を備える、食品等を包装する包装フィルム」は、それぞれ、本件発明1の「包装用積層個袋体」、「樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用白色インキ下地層からなる印刷層及びシーラント層」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1では、樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さいのに対して、甲1発明では、表層と印刷層とのラミネート強度については不明である点。

この相違点1に関して、申立人は、特許異議申立書(11頁(ウ)相違点について)で、「甲第1号証には、樹脂フィルム基材に対する、それぞれ印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度、及び絵柄印刷層とのラミネート強度については記載されていないが、本件特許発明1(当審注:本件発明1)と同様に、甲第1号証においても、白色インキ下地層にのみレーザーマーキングによる印字がなされ、当該印字が視認されることが記載されている以上、本件特許発明1と同様のラミネート強度を有するものと推認される。
したがって、本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明と格別相違しない。」と主張している。
しかしながら、樹脂フィルム基材と印刷層とのラミネート強度については、本件特許明細書段落【0021】?【0033】に記載されているように、樹脂フィルム基材の表面処理や印刷層のインキを構成するバインダ樹脂の選択等によって調整が可能であるが、甲1には、樹脂フィルム基材と印刷層とのラミネート強度について、何ら記載されておらず、また、申立人は、なぜ推認されるのかについて具体的な理由を示していない。ゆえに、甲1において、「白色インキ下地層にのみレーザーマーキングによる印字がなされ、当該印字が視認されること」が記載されているからといって、「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さい」を示すとはただちにはいえない。したがって、請求人の主張は採用できない。

よって、上記相違点1は実質的なものであり、本件発明1は、甲1発明ではない。

イ 本件発明2?4について
本件発明2?4は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1について述べた理由と同様の理由により、甲1発明ではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件発明1?4は、甲1発明ではない。
よって、本件発明1?4に係る特許は、特許法第29条第1項第3号には該当せず、特許法第113条第2号に該当せず、理由2によっては、取り消されるべきものとすることはできない。

(3)[理由3](特許法第29条第2項)について
ア 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とは、少なくとも上記相違点1で相違する。

上記相違点1について検討する。
甲1発明は、「読みやすい表示をおこない、年齢を重ねた人でも食品の情報が分かりやすい表示による日付、製造者記号などを印字する包装フィルムへのレーザマーキング方法、及びレーザマーキングされた包装体を提供すること」(甲1【0004】)を課題とするもので、甲1には、「樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さい」点は、記載されていないし示唆もない。また、甲2にも、その点は記載されていないし、示唆もない。
一方、本件発明1は、「レーザー照射により変色する特殊インキを用いることなく、安価な材料からなり、製造が容易であり、印字位置の変更が容易であって、かつ、ベースとなるフィルムにダメージを与えない程度の低出力のレーザーを照射することにより、適当な太さを有し読み取り易い印字線が得られる、付加情報を適切かつ正確に、任意の位置にかつ鮮明に印字し、視認性を向上させた包装用積層小袋材及びそれを用いた小袋並びに印字体を提供すること」(本件特許明細書【0010】)を課題とするもので、相違点1に係る構成を有することにより、レーザーにより樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層との間で若干の剥離が生じることで、「本発明は、包装体の印刷時の下地として普通に用いられる白色インキを、付加情報をレーザー印字する印刷層を形成するための下地背景層として及び絵柄印刷層の下地層としても用いることができ、安価な材料から包装用小袋を製造することができる。」(本件特許明細書【0014】)、「下地としての白色インキ下地とのコントラストにより基材層側からの視認性に優れたレーザー印字画像を鮮明に形成することができる。・・・本発明の印字体は、レーザー印字画像が、そのフィルム表面ではなく、内部、すなわち基材層と印刷層との間に施される。したがって、この画像は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、その付加情報の変更を防止することができる。」(本件特許明細書【0015】)及び「レーザーを、包装用積層小袋材の基材層側から照射することにより、包装用積層小袋材において低出力で、フィルムに与えるダメージを最小限に抑えつつ、印刷層のインキ成分をガス化及び炭化させて、基材層と印刷層との間に変色域を形成し、印刷層表面に、レーザー印字画像を効率よく形成することができるものが得られる。」(本件特許明細書【0045】)という作用効果を奏する。
したがって、相違点1に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件発明2?4について
本件発明2?4は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1について述べた理由と同様の理由により、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 小括
以上のとおり、本件発明1?4は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、本件発明1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、特許法第113条第2号に該当せず、理由3によっては、取り消されるべきものとすることはできない。

第5 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1?4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
包装用積層小袋材及びそれを用いた小袋並びに包装用小袋レーザー印字体
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、液体調味料、ス-プ、果汁飲料、その他等の飲食品を充填包装するためのレーザーにより印字できる包装用積層小袋材及びそれを用いた小袋並びにそれらにレーザーによる印字画像を有するレーザー印字包装用小袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶、瓶、プラスティックボトル、包装袋等の包装容器及びそれら包装体を包装する包装材の表面に予め文字、記号、図等の絵柄を印刷インキ層で形成する以外に、例えば、製造年月日、メーカー、品名、消費期限等の付加情報を後からインク等で印字する方法が広く知られている。
包装容器や包装袋などの包装体並びに包装材は、各種用途に用いられ、使用される目的、使用状況等に応じて、多種多様な要求、要望に応えられるように材料の選択、積層構成あるいは構造を変更し、包装体として用いられている。そのため、包装体は包装の形態、利用状況に応じた材料の変更などにより多種多様な積層構造を有する。
このような多種多様な包装体に対して、包装材毎に表記を必要とされる付加情報を適切かつ的確に印字できる技術が求められている。
【0003】
包装容器や包装袋などの包装体並びに包装材などの包装体は、その表裏両面の大部分に予め印刷層が形成されており、箱、缶などの容器に比して余白部分が少ないために、インク層による表示部分を確保することが難しく、この一方で、既存の印刷層に重ねて、包装袋の外表面にインク層表示を行った場合には、包装体の見映えが損なわれる他、インク層表示の読み取りが困難になる不都合がある。
【0004】
特に、ソース、しょう油、粉末スープなどの調味料のための小型の包装袋(以下、「小袋」という)である場合には、包装用積層小袋材は、好適には、アルミニウム箔、紙などの不透明包装資材を含まない包装用積層小袋材の一方の表面に位置するヒートシール層を相互にヒートシールしてなるものであり、それの少なくとも一のヒートシール部分で、両ヒートシール層間に、所要の文字,記号等を表示するインク層を介在させるとともに、このインク層のバインダをヒートシール層と同系の材料にて構成したものであり、印字領域は限られている。特に、印字領域が狭く、限定される包装体である包装用積層小袋において、付加情報を適切かつ正確に、任意の位置にかつ鮮明に印字し、視認性を向上させた包装用積層小袋材及びそれを用いた小袋並びに印字体を提供することが求められている。
また、その小型の包装袋が、主たる食品としての、たとえば弁当のおかず、即席めんなどに直接に接触することから、包装袋の外表面にインク層表示を施したときには、インク層に含まれる顔料、ビヒクル等が食品に触れる他、食品中の油脂類がインク成分を溶解するという衛生上の問題もあった。
【0005】
包装容器や包装袋などの包装体並びに包装材は、付加情報を印字する技術としては、周知の印刷法、インクジェットプリンター、又はレーザー照射などにより、包装袋等の表面に、あるいは包装材の積層構造の層間に付加情報を印字することがすでに知られている。前もって決められた絵柄や固定情報を印刷する際には、インクジェット印刷、汎用の印刷法により、層間に印刷層を形成できるが、情報が変更される付加情報は前もって設定できないこともあり、包装体の表面に印字されることがあり、印刷の乾き具合、包装体とインクとの適合性、高速で移動する包装体の印字面の接触などにより印刷がかすれ、判読不明などの状態になるなど適切かつ的確に印字できないことが問題となっている。
【0006】
従来の問題を解決するため、特に、レーザー照射による付加情報の印字が着目されている。そのようなレーザーによる印字では、レーザー光により発色する発色剤を樹脂中に含有させた樹脂組成物で成形したもの、あるいはそのような樹脂組成物層を表面に形成したプラスチック成形品等の表面に直接、レーザー印字画像を形成するものであり、レーザー印字画像の表面を擦過することにより印字が薄れたり、消去されたりしてしまう問題があった。
【0007】
レーザー光により印字する技術として、YAGレーザーまたはYVO_(4)レーザー等を照射することによりフィルム上へ印字することが知られている。そして、レーザーにより印字できるレーザー印字用多層積層フィルムとしては、レーザー照射により変色する特殊インキを中間層(発色層)として使用するフィルムが知られている(特許文献1)。
そしてこのような特殊インキは非常に高価であるため、基材上の印字したい部分のみに、該特殊インキ層を予め設けることが行われている。しかしながら、その場合においても位置合わせが難しく、印字位置を容易に変更することもできない。また、印字線が細く、読み取り難いという欠点がある。
【0008】
一般のインキも、YAGまたはYVO_(4)レーザーの照射により若干変色する。したがって、このような通常インキを中間層(発色層)として使用することも知られている(特許文献2)。しかしながら、この方法においては強力なレーザー光を照射することによって中間層に印字部を形成するものである。すなわち、十分な視認性を得るために、レーザー照射部分の中間層が、その深さ方向(フィルムの一方の表面から他方の表面に向かう方向)の全厚さにわたって、全て蒸散するまでレーザー出力を高める必要がある。
したがって、強力なレーザー光の照射によって、ベースとなるフィルムに穴があくなどの問題がある。また、強力なレーザー光を照射する必要があることから印字スピードが遅いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-55110号公報
【特許文献2】特開2007-217048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、多種多様な積層構造を有する包装材料において、特に、印字領域が狭く、限定される包装体である包装用積層小袋材及びそれを用いた包装用積層小袋において、包装時、付加情報を印刷する上での従来の問題を解決して、レーザー照射により変色する特殊インキを用いることなく、安価な材料からなり、製造が容易であり、印字位置の変更が容易であって、かつ、ベースとなるフィルムにダメージを与えない程度の低出力のレーザーを照射することにより、適当な太さを有し読み取り易い印字線が得られる、付加情報を適切かつ正確に、任意の位置にかつ鮮明に印字し、視認性を向上させた包装用積層小袋材及びそれを用いた小袋並びに印字体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、基本的な積層構成が限定された包装体である包装用積層小袋材又は包装用積層小袋において、種々研究の結果、特殊なインキを用いることなく、入手が容易で汎用性の高い、廉価な下地白色インキを用い、包装体において一般に施される印刷層の印刷下地層を活用するものであって、レーザー光により印字可能な白色インキ下地層のみの領域を印刷層に形成し、該領域に視認側から低出力のレーザー光を照射することにより、視認側となる基材層と印刷層との間の印字画像の領域の表面にのみ炭化したインキ成分が広がることにより変色域を形成し、白色インキ下地層上の適切かつ正確に、任意の位置に適度な太い線を有する鮮明な印字画像を形成することができる包装用積層小袋材を見出した。
【0012】
本発明は、基材層、絵柄印刷層と印刷用下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、絵柄印刷層とレーザー印字層となる印刷用下地層とが重なりあった領域と印刷用下地層のみの領域を有する包装用積層小袋材において、基材と印刷用白色インキ下地層との間のレーザー光により印字可能な白色インキの印刷用下地層の表面のみを変色域を形成するレーザー印字用領域とする包装用積層小袋材としたものであり、上記の目的を達成できるものである。
【0013】
そして、本発明は、包装用積層小袋材及び包装用積層小袋において、以下の点によりレーザー印字を可能にしたものである。
1.基材層、絵柄印刷層と印刷用下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、絵柄印刷層とレーザー印字層となる印刷用下地層とが重なりあった領域と印刷用下地層のみの領域を有する包装用積層小袋材において、印刷用下地層は、レーザー光により印字可能な白色インキ層であり、印刷用下地層のみの領域をレーザー印字用領域とする包装用積層小袋材としたものである。
2.白色インキが、少なくともチタン酸化物を含む樹脂組成物である白色インキを用いた積層構成の包装用積層小袋材とすることがレーザー印字が可能であり好ましいものである。
3.上記包装用積層小袋材を用いて包装用小袋を形成したものがレーザー印字が可能であり好ましいものである。
4.上記包装用積層小袋材あるいは上記包装用小袋に、YAGまたはYVO_(4)レーザー光を基材層側から照射することにより、炭化した白色インキの変色域が前記基材層及び前記印刷用下地層の境界に広がり、レーザー印字画像を形成したレーザー印字小袋体が付加情報をレーザー印字したものが包装用積層小袋印字体として好ましいものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装用積層小袋材は、レーザー印字のための特殊インキを用いる必要がなく、例えば、包装フィルムの印刷時の下地として普通に用いられる汎用的に使用されている白色インキを用いて、レーザー光により印字可能な白色インキ層として形成された印刷用下地層を包装用積層小袋材全領域に形成し、かつ、必要な絵柄印刷層を印刷用下地層の基材側に重層させた積層構成によりレーザー印字層を形成した包装用積層小袋材とすることで、印刷下地層のみの領域を任意の位置に設けることができ、しかも該領域にレーザー照射してレーザー印字領域とすることができる。
本発明は、包装体の印刷時の下地として普通に用いられる白色インキを、付加情報をレーザー印字する印刷層を形成するための下地背景層として及び絵柄印刷層の下地層としても用いることができ、安価な材料から包装用小袋を製造することができる。
【0015】
また、本発明の包装用積層小袋材に、YAGまたはYVO_(4)レーザーを、基材層側から照射することにより、印刷層を形成するインキ成分がレーザー照射によって炭化し、基材と印刷層との境界に広がるため、弱い出力で、すなわち、印刷層を全層厚にわたって全て蒸散させるまでレーザー出力を高める必要なしに、かつ下地としての白色インキ下地とのコントラストにより基材層側からの視認性に優れたレーザー印字画像を鮮明に形成することができる。
さらに、本発明の印字体は、レーザー印字画像が、そのフィルム表面ではなく、内部、すなわち基材層と印刷層との間に施される。したがって、この画像は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、その付加情報の変更を防止することができる。
【0016】
これらの利点から、本発明の包装用積層小袋材およびそれを用いた包装用小袋によれば、小袋のヒートシールされる部分以外の領域にも付加情報を形成することができるため、例えば、製造年月日、メーカー、品名、賞味期限、生産地等の可変情報を従来のインクジェットプリンターによる印字と比べて読み取りやすく、かつ多くの情報量をレーザー印字画像として印字することができる。
【0017】
包装用小袋の内容物に接する層以外の少なくとも内層の白色インキの印刷下地層が、レーザー光線照射により印字可能な印字層となることにより、液体包装用積層小袋材の表面にインキを接触させることなく印字可能で、また包装用積層小袋材の内容物由来の油脂分により印字されたインキを溶解させることなく、衛生性に優れたものができる。
また、包装用積層小袋材の製造工程において、普通の印刷工程と同じ印刷処理するだけであり、レーザー印字のためのさらなる層を設ける必要がなく、製造工程が簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
(削除)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(削除)
【0020】
(削除)
【0021】
(基材層)
本発明において、基材層は、その使用目的、用途等に応じた樹脂フィルムであって、且つ、印刷層を積層した際に、該印刷下地層とのラミネート強度が絵柄印刷層とのラミネート強度より幾分小さい任意の樹脂フィルムを使用することができる。
具体的には、基本素材となり、更に、印字後は、表面保護層を構成し、かつ、レーザー印字画像等を透視し得るものであることから、機械的、物理的、化学的等において優れた強度を有し、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、透明性等に優れた樹脂フィルムを使用することができる。
【0022】
本発明において、このような樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂等の各種の樹脂フィルムから選択することができる。
なお、上記の各種の樹脂1種ないしそれ以上を使用し、製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗菌性、電機的特性、強度、ラミネート強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更に、改質用樹脂等も使用することができる。
【0023】
白色インキの印刷下地層と基材とのラミネート強度、密着性を調整するために、必要に応じて、いずれかの表面に、積層前に所望の表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を施すことができる。
また、印刷下地層と基材層との間に、例えば、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層等を設けてもよい。
【0024】
上記の樹脂フィルムとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
本発明において、上記の各種の樹脂フィルムとしては、例えば、上記の各種の樹脂1種類ないしそれ以上を使用し、押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、更には2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法により、各種の樹脂のフィルムを製造し、更に、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
【0025】
また、本発明において、その樹脂フィルムの厚さとしては強度、耐突き刺し性等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等が抵下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、5μm?100μm、好ましくは10?30μmが最も望ましい。
【0026】
本発明において、基材層を形成する樹脂フィルムとしては、延伸ポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びこれら基材に透明蒸着層を形成したものを特に好適に用いることができる。該延伸ポリアミドフィルムは、特に包装材料としての用途において、安定性、加工性、コスト、耐熱性及び耐薬品性等の面で優れており、また、後述の印刷層として好適に使用される印刷インキを積層する際に、該印刷層との好ましいラミネート強度を得ることができる。
【0027】
(印刷層)
本発明において、印刷層は、絵柄印刷層と印刷下地層からなるもので、汎用されているインキを、基材層上に印刷や塗布等により積層して設けられる層である。
本発明において、絵柄印刷層は基材層に例えば、文字、図形、記号、図柄、模様等の所望の印刷絵柄を一般の印刷法を用いて印刷することにより形成されるものである。
一方、本発明の印刷下地層は、レーザー光により印字可能なレーザー用印字部として機能するものであって、印刷用下地層は、白色インキ層であり、その白色インキは、構成する白色顔料の金属酸化物として酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素等を1種又はそれ以上含有するインキが用いられる。その意味で、一般に印刷において用いられている汎用の印刷下地層として用いているインキを用いることができる。本発明では、特に、包装フィルムの印刷下地インキとして用いられる白色インキの白色顔料として酸化チタンを含有するものであり、好適に使用される。
【0028】
本発明において、白色インキ中における金属酸化物の含有量は、5?90重量%の範囲で用いることができ、20?50重量%含有することが好ましい。金属酸化物の含有量が、5重量%未満では、レーザー光の照射により基材とインキ層の間に十分な変色域を形成し難くなり、鮮明な印字が得られ難くなる。90重量%以上となると、白色インキの金属酸化物の含有量が多くなりすぎ、基材との十分な密着性が付与できず、インキ下地層が脆くなる。
【0029】
本発明の印刷下地層の白色インキを、必要に応じて慣用の溶剤で希釈し、基材層上に印刷または塗布することにより、印刷層を形成することができる。金属酸化物が多いと、フィルムがレーザー照射によるダメージを受け易くなる。逆に、金属酸化物が少ないと、印字画像が不明瞭になり易い。
【0030】
インキを構成するバインダ樹脂としては、従来公知のものであって、基材層上に積層した際に、該基材層とのラミネート強度が比較的小さい、1.8?3.5N/15mmとなる任意のバインダ樹脂を使用することができる。
具体的には、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で、または2種以上混合して使用される。特に、印刷下地層として用いられる白色インキにおいて、バインダ樹脂としてウレタン樹脂が、好適に使用される。該ウレタン樹脂は、上述の基材層として好適に使用される延伸ポリアミドフィルム上に積層する際に、該基材層との好ましいラミネート強度を与え、レーザー光による印字において、焼かれる白色インキの成分が印刷下地層と基材層との間に適度に広がり、文字として認識できるようになるのに適した基材層とのラミネート強度を有する。
【0031】
本発明において、白色インキ中における樹脂成分の含有量は、5?50重量%の範囲で含有することが好ましい。5重量%未満では、基材との十分な密着性が低下し、レーザー光の照射により基材とインキ層の剥がれが生じやすく、鮮明な印字が得られ難くなる。50重量%以上となると、変色域の形成がし難くなり、かつ白色インキの金属酸化物の含有量が少なく、レーザー光の照射により十分な変色域を形成し難くなる。
【0032】
基材層と印刷層とのラミネート強度を所望の範囲に調整するために、必要に応じて、インキ中に、任意の添加剤を添加してもよい。この例としては、滑材、ブロッキング防止剤、充填剤、硬化剤等を添加することが挙げられる。その他、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、シランカップリング剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、顕色剤等の各種添加剤を添加することもできる。これら添加剤は、特に印刷適性、印刷効果等の改善を目的に使用され、その種類、使用量は、印刷方法、印刷基材、印刷条件により適宜選択できる。
また、基材層の積層面にコロナ処理等の表面処理を施したり、または無処理の面上に印刷層を積層したりすること等により、該ラミネート強度を調整してもよい。
【0033】
本発明において、印刷層は、それぞれ同じかまたは異なるインキからなる印刷層を、2層またはそれ以上積層した構成であってもよい。ここで、基材層と接する側の印刷層を形成する印刷下地インキは、該基材層との間のラミネート強度が、包装用積層小袋材を構成する印刷層中で最も弱くなるように、例えば、1.8?3.5N/15mmの範囲となるように、バインダ樹脂の種類、含有量、積層方法等を選択する。
また、シーラント層と接する側の印刷層を形成するインキ成分は、該シーラント層との間のラミネート強度がより強くなるように、例えば、3.8N/15mm以上となるように、同様に調整する。当該構成により、レーザー照射時に、基材層と印刷層との境界に確実に変色域が形成され、且つ、印刷層とシーラント層とのデラミネーションを防ぐことができる。
【0034】
本発明においてレーザー光により鮮明で印字ムラの生じない包装用積層小袋材を得るために、印刷下地層のインキの塗布量が、乾燥後の塗布量として1.5?4.5g/m^(2)、より好ましくは2.7?3.6g/m^(2)であることが好ましい。これよりも印刷層が厚いと、フィルムがレーザー照射によるダメージを受け易くなる。逆に、これよりも薄いと、印字画像が不明瞭になり易い。
また、本発明において規定するラミネート強度を、基材層と印刷層(絵柄印刷層と印刷下地層)の相互間で得るためには、絵柄印刷層又は印刷下地層を多層とすることも可能であるが、印刷層を一層にした方が規定する強度をより確実に得ることができる。
【0035】
印刷層の積層方法は、グラビアロールコート、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法、その他等の公知の方法で印刷する他、インクジェット、浸漬、スピンコーティングなどの方法を用いることができるが、本発明においては印刷により積層する方法が好ましい。白インキが存在する印刷方式で、印刷後のフィルムを巻き取ることができる印刷機を用いれば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷のいずれの方式でもかまわない。特に、印刷下地として全面または一部にベタ印刷することにより、製造工程を簡略化することができる。白色インキを多量に容易に塗布することが可能で、印刷下地として全面または一部にベタ印刷することが可能なことにより、隠蔽性が上がり、製造工程を簡略化することができる点で、グラビア印刷法が適している。
本発明においてレーザー光により鮮明で印字ムラの生じない包装用積層小袋材を得るためには、インキの塗布量が、乾燥後の塗布量として1.5?4.5g/m^(2)であることが適している。
【0036】
(シーラント層)
本発明において、シーラント層は、シーラント層として慣用の熱可塑性樹脂からなる塗膜層、または該樹脂のフィルムないしシートからなる層である。
シーラント層は、ヒートシール性樹脂層であって、ヒートシール性樹脂であり、具体的には、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂を使用することができ、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン系触媒を使用して重合した直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ-、ポリブテンポリマ-、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ-ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂を、単独で、または2種又はそれ以上を混合して使用することができる。
上記シーラント層を構成するヒートシール性樹脂の中でも、特に、直鎖状(線状)低密度ポリエチレンをメタロセン系触媒などシングルサイト触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、ヒートシールの安定性のほか、耐内容物性、耐ストレスクラッキング性、低温ヒートシール性、熱間シール性に優れており、本発明の液体用包装用積層小袋材のシーラント層に好適に使用することができるものである。
【0037】
上記のヒートシール樹脂層には、上記の直鎖状(線状)低密度ポリエチレンのほか、充填される内容物や、充填後の加熱処理、流通条件などにより、CPP(無延伸ポリプロピレン)、LDPE、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂などのフィルムまたは押し出しコート層を適宜選択して使用することができる。
【0038】
シーラント層の積層方法は、特に限定されないが、シーラント層を形成する熱可塑性樹脂を、印刷層上に押出コーティングすることにより積層することができる。また、該熱可塑性樹脂からなるフィルムを、ドライラミネート法またはサンドイッチラミネート法等により積層してもよい。
【0039】
ドライラミネート用接着剤としては、ウレタン系接着剤、ポリエステルポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤、ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等を用いることができる。また、サンドイッチラミネート用接着性樹脂としては、任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。
そして、本発明においては、上記のようなヒートシール性樹脂等を使用し、押し出しラミネ-ト法等により押し出しラミネートして、シーラント層を形成することができる。
本発明において、上記シーラント層の厚さとしては、包装用積層小袋材に充填する内容物に応じて適宜に設定することができるが、5μm?150μm程度が好ましくは、20μm?70μmがより好ましい。
【0040】
また、印刷下地層とシーラント層との間に、例えば、プライマーコート層、アンダーコート層、アンカーコート層等を設けてもよい。
本発明の包装用積層小袋材を構成するアンカーコート層としては、溶剤型、水性型のいずれも使用できる。
したがって、(塩素化)ポリプロピレン系、変性ポリオレフィン系、エチルビニルアルコール系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリウレタン系、ポリエステル系ポリウレタンエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリルエマルジョン、シリコンアクリルエマルジョン、酢酸ビニルアクリルエマルジョン、アクリルエマルジョン、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、アクリルニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタアクリレート-ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジェンラテックスのゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリブタジエンラテックス、あるいはこれらのラテックスのカルボキシル変性物や水溶性物質、例えば、ポリビニルアルコール、水溶性エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、水性アクリル樹脂、水性アポキシ樹脂、水性セルロース誘導体、水性ポリエステルおよび水性リグニン誘導体等水性イソシアネート等の水性若しくは水分散型エマルジョン若しくはディスパージョンのアンカーコート剤が用いられる。例えば、最外層がポリエチレン系の溶融押出し樹脂層の場合、基材との接着性を考慮すると、ポリエチレン系や変性ポリオレフィン系のエマルジョン若しくはディスパージョンが好ましい。
【0041】
包装材料の用途において、内容物と接する最内層となるため、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好適に使用される。
特に、上記基材層が延伸ポリアミドフィルムからなり、上記インキ中のバインダ樹脂として、ウレタン樹脂が使用されている場合は、シーラント層を形成する樹脂として、ポリプロピレンを使用し、これを、印刷下地層上に押出コーティング法により積層した層構成の包装用積層小袋材とすることにより、基材層又はシーラント層と該印刷層との好適なラミネート強度の関係、すなわち、包装用積層小袋材が小袋を形成するラミネート強度が強くなることにより、レーザー光により印字したときに小袋材の接着の剥離が起きず、レーザー照射によって明瞭な印字画像が得られるように基材層と印刷層との間に凸状に隆起できる強度に設定することが必要である。
いずれの場合においても、印刷下地層とシーラント層のラミネート強度が3.8N/15mm以上となるように、樹脂の種類の組み合わせ、積層方法、接着剤の種類、表面処理方法等を選択する。
【0042】
本発明においては、その他、例えば、バリア層として、延伸ポリアミド樹脂基材フィルム層の上に無機酸化物の蒸着膜、また、延伸基材フィルム2の上に塩化ビニリデン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂のバリア性樹脂コーティング膜を施し又は延伸ポリアミド樹脂基材フィルムに透明バリア層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを積層して使用することができる。
前記の無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した透明薄膜であれば使用可能である。例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した透明薄膜を使用することができる。
そして、包装用材料等に適するものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を挙げることができる。
【0043】
(ラミネート強度)
本発明の包装用積層小袋材において、基材層と印刷層との間のラミネート強度は1.8?3.5N/15mmであり、より好ましくは2.0?2.8N/15mmであり、且つ、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度が基材層と印刷下地層との間のラミネート強度より大きい必要があり、その強度は3.8N/15mm以上であり、より好ましくは4.4N/15mm以上である。
このような関係のラミネート強度となる層構成によって、レーザー印字が最適に行われる。基材層と印刷層との間のラミネート強度が1.8N/15mm未満のように弱いラミネート強度であると、レーザー照射部以外でデラミネーションを引き起こし、3.5N/15mmを超えると、基材/印刷層間に変色域が小さく、印字画像が不明瞭になる。また、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度が3.8N/15mmより小さいと、基材/印刷層間での変色域の確実な形成が損なわれる。また、包装材料として好ましくないデラミネーションを引き起こす。
【0044】
本発明において、ラミネート強度は、移動速度50mm/minとし、測定サンプルの幅を15mmとし、その他の条件をJIS K6854に準拠して実施するT型剥離接着強さ試験で測定される値である。
上記ラミネート強度を達成するには、基材層を形成する樹脂フィルムの種類、印刷層を形成するインキ中のバインダ樹脂及び白色インキ顔料の種類、及びシーラント層を形成する樹脂の種類の組み合わせにより、当該ラミネート強度の関係が得られるような組み合わせを見出すことが好ましい。しかしながら、意図的にラミネート強度を低くするためにコロナ処理を施さない面上に印刷層を積層したり、インキ成分に密着を防止する材料たとえばブロッキング防止剤を加えてもよい。
【0045】
(レーザー光による印字)
本発明において、印字は、YAG(イットリウム(Y)・アルミニウム(A)・ガーネット(G))レーザー光線(波長=1.064μm)、または、YVO_(4)(イットリウム・バナデート)レーザー光線(波長=1.064μm)を用いて行うことが好ましい。これらのレーザーは、透明体を透過する性質を有し、その性質を利用し、さらに、印字時の煙等の発生が抑えられ、また、発色濃度やフィルムに与える影響等を調整することができる。その結果、レーザー印字画像を形成しても穴あき等がない極めて鮮明なレーザー印字画像を形成することができる。
これらのレーザーを、包装用積層小袋材の基材層側から照射することにより、包装用積層小袋材において低出力で、フィルムに与えるダメージを最小限に抑えつつ、印刷層のインキ成分をガス化及び炭化させて、基材層と印刷層との間に変色域を形成し、印刷層表面に、レーザー印字画像を効率よく形成することができるものが得られる。
そして、レーザー印字画像が、白色インキの印刷下地層表面に形成されることにより、基材層側からの視認性に優れたものが得られる。
【0046】
本発明において、このような印字を行うパルス条件としては、例えば、YVO_(4)レーザー機(キーエンス製MD-V9600)にて平均出力0.8?5W、より好ましくは2?4W、Qスイッチ周波数10?30KHz、スキャンスピード300?4000mm/s、より好ましくは1500?2500mm/sのパルス条件が使用される。この条件下で印字を行うことにより、レーザー印字用多層積層フィルムに穴をあけることなく、高速印字が可能であり、且つ、明瞭な印字画像が得られる。
【0047】
(レーザー光による印字体)
本発明のレーザー印字用多層積層フィルムへの印字工程において、レーザーの平均出力を低く設定しても、または、スキャンスピードを速く設定しても、鮮明な印字画像、例えば太くて明瞭な文字を印字することができる。
本発明の印字体において、レーザーのスポット照射により、基材層と印刷層との間に形成される空隙の直径は、望ましくは40μm?1mm、より好ましくは400?700μmである。この空隙に炭化したインキ成分が広がって、印刷下地層の白色インキを背景とすることで鮮明な印字画像が得られる。空隙の直径がこれよりも小さいと、印字画像の欠損や、線幅の細りが発生し、視認性を欠く。逆にこれよりも大きいと、画像がつぶれる等のため好ましくない。
本発明において、レーザー印字画像は、文字、数字、記号、絵柄等を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の包装用積層小袋材又は包装用積層小袋に印字して得られる印字体は、本発明の積層構造の小袋印字体として好適に適用することができる。
本発明の包装用積層小袋材において、印刷層は、レーザー光により印字可能な印刷下地層として機能する白色インキのみからなる領域に印字するものであり、該印刷層のレーザー光による印字を施さない、所望のカラー印刷層を設けた絵柄印刷層及び印刷下地部分が重ねられた領域は、湿熱性下の雰囲気でも基材層との密着性があり、ラミネート強度が大きく、包装用積層小袋材として剥離が生じないことと合わせ、印字部領域に確実に鮮明な印字を得ることができる。
【0049】
(包装用積層小袋)
上記の包装用積層小袋材を用いた包装用小袋について説明する。包装用小袋からなる袋状容器本体は、上記包装用積層小袋材からなる積層材を使用して、この積層材を二つ折にし、そのヒートシール性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ、その端部をヒートシールして筒状の包装体を形成し、次いで底部をシールして内容物を充填し、さらに天部をシールすることにより、包装体を製造することができる。
その製袋方法としては、上記のような積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装用小袋を製造することができる。上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明において、上記のようにして製造した包装用積層小袋には、具体的に、ソース、シロップ、ポン酢、醤油、ドレッシング、ラーメンスープ、麺汁、ケチャップ、タバスコ、わさび、からし、その他等の液状調味料、ス-プ、その他等の液状飲食品等が充填包装されるものである。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
【0051】
[実施例1?3]
厚さ15μmの厚さの二軸延伸ポリアミド(ナイロン)フィルム(基材層)の一方の面上に、絵柄層として色インキをグラビアロールコート法により色インキ領域を塗工した。その上にインキ組成の酸化チタン及び樹脂の成分組成が、酸化チタン45重量%、樹脂15重量%、酸化チタン20重量%、樹脂10重量%、酸化チタン30重量%、樹脂5重量%のウレタン系白色インキをそれぞれ用いてグラビアロールコート法により全面に塗工し、印刷白色インキ下地層を設けた。次いで、該印刷層上に、2液硬化型のポリエステル系接着剤(ロックペイント株式会社製アドロック:主剤RU77T/硬化剤H7)を用いてドライラミネート法によりシーラント層として厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを積層した。このことにより、本発明の二軸延伸ポリアミド(ナイロン)フィルム/絵柄色インキ印刷層/印刷白インキ下地層/接着剤層/直鎖状低密度ポリエチレンフィルムシーラント層の層構成を有する3種類の包装用積層小袋材を得た。
該包装用積層小袋材において、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、2.2N/15mmであり、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度は、4.6N/15mmであった。
【0052】
[実施例4?6]
実施例1と同様に基材フィルムの二軸延伸ポリアミドフィルム上に実施例1と同様の色インキとウレタン系白色インキを用いて、絵柄層、印刷白インキ下地層を設けた。その印刷白インキ下地層上に、シーラント層を積層するのに先立って、ウレタン系アンカコート剤を用いてアンカーコート層を白インキ下地層に形成し、そのアンカーコート層上にシーラント層として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を押出コーティング法により、厚さ30μmとなるように積層した。これにより、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルム/絵柄色インキ印刷層/印刷白インキ下地層/アンカーコート層/押出直鎖状低密度ポリエチレンシーラント層の層構成を有する3種類の包装用積層小袋材を製造した。
該包装用積層小袋材において、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、2.3N/15mmであり、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度は、3.8N/15mmであった。
【0053】
[レーザー印字方法]
実施例1?6において得られた包装用積層小袋材について、下記条件下で、基材層側からYVO_(4)レーザー光を照射し、レーザー印字画像を形成して印字体を得た。
・レーザー照射条件
YVO_(4)レーザー機((株)キーエンス製MD-V9600にて平均出力3.0W、Qスイッチ周波数10KHz、スキャンスピード500mm/s
【0054】
(評価方法)
以下、実施例及び比較例に示した各包装用積層小袋材に対し、実際に、レーザー光を照射することにより白色インキ下地層に印字し、そこに印刷された文字の鮮明度、保持の太さ、色の濃さなど印字文字を総合的に判断し、視認性の善し悪しを官能試験により評価した。
【0055】
[評価]
実施例1?6の包装用積層小袋材において、上記レーザー照射条件で得られたレーザー印字画像について、印字状態を視認性と、レーザー照射後の包装用積層小袋材の外観について評価したところ、本発明の包装用積層小袋材は白色インキの成分組成で、低出力のレーザー照射エネルギー(3.0W、Qスイッチ周波数10KHz、スキャンスピード1000mm/s)で印字しても、変色による印字濃度が濃く、擦っても消失することなく、変色域が太い線幅で濃くくっきりとした視認性のよいレーザー印字となり、包装用積層小袋材の外観もレーザー光による変形、変質も見られなかった。
【符号の説明】
【0056】
(削除)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム基材、絵柄印刷層と印刷用白色インキ下地層からなる印刷層及びシーラント層を備える包装用積層小袋材であって、印刷層が絵柄印刷層とレーザー印字層となるレーザー光により印字可能な白色インキを用いた印刷用白色インキ下地層とが重なりあった領域と印刷用白色インキ下地層のみの領域を有する包装用積層小袋材において、
樹脂フィルム基材と印刷層を積層した際に、該樹脂フィルム基材と印刷用白色インキ下地層とのラミネート強度が該樹脂フィルム基材と絵柄印刷層とのラミネート強度より小さく、視認側となる該樹脂フィルム基材と印刷層との間の印刷用白色インキ下地層の表面にのみレーザーにより炭化したインキ成分が広がることによりレーザーによる印字変色域を形成できる包装用積層小袋材。
【請求項2】
前記白色インキが、少なくともチタン酸化物を含む樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の包装用積層小袋材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装用積層小袋材を用いた小袋。
【請求項4】
請求項1または2に記載の包装用積層小袋材あるいは請求項3に記載の小袋に、YAGまたはYVO_(4)レーザー光を樹脂フィルム基材側から照射することにより、炭化した白色インキの変色域が前記樹脂フィルム基材及び前記印刷用白色インキ下地層の境界に広がり、レーザー印字画像を有するレーザー印字小袋体。
【図面】


 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-02-14 
出願番号 特願2013-201214(P2013-201214)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (B65D)
P 1 651・ 121- YAA (B65D)
P 1 651・ 113- YAA (B65D)
P 1 651・ 537- YAA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浅野 弘一郎宮崎 基樹  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 蓮井 雅之
横溝 顕範
登録日 2018-01-12 
登録番号 特許第6268873号(P6268873)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 包装用積層小袋材及びそれを用いた小袋並びに包装用小袋レーザー印字体  
代理人 竹林 則幸  
代理人 竹林 則幸  
代理人 結田 純次  
代理人 結田 純次  
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